- 英
- diabetes mellitus (SP), DM
- 関
- 糖尿病治療薬
- first aid step1 2006 p.first aid step1 2006 p.256,423
定義
- インスリンの不足
病型
- インスリン分泌の低下
- 血中インスリン濃度:低
- 遺伝や生活習慣病に関係なく発症。治療はインスリンの注射
- インスリン受容体や細胞内情報伝達系の質的・量的変化
- 一般に血中インスリン濃度:高
- 肥満、喫煙、運増などが関連
- 中高年に多い
- 運動療法と食事療法
参考1
- NIDDM:インスリン不要
- NIDDM:高血糖是正にインスリン必要
- IDDM:ケトーシス防止や生存にインスリン必要
症状
-
- 血糖値が170-180mg/dl以上で尿糖陽性となる。
- 血糖150mg/dlでも尿糖陽性であれば腎性尿糖が疑われる
- 口渇、多飲、多尿
- ケトーシス、アシドーシス体重減少
合併症
- 多発神経障害(広汎性左右対称性神経障害)
- 単神経障害
- 栄養血管の閉塞による脳神経障害
- 外眼筋(動眼神経、滑車神経、外転神経)麻痺、顔面神経麻痺
医療系の雑誌より(日経カデット11月?)
表5 糖尿病患者にみられる筋骨格系症状を呈する疾患と臨床的特徴
糖尿病との関係
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疾患
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臨床的特徴
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糖尿病が直接病因に関与する疾患
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糖尿病性手関節症(diabetic cheiroarthropathy)
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コントロール不良の糖尿病に多い。原因不明の皮膚硬化が徐々に進行し、手指の屈曲拘縮を来し手全体に及び、強皮症と誤診される。手指を合わせることができない(Prayer徴候)。
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シャルコー関節
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頻度は低い(1%)が、長期糖尿病コントロール不良患者に多い。通常、足根中足関節などの中足部が多く、足底表面、前足部、中足部に潰瘍形成の合併を認めることがあり、骨髄炎との鑑別が困難な例あり。
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糖尿病性骨溶解(diabetic osteolysis)
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原因不明の足趾の末節骨や基節骨の骨吸収が起こリ、足痛の原因となる。X線ではickedcandy変形を呈し、骨髄炎との鑑別が困難。
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糖尿病性筋梗塞
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外傷、感染、腫瘍がなく大腿部などに急激に増大する疼痛を伴う腫瘤を認める。生検は出血の危険があるため行わない。通常1~2カ月で自然寛解する
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糖尿病性筋萎縮症(diabetic amyotrophy)
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糖尿病性末梢神経障害の一型。大腿前部の痛みで、時に脱力や萎縮が非対称性に起きる。CPKの上昇はなく、脳脊髄液で軽度蛋白上昇以外の有意な所見はない。神経伝導速度.筋電図では神経原性変化を認め、筋生検では炎症細胞浸潤を伴わない筋線経の萎縮あり。
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直接の関係は不明だが糖尿病患者に頻度が高い疾患
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癒着性関節包炎(凍結肩または五十肩)
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糖尿病患者の10-33%にみられる。長期2型糖尿病を有する女性に多く、肩の痛みと可動域障害を呈する。約半数が両側性だが非利き手側で症状が強い。炎症反応やX線異常を認めず、数週~数カ月で自然寛解する。
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複合性局所疼痛症候群1型(complex regional pain syndrome CRPS)
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四肢の疼痛、皮膚色変化、皮膚温の変化、浮腫、可動域制限などの症候を呈するまれな症候群。
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手掌屈筋鍵炎
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糖尿病患者の5-33%に認められる。長期に罹患した女性に多く、利き手側の母指に頻度(75%)が高いが、どの指にもみられる。
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Dupuytren拘縮
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手掌筋膜の短縮と肥厚(有痛性結節)を生じ、第4、5指の屈曲拘縮を呈する。1型糖尿病で長期に罹患した患者に多いが、血糖コントロールとの関係はない。
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手根管症候群
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手根管症候群の全患者の最大15%に糖尿病を認める。
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広汎性特発性骨増殖症(diffuse idiopathic skeletal hyperostosis DISH)
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2型糖尿病患者の約20%にみられ、50才以上の肥満患者に多い。頭部、腰部のこわばリ、関節の可動域制限を呈する。全身の腱付着部痛を呈することもある。
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その他
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感染性関節炎や骨髄炎
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血糖上昇による免疫力低下が感染症リスクを上昇させることによる
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診断
血糖値検査による分類
正常 糖尿病型
空腹時血糖値 <110mg/dL ≧126mg/dL
and or
75g OGTT2時間値 <140mg/dL ≧200mg/dL
- 正常型であっても、食後1時間値が180mg/dL(10.0mmol/l)以上の場合には、180mg/dl未満のものに比べて糖尿病に進展する可能性が高いので、境界型に準じた取り扱い(経過観察)を行う(参考1)。
診断基準
- 参考2-4
- 1) 初回検査で、①空腹時血糖値≧126mg/dl、②75gOGTT2時間値≧200mg/dl、③随時血糖値≧200mg/dl、④HbA1c(国際標準値)≧ 6.5%のうちいずれかを認めた場合は、「糖尿病型」と判定する。別の日に再検査を行い、再び「糖尿病型」が確認されれば糖尿病と診断する。但し、HbA1cのみの反復検査による診断は不可とする。また、血糖値とHbA1cが同一採血で糖尿病型を示すこと(①~③のいずれかと④)が確認されれば、初回検査だけでも糖尿病と診断してよい。
- 2)血糖値が糖尿病型(①~③のいずれか)を示し、かつ次のいずれかの条件がみたされた場合は、初回検査だけでも糖尿病と診断できる。
- 糖尿病の典型的症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)の存在
- 確実な糖尿病網膜症の存在
- 3)過去において、上記1)ないしは2)の条件がみたされていたことが確認できる場合には、現在の検査値が上記の条件に合致しなくても、糖尿病と診断するか、糖尿病の疑いを持って対応する必要がある。
- 4)上記1)~ 3)によっても糖尿病の判定が困難な場合には、糖尿病の疑いをもって患者を追跡し、時期をおいて再検査する。
- 5)初回検査と再検査における判定方法の選択には、以下に留意する。
- 初回検査の判定にHbA1cを用いた場合、再検査ではそれ以外の判定方法を含めることが診断に必須である。検査においては、原則として血糖値とHbA1cの双方を測定するものとする。
- 初回検査の判定が随時血糖値≧200mg/dlで行われた場合、再検査は他の検査方法によることが望ましい。
- HbA1cが見かけ上低値になり得る疾患・状況の場合には、必ず血糖値による診断を行う。
[show details]
- 以前の記事
- 1. 以下のいずれかの検査を行い、基準値を超えていれば糖尿病型と判定
- (1)空腹時血糖値 :≧126mg/dl
- (2)75g OGTT2時間値:≧200mg/dl
- (3)随時血糖値 :≧200mg/dl
- 2. 1.で2回続けて(別の日に行う。異なる検査項目が好ましい)糖尿病型と判定されるか、1.で1回糖尿病型と判定されかつ、以下の条件を満たすとき、「糖尿病」と診断する
- a. 糖尿病の典型的症状が存在すること
- b. HbA1c≧6.5%
- c. 糖尿病性網膜症が存在すること
- d. 過去に糖尿病型を示した資料(検査データ)がある場合
予後
- 糖尿病の死因の一位は心筋梗塞(Q book p.259)。
USMLE
高血圧と糖尿病を合併する病態
参考
- http://www.uemura-clinic.com/dmlecture/newcriteria.htm
- http://d.hatena.ne.jp/bonbokorin/20100608/p1
- 3. 糖尿病の新しい診断基準を7月に施行 日本糖尿病学会-糖尿病NET-資料室
- http://www.dm-net.co.jp/calendar/2010/010167.php
- 4. 委員会報告 糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告 2010
- http://www.jds.or.jp/jds_or_jp0/uploads/photos/635.pdf
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/08/08 22:44:09」(JST)
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糖尿病のデータ |
ICD-10 |
E10-E14 |
統計 |
|
世界の患者数 |
約1億8000万人
(2006年推定患者数) |
日本の患者数 |
約700万人
(2005年推定患者数) |
学会 |
日本 |
日本糖尿病学会 |
イギリス |
The British Diabetic Association |
アメリカ |
American Diabetes Association |
ドイツ |
Deutsche Diabetes-Gesellschaft |
フランス |
Association Française des Diabétiques |
ブラジル |
Sociedade Brasileira de Diabetes |
スペイン |
Fundación para la Diabetes |
ラテンアメリカ |
American Diabetes Association Español |
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"糖尿病 " |
分類及び外部参照情報 |
世界糖尿病デーのシンボルマーク「ブルーサークル」[1]
|
ICD-10 |
E10–E14 |
ICD-9 |
250 |
MedlinePlus |
001214 |
eMedicine |
med/546 emerg/134 |
Patient UK |
[http://www.patient.co.uk/doctor/management-of-type-1-diabetes "糖尿病
"] |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
糖尿病(とうにょうびょう、拉,独,英:diabetes mellitus)は、血糖値(血液中のグルコース(ブドウ糖)濃度)が病的に高い状態をさす病名である。ひとことに血糖値が高いと言っても、無症状の状態から、著しいのどの渇き・大量の尿を排泄する状態、さらには意識障害、昏睡に至るまで様々であるが、これらをすべてまとめて、血糖値やヘモグロビンA1c値が一定の基準を超えている場合を糖尿病という。糖尿病は高血糖そのものによる症状を起こすこともあるほか、長期にわたると血中の高濃度のグルコースがそのアルデヒド基の反応性の高さのため血管内皮のタンパク質と結合する糖化反応を起こし、体中の微小血管が徐々に破壊されていき、目、腎臓を含む体中の様々な臓器に重大な障害(糖尿病性神経障害・糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症の微小血管障害)を及ぼす可能性があり、糖尿病治療の主な目的はそれら合併症を防ぐことにある。
1674年、イギリスの臨床医学者トーマス・ウィリスはヨーロッパで当時奇病とされていた多尿症の研究をしていた。ウィリスは尿に含まれる成分を何としても知りたいと考え、患者の尿を舐めてみたところ、甘かったことが本病確認のきっかけとされている[2]。
東洋医学では消渇と呼ばれる。
なお、腎臓での再吸収障害のため尿糖の出る腎性糖尿は別の疾患である。
目次
- 1 概要
- 2 疫学
- 2.1 発症リスクに関する研究
- 2.2 世界糖尿病デー
- 3 分類
- 3.1 1型糖尿病
- 3.2 2型糖尿病
- 3.3 遺伝因子として遺伝子異常が同定されたもの
- 3.4 続発性糖尿病
- 3.5 妊娠糖尿病
- 4 症状
- 4.1 糖尿病合併症
- 4.2 アルツハイマー型認知症
- 4.3 悪性腫瘍
- 5 検査
- 6 診断
- 7 治療
- 7.1 運動療法のメカニズム
- 7.1.1 インスリン非依存性の糖の取り込み
- 7.1.2 糖の取込み促進とインスリン抵抗性の改善
- 8 歴史
- 9 脚注
- 10 参考文献
- 11 関連項目
- 12 外部リンク
概要
血液中のブドウ糖濃度(血糖値、血糖)は、様々なホルモン(インスリン、グルカゴン、コルチゾールなど)の働きによって正常では常に一定範囲内に調節されている。いろいろな理由によってこの調節機構が破綻すると、血液中の糖分が異常に増加し、糖尿病になる。糖尿病は大きく1型と2型にわけられるが、これはこの調節機構の破綻の様式の違いを表している。1型糖尿病では膵臓のβ細胞が何らかの理由によって破壊されることで、血糖値を調節するホルモンの一つであるインスリンが枯渇してしまい、高血糖、糖尿病へと至る。一方2型糖尿病では、血中にインスリンは存在するのだが肥満などを原因としてインスリンの働きが悪くなるか、あるいは自己免疫的に破壊された訳ではないが膵臓のβ細胞からのインスリン分泌量が減少し、結果として血糖値の調整がうまくいかず糖尿病となる。その他にも、妊娠糖尿病をはじめとして発症機序の違いに基づくいくつかの病名があって、これらをひとまとめにしている糖尿病は病名というより症候群と言ったほうが適切である。
