- 英
- heart failure, HF, cardiac failure CF, cardiac insufficiency
- 関
定義
- 心臓のポンプ能が低下しているために、十分な心拍出量が得られない状態を指す (EPT.115)
- 心筋の機能が低下し、末梢組織の酸素需要量に見合うだけの血液を駆出できなくなった状態。
- 心臓に器質的あるいは機能的異常が生じて、心臓のポンプ機能力が低下し、主要臓器の酸素需要量に見合うだけの血液を拍出できない病態(YN)。全ての心疾患の「終末像」である。あくまでも終末像のため、死亡診断書に死因と記載するのは不適切である。
分類
病期
原因
場所
病態の分類
病期分類
- No limitation of physical activity. Ordinary physical activity does not cause undue fatigue, palpitation, or dyspnea (shortness of breath).
- Slight limitation of physical activity. Comfortable at rest, but ordinary physical activity results in fatigue, palpitation, or dyspnea.
- Marked limitation of physical activity. Comfortable at rest, but less than ordinary activity causes fatigue, palpitation, or dyspnea.
- Unable to carry out any physical activity without discomfort. Symptoms of cardiac insufficiency at rest. If any physical activity is undertaken, discomfort is increased.
原因
- 虚血性心疾患、弁膜疾患、高血圧精神疾患、心筋虚血の順に多い。(IMD.790)
- 誘因としては過労、ストレス、感染、心拍数の異常、不整脈、水分・塩分の過剰摂取がある。
増悪因子
- ストレス
- 感染症:頻脈→心筋酸素需要↑
- 貧血 :心拍出量↑
- 妊娠 :心拍出量↑、体液量↑
- 甲状腺機能亢進症:甲状腺ホルモン(心臓のカテコラミン受容体増加)の陽性変力効果、陽性変時効果→心筋酸素需要↑
- 血圧上昇 :圧負荷
- 頻脈性不整脈:心筋酸素需要↑
table 9.3. 代償されている心不全において症状を誘発させる要因 PHD.240
- 代謝的需要の増加 → 心筋が十分に収縮できなくなる
- コントロールされていない高血圧 ←左心系
- 肺塞栓症 ← 右心系
- 陰性変力作用を持つ薬物
- 心筋虚血 or 心筋梗塞
- アルコールの摂取
症状
心不全の身体所見 IMD.791改変
- 右心不全での胸水:左心不全の後方障害で起こるが、右心不全でも上大静脈圧上昇により奇静脈系が上昇して胸水貯留を認める
- the pleural veins drain into both the systemic and pulmonary veous beds.(PHD.243)
治療
参考
- 2006年改訂版:http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2006_maruyama_h.pdf
- 2011年改訂版:http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2011_izumi_h.pdf
- 2. 慢性心不全治療ガイドライン(2010年改訂版)
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010_matsuzaki_h.pdf
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/10/15 10:49:07」(JST)
[Wiki ja表示]
心不全 |
分類及び外部参照情報 |
主な心不全の兆候
|
ICD-10 |
I50. |
ICD-9 |
428.0 |
DiseasesDB |
16209 |
MedlinePlus |
000158 |
eMedicine |
med/3552 emerg/108 radio/189 med/1367150 ped/2636 |
MeSH |
D006333 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
心不全(しんふぜん、heart failure)は、心臓の血液拍出が不十分であり、全身が必要とするだけの循環量を保てない病態を指す。そのような病態となるに至った原因は問わず、端的に述べると「心臓の収縮力が低下」した状態である。
目次
- 1 総論
- 2 病態
- 2.1 左心不全と右心不全
- 2.2 急性・慢性心不全
- 3 診断
- 4 治療
- 4.1 現代医学による治療
- 4.2 東洋医学による治療
- 5 予後
- 6 その他
- 7 脚注
- 8 参考文献
総論[編集]
心不全の症状は、主に鬱血によるものである(鬱血性心不全)。左心と右心のどちらに異常があるかによって、体循環系と肺循環系のどちらにうっ血が出現するかが変わり、これによって症状も変化する。このことから、右心不全と左心不全の区別は重要であるが、進行すると両心不全となることも多い。
また、治療内容の決定に当たっては、急性と慢性の区別も重要である。急性心不全に当てはまるのは例えば心筋梗塞に伴う心不全であり、慢性心不全に当てはまるのは例えば心筋症や弁膜症に伴う心不全である。 念のため付け加えると、急性心不全が終末期状態としての心不全を指しているわけではない(急性心不全は治療により完全に回復する可能性がある)。 最近では、心臓の収縮機能は正常であるが拡張期機能が低下した心不全(HF-PEF:ヘフペフ)が、高齢女性に多いことがわかって来ており病態や治療方法の確立が急がれている。
病態[編集]
左心不全と右心不全[編集]
症状を来たす原因が、主に左心室の機能不全によるものなのか、右心室の機能不全によるものなのかによって、心不全を大きく2つに分類する方法である。厳密に区別することができない場合も多いが、病態把握や治療方針決定に有用であるため、頻繁に使用される概念であるので後述する。
- 収縮不全と拡張不全
- 心不全の30%から50%は左心室の十分な拡張を認めず、拡張不全が占めると考えられている。拡張不全は収縮不全に比べ女性、高齢者に多いが、まだ診断基準は定まってはいない。拡張不全には高血圧や虚血性心疾患の合併が多い。
|
左心不全 |
右心不全 |
うっ血による所見 |
左房圧上昇による肺うっ血 |
中心静脈圧上昇による静脈うっ血 |
• 急性肺水腫(労作時呼吸困難や起座呼吸、湿性ラ音など)
• 左房圧上昇
• 心係数低下 |
• 下腿浮腫
• 静脈怒張
• 肝腫大 |
心拍出量低下
による所見 |
• 血圧低下
• 全身倦怠感
• 尿量減少
• 尿中Na排泄量減少 |
• 肺血流量低下による心拍出量低下 |
その他の所見 |
• 心濁音界の拡大
• III音、IV音(奔馬律) |
- |
左心不全[編集]
左心不全(さしんふぜん、left heart failure)は、左心系の機能不全にともなう一連の病態のことである。左心系は体循環を担当することから諸臓器の血流低下が発生するほか、心拍出量低下による血圧低下、左房圧上昇による肺うっ血が生じる。肺うっ血は、肺が左心系の上流に位置することから出現するものである。
- 頻脈、チアノーゼ、尿量低下、血圧低下、手足の冷感、意識レベルの低下
- 肺高血圧、胸水、労作時呼吸困難、発作性夜間呼吸困難、咳嗽、チェーンストークス呼吸、湿性ラ音
胸部X線画像においては、
- 心陰影の拡大
- 肺うっ血
- Kerley's B line
が見られる。
左心不全は、さらに肺血流の停滞を経由し、右心系へも負荷を与えるため、左心不全を放置したとき、右心不全を合併するリスクが高くなる。特に心不全における呼吸困難は、横になっているよりも座っているときの方が楽である、という特徴を持つ(これを起座呼吸(きざこきゅう、orthopnea)という)。
右心不全[編集]
右心不全(うしんふぜん、right heart failure)は、右心系の機能不全にともなう一連の病態のことであり、静脈系のうっ血が主体となる。この場合、液体が過剰に貯留するのは体全体、特に下肢であり、心不全徴候としての下腿浮腫は有名である。その他、腹水、肝腫大、静脈怒張など、循環の不良を反映した症状をきたす。
