- 英
- liver
- 関
- 肝臓の病理、肝区域
発生学的由来
- 発生第3週の中頃に、前腸末端における内胚葉性上皮芽として現れる。
- 造血細胞、クッパー細胞、結合 組織細胞は横中隔の中胚葉に由来
- 肝芽は横中隔(心膜腔と卵黄嚢柄)との間の中胚葉板に進入
肝臓の周辺の膜
肝臓に関係する血管
解剖
- 体重の約2%。1.2-1.5kg。(YN.B-2)
参考資料
- 肝臓研究室
- http://www.med.kyushu-u.ac.jp/intmed3/medical_3.html
組織
体表解剖
- 第4肋間以下のレベルで貫通する障害を受けたとき、肝臓が損傷する。
機能
- 物質の合成と貯蔵 → (肝障害時)低下:アルブミン、凝固因子、補体、LCAT、コレステロール、コリンエステラーゼ
- 解毒
- 血糖コントロール
- 胆汁の合成分泌
- 血液循環と濾過
- 血液循環:肝循環の調整、血清Na, Kの調整 → (肝障害時)腹水、Kプールの減少
- Kupffer細胞による菌・有害物の貪食 → (肝障害時)易発熱性
薬物代謝 PPC.51
- phase I: oxidation, reduction
- phase II: hydrolysis, conjugation
年齢との関連
- I相:加水分解、酸化、還元 :加齢により低下
- II相:抱合 :不変
酵素
- 肝酵素
画像
CT
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/06/11 16:27:35」(JST)
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| 肝臓 |
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ヒツジの肝臓
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ヒトでの肝臓 (Liver) の位置
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| 英語 |
Liver |
| 器官 |
消化器 |
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動脈
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固有肝動脈
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静脈
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肝静脈
門脈
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神経
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腹腔神経節
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肝臓(かんぞう、Liver)は、腹部の右上に位置する内臓である。最大の内臓で機能も多く、特に内部環境の維持に大きな役割を果たしている。
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目次
- 1 概説
- 2 肝臓の解剖
- 2.1 解剖学的区分
- 2.2 機能的区分
- 2.3 肝臓のCT解剖学
- 3 肝臓の組織
- 4 肝臓の機能
- 5 肝臓の病気
- 6 肝移植
- 7 その他
- 8 脚注
- 9 関連項目
- 10 外部リンク
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概説
肝臓は、腹部の右上に位置して、ほぼ肋骨の下に収まっており、頭側(上方)には横隔膜が存在する。ある種の動物では体内で最大の臓器である。非常に機能が多いことで知られ、代謝、排出、解毒、体液の恒常性の維持などにおいて重要な役割を担っている。特にアルコール分解能があることで一般には知られている。また、十二指腸に胆汁を分泌して消化にも一定の役割を持っている。
働きは少なくとも500以上あるとされ、これと同機能を持つ化学工場は作れないとも言われるほど多機能であるため、人工臓器としての実用化が非常に難しい臓器である。
他方、臓器の中での部位による機能の分化が少なく、一部に損傷があっても再生能力が強いため、その損傷などがあっても症状に現れにくい。自覚症状が出る頃には非常に悪化していることもあり、「沈黙の臓器」などと呼ばれることがある。
牛・豚・鶏などの肝臓はレバーと呼ばれ食用にされる。独特の臭みがあり、特に調理法に工夫を必要とする一方、栄養豊富なことから摂取が勧められる部位でもある。しかし、その高い栄養価からかあまり多く摂取すると痛風などの原因とされることがあるので注意が必要である。牛や豚の肝臓は消化酵素を加えて加水分解され、肝臓水解物として二日酔いや慢性肝疾患治療の医薬品原料となる。
魚類(アンコウ等)・軟体動物(イカ等)の肝臓も食料とされる。
無脊椎動物のいくつかの群にも同様な器官があり、一般には中腸腺といわれる。カニミソなどもこれにあたる。
以下の記述では、基本的にヒトの肝臓について述べる。
肝臓の解剖
胆管周辺の模式図
en:Liver:
肝臓、RHD(Right hepatic duct): 右肝管、LHD(Left hepatic duct):左肝管、CHD(en:Common hepatic duct):総肝管、en:Cystic duct:胆嚢管、en:Common bile duct:総胆管、en:Gall Bladder:胆嚢、en:Sphincter of Oddi:オッディ括約筋、en:Ampulla of Vater:ファーター膨大部、en:Pancreatic duct:膵管、en:Pancreas:膵臓、en:Duodenum:十二指腸
正常成人の肝重量は体重の約1/50であり、1.0 - 1.5kgである。
肝は肝動脈と門脈の2つの血管により栄養を受け、血流は肝静脈から肝外へと流れる。肝動脈は、大動脈から分岐した腹腔動脈の枝である総肝動脈が固有肝動脈となり右肝動脈と左肝動脈へと分かれて肝内へ入る。
他方、肝臓は消化管へも繋がりを持ち、胆管が十二指腸に開く。途中には胆嚢があり、胆管下部にはすい臓も接続している。
解剖学的区分
解剖学的に肝は右、左葉、方形葉、尾状葉の4つに分ける事ができる。これは外観から見た分類であり、臨床的にはあまり重要ではない。
機能的区分