「糖尿病」の名称は、血糖が高まる結果、尿中に糖が排出されることに由来する。しかし尿中に糖が排出されること自体は大きな問題ではない。1型糖尿病の場合、放置すると容易に急激な高血糖と生命の危険も伴う意識障害を来す糖尿病性ケトアシドーシスを引き起こしかねないため、インスリン注射などの積極的な治療により強力に血糖値を下げることが基本的な治療目標となる。一方2型糖尿病においては1型ほど血糖値が上昇することは通常ないが、治療せず長期に放置すると糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症などの糖尿病慢性期合併症の起こる頻度が多くなるため、生活習慣の是正、経口血糖降下薬やインスリン注射により血糖値をある程度下げることによってこのような合併症を引き起こすことを防ぐことが治療目標である。糖尿病は心臓病や脳血管障害の発症の危険因子でもある[3]。長期的に落ち着いている1型糖尿病においては、やはり治療目標は2型と同様のものになる。妊娠糖尿病においては、妊婦の高血糖を原因として胎児奇形や妊産婦合併症の頻度が高くなる理由となるので、それを防ぐために血糖値を下げる治療をするのである。 平成14年度に行われた厚生労働省の調査では、糖尿病が強く疑われる人の割合は、20歳以上の男性全体で12.8%であり、20歳以上の女性全体で6.5%であった。糖尿病が強く疑われ、現在治療を受けている人で合併症を併発している人の割合は、神経障害で15.6%、網膜症で13.1%、腎症で15.2%、足壊疽で1.6%であった。また、加齢と糖尿病は関連があり、糖尿病が強く疑われる男性の割合は、20-29歳で0%、30-39歳で0.8%、40-49歳で4.4%、50-59歳で14.0%、60-69歳で17.9%、70歳以上21.3%であった。さらに、肥満と糖尿病は関連があり、40-59歳の男性で、糖尿病が強く疑われる人の割合は、BMI18.5-22で5.9%、BMI22-25で7.7%、BMI25-30で14.5%、BMI30以上で28.6%であった。なお、加齢を重ねていない20-39歳の男性ではこのような大きな差は出ていなかった[3]。
1971年から1980年のデータで糖尿病患者と日本人一般の平均寿命を比べると男性で約10年、女性では約15年の寿命の短縮が認められた[4][5]。このメカニズムとして高血糖が生体のタンパク質を非酵素的に糖化させ、タンパク質本来の機能を損うことによって障害が発生する。この糖化による影響は、例えば血管の主要構成成分であるコラーゲンや水晶体蛋白クリスタリンなど寿命の長いタンパク質ほど大きな影響を受ける。例えば白内障は老化によって引き起こされるが、血糖が高い状況ではこの老化現象がより高度に進行することになる[4]。同様のメカニズムにより動脈硬化や微小血管障害も進行する。また、糖化反応により生じたフリーラジカル等により酸化ストレスも増大させる[6]。
疫学
2000年における世界の糖尿病罹患率(千人あたり)。世界平均は2.8%である。
no data
≤ 7.5
7.5–15
15–22.5
22.5–30
30–37.5
37.5–45
|
45–52.5
52.5–60
60–67.5
67.5–75
75–82.5
≥ 82.5
|
2004年の100,000人あたりの糖尿病の障害調整生命年 (DALY)
No data
<100
100–200
200–300
300–400
400–500
500–600
|
600–700
700–800
800–900
900–1,000
1,000–1,500
>1,500
|
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|
世界における肥満の割合(男性:左、女性:右) [7]
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1961年(左)及び2001–2003年(右)における摂取エネルギー(kcal/人/日)の状況 [8]
no data
<1600
1600–1800
1800–2000
2000–2200
2200–2400
2400–2600
|
2600–2800
2800–3000
3000–3200
3200–3400
3400–3600
>3600
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|
世界保健機関 (WHO) によると、2006年の時点で世界には少なくとも1億7100万人の糖尿病患者がいるという。患者数は急増しており、2030年までにこの数は倍増すると推定されている。糖尿病患者は世界中にいるが、先進国ほど(2型の)患者数が多い。しかしもっとも増加率の高い地域はアジアとアフリカになるとみられており、2030年までに患者数が最多になると考えられている。発展途上国の糖尿病は、都市化とライフスタイルの変化にともなって増加する傾向があり、食生活の西欧化よりも、糖質の多量摂取と運動量のバランスを欠く生活が長期間続くと発病する可能性がある。このことから糖尿病には(食事など)生活環境の変化が大きくかかわってくると考えられる。
先進国において、糖尿病は10大(あるいは5大)疾病となっており、他の国でもその影響は増加しつつある。米国を例にとると、北米における糖尿病比率は、少なくともここ20年間は増加を続けている。2005年には、米国だけでおよそ2080万人の糖尿病患者がいた。全米糖尿病協会[9]によると、620万人の人々がまだ診断を受けておらず、糖尿病予備軍は4100万人にまで及ぶ。
2012年時点の全世界での糖尿病罹患率は8.3%であり、日本では5.1%である[10]。
白髪の髪に白髪でない眉を持つ50~70歳代の人々は、髪・眉共に白髪である人々と比べて、成人性糖尿病を持つ人々との相関関係を持っていることが示された[11]。
日本国内の患者数は、この40年間で約3万人から700万人程度にまで増加しており、境界型糖尿病(糖尿病予備軍)を含めると2000万人に及ぶとも言われる。厚生労働省発表によると、2006年11月時点の調査データから、日本国内で糖尿病の疑いが強い人は推計820万人であった。
厚生労働省の2006年の人口動態統計によれば、全国の死亡率の都道府県ワースト1位は1993年から14年連続で徳島県である(10万人当たり19.5人、ちなみに最低は愛知県で7.5人)。特定の疾患等による死亡率で10年以上継続して、同一の県が1位で最低値と3倍近い差があるのは他にあまり例を見ない(他の地域的な高率としては、精神医療の分野において、秋田県が1995年から2006年まで12年連続自殺率1位であることなどが挙げられる。秋田県の自殺率、すなわち人口10万人当たりの自殺者数は42.7人で、全国平均は23.7人である)。糖尿病は生活習慣病の一種であるため、治療型から保健指導型の予防医療への転換を図らない限り、その死亡率を劇的に下げることは難しい。徳島県は医療機関数・医師数などが全国平均よりも高い県であるため、徳島県医師会や医療機関、徳島県その他行政機関及び地域住民の糖尿病予防に対する知識と意識の低さが要因として毎年指摘されている。徳島県は2005年11月に「糖尿病緊急事態宣言」を宣言したが、2006年時点では10万人当たりの死亡率は前年の18.0人から19.5人に悪化し、2007年時点では14.2人と改善した。また徳島県では20歳以上の男性の37.2パーセントが肥満であり、全国平均の28.4パーセントを上回っている。
なお、厚生労働省の2007年の人口動態統計(概数)によれば、徳島県はワースト1位を15年ぶりに脱し、平均14.2人(人口10万人当たり死亡率)ワースト6位になった(全国平均は11.1人)
糖尿病の四大原因は、加齢、遺伝、肥満、運動不足と言われているが、徳島県に限らず、公共交通機関が少ないマイカー頼みの地方社会が死亡率が高い傾向がある。
2006年は、徳島県を筆頭に、2位鹿児島県(14.2人)、3位福島県(14.1人)、4位鳥取県(13.7人)、5位青森県(13.6人)がワースト5であり、逆に東京都(9.9人)の他、岐阜県(9.5人)、長崎県(9.5人)、大分県(9.5人)、宮崎県(9.3人)、滋賀県(9.1人)、埼玉県(8.9人)、奈良県(8.5人)、神奈川県(8.4人)、愛知県(7.5人)の10都県が10万人当たりの死亡率が10人を下回る。際立った地域格差が見られるのも糖尿病死亡率の特徴である。死亡率の低い地域に九州の高齢者が多い地域も入っていることから、加齢や遺伝以外にも、食習慣や運動習慣が大きく影響することは以前より指摘されている。死亡率の高い県は、きめ細かい分析と対応に早急に取り組み、なおかつ、それを根気よく継続していく必要に迫られている。
発症リスクに関する研究
さまざまな研究がなされている研究の一例を列挙する。
- 糖尿病になりやすくなる環境因子としては、圧倒的な危険因子として肥満[12]が挙げられるほか、喫煙[13]や運動不足[14]などがある。
- 20歳から体重が5kg以上増加した群で糖尿病発症のリスクが上昇[15]。
- コホート研究によって筋肉労働や激しいスポーツをしない人が多量の米飯を摂取することで糖尿病リスクを上昇させていることが報告されている[16]。
- 亜鉛の欠乏が糖尿病の発症リスクを高めるとする報告がある[17]。
- 「マグネシウム摂取量が関与している」との報告があり[18]、インスリン抵抗性、慢性炎症、飲酒習慣を有する患者では摂取量の上昇が発症抑制に効果があるとされている。しかし、一方で、マグネシウム摂取量と糖尿病発症との関連なしとの報告がある[19]。
- 2010年のハーバード大学によるシステマティック・レビューとメタ分析によると、赤肉とくにハムやソーセージの加工肉の摂取量の増加は、糖尿病と冠動脈疾患のリスクの増加に関連付けられている[20]。2010年のハーバード大学の研究で約20万人に対するコホート調査で1日あたり白米を50グラム玄米に置き換えることで、2型糖尿病のリスクが16%低下する[21]。また、妊娠前にファーストフードを頻繁に食べた場合、糖尿病罹患リスクが増大することが報告されている[22]。
- 女性ではコーラや果汁飲料などの清涼飲料水の飲用量が多いほど糖尿病の発症リスクが高いとの報告がある。多量の清涼飲料水の摂取は、急激な血糖・インスリン濃度の上昇をもたらし、耐糖能異常、インスリン抵抗性にもつながる可能性が指摘されている[23]。
- 野菜や果物の摂取は全体としては糖尿病発症リスクとの関連は認められないが、男性の過体重(BMI25以上)もしくは喫煙習慣のある人では野菜、特にアブラナ科の野菜を多く摂取しているグループで糖尿病リスクの若干の低下が示唆された[24]。
- 歯周病は、心筋梗塞やバージャー病、肋間神経痛、三叉神経痛、糖尿病と密接な関係にあることが、ごく最近の研究で確認された。糖尿病ではPorphyromonas gingivalis感染が分泌を促進する腫瘍壊死因子(TNF-α)によって、糖尿病が増悪され、この糖尿病によって歯周病が増悪されるという負の連鎖が起こる。これは「歯周病菌連鎖」や「歯周病連鎖」と呼ばれている[25]。
- コーヒーをよく飲む人たちでは糖尿病発症のリスクが低くなる傾向が見られた[26]。
- 糖や炭水化物主体の食生活を繰り返すことにより食後高血糖とインスリン分泌過多を繰り返すことによるインスリン抵抗性となり、インスリンの効きが悪くなり高血糖を維持、尿に糖が排出されることが分かっている。また食後高血糖とインスリン分泌過多を繰り返すことにより、膵臓のランゲルハンス島β細胞が少しずつ死滅し、インスリン分泌能力が低下する。
- 果物の摂食は2型糖尿病の発症リスクを低くするが、ジュースにした場合は逆に発症リスクを高める[27]。
世界糖尿病デー
詳細は「世界糖尿病デー」を参照
世界糖尿病デーのブルーライトアップをしている萬代橋
上述の通り、現在、糖尿病を世界の成人人口の約5~6パーセントが抱えており、その数は増加の一途を辿っている。また糖尿病による死者数は、後天性免疫不全症候群 (AIDS) による死者数に匹敵し、糖尿病関連死亡は、AIDSのそれを超えると推計している。このような状況を踏まえ国際連合は、国際糖尿病連合 (IDF) が要請してきた「糖尿病の全世界的脅威を認知する決議」を2006年12月20日に国連総会で採択し、インスリンの発見者であるバンティング博士の誕生日である11月14日を「世界糖尿病デー」に指定した。日本でも、2007年11月14日には東京タワーや鎌倉大仏、通天閣などを「世界糖尿病デー」のシンボルカラーである青にライトアップし、糖尿病の予防、治療、療養を喚起する啓発活動が展開された。
なお、国連が「世界○○デー」と疾患名を冠した啓発の日を設けたのは、12月1日の「世界エイズデー」に続き「世界糖尿病デー」が2つ目である。
分類
糖尿病は、以下に挙げられているように、発症の機序(メカニズム)によって分類されている。以前は治療のやり方によって「インスリン依存型糖尿病」あるいは「インスリン非依存型糖尿病」に分類されていたことがあった。さらにそれより以前には、I型糖尿病、II型糖尿病とローマ字を使って分類されていた。しかし2010年現在ほぼ世界中すべてにおいて、以下のように病気の原因に基づく分類が用いられている。ここでは日本糖尿病学会分類基準(1999年)にしたがって分類している。
1型糖尿病
詳細は「1型糖尿病」を参照
1型糖尿病(いちがたとうにょうびょう、ICD-10:E10)は、膵臓のランゲルハンス島でインスリンを分泌しているβ細胞が死滅する病気である。その原因は主に自分の免疫細胞が自らの膵臓を攻撃するためと考えられているが(自己免疫性)、まれに自己免疫反応の証拠のない1型糖尿病もみられる(特発性)。
一般的に「生活習慣が悪かったので糖尿病になりました」と言う場合、1型糖尿病を指すことはほとんどない。患者の多くは10代でこれを発症する。血糖を下げるホルモンであるインスリンの分泌が極度に低下するかほとんど分泌されなくなるため、血中の糖が異常に増加し糖尿病性ケトアシドーシスを起こす危険性が高い。そのためインスリン注射などの強力な治療を常に必要とすることがほとんどである。
2型糖尿病
2型糖尿病(にがたとうにょうびょう、ICD-10:E11)は、インスリン分泌低下と感受性低下の二つを原因とする糖尿病である。一般的に「生活習慣が悪かったので糖尿病になりました」と言う場合、この2型糖尿病を指す。欧米では感受性低下(インスリン抵抗性が高い状態)のほうが原因として強い影響をしめすが、日本では膵臓のインスリン分泌能低下も重要な原因である。少なくとも初期には、前者では太った糖尿病、後者ではやせた糖尿病となる。遺伝的因子と生活習慣がからみあって発症する生活習慣病で、日本では糖尿病全体の9割を占める。
2型糖尿病が発症する原因は完全に明らかではないが、大筋を言うと、遺伝的に糖尿病になりやすい体質(遺伝因子)の人が、糖尿病になりやすいような生活習慣を送ること(環境因子)によって2型糖尿病になると考えられている。遺伝的な原因としては、KCNQ2[28][29]、PPARG、KCNJ11、TCF2L7[30] [31][32]などとい った遺伝子上の配列の違いによって、同じような生活習慣を送っていても、ある人は糖尿病が起こりやすく、別の人は起こりにくくなるという違いがあることがわかってきている。また、日本で欧米と比較して多く見られるインスリン分泌能低下を主要因とするやせ型糖尿病の原因遺伝子としてKCNJ15が挙げられていて、日本人において発見されたこの遺伝子上の危険因子となる配列は欧米人にはきわめてまれであると報告されている[33]。
慢性に高血糖が持続すると膵β細胞機能が障害されると共に、過剰な血糖をグリコーゲンに転換して蓄える筋肉や肝臓、脂肪に転換して蓄える脂肪組織においてもインスリン抵抗性が生じて更なる高血糖をもたらし、これがインスリン分泌不全、インスリン抵抗性を更に増悪させ、糖尿病状態を一層悪化させる状態が糖毒性として取り上げられている[34]。 インスリン抵抗性などによって生じた高血糖状態は、膵β細胞内において、大量の活性酸素種の生成やタンパク質とグルコースとの糖化反応を引き起こす。一般に糖毒性と呼ばれるこの現象は、β細胞のインスリン含量の減少やβ細胞数の減少を引き起こすと考えられる[35]。
