- 英
- periodic paralysis
- 関
- 神経系 091028III HIM.2691-2692 NHB.1114
疫学
- 罹患率10万人対0.5-4.1人 (IMD.1076)
- 発症年齢:家族性では10歳代までが最多、甲状腺中毒性では20歳代男性が最多 (IMD.1076)
- 二次性のものでは甲状腺機能亢進症によるものが多い
分類
- NHB.1114改変
-
-
病型
参考
- http://www.jmda.or.jp/6/hyakka/kin240.htm
- http://www.hosp.go.jp/~esaitama/shinkei/syuukisei.htm
- 3. [charged] Hypokalemic periodic paralysis - uptodate [1]
- 4. [charged] Hyperkalemic periodic paralysis - uptodate [2]
- 5. [charged] Thyrotoxic periodic paralysis - uptodate [3]
国試
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周期性四肢麻痺 |
分類及び外部参照情報 |
ICD-10 |
G72.3 |
ICD-9 |
359.3 |
MeSH |
D010245 |
周期性四肢麻痺(しゅうきせいししまひ、英: Periodic Paralysis, PP)とは、突然に発作として、両側性に全身の筋力が失われ、しばらくして再び正常に戻る可逆性疾患。
日本では甲状腺機能亢進症に伴う低カリウム性周期性四肢麻痺が多い。この場合は、甲状腺もしくは電解質異常であり、内分泌疾患である。
甲状腺機能亢進症を伴わない場合には遺伝性疾患である。難病法により、遺伝性のPPに関して指定難病となった。
目次
- 1 原因
- 2 疫学
- 3 症状
- 4 発作の誘因
- 5 分類
- 6 診断
- 7 検査
- 8 治療
- 9 予後
- 10 脚注
- 11 参考文献
- 12 関連項目
- 13 外部リンク
原因
遺伝性のPPの場合、骨格筋型カルシウムチャネルαサブユニット(CACNA1S)や骨格筋型ナトリウムチャネルαサブユニット(SCN4A) の遺伝子に異常がある。PPに不整脈および骨格の奇形を伴うAndersen-Tawil症候群では、カリウムチャネル(KCNJ2, KCNJ5)の遺伝子に異常がある。この他にも知られていない原因遺伝子が存在すると考えられ、変異が見つけられない症例が存在する。
疫学
日本における遺伝性のPPの患者数は約1000人とされている。
症状
近位筋優位の、対称性、発作性の筋力低下・弛緩性麻痺。前兆なく突然発症する。 脱力発作は1時間以内が多いが、数日にわたり遷延することもある。
遺伝性のPPに関して述べる。脱力の程度も、下肢のみといった限局性筋力低下から完全四肢麻痺まである。発作の頻度も幅があり、毎日から生涯に数回までがある。顔面・嚥下・呼吸筋の麻痺はあまり見られず、感覚や膀胱直腸障害はない。平均的には、高カリウム性は低カリウム性より程度も軽く持続も短い。その一方、初回の発作は低カリウム性が思春期ごろであるのに対し、高カリウム性は小児期と早い。特殊なタイプとしてAndersen-Tawil 症候群では、PPに不整脈と骨格奇形を合併する。高カリウム性では筋強直現象を臨床的にあるいは電気生理学的にしばしば認め、先天性パラミオトニーと症状がオーバーラップしていると言われる。発作の間欠期には筋力低下を認めないことが多いが、とくに低カリウム性において進行性・持続性の筋力低下を示す例が存在する。
発作の誘因
低カリウム性では、糖質の摂取後発作が起こることがある。血糖上昇に伴い、インスリンが分泌され、ブドウ糖とカリウムイオンが血中から細胞内へ取り込まれ、低カリウム血症が増悪するためといわれる。
遺伝性のPPに関して、低カリウム性のトリガーとして、高炭水化物食、運動後の安静などがあげられ、高カリウム性のトリガーとして、寒冷、運動後の安静などがあげられる。
分類
遺伝性の周期性四肢麻痺は、通常は常染色体優性遺伝し、家族間の表現型に大きな広がりを持つ。つまり、片方の親だけに遺伝子変異があれば優性遺伝に従って子供は発症するが、同じ変異を有する家族の間で重症度が同じとは限らない。
