- 英
- unstable angina UA, unstable angina pectoris UAP, preinfarction angina
- 関
- 安静時狭心症、梗塞前狭心症
定義
- 最近3週間以内に狭心症が増悪した場合(発作の誘因、強さ、持続時間、硝酸薬の有効性)と、新たに発症した狭心症
- 数か月以上にわたって狭心症の病態が安定している安定狭心症に対比した分類
特徴
- chest pain manifests with relatively unpredictable patterns.
- pain becomes increasingly frequent and less responsive to rest or medication.
- this form is related to plaque rupture, hemorrhage, ulceration, and superimposed thrombosis.
救急外来での対応
- 研修医当直御法度 第5版 p.38
- 入院適応
- 48時間はCCUで6時間毎に心電図とCK-MBのチェック
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/09/02 15:04:24」(JST)
[Wiki ja表示]
|
この項目では、心臓病について説明しています。RADWIMPSの曲については「狭心症 (曲)」をご覧ください。 |
狭心症 |
分類及び外部参照情報 |
ICD-10 |
I20 |
ICD-9 |
413 |
DiseasesDB |
8695 |
eMedicine |
med/133 |
MeSH |
D000787 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
狭心症(きょうしんしょう、angina pectoris)とは、心臓の筋肉(心筋)に酸素を供給している冠動脈の異常(動脈硬化、攣縮など)による一過性の心筋の虚血のための胸痛・胸部圧迫感などの主症状である。虚血性心疾患の1つである。なお、完全に冠動脈が閉塞、または著しい狭窄が起こり、心筋が壊死してしまった場合には心筋梗塞という。
目次
- 1 分類
- 1.1 発症の誘因による分類
- 1.2 発症機序による分類
- 1.3 臨床経過による分類(AHA分類、1975年)
- 2 原因
- 3 症状
- 4 検査
- 5 治療
- 5.1 現代医学
- 5.1.1 労作性狭心症
- 5.1.2 異型狭心症[3]
- 5.1.3 微小血管狭心症
- 5.2 東洋医学
- 6 参考文献
- 7 関連項目
- 8 外部リンク
分類
発症の誘因による分類
- 労作性狭心症(angina of effort):体を動かした時に症状が出る狭心症。
- 安静時狭心症(angina at rest):安静時に症状が出る狭心症。
発症機序による分類
- 器質性狭心症:冠動脈の狭窄による虚血。
- 微小血管狭心症:心臓内の微小血管の狭窄及び攣縮による虚血。患者の男女比が大きく、中でも更年期の女性に多く見られる症状で女性の場合は閉経により血管拡張作用を持つエストロゲンが減少することにより引き起こされる[1]。1980年代になってようやく発見された。
- 冠攣縮性狭心症(vasospastic angina):冠動脈の攣縮(spasm)が原因の虚血。
- 異型狭心症:冠攣縮性狭心症のうち心電図でST波が上昇している場合。
臨床経過による分類(AHA分類、1975年)
- 安定狭心症:最近3週間の症状や発作が安定化している狭心症。
- 不安定狭心症(unstable angina):症状が最近3週間以内に発症した場合や発作が増悪している狭心症。薬の効き方が悪くなった場合も含まれる。心筋梗塞に移行しやすく注意が必要である。近年では急性冠症候群;Acute coronary syndromeという概念がこれに近い。
原因
一般的に狭心症は心臓の冠動脈にプラークという固まりができ、血液の通り道を狭くすることによって起こるもの。誘因としては高血圧、高脂血症、肥満、高尿酸血症、ストレス、性格などが考えられる。
冠攣縮型(異型)狭心症は、心臓の血管そのものが異常収縮をきたし、極度に狭くなってしまうために起こる。
微小血管狭心症は、心臓内の微小血管の狭窄及び攣縮によって起こるもの。誘因としては閉経、喫煙などが考えられる。
症状