さらに血中遊離脂肪酸の上昇がみられる肥満では肥大した脂肪細胞から種々のサイトカインや脂肪酸が分泌され、遊離脂肪酸が膵β細胞機能を障害すると共に、インスリン抵抗性が増強される状態が脂肪毒性として取り上げられている[34]。
遺伝因子として遺伝子異常が同定されたもの
1型、2型の糖尿病は、その原因が完全に明らかである訳ではない。いっぽうこの項目に分類される疾患は、特定の遺伝子の機能異常によって糖尿病が発症している、という原因がわかっている糖尿病である。頻度はきわめてまれ。いずれも比較的若年(一般的に25歳以下)に発症し、1型ほど重症ではなく、強い家族内発症がみられるという特徴があるが、臨床所見は大きく異なる。
- 若年発症成人型糖尿病[36]
- 純粋に糖尿病のみを来すメンデル遺伝疾患で、常染色体優性遺伝を示す。内服薬による治療が奏効する場合が多い
- MODYにはMODY1 - 6という6種類の病型が知られている。MODY1では肝細胞核転写因子 (HNF) 4αを、MODY2ではグルコキナーゼを、MODY3ではHNF1αを、MODY4ではインスリンプロモーター因子 (IPF) 1を、MODY5ではHNF1βを、MODY6ではneuroD1をコードする遺伝子にそれぞれ変異が認められる。
- ミトコンドリア遺伝子異常
- そのメカニズム通り(参考: ミトコンドリアDNA)母方のみから遺伝し、難聴を伴うMIDD[37] 、最重症型で脳卒中・乳酸アシドーシスなどを来すMELASなど多彩な病像を呈する。
- ミトコンドリア遺伝子異常にはいくつかの変異ポイントがあるが、最多のものは3243A->G変異である。
- インスリン受容体異常症
- 黒色表皮腫や体毛が濃いなどの特徴的な体格がみられる。糖尿病として診断されるのはヘテロ接合型の患者であり、ホモ接合型では乳児期以降まで生存しない。
- インスリン自体の遺伝子異常
- 報告されているが極めてまれである。
いずれも診断にはゲノムDNAやミトコンドリアDNAを検体とした特殊な検査が必要である。
続発性糖尿病
続発性糖尿病(ぞくはつせいとうにょうびょう、二次性糖尿病)(ICD-10:E13)は、他の疾患によって引き起こされる糖尿病である。以下に挙げたものは代表的な疾患で、ほかにも原因となる疾患は存在する。
- グルカゴンを異常分泌するグルカゴン産生腫瘍
- 糖質コルチコイド作用が異常増加するクッシング症候群、原発性アルドステロン症
- アドレナリンを異常分泌する褐色細胞腫
- 成長ホルモンを異常分泌する成長ホルモン産生腫瘍(先端巨大症)
- 肝硬変
- 慢性膵炎、ヘモクロマトーシス、膵癌
- 筋緊張性ジストロフィー
- 薬剤性(サイアザイド系利尿薬、フェニトイン、糖質コルチコイド(ステロイド)など)
- ステロイド糖尿病
詳細は「ステロイド糖尿病」を参照
ステロイド糖尿病は、膠原病などでステロイドを長期に内服したことによって生じる続発性糖尿病である。ステロイド(糖質コルチコイド)作用の、肝臓の糖新生亢進作用、末梢組織のインスリン抵抗性の亢進、食欲増進作用が関わっているとされる。ステロイドを減量すれば軽快する。ステロイド糖尿病では通常の糖尿病と異なり、網膜症などの血管合併症が起こりにくいとされる。食後高血糖のパターンをとることが多く、入院中ならばインスリンやαGIといった経口剤を用いることが多い。
妊娠糖尿病
詳細は「妊娠糖尿病」を参照
妊娠糖尿病は、妊娠中のみ血糖値が異常となる症状をいう。ICD-10:O24.4、O24.9。2型糖尿病とは異なる病気であることに注意を要する(必ずしも「生活習慣の悪い妊婦」がなるわけではない)。
原因としては、妊娠中に増加するホルモンであるhPLやエストロゲン、プロゲステロンなどがインスリン抵抗性を悪化させることによる。一般には、出産後に改善する。一方、もともと糖尿病患者が妊娠した場合は、糖尿病合併妊娠と呼ばれる。とは言え、もともと糖尿病であったかどうかを完全に確認できているわけではなく、妊娠糖尿病で発症し、分娩後もそのまま糖尿病が治らないこともままある。基本的に食事療法が行われるが、改善しない場合、後述の胎児へのリスクもあり、また飲み薬は催奇形性の懸念があるためインスリン注射療法を行うことになる。胎児への影響があるため、通常時より厳格な管理を必要とし、六分食やインスリン持続皮下注 (CSII) などを行うこともある。
妊娠糖尿病では先天異常のリスクが高まるが、妊娠初期から正常血糖を保っていれば、通常の妊娠と同等である。早産も多く、羊水過多、妊娠高血圧症候群の頻度も高いハイリスク妊娠のひとつである。妊娠糖尿病では巨大児になりやすいため、難産になりやすい。また妊娠糖尿病では中枢神経系よりも身体の発育が良いので、出産のときに頭が通っても肩が通らない肩甲難産になりやすい。そのため、分娩が長引く場合は帝王切開が良い。
症状
通常糖尿病患者は自覚症状はないと考えることが多い。しかし、よくよく話を聞いてみると、下記に列挙するような手足のしびれや便秘などが実はあるのだが、特別な症状と考えていないことがある。血糖値がかなり高くなってくると、口渇・多飲・多尿という明白な典型的症状が生じる。これらは血糖値が高いということをそのまま反映した症状なので、治療により血糖値が低下するとこれらの症状は収まる。血糖値がさらに高くなると、重篤な糖尿病性昏睡を来たし、意識障害、腹痛などをきたすこともある。いっぽう発症初期の血糖高値のみでこむら返りなどの特異的な神経障害がおこることがある。また発症初期に急激に血糖値が上昇した場合、体重が減少することが多い(血液中に糖分が多い一方、脂肪細胞などは糖分が枯渇した状態になるためである)。
その他の症状は、たいてい糖尿病慢性期合併症にもとづくものである。
糖尿病合併症
- 糖尿病性網膜症を発症すると視力が低下する
- 糖尿病性腎症によって最終的にはむくみや乏尿、全身倦怠感など種々の症状が出現する。
- 糖尿病性神経障害には2種類あって、末梢神経障害によって手足のしびれなどがおこる一方、自律神経障害がおこると便秘、立ちくらみ、勃起不全などの原因となる。
- 糖尿病は皮膚にも糖尿病性リポイド類壊死をはじめとする様々な合併症を引き起こすことがあって、それに伴う症状が出現することがある。
これらのような糖尿病に典型的な合併症に加えて、敗血症、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症、脳梗塞も糖尿病においてはきわめて起こりやすい[38]ので、それらの病気に由来する症状を起こすことがある。
詳細は「糖尿病慢性期合併症」を参照
症状そのものも重要だが、「あるべき症状を感じないことがある」ことも糖尿病の重要なポイントである。すなわち、神経障害が起こった状態での心筋梗塞がそれである。心筋梗塞は通常激しい胸痛を伴うので、患者はすぐさま医療機関への受診へと至り治療を行うことになる。ところが糖尿病がある場合、この重要な警告情報である「胸痛」を感じないことがあって、「無痛性心筋梗塞」と呼ばれる。これは自覚症状がないので早期の治療を困難にし、知らぬ間に心不全や死亡に至ることがある。同様のこととして、末梢神経障害があるので、手足の先で温度を感じる機能がにぶくなったため、こたつやあんかなどで低温やけどを来すことがある。この場合、糖尿病はさらに閉塞性動脈硬化症を併発していたりして、手足への血液(これは栄養そのものである)の供給が不十分であると、傷ついた手足の皮膚を修復できず、傷がどんどん広がって巨大な足潰瘍に至り足切断をしなければならなくなる。
アルツハイマー型認知症
糖尿病はアルツハイマー型認知症のリスク要因となっている[38]。インスリンの分泌を増やす糖質中心の食習慣、運動不足、内臓脂肪過多がアルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドベータの分解を妨げているとしている。アミロイドベータも分解する能力のあるインスリン分解酵素が糖質中心の食生活習慣によって血中のインスリンに集中的に作用するため、脳でのインスリン分解酵素の濃度が低下し、アミロイドベータの分解に手が回らずに蓄積されてしまうとしている。
悪性腫瘍
1998年の久山町の調査では、糖尿病は悪性腫瘍死の発生のリスクを有意に増大させ、高血糖の程度を示すヘモグロビンA1cの高値の者ほど胃がんの発生率が高かった。糖尿病及び高血糖は悪性腫瘍の重要な危険因子である[38]。糖尿病と診断されたことのある人はない人に比べ20-30%ほど、後にがんになりやすくなる傾向があり、男性では肝がん、腎臓がん、膵がん、結腸がん、胃がん、女性では胃がん、肝がん、卵巣がんでこの傾向が強かった[39]。C-ペプチドは、インスリン生成の際、インスリンの前駆体であるプロインスリンから切り放された部分を指すが、男性では、C-ペプチド値が高いと大腸癌リスクが高くなる。C-ペプチドは男性の結腸癌と関連がある[40]。
検査
詳細は「糖尿病の検査」を参照
糖尿病の診断や治療効果判定のためには血液検査のほかに様々な検査を行う。また慢性期合併症の治療目的で行われることもある。
イノシトール(myo-イノシトール)はグルコースと類似の構造を持つ糖アルコールであり、ホスファチジルイノシトールを加水分解することで得られるインスリンメッセンジャーである。[41]イノシトールは、通常糸球体より排泄され、尿細管で再吸収されるが、高血糖状態においては、グルコースと競合するため、再吸収されず尿中排泄量が増加する。その結果、体内のイノシトール量が低下し、ポリオール代謝異常によって、神経症の成因となる。[42]
診断
詳細は「糖尿病の診断」を参照
日本では、日本糖尿病学会が2010年7月より新しい診断基準を施行した。(従来の診断基準は1999年に施行されたもの)
新基準では、血糖値だけでなくヘモグロビンA1c(HbA1c)の基準も設けられた。
血糖値(空腹時血糖値、75gOGTT2時間後血糖値、随時血糖値)及びHbA1cの検査結果で判定を行う。
|
空腹時血糖(mg/dl) |
75gOGTT2時間後血糖(mg/dl) |
随時血糖値(mg/dl) |
HbA1c(%) |
糖尿病型 |
126以上 |
200以上 |
200以上 |
6.5%以上(JDS値では6.1%以上) |
- 一回目の判定で糖尿病と診断されるケース
- 血糖値とHbA1cがともに糖尿病型だった場合
- 血糖値のみが糖尿病型であり、口渇や多飲、多尿など糖尿病の典型症状や糖尿病性網膜症がみられる場合
- 二回目の判定で糖尿病と診断されるケース
- 一回目では血糖値のみが糖尿病型。二回目で血糖値、HbA1cのいずれか(若しくは両方)が糖尿病型だった場合
- 一回目ではHbA1cのみが糖尿病型。二回目で血糖値が糖尿病型だった場合
血糖値、HbA1cのいずれかが糖尿病型だったにもかかわらず、上記以外ケースで糖尿病と診断にいたらなかった場合は「糖尿病疑い」とされる。糖尿病疑いの人は3~6か月以内の再検査が推奨され、その時点で再度判定することになる。
治療
詳細は「糖尿病の治療」を参照
概要としては以下のとおりである。
- 糖尿病の治療は分類、または重症度(進行度)によって異なる。
- 1型糖尿病においては早期から強力なインスリン治療(強化インスリン療法や持続的インスリン皮下注射)を行う。
- 2型糖尿病に対しては様々なパターンの治療が行われる。
- まずは食事療法と運動療法が行われる。これによって血糖値が正常化するならそれで問題はない。
- 食事療法、運動療法で血糖値が正常化しない、もしくは最初から血糖値が高くてこれらの治療だけでは不十分と考えられるなら経口血糖降下薬あるいはGLP-1受容体作動薬を使用する
- 経口血糖降下薬あるいはGLP-1受容体作動薬でも血糖値が正常化しないならインスリン自己注射を開始する。ただし、経口血糖降下剤を経由せず、当初からインスリン自己注射を行うという考え方も存在する。
- 袖状胃切除術や十二指腸スイッチといった外科手術により、肥満や2型糖尿病を治療することもある[43]。
運動療法のメカニズム
詳細は「運動療法」を参照
インスリン非依存性の糖の取り込み
運動療法が細胞にグルコースを取り込ませ、血糖値を低下させるメカニズムは次のとおりである。運動が持続するとアデノシン三リン酸(ATP)が消費されてアデノシン二リン酸(ADP)が蓄積する。蓄積されたADPはアデニル酸キナーゼ(AMPキナーゼ)によってATPとアデノシン一リン酸(AMP)へ変換される。AMPは、AMPキナーゼに結合してこれを活性化する。活性化されたAMPキナーゼは、通常はインスリンにしか反応しないインスリン感受性のグルコーストランスポーターであるGLUT4を膜の表面へ移動させ、グルコースを骨格筋内の細胞に取り込む作用がある。この運動によるグルコース取り込みはインスリンによる取り込みとは関係しない[44]。このことから、1型糖尿病であっても、発症初期にはインスリン非依存状態で食事療法と運動療法で良好な血糖値が得られる場合がある[45][46]。
糖の取込み促進とインスリン抵抗性の改善
肝細胞は、食後直後に肝臓の重量の8 %(大人で100-120 g)までのグリコーゲンを蓄えることができる[47]。骨格筋中ではグリコーゲンは骨格筋重量の1-2 %程度の低い濃度でしか貯蔵できない。筋肉は、体重比で成人男性の42%、同女性の36%を占める[48]。このため体格等にもよるが大人で300g前後のグリコーゲンを蓄えることができる。グリコーゲンホスホリラーゼは、グリコーゲンをグルコース単位に分解する。グリコーゲンはグルコースが一分子少なくなり、遊離するグルコース分子は グルコース-1-リン酸となる[49]。グルコース-1-リン酸が代謝されるには、ホスホグルコムターゼによってグルコース-6-リン酸に変換される必要がある(詳細はグリコーゲンホスホリラーゼを参照のこと)。肝臓はグルコース-6-ホスファターゼを持ち、解糖系や糖新生でできたグルコース-6-リン酸のリン酸基を外すことができる。こうしてできたグルコースは血液中に放出され、他の細胞に運ばれる。グルコース-6-ホスファターゼは、グルコースの恒常性維持のための役割をもつ肝臓と腎臓で見られ、網状組織内部原形質の内膜に存在する(詳細はグルコース-6-ホスファターゼを参照のこと)。肝臓と腎臓以外の筋肉ではこの酵素を含んでおらず、グルコース-6-リン酸のリン酸基を外してグルコースに変換できないために細胞膜を通過することができず(詳細はグルコース-6-リン酸を参照のこと)、筋肉中のグリコーゲンは他臓器でグルコースとして利用することができず、筋肉自らのエネルギー源として使用される。経口的に摂取された糖の2-3割は骨格筋で利用されると言われているが、骨格筋の糖消費が十分でない場合には食後の血糖が上昇することとなる。このため、運動によるグリコーゲンの消費は骨格筋の糖取り込みを直接刺激するとともに、インスリン感受性も増強させる。また、継続的な運動により肥満が解消されれば、さらにインスリン抵抗性の改善につながる[46]。
歴史
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歴史上の人物と糖尿病
古代中世の世界では糖尿病の根本原因はわからなかった。しかし異常な喉の渇き、異常な頻尿がみられる症状を糖尿病の症状として正しく把握していた。糖尿病に関しての最古の記録は紀元前1550年頃のエジプトのパピルスに書かれた「尿があまりにもたくさん出る病気」という記述である。漢方の世界では「一斗ほどの水を飲み、一斗ほどの小便をする病=消渇病」という名前が糖尿病に与えられていた。「消渇」とは「食べ物が体内で消える・体内を通過してしまう」という意味である。古代ギリシャでも、「まるで魚のようにいつも水が必要になる病」として糖尿病がすでにとらえられていた。
中国史においては唐代に反乱を起こした安禄山(非常な肥満体型として知られる)が反乱の最中に失明などを引き起こしたのが糖尿病によるものではないかとする説がある。また前漢の武帝も糖尿病を患ったが、八味地黄丸などの漢方薬の投与によって治癒したとされている。漢方薬の世界では古代から消渇病=糖尿病に対して対処治療してきた蓄積があり、八味地黄丸、牛車腎気丸などの補腎薬が糖尿病に効果があるとされている。これはこれら補腎薬が膵臓の機能を回復させる働きをもつためである。また田七人参や朝鮮人参なども、血液を浄化し膵臓など内臓機能を回復させるため、漢方では糖尿病に効果があるとされてきた。