手術や治療を行う際には門脈による区分が重要となる。機能的区分は門脈血流によって肝を区分したものである。肝臓を胆嚢と下大静脈を結ぶ主分割面(Cantlie line、カントリー線)によって左葉と右葉に分割する。左葉はさらに肝鎌状間膜により内側区と外側区に分けられる。右葉はさらに右肝静脈により前区と後区に分けられる。
- Couinaud(クイノー)の亜区域分類
- 肝をS1〜S8の8つの区域に分ける。
- S1:尾状葉、S2:左葉外側後区域、S3:左葉外側前区域、S4:左葉内側区域、S5:右葉前下区域、S6:右葉後下区域、S7:右葉後上区域、S8:右葉前上区域
肝臓のCT解剖学
肝臓の部位診断においては区域解剖が非常に重要となる。これは部位によって手術法が異なるからである。肝臓外科の手術としては亜区域切除、区域切除、葉切除、拡大右葉切除が知られている。肝臓の区域診断をするにあたっては肝臓の構造物を手掛かりとすることが多い。肝門とは左葉内側区(S4)と尾状葉(S1)の間隙であり、門脈、肝動脈、胆管の出入り口である。肝円索裂は肝円索(胎生期の臍静脈)の付く場であり外側区(S2,S3)と内側区(S4)を境界する。静脈索裂は胎生期の静脈管の走っていた間隙で尾状葉(S1)と外側区(S2,S3)を境界する。下大静脈溝と胆嚢窩を結ぶ線をカントリー線といい、外科的左葉と右葉を境界する。これらはCTにて常に確認できるわけではないが後述する脈管系が確認しにくい時は非常に役に立つ。肝区域、肝亜区域を診断するには脈管系が一番わかりやすい。
肝臓の血管の基本構造は各亜区域の中央を門脈が各亜区域の境界を肝静脈が走行することである。門脈には肝動脈と胆管が並走し、この構造は肝小葉レベルまで存続する。肝静脈は大きく左、中、右の3本を基本とする。左肝静脈本幹は左葉外側区(S2,S3)の中央を走り、外側後亜区(S2)と外側前亜区(S3)を境界する。中肝静脈本幹は内側区(S4)と右葉前区(S5,S8)を境界する。これはカントリー線にほぼ一致する境界となる。右肝静脈本幹は右葉の中央を貫き右葉前区(S5,S8)と後区(S6,S7)を境界する。
不思議なことに右葉の上下亜区を境界する構造は存在しない。門脈本幹は左葉主枝と右葉主枝に分かれる。左葉枝は肝円索裂にはいり、まず外側後亜区域枝を分枝し、さらに腹側に延びて左右に外側前亜区域枝と内側区域枝に分かれる。この部分はかつて臍静脈が交通していたためU点という。右葉枝は前区域枝と後区域枝に分かれる。前区域枝は前上亜区域枝、前下亜区域枝に分かれる。後区域枝分枝部はP点といわれる。後区域枝は後上亜区域枝と後下亜区域枝に分かれる。門脈は支配する区域に合わせてPxと表現することもある。たとえば、前上亜区域(S7)の中央を走る門脈はP7である。
クイノー分類は肝亜区域の表現でよく用いられる、これは肝臓の内臓面からみて反時計回りに番号を振ったものである。内臓面から確認できない右葉前上亜区をS8としている。
| クイノー分類 |
亜区域名 |
従来の呼称 |
| S1 |
尾状葉 |
尾状葉 |
| S2 |
外側後亜区 |
外側区 |
| S3 |
外側前亜区 |
外側区 |
| S4 |
内側区(方形葉) |
内側区 |
| S5 |
前下亜区 |
前区 |
| S6 |
後下亜区 |
後区 |
| S7 |
後上亜区 |
後区 |
| S8 |
前上亜区 |
前区 |
肝臓の組織
肝臓の組織は肝小葉という構造単位が集まってできており、小葉の間(小葉間結合組織)を小葉間静脈(肝門脈の枝)、小葉間動脈、小葉間胆管が走っている。肝小葉は直径1〜2mm, 高さ1〜2mmの六角柱ないしは多角形の形をしており、その中軸部は中心静脈という小静脈が貫いている。肝細胞は中心静脈の周囲に放射状に配列しており、ブロック塀の様に積み重なり、1層の板を形成している。その間を管腔の広い特殊な毛細血管が走っており、これを洞様毛細血管(あるいは類洞)という。この毛細血管は小葉間静脈と小葉間動脈の血液を受けて中心静脈に血液を送る。
一方、肝細胞板の内部で、隣り合う肝細胞間には毛細胆管というごく細い管が作られている。肝細胞から分泌された胆汁はこの毛細胆管に分泌され、小葉中心部から小葉間胆管に注いでいる。 また、人間の場合肝臓の細胞は核を2つ持つ多核細胞の一種であり、このことが肝細胞の再生力が高い要因とされている。
肝臓の機能
- 食物の消化を助ける胆汁酸を生産し、胆管・胆嚢から十二指腸に胆汁として分泌する。
- ヘムの分解物であるビリルビンをグルクロン酸抱合して胆汁色素を生産し同じく胆汁として分泌する。
- 糖の代謝
- 脂質の代謝
- 蛋白質の代謝
- アンモニアを尿素へ変換する。
- アルコールの代謝
- 解毒作用
- アルブミンの合成
- グリコーゲンの貯蔵とグルコースの合成
- グリコーゲンを合成して肝臓に蓄え、あるいはこれを分解して血液中にグルコースとして供給する。この量を調整することで血糖値の調節に関与している。
- 乳酸からのグルコースの再合成(コリ回路)
- 造血機能
- 骨髄での造血が開始されるまでの間、肝臓と脾臓で造血されている。出生後は肝臓で造血されることはないが、何らかの理由で骨髄での造血が障害されると、肝臓での造血が見られることがある(髄外造血)。
- 体温の維持・調節
肝臓の病気
- 脂肪肝
- 肝硬変
- 原発性胆汁性肝硬変=primary biliary cirrhosis=PBC
- 肝炎
- ウイルス性肝炎
- アルコール性肝炎
- 自己免疫性肝炎=autoimmune hepatitis
- 肝癌
- 肝細胞癌
- 胆管細胞癌
- 転移性肝癌...肝臓から始まる疾患ではないが、最終的に肝不全に至り、致死的となりうる。
- ヘモクロマトーシス
- 原発性硬化性胆管炎=primary sclerosing cholangitis=PSC
- Wilson病
- 感染症
など
肝疾患の検査としてアラニントランスアミナーゼ(ALT,またはGPT)、アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST,またはGOT)の血中濃度が測定される。
肝移植
障害を受けた肝は再生する能力を持っているが、肝の障害が不可逆的であり自己再生が不可能になった場合には肝移植が行われる事がある。
その他
- ギリシャ神話では、人間に火を与えたプロメテウスはゼウスの怒りを買い、カウカソス山に磔にされ、毎日ハゲタカに肝臓をむさぼられるという罰を受けた。プロメテウスも神であるため不死身であり、肝臓は翌日には再生してまた喰われる。
- 日本では梅毒、ハンセン氏病、結核などの万能薬と誤解され、主に男性の刑死体の肝臓の塩干しが「脳味噌の黒焼き」や「人油」よりも高値で売られていた。山田浅右衛門の専売で「人丹」、「人胆丸」などと称されていた。丸薬で浅蜊貝より少し多い程度の貝殻一杯ほどが明治の初年に5円もした。1870年4月15日、販売禁止となった。里見弴の「ひえもんとり」は江戸時代の肝臓を奪い合う様子を描いている。