狭心痛(締め付けられるような痛み;絞扼感や圧迫感)が主症状である。痛みは前胸部が最も多いが他の部位にも生じる事がある(心窩部から、頸部や左肩へ向かう放散痛など)。発作は大体15分以内には消失する。他に動悸・不整脈、呼吸困難、頭痛、嘔吐など。症状を放置した場合、心筋梗塞、心室細動などを引き起こす場合がある。
検査
- 心電図:一般的には発作時にST部の、上に向かい凸状の上昇または低下(下降)がみられる。
- ホルター心電図:小型の心電図記録装置を24時間携帯し、検査を行う
- 運動負荷心電図:労作性狭心症では運動負荷で心電図に変化がみられる。
- 心筋血流シンチグラフィ:人工的に作られた放射性同位体(RI)を使用する。使用されるのは、201Tlや99mTcである。特定の施設でしか施行できない。
- 冠動脈造影(coronary angiography:CAG): 検査でもあるが、引き続き経皮的冠動脈形成術を行うこともできる。冠攣縮型狭心症ではエルゴノビン負荷試験ができるため、確定診断に有用である。
- 冠動脈造影CT: 造影剤により冠動脈の形態を描出できる。
-
- 64列マルチスライスCTによる冠動脈病変の描出は、感度 88%、特異度 96%、陽性的中率 79%、陰性的中率 98% との報告がある[1]。特異度が高く、スクリーニングにおける除外診断に有用と考えられている[2]。
- 血液検査:トロポニンT、H-FABP、白血球、CRP、CK、CKアイソザイム、AST、LDHなどは心筋梗塞や不安定狭心症での鑑別に有用。心筋壊死を伴わない場合いずれも上昇しないことが多い。
- ペントラキシン(PTX3):炎症性蛋白であるが血管内皮で産生されており、血栓症と強い相関がある。心筋梗塞へ移行しつつある不安定狭心症の診断に有用と考えられている。
など
治療
現代医学
共通してアスピリンなどの抗血小板剤の投与が検討される。高血圧や喫煙などの危険因子のコントロールも重要である。
労作性狭心症
- 薬物療法
- 硝酸薬(ニトログリセリン、硝酸イソソルビド等)
- β遮断薬(冠動脈攣縮を伴わないものに限る)
- カルシウム拮抗薬
- 経皮的冠動脈形成術(PTCA、PCI)、冠動脈バイパス術(CABG)など
異型狭心症[3]
冠攣縮性狭心症(vasospastic angina)とも言う。また、夜間や早朝、朝方などの安静時に発作が起こることが多いため、安静狭心症とも呼ばれる。日本人は欧米人に比べて多いとされている[4]。 副交感神経優位となったときに、冠動脈が攣縮・狭窄するために発生しやすく、副交感神経が優位となる早朝(4時~6時)にとりわけ発作が多い。
1.検査
- 心臓カテーテル検査:冠動脈を造影しながらアセチルコリン負荷やエルゴノビン負荷を行い、冠攣縮の誘発を確認する。
2.薬物療法
- 硝酸薬:発作時頓服薬としてしばしば処方される。また、持続製剤や貼付製剤は発作予防に使用される。
- カルシウム拮抗薬(calcium channel blocker):ヘルベッサーRカプセルやアダラートCR、コニールなどのカルシウム拮抗薬が処方される。
同じカルシウム拮抗薬のアムロジピンは血中半減期が長い反面、有効血中濃度到達まで1週間程度要し注意が必要である。
- スタチン(Statin):本来、高コレステロール血症の治療薬であるが、継続投与(半年程度)することで冠スパズム予防に有効との報告がある。カルシウム拮抗薬との併用されることがある。[5]。
微小血管狭心症
- 薬物療法
- カルシウム拮抗薬(calcium channel blocker)など。
東洋医学
日本においては、心臓病は直接生死に関わる疾患であるため、ほぼ100%現代医学(西洋医学)による治療が行われている。
しかし中華人民共和国では、現代でも生薬を使った伝統中国医学による療法が盛んに行われており、とくに、丹参を主薬とした「冠心Ⅱ号」という処方がよく知られている。これは、中国においては絶対的に外科医が不足していることや、医療保険制度が未整備で、ごく限られた高所得者をのぞくと、先端医療が受けられないという現実もあるが、民族的に、侵襲的(肉体に対するダメージやリスクが高いこと)な西洋医学よりも、作用が穏和で民族の誇り・文化である伝統医学に対する愛着が強いことも影響していると思われる。
参考文献
- ^ Hamon M, et al. Coronary arteries: diagnostic performance of 16- versus 64-section spiral CT compared with invasive coronary angiography--meta-analysis. Radiology 2007: 245(3); 720-31.