右心不全の多くは、左心不全に続発して生じるかたちとなる。左心不全で肺うっ血が進行し、肺高血圧をきたすまでに至ると、右室に圧負荷がかかり、右心不全を起こす。
右心不全のみを起こすのは、肺性心、肺梗塞など、ごく限られた疾患のみである。
急性・慢性心不全[編集]
急性・慢性心不全の区別は、主として、治療内容の決定に使用される。
急性心不全[編集]
急性心不全においては、心機能の低下が代償可能な範囲を上回り、急激な低下を示すことから、血行動態の異常は高度となる。なお、左心不全が多い。
症状としては、呼吸困難、ショック症状といった急性症状が出現する。
治療方針としては、血行動態の正常化を図る(心臓負荷を軽減し、心拍出量を増加させる)ことが優先され、迅速な処置が求められる。
慢性心不全[編集]
長期にわたって進行性に悪化するため、代償された状態が長期間持続したのちに破綻する。これによって、収縮能および拡張能は低下し、また、代償機構の破綻によって、増大した体液が貯留することとなる。
この結果、倦怠感と呼吸困難の持続が出現し、運動耐容能が低下する。
治療は、心機能の改善やQOLの向上と生命予後の改善を目的として、自覚症状の軽減を主眼とするものとなる。
診断[編集]
前述のような臨床症状から疑われ、心エコー検査によって診断される。エコーによって、心不全の原因疾患の検索がなされ、心臓の動きは十分か、拍出量がどの程度かなどを定量的に把握することができる。胸部X線写真や心電図、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)などの血液生化学検査が参考になることもあるが、通常はエコーが最も多くの情報をもたらす。観血的には肺動脈カテーテルを挿入し心拍出量や肺動脈楔入圧(PCWP)、中心静脈圧(CVP)の測定を行う。
心不全の病期分類[編集]
心不全の病期分類には臨床症状から分けた分類, カテーテルによる計測値から分けた分類などさまざまな分類がある NYHA分類(ニハ分類、またはナイハ分類と発音される)は、ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association: NYHA)が定めた心不全の症状の程度の分類であり、以下のように心不全の重症度を4種類に分類するものであるが、簡便でありよく使用される。
- NYHA I度
- 心疾患があるが症状はなく、通常の日常生活は制限されないもの。
- NYHA II度
- 心疾患患者で日常生活が軽度から中等度に制限されるもの。安静時には無症状だが、普通の行動で疲労・動悸・呼吸困難・狭心痛を生じる。
- NYHA III度
- 心疾患患者で日常生活が高度に制限されるもの。安静時は無症状だが、平地の歩行や日常生活以下の労作によっても症状が生じる。
- NYHA IV度
- 心疾患患者で非常に軽度の活動でも何らかの症状を生ずる。安静時においても心不全・狭心症症状を生ずることもある。
killip分類は急性心筋梗塞での心機能障害の重症度を分類したものである.純粋な心不全の分類とは異なるかもしれない
- killip分類
- killip Ⅰ
- ポンプ失調(ー) 心不全なし
- killip Ⅱ
- 背面1/2で湿性ラ音 軽症心不全(ラ音,Ⅲ音,頸静脈怒張)
- killip Ⅲ
- 全肺野で湿性ラ音 肺水腫
- killip Ⅳ
- 心原性ショック 心原性ショック
Forrester分類はカテーテルによる計測値を使った分類である 治療法との相関で実際の現場ではよく使われる分類法であるが,カテーテルを挿入しないと計測できないといった不便さがある
- Forrester Ⅰ
- C.I.>2.2 PAWP<18
- Forrester Ⅱ
- C.I.>2.2 PAWP>18
- Forrester Ⅲ
- C.I.<2.2 PAWP<18
- Forrester Ⅰ
- C.I.<2.2 PAWP>18
Forrester分類
心拍出
係数 |
2.2以上 |
Ⅰ |
Ⅱ |
2.2以下 |
Ⅲ |
Ⅳ |
|
肺動脈契入圧 |
18以下 |
18以上 |
Nohria分類はNohriaらが提唱した, Forrester分類のカテーテルを挿入しないと計測できないといった不便さを改善した分類である
- Nohria A
- = dry&warm 低灌流所見なし 鬱血所見なし
- Nohria B
- = wet&warm 低灌流所見なし 鬱血所見あり
- Nohria L
- = dry&cold 低灌流所見あり 鬱血所見なし
- Nohria C
- = wet&cold 低灌流所見あり 鬱血所見あり
ノーリア分類
|
うっ血所見 |
なし |
あり |
組織灌流
の低下 |
なし |
A
warm-dry |
B
warm-wet |
あり |
L
cold-dry |
C
cold-wet |
なおここで言う低灌流所見(=cold)は末梢まで血液が行きわたっていない状態,四肢が冷たいといった所見である 鬱血所見(=wet)は肺鬱血の所見,つまり夜間呼吸困難,起座呼吸,kerley B line(+)といった所見である
治療[編集]
現代医学による治療[編集]
原則として、静脈うっ滞を改善するには利尿薬が、心臓の拍出量改善のためには強心薬が使われる。 その他血管拡張薬を併用することもある。遺伝子組み換えヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(hANP)も用いられる。ただし、心不全は様々な原因によって起こるので、原疾患によって治療法も大きく異なる。
心不全の予後を改善する目的として、交感神経β受容体遮断薬やアンジオテンシン変換酵素、また利尿薬の一つであるスピロノラクトンなどの抗アルドステロン薬の併用による治療が推奨されている[1]。
急性期[編集]
急性期治療においては、CS(Clinical Scenario)分類を用いることが提唱されている。これは収縮期血圧(sBP)をベースにしたもので、急性心不全発症時のsBPが高いほど心予備能が高い、すなわち予後良好である、という知見に基づいている。CS分類においては、まず来院直後のsBPをもとに下記の3分類、また明らかに治療戦略の異なるものを独立させて、合計5分類を行なう。
- CS1
- 血圧が高いタイプで、sBPは140mmHgより上である。急激な呼吸困難、肺水腫(flash)が主病態となり、胸部X線写真上、心臓は拡大していないことも多い。高血圧によるものが多く、ある日突然に息苦しくなる。
- 治療としては、まず血管拡張薬の投与が行なわれる。
- CS2
- 血圧が大きく変化しないタイプで、sBPは100〜140mmHgである。症状は比較的緩徐に悪化し、末梢浮腫が主病態となる。胸部X線写真上、心拡大が認められる場合が多い。
- 治療としては、まずhANPや利尿薬の投与が行なわれる。
- CS3
- 血圧が低下するタイプで、sBPは100mmHg未満となる。症状は急激な場合と緩徐に悪化する場合があり、低灌流が主病態となる。重度の慢性心不全、低心拍出量が基礎にある。
- 治療としては、まず強心剤投与と輸液が行なわれる。
- CS4
- 急性冠症候群(ACS)によるものである。治療はACSのそれに準じる。
- CS5
- 右心不全を来たしているものである。sBPが90以上で慢性全身体液貯留があれば利尿薬が考慮され、sBPが90未満では強心薬が投与される。sBPの改善が認められなければ血管収縮薬が考慮される。
入院期[編集]
入院期の治療においては、フォレスター分類(Forrester分類)が用いられてきた。これは、心臓の拍出量を表す心係数(2.2 L/min/m2を境界とする)と、静脈のうっ滞の程度を表す肺動脈楔入圧(18 mmHgを境界とする)とから、心不全の状態を4つに分類し、それぞれに適切な治療法を提案するものであった。しかし、肺動脈楔入圧の測定はかなり侵襲度が大きいこともあり、身体診察のみで分類できるノーリア分類(Nohria分類)の活用が提唱されている。
東洋医学による治療[編集]
循環器の専門医が少なかった1960年代までは、心臓病は鍼灸の適応症の一つであった。たんに症状を緩和するだけでなく、弁膜症や狭心症などの治験例もかなりある[2]。現在はうっ血性心不全などの治療でも、針灸を利用する人はほとんどいないが、医療分野で進んでいるのは外科だけで、内科ではまだ治療法が確立されていないばかりか、不快な息切れなどを和らげる薬もあまりなく、針灸による治療をもっと活用すべきである。
くすりでは、高貴生薬のみで作られた強心剤の救心や、それに類似した薬品がいくつか発売されており、動悸や息切れの緩和に利用されている。
予後[編集]
原疾患によって異なる。一般的には、心不全に対して適切な治療がなされていれば、長期生存も可能である。
- 心臓弁膜症…重症であれば手術など。