- ボクシング等の格闘技では、肝臓を狙って打つパンチを「レバーブロー」と呼ぶ。ボディブローの一種なのだが、鳩尾は腹直筋を鍛えることでダメージを軽減させやすいが、レバーブローは鍛えづらい脇腹を狙うため効果は大きい。肝臓に当たる部分に打撃を受けると、鈍い痛みと激しい苦痛を感じる。その為格闘家はメディシンボールや、体重を掛けたトレーニングパートナーの足の裏などで、自分の腹筋や内臓に激しい刺激を与えて鍛える。
脚注
関連項目
外部リンク
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消化器系 |
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口 - 咽頭 - 食道 - 胃 - 膵臓 - 胆嚢 - 肝臓 - 消化管 - 腸、小腸(十二指腸・空腸・回腸) - 大腸(結腸・盲腸・虫垂・直腸) - 肛門
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内分泌器:ホルモン(ペプチドホルモン、ステロイドホルモン) |
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| 視床下部 - 脳下垂体 |
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視床下部
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GnRH - TRH - ドーパミン - CRH - GHRH - ソマトスタチン - ORX - MCH - MRH - MIH
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脳下垂体後葉
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バソプレッシン - OXT
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脳下垂体中葉
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インテルメジン
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脳下垂体前葉
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αサブユニット糖タンパク質ホルモン(FSH - LH - TSH) - GH - PRL - POMC(ACTH - MSH - エンドルフィン - リポトロピン)
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| 副腎 |
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副腎髄質
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副腎髄質ホルモン(アドレナリン - ノルアドレナリン - ドーパミン)
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副腎皮質
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副腎皮質ホルモン(アルドステロン - コルチゾール - DHEA)
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| 甲状腺 |
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甲状腺
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甲状腺ホルモン(T3 - T4 - カルシトニン)
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副甲状腺
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PTH
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| 生殖腺 |
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精巣
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テストステロン - AMH - インヒビン
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卵巣
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エストラジオール - プロゲステロン - インヒビン/アクチビン - リラキシン(妊娠時)
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| その他の内分泌器 |
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膵臓
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グルカゴン - インスリン - ソマトスタチン
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松果体
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メラトニン
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| 内分泌器でない器官 |
胎盤:hCG - HPL - エストロゲン - プロゲステロン - 腎臓:レニン - EPO - カルシトリオール - プロスタグランジン - 心臓:ANP - BNP - ET - 胃:ガストリン - グレリン - 十二指腸:CCK - GIP - セクレチン - モチリン - VIP - 回腸:エンテログルカゴン - 脂肪組織:レプチン - アディポネクチン - レジスチン - 胸腺:サイモシン - サイモポイエチン - サイムリン - STF - THF - 肝臓:IGFs(IGF-1 - IGF-2) - 耳下腺:バロチン - 末梢神経系:CGRP - P物質