日本史上では藤原道長の晩年の健康状態を記した記録(藤原実資の日記「小右記」に見られる)が糖尿病の病態と酷似しており、糖尿病の日本での最古の記録に相当するのではないかと言われている[50]。また、道長の一族には「飲水」と呼ばれる病気が原因で死去するものが多かったと伝えられており、詳細は不明であるが患者はしばしば水を飲用したがる病状が見られるという記録からこれを糖尿病であると考えて、藤原摂関家には糖尿病の遺伝的要因があったのではとする学者もいる。この当時、酒の醸造技術が未熟で、酒には大量のアルコールに変化していない糖が含まれていた。日夜宴会に明け暮れ大量の飲酒の習慣を持ち、しかも糖質中心の食事、家人が労働のほとんどを受け持ち、極度の運動不足な(筋肉中のグリコーゲンを消費しない)生活をおくる貴族は常に糖尿病の危険性に晒されていた。
織田信長やJ.S.バッハ等も当時の文献に残された症状から、糖尿病だったのではないかと言われている。ちなみに信長は肥満体型ではなかったが、かなりの甘党であった。記録によると晩年の信長は喉渇と頻尿、さらに糖尿病由来と思われる神経痛に苦しめられていた。戦国時代同時期の73歳の長寿であった家康は食後の血糖値上昇を抑制する効果のある水溶性食物繊維(食物繊維を参照のこと)の豊かな麦飯を常食していた[51]。エジソン、セザンヌ、バルザックなども糖尿病に罹患していた可能性が高い。
近代日本においては明治天皇が、糖尿病の悪化と併発した尿毒症で崩御したことが知られている。明治天皇も信長と同様、肥満体型ではなかったが甘党であった。87歳の長寿であった昭和天皇は麦飯を常食していたと言われる(麦飯を参照のこと)。寿命に関した研究では、超高齢者に共通していたことは、体格は中程度で主食は麦飯であったこと、魚、大豆製品を主なタンパク質源として摂取していたこと、が指摘されている[52]。政治家では田中角栄、大平正芳、芸能人では山城新伍、根上淳、村田英雄などが糖尿病罹患者として知られている。
脚注
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- 『糖尿病治療ガイド2010』日本糖尿病学会編、ISBN 9784830613760
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- 『超速効! 糖尿病診療エクスプレス(下巻)』ISBN 4903331040
- 『Dr.東田の今さら聞けない病態生理 下巻』 ISBN 4903331083
- 渡辺敏明・福井徹 『糖尿病精密検査該当者における血清ビオチンと血糖との関連についての検討』 1995年 第12回 微量栄養素研究会シンポジウム PDF
- 『切手にみる糖尿病の歴史』堀田饒 ライフ・サイエンス出版 ISBN 978-4897753126
関連項目
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- カラダご医見番・ライフスタイル編(Number 253)卵の復権のお知らせ : 週4個で糖尿病リスク低下
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- 次の文を読み、58-60の問いに答えよ。
- 84歳の男性。両足の痛みを主訴に来院した。
- 現病歴 3年前から長い距離を歩くと両足が痛くなって休憩するようになった。徐々に歩ける距離が短くなってきた。現在では、自宅から300mのところにある畑まで歩くのに2回休憩する。動悸や労作時の息切れは自覚しておらず、歩行以外で日常生活には支障を感じていない。
- 既往歴 50歳から糖尿病のため食事療法と経口糖尿病薬の服用とを行っている。
- 生活歴 喫煙は20本/日を20歳から30年間であったが、その後禁煙している。飲酒は機会飲酒。
- 現症 意識は清明。身長 160cm、体重 51kg。体温 36.4℃。脈拍 72/分、整。血圧 154/82mmHg。眼瞼結膜に貧血を認める。眼球結膜に異常を認めない。心尖部で2/6度の収縮期雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。前脛骨部と足背部とに浮腫を認めない。
- 検査所見 尿所見:蛋白(-)、糖2+。血液所見: 赤血球 319万、Hb 7.1g/dl、Ht 24%、白血球 5,800、血小板 14万。血液生化学所見: 血糖 134mg/dl、HbA1c 6.8%、総蛋白 6.2g/dl、アルブミン 3.7g/dl、尿素窒素 25mg/dl、クレアチニン 0.9mg/dl、尿酸 6.4mg/dl、総コレステロール 146mg/dl、トリグリセリド 66mg/dl、総ビリルビン 0.3mg/dl、直接ビリルビン 0.1mg/dl、AST 17IU/l、ALT 9IU/l、LD 186IU/l(基準176-353)、ALP 242IU/l(基準115-359)、Na 139mEq/l、K 4.4mEq/l、Cl 107 mEq/l。CRP 1.3mg/dl。下肢MRA(別冊No.llA,B)と腰部単純MRI(別冊No.11C、D)とを別に示す。
- 貧血の原因を探るために検査を施行したところ、腫瘍が同定された。病期を確定するために行った腹部単純CT(別冊No.11E、F、G、H)とポジトロンエミッション断層撮影 FDG-PET(別冊No.11I)とを別に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [104G059]←[国試_104]→[104G061]
[★]
- 次の文を読み、58-60の問いに答えよ。
- 84歳の男性。両足の痛みを主訴に来院した。
- 現病歴 3年前から長い距離を歩くと両足が痛くなって休憩するようになった。徐々に歩ける距離が短くなってきた。現在では、自宅から300mのところにある畑まで歩くのに2回休憩する。動悸や労作時の息切れは自覚しておらず、歩行以外で日常生活には支障を感じていない。
- 既往歴 50歳から糖尿病のため食事療法と経口糖尿病薬の服用とを行っている。
- 生活歴 喫煙は20本/日を20歳から30年間であったが、その後禁煙している。飲酒は機会飲酒。
- 現症 意識は清明。身長 160cm、体重 51kg。体温 36.4℃。脈拍 72/分、整。血圧 154/82mmHg。眼瞼結膜に貧血を認める。眼球結膜に異常を認めない。心尖部で2/6度の収縮期雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。前脛骨部と足背部とに浮腫を認めない。
- 検査所見 尿所見:蛋白(-)、糖2+。血液所見: 赤血球 319万、Hb 7.1g/dl、Ht 24%、白血球 5,800、血小板 14万。血液生化学所見: 血糖 134mg/dl、HbA1c 6.8%、総蛋白 6.2g/dl、アルブミン 3.7g/dl、尿素窒素 25mg/dl、クレアチニン 0.9mg/dl、尿酸 6.4mg/dl、総コレステロール 146mg/dl、トリグリセリド 66mg/dl、総ビリルビン 0.3mg/dl、直接ビリルビン 0.1mg/dl、AST 17IU/l、ALT 9IU/l、LD 186IU/l(基準176-353)、ALP 242IU/l(基準115-359)、Na 139mEq/l、K 4.4mEq/l、Cl 107 mEq/l。CRP 1.3mg/dl。下肢MRA(別冊No.11A,B)と腰部単純MRI(別冊No.11C、D)とを別に示す。
- 貧血の原因を探るために検査を施行したところ、腫瘍が同定された。病期を確定するために行った腹部単純CT(別冊No.11E、F、G、H)とポジトロンエミッション断層撮影 FDG-PET(別冊No.11I)とを別に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [104G058]←[国試_104]→[104G060]
[★]
- 次の文を読み、65-67の問いに答えよ。
- 45歳の男性。めまい、嘔気および嘔吐を主訴に来院した。
- 現病歴 24歳から毎年健康診断を受けていたが、異常を指摘されたことはなかった。直近では6月14日に健康診断を受け、空腹時血糖98mg/dl、HbA1c5.1%であった。7月25日ころから軽い咳が出現し、7月30日に突然、口渇、多飲および多尿が出現した。8月1日にめまいが出現し、熱中症ではないかと自己判断して、スポーツ飲料を4リットル飲んだ。その夜から嘔気と嘔吐とが出現し、8月2日に受診した。
- 既往歴 5年前に痔瘻の手術。
- 生活歴 喫煙は20歳から15本/日を17年間。飲酒は機会飲酒。
- 家族歴 父が高血圧症、高尿酸血症および糖尿病で治療中である。母は胆嚢摘出術を受けている。
- 現症 意識は清明。身長171cm、体重58kg。体温36.8℃。呼吸数22/分。脈拍64/分、整。血圧102/68mmHg。甲状腺の腰大を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。
- 検査所見 尿所見:蛋白(-)、糖3+、ケトン体2+。血液所見:赤血球 468万、Hb 13.9g/dl、Ht 42%、白血球 12,300(好中球75%、好酸球1%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球17%)、血小板27万。血液生化学所見:血糖 610mg/dl、HbA1c 5.8%(基準4.3-5.8)、総蛋白 7.5g/dl、アルブミン 3.9g/dl、尿素窒素 12mg/dl、クレアチニン 0.6mg/dl、尿酸 6.9mg/dL、総コレステロール 246mg/dl、トリグリセリド 190mg/dl、総ビリルビン 0.9mg/dl、AST 10IU/l ALT 16IU/l、LD 177IU/l(基準176-353)、ALP 174IU/l(基準115-359)、アミラーゼ 950IU/l(基準37-160)、Na 131mEq/l、K 4.4mEq/l、Cl 97mEq/l。CRP 1.0mg/dl。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH 7.25、PaCO2 28Torr、PaO2 102Torr、HCO3- 12mEq/l。
[正答]
※国試ナビ4※ [105G066]←[国試_105]→[105G068]
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- 次の文を読み、65-67の問いに答えよ。
- 45歳の男性。めまい、嘔気および嘔吐を主訴に来院した。
- 現病歴 24歳から毎年健康診断を受けていたが、異常を指摘されたことはなかった。直近では6月14日に健康診断を受け、空腹時血糖98mg/dl、HbA1c5.1%であった。7月25日ころから軽い咳が出現し、7月30日に突然、口渇、多飲および多尿が出現した。8月1日にめまいが出現し、熱中症ではないかと自己判断して、スポーツ飲料を4リットル飲んだ。その夜から嘔気と嘔吐とが出現し、8月2日に受診した。
- 既往歴 5年前に痔瘻の手術。
- 生活歴 喫煙は20歳から15本/日を17年間。飲酒は機会飲酒。
- 家族歴 父が高血圧症、高尿酸血症および糖尿病で治療中である。母は胆嚢摘出術を受けている。
- 現症 意識は清明。身長171cm、体重58kg。体温36.8℃。呼吸数22/分。脈拍64/分、整。血圧102/68mmHg。甲状腺の腰大を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。
- 検査所見 尿所見:蛋白(-)、糖3+、ケトン体2+。血液所見:赤血球 468万、Hb 13.9g/dl、Ht 42%、白血球 12,300(好中球75%、好酸球1%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球17%)、血小板27万。血液生化学所見:血糖 610mg/dl、HbA1c 5.8%(基準4.3-5.8)、総蛋白 7.5g/dl、アルブミン 3.9g/dl、尿素窒素 12mg/dl、クレアチニン 0.6mg/dl、尿酸 6.9mg/dL、総コレステロール 246mg/dl、トリグリセリド 190mg/dl、総ビリルビン 0.9mg/dl、AST 10IU/l ALT 16IU/l、LD 177IU/l(基準176-353)、ALP 174IU/l(基準115-359)、アミラーゼ 950IU/l(基準37-160)、Na 131mEq/l、K 4.4mEq/l、Cl 97mEq/l。CRP 1.0mg/dl。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH 7.25、PaCO2 28Torr、PaO2 102Torr、HCO3- 12mEq/l。
[正答]
※国試ナビ4※ [105G065]←[国試_105]→[105G067]
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- 次の文を読み、65-67の問いに答えよ。
- 45歳の男性。めまい、嘔気および嘔吐を主訴に来院した。
- 現病歴 24歳から毎年健康診断を受けていたが、異常を指摘されたことはなかった。直近では6月14日に健康診断を受け、空腹時血糖98mg/dl、HbA1c5.1%であった。7月25日ころから軽い咳が出現し、7月30日に突然、口渇、多飲および多尿が出現した。8月1日にめまいが出現し、熱中症ではないかと自己判断して、スポーツ飲料を4リットル飲んだ。その夜から嘔気と嘔吐とが出現し、8月2日に受診した。
- 既往歴 5年前に痔瘻の手術。
- 生活歴 喫煙は20歳から15本/日を17年間。飲酒は機会飲酒。
- 家族歴 父が高血圧症、高尿酸血症および糖尿病で治療中である。母は胆嚢摘出術を受けている。
- 現症 意識は清明。身長171cm、体重58kg。体温36.8℃。呼吸数22/分。脈拍64/分、整。血圧102/68mmHg。甲状腺の腰大を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。
- 検査所見 尿所見:蛋白(-)、糖3+、ケトン体2+。血液所見:赤血球 468万、Hb 13.9g/dl、Ht 42%、白血球 12,300(好中球75%、好酸球1%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球17%)、血小板27万。血液生化学所見:血糖 610mg/dl、HbA1c 5.8%(基準4.3-5.8)、総蛋白 7.5g/dl、アルブミン 3.9g/dl、尿素窒素 12mg/dl、クレアチニン 0.6mg/dl、尿酸 6.9mg/dL、総コレステロール 246mg/dl、トリグリセリド 190mg/dl、総ビリルビン 0.9mg/dl、AST 10IU/l ALT 16IU/l、LD 177IU/l(基準176-353)、ALP 174IU/l(基準115-359)、アミラーゼ 950IU/l(基準37-160)、Na 131mEq/l、K 4.4mEq/l、Cl 97mEq/l。CRP 1.0mg/dl。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH 7.25、PaCO2 28Torr、PaO2 102Torr、HCO3- 12mEq/l。
- a 感染
- b 低栄養
- c 飲水過多
- d ホルモン欠乏
- e ホルモン不応
[正答]
※国試ナビ4※ [105G064]←[国試_105]→[105G066]
[★]
- 次の文を読み、58-60の問いに答えよ。
- 84歳の男性。両足の痛みを主訴に来院した。
- 現病歴 3年前から長い距離を歩くと両足が痛くなって休憩するようになった。徐々に歩ける距離が短くなってきた。現在では、自宅から300mのところにある畑まで歩くのに2回休憩する。動悸や労作時の息切れは自覚しておらず、歩行以外で日常生活には支障を感じていない。
- 既往歴 50歳から糖尿病のため食事療法と経口糖尿病薬の服用とを行っている。
- 生活歴 喫煙は20本/日を20歳から30年間であったが、その後禁煙している。飲酒は機会飲酒。
- 現症 意識は清明。身長 160cm、体重 51kg。体温 36.4℃。脈拍 72/分、整。血圧 154/82mmHg。眼瞼結膜に貧血を認める。眼球結膜に異常を認めない。心尖部で2/6度の収縮期雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。前脛骨部と足背部とに浮腫を認めない。