- 不整脈…薬物治療やカテーテルアブレーションなどが行われる。
- 脚気…ビタミンB1の投与で劇的に改善する。
その他[編集]
死因としては「心不全=心臓が止まった」としての意味でしかないため、死亡診断書の死因としては認められない。(病理学上の正式な死因が記載される)。
突然死に至ることもある病態であるため、芸能人、実業家、政治家などが自殺や薬物過剰摂取などで急死した場合などにおいて、遺族や関係者の意向、あるいは商業的・政治的な事情などからこの事実をあえて伏せたい場合に、死因を急性心不全として公表する例もある。なお、これと同様のことは急性心筋梗塞、脳出血などにもいえる。[要出典] 実際、著名人の死について、死亡当初は急性心不全として公表されながらも、実際には自殺や薬物の過剰摂取事故であったという事実が、死後一定の期間経った後に遺族や関係者などによって明らかにされた例は存在する[3] [4]。 また、急死時において最後まで死因を特定しにくい時に、検死報告書などに便宜上「急性心不全」と記載されることが時折見られ[5][6]、過去には時津風部屋力士暴行死事件の際にこれが大きな問題となったことがある。
脚注[編集]
- ^ 慢性心不全治療ガイドライン
- ^ 代田文誌:針灸治療の実際。1967年、創元社、81ページ以降の循環器疾患の章
- ^ 作家の鷺沢萠は、朝日新聞の訃報などで心不全とされていたが[1]、後に自殺と判明した[2]。
- ^ 都はるみが所属する芸能事務所代表の中村一好は当初、急性心不全と報じられていたが[3]、数日後に都はるみがマスコミ各社にFAXを送り、自殺だったことを明かした[4]。
- ^ 神戸大学の溝井泰彦教授の調査チームで、監察医制度がない地域に心不全が突出しており、原因不明の場合ほとんどが急性心不全で処理されている疑いが強いことが示された。(朝日新聞 1990年12月4日)
- ^ 厚生労働省の人口動態統計では、死因別死亡率で1993年から1995年にかけて心疾患に不自然な急減があり、報道発表資料には「死亡診断書の改正の影響によるものと考えられる」との注記がなされている[5]。この時期の死亡診断書の様式変更で、終末期状態としての心不全や呼吸不全を直接死因として記入しないよう説明書きに明示された。
参考文献[編集]
- 松崎益徳ほか. “慢性心不全治療ガイドライン 2010年改訂版 (PDF)”. 2011年2月20日閲覧。
- 杉本恒明, 矢崎義雄 『内科学 I(第9版)』 朝倉書店、2007年、405-412頁。ISBN 978-4254322316。
心血管疾患 |
|
疾患 |
|
心疾患
|
不整脈
|
徐脈性
|
洞不全症候群 | 房室ブロック | 脚ブロック(右脚ブロック · 完全右脚ブロック · 左脚ブロック)
|
|
頻脈性
|
上室性
|
洞性頻脈 | 心房細動 | 心房粗動 | ブルガダ症候群 | QT延長症候群 | WPW症候群
|
|
心室性
|
心室細動 | 心室頻拍
|
|
|
|
虚血性心疾患
|
狭心症 | 急性冠症候群 | 心筋梗塞 | 冠動脈血栓症
|
|
弁膜性心疾患
|
僧帽弁狭窄症 | 僧帽弁閉鎖不全症 | 三尖弁狭窄症 | 三尖弁閉鎖不全症 | 大動脈弁狭窄症 | 大動脈弁閉鎖不全症
|
|
先天性心疾患
|
心房中隔欠損 | 心室中隔欠損 | 心内膜床欠損症 | 動脈管開存症 | ファロー四徴症(極型ファロー四徴症) | 大血管転位(左旋性 · 右旋性) | 総肺静脈還流異常症 | 大動脈縮窄 | 左心低形成症候群 | 両大血管右室起始症 | 三尖弁閉鎖
|
|
心内膜・心筋
・心膜疾患
|
心内膜疾患
|
感染性心内膜炎
|
|
心膜疾患
|
心膜炎(急性心膜炎 · 慢性収縮性心膜炎) | 心タンポナーデ
|
|
心筋疾患
|
心筋症(特発性拡張型心筋症 · 肥大型心筋症 · 拘束型心筋症 · 特発性心筋症) | 心筋炎
|
|
|
心臓腫瘍 | 心臓神経症 | 心臓性喘息 | 肺性心
|
|
|
血管疾患
|
動脈
|
動脈硬化 | 大動脈瘤 | 大動脈解離 | 大動脈炎症候群 | 動静脈瘻 | 閉塞性動脈硬化症 | 閉塞性血栓性血管炎 | レイノー病
|
|
静脈
|
静脈瘤 | 血栓性静脈炎 | 静脈血栓塞栓症 | 脂肪塞栓症
|
|
|
|
|
病態・症候 |
|
心不全
|
左心不全 | 右心不全
|
|
血圧異常
|
高血圧
|
本態性高血圧症 | 二次性高血圧 | 悪性高血圧症
|
|
低血圧
|
|
|
心臓発作 | 心臓肥大 | 心停止 | 心肺停止
|
|
|
|
所見・検査 |
|
血圧計 | 聴診 | 心雑音 | 心電図 | 心電図モニタ | 心臓超音波検査 | 胸部X線写真 | 胸部X線CT | 心臓カテーテル検査(肺動脈カテーテル) | 心臓核医学検査
|
|
|
治療 |
|
外科的治療
|
冠動脈大動脈バイパス移植術 | 経皮的冠動脈形成術 | 植え込み型除細動器 | バチスタ手術 | 人工心臓 | 心臓ペースメーカー
|
|
内科的治療
|
心臓作動薬
|
抗不整脈薬
|
Ia群: プロカインアミド, キニジン
Ib群: リドカイン, フェニトイン
Ic群: フレカイニド, プロパフェノン
II群: 交感神経β受容体遮断薬(プロプラノロールなど)
III群: アミオダロン, ソタロール
IV群: カルシウム拮抗剤(ベラパミル, ジルチアゼムなど)
|
|
心不全治療薬
|
利尿薬 | 血管拡張薬 | 強心配糖体 | 強心剤
|
|
狭心症治療薬
|
交感神経β受容体遮断薬 | 硝酸薬
|
|
|
血管作動薬
|
高血圧治療薬
|
利尿薬 | 交感神経β受容体遮断薬 | レニン-アンジオテンシン系 (ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、レニン阻害薬) | カルシウム拮抗剤 | アドレナリン作動薬 | 脂質降下薬
|
|
|
|
|
|
循環器系の正常構造・生理 |
|
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 心疾患におけるMIBG 心筋シンチグラフィの有用性と定量解析における注意点
- 山科 昌平
- 核医学画像診断 26(1), 49-57, 2011-11-26
- … 123I-MIBG(3-iodobenzylguanidine)は心臓交感神経機能を客観的に評価できる検査法で,心不全症例の重症度評価,予後予測,治療効果の評価などに多くの有用な情報を提供する。 …
- NAID 120003628214
- 第6回東京女子医科大学メンタルヘルス研究会(平成23年6月23日)
- 東京女子医科大学雑誌 81(5), 381-382, 2011-10-25
- … ,2008年12月初回心不全発症。 … 3環系抗うつ薬のみ中止し、ソラナックス内服で経過観察となり、心不全も安定したため退院となった。 …
- NAID 110008672492
- 上山 敬司
- 心身医学 51(10), 879-884, 2011-10-01
- … 情動ストレスは,急性心不全(たこつぼ心筋症)を誘発する.カテコールアミンによる心毒性や冠動脈微少循環障害などが想定されているが,これらは細胞レベルでは酸化ストレスを起こすと考えられる.不動化ストレス負荷による,たこつぼ心筋症動物モデルにおいて,酸化ストレス関連因子である誘導型ヘムオキシゲナーゼ1(HO-1),誘導型サイクロオキシゲナーゼ(COX-2)の発現と局在を検討した.HO-1m RNAはストレス負荷3時間後に心 …
- NAID 110008722819
- 急性心不全のすべての症例にNPPVは適応か?(5.急性心不全の病態をふまえた治療の最前線,<特集>第75回日本循環器学会学術集会)
- 弓野 大,佐藤 直樹,梶本 克也,南 雄一郎,水野 雅之,浅井 邦也,村井 網児,宗像 亮,青景 聡之,坂田 泰史,慶田 毅彦,田中 啓治,水野 杏一,萩原 誠久,笠貫 宏,高野 照夫,ATTEND Investigators
- 循環器専門医 : 日本循環器学会専門医誌 19(2), 261-265, 2011-09-25
- NAID 110008750713
Related Links
- 心不全(しんふぜん、heart failure)は、心臓の血液拍出が不十分であり、全身が必要と するだけの循環量を保てない病態を指す。そのような病態となるに至った原因は問わず 、端的に述べると「心臓の収縮力が低下」した状態である。
- 2012年1月20日 ... [7]心不全. -その症状と治し方-. 国立循環器病研究センター 心臓血管内科 元副 院長 宮武 邦夫 元医長 安村 良男. 心不全とは、心臓の能力低下で起こる体の不健全な 状態をいう 坂道で息切れしたり、セキをしたりする. イラスト:心不全の ...