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| 誘導タンパク質 |
NGF - BDNF - NT-3
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五臓六腑 |
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| 五臓 |
肝臓 · 心臓 · 脾臓 · 肺臓 · 腎臓
|
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| 六腑 |
胃 · 大腸 · 小腸 · 胆嚢 · 膀胱 · 三焦
|
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 4.アスコルビン酸欠乏時の肝臓の酸化的ストレス応答系の解析 : ODSラットを用いた解析(第135回研究委員会研究発表要旨,ビタミンC研究委員会)
- 堀尾 文彦,三浦 奈津子,星長 夕貴子,徳田 優希,小林 美里,村井 篤嗣
- ビタミン 85(11), 619-620, 2011-11-25
- NAID 110008762070
- 5.ビタミンB_6欠乏時に見られる肝臓脂肪の蓄積について(第425回研究協議会研究発表要旨,ビタミンB研究委員会)
- 空腹時13C-glucose呼気試験を用いた非侵襲肝臓インスリン抵抗性評価法の開発 (第128回成医会総会一般演題)
- 肝エコー信号の独立性に着目した病変情報抽出法(医用超音波,<特集>アコースティックイメージング技術の新展開論文)
- 岩科 智之,須鎗 弘樹,山口 匡
- 電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 J94-A(11), 817-825, 2011-11-01
- … 去し,病変組織の量や分布の様子を詳細に捉えたいという要求が強い.本論文では,肝エコー信号に含まれるスペックルノイズと生体組織構造を反映したエコー信号との独立性を指標とし,独立成分分析(ICA)による肝臓病変の組織構造抽出法を提案する.一枚のエコー画像から組織構造とは独立した信号成分であるスペックルノイズを除去するため,同様のノイズを付加情報として用いることでICAを適用した.計算機シミュレーシ …
- NAID 110008762177
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
※ エフエーミック注1mL
組成
組 成
- エフエーミック注1mLは1管(1mL)中
フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム(FADとして) 10mg
肝臓エキス 15μL
添加物 ベンジルアルコール10μL、クエン酸水和物、リン酸水素ナトリウム水和物、塩化ナトリウム
禁忌
本剤に対し過敏症の既往歴のある患者
効能または効果
・慢性肝疾患における肝機能の改善
・下記疾患のうちビタミンB2の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される場合
- 湿疹・皮膚炎群、口唇炎・口角炎・口内炎、びまん性表層角膜炎
・ビタミンB2の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給(消耗性疾患、妊産婦、授乳婦など)
- 通常成人1日1〜2mLを1〜2回に分けて、皮下、筋肉内又は静脈内注射する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
重大な副作用
ショック:
- ショックがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、胸内苦悶、急激な血圧低下、呼吸困難等の異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- 〇肝臓エキスはラットのエチオニン投与による肝障害に対し、抑制あるいは改善作用が認められている2)。
- 〇肝硬変ラットで70%肝切除した場合、残存肝ミトコンドリアのATP産生能、残存肝切片のDNA産生能の低下を抑制する3)。
- 〇ビタミンB2欠乏ラットに投与した場合、その改善効果はFAD単独に比し優れていた。
- 〇四塩化炭素肝障害ラットにエフエーミック注および標準製剤を腹腔内投与したところ、有意な肝機能検査値(GOT、Al-P)の改善を認めた4)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- (1)フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム(Flavin Adenine Dinucleotide Sodium)
化学名
- Disodium adenosine 5'-[(2R,3S,4S)-5-(7,8-dimethyl-2,4-dioxo-3,4-dihydrobenzo[g]pteridin-10(2H)-yl)-2,3,4-trihydroxypentyl diphosphate
分子式
分子量
性 状
- 本品はだいだい黄色〜淡黄褐色の粉末で、においはないか、又はわずかに特異なにおいがあり、味はわずかに苦い。本品は水に溶けやすく、メタノール、エタノール(95)、エチレングリコール又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。本品は吸湿性である。本品は光によって分解する。
一般名
性 状
pH
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- 次の文を読み、53-55の問いに答えよ。
- 1歳6か月の男児。1歳6か月児健康診査のため来院した。
- 出生・発育歴 在胎38週、頭位分娩にて出生した。出生時の身長48.0cm、体重2,750g、頭囲33cm。 Apgarスコア8点(1分)。頚定4か月、お坐り8か月、つたい歩き1歳、歩行1歳2か月。喃語は発するが、有意語はない。軟飯90gと歯茎で噛める固さの副菜とを1日3回、卵は全卵を1日1個、牛乳を1日1,000ml与えている。調理用油脂類と砂糖をそれぞれ1日12g使用している。
- 既往歴 8か月時に突発性発疹。 1歳2か月時に熱性けいれん。
- 家族歴 特記すべきことはない。
- 現 症 意識は清明。身長80.0cm、体重14.0kg、頭囲53cm、胸囲47cm、Kaup指数21.8。大泉門は閉鎖している。眼瞼結膜に貧血を認めない。眼球結膜に黄染を認めない。頭部に小豆大のリンパ節を右に4個触知する。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝を1.5cm触知する。筋緊張は正常で、腱反射の亢進を認めない。
