- 英
- acute myocardial infarction, AMI
- 関
- 心筋梗塞
症状
- 胸痛:デルマトームC7-T1への放散痛(PHD.179)。デルマトームT1-T4への放散痛(IMD.418)→胸骨裏側、左上肢の尺側側、頚部、下顎部
- 痛みは虚血により生じた代謝産物(アデノシン、乳酸)が局所の神経終末を刺激することで生じる
PDH.179
特徴的な疼痛
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持続性で、ひどい痛み、典型的には胸骨下痛
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交感神経による作用
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発汗
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皮膚が湿って冷たく感じられる
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副交感神経による作用
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悪心・嘔吐
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倦怠感
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炎症反応
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中程度の発熱
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心臓の所見
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IV音ギャロップ(うっ血性心不全があればIII音も)
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その他
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運動異常を伴う膨隆(前壁梗塞なら)
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心膜摩擦音(心膜炎があれば)
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収縮期雑音(僧帽弁閉鎖不全症や心室中隔欠損があれば)
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肺のラ音(うっ血性心不全があれば)
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頚動脈の拡大(右室梗塞)
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身体所見(ST-segment elecation MI HIM.1533)
- 不安、不穏、ベットの上で場所を変えたり身体を曲げたりして痛みを和らげようとしている。
- 蒼白
- 四肢の冷感
- 30分以上持続する後胸骨痛 + 発汗 → ST上昇心筋梗塞を示唆
- 多くの患者は最初の1時間は脈拍、血圧、正常
- 前壁梗塞の患者の1/4は交感神経が興奮 → 頻脈、高血圧
- about one-fourth of patients with anterior infarction have manifestations of sympathetic nervous system hyperactivity (tachycardia and/or hypertension)
- 下壁梗塞の1/2は副交感神経興奮 → 徐脈±低血圧
- up to one-half with inferior infarction show evidence of parasympathetic hyperactivity (bradycardia and/or hypotension)
検査
血液生化学検査: マーカー
時系列
→→→→→→→→→→→→→→→→→→
|
myo
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W
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TnT
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myo
|
AST
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LDH
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CRP
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H
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CK
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2-3時間 ~~~~~~半日~ 1日
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心電図
- PECG.168
- (超急性期:発症直後~数時間)T波先鋭化、非特異的ST上昇
- (急性期 :数時間~12時間)特異的ST上昇(上に凸)、R波減高、異常Q波出現
- (亜急性期:24時間~1週間)ST上昇は減高、T波が陰転化(冠性T波:左右対称な陰性T波)。しばしばQT延長を伴う。
- 全層虚血でのST上昇は対側誘導でST低下が見られる。
- 異常Q波 + ST上昇 が数週間持続 → 高度の壁運動の異常 → 心室瘤の形成を示唆
診断
- 心筋梗塞を疑ったら診察は、病歴、心電図変化、心筋マーカーの上昇で行う。心エコーで心筋壁の障害が認められ、CAGで冠動脈の閉塞または狭窄所見が見られたら確実(YN.C81)
治療
初期治療
- PHD.187 ガイドライン1
- アスピリン:治療開始から退院後も継続的に服用。
- 未分画ヘパリン:冠動脈の開存性を保つ。
- βブロッカー:酸素需要減少。拡張期の延長による障害心筋への灌流を改善。静脈投与→経口投与。
- 禁忌:喘息、低血圧、著しい徐脈。
- 硝酸薬:前負荷・後負荷軽減による心筋酸素需要量低減、冠攣縮の解除・予防、側副路の血流増加。
- 使用不可:収縮期血圧<90mmHg or 通常血圧より30mmHg以上血圧低下、高度徐脈(<50bpm)、頻脈(>100bpm)、下壁梗塞・右室梗塞合併疑い例
- 禁忌:勃起不全治療薬服用後24時間以内。
- 未分画ヘパリン:PCIが施行される場合にはヘパリンをactivated clotting timeが250を越えるように使用。tPAを使用した血栓溶解を行った後にはヘパリン48時間投与し、APTTを50-70秒に保つ。
- 鎮痛薬:塩酸モルヒネ:硝酸薬使用後も疼痛が持続する場合。
再灌流療法
- 適応:発症後12時間以内 (救急医療パーフェクトマニュアル p.43)
二次予防
- 患者教育
- 禁煙指導
- 食事療法:血圧管理、脂質管理、体重管理、糖尿病管理
- 運動療法
- 抗血小板薬
- 脂質異常症治療薬
- RAA系阻害薬
- βブロッカー
- カルシウム拮抗薬:血圧管理や狭心症が他の薬剤でコントロールできない場合に限る(心筋梗塞発症早期での短時間作用型カルシウム拮抗薬投与による総死亡低下に対する有効性が確認されなかったため)。,STEMI患者への短時間作用型ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬投与は通常禁忌。(ガイドライン1)
- ニコランジル
- ワルファリン
合併症
機械的合併症
- NSU.424 SSUR.397
- 心筋梗塞の破裂は全心筋梗塞例の2-4%でみられ、3/4の例で左室自由壁破裂、1/4の例で心室中隔穿孔、僧帽弁乳頭筋断裂はごく稀(SSUR.397)。
-