- 家庭医学館 心不全の用語解説 - ◎心不全とはどんな病気か◎症状は3つに分けられる ◎心不全の原因と誘因◎心不全の検査と診断◎一般的な治療と原因別の治療◎予防 法には2通りある◎心不全(しんふぜん)とはどんな病気か 私たちのからだが活動を ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 次の文を読み、 56~ 58の問いに答えよ。
- 60歳の男性。オートバイで転倒したため搬入された。
- 現病歴: 2時間前、オートバイで走行中に転倒し大腿部を挟まれた。
- 既往歴:特記すべきことはない。
- 現症:意識レベルは JCSI-3。身長 160 cm、体重 60 kg。体温 35.5℃。脈拍 120/分、整。血圧 80/50 mmHg。呼吸数 24/分。 SpO2 98% (リザーバー付マスク 10 l/分酸素投与下 )。表情は苦悶様で左大腿部の痛みを訴えている。顔面は蒼白で、皮膚は冷たく湿潤している。心音と呼吸音とに異常を認めない。左大腿部に挫滅創と活動性外出血とを認め、骨が露出している。濃い尿を少量認める。
- 検査所見:尿所見:比重 1.030、蛋白 (-)、糖 (-)。血液所見:赤血球 250万、Hb 7.0 g/dl、Ht 21%、白血球 13,000(桿状核好中球 6%、分葉核好中球 70%、単球 4%、リンパ球 20% )、血小板 4.5万、 PT 20秒 (基準 10~14)、 APTT 50秒 (基準対照 32.2)。血液生化学所見:総蛋白 5.0 g/dl、アルブミン 3.0 g/dl、尿素窒素20 mg/dl、クレアチニン 0.9 mg/dl、血糖 120 mg/dl、Na 145 mEq/l、K 5.0 mEq/l、Cl 109 mEq/l。下肢エックス線写真で左大腿骨骨折と左脛骨骨折とを認める。胸部エックス線写真と全身 CTで下肢を除いて異常を認めない。左大腿骨開放骨折に対し、赤血球濃厚液、新鮮凍結血漿および濃厚血小板を準備し、止血、デブリドマン及び骨整復固定術が予定された。急速輸液を行った。
- 術後 2日目、呼吸困難を訴えた。意識レベルは JCSII-10。体温 38.0℃。脈拍 120/分、整。血圧 120/80 mmHg。呼吸数 30/分。 SpO2 85% ( room air)。眼瞼結膜と体幹皮膚に点状出血を認める。両側の胸部で coarse cracklesと wheezesとを聴取する。心エコー検査で壁運動異常はなく、下大静脈の拡張もない。胸部エックス線写真 (別冊 No. 7)を別に示す。
- 病態として考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108B057]←[国試_108]→[108B059]
[★]
- 次の文を読み、22~24の問いに答えよ。
- 78歳の女性。発熱のため、家族が電話で訪問診療を受けているかかりつけ医に連絡をしてきた。
- 現病歴 : 3年前に脳梗塞を起こし左片麻痺となった。1年前から痴呆症状が目だつようになり、膀胱カテーテルを留置している。週2回の訪問看護と、月1回の医師による訪問診察を受けている。家族によると、2日前から食事量が少なくなった。左片麻痺の進行や新たな麻痺症状の出現はないが、一日中横になっており仙骨部の皮膚が赤くなってきた。今朝の体温は37.8℃で咳や痰はなく呼吸も荒くない。尿量が減っているとのことである。
- 既往歴 : 54歳で子宮頚癌のため広汎性子宮全摘術と放射線治療とを受けた。60歳ころから高血圧症の治療を受げている。
- 家族構成 : 息子夫婦、孫1人が同居している。本人は在宅での生活を強く希望しており、息子も入院させたくないと考えている。主な介護者は息子の妻であり、やや疲労気味である。
[正答]
※国試ナビ4※ [096C022]←[国試_096]→[096C024]
[★]
- 86歳の男性。なんとなく元気がないと家族から往診の依頼があった。数日前から食欲が低下し、いつもより元気がないと同居の妻から説明を受けた。本人は何ともないと言う。ほぼベッド上の生活で食事摂取は自立しているが、それ以外のADLには介助を必要としている。5年前から脳梗塞後遺症(左片麻痺)、混合型認知症、高血圧症、前立腺肥大症および胆石症で訪問診療を受けている。意識レベルはJCS I-2。体温 36.5℃。脈拍 112/分、整。血圧 110/80mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 96%(room air)。眼瞼結膜は貧血様でない。眼球結膜に黄染を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部では腸雑音がやや亢進し、右季肋部の触診を行うと右手で払いのけようとする。下腿に浮腫を認めない。
- 正しい判断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109E047]←[国試_109]→[109E049]
[★]
- 17歳の女子。頭痛を主訴に母親に伴われて来院した。
- 現病歴: 2日前から頭痛と発熱とがみられていた。頭痛は後頸部が突っ張るような感じで、次第に増強してきたという。咽頭痛や咳はない。悪心や腹痛はなく、排尿時痛もない。
- 既往歴: 14歳時に虫垂炎で手術を受けた。薬物アレルギーはない。
- 家族歴:父親が高血圧症で内服加療中。
- 現 症:意識は清明。身長161cm、体重48kg。体温38.0℃。脈拍76/分、整。血圧116/70mmHg。呼吸数22/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。項部硬直とjolt accentuationとを認める。
- 患者と母親は腰椎穿刺(髄液検査)に同意し、局所麻酔下での穿刺を希望した。リドカインによる局所麻酔を開始したところ、患者は悪心と呼吸困難とを訴えた。脈拍124/分、整。血圧76/48mmHg。呼吸数28/分。胸部全体にwheezesを聴取する。心音に異常を認めない。
[正答]
※国試ナビ4※ [106G059]←[国試_106]→[106G061]
[★]
- 61歳の男性。自営業。旅客機内で耐え難い全身倦怠感を訴えた。2週間の仕事を終えて東アジアのある国から帰国するところである。たまたま同乗していた医師が機内アナウンスに呼応した。男性が現地の医療機関を昨日受診した際に渡された紹介状の一部を示す。
- The patient is a 61-year-old man with a complaint of general malaise. Distended abdomen has been developed in these two days. He has a long history of drinking. However, he has never been treated on alcoholic problems.On physical examination, his consciousness was clear. He had no fever. Icterus on his conjunctiva, several vascular spiders in his anterior chest and bilateral pretibial edema were observed. Moderate amount of ascites was detected by ultrasonography.
- Therefore, I strongly recommended him to consult a physician in his home country as soon as possible.
- 機内での現症:体温 36.5℃。脈拍 88/分、整。呼吸数 12/分。腹部に圧痛を認めない。
- この情報から最も疑うべき疾患はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110C019]←[国試_110]→[110C021]
[★]
- 62歳の女性。数日前からの息切れと全身倦怠感とを主訴に来院した。心不全の治療のために専門外来に通っていたが、症状が安定したので3か月前に自宅近くの診療所を紹介された。同診療所を受診した際、新たに脂質異常症、変形性膝関節症および不眠症と診断され、それぞれに対し3週前から薬物療法が開始されたという。意識は清明。体温36.2℃。脈拍96/分、整。血圧122/88mmHg。呼吸数16/分。眼瞼結膜に貧血を認めない。眼球結膜に黄染を認めない。頸静脈の怒張を認める。心尖部でIII音を聴取する。両側の胸部にcoarse cracklesを聴取する。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝を2cm触知する。脾を触知しない。両側の下腿に圧痕性浮腫を認める。
- この病態の原因になった内服薬として最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106G049]←[国試_106]→[106G051]
[★]
- 52歳の男性。労作時の息切れを主訴に来院した。1か月前に歯科治療を受け、数日後に全身倦怠感と発熱とが出現した。その後、労作時の息切れが出現し、徐々に増悪したため来院した。既往歴に特記すべきことはない。意識は清明。体温38.5℃。脈拍104/分、整。血圧140/82mmHg。心尖部で3/6度の全収縮期雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。神経学的に異常を認めない。血液培養検査にてグラム陽性球菌が検出された。抗菌薬の静注を開始したが、炎症所見の改善はみられなかった。心エコー図(別冊No.14)を別に示す。
- この病態で出現すると考えにくいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105D039]←[国試_105]→[105D041]
[★]
- 2か月の乳児。喘鳴を主訴に母親に連れられて来院した。在胎 39週3日、体重 2,750gで出生した。出生直後から啼泣時に軽度の喘鳴を認めていたが、その後、安静時にも喘鳴を認めるようになった。2日前から哺乳時に喘鳴が増強し哺乳量が低下したという。体重 4,560g。体温 36.6℃。心拍数 110/分、整。呼吸数 36/分。SpO2 98%(room air)。胸骨上窩に陥没呼吸を認め、吸気時に喘鳴を認める。RSウイルス抗原迅速検査は陰性であった。胸部エックス線写真で異常を認めない。
- 可能性が高い疾患はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114F045]←[国試_114]→[114F047]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [108F008]←[国試_108]→[108F010]
[★]
- 65歳の男性。2週前から徐々に全身倦怠感と四肢脱力とが出現し、起立が困難になったので来院した。1か月前から心不全による両下肢の浮腫に対してループ利尿薬が処方され、毎日服用していた。意識は清明で、四肢近位筋優位の筋力低下を認めるが、感覚と深部腱反射とは正常である。甲状腺機能検査に異常を認めない。
- 異常が予測されるのはどれか。
- (1) 血清電解質
- (2) 血清クレアチンキナーゼ
- (3) 脳脊髄液
- (4) 頭部造影CT
- (5) 頚部単純MRI
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [099F019]←[国試_099]→[099F021]
[★]
- 50歳の男性。呼吸困難を主訴に来院した。1か月前から咳嗽と労作時呼吸困難とが出現し、徐々に増悪した。3日前から顔面と上肢とに浮腫が出現した。胸部右側で呼吸音の減弱を認める。胸部エックス線写真を以下に示す。経気管支擦過細胞診はクラスIVである。
- 考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102A052]←[国試_102]→[102A054]
[★]
- 76歳の男性。58歳時に心不全症状のため心房中隔欠損孔閉鎖術を受けた。現在の心電図(別冊No. 18)を別に示す。
- 認められる所見はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111I064]←[国試_111]→[111I066]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [098G103]←[国試_098]→[098G105]
[★]
- 急性腎不全に伴う症候と原因の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [101B080]←[国試_101]→[101B082]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [096B028]←[国試_096]→[096B030]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [098H026]←[国試_098]→[098H028]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [114A008]←[国試_114]→[114A010]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [113A012]←[国試_113]→[113A014]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [109D006]←[国試_109]→[109D008]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [103G023]←[国試_103]→[103G025]
[★]
- ■症例
- 72歳 女性
- 現病歴:胸部の感染症にドキシサイクリンをGPに処方された。関節リウマチに長期間罹患しており、9年間、1日7mgのプレドニゾロンを服用している。関節痛のため時々パラセタモールを服用。GPが測定した血圧は138/82mmHgであった。抗菌薬を服用し始める2日前からはじまって5日間熱っぽく、食欲不振であり、ベットから動けないでいる。水は十分に飲ませている。5日目に傾眠傾向となり、起こすことが困難になったため、救急車で救急部に連れてきた。
- 主訴:傾眠
- 生活歴:単身。退職した娘が世話をするために引っ越してきている。
- 家族歴:なし。
- 身体所見 examination
- 小柄である(50kgと評価された)が、最近になって体重が減少したということはない。体温38.8℃。眠たそうであり、命令には応じる。簡単な質問にしか答えない。全身性に筋緊張低下。局所神経症状無し。脈拍:118/min。血圧:104/68mmHg。頚静脈圧上昇せず。足首に腫脹無し。肺底部にcrackles(ラ音)とwheezes(笛音)を認める。関節にわずかに活動性の炎症と変形が認められる。これは関節リウマチの既往と合う所見である。
- 検査 investigation
- ヘモグロビン:軽度低下。MCV:正常。白血球増多。ナトリウム低下。カリウム正常。尿素上昇。クレアチニン上昇。
- 問題0. □と○に入る言葉を述べよ
- 1) 傾眠とは□□障害に含まれる
- 2) 傾眠とは、刺激を与えなければ□□が低下するが、刺激を与えれば○○する状態である。
- 問題1. 患者に関連する以下の事項のうち何が傾眠と関係あるのだろうか?2つ選べ。
- 1) ドキシサイクリンの副作用
- 2) 関節リウマチの重症化
- 3) プレドニゾロンの服用歴
- 4) パラセタモールの服用歴
- 5) 胸部感染症
- 問題2. 異常な検査所見をどう説明しますか?口頭で述べてください。ぶっちゃけ、やや低血圧であることと、ナトリウム低値が着目点です。腎機能低下は二次的なものです。
- ■意識障害
- 意識障害 (PSY.38)
- 単純な意識障害
- 明識困難状態 < 昏蒙 < 傾眠 < 昏眠 < 昏睡
- ■傾眠
- 昏睡状態の分類の一つ
- ・somnolence
- 放置すれば意識が低下し、眠ったようになるが、刺激で覚醒する。病的な場合にのみ用いられる。(BET.130)
- sleepiness; also, unnatural drowsiness. A depressive mental state commonly caused by encephalitis, encephalomalacia, hepatic encephalopathy, hypoxia and some poisonings, e.g. Filix mas, the male fern.