[正答]
※国試ナビ4※ [105B052]←[国試_105]→[105B054]
[★]
- 45歳の女性。腹囲が大きくなったことを主訴に来院した。半年前から徐々に腹囲が大きくなってきた。食欲はあり、体重に変化はみられない。排便の状況にも変化はない。月経周期26日型、整。身長156cm、体重46kg。体温36.2℃。脈拍72/分、整。血圧112/74mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は全体に軽度膨隆している。肝・脾を触知しない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球 432万, Hb 12.1g/dl、Ht 38%、白血球 6,200、血小板 23万。血液生化学所見:血糖 83mg/dl、総蛋白 7.2g/dl、アルブミン 4.0g/dl、総ビリルビン 0、6mg/dl、AST 16IU/l、ALT 13IU/l、ALP 174IU/l(基準115-359)。免疫学所見: CRP O.3mg/dl、CEA 26.4ng/ml(基準5以下)、CA19-9 60U/m/(基準37以下)。術前に施行した腹部造影CT(別冊No.10A)を別に示す。開腹手術を行うとゼリー状の物質と腫瘍が確認された。腫瘍のH-E染色標本(別冊No.10B)を別に示す。
- 原発臓器として考えられるのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [104D029]←[国試_104]→[104D031]
[★]
- 51歳の女性。顔面の発汗を主訴に来院した。半年前から疲れやすさを自覚し、発作性の発汗、後頸部の熱感および肩こりが増強してきたという。身長 162cm、体重 56kg。体温 36.0℃。脈拍 72/分、整。血圧 124/76mmHg。1年前から月経はない。身体診察で明らかな異常を認めない。血液所見:赤血球 387万、Hb 12.8g/dL、Ht 39%、白血球 6,300、血小板 21万。血液生化学所見:AST 24U/L、ALT 20U/L、TSH 1.2μU/mL(基準 0.2~4.0)、FT4 1.1ng/dL(基準 0.8~2.2)、FSH 38mIU/mL(閉経後の基準 30以上)。心電図で異常を認めない。
- この病態の原因となっているのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114D017]←[国試_114]→[114D019]
[★]
- 10日前から両側下腿に小膿疱が出現、集簇・融合して、その後潰瘍を形成、急速に拡大した。潰瘍の辺縁は堤防状に隆起し、圧痛と自発痛とがある。関節痛を伴う。体温37.2℃。
- 血液所見:赤血球452万、Hb14.0g/dl、Ht42%、白血球9,800(桿状核好中球7%、分葉核好中球67%、好酸球2%、好塩基球1%、単球3%、リンパ球20%)、血小板19万。
- 下腿の写真を以下に示す。 合併症の好発臓器はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [099G005]←[国試_099]→[099G007]
[★]
- 30歳の初妊婦。妊娠35週。胎動減少を主訴に来院した。妊娠33週までの妊婦健康診査では特に異常を認めなかった。10日前から持病の腰痛のため毎日非ステロイド性抗炎症薬を含有した市販薬(貼付薬と内服薬)を使用していた。昨日から胎動が少ないという。胎児心拍数陣痛図では胎児心拍数基線は140/分で正常な基線細変動を認めるが、一過性頻脈は認めない。腹部超音波検査を開始したが、胎盤や羊水量に異常を認めない。
- 超音波検査で注意して観察すべき胎児の部位はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110E044]←[国試_110]→[110E046]
[★]
- 28歳の初妊婦。妊娠28週。前期破水のため入院中である。妊娠24週に水様帯下を自覚して受診し、前期破水の診断で入院となった。入院後安静を続けて経過観察したが、水様帯下は持続している。本日の血液検査の結果は白血球 8,900、CRP 0.1mg/dLであった。入院後週1回実施している腹部超音波検査での胎児推定体重は、正常範囲内で増加している。羊水指数(AFI)は 1.0~3.0cm(基準5~25)の間で推移している。
- 胎児の臓器で発育に注意すべきなのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110B044]←[国試_110]→[110B046]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [099D044]←[国試_099]→[099D046]
[★]
- 32歳の男性。工場の爆発事故で熱傷を受け、救急車で搬送された。口唇を含めた顔面と頭部とに熱傷病変を認める。意識は清明。身長168cm、体重62kg。体温36.5℃。呼吸数24/分。脈拍88/分、整。血圧126/70mmHg。バイタルサインは安定している。
[正答]
※国試ナビ4※ [099F031]←[国試_099]→[099F033]
[★]
- a. 脾腫の診断には空腹時の方が有用である。
- b. 消化管穿孔の診断に有用である。
- c. 急性腹膜炎による腹部膨満では全体が濁音である。
- d. 肝臓では上縁が下縁より分かりやすい。
- e. 腹水の診断には体位変換が重要である。
[正答]
※国試ナビ4※ [095E019]←[国試_095]→[095E021]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [105B003]←[国試_105]→[105B005]
[★]
- 60歳の男性。全身の掻痒感を主訴に来院した。手掌と腹部との写真を以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [098F007]←[国試_098]→[098F009]
[★]
- 23歳の男性。色素斑を気にして来院した。
- 幼児期から口唇と掌蹠とに小色素斑が散在する。口唇の写真を以下に示す。
- この疾患で異常がみられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [099A006]←[国試_099]→[099A008]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [110I039]←[国試_110]→[110I041]