- 検査所見 尿所見:蛋白(-)、糖2+。血液所見: 赤血球 319万、Hb 7.1g/dl、Ht 24%、白血球 5,800、血小板 14万。血液生化学所見: 血糖 134mg/dl、HbA1c 6.8%、総蛋白 6.2g/dl、アルブミン 3.7g/dl、尿素窒素 25mg/dl、クレアチニン 0.9mg/dl、尿酸 6.4mg/dl、総コレステロール 146mg/dl、トリグリセリド 66mg/dl、総ビリルビン 0.3mg/dl、直接ビリルビン 0.1mg/dl、AST 17IU/l、ALT 9IU/l、LD 186IU/l(基準176-353)、ALP 242IU/l(基準115-359)、Na 139mEq/l、K 4.4mEq/l、Cl 107 mEq/l。CRP 1.3mg/dl。下肢MRA(別冊No.11A,B)と腰部単純MRI(別冊No.11C、D)とを別に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [104G057]←[国試_104]→[104G059]
[★]
- 55歳の女性。意識障害のため搬入された。4か月前から時々右腹関節部の痛みを感じていた。10日前から発熱と食欲低下とがあったが放置していた。本日急に意識障害が生じ、家族が救急車を要請した。15年前から関節リウマチの診断で非ステロイド性抗炎症薬とプレドニゾロン5mg/日とを服用している。糖尿病とアルコール依存とを指摘されているが放置していた。意識レベルはJCS II-30。身長 155cm、体重 42kg。体温 34.0℃。呼吸数 24/分。脈拍 112/分、整。血圧 90/40mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。皮膚は冷たく湿潤し、右中腹部~大腿に握雪感がある。尿所見: 尿道カテーテルから10ml採取、著しく混濁している。血液所見: 赤血球 305万、Hb 8.6g/dl、Ht 25%、白血球 37,100(桿状核好中球33%、分業核好中球55%、好酸球0%、好塩基球0%、単球3%、リンパ球9%)、血小板 8.2万、PT 22.9秒(基準10-14)。血液生化学所見:血糖 272mg/dl、総蛋白 4.8g/dl、アルブミン 1.9g/dl、尿素窒素 101mg/dl、クレアチニン 4.2mg/dl、総ビリルビン 0.3mg/dl、AST 87IU/l、ALT 20IU/l、LD 945IU/l(基準176-353)、CK 585IU/l(基準30-140)、Na 116mEq/l、K 6.0mEq/l、Cl 87mEq/l、CRP 14.3mg/dl。大腿部の写真(別冊No.17A)、大腿部エックス線写真(別冊No.17B)及び腹部エックス線写真(別冊No.17C)を別に示す。保温を図るとともに静脈路を確保し、必要な薬物療法を開始した。
- 次に行う処置として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104I064]←[国試_104]→[104I066]
[★]
- 67歳の男性。全身の衰弱を心配した家族に伴われて来院した。
- 現病歴: 3か月前から徐々に体重が減少し、 2か月前から外出できなくなり、 1週前からは家族の介助がないと立ち上がれなくなった。患者本人は受診を嫌がっていたが、 2日前からはほとんど食事が摂れず、トイレまで歩くこともできなくなったため受診に同意した。
- 既往歴:健康診断は受けていない。
- 生活歴:喫煙は60本/日を47年間。飲酒は日本酒1-2合/日を47年間。
- 家族歴 :父親が高血圧症で、脳梗塞のため82歳で死亡。
- 現 症:意識は清明。身長165cm、体重42kg。体温37.6℃。脈拍120/分、整。血圧96/62mmHg。呼吸数16/分。 SpO2 95%(room air)。眼瞼結膜に貧血を認めない。頸静脈の怒張を認めない。右の前胸部、背部および側胸部で呼吸音が減弱している。 coarse cracklesを聴取しない。皮膚のツルゴールが低下している。下腿に浮腫を認めない。
- 検査所見:血液所見:赤血球394万、 Hb13.1g/dL、 Ht40%、白血球11,700(好中球85%、好酸球1%、単球6%、リンパ球8%)、血小板50万。血液生化学所見:随時血糖181mg/dL、 HbA1c6.5%(基準4.3-5.8)、総蛋白7.3g/dL、アルブミン2.3g/dL、尿素窒素28mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、尿酸3.8mg/dL、総ビリルビン0.3mg/dL、 AST47IU/L、 ALT28IU/L、LD391IU/L(基準176-353)、ALP435IU/L(基準115-359)、 γ-GTP44IU/L(基準8-50)、 Na133mEq/L、 K5.0mEq/L、 Cl93mEq/L、 Ca9.6mg/dL。 CRP24mg/dL。胸部エックス線写真(別冊No. 4)を別に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [106F027]←[国試_106]→[106F029]
[★]
- 次の文を読み、7~9の問いに答えよ。
- 67歳の男性。胸部圧迫感を主訴に来院した。
- 現病歴 : 50歳時から高血圧と糖尿病とを指摘され近医で投薬を受けている。最近の血圧は150~160/90~94mmHgで空腹時血糖は140~160mg/dlであった。5時間程前労作中に強い胸痛を自覚した。胸痛は20分程で消失したものの胸部圧迫感が持続するため救急外来を受診し入院した。心電図の異常を指摘されたことはない。
- 既往歴 : 特記すべきことはない。
- 生活歴:喫煙 : 30年前から現在まで20本/日。
- 現症 : 身長165cm、体重78kg。脈拍72/分、整。血圧152/92mmHg。皮膚は冷たく湿潤している。頚静脈の怒張はない。心雑音はなく、肺野でラ音を聴取しない。腹部に特記すべき所見はなく、下肢に浮腫を認めない。
- 検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖1+。血液所見:赤血球530万、Hb15.6g/dl、Ht46.3%、白血球10,000、血小板25万。血清生化学所見:血糖243mg/dl、総蛋白6.5g/dl、アルブミン4.0g/dl、尿素窒素13mg/dl、クレアチニン0.9mg/dl、尿酸5.3mg/dl、総コレステロール170mg/dl、HDLコレステロール45mg/dl(基準35~60)、トリグリセライド101mg/dl(基準50~130)、AST44単位(基準40以下)、ALT30単位(基準35以下)、LDH302単位(基準176~353)、CK453単位(基準10~40)。CRP0.4mg/dl(基準0.3以下)。胸部エックス線写真で心胸郭比58%で肺野に異常を認めない。心エコー図で左室駆出率57%、前壁の運動低下を認めた。来院時の心電図と緊急で行われた冠動脈造影写真とを以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [097C008]←[国試_097]→[097C010]
[★]
- 次の文を読み、55~57の問いに答えよ。
- 68歳の男性。血痰を主訴に来院した。
- 現病歴:3か月前から咳嗽があり、時々血痰も出現していた。最近血痰の回数が増加したため来院した。
- 既往歴:55歳時に胆石症で手術。
- 生活歴:中華料理店に50年間勤務。喫煙は20本/日を48年間。飲酒は日本酒5合/日を40年間。
- 家族歴:特記すべきことはない。
- 現症:意識は清明。身長173cm、体重77kg。体温36.6℃。脈拍64/分、整。血圧134/82mmHg。呼吸数18/分。SpO2 93%(room air)。頸部リンパ節を触知しない。心音に異常を認めないが、呼吸音は右上前胸部で減弱している。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。
- 検査所見:血液所見:赤血球468万、Hb 13.9g/dl、Ht 42%、白血球8,800(桿状核好中球20%、分葉核好中球45%、好酸球1%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球27%)、血小板15万。血液生化学所見:血糖130mg/dl、HbA1c(NGSP)7.4%(基準4.6~6.2)、総蛋白7.5g/dl、アルブミン3.9g/dl、尿素窒素12mg/dl、クレアチニン0.6mg/dl、尿酸6.9mg/dl、総コレステロール246mg/dl、トリグリセリド190mg/dl、総ビリルビン0.9mg/dl、AST 35IU/l、ALT 28IU/l、LD 198IU/l(基準176~353)、ALP 264IU/l(基準115~359)、γ-GTP 50IU/l(基準8~50)、アミラーゼ98IU/l(基準37~160)、CK 42IU/l(基準30~140)。CEA 3.5ng/ml(基準5以下)、SCC 9.7ng/ml(基準1.5以下)。CRP1.5mg/dl。心電図に異常を認めない。胸部エックス線写真(別冊No.5A)と胸部造影CT(別冊No.5B)とを別に示す。
- この疾患のリスクファクターはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107B056]←[国試_107]→[107B058]
[★]
次の文を読み、 28、 29の問いに答えよ。
- 32歳の男性。風邪が治らないことを主訴に来院した。
- 現病歴: 8日前に全身倦怠感と咽頭痛とが出現した。風邪をひいたと考え、数日は睡眠を長めにとって様子をみていたが、改善しなかった。 4日前から耳閉感が出現し、 37.5℃の発熱もみられた。 2日間仕事を休み、市販の総合感冒薬を服用していたが、症状が改善しないため受診した。鼻汁、鼻閉感および咳はない。頭痛はないが、頸部から後頭部にかけて重たい感じがあるという。
- 既往歴:スギ花粉症。
- 生活歴:妻との2人暮らし。事務職。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
- 家族歴:父親が高血圧症で薬物治療中。母親が糖尿病で食事療法中。
- 現 症:意識は清明。身長165cm、体重60kg。体温37.4℃。脈拍88/分、整。血圧126/80mmHg。咽頭粘膜に発赤を認めない。口蓋扁桃は軽度に腫大している。両側の胸鎖乳突筋の後縁に、径1cmの軟らかく圧痛のないリンパ節を2、 3個ずつ触知する。
- 肝と脾との腫大をみるために腹部診察を行おうとしたところ、患者が「おなかの診察までするのですか」と尋ねた。
- a 他の医師に交代することを患者に提案する。
- b 腹部の診察は行わずに身体診察を終了する。
- c 質問には返答せず、そのまま腹部の診察を続ける。
- d 診察を中断し、腹部診察の必要性について説明する。
- e 身体診察では医師の指示に従う必要があると説明する。
[正答]
※国試ナビ4※ [106C028]←[国試_106]→[106C030]
[★]
- 76歳の女性。一過性意識障害と四肢冷感とを主訴に来院した。2日前に前頚部に突然痛みが出現し、その後胸痛が加わったため早めに就寝した。背部痛で一時覚醒したが、翌朝には胸痛と背部痛とは軽減していた。かかりつけの診療所を受診し、高血圧に対してβ遮断薬を処方された。本日の午前3時ころ排尿後に約5分間意識消失した。意識回復後、四肢冷感と倦怠感とが持続したため 午前10時独歩で受診した。52歳時に高血圧症、74歳時に糖尿病を指摘されている。意識は清明。体温 35.8℃。脈拍 72/分、整。血圧 104/80mmHg。経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2) 96%。胸部と腹部とに異常を認めない。神経学的所見に異常を認めない。血液所見: 赤血球 418万、Hb 12.7g/dl、Ht 40%、白血球 9,300、血小板 13万。血液生化学所見: 血糖 229mg/dl、尿素窒素 23mg/dl、クレアチニン 1.0mg/dl、AST 98 IU/l ALT 50IU/l、LD 526IU/l(基準176-353)、ALP 189IU/l(基準115-359)、CK 215IU/l(基準30-140)、CK-MB 15IU/l(基準20以下)、Na 135mEq/l、K 4.8mEq/l、Cl 100mEq/l。CRP 2.1mg/dl。胸部エックス線写真(別冊No.2A)と12誘導心電図(別冊No.2B)とを別に示す。
- 次に行うのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104F019]←[国試_104]→[104F021]
[★]
- 67歳の女性。右背部痛と発熱とを主訴に来院した。今朝、右背部に一過性の強い痛みを自覚した。夕方から発熱が出現し、ふらつきも自覚したため受診した。右の側腹部から背部にかけて自発痛がある。 30歳ころから数年に一度の尿管結石の発作の既往がある。 55歳から糖尿病を指摘されていたがそのままにしていた。意識は清明。身長 157 cm、体重 68 kg。体温 39.8℃。脈拍 112/分、整。血圧 94/52 mmHg。呼吸数 18/分。右肋骨脊柱角に叩打痛を認める。尿所見:蛋白 1+、糖 3+、潜血3+、沈渣に赤血球 15~30/ 1視野、白血球多数 / 1視野、細菌 2+。血液所見:赤血球 343万、 Hb 12.6 g/dl、Ht 35%、白血球 17,800(桿状核好中球 10%、分葉核好中球 75%、好酸球 1%、単球 2%、リンパ球 12% )、血小板 8.0万。血液生化学所見:総蛋白 6.4 g/dl、アルブミン 3.3 g/dl、AST 124 IU/l、ALT 118 IU/l、LD 466IU/l(基準 176.353)、尿素窒素 34 mg/dl、クレアチニン 1.8 mg/dl、尿酸 6.8 mg/dl、血糖 188 mg/dl、HbA1c(NGSP)7.2% (基準 4.6.6.2)、 Na 132 mEq/l、K 4.8 mEq/l、Cl 101 mEq/l。CRP 24 mg/dl。来院時の腹部単純 CT(別冊 No.20A、B)を別に示す。2セットの血液培養を行い抗菌薬の点滴静注を開始した。
- 次に行うべき治療として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108A045]←[国試_108]→[108A047]
[★]
- 次の文を読み、25~27の問いに答えよ。
- 42歳の男性。今回初めて会社の健康診断で異常を指摘され来院した。
- 現病歴: 1年前に管理職に昇任し食事時問が不規則となり、体重が約8kg増加した。
- 既往歴・家族歴: 特記すべきことはない。
- 生活歴: 飲酒はビール2,000ml/日を10年間。
- 現症: 身長172cm、体重80kg。体温36.2℃。脈拍76/分、整。血圧152/91mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。肝・脾を触知しない。下肢に浮腫を認めない。
- 検査所見: 尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血1+、沈渣に赤血球5~10/1視野。
- 血液所見:赤血球510万、Hb14.5g/dl、Ht46%、白血球7,800、血小板18万。
- 血清生化学所見:空腹時血糖118mg/dl、HbA1c5.2%(基準4.3~5.8)、総蛋白7.5g/dl、アルブミン4.2g/dl、尿素窒素12mg/dl、クレアチニン0.6mg/dl、尿酸9.5mg/dl、総コレステロール240mg/dl、トリグリセライド170mg/dl、総ビリルビン1.2mg/dl、AST38IU/I、ALT45IU/l、LDH280IU/l(基準176~353)、ALP120IU/l(基準260以下)、γ-GTP94IU/l(基準8~50)、アミラーゼ136IU/l(基準37~160)、Na 140mEq/l、K4.0mEq/l、Cl 102mEq/l、Ca 10.0mg/dl、P3.2mg/dl。