- 低カリウム性周期性四肢麻痺(低K性, HypoKPP)(Online 'Mendelian Inheritance in Man' (OMIM) 170400):甲状腺機能亢進症により細胞内へのカリウム取り込みが亢進し、発作を起こすものと、遺伝的にカルシウムチャネルに異常があるものがある。
- 高カリウム性周期性四肢麻痺(高K性, HyperKPP)(Online 'Mendelian Inheritance in Man' (OMIM) 170500):大部分はナトリウムチャネルの変異による。
- 正カリウム性周期性四肢麻痺(正K性, normKPP):高カリウム性、正カリウム性、先天性パラミオトニアは共通の遺伝子SCN4Aに原因があり、3者を同一の疾患と考える見方がある。
- 先天性パラミオトニア (Online 'Mendelian Inheritance in Man' (OMIM) 168300):高カリウム性周期性四肢麻痺を伴うこともあれば、単独の症状を呈する場合もある。先天性パラミオトニアの最も特徴的な症状は、運動の最中に、筋収縮の発作を発症することである。
- Andersen-Tawil症候群 (Online 'Mendelian Inheritance in Man' (OMIM) 170390): 気絶や突然死を引き起こす顕著な不整脈を含む周期性四肢麻痺。カリウム濃度は発作の間、低い、高い、正常の場合がある。脊柱側彎症、合指症、斜指症、小顎症、低位耳介といった骨格異常を伴うことがある。
診断
日本では難病法で用いるために、遺伝性のPPについて診断基準が作成された。
検査
- 血清カリウム濃度: 診断・治療方針決定に必須。カリウム値によっては、不整脈を来すなど生命予後に関わることもある。
- TSH,free T3,free T4: 日本では、甲状腺機能亢進症によるものが多いので、必須
-
- 甲状腺機能亢進症確定後には、TRAb, 抗TPO抗体, 頸部超音波検査などを行う。
治療
- 血清Kの是正を行う。
- 低カリウム血症である場合は、緩徐にカリウムを含む輸液を行う。
- 高カリウム性では発作時にカルシウムを緩徐に経静脈的に投与。
-
- 低カリウム性の場合は、スローケー®などのカリウム徐放剤を内服。
- 高カリウム性ではアセタゾラミド内服。
遺伝性のPPに関して、根本治療は無い。発作時の対症療法、間欠期の予防に分けられるが、十分な効果が得られないことも多い。 高カリウム性では麻痺は軽度で持続も短いことが多いが、高カリウムによる不整脈 、心停止に注意する必要がある。 予防として低カリウム性および高カリウム性の両方にアセタゾラミドが有効な例があるが、逆に無効や増悪例もある。
予後
遺伝性のPPに関して、小児期から中年期まで麻痺発作を繰り返すが、初老期以降回数が減ることが多い。進行性・持続性の筋力低下を示す症例があり、低カリウム性の約 1/4 に認められる。
脚注
参考文献
- Dr.ウィリス ベッドサイド診断 第35章
- 希少難治性筋疾患に関する調査研究班. “115 遺伝性周期性四肢麻痺 (pdf)”. 厚生労働省. 2015年7月1日閲覧。
関連項目
- 先天性パラミオトニー
- チャネロパチー
- 筋強直症候群
- 筋電図
- 希少疾患
- 難病法
外部リンク
- メルクマニュアル
- 周期性四肢麻痺(日本筋ジストロフィー協会)
- Periodic Paralysis Association(PPA) 米国の患者会
- PPA Video Libarary HyperKPP患者の歩行の様子の動画など
- Hyperkalemic periodic paralysis - GeneTests
- Hyperkalemic Periodic Paralysis Type 1 - GeneReviews
- Hypokalemic periodic paralysis - GeneTests
- Paramyotonia Congenita - GeneTests
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Japanese Journal
- 内分泌,代謝疾患と脳神経疾患 (特集 内科疾患と脳神経疾患 : 診断と治療の進歩)
- 周期性四肢麻痺を合併したプランマー病の1例 (内分泌クリニカル・カンファランス 51) -- (甲状腺)
- 機能性甲状腺結節により甲状腺中毒性周期性四肢麻痺をきたした1例 (内分泌クリニカル・カンファランス 51) -- (甲状腺)