[★]
- 50歳から74歳までの男性について、ある癌の年齢階級別死亡率(人口10万対)の生まれ年による推移(別冊No. 1)を別に示す。
- この癌の部位はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111E007]←[国試_111]→[111E009]
[★]
- a. 毒は肝臓と卵巣とに多い。
- b. 毒は加熱調理によって分解される。
- c. 摂食して1日以上経過してから発症する。
- d. 胃洗浄は禁忌である。
- e. 手指振戦が出現する。
[正答]
※国試ナビ4※ [096H073]←[国試_096]→[096H075]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [108H005]←[国試_108]→[108H007]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [109B032]←[国試_109]→[109B034]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [096G057]←[国試_096]→[096G059]
[★]
- 不均衡型の胎児発育不全で、慢性の低酸素血症のために相対的に血流増加がみられる組織はどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [110G032]←[国試_110]→[110G034]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [095A038]←[国試_095]→[095A040]
[★]
- 英
- hypoglycemics
- 同
- hypoglycemic agent、antidiabetic agent、antidiabetic drug、antidiabetics、glucose-lowering agent、hypoglycemic、hypoglycemic drug、hypoglycemics
- 関
- [[]]
投稿記事
k氏より
インスリンの抽出は大変意図的に行われたのに対し、スルフォニルウレア薬(SU)は偶然に見つかりました。で、1950年代にはじめに二型糖尿病の患者に使われるようになりました。いまでは20種類くらいのSUが広く世界で使われています。
1997にはメグリチニドが臨床適用されました。食後高血糖の治療薬としてはじめて使用された薬です。
メタフォルミンというビグアナイド薬(BG)は、ヨーロッパで広く使われていましたが、1995年にアメリカでも認可されました。
チアゾリジン1997年に市場導入され、二番目にメジャーなインスリン刺激薬として使用されています。この種類の薬には、広汎な肝障害を起こしにくく、世界中で使われています。
スルフォニルウレア薬 SU薬
膵臓のβ細胞の刺激によって、インスリンを放出させ、血糖値を下げます。
治療が長引くと、インスリン分泌というSUのβ細胞刺激性の効果が薄れてきますが、β細胞上のSU受容体のダウンレギュレーションによるものです。また、SUはソマトスタチンの放出を刺激します。ソマトスタチンはグルカゴン分泌を抑制しているので、これも関係SUの糖を下げる効果と関係しています。
SUはATP感受性Kチャンネルを抑制します。Kレベルが下がると、まく表面における、脱分極を促し、電位依存性カルシウムチャンネルを通じたカルシウムイオンの流入を促進します。
SUには無視できない膵臓外作用があるという議論があります。確かにありうべきことですが、2型糖尿病の患者の治療においては、それほど重要なことではないようです。
SU薬はそれぞれが似たような作用スペクトラムを持っているので、薬物動態的な特性がここの薬を区別する手がかりです。腸管からのSU薬の吸収の割合は薬によって違いますが、食物や、高血糖は、この吸収を抑制します。高血糖はそれ自身、腸管の運動を抑制するので、ほかの薬の吸収も阻害します。血漿濃度が効果的な値にまで達する時間を考えると、半減期の短いSUは、食前三十分に投与するのが適切です。SU薬は90から99パーセントくらい血中たんぱく質と結合し、特にアルブミンと結合します。
第一世代のSUは半減期や分布において、大きく違っています。この半減期や作用時間の不一致の理由はいまだはっきりしていません。
SUはすべて肝臓で代謝を受け、尿中に排泄されます。なので、肝不全、腎不全患者には要注意で処方します。
めったにありませんが、第一世代服用患者では、4パーセントの割合でおきます。第二世代ではもっと少ないでしょう。低血糖による昏睡がしばしば問題になります。腎不全や肝不全がある高齢者の患者でおきやすいです。
重症の低血糖は脳血管障害も起こしうる。急性の神経障害が見つかった高齢患者では血中グルコースレベルを測るのが大事です。半減期の長いSUもあるので、24から48時間のグルコースを輸液します。
第一世代は多くの薬物と相互作用を持っています。
ほかに、吐き気嘔吐、胆汁うっ滞性黄疸、脱顆粒球症、再生不良性・溶血性貧血、全身性のアレルギー症状があります。
SUが心血管障害による死亡率を上げるのかについては議論の余地あり。
SUは、食事療法だけでは十分なコントロールを得られない2型糖尿病患者の血糖コントロールに用いられます。禁忌はtype 1 DM(diabetes mellitus:糖尿病)、妊婦、授乳中の患者、腎障害や肝障害の患者です。
普通の患者なら五割から八割くらい、経口の糖尿病治療薬が効きます。インスリン療法が必要になる患者もいます。
トルブタマイドの一日量は500ミリグラムで、3000ミリグラムが最大の許容量です。SUの治療成績の評価は患者の様子を頻繁に観察しながら、行います。
SUとインスリンの併用療法はtype 1, type 2 両方の糖尿病で用いられていますが、βセルの残存能力がないとうまくいきません。
レパグリニドはメグリチニドクラスの経口インスリン分泌促進物質です。化学構造上、SUとは異なっており、安息香酸から分離されたものです。
SU薬と同様にレパグリニドは膵臓βセルにおけるATP依存性Kチャンネルを閉じることによりインスリン分泌を促進します。AEもSU薬と同様、低血糖です。
Dふぇにるアラニンから分離された薬。レパグリニドよりもSEとして低血糖が認められづらいです。
メトフォルミンとフェノフォルミンは1957年に市場導入され、ブフォルミンが1958年に導入されました。ブフォルミンは使用が制限されていますが、前者二つは広く使われています。フェノフォルミンは1970年代に乳酸アシドーシスのAEによって市場から姿を消しました。メトフォルミンはそのようなAEは少なく、ヨーロッパカナダで広く使われています。アメリカでは1995年に使用可能に。メトフォルミンは単独かSUと併用して使われます。