[正答]
※国試ナビ4※ [101E026]←[国試_101]→[101E028]
[★]
- 58歳の男性。倦怠感と歩行時の息切れとを主訴に来院した。 20年前に糖尿病を指摘されたが治療は受けていない。 5年前から蛋白尿、 2年前から高血圧を認めていた。母親が糖尿病である。意識は清明。身長 170 cm、体重 68 kg。脈拍 96/分、整。血圧 168/96 mmHg。眼瞼結膜は貧血様である。 II /VIの収縮期心雑音を認める。両側の下胸部に coarse cracklesを聴取する。下腿に浮腫を認める。尿所見:蛋白 2+、糖 (-)、沈渣に赤血球 1~ 4 / 1視野。血液所見:赤血球 270万、 Hb 8.0 g/dl、Ht 25%、白血球 7,200、血小板 12万。血液生化学所見:総蛋白 6.4 g/dl、アルブミン 3.2 g/dl、フェリチン 85 ng/ml(基準 20~120)、尿素窒素 58 mg/dl、クレアチニン 5.1 mg/dl、尿酸 9.5 mg/dl、空腹時血糖 140 mg/dl、HbA1c(NGSP) 7.2% (基準 4.6~6.2)、総コレステロール 190 mg/dl、Na 140 mEq/l、K 5.5 mEq/l、Cl 111 mEq/l、Ca 8.0 mg/dl、 P 5.5 mg/dl、Fe 80μg/dl、総鉄結合能〈TIBC〉300 μg/dl(基準 290~390)。動脈血ガ-ス分析 ( room air): pH 7.34、PaCO2 35 Torr、PaO2 92 Torr、HCO3 16.5 mEq/l。腹部超音波検査で両腎の大きさは正常である。
- この患者に対する治療薬として適切でないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108I066]←[国試_108]→[108I068]
[★]
- 次の文を読み、28、29の問いに答えよ。
- 19歳の女性。交通事故で受傷したため搬入された。
- 現病歴 軽乗用車を運転中に電柱に衝突した。事故から15分後に救急隊が到着したときには呼びかけに反応しなかった。
- 既往歴 12歳時に髄膜炎で入院治療を受けた。
- 家族歴 父親が糖尿病と高血圧症。
- 現 症 意識レベルはJCS I-3。瞳孔径は両側3.5mmで、対光反射は迅速である。呼吸数20/分。脈拍112/分、整。血圧110/70mmHg。顔面右側の変形と右眼周囲の皮下血腫とを認める。透明な後鼻漏を認める。右鎖骨骨折を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟。四肢に麻痺を認めない。
- 検査所見 血液所見:赤血球348万、Hb 10.8g/dl、Ht 32%、白血球 9,500、血小板 16万。血液生化学所見:血糖 110mg/dl、総蛋白 7.0g/dl、アルブミン 4.0g/dl、尿素窒素 12mg/dl、クレアチニン 0.5mg/dl. AST24IU/l、 ALT42IU/l、 LD 253IU/l(基準176-353)、ALP 140IU/l(基準115-359)、Na 138mEq/l、K 4.2mEq/l、Cl 104mEq/l、Ca 9. 8mg/dl。CRP 1.2mg/dl。
- 頭部単純CT(別冊No.4A、B)を別に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [105C027]←[国試_105]→[105C029]
[★]
- 88歳の男性。意識障害のため搬入された。
- 現病歴:元来、軽度の物忘れと難聴とがあるが、 1人で杖をついて散歩をするなどして元気に過ごしていた。数日前から風邪気味となり、食欲が徐々に低下した。本日、ぐったりして言葉がはっきりしなくなったため、同居している長男が救急車を要請した。
- 既往歴: 68歳時に糖尿病と高血圧症とを指摘された。自宅近くの診療所に通院して、 10種類の薬剤を処方されているが、飲み忘れや飲み間違いが多いという。
- 生活歴:長男家族と同居。
- 家族歴:長男が高血圧症で加療中。
- 現 症:意識レベルはJSC II-10。体温37.3℃。脈拍104/分、整。血圧98/60mmHg。呼吸数28/分。 SpO2 96%(2L/分酸素投与下)。発汗が著明である。眼瞼結膜に貧血を認めない。眼球結膜に黄染を認めない。甲状腺と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢に浮腫を認めない。右上下肢に軽度の筋力低下を認める。膝蓋腱反射に左右差を認めない。病的反射を認めない。
- 入院することとなった。入院後に生じ得る合併症として、入院初日から留意する必要性が低いのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106C026]←[国試_106]→[106C028]
[★]
- 次の文を読み、28、29の問いに答えよ。
- 19歳の女性。交通事故で受傷したため搬入された。
- 現病歴 軽乗用車を運転中に電柱に衝突した。事故から15分後に救急隊が到着したときには呼びかけに反応しなかった。
- 既往歴 12歳時に髄膜炎で入院治療を受けた。
- 家族歴 父親が糖尿病と高血圧症。
- 現 症 意識レベルはJCS I-3。瞳孔径は両側3.5mmで、対光反射は迅速である。呼吸数20/分。脈拍112/分、整。血圧110/70mmHg。顔面右側の変形と右眼周囲の皮下血腫とを認める。透明な後鼻漏を認める。右鎖骨骨折を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟。四肢に麻痺を認めない。
- 検査所見 血液所見:赤血球348万、Hb 10.8g/dl、Ht 32%、白血球 9,500、血小板 16万。血液生化学所見:血糖 110mg/dl、総蛋白 7.0g/dl、アルブミン 4.0g/dl、尿素窒素 12mg/dl、クレアチニン 0.5mg/dl. AST24IU/l、 ALT42IU/l、 LD 253IU/l(基準176-353)、ALP 140IU/l(基準115-359)、Na 138mEq/l、K 4.2mEq/l、Cl 104mEq/l、Ca 9. 8mg/dl。CRP 1.2mg/dl。
- 頭部単純CT(別冊No.4A、B)を別に示す。
- 後鼻漏の性状を判断するのに有用な検査項目はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105C028]←[国試_105]→[105C030]
[★]
- 次の文を読み、 26、 27の問いに答えよ。
- 88歳の男性。意識障害のため搬入された。
- 現病歴:元来、軽度の物忘れと難聴とがあるが、 1人で杖をついて散歩をするなどして元気に過ごしていた。数日前から風邪気味となり、食欲が徐々に低下した。本日、ぐったりして言葉がはっきりしなくなったため、同居している長男が救急車を要請した。
- 既往歴: 68歳時に糖尿病と高血圧症とを指摘された。自宅近くの診療所に通院して、 10種類の薬剤を処方されているが、飲み忘れや飲み間違いが多いという。
- 生活歴:長男家族と同居。
- 家族歴:長男が高血圧症で加療中。
- 現 症:意識レベルはJSCⅡ-10。体温37.3℃。脈拍104/分、整。血圧98/60mmHg。呼吸数28/分。 SpO2 96%(2l/分酸素投与下)。発汗が著明である。眼瞼結膜に貧血を認めない。眼球結膜に黄染を認めない。甲状腺と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢に浮腫を認めない。右上下肢に軽度の筋力低下を認める。膝蓋腱反射に左右差を認めない。病的反射を認めない。
- 最初に行うべき検査はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106C025]←[国試_106]→[106C027]
[★]
- 次の文を読み、 28、 29の問いに答えよ。
- 32歳の男性。風邪が治らないことを主訴に来院した。
- 現病歴: 8日前に全身倦怠感と咽頭痛とが出現した。風邪をひいたと考え、数日は睡眠を長めにとって様子をみていたが、改善しなかった。 4日前から耳閉感が出現し、 37.5℃の発熱もみられた。 2日間仕事を休み、市販の総合感冒薬を服用していたが、症状が改善しないため受診した。鼻汁、鼻閉感および咳はない。頭痛はないが、頸部から後頭部にかけて重たい感じがあるという。
- 既往歴:スギ花粉症。
- 生活歴:妻との2人暮らし。事務職。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
- 家族歴:父親が高血圧症で薬物治療中。母親が糖尿病で食事療法中。
- 身体診察を開始しようとしたときに、患者が「市販の風邪薬では治らなかったので、風邪に効く抗生物質を出していただけますか」と尋ねてきた。
- 現時点の医師の返答として最も適切なのはどれか。
- a 「抗生物質は風邪には効果がありません」
- b 「抗生物質は副作用があるので出しません」
- c 「抗生物質を出すか出さないかは、私が決定します」
- d 「抗生物質が必要かどうか、診察の後で説明します」
- e 「医学用語では抗生物質ではなく抗菌薬と言います」
[正答]
※国試ナビ4※ [106C027]←[国試_106]→[106C029]
[★]
- ■症例
- 72歳 女性
- 現病歴:胸部の感染症にドキシサイクリンをGPに処方された。関節リウマチに長期間罹患しており、9年間、1日7mgのプレドニゾロンを服用している。関節痛のため時々パラセタモールを服用。GPが測定した血圧は138/82mmHgであった。抗菌薬を服用し始める2日前からはじまって5日間熱っぽく、食欲不振であり、ベットから動けないでいる。水は十分に飲ませている。5日目に傾眠傾向となり、起こすことが困難になったため、救急車で救急部に連れてきた。
- 主訴:傾眠
- 生活歴:単身。退職した娘が世話をするために引っ越してきている。
- 家族歴:なし。
- 身体所見 examination
- 小柄である(50kgと評価された)が、最近になって体重が減少したということはない。体温38.8℃。眠たそうであり、命令には応じる。簡単な質問にしか答えない。全身性に筋緊張低下。局所神経症状無し。脈拍:118/min。血圧:104/68mmHg。頚静脈圧上昇せず。足首に腫脹無し。肺底部にcrackles(ラ音)とwheezes(笛音)を認める。関節にわずかに活動性の炎症と変形が認められる。これは関節リウマチの既往と合う所見である。
- 検査 investigation
- ヘモグロビン:軽度低下。MCV:正常。白血球増多。ナトリウム低下。カリウム正常。尿素上昇。クレアチニン上昇。
- 問題0. □と○に入る言葉を述べよ
- 1) 傾眠とは□□障害に含まれる
- 2) 傾眠とは、刺激を与えなければ□□が低下するが、刺激を与えれば○○する状態である。
- 問題1. 患者に関連する以下の事項のうち何が傾眠と関係あるのだろうか?2つ選べ。
- 1) ドキシサイクリンの副作用
- 2) 関節リウマチの重症化
- 3) プレドニゾロンの服用歴
- 4) パラセタモールの服用歴
- 5) 胸部感染症
- 問題2. 異常な検査所見をどう説明しますか?口頭で述べてください。ぶっちゃけ、やや低血圧であることと、ナトリウム低値が着目点です。腎機能低下は二次的なものです。
- ■意識障害
- 意識障害 (PSY.38)
- 単純な意識障害
- 明識困難状態 < 昏蒙 < 傾眠 < 昏眠 < 昏睡
- ■傾眠
- 昏睡状態の分類の一つ
- ・somnolence
- 放置すれば意識が低下し、眠ったようになるが、刺激で覚醒する。病的な場合にのみ用いられる。(BET.130)
- sleepiness; also, unnatural drowsiness. A depressive mental state commonly caused by encephalitis, encephalomalacia, hepatic encephalopathy, hypoxia and some poisonings, e.g. Filix mas, the male fern.
- (Saunders Comprehensive Veterinary Dictionary, 3 ed. c 2007 Elsevier, Inc. All rights reserved)
- ・drowsiness
- 正常、病的の区別無く眠り込む状態(BET.130)
- a decreased level of consciousness characterized by sleepiness and difficulty in remaining alert but easy arousal by stimuli. It may be caused by a lack of sleep, medications, substance abuse, or a cerebral disorder.
- (Mosby's Medical Dictionary, 8th edition. c 2009, Elsevier.)
- ■意識障害を呈する患者に対してどのような疾患を鑑別に挙げるべきか?
- 1. 脳原発の疾患(一次性)
- a. テント上病変(脳幹の圧迫性病変ないし脳ヘルニアをきたす疾患)
- 1) 脳血管障害:脳出血、脳梗塞
- 2) 硬膜下血腫
- 3) 脳腫瘍:原発性、転移性
- 4) 脳膿瘍
- b. テント下病変(脳幹網様体の障害)
- 1) 脳幹出血、脳幹梗塞、小脳出血、小脳梗塞、脳腫痛、多発性硬化症など
- c. びまん性病変
- 1) くも膜下出血、中枢神経感染症:髄膜炎、脳炎、 播種性血管内凝固症候群など
- 2. 全身疾患に伴う病態(二次性)
- a. 代謝性またはびまん性病変
- 1) ショック:心筋梗塞、大出血など
- 2) 薬物、毒物
- 3) 無酸素ないし低酸素血症
- 4) DIC、全身性感染症:敗血症など
- 5) 肝不全、腎不全、糖尿病性高血糖、重症肝炎、内分泌疾患など
- 6) 低血糖、ビタミンB1欠乏: Wernicke脳症
- 7) 脳振盪、てんかん大発作後
- 8) 酸塩基平衡および電解質異常
- 9) 栄養障害
- 10) 低体温症
- b. 心因性無反応
- 1) ヒステリー、統合失調症
- ■低ナトリウム血症
- 血清ナトリウムが134mEq/L以下の病態。(正常の下限は135mEq/Lとされる)
- ・病因 ICU.525
- 循環血減少性低ナトリウム血症
- 利尿・副腎不全 :尿中Na > 20mEq
- 嘔吐・下痢 :尿中Na < 20mEq
- 等容量性低ナトリウム血症:細胞外液は増加していないが、水の方が多くなった状態。臨床的に浮腫が無い。
- SIADH :尿浸透圧 > 100 mOsm/L
- 心因性多飲症 :尿浸透圧 < 100 mOsm/L
- 循環血増加性低ナトリウム血症:細胞外液にナトリウムと水が増加しており、なおかつ水の方が多い病態
- 腎不全 :尿中Na > 20mEq
- 心不全・肝不全 :尿中Na < 20mEq
- ・症状
- 全身 :無力感、全身倦怠感
- 消化器:食欲不振、悪心・嘔吐
- 神経 :意識障害(傾眠、昏睡)
- 筋 :痙攣、腱反射低下、筋力低下
- ■アルドステロン
- 1. 腎の接合尿細管と集合管、唾液腺、乳腺、汗腺等に働いてNa+の再吸収を促進し、K+の排出(分泌)を促進する (SP.791,792 によれば、腎接合尿細管を含む)
- 2. 腎集合管でH+の排出(分泌)を促進する。
- Na+/K+-ATPase活性↑@遠位尿細管・皮質集合管 → 管腔側K↑ → K再吸収/H+分泌 (QB CBT vol2 p.360)
- ■副腎皮質球状層から分泌されるアルドステロンの分泌制御
- 1. レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系
- 2. 血清カリウム濃度上昇
- 3. ACTH(寄与は小さい)
- ■低アルドステロン症の症状と臨床検査
- 症状
- 脱水、低血圧、代謝性アシドーシス
- 検査
- 低ナトリウム血症、高カリウム血症
- 尿中ナトリウム高値、尿中カリウム低値
- 血中HCO3-低下
- ■起こっていることは何か?