- 回答へのコメント (弁証論治トレーニング(63)低カリウム性周期性四肢麻痺)
Related Links
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- 次の文を読み、 59~ 61の問いに答えよ。
- 22歳の男性。全身の筋力低下のため搬入された。
- 現病歴: 5日前に下痢と悪心とがあった。昨日の起床時に歯ブラシをしっかり握れず、朝食時には箸を使えなかった。昼には両腕を持ち上げることができなくなり、夕食時には舌がもつれて話しにくく、むせるようになった。今朝は起き上がれず、母親が救急車を要請し、即日入院となった。
- 既往歴:特記すべきことはない。
- 生活歴:大学 4年生。
- 家族歴:特記すべきことはない。
- 現症:意識は清明。身長 168 cm、体重 63 kg。体温 36.8℃。脈拍 64/分、整。血圧 150/96 mmHg。呼吸数 18/分。 SpO2 96% ( room air)。認知機能に異常を認めない。両眼の[[睫毛徴候[[を認め、鼻唇溝は浅く、口笛を吹くまねができない。構音はやや不明瞭で、軽度の嚥下障害を認める。顔面の感覚には異常を認めない。臥位での頭部挙上ができない。徒手筋力テストで上肢は 1~ 2に低下し、下肢も 3に低下している。握力は両側 0 kgである。上下肢とも筋萎縮と感覚障害とを認めない。腱反射は上下肢とも消失し、病的反射を認めない。自力歩行はできない。排尿と排便とに異常を認めない。
- 検査所見:尿所見と血液所見とに異常を認めない。血液生化学所見:総蛋白 7.0g/dl、アルブミン 3.9 g/dl、総ビリルビン 0.9 mg/dl、AST 33 IU/l、ALT 26 IU/l、CK 86 IU/l(基準 30~140)、尿素窒素 18 mg/dl、クレアチニン 0.8 mg/dl、血糖 86 mg/dl、Na 138 mEq/l、K 4.4 mEq/l、Cl 97 mEq/l。CRP 0.8 mg/dl。動脈血ガス分析 ( room air)に異常を認めない。呼吸機能検査:% VC 73.1%、 FEV1% 94.5%。心電図と胸部エックス線写真とに異常を認めない。脳脊髄液所見:初圧 155 mmH2O(基準 70~170)、細胞数 2 /mm3(基準 0~ 2)(単核球 100% )、蛋白 83 mg/dl(基準 15~45)、糖 69 mg/dl(基準 50~75)。
- この患者の筋力低下の原因はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108B058]←[国試_108]→[108B060]
[★]
- 55歳の男性。下肢脱力発作を主訴に来院した。1か月前から時々朝起床時に両下肢に力が入らないことがあったが、数時間で回復していた。今朝も同様の脱力があり、昼を過ぎても回復しなかった。高血圧があり、他院でサイアザイド系降圧薬を3か月前から処方されている。神経学的には両下肢近位筋に筋力低下を認めるが、筋萎縮、深部腱反射消失および感覚障害はない。その他身体所見に異常はない。血液所見:赤血球530万、Ht50%、白血球6,700、血小板37万。血液生化学所見:尿素窒素32.0mg/dl、クレアチニン1.6mg/dl、AST40IU/l、ALT 35IU/l、Na148mEq/l、K2.2mEq/l、Cl115mEq/l、CK460IU/l(基準40~200)。
- 検査値の異常で症状と関係があるのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [102G048]←[国試_102]→[102G050]
[★]
- 25歳の男性。歩行障害を主訴に来院した。昨夜、夕食後2時間卓球をして就寝した。今朝から四肢がだるく、力が入らないことに気付いた。その後、次第に筋力低下と倦怠感とが強くなり、歩行不能となった。10か月前にも会社のスポーツ大会があった日の深夜に同様の症状があったが、翌日の午前中には回復していた。意識は清明。脈拍104/分、整。腱反射は消失している。感覚障害はない。食事はきちんととっているが、体重は1年で6kg減少している。血液生化学所見:総コレステロール 120mg/dl、AST 25IU/l、ALT 16IU/l、CK 76IU/l(基準30-140)。Na 145mEq/l、K 2.1 mEq/l、Cl 105 mEq/l。