ものの言い方によると、メトフォルミンは抗高血糖であって、血糖を下げる薬ではありません。膵臓からのインスリン放出は促さないので、どんな大容量でも低血糖は起こしません。グルカゴン・コルチゾール・成長ホルモン・ソマトスタチンにも影響なし。肝での糖新生を抑制したり、筋や脂肪におけるインスリンの働きを増すことで、血糖を押さえます。
小腸から吸収。安定な構造で、血中の蛋白と結合しないで、そのまま尿中に排泄。半減期は二時間。2.5グラムを食事と一緒に飲むのがアメリカで最もお勧めの最大用量。
メトフォルミンは腎不全の患者には投与しないこと。肝障害や、乳酸アシドーシスの既往、薬物治療中の心不全、低酸素性の慢性肺疾患なども合併症として挙げられる。乳酸アシドーシスはしかしながら、めちゃくちゃまれである。1000人年(たとえば100人いたら、10年のうちにという意味の単位。または1000人いたら1年につき、ということ。)につき0.1という割合。
メトフォルミンの急性のAEは患者の20パーセントに見られ、下痢、腹部不快感、吐き気、金属の味、食欲不振などです。メタフォルミンを飲んでいる間はビタミンB12や葉酸のきゅうしゅうが 落ちています。カルシウムをサプリで取ると、ビタミンB12の吸収が改善されます。
血中乳酸濃度が3ミリMに達するとか、腎不全・肝不全の兆候が見られたら、メタフォルミンは中止しましょう。
PPARγに効く。(ペルオキシソーム・プロライファレーター・アクチベイティッド・受容体、つまりペルオキシソーム増殖活性受容体みたいな。)PPARγに結合して、インスリン反応性をまして、炭水化物とか、脂質の代謝を調整します。
ロジグリタゾンとピオグリタゾンは一日一度。チアゾリジンは肝にて代謝され、腎不全のある患者にも投与できますが、活動性の肝疾患があるときや肝臓のトランスアミナーゼが上昇しているときは、使用しないこと。
ロジグリタゾンはCYP2C8で代謝されますがピオグリタゾンはCYP3A4とCYP2C8で代謝されます。ほかの薬との相互作用や、チアゾリジン同士の相互作用はいまだ報告されていませんが、研究中です。
ピオグリタゾンとロジグリタゾンは肝毒性とはめったに関係しませんが、肝機能をモニターする必要があります。心不全のある患者はまずそちらを治療してから。
αGIは小腸の刷子縁におけるαグルコシダーゼの働きを阻害することによって、でんぷん・デキストリン・ダイサッカリダーゼの吸収を抑制します。
インスリンを増やす作用はないので、低血糖もおきません。吸収がよくない薬なので、食事の開始と一緒に飲むとよいです。
アカルボースとミグリトールは食後高血糖の抑制に使われます。
αGIは用量依存性に、消化不良・ガス膨満・下痢などをきたします。αGIとインスリンを併用中に低血糖症状が出たら、、グルコースを補充します。
経口から、グルコースが静脈を通ると、インスリンが上がることがわかっていました。消化管の上部からはGIP、消化管下部からはGLP1というホルモンが出ていて、糖依存性のインスリン放出を促していることがわかりました。これらのホルモンはインクレチンといわれています。この二つのホルモンは別の働き方でインスリンの放出を促進します。GIPはtype 2 DMではインスリン分泌を促進する能力がほとんど失われています。一方でGLP1は糖依存性のインスリン分泌を強く促しています。つまりtype 2 DMの治療ではGIPをターゲットにすればよいということになります。GLPはグルカゴンを抑制し。空腹感を押さえ、食欲を抑えます。体重減少も実現できます。この長所を相殺するように、GLP1は迅速にDPPIV(ヂペプチジルペプチダーゼ4エンザイム)によって負活化されます。つまり、GLP1を治療に使うなら、連続的に体に入れなければなりません。GLP1受容体のアゴニストが研究され、これはDPPIVにたいして抵抗性があります。
そのほかのGLP1療法のアプローチに仕方としては、DPPIVプロテアーゼの不活性化で、それによってGLP1の循環量を増やそうとするものです。type 2 DM治療に新しい薬がでるかもしれないですね。
[★]
- 英
- hormone
古典的な定義
- 特定の内分泌腺から分泌され、血行によって運ばれ、遠隔部の特定の標的器官に作用して特異的効果を現す物質(PT.403)
例外
- 消化管ホルモン (PT.403)
- 視床下部ホルモン (PT.403)
- 甲状腺濾胞ホルモン?
- カルシトニン?
ホルモンの一覧表
[★]
- 英
- cirrhosis of liver (M), liver cirrhosis LC, cirrhosis
- 関
- 肝臓
定義
(アトラス肝臓病 金原出版 谷川久一、阿部弘彦 昭和62年1月30日 p.57)
- 1. 肝細胞死が原因で、びまん性の結合組織増生が肝臓全域に見られる
- 2. 肝実質の結節性再生と小葉構造の改築が認められるもの
概念
- 肝硬変はびまん性に線維化した肝病変の終末像であり、慢性肝炎とともにもっともしばしばみられる肝の病態である。臨床的には様々な程度の肝細胞機能不全状態と門脈圧亢進症による症状がみられる慢性疾患である。
疫学
- 人口10万人あたりの死亡率12.5人
- 45-59歳の男性では死亡順位第4位
- 西日本に多い
病因
病理
- 炎症による細胞の破壊と再生を繰り返す結果、再生した肝細胞と新たに形成された線維性の隔壁を有する結節が形成され(再生結節)、肝硬変となる。(BPT.647)
- ウイルス性肝炎の慢性化による肝硬変では、3mm以上の結節がみられる(macronodular cirrhosis)。
- アルコール性肝炎の慢性化による肝硬変では、平均3mmの結節がみられる(micronodular cirrhosis)。
病態生理
- 肝機能低下により(1)エストロゲンの肝臓における異化が低下、(2)アルブミン合成能が低下、(3)門脈圧亢進が起こる。(1)によるエストロゲンなどの血管拡張因子により血管が拡張し循環血漿量が減少する。(2)による膠質浸透圧の低下はサードスペースへの体液移動を引き起こしさらに循環血漿量を低下させる。これには(3)も相加的に作用すると思われる。循環血漿量の低下はRAA系の亢進をきたし、アルドステロンによるNa、水の貯留引き起こす。
- 非代償性肝硬変では、肝網内系(クッパー細胞など)の機能低下、白血球減少による易感染性を呈する。
症状
合併症
- 参考2
身体所見
[show details]
- 腹部:脾腫 ← 門脈圧と脾腫の程度は相関しない (QB.B-315)
検査
血算
-
- 血小板減少が門脈圧亢進の最初の徴候(HIM.1978)