- ^ 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007-2008年度合同研究班報告)冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン, 2009;1040-1043.
- ^ 冠攣縮性狭心症の診断と治療に関するガイドラインhttp://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2008_ogawah_d.pdf
- ^ Circulation 2000;101:1102-8
- ^ 冠攣縮性狭心症の診断と治療http://www.jhf.or.jp/shinzo/mth/images/History-37-11.pdf
- 冠攣縮性狭心症の診断と治療に関するガイドライン[2]
関連項目
- 循環器学
- 心筋梗塞
- 心電図
- 狭心症治療薬
- ニフェジピン
- ジルチアゼム
外部リンク
- 国立循環器病センターでの解説 http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/heart/pamph34.html
- 東京大学循環器内科での解説 http://plaza.umin.ac.jp/~utok-card/consultation/diseases/angina
心血管疾患 |
|
疾患 |
|
心疾患
|
不整脈
|
徐脈性
|
洞不全症候群 | 房室ブロック | 脚ブロック(右脚ブロック · 完全右脚ブロック · 左脚ブロック)
|
|
頻脈性
|
上室性
|
洞性頻脈(en) | 心房細動 | 心房粗動(en) | ブルガダ症候群 | 早期再分極症候群 | QT延長症候群 | WPW症候群
|
|
心室性
|
心室細動 | 心室頻拍
|
|
|
|
虚血性疾患
|
狭心症 | 心筋梗塞 | 急性冠症候群 | 冠動脈血栓症 | 心室瘤 | 心破裂 | 乳頭筋断裂(en)
|
|
弁膜症
|
僧帽弁狭窄症 | 僧帽弁閉鎖不全症 | 三尖弁狭窄症(en) | 三尖弁閉鎖不全症(en) | 大動脈弁狭窄症 | 大動脈弁閉鎖不全症(en)
|
|
先天性心疾患
|
心房中隔欠損 | 心室中隔欠損 | 心内膜床欠損症 | 動脈管開存症 | ファロー四徴症(極型ファロー四徴症) | 大血管転位(左旋性 · 右旋性) | 総肺静脈還流異常症 | 大動脈縮窄 | 左心低形成症候群 | 両大血管右室起始症 | 三尖弁閉鎖(en) | 単心室
|
|
心内膜・心筋
・心膜疾患
|
心内膜疾患
|
感染性心内膜炎
|
|
心膜疾患
|
心膜炎(急性心膜炎(en) · 慢性収縮性心膜炎) | 心タンポナーデ
|
|
心筋疾患
|
心筋症(虚血性心筋症・拡張型心筋症(en) · 肥大型心筋症(en) · 拘束型心筋症(en) · 特発性心筋症) | 心筋炎
|
|
|
心臓腫瘍(en) | 心臓性喘息 | 肺性心
|
|
|
血管疾患
|
大血管
|
大動脈瘤(胸部・腹部(en)・胸腹部) | 大動脈解離 | 大動脈炎症候群
|
|
動脈
|
閉塞性動脈硬化症 | 閉塞性血栓性血管炎 | 動静脈瘻 | 動脈硬化 | レイノー病
|
|
静脈
|
静脈瘤 | 血栓性静脈炎 | 静脈血栓塞栓症 | 脂肪塞栓症
|
|
|
|
|
病態・症候 |
|
心不全
|
左心不全 | 右心不全 | 両心不全(en)
|
|
血圧異常
|
高血圧
|
本態性高血圧症(en) | 二次性高血圧(en) | 高血圧性緊急症(en)
|
|
低血圧
|
|
|