- 心室中隔を栄養する血流の途絶により中隔の壊死を来たす。左右シャントを生じ、原疾患である心筋梗塞による心不全を増悪させ、前方不全、すなわち低心拍出量症候群をきたす。増悪すれば、心原性ショックに陥る。右室は容量負荷をうけ右心不全をきたすことがある。症状は苦悶、血液低下、尿量減少を来たし、半数例においては心原性ショックが見られる。治療は循環が悪化している場合にはドパミン、ドブタミン、ニトログリセリンが用いられるが一時的であり、大動脈内バルーンパンピングによって循環動態を安定させる。その後、速やかに手術を施行する。循環動態が安定している例では2-3週間後に手術を行う(NSU.424)。手術は心停止下に左室梗塞部を切開して中隔穿孔部をダクロンパッチで閉鎖する。
- 2. 虚血性僧帽弁不全症(急性:乳頭筋断裂、慢性:乳頭筋機能不全)
- 乳頭筋断裂の75%は下壁梗塞に合併して後乳頭筋に発生し、残りは前乳頭筋に生ずる。僧帽弁尖の逸脱が起こり急性僧帽弁閉鎖不全症の病態を呈する。原疾患の心筋梗塞による心不全に加え、急性僧帽弁閉鎖不全症により心原性ショックに陥る。治療はIABPを挿入して循環動態を安定化後、僧帽弁置換術を行う。
-
- 自由壁破裂は左室に多く、健常部と梗塞部位の境界に多い。病型は急激に大出血するblow-out型とじわじわ出血するoozing型がある。いずれの場合でも出血による心タンポナーデを来たし、低心拍出量の低下、さらに心原性ショックに陥る。症状は血圧低下、意識消失、呼吸停止、徐脈、心停止に至る。治療は直ちにPCPSにより循環の維持を図り(oozing型の場合は心嚢穿刺によるタンポナーデの解除を行う)、開胸手術により出血部のフェルトを用いた縫合閉鎖を行う。
ガイドライン
- 1. 急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2008_takano_h.pdf
国試
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/12/15 23:55:29」(JST)
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心筋梗塞 |
分類及び外部参照情報 |
心筋梗塞の図
閉塞 (1) した先の心筋 (2) が壊死している
|
ICD-10 |
I21.-I22. |
ICD-9 |
410 |
DiseasesDB |
8664 |
MedlinePlus |
000195 |
eMedicine |
med/1567 emerg/327 ped/2520 |
MeSH |
D009203 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
心筋梗塞(しんきんこうそく、英: Myocardial Infarction)は、虚血性心疾患のうちの一つ。心臓が栄養としている冠動脈が閉塞や狭窄などを起こして血液の流量が下がり、心筋が虚血状態になり壊死してしまった状態[1]。通常は急性に起こる「急性心筋梗塞 (AMI) 」のことを指す。心臓麻痺・心臓発作(ハートアタック、英: Heart attack)とも呼ばれる。
心筋が虚血状態に陥っても壊死にまで至らない前段階を狭心症といい、狭心症から急性心筋梗塞までの一連の病態を総称して急性冠症候群 (acute coronary syndrome; ACS) という概念が提唱されている。
目次
- 1 発症形式
- 2 原因
- 3 症状
- 4 発病因子
- 5 検査
- 5.1 心電図
- 5.2 心臓超音波検査
- 5.3 Swan-Ganzカテーテル検査
- 5.4 心筋シンチグラフィー
- 5.5 冠動脈造影CT
- 5.6 胸部レントゲン
- 5.7 血液検査
- 6 治療
- 7 合併症
- 7.1 不整脈
- 7.2 心不全
- 7.3 乳頭筋断裂
- 7.4 心破裂
- 7.5 心室瘤
- 7.6 心筋梗塞後症候群(Dressler症候群)
- 8 予後
- 9 脚注
- 10 参考文献
- 11 関連項目
- 12 外部リンク
発症形式[編集]
- 急性心筋梗塞 (AMI:Acute Myocardial Infarction) :発症から3日以内
- 亜急性心筋梗塞 (Subsequent Myocardial Infarction):発症から30日以内
- 陳旧性心筋梗塞 (OMI:Old Myocardial Infarction) :発症から30日以上
原因[編集]
冠動脈の血流量減少は、主に動脈硬化などの何らかの要因によって狭窄(きょうさく)を起こすことによる。この要因には冠動脈部分での粥種の破裂 (plaque rupture) や攣縮 (spasm) が深く関係するが、他にも梅毒性動脈炎が起こす冠動脈起始部狭窄、解離性大動脈瘤が冠動脈に進展して起こる閉塞、川崎病などによる冠動脈での血栓(塞栓)形成などもある[1]。
症状[編集]
強い胸部の痛みや苦悶感が生じ15分以上持続するが、虚血状態が解消されなければ数時間以上続く。顔面蒼白になり、冷や汗、除脈、血圧の低下、脈拍の上昇などを伴い、意識不明に陥ることもある[1]。
左心不全を伴う症例が多く、湿性ラ音が広範囲で聴取できるようになる。Killipらはこのラ音所見を重症度の判定表にまとめ、これはKillip表と言う[1]。
75歳以上の高齢者や糖尿病などを併発している場合、患者の20%程度で痛みを伴わない無痛性心筋梗塞をおこす事がある[2][3]。糖尿病患者では心筋梗塞を発症した患者の21% - 41%が無痛性とされ、糖尿病を併発していない場合は、6% - 15%との研究がある[4]。痛みを感じなくなる原因は、脳血管障害[5]や糖尿病性神経障害による自律神経障害が多いと考えられている。自覚症状が無く心筋梗塞の病態が進行するため、発見時には既に重篤な状態となっている場合も多い[6]。
発病因子[編集]
- 喫煙
- 高コレステロール血症(特に高LDLコレステロール血症)
- 糖尿病
- 高血圧
- 狭心症・心筋梗塞の家族歴
- 加齢(男性45歳以上、女性65歳以上)
- ストレス
- 肥満
- 男性>女性
- 痛風(高尿酸血症)
- 血液透析
- 高ホモシステイン血症
- 歯周病
検査[編集]
心電図[編集]
心電図 (ECG) の所見としては ST上昇[1]や異常Q波が特徴的であり、これがどの誘導肢に現れるかで梗塞部位や責任血管部位の診断が行える。もちろんミラーイメージの ST低下も含む[1]。hyper acute T は臨床所見と組み合わせて判断する。
障害部位 |
ST上昇誘導 |
ST下降誘導(Reciprocal image) |
責任血管 |
中隔(Septal) |
V1, V2 |
(-) |
左冠動脈前下行枝(LAD) |
前壁(Anterior) |
V3, V4 |
(-) |
左冠動脈前下行枝(LAD) |
前壁中隔(Anteroseptal) |
V1, V2, V3, V4 |
(-) |
左冠動脈前下行枝(LAD) |
前壁側壁(Anterolateral) |
V3, V4, V5, V6, I, aVL |
II, III, aVF |
左冠動脈前下降枝(LAD)、左冠動脈回旋枝(LCX)、左冠動脈主幹部(LMT) |
広汎前壁(Extensive anterior) |
V1,V2,V3, V4, V5, V6, I, aVL |
II, III, aVF |
左冠動脈(LCA) |
下壁(Inferior) |
II, III, aVF |
I, aVL |
右冠動脈(RCA)、左冠動脈回旋枝(LCX) |
側壁(Lateral) |
I, aVL, V5, V6 |
II, III, aVF |
左冠動脈回旋枝(LCX)、左冠動脈主幹部(LMT) |
後壁(Posterior) |
V7, V8, V9 |
V1,V2,V3, V4 |
後下行枝(PDA) |
右室梗塞(RV) |
II, III, aVF, V1, V4R |
I, aVL |
右冠動脈(RCA) |
心臓超音波検査[編集]
心臓超音波検査(エコー)は、ごく軽度の心筋梗塞を検出する上で心電図や血清生化学検査に勝る簡便で最も有用な検査であり、心筋の壁運動低下を検出することにより診断する[1]。ただし、心尖部や下壁に限局した梗塞の場合など、明らかな壁運動異常(asynergy)を検出しにくい場合もある。さらに副側血行路がある場合壁運動異常(asynergy)を呈さず、心電図も異常を示さず診断が困難になる場合も多々ある。