- 白血球減少 ← 門脈圧亢進によるうっ血性の脾腫に伴う脾機能亢進。 骨髄での産生低下も原因らしい(出典不明)
血液生化学
-
- 総ビリルビン T-Bil:上昇
- アンモニア NH3:上昇
- Fischer比:低下
- 線維化マーカー (ヒアルロン酸、IV型コラ-ゲン):上昇
- 膠質反応(TTT,ZTT):上昇
- γグロブリン:上昇 ← 門脈血に含まれる細菌の抗原が肝臓をシャントしてリンパ組織に到達するためとされている(uptodate)
-
-
- 糖の処理障害により食後高血糖を来しやすく、糖尿病を発症しやすい。
- 低ナトリウム血症、血漿浸透圧低下 ← 血液中の水が間質に移動する結果、電解質も共に移動する。血液中には水が過剰となり、低ナトリウム血症、血症浸透圧低下となる。volume depletionに対してADHが主に作用するからか、あるいはH2Oが移動しやすいからなのかは不明。
免疫血清検査
- 多クローン性γグロブリン血症
- IgG:増加する傾向あり。 ← 門脈血が肝臓を通過せずにリンパ組織に流れ込む結果。著しく高値であったら自己免疫性肝炎。(参考1)
- IgM:高値であったら90-95%はPBCである。(参考1)
- 壊死、炎症が持続的に起きているから上がると解釈することもできる、みたい。
画像
- (US,CT, MRI,Angio,肝シンチ、上部消化管内視鏡)
腹腔鏡、肝生検
- 分枝鎖アミノ酸(branched chain amino acids, BCAA)と芳香族アミノ酸(aromatic amino acids; AAA)の分子比(モル比)
-
- 肝臓、末梢(筋肉など)でよく代謝される
- ほぼ肝臓で代謝される
診断
治療
- IMD 参考2 YN.B-47
- 治療のゴールは、(1)肝疾患の進展を遅らせたり治癒させること、(2)他の原因による肝臓障害を予防すること、(3)合併症の予防、(4)肝移植の時期を決定することである。
- 方針:原疾患の治療を行い、肝硬変の進展を抑えるように食事、生活療法を行う、非代償期には合併症の治療を行う。
- (1)肝疾患の進展を遅らせたり治癒させる:原疾患の治療を行う(自己免疫性肝炎であればステロイドや免疫抑制薬、アルコール性肝障害であれば禁酒、ウイルス性肝炎であれば病原体に応じた治療)。
- (2)他の原因による肝臓障害を予防する:肝臓に障害を与えないようにする(アルコール摂取、アセトアミノフェンの過剰服用)。予防接種を受ける(肝予備能がほとんど無ければA型肝炎、B型肝炎。肺炎球菌、インフルエンザウイルスに対する予防接種も考慮される。
- (3)合併症の予防:肝細胞癌、静脈瘤出血、特発性細菌性腹膜炎、肝腎症候群、肝性脳症、肝肺症候群
- (4)肝移植の時期を決定:
代償期
- 食後の安静、適切な熱量(25-30kcal/kg/日)で適切な蛋白質(1.2-1.5g/kg)の食事を摂取、ビタミンB、ビタミンK補充
- 肝庇護薬(ウルソデオキシコール酸、グリチルリチンなど)
非代償期
-
- 食塩制限(5-7g以下)。飲水制限(1L/day)(腹水貯留時)
- 蛋白質の補充:分枝鎖アミノ酸の多い食事、分枝鎖アミノ酸製剤の点滴。NH3が上昇するなど肝性脳症の危険があれば低蛋白食とする。
- 膠質浸透圧の維持:アルブミン製剤
- 早朝低血糖に対し、夜食を勧める(肝機能低下により糖新生↓のはず)。(出典不明)
- 利尿薬:抗アルドステロン薬(スピロノラクトン)、トルバプタン、フロセミド、サイアザイド → 後2者はhypokalemiaからmetabolic alkalosisを惹起、アンモニアのNH4+ ⇔ NH3 + H+の平衡を左に移行させてアンモニアの排泄を阻害、高アンモニア血症を増悪しうる(非イオン化状態では尿細管で再吸収されやすいはず)(出典不明)。
- 腹水濃縮再注入法
- 肝内門脈大循環シャント、腹膜静脈短絡術
- 食道静脈瘤の治療:内視鏡的食道静脈瘤硬化術・結紮術、外科的治療
- 肝性脳症の治療:腹水の食事療法に準じるが、NH3再吸収につながる便秘の予防に気をつける。
- 肝移植
予後
- 死因:(1)肝性脳症、(2)静脈瘤破綻、(3)肝癌合併
- (1),(2)の治療が発達したことにより、(3)での死亡が増加している。
参考
- 1. [charged] Diagnostic approach to the patient with cirrhosis - uptodate [1]
- 2. [charged] Overview of the complications, prognosis, and management of cirrhosis - uptodate [2]
国試
[★]
- 英
- coagulation factor (Z), clotting factor, blood coagulation factor, blood coagulation factors
- 関
- ビタミンK
血液凝固因子
表
- 15種類ある
産生部位
臨床関連
-凝固因子
[★]
- 英
- hepatomegaly, hypertrophy of the liver
- 同
- 肝肥大
- 関
- 肝臓
概念
症状
- ほぼ無症状。
- 著名に腫大すれば、周囲臓器圧迫により腹満感や息苦しさを訴えることがある。
診察
- 健常者でも約20%に右肋骨弓下に肝を触れる
- 右肋骨弓下に2横指触れれば肝腫大と診断可能
頻度
- 右心不全:100%
- 一過性肝腫脹:高頻度(80%以上)急性心不全、急性ウイルス感染症、薬物性肝障害。
- 持続的肝腫大:高頻度(80%以上)脂肪肝、慢性肝炎、肝硬変。原発性胆汁性肝硬変、ヘモクロマトーシス、Wilson病、巨大肝嚢胞、巨大肝血管腫。
原因
- 脈管:特発性門脈圧亢進症、肝静脈閉塞(バッド・キアリ症候群)、右心不全
- 蓄積:脂肪肝、ヘモクロマトーシス、アミロイドーシス、ウィルソン病、糖原病、
- 炎症:急性ウイルス性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、アルコール性肝障害、薬物性肝障害、結核、サルコイドーシス、種々のウイルス感染、寄生虫感染、膠原病
- 胆汁鬱滞:肝内胆汁うっ滞、肝外胆汁うっ滞、原発性硬化性胆管炎
- 腫瘍浸潤:白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄増殖性疾患
- 肝腫瘍:肝細胞癌、胆管細胞癌、肝芽腫、肝嚢胞、肝海綿状血管腫、転移性肝癌
診断
- 血液検査で肝機能、アルブミン、肝炎ウイルス、ANA、ANA、EBV、CMVを評価
- 腹部超音波検査、腹部造影CT、MRCPが有用
- 腫瘍を疑う場合にはPIVKA II, AFP, CEA, CA19-9
鑑別診断
- DIF