[正答]
※国試ナビ4※ [104A048]←[国試_104]→[104A050]
[★]
- 65歳の男性。2週前から徐々に全身倦怠感と四肢脱力とが出現し、起立が困難になったので来院した。1か月前から心不全による両下肢の浮腫に対してループ利尿薬が処方され、毎日服用していた。意識は清明で、四肢近位筋優位の筋力低下を認めるが、感覚と深部腱反射とは正常である。甲状腺機能検査に異常を認めない。
- 異常が予測されるのはどれか。
- (1) 血清電解質
- (2) 血清クレアチンキナーゼ
- (3) 脳脊髄液
- (4) 頭部造影CT
- (5) 頚部単純MRI
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [099F019]←[国試_099]→[099F021]
[★]
- 20歳の女性。昼ころから両下肢に力が入らなくなり来院した。1年前と3か月前とに右眼の視力低下を生じたが、数日で回復した。意識は清明。対麻痺、感覚障害および膀胱障害を認める。脳脊髄液所見:細胞数3/μl(基準0~2)、蛋白30mg/dl(基準15~45)、lgG10.5mg/dl(基準0.8~4.1)。血清生化学所見:CK30単位(基準10~40)、Na140mEq/l、K3.8mEq/l、Cl108mEq/l、免疫学所見:HTLV-I抗体(-)。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [100A048]←[国試_100]→[100A050]
[★]
- 48歳の女性。意識混濁のため救急車で搬入された。脈拍88/分、整。血圧104/62mmHg、尿所見:pH6.5、蛋白(±)、糖(-)、潜血(±)。血清生化学所見:尿素窒素14mg/dl、クレアチニン0.8mg/dl、Na135mEq/l、K2.0mEq/l、Cl 111mEq/l。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH 7.16、PaO2 80Torr、PaCO2 32Torr、HCO3 -12mEq/l。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [097A038]←[国試_097]→[097A040]
[★]
- 字を書き始めると手が震えて書きにくくなると訴える患者の書字時の写真(別冊No. 1)を別に示す。患者の書いた文字は揺れて読みにくいが、書字以外の動作には支障がないという。
- この患者と同じ病態が原因となるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114D003]←[国試_114]→[114D005]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [103G005]←[国試_103]→[103G007]
[★]
- 日本人若年男性の周期性四肢麻痺で最も高頻度に異常値がみられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105B008]←[国試_105]→[105B010]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [109B018]←[国試_109]→[109B020]
[★]
- 免疫グロブリン静注が第一選択の薬物療法であるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [100B049]←[国試_100]→[100B051]
[★]
- (1) 東洋人に多い
- (2) 女性に多い
- (3) 空腹時に発症する
- (4) 血清Kが増加する
- (5) 症状は近位筋にい強い
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[★]
- 英
- Graves' disease, Graves disease
- 同
- バセドー病 バセドウ病 (国試)Basedow病 Basedow disease Basedow's disease、グレーヴス病 Graves病、exophthalmic goitre、中毒性びまん性甲状腺腫 toxic diffuse goiter、パリー病 Parry disease