- (Saunders Comprehensive Veterinary Dictionary, 3 ed. c 2007 Elsevier, Inc. All rights reserved)
- ・drowsiness
- 正常、病的の区別無く眠り込む状態(BET.130)
- a decreased level of consciousness characterized by sleepiness and difficulty in remaining alert but easy arousal by stimuli. It may be caused by a lack of sleep, medications, substance abuse, or a cerebral disorder.
- (Mosby's Medical Dictionary, 8th edition. c 2009, Elsevier.)
- ■意識障害を呈する患者に対してどのような疾患を鑑別に挙げるべきか?
- 1. 脳原発の疾患(一次性)
- a. テント上病変(脳幹の圧迫性病変ないし脳ヘルニアをきたす疾患)
- 1) 脳血管障害:脳出血、脳梗塞
- 2) 硬膜下血腫
- 3) 脳腫瘍:原発性、転移性
- 4) 脳膿瘍
- b. テント下病変(脳幹網様体の障害)
- 1) 脳幹出血、脳幹梗塞、小脳出血、小脳梗塞、脳腫痛、多発性硬化症など
- c. びまん性病変
- 1) くも膜下出血、中枢神経感染症:髄膜炎、脳炎、 播種性血管内凝固症候群など
- 2. 全身疾患に伴う病態(二次性)
- a. 代謝性またはびまん性病変
- 1) ショック:心筋梗塞、大出血など
- 2) 薬物、毒物
- 3) 無酸素ないし低酸素血症
- 4) DIC、全身性感染症:敗血症など
- 5) 肝不全、腎不全、糖尿病性高血糖、重症肝炎、内分泌疾患など
- 6) 低血糖、ビタミンB1欠乏: Wernicke脳症
- 7) 脳振盪、てんかん大発作後
- 8) 酸塩基平衡および電解質異常
- 9) 栄養障害
- 10) 低体温症
- b. 心因性無反応
- 1) ヒステリー、統合失調症
- ■低ナトリウム血症
- 血清ナトリウムが134mEq/L以下の病態。(正常の下限は135mEq/Lとされる)
- ・病因 ICU.525
- 循環血減少性低ナトリウム血症
- 利尿・副腎不全 :尿中Na > 20mEq
- 嘔吐・下痢 :尿中Na < 20mEq
- 等容量性低ナトリウム血症:細胞外液は増加していないが、水の方が多くなった状態。臨床的に浮腫が無い。
- SIADH :尿浸透圧 > 100 mOsm/L
- 心因性多飲症 :尿浸透圧 < 100 mOsm/L
- 循環血増加性低ナトリウム血症:細胞外液にナトリウムと水が増加しており、なおかつ水の方が多い病態
- 腎不全 :尿中Na > 20mEq
- 心不全・肝不全 :尿中Na < 20mEq
- ・症状
- 全身 :無力感、全身倦怠感
- 消化器:食欲不振、悪心・嘔吐
- 神経 :意識障害(傾眠、昏睡)
- 筋 :痙攣、腱反射低下、筋力低下
- ■アルドステロン
- 1. 腎の接合尿細管と集合管、唾液腺、乳腺、汗腺等に働いてNa+の再吸収を促進し、K+の排出(分泌)を促進する (SP.791,792 によれば、腎接合尿細管を含む)
- 2. 腎集合管でH+の排出(分泌)を促進する。
- Na+/K+-ATPase活性↑@遠位尿細管・皮質集合管 → 管腔側K↑ → K再吸収/H+分泌 (QB CBT vol2 p.360)
- ■副腎皮質球状層から分泌されるアルドステロンの分泌制御
- 1. レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系
- 2. 血清カリウム濃度上昇
- 3. ACTH(寄与は小さい)
- ■低アルドステロン症の症状と臨床検査
- 症状
- 脱水、低血圧、代謝性アシドーシス
- 検査
- 低ナトリウム血症、高カリウム血症
- 尿中ナトリウム高値、尿中カリウム低値
- 血中HCO3-低下
- ■起こっていることは何か?
- ステロイドの突然の中断による急性の副腎不全。特に低アルドステロン症が前面に出た病態。
- 副腎不全の原因(病期による分類)(BPT.793)
- 急性:ウォーターハウス・フリーデリクセン症候群、長期コルチコイド療法の突然の中断、慢性副腎不全患者へのストレス
- 慢性:(major)自己免疫性副腎炎、結核、後天性免疫不全症候群、転移性疾患(metastatic disease)
- (minor)全身性アミロイドーシス、真菌感染、ヘモクロマトーシス、サルコイドーシス
- 症状:
- グルココルチコイドの欠乏 :易疲労感、食欲不振、悪心・嘔吐、体重減少、脱力、嗜眠、低血圧
- ミネラルコルチコイドの欠乏:低血圧、低Na血症、高K血症、味覚の変化(塩分の故意食事を好むようになる)
- ■答え
- (第一パラグラフ)診断とその根拠
- ・二次性急性低アルドステロン症 secondary acute aldosteronism
- ・病因:本症例では、長期にわたるステロイドホルモンの使用により視床下部-下垂体-副腎軸の不全を来した。ステロイドホルモンを長期に使用している状態でステロイドホルモンの需要が高まったとき(感染、外傷(手術))、あるいは嘔吐などで経口ステロイドを服用できないときに起こる。
- ・症状:本症例では傾眠と低血圧として症状が現れている。
- (第二パラグラフ)
- ・本疾患の低ナトリウム血症の解釈 → (1)ナトリウム摂取の低下、(2)水分摂取による希釈
- ・視床下部-下垂体-副腎軸は障害を受けておらずナトリウムを補充する治療をすべき。
- ・一次性急性低アルドステロン症(addisonian crisis)では、鉱質コルチコイドと糖質コルチコイドの分泌不全がおこり、低ナトリウム血症と高カリウム血症を来す。
- ・二次性急性低アルドステロン症はしばしば間違ってaddisonian crisisと呼ばれる。
- (第三パラグラフ)
- ・感染の拡散も考慮すべき;一次部位が脳で髄膜炎か脳膿瘍を伴っている、あるいは局所的に肺膿瘍あるいは膿胸を起こしている。
- ・高齢とステロイドの服用ということで免疫力がある程度低下している。
- ・ステロイドの量が多いかもしれない。
- (第四パラグラフ)
- ・治療はすぐに経験的治療であるヒドロコルチゾンと生理食塩水の輸液を行う。
- ・患者は(治療に?)反応し、5時間以内に意識レベルは正常となった。そして血圧は上昇し136/78mmHgとなった。胸部X線では両側の肺に肺炎に一致する陰影が見られたが、それ以外に異常は認められなかった。
- ■KEY POINTS
- ・二次性低アルドステロン症はmedical emergency(医学的な緊急事態)である、すぐに経験的治療を行うことが求められる。
- ・長期にわたりステロイドを投与されている患者では、以下の時にステロイドを増量すべき;別の疾患を発症したとき。嘔吐を反復する場合には全身投与に切り替える。
- ■低アルドステロン症ってなによ
- http://enotes.tripod.com/hypoaldosteronism.htm
- ・時々、低アルドステロン症は副腎不全の唯一の、あるいは支配的な徴候である
- ・アルドステロンの生合成の障害 → まれ
- ・アルドステロン生合成の部分的欠損 → 21-ヒドロキシラーゼ欠損による先天性副腎皮質過形成の症状としての低アルドステロン症
- ▲特発性低アルドステロン症 idiopathic hypoaldosteronism
- 症状:高カリウム血症に続発する心ブロック、顕著な低ナトリウム血症の有無を問わず血液量不足に続発する体位性低血圧。
- 検査:血清アルドステロン低値。尿中アルドステロン低値。血清レニン高値。
- ▲低レニン低アルドステロン症
- 特発性低アルドステロン症より一般的な低アルドステロン症
- 疫学:45歳以上の慢性腎臓病。
- 病因:
- ・腎臓病患者において腎臓の間質、尿細管に障害が存在 → レニン分泌能が低下。
- ・レニン分泌が低下する原因は分からないけど傍糸球体装置における障害が常に寄与している。
- ・NSAIDによるプログラスタンジン欠乏は、可逆的な低レニン低アルドステロン症の原因である。SP.793によればレニン分泌刺激 → Na+再吸収を亢進 だそうな。
- ・ヘパリン、カルシウムチャネルブロッカー、βブロッカーも原因となる。
- 症状:
- ・腎臓の障害が原因の低レニン低アルドステロン症患者では糖尿病が一般的みられる所見である。
- ・顕著な特徴は、慢性的で著明な高カリウム血症である。これは高血糖で突然に悪化する。???
