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代謝(たいしゃ、metabolism)とは、生命の維持のために有機体が行う、外界から取り入れた無機物や有機化合物を素材として行う一連の合成や化学反応のことであり、新陳代謝の略称である[1]。これらの経路によって有機体はその成長と生殖を可能にし、その体系を維持している。代謝は大きく異化 (catabolism) と同化 (anabolism) の2つに区分される[1]。異化は高分子など有機物質を分解し低分子化することによってエネルギーを得る過程であり、例えば細胞呼吸がある[1]。同化はこの逆で、エネルギーを使って有機物質を合成する過程であり、例えばタンパク質・核酸・多糖・脂質の合成がある[1]。
代謝の化学反応は代謝経路によって体系づけられ、1つの化学物質は他の化学物質から酵素によって変換される。酵素は触媒として、熱力学的に不利な反応を有利に進めるため極めて重要な存在である。また、酵素は、細胞の環境もしくは他の細胞からの信号(シグナル伝達)の変化に反応することにより代謝経路の調節も行う。
有機体の代謝はその物質の栄養価の高さがどれだけか、また、毒性の高さがどれだけかを決定する。例えば、いくつかの原核生物は硫化水素を使って栄養を得ているが、この気体は動物にとっては毒であることが知られている[2]。また、代謝速度はその有機体がどれだけの食物を必要としているかに影響を与える。
目次
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代謝の目的は、以下の4つが挙げられる[1]。
代謝と言う用語は、主に物質代謝をさして使用される場合が多いが、物質代謝そのものはエネルギーの代謝によって起きている。またエネルギー代謝も物質の交代によって起きているので、相互に共役していると考える[1]。したがって、物質代謝およびエネルギー代謝を包括して指す言葉として本記事の『代謝』の正確な定義となる。
物質およびエネルギー代謝などの簡単な定義および位置づけは以下の通りである。
なお、代謝反応のほとんど全ては各々の反応を担当する酵素あるいはタンパク質による。代謝マップにてその基質および生産物のみが描かれているが、その反応自体は酵素が担当している。代謝系において特定の物質ないしエネルギーの偏りが出来ないように基質、酵素化学、発現レベルにおける調節が見られ、その調節機構は非常に多様で厳密である。
物質代謝とは、細胞内における物質の変換を意味する。別名、物質交代など。上記にもあるようにエネルギー代謝との関連により両者を分けて考えるのは困難だが、物質の変換に注目してみた場合の『代謝』が物質代謝である。物質代謝は異化および同化に分けられる。
異化と同化反応は関連している。例えば異化反応である解糖系の逆行は糖新生経路(糖の合成)であり、酸化的クエン酸回路(異化)の逆行である還元的クエン酸回路では炭酸固定(同化)が行われる。また、カルビン - ベンソン回路(同化)は解糖系の一種であるペントースリン酸経路(異化)が還元的に働いたものである。
しかしながら、この両者は反応の方向性とATPあるいは還元型ピリジンヌクレオチド (NADH or NADPH) が生成されるか否かに注目すると容易に区別がつく(ATPおよび還元型ピリジンヌクレオチドの生成を行うのが異化、異化により生成したエネルギーを用いて生体高分子の合成を行うのが同化)。
異化(異化作用)とは外部から取り入れた高分子量の有機物あるいは無機物を水やアンモニアなどの単純な低分子まで分解し、その過程でエネルギーを得てATPを合成する代謝である[4]。現生する生物は地球上に存在するほとんどの有機化合物を代謝できると言われているが、異化代謝系が各々に存在しているわけではなく、代表的なATP生成機構に最終的には集約されていく。それらの機構とは発酵、呼吸、光合成の3つである。光合成はカルビン - ベンソン回路が含まれる場合は同化反応となりうるが、光化学反応においては、NADPHおよびATPが生産されるために異化反応に分類される。またATP合成を主たる目的とした循環的光リン酸化はより異化反応的側面が強い。
発酵は、基質レベルのリン酸化によるATP生成を行うが、電子伝達系を通らずエネルギー効率としてはきわめて低い。しかしながら機構の単純さや酸素が要らないなどの理由から多くの微生物にてよく見られる。なお無酸素運動における筋肉でも解糖系が乳酸発酵へと転じている(筋肉痛)。
電子供与体および電子受容体はともに有機物であり、電子供与体となる還元物質には通常、糖が使用される。しかしながら微生物はある種の有機酸(酢酸、乳酸など)、アミノ酸、ヌクレオチドなどを基質に発酵する能力を有する。
基質レベルのリン酸化によるATP生成の式は以下の通りである。
しかしながら、生じた還元型ピリジンヌクレオチド (NADH) は生物にとっては有害なピルビン酸の異化反応に使用される(以下乳酸発酵の例)。