心臓発作 | 心臓肥大 | 心停止 | 心肺停止
|
|
|
|
所見・検査 |
|
血圧計 | 聴診 | 心雑音 | 心電図 | 心電図モニタ | 心臓超音波検査 | 胸部X線写真 | 胸部X線CT | 心臓MRI | 心臓カテーテル検査(肺動脈カテーテル) | 心臓核医学検査 | 脈波伝播速度検査
|
|
|
治療 |
|
外科的治療
|
冠動脈バイパス術(CABG)
|
CABG | off-pump CAB(OPCAB) | MIDCAB(en) | TECAB(en)
|
|
弁膜症手術
|
弁置換術(en) | 弁形成術(en) | 弁輪形成術 | 交連切開術(en)
|
|
小児心臓外科
|
動脈管結紮術 | BTシャント | 肺動脈絞扼術(en) | ノーウッド手術 | グレン手術 | フォンタン手術 | ジャテン手術 | ラステリ手術 | ロス手術
|
|
心不全外科
|
心移植術 | 補助人工心臓装着術 | 左室形成術(Dor・SAVE・Overlapping)
|
|
不整脈外科
|
メイズ手術(en) | 心臓ペースメーカー | 植え込み型除細動器
|
|
大動脈手術
|
大動脈人工血管置換術 | 大動脈基部置換術 (Bentall, David) | ステントグラフト内挿術(en)
|
|
末梢血管手術
|
末梢動脈血行再建術 | 末梢静脈血行再建術 | 静脈抜去術(en) | 静脈血栓摘除術(en) | 内シャント作成術 | 肢切断
|
|
|
内科的治療
|
循環作動薬
|
抗不整脈薬
|
Ia群: プロカインアミド, キニジン
Ib群: リドカイン, フェニトイン
Ic群: フレカイニド(en), プロパフェノン(en)
II群: 交感神経β受容体遮断薬(プロプラノロールなど)
III群: アミオダロン, ソタロール(en)
IV群: カルシウム拮抗剤(ベラパミル, ジルチアゼムなど)
|
|
心不全治療薬(en)
|
利尿薬 | 血管拡張薬 | 強心配糖体 | 強心剤 | PDEⅢ阻害薬
|
|
狭心症治療薬
|
交感神経β受容体遮断薬 | 硝酸薬
|
|
高血圧治療薬
|
利尿薬 | 交感神経β受容体遮断薬 | レニン-アンジオテンシン系 (ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、レニン阻害薬(en)) | カルシウム拮抗剤 | アドレナリン作動薬 | 脂質降下薬
|
|
|
血管内治療
|
経皮的冠動脈形成術
|
|
|
|
|
循環器系の正常構造・生理 |
|
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 狭心症の分類と鑑別診断 (冠動脈疾患(下)診断と治療の進歩) -- (狭心症の臨床)
- 循環器ナースのヒラメキ力向上計画2 新人さんのキモチに寄り添い GoodとDoubt(第19回)不安定狭心症が疑われる患者さんへの対応にひそむDoubtとは?
- 6.血痰を伴う肺癌,不安定狭心症に対する同時手術の1例(第41回 日本呼吸器内視鏡学会中部支部会)
- 天白 宏典,高尾 仁二,島本 亮,新保 秀人
- 気管支学 : 日本気管支研究会雑誌 33(5), 378-379, 2011-09-25
- NAID 110008750419
Related Links
- 不安定狭心症とは、症状のパターンが変化する狭心症のことです。狭心症の特徴から みて、症状が安定していた患者に、痛みがひどくなる、発作回数が増える、あまり運動し ていないあるいは安静にしているのに発作が起こる、などの変化が現れた場合は危険 ...