- ラ
- morbus Basedowii
- 関
- 甲状腺中毒症
概念
病因
- 甲状腺刺激免疫グロブリン thyroid stimulating immunoglobulin
- 甲状腺増殖刺激免疫グロブリン thyroid re-growth-stimulating immunoglobulin (TGI)
- TSH結合阻害免疫グロブリン TSH-binding inhibitor immunoglobulin (TBIIs)
- 自己抗体であるTSH受容体抗体の産生 → 甲状腺濾胞上皮細胞のTSH受容体に結合して活性化 → 甲状腺ホルモン分泌↑
- 抗TSH受容体抗体は95-98%の症例で出現する。
疫学
頻度
- 住民検診などで見つかる Basedow病は、1,000人に対し 1-6人と報告されている。
- 男女比は1:4で女性に多い。特に、20-50歳の女性に多い。
- 家族内集積が高い。
病変形成&病理
- 自己抗体により、濾胞のホルモン産生が刺激され、甲状腺は瀰漫性に腫大(正常の数倍から200gまで)。
症状
- 頻脈、体重減少、手指振戦、発汗増加等
- 心臓肥大、リンパ組織過形成、真皮の肥厚
- 2. びまん性甲状腺腫大(表面は平滑で柔らかい、血管雑音)
- 3. 眼球突出または特有の眼症状
- 未治療or適切な治療が行なわれていなかった状態、感染、外傷などの誘因が加わった時に機能亢進症が急速に増悪する状態。頻脈、ショック。
合併症
検査
- 1. FT4、FT3のいずれか一方または両方高値
- 2. TSH低値
- 3. TSH受容体抗体陽性、または甲状腺刺激抗体陽性
- 4. 放射線ヨード甲状腺摂取率高値 ← 甲状腺ホルモンの生合成が亢進
エコー
診断
(Basedow病の診断ガイドライン(日本甲状腺学会 第7次案))
- 所見
- 1. 頻脈、体重減少、手指振戦、発汗増加等の甲状腺中毒症所見
- 2. びまん性甲状腺腫大
- 3. 眼球突出または特有の眼症状
- 1. 遊離T4、遊離T3のいずれか一方または両方高値
- 2. TSH低値(0.1μU/ml以下)
- 3. 抗TSH受容体抗体(TRAb,TBII) 陽性、または刺激抗体(TSAb) 陽性
- 4. 放射線ヨード(またはテクネシウム) 甲状腺摂取率高値、シンチグラフィでびまん性
- 診断
- a) の1つ以上に加えて、b) の4つを有するもの
- a) の1つ以上に加えて、b) の1、2、3を有するもの
3) Basedow病の疑い
- a) の1つ以上に加えて、b) の1と2を有し、遊離T4、遊離T3高値が3カ月以上続くもの
- 付記
- 1. コレステロール低値、アルカリフォスターゼ高値を示すことが多い.
- 2. 遊離T4正常で遊離T3のみが高値の場合が稀にある.
- 3. 眼症状がありTRAbまたはTSAb陽性であるが、遊離T4およびTSHが正常の例はeuthyroid
Graves’diseaseまたはeuthyroidophthalmopathyといわれる.
- 4. 高齢者の場合、臨床症状が乏しく、甲状腺腫が明らかでないことが多いので注意をする.
- 5. 小児では学力低下、身長促進、落ち着きの無さ等を認める.
- 6. 遊離T3(pg/ml) /遊離T4(ng/dl) 比は無痛性甲状腺炎の除外に参考となる
治療
の二種類である。薬効の高さや作用持続時間の長さの利点からMMIを第一選択とするが、胎盤移行や乳汁移行、副作用の出現頻度を考慮しPTUを用いることもある。治療中止の時期は甲状腺機能の正常化はもちろんのこと、抗TSH受容体抗体が陰性であることも必要である。
- 治療期間:長い。1-2年維持量でコントロールし、TSH受容体抗体が陰性化したら減量し、さらに6ヶ月したら休薬(YN.D-31)
治療の中止
- 4点がそろえば中止。中止後、10-25%が再発する。
- 1. メルカゾール1錠/日-1錠/隔日で甲状腺機能が正常 (TSH, FT4の両方が正常)
- 2. 投薬継続期間が2年以上
- 3. 甲状腺腫が小さくなった
- 4. TSH受容体抗体が陰性
βブロッカー
- 脈拍、動悸、振戦を軽減 ← 甲状腺ホルモンの「心筋細胞のカテコールアミン受容体を増加させる作用」に対して
放射性ヨード療法
- 131Iのβ線により甲状腺組織を破壊
- 効果は2-3週後に出現し、最大効果は6-12週後。
外科的治療法
比較
|
放射性ヨード療法 131療法
|
外科的治療法