- ステロイドの突然の中断による急性の副腎不全。特に低アルドステロン症が前面に出た病態。
- 副腎不全の原因(病期による分類)(BPT.793)
- 急性:ウォーターハウス・フリーデリクセン症候群、長期コルチコイド療法の突然の中断、慢性副腎不全患者へのストレス
- 慢性:(major)自己免疫性副腎炎、結核、後天性免疫不全症候群、転移性疾患(metastatic disease)
- (minor)全身性アミロイドーシス、真菌感染、ヘモクロマトーシス、サルコイドーシス
- 症状:
- グルココルチコイドの欠乏 :易疲労感、食欲不振、悪心・嘔吐、体重減少、脱力、嗜眠、低血圧
- ミネラルコルチコイドの欠乏:低血圧、低Na血症、高K血症、味覚の変化(塩分の故意食事を好むようになる)
- ■答え
- (第一パラグラフ)診断とその根拠
- ・二次性急性低アルドステロン症 secondary acute aldosteronism
- ・病因:本症例では、長期にわたるステロイドホルモンの使用により視床下部-下垂体-副腎軸の不全を来した。ステロイドホルモンを長期に使用している状態でステロイドホルモンの需要が高まったとき(感染、外傷(手術))、あるいは嘔吐などで経口ステロイドを服用できないときに起こる。
- ・症状:本症例では傾眠と低血圧として症状が現れている。
- (第二パラグラフ)
- ・本疾患の低ナトリウム血症の解釈 → (1)ナトリウム摂取の低下、(2)水分摂取による希釈
- ・視床下部-下垂体-副腎軸は障害を受けておらずナトリウムを補充する治療をすべき。
- ・一次性急性低アルドステロン症(addisonian crisis)では、鉱質コルチコイドと糖質コルチコイドの分泌不全がおこり、低ナトリウム血症と高カリウム血症を来す。
- ・二次性急性低アルドステロン症はしばしば間違ってaddisonian crisisと呼ばれる。
- (第三パラグラフ)
- ・感染の拡散も考慮すべき;一次部位が脳で髄膜炎か脳膿瘍を伴っている、あるいは局所的に肺膿瘍あるいは膿胸を起こしている。
- ・高齢とステロイドの服用ということで免疫力がある程度低下している。
- ・ステロイドの量が多いかもしれない。
- (第四パラグラフ)
- ・治療はすぐに経験的治療であるヒドロコルチゾンと生理食塩水の輸液を行う。
- ・患者は(治療に?)反応し、5時間以内に意識レベルは正常となった。そして血圧は上昇し136/78mmHgとなった。胸部X線では両側の肺に肺炎に一致する陰影が見られたが、それ以外に異常は認められなかった。
- ■KEY POINTS
- ・二次性低アルドステロン症はmedical emergency(医学的な緊急事態)である、すぐに経験的治療を行うことが求められる。
- ・長期にわたりステロイドを投与されている患者では、以下の時にステロイドを増量すべき;別の疾患を発症したとき。嘔吐を反復する場合には全身投与に切り替える。
- ■低アルドステロン症ってなによ
- http://enotes.tripod.com/hypoaldosteronism.htm
- ・時々、低アルドステロン症は副腎不全の唯一の、あるいは支配的な徴候である
- ・アルドステロンの生合成の障害 → まれ
- ・アルドステロン生合成の部分的欠損 → 21-ヒドロキシラーゼ欠損による先天性副腎皮質過形成の症状としての低アルドステロン症
- ▲特発性低アルドステロン症 idiopathic hypoaldosteronism
- 症状:高カリウム血症に続発する心ブロック、顕著な低ナトリウム血症の有無を問わず血液量不足に続発する体位性低血圧。
- 検査:血清アルドステロン低値。尿中アルドステロン低値。血清レニン高値。
- ▲低レニン低アルドステロン症
- 特発性低アルドステロン症より一般的な低アルドステロン症
- 疫学:45歳以上の慢性腎臓病。
- 病因:
- ・腎臓病患者において腎臓の間質、尿細管に障害が存在 → レニン分泌能が低下。
- ・レニン分泌が低下する原因は分からないけど傍糸球体装置における障害が常に寄与している。
- ・NSAIDによるプログラスタンジン欠乏は、可逆的な低レニン低アルドステロン症の原因である。SP.793によればレニン分泌刺激 → Na+再吸収を亢進 だそうな。
- ・ヘパリン、カルシウムチャネルブロッカー、βブロッカーも原因となる。
- 症状:
- ・腎臓の障害が原因の低レニン低アルドステロン症患者では糖尿病が一般的みられる所見である。
- ・顕著な特徴は、慢性的で著明な高カリウム血症である。これは高血糖で突然に悪化する。???
- ・高Cl性代謝性アシドーシス+正常or低ナトリウム血症が常に存在
- 増悪因子:ナトリウム制限
- 検査:高カリウム血症、体液量の減少、かつ低ナトリウム血症が存在しているにもかかわらず低レニンであることが特徴的。
[★]
- 英
- dyslipidemia
- 同
- 高脂血症 hyperlipidemia、脂質代謝異常 lipoprotein disorders
- 関
- 高脂血症治療薬、リポ蛋白
定義
- 血清:
Total-CHO≧220 mg/dl。LDL-C≧140 mg/dl。TG≧150 mg/dl。HDL-C<40 mg/dl
病型
分類
原発性高脂血症のWHO分類
原発性高脂血症の型分類 (臨床検査法提要第32版 p.533)
|
I型
|
II型
|
III型
|
IV型
|
V型
|
IIa型
|
IIb型
|
高カイロミクロン血症
|
高コレステロール血症
|
複合型高脂血症
|
異常βリポ蛋白血症
|
高トリグリセリド血症
|
複合型高トリグリセリド血症
|
増加リポ蛋白
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CM
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++
|
|
|
|
|
+
|
VLDL
|
|
|
+
|
|
+
|
+
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IDL
|
|
|
|
+
|
|
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LDL
|
|
+
|
+
|
|
|
|
血漿脂質
|
TC
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+
|
+++
|
++
|
++
|
/+
|
+
|
TG
|
+++
|
|
++
|
++
|
++
|
+++
|
TC/TG
|
<0.2
|
>1.6
|
不定
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≒
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0.6-1.6
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<0.6
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病因
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・LPL欠損 ・アポCII欠損 (外因性高脂血症)
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LDL受容体異常
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不明
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アポE異常 (E2/E2など)
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不明 (内因性高脂血症)
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LPL欠損へテロ(一部) (外因性高脂血症 and (内因性混合型高脂血症)
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臨床所見
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発症時期
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小児期
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小児期~成人
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成人
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成人
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小児期~成人
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肝脾肥大
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+++
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-
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+
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+++ 脾のみ
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+++
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腹痛
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+
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|
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+
|
+
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膵炎
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+
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|
|
|
+
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網膜脂血症
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+
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|
|
|
+
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肥満
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|
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+
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+
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角膜輪
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+
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+
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|
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冠動脈疾患
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まれ
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最も高率
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高率
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中程度
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比較的まれ
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黄色腫
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発疹状
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黄色板状 結節状 腱黄色腫
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手掌線 結節状 発疹状
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|
発疹状
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耐糖能
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正常
|
正常
|
正常
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異常多い
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異常多い
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高尿酸血症
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なし
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なし
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少ない
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多い
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多い
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遺伝
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劣性遺伝
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優性遺伝
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劣性遺伝
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優性遺伝
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不明
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頻度
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まれ
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多い 500人中 1人(ヘテロ) 100万人中 1人(ホモ)
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多い 200人中 1人
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少ない 1万人中 2-3人
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最も多い
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まれ
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血清静置試験
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上層:乳濁
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透明
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わずかに混濁
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混濁、 時にミルク状
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混濁
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上層:乳濁
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下層:透明
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下層:混濁
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特徴
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small dense LDL の存在
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broad β
|
|
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- 頻度:IIa > IIb > IV
- 遺伝(AR)I, III (AD)その他
- 症状
- 動脈硬化:IIa,IIb,III
- 膵炎:TG多い:I,IV,V
- TC優位に多いのがIIa, TG優位に多いのがIV
- リポ蛋白のパターンは、IIa + IV = IIb で IIIはその中間(IDL)。I + IV = V
|
治療方針の原則
|
カテゴリー
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脂質管理目標値(mg/dL)
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リスク群
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LDL-C以外の主要危険因子
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LDL-C
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HDL-C
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TG
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一次予防
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まず生活習慣の改善を 行った後、薬物治療の 適応を考慮する
|
I
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低リスク群
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0
|
<160
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≧40
|
<150
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II
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中リスク群
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1~2
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<140