- ・高Cl性代謝性アシドーシス+正常or低ナトリウム血症が常に存在
- 増悪因子:ナトリウム制限
- 検査:高カリウム血症、体液量の減少、かつ低ナトリウム血症が存在しているにもかかわらず低レニンであることが特徴的。
[★]
- 英
- hypoglycemics
- 同
- hypoglycemic agent、antidiabetic agent、antidiabetic drug、antidiabetics、glucose-lowering agent、hypoglycemic、hypoglycemic drug、hypoglycemics
- 関
- [[]]
投稿記事
k氏より
インスリンの抽出は大変意図的に行われたのに対し、スルフォニルウレア薬(SU)は偶然に見つかりました。で、1950年代にはじめに二型糖尿病の患者に使われるようになりました。いまでは20種類くらいのSUが広く世界で使われています。
1997にはメグリチニドが臨床適用されました。食後高血糖の治療薬としてはじめて使用された薬です。
メタフォルミンというビグアナイド薬(BG)は、ヨーロッパで広く使われていましたが、1995年にアメリカでも認可されました。
チアゾリジン1997年に市場導入され、二番目にメジャーなインスリン刺激薬として使用されています。この種類の薬には、広汎な肝障害を起こしにくく、世界中で使われています。
スルフォニルウレア薬 SU薬
膵臓のβ細胞の刺激によって、インスリンを放出させ、血糖値を下げます。
治療が長引くと、インスリン分泌というSUのβ細胞刺激性の効果が薄れてきますが、β細胞上のSU受容体のダウンレギュレーションによるものです。また、SUはソマトスタチンの放出を刺激します。ソマトスタチンはグルカゴン分泌を抑制しているので、これも関係SUの糖を下げる効果と関係しています。
SUはATP感受性Kチャンネルを抑制します。Kレベルが下がると、まく表面における、脱分極を促し、電位依存性カルシウムチャンネルを通じたカルシウムイオンの流入を促進します。
SUには無視できない膵臓外作用があるという議論があります。確かにありうべきことですが、2型糖尿病の患者の治療においては、それほど重要なことではないようです。
SU薬はそれぞれが似たような作用スペクトラムを持っているので、薬物動態的な特性がここの薬を区別する手がかりです。腸管からのSU薬の吸収の割合は薬によって違いますが、食物や、高血糖は、この吸収を抑制します。高血糖はそれ自身、腸管の運動を抑制するので、ほかの薬の吸収も阻害します。血漿濃度が効果的な値にまで達する時間を考えると、半減期の短いSUは、食前三十分に投与するのが適切です。SU薬は90から99パーセントくらい血中たんぱく質と結合し、特にアルブミンと結合します。
第一世代のSUは半減期や分布において、大きく違っています。この半減期や作用時間の不一致の理由はいまだはっきりしていません。
SUはすべて肝臓で代謝を受け、尿中に排泄されます。なので、肝不全、腎不全患者には要注意で処方します。
めったにありませんが、第一世代服用患者では、4パーセントの割合でおきます。第二世代ではもっと少ないでしょう。低血糖による昏睡がしばしば問題になります。腎不全や肝不全がある高齢者の患者でおきやすいです。
重症の低血糖は脳血管障害も起こしうる。急性の神経障害が見つかった高齢患者では血中グルコースレベルを測るのが大事です。半減期の長いSUもあるので、24から48時間のグルコースを輸液します。
第一世代は多くの薬物と相互作用を持っています。
ほかに、吐き気嘔吐、胆汁うっ滞性黄疸、脱顆粒球症、再生不良性・溶血性貧血、全身性のアレルギー症状があります。
SUが心血管障害による死亡率を上げるのかについては議論の余地あり。
SUは、食事療法だけでは十分なコントロールを得られない2型糖尿病患者の血糖コントロールに用いられます。禁忌はtype 1 DM(diabetes mellitus:糖尿病)、妊婦、授乳中の患者、腎障害や肝障害の患者です。
普通の患者なら五割から八割くらい、経口の糖尿病治療薬が効きます。インスリン療法が必要になる患者もいます。
トルブタマイドの一日量は500ミリグラムで、3000ミリグラムが最大の許容量です。SUの治療成績の評価は患者の様子を頻繁に観察しながら、行います。
SUとインスリンの併用療法はtype 1, type 2 両方の糖尿病で用いられていますが、βセルの残存能力がないとうまくいきません。
レパグリニドはメグリチニドクラスの経口インスリン分泌促進物質です。化学構造上、SUとは異なっており、安息香酸から分離されたものです。
SU薬と同様にレパグリニドは膵臓βセルにおけるATP依存性Kチャンネルを閉じることによりインスリン分泌を促進します。AEもSU薬と同様、低血糖です。
Dふぇにるアラニンから分離された薬。レパグリニドよりもSEとして低血糖が認められづらいです。
メトフォルミンとフェノフォルミンは1957年に市場導入され、ブフォルミンが1958年に導入されました。ブフォルミンは使用が制限されていますが、前者二つは広く使われています。フェノフォルミンは1970年代に乳酸アシドーシスのAEによって市場から姿を消しました。メトフォルミンはそのようなAEは少なく、ヨーロッパカナダで広く使われています。アメリカでは1995年に使用可能に。メトフォルミンは単独かSUと併用して使われます。
ものの言い方によると、メトフォルミンは抗高血糖であって、血糖を下げる薬ではありません。膵臓からのインスリン放出は促さないので、どんな大容量でも低血糖は起こしません。グルカゴン・コルチゾール・成長ホルモン・ソマトスタチンにも影響なし。肝での糖新生を抑制したり、筋や脂肪におけるインスリンの働きを増すことで、血糖を押さえます。
小腸から吸収。安定な構造で、血中の蛋白と結合しないで、そのまま尿中に排泄。半減期は二時間。2.5グラムを食事と一緒に飲むのがアメリカで最もお勧めの最大用量。
メトフォルミンは腎不全の患者には投与しないこと。肝障害や、乳酸アシドーシスの既往、薬物治療中の心不全、低酸素性の慢性肺疾患なども合併症として挙げられる。乳酸アシドーシスはしかしながら、めちゃくちゃまれである。1000人年(たとえば100人いたら、10年のうちにという意味の単位。または1000人いたら1年につき、ということ。)につき0.1という割合。
メトフォルミンの急性のAEは患者の20パーセントに見られ、下痢、腹部不快感、吐き気、金属の味、食欲不振などです。メタフォルミンを飲んでいる間はビタミンB12や葉酸のきゅうしゅうが 落ちています。カルシウムをサプリで取ると、ビタミンB12の吸収が改善されます。
血中乳酸濃度が3ミリMに達するとか、腎不全・肝不全の兆候が見られたら、メタフォルミンは中止しましょう。
PPARγに効く。(ペルオキシソーム・プロライファレーター・アクチベイティッド・受容体、つまりペルオキシソーム増殖活性受容体みたいな。)PPARγに結合して、インスリン反応性をまして、炭水化物とか、脂質の代謝を調整します。
ロジグリタゾンとピオグリタゾンは一日一度。チアゾリジンは肝にて代謝され、腎不全のある患者にも投与できますが、活動性の肝疾患があるときや肝臓のトランスアミナーゼが上昇しているときは、使用しないこと。
ロジグリタゾンはCYP2C8で代謝されますがピオグリタゾンはCYP3A4とCYP2C8で代謝されます。ほかの薬との相互作用や、チアゾリジン同士の相互作用はいまだ報告されていませんが、研究中です。
ピオグリタゾンとロジグリタゾンは肝毒性とはめったに関係しませんが、肝機能をモニターする必要があります。心不全のある患者はまずそちらを治療してから。
αGIは小腸の刷子縁におけるαグルコシダーゼの働きを阻害することによって、でんぷん・デキストリン・ダイサッカリダーゼの吸収を抑制します。
インスリンを増やす作用はないので、低血糖もおきません。吸収がよくない薬なので、食事の開始と一緒に飲むとよいです。
アカルボースとミグリトールは食後高血糖の抑制に使われます。