- 安定狭心症:最近3週間の症状や発作が安定化している狭心症。 不安定狭心症( unstable angina):症状が最近3週間以内に発症した場合や発作が増悪している狭心 症。薬の効き方が悪くなった場合も含まれる。心筋梗塞に移行しやすく注意が必要で ある。
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 68歳の男性。胸痛のため来院した。
- 6か月前から前胸部痛を自覚するようになった。胸痛は2~3分持続し、安静で軽快した。
- 喫煙歴は20本/日、45年。身長162cm、体重60kg。脈拍76/分、整。血圧120/60mmHg。
- 血液所見:赤血球507万、Hb15.3g/dl、Ht45%、白血球4,500、血小板18万。
- 血清生化学所見:総蛋白7.0g/dl、アルブミン4.2g/dl、AST17単位、ALT15単位、LDH188単位(基準176~353)、CK22単位(基準10~40)。冠動脈造影写真と運動負荷直後および4時間後のタリウム心筋SPECT垂直面長軸断面像を以下に示す。
- 診断はどれか。
- 問診(S)
- 6か月前から前胸部痛
- 胸痛は2~3分持続し、安静で軽快
- 喫煙歴は20本/日、45年。
]] - [[
- ・年齢
- 45 men
- 55 women
- ・高脂血症
- LDL 140
- TG 150
- HDL 40以下
- ・喫煙
- ・HT 140/90以上
- △耐糖能異常
- 3大 4大リスク
- ×酒
- 精神的、肉体的ストレス
- 家族歴
- 肥満
- LAO
- 左をつけて盗ると是骨外左に来る。
- RAO
- 右をつけて盗ると背骨が右に来る。
- 前下行枝は中核市がわしゃわしゃ出ているやつ。
- シンチは前壁と心尖の虚血を示唆している。
- 不安定APは積極的な治療を要する。
- 1 新規発症狭心症
- 2 1日3回以上で発作がおこる。
- 3 安静時狭心症
- →経過観察は禁忌。
- 年齢、家族歴、cho高値
- 対角枝は
- 治療法で左主幹部へのカテーは禁忌である。
- 危険な手技である。経験が必要。
- CABGの適応
- ・LMT50以上。
- ・高度な三枝病変。
- ・病変部の長さが1cm以上。
- ・末梢枝のrun offが良好。
- ・PCIをした後の再狭窄。
- ・左室機能がよいこと。EF20%が保たれていないこと。
- ・左室拡張末期圧が20mmHg以上。
[正答]
※国試ナビ4※ [099G020]←[国試_099]→[099G022]
[★]
- 次の文を読み、16~18の問いに答えよ。
- 59歳の男性。4時間持続する前胸部痛のために搬入された。
- 現病歴: 1か月前から階段を上がった際に前胸部絞扼感を自覚した。安静にすると消失するので放置していた。本日早朝に前胸部絞扼感で覚醒した。しばらく我慢していたが次第に増強してきた。
- 既往歴: 5年前から高血圧で降圧薬を服用している。
- 現症: 意識は清明。身長168cm、体重82kg。体温36.6℃。呼吸数24/分。脈拍104/分、欠代あり。血圧160/94mmHg。冷汗を伴い、四肢は冷たい。心雑音はないが、奔馬調律を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦で、肝・脾を触知しない。下肢に浮腫を認めない。
- 検査所見: 尿所見:尿蛋白(-)、糖1+。
- 血液所見:赤血球480万、Hb15.8g/dl、Ht46%、白血球9.800、血小板48万。
- 血清生化学所見:総蛋白7.6g/dl、クレアチニン1.0mg/dl、AST88IU/l、ALT24IU/l、CK540IU/l(基準40~200)。経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉96%。心電図を以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [101E015]←[国試_101]→[101E017]
[★]
- 72歳の男性。 1週前から続く両下肢の冷感と痛みとを主訴に来院した。 1か月前に不安定狭心症に対する冠動脈ステント留置術を受けた。 15年前から糖尿病と高血圧症とで治療中である。喫煙は15本/日を50年間。体温36.6℃。脈拍84/分、整。血圧140/88mmHg。呼吸数18/分。両下腿に網状皮斑を認める。足趾にチアノーゼを認める。尿所見:蛋白(-)、潜血(±)。血液所見:赤血球380万、Hb11.8g/dl、 Ht35%、白血球6,600(桿状核好中球5%、分葉核好中球60%、好酸球15%、単球5%、リンパ球15%)、血小板26万。血液生化学所見:アルブミン4.0g/dl、尿素窒素42mg/dl、クレアチニン3.0mg/dl(冠動脈ステント留置術前: 1.2mg/dl)。免疫学所見: CRP1.5mg/dl。リウマトイド因子(RF)陰性、抗核抗体陰性。 CH50 19U/mL(基準30-40)。下腿の皮膚生検のH-E染色標本(別冊No. 13)を別に示す。