心筋梗塞による MR(僧帽弁閉鎖不全症)の有無の診断にも役立つ。三尖弁の圧格差(TRPG)を計測することで肺動脈圧を推定することが可能であり、心不全の評価にも役立っている。すでに壁運動低下部位が薄くなって輝度が亢進していればそれは陳旧性病変である。
Swan-Ganzカテーテル検査[編集]
カテーテル検査では、鼠形動脈から差し込んだカテーテルを右心室・心房を経由して肺動脈まで進め、ここでバルーンを用いて間接的に左心房の圧力(肺動脈楔入圧)を計測する方法が取られる。また、先端から冷水を注入してセンサーを用いた温度測定を行い、血流の量を知る方法もある[1]。
これらで得た肺動脈楔入圧(mmHg)と心係数(CI、心拍出量/体表面積、L/分/m2)で分類したものがForresterの分類である。心係数2.2以下を末端循環不全、肺動脈楔入圧18以上を肺うっ血状態とし、それぞれの区分から重症度を判定し投与する医薬品の種類や治療法を定めている[1]。
心筋シンチグラフィー[編集]
心筋梗塞はないか、血流の少ないところはないか、心筋は正常に動いているか、心臓の働きを果たしているかなどを調べる検査。シンチグラフィーとは、体内に投与したグルコースなど放射性同位体から放出される放射線を検出し、その分布を画像化したもの[1]。陽電子放射型断層撮影法 (PET) と呼ばれる[1]画像診断法の一つ。腫瘍(がん)や各種臓器の機能の診断にも使われる。また、核種の組織親和性を利用して、異所性胃粘膜の検出、甲状腺や唾液腺の検査にも使われる。
心筋梗塞の部位はテクネチウム-99mピロリン酸を取り込み、逆に正常な心筋はタリウム-201を取り込む性質を持つ。これを利用しシンチグラフィーを行えば心筋梗塞の進展具合を確認できる[1]。
冠動脈造影CT[編集]
近年、医療機器の発達により、ごく少数施設のみではあるものの、64列マルチスライスCT (MDCT) による冠動脈病変の評価が可能となりつつある。心臓カテーテル検査よりも簡便で、入院や複雑な合併症なども少ないため、今後は多用される可能性が高い。ただし、心拍数や不整脈の影響を受ける、ステント内部の評価が困難であるなど、まだ万人の評価が可能とは言えず、今後の技術的発展が待たれる分野である。
胸部レントゲン[編集]
胸部のX線検査は、心筋梗塞に対する特異的な所見は得られないが、重症度の判定や動脈瘤を除くための診断に用いられる[1]。
血液検査[編集]
- トロポニン
- トロポニンTとIは非常に特異度が高く、発症3時間以上経過した心筋梗塞の診断に役立っている[1]。
- H-FABP(=Heart-type fatty acid-binding protein
- 心臓由来脂肪酸結合蛋白)(ラピチェック®)[7]
- より早期(約1時間半)で、感度、特異度の高いという15分間で診断できるものも市販されている。ただし腎不全患者などでは心筋のダメージと関係なくTnT、H-FABPともに陽性になることがあることが知られている。
- CK-MB
- 心筋特異性が高い。また心筋の障害(壊死)の程度を反映する[1]。
特異的でないが必ずみられる所見として、一番最初に上昇する白血球[1]、AST(GOT)、LDH、CK、ミオシン軽鎖 の上昇があり、それぞれ上昇し始めた時期は発症時間の予測に役立つ。
一般的な血液検査で異常を来す時間は、白血球 2〜3時間、CK 2〜4時間、AST 6〜12時間、LDH 12〜24時間、CRP 1〜3日、ESR 2〜3日である。
治療[編集]
急性期[編集]
絶対安静が原則である。発症後急性期には致死的不整脈が容易に起こり死亡する危険性が非常に高い。また、虚血の時間が長引くほど心筋の死滅が進み心機能の不可逆的低下が進行していく。発病を疑った際は患者から目を離さず直ちに救急車を要請すること、患者の意識が消失し脈拍を触れない際には躊躇せず心臓マッサージを行うことが必要である。機能的な心停止に陥った際には3〜5分以上の無処置は社会復帰率をほとんど0にしてしまう。救急隊の到着を待たず直ちに救命処置(心臓マッサージなど)に掛かる必要がある。
心筋梗塞は、心筋に対する相対的・絶対的酸素供給不足が原因であり、安静にして酸素吸入を行う。また鎮痛および体の酸素消費低下目的で、モルヒネを投与する場合もある。急性期には心筋梗塞の病巣拡大を防ぐことが最大の目的となる。一般的に「モルヒネ」「酸素吸入」「硝酸薬」「アスピリン内服」などが中心に行われ、Morphine, Oxygen, Nitrate, Aspirinの頭文字をとって「MONA(モナー)」という名称で心筋梗塞の応急処置(First Aid)として知られている。
発症6時間以内の心筋梗塞の場合、積極的に閉塞した冠動脈の再灌流療法を行うことで、心筋の壊死範囲を縮小可能である。これに限らず、発症から24時間以内の症例では、再灌流療法を行う意義が高いとされる。大別してカテーテル的治療 (PTCA, PCI) を行う場合と、血栓溶解療法 (PTCR) があり、国により、保険により、医師の判断により治療方針が分かれていることがある。日本では、PCIの可能な施設も多く、急性期であればPCIが行われることが多い。ただし、動脈を介した検査・処置であることから合併症も多い。特に心電図上STの上昇が見られた場合、如何に早くPCIを行うかが重要であるが、救急搬入後直ちに同療法を行える体勢を取っている病院は、心臓病治療の先進国である米国でも僅かである[8]。
狭窄部位が3つ以上であった場合などに、緊急冠動脈大動脈バイパス移植術 (CABG) が行われる施設もある。PCI と CABG を比較すると PCI では25〜30%再狭窄を来すとされていたため、1枝病変であっても CABG に優位性があるという説もある。しかし、2004年から薬剤溶出性ステント (Drug-eluting stent, DES) が保険適応となり、PCI の成績向上が期待されている。
安定期[編集]
急性期にインターベンションが成功すると、比較的予後は保たれることが多い。安定期には安静、内服加療が中心となり、疾患の特徴上糖尿病、高血圧、高脂血症などが併存することが多いため、これらに対する検査・治療、患者教育などが中心となる。
インターベンション不成功例、発症から時間が経過していた例などは下記の様な合併症を生じることが多い。
合併症[編集]
狭窄が生じた冠動脈の部位と発生からの時間で大まかに分別される。
不整脈[編集]
心筋梗塞による急性期の死亡の多くは発症後の不整脈による。急性期24時間以内に最も多く発生し、心筋梗塞の死因の第1位である。
- 期外収縮
- ほとんどに合併する。
- 心室細動
- 左冠動脈 (LCA) 梗塞で特に前壁梗塞に生じやすい。発症後数時間以内に生じるものが多い。致死的な合併症である。
- 房室ブロック
- 右冠動脈 (RCA) 梗塞の結果として伝導経路が障害されると起こる。洞房結節そのものが障害されると Sick Sinus Syndrome (SSS) をおこしうる。
心不全[編集]
頻度は低いが、心不全は発症すると死亡率が高い。Swan-Ganzカテーテルで心機能を評価する Forrester分類に応じ、対症的に治療する。
乳頭筋断裂[編集]
発症数日後に生じることが多く、右冠動脈 (RCA) 梗塞の下壁梗塞に生じることが多い。たいていは発症すると重篤な僧帽弁閉鎖不全を伴い、心不全の原因となる。治療として CABG をおこなう場合は、同時に僧帽弁置換術をおこなうこともある[9]。
心破裂[編集]
心筋が壊死し、心臓の血圧に耐えられずに外壁が破裂する症状。基本的にこれが起こると失血と心タンポナーデによって即死となる場合が多く、助かることは難しい。因みに右心室と左心室の間に穴が開くことを心室中隔穿孔という。
心室瘤[編集]
心室瘤は、左冠動脈前下降枝 (LAD) 梗塞の結果として心尖部に生じることが多い。心筋梗塞治療後も遷延する ST上昇の原因の一つである。破裂しやすく、心タンポナーデの原因となる。
心筋梗塞後症候群(Dressler症候群)[編集]
発症数週間後に生じる自己免疫性心外膜炎。
予後[編集]
発症すると致死率は20%と非常に高い。そのほとんどは急性期に生じる不整脈を合併した例である。発症後48時間以内の致死率が特に高いため、それを乗り切れば救命できる確率も高くなる。
脚注[編集]
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 小室(2004)、p.146-153、II.循環器疾患を深く学ぼう、A.虚血性心疾患、心筋梗塞