|
抗甲状腺薬
|
長所
|
治療法が簡単
|
|
どの年代の患者でも可能(妊娠・妊娠中も可能)
|
成人合併例でも治療可能
|
|
通院での治療可能
|
比較的短期間で寛解
|
短期間に治癒
|
|
永続寛解率が高い
|
高い寛解率
|
|
侵襲が少ない
|
|
不可逆的な甲状腺機能低下は稀
|
短所
|
特別な施設が必要
|
手術侵襲
|
副作用(無顆粒球症・肝障害)
|
永続的甲状腺機能低下症が年ごとに増加
|
永続的甲状腺機能低下症
|
|
妊娠、授乳期では禁忌
|
瘢痕
|
治療期間が長い
|
|
術後合併症(反回神経麻痺、テタニー)
|
永続寛解率が低い
|
|
術後再発
|
|
回避・禁忌
|
30歳以下は避ける
|
|
|
妊娠予定、妊娠中、授乳中は禁忌
|
|
|
適応
|
欧米の第一選択
|
|
日本の第一選択
|
老人で早期治療を望む場合
|
早期治癒を望む場合(社会的・妊娠希望)
|
小児、妊婦
|
抗甲状腺薬で副作用の例
|
抗甲状腺薬で副作用の例
|
外科的療法、放射性ヨード療法の明らかな適応外
|
抗甲状腺薬で永続治癒の可能性低
|
抗甲状腺薬で永続治癒の可能性低
|
FT4軽度上昇例
|
服薬・治療コンプライアンス低
|
服薬・治療コンプライアンス低
|
|
手術適応だが合併症、患者の意志により回避される場合
|
通院が困難
|
|
手術後再発例
|
甲状腺腫が大
|
甲状腺腫が小
|
病理
- 濾胞上皮の著明な過形成、上皮細胞の丈が増して円柱上となる、濾胞上皮が乳頭状に濾胞腔に突出する、間質の軽度の線維化、リンパ球集簇、リンパ濾胞、腫大した上皮細胞は濾胞中央部のコロイドを活発に吸収するため、コロイドの辺縁部に空泡が見える。
グレーブス病、亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎の比較
- YN.D-40改変
参考
- 1. D.産科疾患の診断・治療・管理 8.合併症妊娠の管理と治療 - 日産婦誌60巻3 号
- http://www.jsog.or.jp/PDF/60/6003-041.pdf
[★]
- 英
- muscle weakness, muscular weakness
- 同
- 筋無力、筋脱力
- 関
- 筋萎縮
[show details]
筋力低下をきたす障害部位別の症候・検査所見 IMD.147
筋脱力の診断 IMD.660
[★]
- 英
- hypokalemia, hypopotassemia
- 同
- 低K血症
- 関
- カリウム。高カリウム血症。電解質異常
定義
- 血清カリウム <3.5mEq/l ⇔ 基準範囲:3.4-4.5 mEq/l (臨床検査法提要第32版)
原因
- 周期性四肢麻痺発作時、インスリン・グルコースの投与(細胞のNa-K ATPaseを活性化するため)
-
-
病因
- ぽけめ
- アルカレミア、インスリン使用、カテコラミン使用、低下リウム性周期性四肢麻痺、急激な造血(VB12で治療中の巨赤芽球性貧血、AMLの急性転化)、低体温
- 消化管からのK喪失:(Uk<25mEq/日または15mEq/L、またはTTKG<3)
- 消化管からの喪失+代謝性アシドーシス:下痢、緩下薬乱用、絨毛腺腫
- 嘔吐とNGTドレナージによるカリウム喪失
- 腎性K喪失:(Uk>30mEq/日または15mEq/L、またはTTKG>7)
-
- アシドーシス:DKA、RTA(近位RTA(2型)と多くの遠位RTA(1型))
- アルカローシス
- 利尿薬、嘔吐、NGTドレナージ(続発性高アルドステロン症)
- Bartter症候群(HHenleのループ機能異常:フロセミド様効果)
- Gitelmann症候群(遠位曲尿細管の機能異常:サイアザイド様効果)
- Mg欠乏:遠位でのK分泌亢進が原因の可能性
- 原発性高アルドステロン症:Conn症候群など
- 続発性高アルドステロン症:腎血管性疾患、レニン分泌性腫瘍
- 非アルドステロン性ミネラルコルチコイド(Cushing症候群、Liddle症候群、外因性ミネラルコルチコイド、肝臓)
病態生理
検査
鑑別診断のために
- 検査としては尿検査(Uk,UCl,Uosm),血液検査(Bosm,Mg,K),血ガス
心電図
- ECGの変化は心室の再分極が遅延し、心筋細胞内のK+濃度をうまく補正できないことによる。
- QT延長:細胞外K濃度が低い→静止膜電位が低下→再分極に時間がかかる?