αGIは用量依存性に、消化不良・ガス膨満・下痢などをきたします。αGIとインスリンを併用中に低血糖症状が出たら、、グルコースを補充します。
経口から、グルコースが静脈を通ると、インスリンが上がることがわかっていました。消化管の上部からはGIP、消化管下部からはGLP1というホルモンが出ていて、糖依存性のインスリン放出を促していることがわかりました。これらのホルモンはインクレチンといわれています。この二つのホルモンは別の働き方でインスリンの放出を促進します。GIPはtype 2 DMではインスリン分泌を促進する能力がほとんど失われています。一方でGLP1は糖依存性のインスリン分泌を強く促しています。つまりtype 2 DMの治療ではGIPをターゲットにすればよいということになります。GLPはグルカゴンを抑制し。空腹感を押さえ、食欲を抑えます。体重減少も実現できます。この長所を相殺するように、GLP1は迅速にDPPIV(ヂペプチジルペプチダーゼ4エンザイム)によって負活化されます。つまり、GLP1を治療に使うなら、連続的に体に入れなければなりません。GLP1受容体のアゴニストが研究され、これはDPPIVにたいして抵抗性があります。
そのほかのGLP1療法のアプローチに仕方としては、DPPIVプロテアーゼの不活性化で、それによってGLP1の循環量を増やそうとするものです。type 2 DM治療に新しい薬がでるかもしれないですね。
[★]
- 英
- hypotensor, depressor, hypotensive drugs hypotensive agent hypotensive drug
- 同
- 降圧剤、血圧降下薬、高血圧症治療薬、抗高血圧薬 antihypertensive antihypertensive drug, antihypertensive drugs
[show details]
ja
hypotensor : 約 1,170 件
depressor : 約 13,000 件
hypotensive drugs : 約 1,410 件
hypotensive agent : 約 1,320 件
hypotensive drug : 約 1,200 件
en
hypotensor : 約 12,100 件
depressor : 約 1,220,000 件
hypotensive drugs : 約 29,100 件
hypotensive agent : 約 37,600 件
hypotensive drug : 約 12,500 件
降圧薬
-
- 近位尿細管:アセタゾラミド:炭酸脱水酵素を阻害
- 太いヘンレループ上行脚:フロセミド:Na+-K+-2Cl-共輸送体(NKCC)を阻害
- 遠位尿細管前半部:チアジド系利尿薬:Na+とCl-の共輸送体を阻害
- 遠位尿細管後半部と集合管:
- スピラノラクトン:アルドステロン受容体に競合的に結合
- トリアムチレン:Na+流入を抑制
-
-
-
- カルベジロール(α1遮断により末梢血管を拡張。β遮断により陽性変力作用を抑制)
- アムスラロールなど
- 強力な降圧効果を示す
- 細胞内へのCa流入を抑制することにより血管平滑筋を弛緩させ末梢血管抵抗を下げる
- 脳、心臓、腎臓への血流を保つ
- 膜電位依存性Caチャネルに作用して血管平滑筋を弛緩させる
-
- 副作用:ジルチアゼムの副作用:洞性徐脈、洞性ブロック
- ニフェジピン: 血管への親和性が高い→抗高血圧薬として優れる
- 副作用:反射性交感神経緊張、顔面紅潮、浮腫(静脈拡張より動脈拡張の度合いが大きいため)、便秘
- 臓器障害の改善、進展予防 beyond blood pressure
- RA系の抑制
- アンジオテンシノゲン→(レニン)→アンジオテンシンI→(アンジオテンシン転換酵素)→アンジオテンシンII-(アンジオテンシン受容体遮断薬)-|アンジオテンシン受容体1
- ACE阻害薬の腎機能保護
- ACE阻害薬:輸入細動脈 拡張、輸出細動脈 拡張 → 糸球体内圧↓
- Ca拮抗薬 :輸入細動脈 拡張、輸出細動脈 なし → 糸球体内圧↑
-
- 副作用
- ACEはブラジキニンを分解するキニナーゼIIと同一の酵素である。ACE阻害薬はこの酵素を阻害するが、ブラジキニンは血管拡張、決勝滲出決勝進出、発痛作用に関わっている。このため咳を誘発することがある。
- 禁忌
- 妊婦。ブラジキニンは胎児の動脈管閉鎖に関わっている。このた、母胎にACE阻害剤を加え、ブラジキニンが増えると胎児の動脈管が閉鎖してしまう。(血管浮腫?)
- 1型アンジオテンシンII受容体拮抗薬(AT1受容体拮抗薬)
降圧薬の積極的な適応と禁忌
- 合併症を有する高齢者高血圧に対する第一選択薬と併用薬
○:第一選択 空欄:適応可 △:注意が必要 ×:禁忌
- 理由はACE参照
使用できる降圧薬
- α2作動薬
- β遮断薬
- α遮断薬
参考
- http://www.jhf.or.jp/a&s_info/guideline/kouketuatu.html
漢方薬
- 降圧目的に釣藤散が使われることが多い。補助的に防風通聖散が用いられることがある。
[★]
- ☆case59 尿中の血液
- 52歳 ビジネスマン
- 顕微鏡的血尿のため泌尿器科医に紹介があった。
- 主訴:顕微鏡的血尿
- 現病歴:6ヶ月前、new jofのためのisurance medicalで血尿を指摘された。以来、家庭医に2回血尿指摘された。以前の尿検査は正常だった。一度も顕微鏡は指摘されたことが無く、泌尿器系の症状もなかった。顕微鏡的血尿であることを除けば健康である。視覚、聴覚に問題なし。タバコ1日30本、アルコール35 unit/week(缶ビール(350ml)20本/週)
- 既往歴:特記無し。
- 家族歴:特記無し。腎臓病の家族歴無し
- ・身体所見
- 栄養状態良く体調はよい。心拍:72/分、整。血圧:146/102 mmHg。心血管系、呼吸器系、腹部、神経学所見:異常なし。眼底鏡でarteriovenous nippingを認める。
- ・検査
- (血液生化学)
- 上昇:尿素、クレアチニン、γ-GTP
-
- (尿検査)
- 蛋白:++。血尿:++。赤血球:>100 red cells
- 24時間尿蛋白:1.2g; 正常値 <200mg/24hr
- (その他)
- ECG:左室拡大。腎超音波検査:大きさは正常
- (第一パラグラフ)
- ・顕微鏡的血尿の原因は腎臓と尿路系のものがある(ex.前立腺病変、結石)。
- ・顕微鏡的血尿 + 高度のタンパク尿 + 高血圧 + 腎障害 = 慢性糸球体腎炎の病態
- ・γ-GTP高値はアルコールの過剰摂取による肝臓病であることに適合する
- ・男性で推奨されるアルコール摂取の上限は、28unit/週 ()
- (第二パラグラフ)IgA腎症
- ・IgA腎症は先進国における一般的な糸球体腎炎。メサンギウム領域におけるIgAの蓄積が特徴的
- ・患者はしばしば、上気道感染と同時におこる顕微鏡血尿のエピソードがある
- ・IgA腎症は多くは特発性だけど、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病(Henoch-Schonlein purpura)とアルコール性肝硬変(alcoholic cirrhosis)と関連するのが普通である。
- ・IgA腎症の患者の20%は20年の経過で末期腎不全(end-stage renal failure)に陥る。
- (第三パラグラフ)基底膜病・アルポート症候群
- ・菲薄基底膜病はisolated microscopic hematuria、minimal proteinuria及び正常腎機能(悪化しない)をしめす家族性の疾患である。
- ・電顕的にはびまん性の糸球体基底膜の菲薄化が見られる(300-400nm -> 150-225nm)
- ・アルポート症候群は進行性糸球体病態であり、聴覚消失と視覚異常と関連している。ふつうX連鎖優性遺伝で、男性がひどく影響を受ける。
- (第四パラグラフ)What further incestigations would you organize?