- ^ 老年者の心筋梗塞 日本老年医学会雑誌 Vol.30 (1993) No.8 P680-687
- ^ 知っておきたい狭心症・心筋梗塞
- ^ 糖尿病患者に無症候性心筋梗塞は本当に多いのか 北関東医学 Vol.39 (1989) No.6 P715-717
- ^ 高齢者心筋虚血の無症候性に関わる因子の分析 日本老年医学会雑誌 Vol.34 (1997) No.4 P285-291
- ^ 狭心症および心筋梗塞患者の予後に及ぼす無症候性心筋虚血の臨床的意義 日本医科大学雑誌 Vol.58 (1991) No.1 P74-85
- ^ http://www.wakunaga.co.jp/reagent/products/rabbi.html
- ^ Moscucci M, Eagle KA. "Reducing the door-to-balloon time for myocardial infarction with ST-segment elevation." NEJM. 2006 Nov 30;355(22):2364-5. Epub 2006 Nov 13. PMID 17101618
- ^ 症例 急性心筋梗塞に合併した乳頭筋断裂による僧帽弁閉鎖不全症に対する緊急手術4例の検討 心臓 Vol.30 (1998) No.2 p.91-96
参考文献[編集]
- 編集:小室一成、編集協力:川名正敏 萩原誠久 中村文隆 吉田勝哉 『講義録 循環器学』 メディカルビュー社、2006年、第1版第2刷。ISBN 4-7583-0056-9。
関連項目[編集]
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ウィキメディア・コモンズには、心筋梗塞に関連するカテゴリがあります。 |
- 虚血性心疾患
- 狭心症
- 心電図
- 動脈硬化
- 循環器学
- 二次救命処置
- LOX-index
外部リンク[編集]
- 急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン (PDF) 日本循環器学会
- 国立循環器病研究センター
- 心筋梗塞、狭心症-その予防と治療
- 心筋梗塞が起こったら
- 心筋梗塞二次予防ガイドライン 日本心臓財団
心血管疾患 |
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疾患 |
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心疾患
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不整脈
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所見・検査 |
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治療 |
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外科的治療
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冠動脈大動脈バイパス移植術 | 経皮的冠動脈形成術 | 植え込み型除細動器 | バチスタ手術 | 人工心臓 | 心臓ペースメーカー
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内科的治療
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心臓作動薬
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抗不整脈薬
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Ia群: プロカインアミド, キニジン
Ib群: リドカイン, フェニトイン
Ic群: フレカイニド, プロパフェノン
II群: 交感神経β受容体遮断薬(プロプラノロールなど)
III群: アミオダロン, ソタロール
IV群: カルシウム拮抗剤(ベラパミル, ジルチアゼムなど)
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心不全治療薬
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利尿薬 | 血管拡張薬 | 強心配糖体 | 強心剤
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狭心症治療薬
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交感神経β受容体遮断薬 | 硝酸薬
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血管作動薬
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高血圧治療薬
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利尿薬 | 交感神経β受容体遮断薬 | レニン-アンジオテンシン系 (ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、レニン阻害薬) | カルシウム拮抗剤 | アドレナリン作動薬 | 脂質降下薬
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循環器系の正常構造・生理 |
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 女性の急性心筋梗塞患者と待機的経皮的冠動脈インターベンション患者の退院前後の活動リズム変化--2症例の考察
- PCI後の状態により選択し発行する急性心筋梗塞電子化クリティカルパスの試み
- 症例報告 急性大動脈解離に伴う血圧低下により冠血流障害をきたし,急性心筋梗塞を併発したと考えられた1例
- 冠動脈インターベンション治療急性心筋梗塞患者のQOL評価--健康日本人と患者間の比較
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- 心筋梗塞の前兆 胸の痛み 呼吸困難 吐き気・嘔吐 左手小指の痛み 肩や背中の痛み 冷や汗 心筋梗塞のサイン「胸の痛み」の特徴 1.広範囲 点ではなく、広範囲に痛みが広がる 2.圧迫感 チクチクではなく、押されたような圧迫感
- 急性心筋梗塞(きゅうせいしんきんこうそく)~初期の対応が生死を分ける~ 社会福祉法人恩賜財団済生会熊本病院 心臓血管センター循環器内科部長 中尾 浩一 急性心筋梗塞は心臓に栄養を送る血管(冠動脈)が突然つまる病気。
- 心筋梗塞(急性心筋梗塞陳旧性心筋梗塞)とはどんな病気か 狭心症(きょうしんしょう)、心筋梗塞などの虚血性(きょけつせい)心疾患は、心臓を養う冠動脈の動脈硬化(どうみゃくこうか)により血管の内腔が狭くなり、血液の流れが制限 ...
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[★]
- 次の文を読み、66~68の問いに答えよ。
- 58歳の男性。前胸部圧迫感を主訴に来院した。
- 現病歴:午前11時ころ、庭仕事中に頸部に放散する前胸部圧迫感を初めて自覚した。2分以上続き冷汗も出現するため、看護師をしている妻に助けを求めた。居間にいた妻が駆けつけたときに橈骨動脈の拍動は微弱であり、冷汗を伴う前胸部圧迫感も続くため救急車を要請した。午前11時15分に救急車が現場に到着した際、胸部症状はかなり改善していた。直ちに搬送が開始され、午前11時30分に病院に到着したときには症状は完全に消失していた。
- 既往歴:36歳時に十二指腸潰瘍。
- 家族歴:父親が胃癌のため76歳で死亡。
- 生活歴:喫煙は20本/日を38年間。
- 現症:意識は清明。身長 168cm、体重 72kg。体温 36.2℃。脈拍 76/分、整。血圧 122/78mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 100%(マスク4L/分酸素投与下)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。神経学的所見に異常を認めない。