- QRS幅延長
- T波の平低化、U波出現
- ST低下
- 期外収縮
- (最初に)T平坦,U出現,ST低下,QT延長 → (重度になれば)PR延長, QRS減高, QRS幅拡大 → VFリスク↑
症状
- <3mEq/Lでなければ症状が出現することはほとんどない。(HIM.282)
- 神経系:感覚鈍麻、傾眠傾向、無関心
- 心血管系:心筋壊死、心筋線維症、、末梢血管収縮
- 消化器:食欲不振、悪心・嘔吐、イレウス
- 筋骨格:筋力低下、呼吸筋麻痺
- impaired muscle metabolism and the blunted hyperemic response to exercise associated with profound K+ depletion increase the risk of rhabdomyolysis.(HIM.282)
- 泌尿器:多尿、腎濃縮力低下、糸球体濾過量・腎血漿流量低下、尿細管間質性腎炎、慢性腎盂腎炎
- 内分泌:糖忍容力低下(インスリンと共にカリウムが細胞に入っていかない、インスリン分泌能↓+インスリン抵抗性↑(HIM.282))、その他の代謝異常(負の窒素バランス、代謝性アルカローシス)
低カリウム血症による腎機能不全
- uptodateより
- 尿濃縮能の低下:impaired urinary concentrating ability:≦3.0mEq/Lの低カリウム血症が慢性的に持続すると中等度の腎機能低下が起こる。集合管におけるADHに対する反応性低下と関連づけられている(The concentrating defect is associated with decreased collecting tubule responsiveness to antidiuretic hormone)が、完全によく分かっていない。2つのことは少なくとも寄与している;アクアポリン2の発現の減少、Na-K-2Cl共輸送対の活性の低下。
- increased ammonia production
- increased bicarbonate reabsorption
- altered sodium reabsorption
- hypokalemic nephropathy
合併症
治療
国試
[★]
- 英
- needle EMG, needle electromyogram
- 関
- 筋電図
適応疾患
- LAB.1680
疾患と針筋電図所見
安静時自発放電
- 参考2
随意収縮時の電位
- LAB.1683 参考2 HBN.487
- 正常では運動単位活動電位(MUP)が出現する。
- 高振幅MUP:振幅4mV以下のもの。振幅の正常範囲については体部位によって異なる。
- 高振幅(giant spike)・高持続時間電位:振幅の幅が3mV以上、持続時間が10ms以上。多相性(polyphasic)。脊髄前角細胞の変性の過程で見られる。(筋萎縮性側索硬化症、球脊髄性筋萎縮症)
- 低振幅・短持続時間電位:振幅の幅が1mV以下、持続時間が2-3ms以下。筋線維の一次性病変に起因する疾患で見られる。(進行性筋ジストロフィー、多発筋炎)
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AD%8B%E9%9B%BB%E5%9B%B3
- http://shimoi.iuhw.ac.jp/electdx5_H21.pdf
- http://www2b.biglobe.ne.jp/~kondo/seiri/emg.htm
[★]
- 英
- floppy infant
- 同
- フロッピーインファント、筋緊張低下児
[show details]
分類
病因による
筋力低下の有無による
[★]
- 同
- 低K性四肢麻痺、低K血症性周期性四肢麻痺
- 関
- 周期性四肢麻痺
[show details]
病型
- 1. 原発性低K性周期性四肢麻痺:AD
- 2. 続発性低K性周期性四肢麻痺
[★]
- 英
- thyrotoxic periodic paralysis
- 関
- 甲状腺中毒症、甲状腺、甲状腺ホルモン
[★]
正カリウム性周期性四肢麻痺
[★]
正カリウム性周期性四肢麻痺
[★]
高カリウム性周期性四肢麻痺
[★]
- 英
- periodicity、cyclicity、periodic、cyclic、cyclical, periodism
- 同
- リズム rhythm
- 関
- 環式、環状、サイクリック、周期現象、周期的、バイオリズム、リズム性、定期的
[★]
- plegia
- 英
- quadriplegia, tetraplegia, quadriparesis
- 関
- 運動麻痺、単麻痺、麻痺。四肢不全麻痺、閉じ込め症候群、痙性四肢麻痺、弛緩性四肢麻痺
[★]
- 英
- paralysis, palsy
- 関
- (comb form)plegia。不全麻痺 paresis
[★]
- 英
- cycle
- 関
- 回路、サイクル
[★]
- 英
- extremity
- 同
- 体肢