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III
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高リスク群
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3以上
|
<120
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二次予防
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生活習慣の改善とともに 薬物治療を考慮する
|
冠動脈疾患の既往
|
<100
|
- 加齢(男性≧45歳、女性≧55歳)、高血圧、糖尿病(耐糖能異常を含む)、喫煙、冠動脈疾患の家族歴、低HDL-C血症(<40mg/dL)
- 糖尿病、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症の合併はカテゴリーIIIとする。
[★]
- 英
- hypoglycemics
- 同
- hypoglycemic agent、antidiabetic agent、antidiabetic drug、antidiabetics、glucose-lowering agent、hypoglycemic、hypoglycemic drug、hypoglycemics
- 関
- [[]]
投稿記事
k氏より
インスリンの抽出は大変意図的に行われたのに対し、スルフォニルウレア薬(SU)は偶然に見つかりました。で、1950年代にはじめに二型糖尿病の患者に使われるようになりました。いまでは20種類くらいのSUが広く世界で使われています。
1997にはメグリチニドが臨床適用されました。食後高血糖の治療薬としてはじめて使用された薬です。
メタフォルミンというビグアナイド薬(BG)は、ヨーロッパで広く使われていましたが、1995年にアメリカでも認可されました。
チアゾリジン1997年に市場導入され、二番目にメジャーなインスリン刺激薬として使用されています。この種類の薬には、広汎な肝障害を起こしにくく、世界中で使われています。
スルフォニルウレア薬 SU薬
膵臓のβ細胞の刺激によって、インスリンを放出させ、血糖値を下げます。
治療が長引くと、インスリン分泌というSUのβ細胞刺激性の効果が薄れてきますが、β細胞上のSU受容体のダウンレギュレーションによるものです。また、SUはソマトスタチンの放出を刺激します。ソマトスタチンはグルカゴン分泌を抑制しているので、これも関係SUの糖を下げる効果と関係しています。
SUはATP感受性Kチャンネルを抑制します。Kレベルが下がると、まく表面における、脱分極を促し、電位依存性カルシウムチャンネルを通じたカルシウムイオンの流入を促進します。
SUには無視できない膵臓外作用があるという議論があります。確かにありうべきことですが、2型糖尿病の患者の治療においては、それほど重要なことではないようです。
SU薬はそれぞれが似たような作用スペクトラムを持っているので、薬物動態的な特性がここの薬を区別する手がかりです。腸管からのSU薬の吸収の割合は薬によって違いますが、食物や、高血糖は、この吸収を抑制します。高血糖はそれ自身、腸管の運動を抑制するので、ほかの薬の吸収も阻害します。血漿濃度が効果的な値にまで達する時間を考えると、半減期の短いSUは、食前三十分に投与するのが適切です。SU薬は90から99パーセントくらい血中たんぱく質と結合し、特にアルブミンと結合します。
第一世代のSUは半減期や分布において、大きく違っています。この半減期や作用時間の不一致の理由はいまだはっきりしていません。
SUはすべて肝臓で代謝を受け、尿中に排泄されます。なので、肝不全、腎不全患者には要注意で処方します。
めったにありませんが、第一世代服用患者では、4パーセントの割合でおきます。第二世代ではもっと少ないでしょう。低血糖による昏睡がしばしば問題になります。腎不全や肝不全がある高齢者の患者でおきやすいです。
重症の低血糖は脳血管障害も起こしうる。急性の神経障害が見つかった高齢患者では血中グルコースレベルを測るのが大事です。半減期の長いSUもあるので、24から48時間のグルコースを輸液します。
第一世代は多くの薬物と相互作用を持っています。
ほかに、吐き気嘔吐、胆汁うっ滞性黄疸、脱顆粒球症、再生不良性・溶血性貧血、全身性のアレルギー症状があります。
SUが心血管障害による死亡率を上げるのかについては議論の余地あり。
SUは、食事療法だけでは十分なコントロールを得られない2型糖尿病患者の血糖コントロールに用いられます。禁忌はtype 1 DM(diabetes mellitus:糖尿病)、妊婦、授乳中の患者、腎障害や肝障害の患者です。
普通の患者なら五割から八割くらい、経口の糖尿病治療薬が効きます。インスリン療法が必要になる患者もいます。
トルブタマイドの一日量は500ミリグラムで、3000ミリグラムが最大の許容量です。SUの治療成績の評価は患者の様子を頻繁に観察しながら、行います。
SUとインスリンの併用療法はtype 1, type 2 両方の糖尿病で用いられていますが、βセルの残存能力がないとうまくいきません。
レパグリニドはメグリチニドクラスの経口インスリン分泌促進物質です。化学構造上、SUとは異なっており、安息香酸から分離されたものです。
SU薬と同様にレパグリニドは膵臓βセルにおけるATP依存性Kチャンネルを閉じることによりインスリン分泌を促進します。AEもSU薬と同様、低血糖です。
Dふぇにるアラニンから分離された薬。レパグリニドよりもSEとして低血糖が認められづらいです。
メトフォルミンとフェノフォルミンは1957年に市場導入され、ブフォルミンが1958年に導入されました。ブフォルミンは使用が制限されていますが、前者二つは広く使われています。フェノフォルミンは1970年代に乳酸アシドーシスのAEによって市場から姿を消しました。メトフォルミンはそのようなAEは少なく、ヨーロッパカナダで広く使われています。アメリカでは1995年に使用可能に。メトフォルミンは単独かSUと併用して使われます。
ものの言い方によると、メトフォルミンは抗高血糖であって、血糖を下げる薬ではありません。膵臓からのインスリン放出は促さないので、どんな大容量でも低血糖は起こしません。グルカゴン・コルチゾール・成長ホルモン・ソマトスタチンにも影響なし。肝での糖新生を抑制したり、筋や脂肪におけるインスリンの働きを増すことで、血糖を押さえます。
小腸から吸収。安定な構造で、血中の蛋白と結合しないで、そのまま尿中に排泄。半減期は二時間。2.5グラムを食事と一緒に飲むのがアメリカで最もお勧めの最大用量。
メトフォルミンは腎不全の患者には投与しないこと。肝障害や、乳酸アシドーシスの既往、薬物治療中の心不全、低酸素性の慢性肺疾患なども合併症として挙げられる。乳酸アシドーシスはしかしながら、めちゃくちゃまれである。1000人年(たとえば100人いたら、10年のうちにという意味の単位。または1000人いたら1年につき、ということ。)につき0.1という割合。
メトフォルミンの急性のAEは患者の20パーセントに見られ、下痢、腹部不快感、吐き気、金属の味、食欲不振などです。メタフォルミンを飲んでいる間はビタミンB12や葉酸のきゅうしゅうが 落ちています。カルシウムをサプリで取ると、ビタミンB12の吸収が改善されます。
血中乳酸濃度が3ミリMに達するとか、腎不全・肝不全の兆候が見られたら、メタフォルミンは中止しましょう。
PPARγに効く。(ペルオキシソーム・プロライファレーター・アクチベイティッド・受容体、つまりペルオキシソーム増殖活性受容体みたいな。)PPARγに結合して、インスリン反応性をまして、炭水化物とか、脂質の代謝を調整します。
ロジグリタゾンとピオグリタゾンは一日一度。チアゾリジンは肝にて代謝され、腎不全のある患者にも投与できますが、活動性の肝疾患があるときや肝臓のトランスアミナーゼが上昇しているときは、使用しないこと。
ロジグリタゾンはCYP2C8で代謝されますがピオグリタゾンはCYP3A4とCYP2C8で代謝されます。ほかの薬との相互作用や、チアゾリジン同士の相互作用はいまだ報告されていませんが、研究中です。
ピオグリタゾンとロジグリタゾンは肝毒性とはめったに関係しませんが、肝機能をモニターする必要があります。心不全のある患者はまずそちらを治療してから。
αGIは小腸の刷子縁におけるαグルコシダーゼの働きを阻害することによって、でんぷん・デキストリン・ダイサッカリダーゼの吸収を抑制します。
インスリンを増やす作用はないので、低血糖もおきません。吸収がよくない薬なので、食事の開始と一緒に飲むとよいです。
アカルボースとミグリトールは食後高血糖の抑制に使われます。
αGIは用量依存性に、消化不良・ガス膨満・下痢などをきたします。αGIとインスリンを併用中に低血糖症状が出たら、、グルコースを補充します。
経口から、グルコースが静脈を通ると、インスリンが上がることがわかっていました。消化管の上部からはGIP、消化管下部からはGLP1というホルモンが出ていて、糖依存性のインスリン放出を促していることがわかりました。これらのホルモンはインクレチンといわれています。この二つのホルモンは別の働き方でインスリンの放出を促進します。GIPはtype 2 DMではインスリン分泌を促進する能力がほとんど失われています。一方でGLP1は糖依存性のインスリン分泌を強く促しています。つまりtype 2 DMの治療ではGIPをターゲットにすればよいということになります。GLPはグルカゴンを抑制し。空腹感を押さえ、食欲を抑えます。体重減少も実現できます。この長所を相殺するように、GLP1は迅速にDPPIV(ヂペプチジルペプチダーゼ4エンザイム)によって負活化されます。つまり、GLP1を治療に使うなら、連続的に体に入れなければなりません。GLP1受容体のアゴニストが研究され、これはDPPIVにたいして抵抗性があります。
そのほかのGLP1療法のアプローチに仕方としては、DPPIVプロテアーゼの不活性化で、それによってGLP1の循環量を増やそうとするものです。type 2 DM治療に新しい薬がでるかもしれないですね。
[★]
- 英
- hypotensor, depressor, hypotensive drugs hypotensive agent hypotensive drug
- 同
- 降圧剤、血圧降下薬、高血圧症治療薬、抗高血圧薬 antihypertensive antihypertensive drug, antihypertensive drugs
[show details]
ja
hypotensor : 約 1,170 件
depressor : 約 13,000 件
hypotensive drugs : 約 1,410 件
hypotensive agent : 約 1,320 件
hypotensive drug : 約 1,200 件
en
hypotensor : 約 12,100 件
depressor : 約 1,220,000 件
hypotensive drugs : 約 29,100 件
hypotensive agent : 約 37,600 件
hypotensive drug : 約 12,500 件
降圧薬
-
- 近位尿細管:アセタゾラミド:炭酸脱水酵素を阻害
- 太いヘンレループ上行脚:フロセミド:Na+-K+-2Cl-共輸送体(NKCC)を阻害
- 遠位尿細管前半部:チアジド系利尿薬:Na+とCl-の共輸送体を阻害
- 遠位尿細管後半部と集合管:
- スピラノラクトン:アルドステロン受容体に競合的に結合
- トリアムチレン:Na+流入を抑制
-
-
-
- カルベジロール(α1遮断により末梢血管を拡張。β遮断により陽性変力作用を抑制)
- アムスラロールなど
- 強力な降圧効果を示す
- 細胞内へのCa流入を抑制することにより血管平滑筋を弛緩させ末梢血管抵抗を下げる
- 脳、心臓、腎臓への血流を保つ
- 膜電位依存性Caチャネルに作用して血管平滑筋を弛緩させる
-
- 副作用:ジルチアゼムの副作用:洞性徐脈、洞性ブロック
- ニフェジピン: 血管への親和性が高い→抗高血圧薬として優れる
- 副作用:反射性交感神経緊張、顔面紅潮、浮腫(静脈拡張より動脈拡張の度合いが大きいため)、便秘
- 臓器障害の改善、進展予防 beyond blood pressure
- RA系の抑制
- アンジオテンシノゲン→(レニン)→アンジオテンシンI→(アンジオテンシン転換酵素)→アンジオテンシンII-(アンジオテンシン受容体遮断薬)-|アンジオテンシン受容体1
- ACE阻害薬の腎機能保護
- ACE阻害薬:輸入細動脈 拡張、輸出細動脈 拡張 → 糸球体内圧↓
- Ca拮抗薬 :輸入細動脈 拡張、輸出細動脈 なし → 糸球体内圧↑
-
- 副作用
- ACEはブラジキニンを分解するキニナーゼIIと同一の酵素である。ACE阻害薬はこの酵素を阻害するが、ブラジキニンは血管拡張、決勝滲出決勝進出、発痛作用に関わっている。このため咳を誘発することがある。
- 禁忌
- 妊婦。ブラジキニンは胎児の動脈管閉鎖に関わっている。このた、母胎にACE阻害剤を加え、ブラジキニンが増えると胎児の動脈管が閉鎖してしまう。(血管浮腫?)
- 1型アンジオテンシンII受容体拮抗薬(AT1受容体拮抗薬)
降圧薬の積極的な適応と禁忌
- 合併症を有する高齢者高血圧に対する第一選択薬と併用薬
○:第一選択 空欄:適応可 △:注意が必要 ×:禁忌
- 理由はACE参照
使用できる降圧薬
- α2作動薬
- β遮断薬
- α遮断薬
参考
- http://www.jhf.or.jp/a&s_info/guideline/kouketuatu.html
漢方薬
- 降圧目的に釣藤散が使われることが多い。補助的に防風通聖散が用いられることがある。
[★]
- 英
- uterine corpus cancer, carcinoma of uterine corpus, cancer of the uterine body
- ラ
- carcinoma corporis uteri
- 同
- 子宮内膜癌 endometrial carcinoma endometrial cancer
- 関
- 子宮、腫瘍、産婦人科学、子宮内膜増殖症(前癌病変)
定義
疫学
- 発生頻度は欧米に多く、日本では少ない(女性人口10万当たり4)→高齢化、生活習慣との関連
- 発症年齢は50歳代が最も多く、閉経後が7割を占める。40歳以下の婦人は5%程度。
- 妊娠中および分娩後5年以内に体癌が発見されることはほとんどない。
- 日本では近年増加傾向。子宮癌全体の30%を占める(みえる9.150)
リスクファクター
- プロゲステロンに拮抗されずに、エストロゲンに長期暴露されることによる
- 典型像:60歳くらいの太った未産の女性
- 未婚、不妊、閉経後、高い初婚・初妊年齢、少ない妊娠・出産回数、卵胞ホルモン服用歴、肥満
- 卵巣機能異常(無排卵周期症、PCOSなどの既往) → 正常量のエストロゲンが存在するものの、これに拮抗するプロゲステロンが欠乏する
- 出典不明
症状
- ほとんどの場合に症状がある。
- 9割で不正性器出血がみられる。そのほか過多月経、異常帯下、下腹部痛など。
子宮体癌の組織的分類
- ()内の頻度はG9M.155
-
G9M.155
- 類内膜癌(80-90%) → 類内膜腺癌(60-70%)、扁平上皮への分化を伴う類内膜腺癌(20-30%)
- 細胞異型が強い場合にはGradeを上げる。
- Grade1(高分化型)充実増殖の占める割合が腺癌成分の5%以下。プロゲステロン受容体陽性率高。予後良好
- Grade2(中分化型)充実増殖の占める割合が腺癌成分の6-50%。プロゲステロン受容体陽性率中。予後中等度
- Grade3(低分化型)充実増殖の占める割合が腺癌成分の50%超。プロゲステロン受容体陽性率低。予後不良
発生機序による分類
- type I:エストロゲン依存性。発症は遺伝子変異とエストロゲンの長期持続刺激による子宮内膜細胞の異常増殖
- type II:エストロゲン非依存性。子宮内膜異型増殖症を介さないで癌化する
検査
超音波エコー(経膣超音波)
腫瘍マーカー
MRI
- T2画像が有用。
- junctional zoneの菲薄化・欠損
- 子宮内膜>腫瘍>筋層>junctional zone
診断
- 子宮腔内の吸引あるいは擦過細胞診による検出率:90%以上
- 子宮頚・腟部からの細胞採取による検出率:50%以下
手術進行期分類 (日産婦 1995,FIGO1998)
- 原則として手術進行期分類を用い、手術を行っていない例では臨床進行期分類を用いる
体 → 頚 → 骨盤内 → 骨盤外
- 0期: 子宮内膜異型増殖症
- I期: 子宮体部に限局
- Ia期: 子宮内膜に限局
- Ib期: 浸潤が子宮筋層1/2以内
- Ic期: 浸潤が子宮筋層1/2を越える
- II期: 子宮頸部に及ぶ
- IIa期: 頸管腺のみ
- IIb期: 頸部間質浸潤
- III期: 子宮外に広がるが小骨盤腔を越えない、または所属リンパ節転移
- IIIa期: 漿膜浸潤、付属器浸潤、腹膜細胞診陽性
- IIIb期: 膣転移
- IIIc期: 所属リンパ節転移(骨盤リンパ節、傍大動脈リンパ節)
- IV期: 小骨盤腔を越える、または明らかな膀胱または腸粘膜を侵す
- IVa期: 膀胱、腸粘膜へ浸潤
- IVb期: 遠隔転移(腹腔内リンパ節、鼠径リンパ節転移を含む)
転移
症状
治療
- 手術療法、放射線療法、薬物療法(抗ガン剤、ホルモン療法)
- 治療法の基本は手術療法(単純子宮全摘術、準広汎子宮全摘術、広汎子宮全摘術)。
- 補助的に摘出術を追加することがある:両側付属器切除術、リンパ節郭清、部分大網切除術
- 薬物療法・放射線療法:手術不能例、再発例、術後の補助療法
薬物療法
抗悪性腫瘍薬
- シスプラチン、アドリアマイシン、タキサン系の多剤併用療法
化学療法のレジメン
- 参考:http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/nmk/cr/report/200702/502818.htm
ガイドライン的には「アンスラサイクリン系とプラチナ製剤を含む薬剤の選択が薦められている(グレードB)。タキサン系製剤も併用さているが、その十分な根拠は得られていない(グレードC)。(子宮体癌の治療ガイドライン2006年)
一般的な抗腫瘍薬による副作用
ホルモン療法
- ホルモン療法単体:挙児希望のGrade1のIa期:高用量MPA
- 術後補助療法:再発リスクの低い場合、高用量黄体ホルモン療法は非推奨(グレードD)(参考2)
手術療法
-
- MRIや肉眼で明らかな頸部間質浸潤が認められるとき。
- 骨盤リンパ節郭清:基本的に施行。省略するのは、類内膜癌Grade1で、画像診断で病変が子宮内膜に限局すると推定される場合のみ。
- 傍大動脈リンパ節郭清
- 鼠径リンパ節郭清
傍大動脈リンパ節郭清術と部分大網切除術の適応
- 転移リスクが高いため
- 1. 骨盤リンパ節転移例
- 2. 付属器転移例
- 3. 筋層浸潤が1/2を超す例
- 4. 予後不良例(組織型が類内膜癌Grade3、漿液性腺癌、明細胞腺癌、癌肉腫など)。太字の物は特に大網転移率が高い。
放射線療法
- 子宮頚癌(扁平上皮癌)より放射線は有効ではない。 → 放射線療法は腺癌に奏効しづらい!!!
子宮温存を希望する若年性子宮体癌
- 根治治療ではなく、いずれは子宮全摘が必要。
- 再発例では子宮全摘
適応
治療
予後
予後規定因子
- 筋層浸潤の深さ、頚部浸潤、子宮外進展、リンパ節転移、病理組織型、組織学的分化度、血管・リンパ管侵襲
5年生存率
臨床進行期
|
5年生存率(%)
|
出典不明(相対)
|
NGY.229
|
I
|
86
|
79
|
II
|
68
|
66.8
|
III
|
42
|
37.5
|
IV
|
16
|
8.5
|
国試
症例
- 55歳の女性。不正性器出血を主訴に来院した。未経妊、閉経51歳。不妊治療をした経験がある。子宮は鶏卵大で卵巣は両側とも触知しない。経膣超音波で子宮内膜の肥厚が見られる。
子宮体癌治療ガイドライン(2006年)
- 1)進行期決定のために手術術式の選択が必要である。
- 2)子宮体癌は放射線感受性が低く、抗ガン剤の標準治療の確立が遅れている。
- このことから子宮体癌では手術療法が第一選択。高齢や内科的合併症などの理由で、放射線療法が選択される場合もある。
参考
- http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/2006/10/post_d2b6.html
- 2. 子宮体がん治療ガイドライン2009年版:(金原出版)
- http://www.jsgo.gr.jp/guideline/taigan.html
- http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0050/1/0050_G0000135_GL.html