- 検査所見:採血時間:午前11時32分 血液所見:赤血球 455万、Hb 12.8g/dL、Ht 38%、白血球 7,800、血小板 21万、Dダイマー 0.8ng/mL(基準 1.0以下)。血 液生化学所見:総蛋白 7.2g/dL、アルブミン 3.8g/dL、心筋トロポニンT 陰性、総ビリルビン 0.9mg/dL、AST 32IU/L、ALT 28IU/L、LD 222IU/L(基準 176~353)、ALP 352IU/L(基準 115~359)、γ-GTP 42IU/L(基準 8~50)、アミラーゼ 88IU/L(基準 37~160)、CK 42IU/L(基準 30~140)、尿素窒素 12mg/dL、クレアチニン 0.6mg/dL、血糖 98mg/dL、HbA1c 6.2%(基準 4.6~6.2)、Na 138mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 101mEq/L。胸部エックス線写真で心胸郭比 48%、肺野に異常を認めない。心電図(別冊No. 13)を別に示す。続いて行った心エコー検査で左室の前側壁から心尖部にかけて収縮の低下を認めた。
- 予想される病態として正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109E066]←[国試_109]→[109E068]
[★]
- 70歳の男性。労作時の息切れを主訴に来院した。
- 現病歴:4年前に縦隔腫瘍に対し摘出手術が施行され、病理検査で軟部肉腫と診断された。2年前に肺転移に対して2か月間アドリアマイシンが投与され、その後病変の増大はない。1か月前から倦怠感があり、数日前から労作時の息切れを自覚するようになった。ここ3か月で3kgの体重増加がある。
- 既往歴:45歳から高血圧症で内服加療。
- 生活歴:喫煙は20歳から33歳まで20本/日。飲酒は機会飲酒。
- 家族歴:母親は肺癌で死亡。
- 現症:意識は清明。身長 172cm、体重 63kg。体温 36.5℃。脈拍 80/分、整。血圧 164/78mmHg。呼吸数 18/分。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸静脈の怒脹を認めない。胸骨正中切開の手術瘢痕を認める。Ⅲ音を聴取し、心雑音を認めない。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢末梢に冷感を認めない。両側下腿に浮腫を認める。
- 検査所見:血液所見:赤血球 399万、Hb 11.6g/dL、Ht 38%、白血球 4,000、血小板 16万。血液生化学所見:総蛋白 6.2g/dL、アルブミン 3.6g/dL、AST 62U/L、ALT 81U/L、LD 251U/L(基準 176~353)、尿素窒素 14mg/dL、クレアチニン 0.6mg/dL、血糖 97mg/dL、Na 142mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 108mEq/L、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP) 696pg/mL(基準 18.4以下)、心筋トロポニンT 0.14(基準 0.01以下)、CK-MB 5U/L(基準 20以下)。CRP 0.3mg/dL。動脈血ガス分析(room air):pH 7.4、PaCO2 38Torr、PaO2 83Torr、HCO3- 24mEq/L。胸部エックス線写真で心胸郭比は3か月前に53%、受診時58%。心電図で高電位とV5、V6の軽度ST低下を認める。1年前の心エコー検査は正常である。今回の来院時の心エコー検査で左室はびまん性に壁運動が低下しており、左室駆出率は35%。
- 症状の原因として最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113F073]←[国試_113]→[113F075]
[★]
- 68歳の男性。胸痛のため来院した。
- 6か月前から前胸部痛を自覚するようになった。胸痛は2~3分持続し、安静で軽快した。
- 喫煙歴は20本/日、45年。身長162cm、体重60kg。脈拍76/分、整。血圧120/60mmHg。
- 血液所見:赤血球507万、Hb15.3g/dl、Ht45%、白血球4,500、血小板18万。
- 血清生化学所見:総蛋白7.0g/dl、アルブミン4.2g/dl、AST17単位、ALT15単位、LDH188単位(基準176~353)、CK22単位(基準10~40)。冠動脈造影写真と運動負荷直後および4時間後のタリウム心筋SPECT垂直面長軸断面像を以下に示す。
- 診断はどれか。
- 問診(S)
- 6か月前から前胸部痛
- 胸痛は2~3分持続し、安静で軽快
- 喫煙歴は20本/日、45年。
]] - [[
- ・年齢
- 45 men
- 55 women
- ・高脂血症
- LDL 140
- TG 150
- HDL 40以下
- ・喫煙
- ・HT 140/90以上
- △耐糖能異常
- 3大 4大リスク
- ×酒
- 精神的、肉体的ストレス
- 家族歴
- 肥満
- LAO
- 左をつけて盗ると是骨外左に来る。
- RAO
- 右をつけて盗ると背骨が右に来る。
- 前下行枝は中核市がわしゃわしゃ出ているやつ。
- シンチは前壁と心尖の虚血を示唆している。
- 不安定APは積極的な治療を要する。
- 1 新規発症狭心症
- 2 1日3回以上で発作がおこる。
- 3 安静時狭心症
- →経過観察は禁忌。
- 年齢、家族歴、cho高値
- 対角枝は
- 治療法で左主幹部へのカテーは禁忌である。
- 危険な手技である。経験が必要。
- CABGの適応
- ・LMT50以上。
- ・高度な三枝病変。
- ・病変部の長さが1cm以上。
- ・末梢枝のrun offが良好。
- ・PCIをした後の再狭窄。
- ・左室機能がよいこと。EF20%が保たれていないこと。
- ・左室拡張末期圧が20mmHg以上。
[正答]
※国試ナビ4※ [099G020]←[国試_099]→[099G022]
[★]
- 次の文を読み、7~9の問いに答えよ。
- 67歳の男性。胸部圧迫感を主訴に来院した。
- 現病歴 : 50歳時から高血圧と糖尿病とを指摘され近医で投薬を受けている。最近の血圧は150~160/90~94mmHgで空腹時血糖は140~160mg/dlであった。5時間程前労作中に強い胸痛を自覚した。胸痛は20分程で消失したものの胸部圧迫感が持続するため救急外来を受診し入院した。心電図の異常を指摘されたことはない。
- 既往歴 : 特記すべきことはない。
- 生活歴:喫煙 : 30年前から現在まで20本/日。
- 現症 : 身長165cm、体重78kg。脈拍72/分、整。血圧152/92mmHg。皮膚は冷たく湿潤している。頚静脈の怒張はない。心雑音はなく、肺野でラ音を聴取しない。腹部に特記すべき所見はなく、下肢に浮腫を認めない。
- 検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖1+。血液所見:赤血球530万、Hb15.6g/dl、Ht46.3%、白血球10,000、血小板25万。血清生化学所見:血糖243mg/dl、総蛋白6.5g/dl、アルブミン4.0g/dl、尿素窒素13mg/dl、クレアチニン0.9mg/dl、尿酸5.3mg/dl、総コレステロール170mg/dl、HDLコレステロール45mg/dl(基準35~60)、トリグリセライド101mg/dl(基準50~130)、AST44単位(基準40以下)、ALT30単位(基準35以下)、LDH302単位(基準176~353)、CK453単位(基準10~40)。CRP0.4mg/dl(基準0.3以下)。胸部エックス線写真で心胸郭比58%で肺野に異常を認めない。心エコー図で左室駆出率57%、前壁の運動低下を認めた。来院時の心電図と緊急で行われた冠動脈造影写真とを以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [097C006]←[国試_097]→[097C008]
[★]