- ・腎生検
- ・age>50: 尿細胞診、前立腺特異抗原、膀胱鏡 → 除外診断のため(膀胱・前立腺病変)
- ・肝超音波検査が必要で、肝生検を考慮するべき。
- (第五パラグラフ)What advice would you give this patient
- ・指導:禁酒、血圧のコントロール
- ・経過観察:透析、腎移植に移行しうるため
- ・血清/血漿クレアチニン:これはGFRが50%減らないと上昇しない → この症例では軽度のクレアチニンの上昇は腎機能は正常の腎機能の40%であることを示す。
- ・治療:免疫抑制薬がIgA腎症の大部分で透析導入を遅らせるという証拠はない
- ■KEYPOINT
- ・50歳以下の血尿のみを訴える患者はまず腎臓専門医に紹介すべき。
- ・50歳以上の血尿のみを訴える患者は、膀胱や前立腺の疾患を除外するためにまず泌尿器科医に紹介すべき
- ・血清/血漿クレアチニンのわずかな上昇は腎機能の大きな喪失を示している。
- ・大量のアルコール摂取による肝障害は明らかな徴候なく起こるかもしれない。
- ■もっとも一般的な顕微鏡的血尿をきたす糸球体による原因
- IgA腎症
- 菲薄基底膜病(thin basement membrane disease)
- アルポート症候群(XR)
- ■高血圧の病理的帰結 HIM.1552
- ・高血圧が生み出すリスクファクター:粥状硬化症
- ・高血圧が悪化因子?(predisposing factor)となる疾患:心不全、冠動脈疾患、梗塞、腎臓病、末梢動脈疾患
- 心臓:高血圧性心疾患は高血圧に対する機能的・構造的適応 → 左心室肥大、拡張期機能不全(diastolic dysfunction)、うっ血性心不全、血行異常(冠状動脈の粥状硬化・微小血管障害による)、不整脈
- 左心室肥大(1遺伝的要因と血行動態要因による) → ↑リスク:冠動脈心疾患、梗塞、慢性心不全、突然死
- 拡張期機能不全:(左心室壁が肥厚して拡張期に十分拡張できないという意味での機能不全(written by s))
- 脳:(高血圧は脳梗塞と脳出血のリスクファクター)
- ・認知症(脳梗塞による)
- ・高血圧脳症(autoreguration(50-150mmHg)が傷害され、重度の頭痛、悪心・嘔吐、巣状神経徴候(focal neurologic sign)、精神状態の変調をきたす)
- 腎臓:高血圧は腎障害と末期腎臓病のリスクファクター。
- ・腎臓における粥状硬化性の高血圧に関連した血管損傷は、最初に糸球体の前の細動脈に及ぶ。これにより糸球体と糸球体の後の構造に虚血性の変化を起こす。
- ・糸球体の損傷は糸球体の高灌流による糸球体毛細血管の損傷の結果かもしれない。
- ・糸球体の病理は糸球体硬化症を呈し、そして尿細管は虚血により萎縮する。
- 末梢動脈:長期にわたって持続する高血圧により、下肢の動脈を狭窄させる → 跛行
- 網膜:交差現象(http://www.1stretinalscreen.com/ra_DR_NonDR.asp )
- AV nipping is indicative of hypertension and describes the changes which occur at arteriovenous crossings in the retina where an artery crosses a vein. In patients with hypertension and associated arteriolosclerosis (narrowing of the artery) the artery applies increased pressure on the vein at the point where it passes over the top of the vein.
- ■顕微鏡的血尿
- 血尿のうち、肉眼的には血尿ではないが、尿沈渣で400倍毎視野1個以上の赤血球を認める場合をいう。 しかしそれでは再現性に乏しいので、一般的には5個以上の赤血球を認める場合を顕微鏡的血尿といい病的意義をもつ。
- ■glossary
- modest adj. 謙虚な。慎み深い、控えめな、遠慮がちの。(主に女性が)しとやかにした、ひどく上品な。質素な、地味な。適度の、穏当な。大きくない、ささやかな。
[★]
- 英
- osteoporosis
- 同
- 骨多孔症、オステオポローシス
- 関
- 骨軟化症、くる病、老人性骨粗鬆症、若年性特発性骨粗鬆症、糖質コルチコイド誘発骨粗鬆症。骨粗鬆症治療薬
- 骨の絶対量の減少を生じているが骨の質的な変化を伴わない状態をいう。
- 骨はたえず吸収、形成されているものであり、したがって吸収率と形成率に差を生じ骨形成が負の平衡となれば骨粗鬆が起こる。
概念
- 骨量の減少(≒骨密度の減少)と骨組織の微細構造の破錠(骨質の劣化)により骨強度が低下して、骨折をきたしやすくなった疾患
定義
- WHO(1994)、骨量測定法,女性の骨粗鬆症:若年健常女性の平均骨量値から2.5SD以上減少したもの ⇔ 骨量減少:2.5<T-score<-1
- 日本:骨量が30%以上減少したもの
リスクファクター
- YN.D-156
- ガイドライン2
- 高齢、既存骨折(リスク1.9-4倍)、喫煙(リスク1.3-1.8倍)、飲酒(1日2単位以上でリスク1.2-1.7倍)、ステロイド使用(1日5mg以上の経口摂取でリスク2-4倍)、骨折家族歴(親の骨折でリスク1.2-2.3倍)、運動不足(大腿頚部骨折リスク1.3-1.7倍)、易転倒性
- 以下のリスクファクターを有する65歳未満か、65歳以上の女性は骨量測定によるスクリーニングの対象となる。
- 高齢、低体重、骨折既往、骨粗鬆症による骨折の家族歴、白人・アジア人、アルコール(1日2杯以上)、カフェイン、喫煙、運動不足、カルシウム不足、ビタミンD不足、骨粗鬆症を起こす薬剤
原因による分類
内分泌性
栄養性
- 壊血病
- その他(蛋白質欠乏、ビタミンA過剰、ビタミンD過剰)
- 別ソース
遺伝性
薬物性
- 別ソース
不動性
- 全身性:長期臥床、宇宙飛行、対麻痺
- 局所性:骨折後
先天性
その他
- 別ソース
小児の骨粗鬆症
- Dent CE:Osteoporosis in childhood.Postgrad Med J 53:450-456,1977
男性の骨粗鬆症
原因
- 多:クッシング症候群、アルコール多飲、ステロイド使用(5mg, 3ヶ月以上)、性腺機能低下、カルシウム摂取量減少、ビタミンD欠乏、喫煙、家族の中で骨折しやすい人がいる、男性ホルモン異常
- 希:BMI<20, 運動不足、抗てんかん薬、甲状腺中毒症、副甲状腺機能亢進、慢性肝障害、慢性腎障害、吸収不良症候群、高カルシウム血症、リウマチ、脊椎関節炎、糖尿病、多発性骨髄腫、HIV、臓器移植、免疫抑制剤
病理
検査
-
- 躯幹骨DXA、末梢骨DXA、RA/MD、QUSなどで測定可能
- 椎体DXAと大腿近位部DXAの両方を評価することが望ましい。できなければ橈骨DXAで代替する。
- 椎体の骨折/変形、退行性変化、骨粗鬆症に類維持した疾患(腰背部痛、円背や低骨量を呈する疾患)の鑑別に必要
治療
薬物治療
薬物治療開始基準
- ガイドライン2
- 1. 脆弱性既存骨折有り
- 2. 脆弱性既存骨折無し
- 1) 骨密度が若年成人平均値の70%未満
- 2) 骨密度が若年成人平均値の70-80%で、かつ閉経後女性/50歳以上男性であって、次のいずれかを有する。
- a) 過度のアルコール摂取:1日2単位以上
- b) 現在の喫煙
- c) 大腿骨頚部骨折の家族歴
治療開始のトリガー
- 別ソース
- 骨粗鬆症による大腿骨骨折、椎骨骨折の既往
- Tスコアが-2.5以下
- Tスコアが-1~-2.5 FRAX
- FRAXにて10年後の大腿骨折リスクが3%、主要な骨粗鬆症性骨折リスクが15-20%を超えるなら治療。
腎機能障害がある場合の治療の選択肢
- https://www.kyorin-pharm.co.jp/prodinfo/useful/doctorsalon/upload_docs/150359-1-15.pdf
慎重投与となっており、禁忌ではないから
肝臓や腎臓で代謝されないから
検診
スクリーニング
- USPSTF
- 65歳以上の女性、64歳以下で骨折リスクが高い女性(脆弱骨折の既往、ステロイド内服など)
- 男性ではエビデンスがない
スクリーニング間隔
- DEXA:1.0~-1.5→15年
- DEXA:-1.5~-2.0→5年
- DEXA:-2.0~-2.5→1年
ガイドライン
- http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0046/1/0046_G0000129_GL.html
- 2. <amazon mode="text" text="骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン(2006年版) ダイジェスト版">4897752329</amazon>
<amazon mode="script" ></amazon>
参考
- http://www.richbone.com/kotsusoshosho/basic_shindan/tonyo.htm