- 診断として考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106D039]←[国試_106]→[106D041]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [098H026]←[国試_098]→[098H028]
[★]
- a. 不安定狭心症
- b. 冠動脈攣縮性狭心症(異型狭心症)
- c. 左冠動脈主幹部の75%狭窄
- d. PTCA後の再狭窄
- e. 冠動脈三枝病変
[正答]
※国試ナビ4※ [099E026]←[国試_099]→[099E028]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [109I008]←[国試_109]→[109I010]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [101B110]←[国試_101]→[101B112]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [099E027]←[国試_099]→[099E029]
[★]
- 英
- chest pain, thoracodynia, pectoralgia
- 同
- 胸部痛
- 関
- 胸壁痛。胸部圧迫感
鑑別疾患
- 診断エッセンシャルズ新訂版
救急疾患
その他
鑑別診断
- DIF.84
胸痛の質
- 圧迫されるような痛み:狭心症、心筋梗塞
- 刺すような痛み:心膜炎、胸膜炎、肋間神経痛
胸痛と呼吸困難
- 参考1
- 気胸、肺炎、胸膜炎、慢性閉塞性肺疾患、慢性閉塞性肺疾患の悪化、肺癌などの肺疾患、心不全
診察
【現病歴】
誘因、発生様式(突発、緩徐)、経時的変化(一定、動揺、増悪/寛解傾向)、部位(一番痛い部位、放散する部位)、軽快因子、増悪因子、(反復するエピソードあれば)前回との比較、随伴症状
【既往歴】基礎疾患(DM, HT, DL)
【嗜好】smoking, alcohl
【服用薬】
【職業】
【身体所見】
Appearance: Face anguish, Diaphoresis, Cyanosis
Vital:
Consciousness:
BT , BP / , HR (L Arm/R Arm, Lower Extrimity), RR , SpO2
Lymphnode: swollen/no swollen, breath sound →/↑/↓
Chest
Heart:Is →/↑/↓, IIs →/↑/↓, IIIs(±)/IVs(±), murmur, friction rub ±
Lung: crackle/rale
Abdomen: soft/hard, tenderness
Extremity: cold/pulse/edema
Skin: dry/wet/hot/cold
【検査】
ECG: ST segment change
Blood test:
biochemistry: CK-MB, Troponine T, AST, LDH, H-FABP
Blood count: WBC
Arterial blood gas: PaO2 torr
A-aDO2 = 150 - PaCO2/ 0.8 (torr) - PaO2 (normal below 20 Torr)
Chest XP:
Heart echography:
参考
- 1. 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2009年改訂版)
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2009_andoh_h.pdf
[★]
- 英
- antianginal agents, antianginal drug
- 関
- 狭心症
種類
硝酸薬
- 冠血管スパズム緩解→酸素供給↑
- 末梢血管拡張→心筋仕事量↓→心筋酸素需要↓
特徴
- 小動脈より静脈を拡張させる → 前負荷の減少
- 冠血管では、細い動脈より太い動脈を弛緩させる
β遮断薬
- 冠血管スパズム緩解→酸素供給↑ (SPC.226)
- 心筋抑制→心筋仕事量↓→心筋酸素需要↓
作用機序
- 電位依存性型Ca2+チャネルのαサブユニットに作用
その他の冠血管拡張薬
抗狭心症薬の使い分け
[★]
- 英
- acute coronary syndrome, ACS
- 同
- 急性冠状動脈症候群、急性冠動脈症候群
- 関
- 急性心筋梗塞
[show details]
急性冠症候群 : 約 28,000 件
急性冠状動脈症候群 : 40 件
急性冠動脈症候群 : 約 55,800 件
概念
分類
YN
- ST上昇型急性心筋梗塞 ST elevation acute myocardial infarction STEMI)
- 非ST上昇型急性心筋梗塞 non-ST elevation acute myocardial infarction NSTEMI)