- 25歳の女性。呼吸困難を主訴に来院した。5日前から38℃前後の発熱、咽頭痛、上腹部痛および食欲低下があり、3日前に自宅近くの診療所で感冒に伴う胃腸炎と診断され総合感冒薬と整腸薬とを処方されたが症状は改善しなかった。昨夜から前胸部不快感が出現し、本日、呼吸困難が出現したため受診した。既往歴に特記すべきことはない。妊娠歴はない。最終月経は2週間前。意識は清明だが表情は苦悶様。体温 36.8℃。脈拍 92/分、整。血圧 72/48mmHg。呼吸数 36/分。SpO2 82%(room air)。四肢末梢の冷感を認める。口唇にチアノーゼを認める。頸静脈の怒張を認める。心音にⅢ音とⅣ音とを聴取する。呼吸音は両側でwheezesとcoarse cracklesとを聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球 482万、Hb 14.1g/dL、Ht 41%、白血球 14,200、血小板 17万。血液生化学所見:総蛋白 6.4g/dL、アルブミン 3.8g/dL、総ビリルビン 1.1mg/dL、AST 519U/L、ALT 366U/L、LD 983U/L(基準 176~353)、CK 222U/L(基準 30~140)、尿素窒素 23mg/dL、クレアチニン 1.0mg/dL、血糖 199mg/dL、Na 128mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 99mEq/L。CRP 2.1mg/dL。心筋トロポニンT陽性。動脈血ガス分析(room air):pH 7.32、PaCO2 20Torr、PaO2 55Torr、HCO3- 10mEq/L。仰臥位のポータブル胸部エックス線写真(別冊No. 8A)、心電図(別冊No. 8B)及び心エコー図(別冊No. 8C)を別に示す。
- 最も可能性の高い疾患はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112A027]←[国試_112]→[112A029]
[★]
- 次の文を読み、47、48の問いに答えよ。
- 54歳の男性。冷汗を伴う胸痛を訴え、救急車で搬送された。
- 現病歴 : 5か月前から労作時に胸痛を自覚していた。胸痛は5分間持続し、安静で消失した。2週前から頻度が増し、安静時にも出現するようになった。4時間前から冷汗を伴う胸痛が持続している。
- 既往歴 : 10年前から高脂血症を指摘されていた。
- 家族歴 : 兄が40歳で突然死。
- 生活歴 : たばこ40本/日を30年間。機会飲酒。
- 現症 : 意識は清明。身長166cm、体重75㎏。呼吸数18/分。脈拍96/分、整。血圧120/74mmHg。顔貌は苦悶様。心音ではIII音を聴取する。呼吸音は正常。腹部は平坦で、軟。下腿に浮腫を認めない。
- 検査所見 : 尿所見:蛋白(-)、糖(-)。
- 血液所見:赤血球450万、Hb14.6g/dl、Ht46%、白血球12,800、血小板16万。
- 血清生化学所見:総蛋白6.8g/dl、アルブミン3.4g/dl、クレアチニン0.8mg/dl、総コレステロール260mg/dl、総ビリルビン0.9mg/dl、AST250単位、ALT35単位、LDH350単位(基準176~353)、CK1,850単位(基準10~40)、Na138mEq/l、K3.6mEq/l、Cl 99mEq/l。CRP1.6mg/dl。
- 来院時の心電図を以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [099C046]←[国試_099]→[099C048]
[★]
- 48歳の女性。食欲低下と倦怠感を主訴に来院した。5日前から感冒様症状と食欲低下があり、市販薬を内服して寝込んでいた。昨日から倦怠感が強くなり、さらに今朝になって呼吸困難やふらつきも生じたため受診した。既往歴、生活歴および家族歴に特記すべきことはない。身長 160cm、体重 50kg。脈拍 116/分、整。血圧 86/50mmHg。呼吸数 24/分。SpO2 93%(room air)。心音は奔馬調律。両下胸部にcracklesを聴取する。血液所見:赤血球 495万、Hb 14.6g/dL、白血球 11,000、血小板 17万。血液生化学所見:AST 2,324U/L、ALT 2,532U/L、LD 3,292U/L(基準 120~245)、CK 6,064U/L(基準 30~140)、尿素窒素 47mg/dL、クレアチニン 0.9mg/dL、総ビリルビン 1.4mg/dL。CRP 2.3mg/dL。来院時の心電図(別冊No.9A)を別に示す。心エコー検査で左室拡張末期径50mm、左室駆出率は20%。その後、完全房室ブロックが出現し、一時的ペースメーカー留置とともに冠動脈造影を行った。冠動脈造影像(別冊No.9B)を別に示す。
- 最も疑われる疾患はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114D025]←[国試_114]→[114D027]
[★]
- 79歳の男性。呼吸困難のため搬入された。10年前から高血圧症、脂質異常症および2型糖尿病で加療中である。1年6か月前に急性心筋梗塞を発症し、左前下行枝の完全閉塞に対しカテーテル治療を施行された。その後、抗血小板薬、利尿薬およびβ遮断薬を投与され、日常生活で心不全の症状を認めなかった。数日前から労作時の息切れを自覚し、数時間前から安静時にも強い呼吸困難を生じたため救急搬送された。意識は清明。脈拍 104/分、整。血圧 154/102mmHg。呼吸数 24/分。SpO2 100%(リザーバー付マスク10L/分酸素投与下)。心尖部を最強点とするIV/VIの収縮期雑音を聴取する。両側の胸部にcoarse cracklesとwheezesとを聴取する。血液生化学所見:AST 22IU/L、ALT 19IU/L、LD 218IU/L(基準 176~353)、CK 52IU/L(基準 30~140)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP) 952pg/mL(基準 18.4以下)。胸部エックス線写真(別冊No. 5A)と心エコー図(別冊No. 5B)とを別に示す。
- 呼吸困難の原因として考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109B047]←[国試_109]→[109B049]
[★]
- 次の文を読み、16~18の問いに答えよ。
- 59歳の男性。4時間持続する前胸部痛のために搬入された。
- 現病歴: 1か月前から階段を上がった際に前胸部絞扼感を自覚した。安静にすると消失するので放置していた。本日早朝に前胸部絞扼感で覚醒した。しばらく我慢していたが次第に増強してきた。
- 既往歴: 5年前から高血圧で降圧薬を服用している。
- 現症: 意識は清明。身長168cm、体重82kg。体温36.6℃。呼吸数24/分。脈拍104/分、欠代あり。血圧160/94mmHg。冷汗を伴い、四肢は冷たい。心雑音はないが、奔馬調律を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦で、肝・脾を触知しない。下肢に浮腫を認めない。
- 検査所見: 尿所見:尿蛋白(-)、糖1+。
- 血液所見:赤血球480万、Hb15.8g/dl、Ht46%、白血球9.800、血小板48万。
- 血清生化学所見:総蛋白7.6g/dl、クレアチニン1.0mg/dl、AST88IU/l、ALT24IU/l、CK540IU/l(基準40~200)。経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉96%。心電図を以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [101E015]←[国試_101]→[101E017]
[★]
- 76歳の女性。高血圧、脂質異常症および陳旧性心筋梗塞の定期受診のため来院した。 5年前に急性心筋梗塞と診断され、経皮的冠動脈インターベンションを受けている。以後、胸痛発作はないが、階段や長く歩いたときに息切れを感じている。脈拍 64 /分、整。血圧 122/80 mmHg。呼吸数 14/分。 SpO2 97% ( room air)。頸静脈の怒張を認めない。左側臥位で IV音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。両側の下肢に軽度の浮腫を認める。本日の心電図 (別冊 No. 16)を別に示す。
- 患者への説明として適切なのはどれか。
- a 「脈が速すぎるようです」
- b 「左脚ブロック]]が認められます」
- c 「心房細動]]の状態になっています」
- d 「高血圧による左室肥大が認められます」
- e 「心筋梗塞のあとが左心室の前側と下側にあります」
[正答]
※国試ナビ4※ [108A041]←[国試_108]→[108A043]
[★]
- 75歳の男性。重症肺炎で入院中である。
- 現病歴: 2週前に肺炎と低酸素血症のため搬入された。救急室で気管挿管を施行され、集中治療室に入院となった。
- 既往歴: 53歳から糖尿病で内服加療中。 60歳から高血圧症で内服加療中。
- 生活歴:長男夫婦と同居。妻が5年前に脳梗塞のため死亡。
- 家族歴 :父親が糖尿病。
- 入院後、人工呼吸器管理が長期にわたったため、本日気管切開術を行い、引き続き人工呼吸器管理を行った。 1時間後にアラームが鳴ったため駆けつけると、人工呼吸器のモニターで気道内圧が上昇しており、患者の頸静脈は怒張していた。
[正答]
※国試ナビ4※ [106G064]←[国試_106]→[106G066]
[★]
- 72歳の男性。2日前に急性心筋梗塞のため入院し、緊急の経皮的冠動脈インターベンションを受けた。術後の経過は良好であり、今朝は食事を全量摂取した。午前中に冠動脈疾患集中治療室(CCU)から一般病棟に移る予定であった。主治医の回診時、脈拍92/分、整、血圧128/72mmHg、SpO2 98%(room air)であった。主治医と会話中に患者が突然胸部不快感を訴え、その直後に意識を消失した。呼びかけに反応がなく、頸動脈の拍動を触知しない。この時のモニター心電図(別冊No.27)を別に示す。
- 直ちに行うべきなのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [107I075]←[国試_107]→[107I077]
[★]
- 48歳の男性。激しい背部痛と胸部絞扼感で来院した。5年前から、健康診断で高血圧と脂質異常とを指摘されていたが、医療機関を受診していなかった。本日、午前6時ごろに突然、激しい背部痛が出現し様子をみていたが、胸部絞扼感も出現してきたため、家族の運転する車で来院した。意識は清明。体温 36.8℃。心拍数 120/分、不整。右上肢血圧 148/72mmHg、左上肢血圧 194/112mmHg。呼吸数20/分。SpO2 98%(room air)。顔面は苦悶様で発汗が著明。12誘導心電図でⅡ、Ⅲ、aVFのST上昇、V4-6のST低下および心室性期外収縮の頻発を認めた。
- 可能性の高い疾患はどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [111E058]←[国試_111]→[111E060]
[★]
- 70歳の男性。持続する前胸部痛を主訴に来院した。同症状は昨夜から出現し、冷汗を伴うようになった。体温37.0℃。呼吸数22/分。脈拍96/分、整。血圧80/56mmHg。肺野にcoarse crackles(水泡音)を聴取する。緊急で行った左冠動脈造影写真
と拡張期と収縮期との左室造影写真とを以下に示す。適切な治療法はどれか。
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [097A019]←[国試_097]→[097A021]
[★]
- 28歳の初産婦。妊娠39週で自然陣痛が起こり入院した。身長158cm、体重83kg、脈拍80/分、整。血圧120/80mmHg。分娩経過観察中であったが、子宮ロ5cm開大で分娩進行が停止した。胎児心拍数異常も出現したので緊急帝王切開術が行われた。児は2,450gの女児、出血量は680 g、手術時間は45分であった。術後48時間のベッド上安静後、歩行を開始したところ、トイレで排尿後に突然激しい胸痛と呼吸困難とを訴え、チアノーゼが出現した。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [095C013]←[国試_095]→[095C015]
[★]
- 68歳の男性。3日前からの胸痛を主訴に来院した。胸痛は呼吸で変動し、臥位で増強した。
- 体温37.4℃。呼吸数18/分。脈拍78/分、整。血圧100/70mmHg。心音は減弱し、心膜摩擦音を聴取する。肺野にラ音を聴取しない。肝を触知せず、下腿に浮腫を認めない。
- 血液所見:赤血球400万、Hb12.3g/dl、白血球7,800。胸部エックス線写真と心電図とを以下に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [096A020]←[国試_096]→[096A022]
[★]
- 74歳の女性。右変形性股関節症に対する人工股関節置換術後で入院中である。手術後2週目の歩行訓練中に突然、胸部の不快感を自覚した。意識レベルはJCS II-10。脈拍120/分、整。血圧150/80mmHg。呼吸数24/分。 SpO2 89%(room air)。呼吸音に異常を認めない。動脈血ガス分析(自発呼吸、 room air) :pH7.50、PaCO2 32Torr、 PaO2 51Torr、 HCO3- 24mEq/L。胸部エックス線写真に異常を認めない。
- 診断として最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106I048]←[国試_106]→[106I050]
[★]
- 29歳の女性(1妊1産)。分娩後1日で入院中である。妊娠38週0日で骨盤位のため帝王切開分娩となった。術中出血量は800mLで術中術後の経過は順調であった。術後の初回歩行を開始したところ、突然の呼吸困難と胸痛とを訴えた。意識は清明。身長 154cm、体重 77kg。脈拍 104/分、整。血圧 128/76mmHg。呼吸数 26/分。SpO2 92%(room air)。呼吸音に異常を認めない。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114C048]←[国試_114]→[114C050]
[★]
- 54歳の男性。2時間前に始まった胸背部痛を主訴に来院した。10年前から高血圧で治療中である。服薬は不規則で降圧薬を飲み忘れることが多い。30年前からタバコを毎日20本吸っている。顔貌は苦悶状で全身の冷汗を認める。血圧は右上腕で160/100mmHg、左上腕で140/80mmHgである。心尖部に2/6度の拡張期雑音を聴取するが、呼吸音に異常は認めない。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [097F005]←[国試_097]→[097F007]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [113A004]←[国試_113]→[113A006]
[★]
- 英
- vomiting, emesis
- ラ
- vomitus
- 関
- 悪心、嘔気 nausea、悪心・嘔吐 nausea and vomiting
概念
- 胃の内容物をはき出す現象。
- 胃または腸内容が食道を経て口腔より吐出される現象。
嘔吐中枢
嘔吐中枢の近傍に存在するもの
- 呼吸中枢、血管運動中枢、消化管運動中枢、唾液分泌中枢、前庭神経核
随伴症状
- 発汗、唾液分泌、顔面蒼白、脈拍微弱、徐脈、頻脈、血圧の動揺、めまいなど
症状の出現形式と原因の所在
噴水状、噴射状嘔吐
- projectile vomiting is where stomach contents 'shoot out' (like a fountain) to a distance sometimes many feet away.
嘔吐に関わる経路
- IMD.351
- 1. 嘔吐中枢(延髄網様体背側神経背側核近傍)への直接刺激(脳圧亢進、循環障害)
- 2. 化学受容体誘発帯(CTZ; 第四脳室底)への刺激(代謝異常や中毒による化学物質の作用) → 1.
- 3. 大脳皮質(中枢神経など高位中枢)からの入力 → 1.
- 4. 求心性迷走神経や交感神経を介する入力 → 1.