- 不安定狭心症 unstable angina pectoris UAP
- 心臓突然死
BPT.388
- 1. 狭心症 angina pectoris
- 2. 急性心筋梗塞 acute myocardial infarctino AMI
- 3. 慢性虚血性心疾患 chronic ischemic heart disease chronic ICH
- 4. 突然心臓死 sudden cardiac death SCD
急性冠症候群ガイドライン(2018 年改訂版)
- https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2018_kimura.pdf
[★]
- 英
- intraaortic balloon pumping intra-aortic balloon pumiping intra aortic balloon pumping IABP
- 同
- 大動脈バルーンパンピング、大動脈内バルーンパンピング法、バルーンパンピング法
- 関
- 経皮的心肺補助 PCPS
概念
- 先端にバルーンのついたカテーテルを大腿動脈から刺入し、先端が下行大動脈左鎖骨下動脈分岐部直下にとどまるように留置。
- バルーンにはヘリウムもしくは二酸化炭素が注入される。
メリット
- 1. 拡張期動脈圧が上昇 :バルーンが拡張 → 駆出された血液を停滞させる → 冠動脈血流量の増加 → 冠状動脈の血流は拡張期圧に依存
- 2. 収縮期の駆出抵抗減弱:バルーンが収縮 → バルーン容積(30-40 mL)に相当する血液量を心臓から吸引 → 駆出抵抗減弱 → 収縮期血圧が低下 → 心仕事量・心筋酸素消費量が低下
PCPS施行時にIABPを併用することが推奨される理由
- 1. 後負荷の軽減
- 2. 組織血流の拍動化
- 3. PCPS離脱時のバックアップ
適応
禁忌
[★]
- 英
- exercise electrocardiogram, exercise ECG
- 同
- 負荷心電図
- 関
- 心電図
運動負荷法 LAB.1519
- :Master2段階負荷試験、トレッドミル、エルゴメーター
禁忌 LAB.1519
- 不安定狭心症
- 急性心筋梗塞発症後10日以内
- 心室頻拍、重症心室性期外収縮、重症上室性不整脈、高度の徐脈、高度のブロック
- 急性心筋炎
- 急性心膜炎
- 肺塞栓症
- 重症の心不全
- コントロールされていない高血圧、甲状腺中毒症
正常人における心電図の変化 EAB.202
- 心拍数増加
- PR間隔短縮 ← 伝導速度の短縮
- P波の振幅増大(II,III,aVFで著明)、Ta波増大
- QRS複合、T波の振幅減少
- QT間隔短縮
- RRに対するQTの割合は増大する
[★]
- ラ
- angina pectoris AP
- 関
- [[]]
定義
- 冠動脈血量が不十分で、心筋の酸素需要に対して十分な酸素を供給できていないときに生じる胸痛発作 (SPC.226)
疫学
- http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/05syoubyo/suiihyo24.html
病態
- 血管が75%以上狭窄すると症状が出現してくるらしい。(参考1)
- 負荷時の冠血流量は狭窄率が70%を越えると著明に低下する。安静時の肝血流は狭窄率が90%を越えると著明に低下する。(PHD.148)
症状
- 胸痛(絞扼感、圧迫感)が数分持続。30分以上続く場合は心筋梗塞の疑い
- 前胸部を締め付ける様な痛み。痛みの局在性は悪く、左肩、左内腕、顎、背部に放散する。背部痛や上腹部痛もありうる。
- 糖尿病患者、高齢者(感覚低下あるいは認知症などによる)、精神病患者
分類
誘因
経過
発生機序
診断
問診
- S: sudden onset : 突然発症
- A: anterior chest pain: 前胸部痛
- V: vagus pain : 不快な前胸部圧迫感
- E: effort participation : 労作により誘発
- N: nitroglycerin effective : ニトログリセリンが有効
- S: short duration : 短時間発作
参考
- http://www.agu-web.jp/~seminar/archives/2009/05/images/1256258430.pdf
[★]
- 英
- anxiety、disturbance、discomfort、fear、dysphoria、anxious、uneasy、anxiously
- 関
- 撹乱、恐怖、苦悶、障害、心配、不快、不快感、妨害、不快気分、精神不安感、異常感、不安症、恐れる
[★]
- 英
- unstable、labile、unsettled、unsteadiness
- 関
- 易動性、動揺性
[★]
- 英
- sis, pathy
[★]
- 英
- stable angina、stable angina pectoris
- 関
- 安定型狭心症