原因
小児科で遭遇する嘔吐の原因
[★]
- 英
- pulmonary thromboembolism, PTE
- 同
- エコノミークラス症候群
- 関
- 肺塞栓症、肺動脈血栓症
概念
- 肺動脈内腔に1次性に形成された血栓により閉塞された病態を肺血栓症、静脈系から肺動脈へ流入した物質により肺動脈が閉塞された病態を肺塞栓症という。
- 両者をまとめて肺血栓塞栓症と呼ぶが、臨床的には肺塞栓症が大半である。
- 塞栓物質として静脈系血栓、腫瘍、脂肪、羊水、空気、造影剤などが挙げられるが、頻度として下肢および骨盤の深部静脈血栓が80%と圧倒的に多い(深部静脈血栓症 DVT)。
- 肺動脈の閉塞により末梢肺組織が出血性壊死に陥ったものを特に肺梗塞と呼ぶ。
疫学
- 発症率は人口 10万人に対して 2.8人(1996年統計)。
- 男女比は1:1.3。あらゆる年齢層に発症するが、60-70歳代がピーク。
- 死亡率は14%。心原性ショックを呈した症例では30%(うち血栓溶解療法を施行された症例では20%、施行されなかった症例では50%)、心原性ショックを呈さなかった症例では6%である。
産婦人科
産科
- 産褥期、特に帝王切開術を経た患者に多い。(G10M.318)
症状
急性肺血栓塞栓症
- 参考1
症状
|
長谷川ら (n=224)
|
肺塞栓症研究会 (n=579)
|
呼吸困難
|
171(76%)
|
399/551(72%)
|
胸痛
|
107(48%)
|
233/536(43%)
|
発熱
|
50(22%)
|
55/531(10%)
|
失神
|
43(19%)
|
120/538(22%)
|
咳嗽
|
35(16%)
|
59/529(11%)
|
喘鳴
|
32(14%)
|
記載なし
|
冷汗
|
19(8%)
|
130/527(25%)
|
血痰
|
記載なし
|
30/529(6%)
|
動悸
|
記載なし
|
113/525(22%)
|
症状と病態との関係
- 1. 頻度の高い症状:急に発症する呼吸困難(約70-80%)、胸痛(約40-50%)。
- 2. 広範な塞栓の場合にみられる症状:不整脈(約30%)、狭心症様の胸部重苦感(約10%)、失神(約10%)、右心不全によるショック(10%以下)。
- 3. 肺梗塞・肺水腫を伴う場合に多い症状:胸膜炎様胸痛(約30%)、咳嗽(約10-40%)、発熱(約10-50%)、血痰(約5-10%)。
- 4. 特徴的発症状況:安静解除直後の最初の歩行時、排便・排尿時、体位変換時。
検査
- 参考1
-
- 胸部単純X線写真
- 心電図(右側胸部誘導の陰性T波、洞性頻脈、SⅠQⅢTⅢ、右脚ブロック、ST低下、肺性P、時計方向回転)
- SⅠQⅢTⅢ:Iでs waveがあり、IIIでQ waveがあり、なおかつT waveが陰転
- 肺動脈造影
- 肺シンチグラフィ(換気, 血流)
- CT
- MRA
- 経食道心エコー
診断
- 頻呼吸、頻脈、低酸素血症、胸痛など肺血栓塞栓症が疑われる症状があれば、酸素投与、ルート確保、血液検査(動脈血液ガス検査)、胸部XP、胸部CT、12誘導心電図を速やかに施行する。
- 可能であれば、ベットサイドエコーで右心不全徴候、特に右室が左室を圧排していないかどうか確認する。
- Dダイマーが高値であれば、PTEの尤度を上げることができる。
- 下肢のcompression testが陽性であれば、有無を言わさず胸部造影CTをやるしかない。
- 速やかに検査が可能であり、確定診断が可能なのは胸部造影CTである。
鑑別診断
- 胸痛や呼吸困難を来す疾患が鑑別となる。
合併症
治療
- 方針:呼吸管理(酸素投与)、循環管理(昇圧薬(ドパミン、ドブタミン、ノルエピネフリン))
- 抗凝固療法:ヘパリンから始め、ワルファリンの内服を開始。
- 抗血栓溶解療法:右心不全例(抗凝固療法に加えてウロキナーゼやtPA(モンテプラーゼ)を投与)
- (急性循環不全)カテーテルインターベンション、外科的血栓摘除術
- 経皮的心肺補助装置:循環が保てなくなった場合
ガイドライン
参考
- 1. 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2009年改訂版)
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2009_andoh_h.pdf
- 2. 学際領域の診療 Interdisciplinary Practice 肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症 - 日産婦誌
- http://www.jsog.or.jp/PDF/56/5610-382.pdf
- 3. E.婦人科疾患の診断・治療・管理 10.10)深部静脈血栓症・肺塞栓症 - 日産婦誌61巻11号
- http://www.jsog.or.jp/PDF/61/6111-591.pdf
- 4. LITFL ≫ ECG Library ≫ ECG Basics ≫ T wave
- http://lifeinthefastlane.com/ecg-library/basics/t-wave/
国試
[★]
- 英
- chest pain, thoracodynia, pectoralgia
- 同
- 胸部痛
- 関
- 胸壁痛。胸部圧迫感
鑑別疾患
- 診断エッセンシャルズ新訂版
救急疾患
その他
鑑別診断
- DIF.84
胸痛の質
- 圧迫されるような痛み:狭心症、心筋梗塞
- 刺すような痛み:心膜炎、胸膜炎、肋間神経痛
胸痛と呼吸困難
- 参考1
- 気胸、肺炎、胸膜炎、慢性閉塞性肺疾患、慢性閉塞性肺疾患の悪化、肺癌などの肺疾患、心不全
診察
【現病歴】
誘因、発生様式(突発、緩徐)、経時的変化(一定、動揺、増悪/寛解傾向)、部位(一番痛い部位、放散する部位)、軽快因子、増悪因子、(反復するエピソードあれば)前回との比較、随伴症状
【既往歴】基礎疾患(DM, HT, DL)
【嗜好】smoking, alcohl
【服用薬】
【職業】
【身体所見】
Appearance: Face anguish, Diaphoresis, Cyanosis
Vital:
Consciousness:
BT , BP / , HR (L Arm/R Arm, Lower Extrimity), RR , SpO2
Lymphnode: swollen/no swollen, breath sound →/↑/↓
Chest
Heart:Is →/↑/↓, IIs →/↑/↓, IIIs(±)/IVs(±), murmur, friction rub ±
Lung: crackle/rale
Abdomen: soft/hard, tenderness
Extremity: cold/pulse/edema
Skin: dry/wet/hot/cold
【検査】
ECG: ST segment change
Blood test:
biochemistry: CK-MB, Troponine T, AST, LDH, H-FABP
Blood count: WBC
Arterial blood gas: PaO2 torr
A-aDO2 = 150 - PaCO2/ 0.8 (torr) - PaO2 (normal below 20 Torr)
Chest XP:
Heart echography:
参考
- 1. 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2009年改訂版)
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2009_andoh_h.pdf
[★]
- 英
- β-blocker, beta-blocker, beta-antagonist, β-adrenoceptor blocking agent, β-adrenergic blocking agent, beta-adrenergic blocking agent, beta-adrenergic blocker, beta-adrenergic antagonist, beta-adrenergic receptor antagonist, β adrenergic receptor blocker, β adrenergic receptor antagonists
- 同
- β遮断薬、β阻害薬、βアドレナリン遮断薬、βアドレナリン拮抗薬、アドレナリンβ受容体拮抗薬、βブロッカー、βアドレナリン受容体遮断薬
- 関
- アドレナリン受容体
β受容体遮断薬
適応
禁忌および慎重投与
YN.C-57
- 平滑筋拡張が求められる病態、酸素供給を減らせない病態では使ってはいけないということ?
注意
- 突然休薬すると離脱症候群として、狭心症や高血圧発作が生じることがある(高血圧治療ガイドライン2009)。
- β2受容体遮断作用のある薬剤では、β2受容体を介した膵臓のインスリン分泌促進作用がブロックされる(アドレナリン受容体#アドレナリン受容体)ので、糖尿病患者に投与する場合には注意が必要、らしい。
各論
慢性心不全
[★]
- 同
- 前壁心筋梗塞 anterior myocardial infarction anterior MI
- 関
- 心筋梗塞、急性心筋梗塞
[show details]
検査
QB CBR vol.3 p.201
|
I
|
II
|
III
|
aVR
|
aVL
|
aVF
|
V1
|
V2
|
V3
|
V4
|
V5
|
V6
|
冠動脈
|
前壁中隔
|
V1-4
|
|
|
|
|
|
|
○
|
○
|
○
|
○
|
|
|
LAD
|
|
PHD. 102
|
I
|
II
|
III
|
aVR
|
aVL
|
aVF
|
V1
|
V2
|
V3
|
V4
|
V5
|
V6
|
冠動脈
|
前壁中隔
|
V1-V2
|
|
|
|
|
|
|
○
|
○
|
|
|
|
|
LAD
|
前壁心尖
|
V3-V4
|
|
|
|
|
|
|
|
|
○
|
○
|
|
|
LAD(distal)
|
身体所見
- ST-segment elevation MI HIM.1533
- 多くの患者は最初の1時間は脈拍、血圧、正常
- 前壁梗塞の患者の1/4は交感神経が興奮 → 頻脈、高血圧
- about one-fourth of patients with anterior infarction have manifestations of sympathetic nervous system hyperactivity (tachycardia and/or hypertension)