微生物の行う発酵の電子受容体(産物)としては、乳酸、エタノールをはじめブタノール、酪酸、イソプロパノール、酢酸、プロピオン酸、ギ酸、アセトンなどがある。
詳しくは発酵を参照。
呼吸は基質レベルのリン酸化過程(解糖系、クエン酸回路)および電子伝達系を通り、ATPの生成を行う。上記の代謝系は電子供与体として有機物を用いる多くの従属栄養生物に見られるATP合成系であるが、最終電子受容体に使用できるのはほとんどが数種の無機物である。また、無機物を電子供与体とする化学合成独立栄養生物の行う呼吸も含まれる。そのような無機物には水素、一酸化炭素、アンモニア、亜硝酸塩、一価鉄、硫化水素などがある。
最終電子受容体として酸素を用いる呼吸を『好気呼吸』それ以外の無機物を用いるものを『嫌気呼吸』という。化学合成独立栄養の場合は、多くは酸素を最終電子受容体として用いるが、嫌気呼吸の電子伝達系を併せ持つものも存在する。なお、嫌気呼吸の電子受容体には硝酸塩、硫酸塩、亜硝酸塩、二価鉄等の無機物や、トリメチルアミンオキサイド (TMAO) やジメチルスルフォキシド (DMSO) といった有機物を用いるものもある。
基質レベルのリン酸化は解糖系およびクエン酸回路で発生する。またそのとき生じた還元型ピリジンヌクレオチドは電子伝達系を通って、ATP生成に使用される。基質レベルのリン酸化ではわずかグルコース1分子辺り4分子のATPしか生成し得ないが、電子伝達系においては平均して34分子のATPが生産可能である(ただし計算によっては34分子以上生産されているかもしれない)。
最終産物は酸素を用いた場合は水、硝酸塩は窒素など(あるいは一酸化窒素、一酸化二窒素など)、硫酸塩の場合は硫化水素などである。
詳しくは呼吸、解糖系、クエン酸回路、電子伝達系、嫌気呼吸を参照。
光化学反応は光エネルギーによる電子の励起およびそれに伴う電子伝達によってATP生成が行われる。光合成反応は植物および一部の細菌(光合成細菌;シアノバクテリア、紅色硫黄細菌など)のみが有している。電子供与体には酸素発生型光合成の場合H2Oが使用される。また酸素非発生型光合成の場合は、硫化水素、水素をはじめ幾つかの有機化合物(プロパノールなど)を電子供与体として利用する。
酸素発生型光合成の場合、水2分子あたり4分子のATPおよび2分子のNADPHが生産される。うち3分子のATPおよび2分子のNADPHを用いて炭酸同化を行う。また電子がピリジンヌクレオチド(あるいはフェレドキシン)に伝達された後に再び電子伝達系に戻る光化学反応を循環的光リン酸化というが、こちらは電子が光合成電子伝達系を回転するために、光励起を受ける限りATP生成が行われる。明条件かつ有機物の少ない環境ではこのような異化反応が見られる。循環的光リン酸化の収支は以下の通りである。
なお、光合成反応は好気的な反応と思われがちだが、必ずしもそうではない。酸素を発生するために好気条件のように見えるが、酸素非発生型光合成を行う光合成細菌のほとんどが極度の嫌気性である(シアノバクテリアは除く)。酸素発生型光合成の起源は光合成細菌の光化学系を起源とするので、光化学反応は『明条件かつ嫌気的な』代謝系である。
詳しくは光合成、光化学反応を参照。
同化(同化作用)とは、外部から取り込んだ物質を生合成する事を指す。ATPや還元型ピリジンヌクレオチドなどの異化反応によって得られたエネルギーを用い、酵素反応を利用し、単純な前駆体を経て核酸、タンパク質、多糖、脂質など複雑な生体高分子さらには増殖を行う過程である[5]。
同化反応は異化のように代謝系に注目するよりも、低分子無機物の取り込み、無機物から低分子有機物の構築、ならびに生体高分子の構築という順に、生体分子の構築過程に注目すると理解しやすい。
なお、無機態の炭素、窒素、硫黄の取り込みを可能にするのは独立栄養生物のみであり、従属栄養生物は生体高分子(有機物)の異化から生合成系へ流れていく。したがって、この点でも異化と同化は関連していることがわかる。
無機態の炭素は主に二酸化炭素として固定される。炭酸固定経路は光合成のカルビン - ベンソン回路や還元的クエン酸回路、メタン生成経路などによる。カルビン回路は光化学反応によって生じたATPおよびNADPH、還元的クエン酸回路はピルビン酸:フェレドキシン酸化還元酵素による、通常のクエン酸回路の逆行、メタン生成経路はATP合成と炭酸固定が同時に行われる。炭酸固定によって生じた生産物は通常は糖としてあるいは異化の中間代謝物として、高次の生合成に組み込まれる。詳しくは当該記事へ。
水圏以外にも豊富に存在する窒素源としては大気中の窒素ガスが挙げられる。窒素ガスは窒素固定という代謝系のみでアンモニアまで還元される。窒素固定は根粒菌などでは呼吸による、シアノバクテリアでは光化学系Iの循環的光リン酸化によるATP生成にて窒素固定が行われる。窒素固定反応は以下の通りである。
硝酸塩は有機物窒素と比べて酸化的であり、同化的硝酸還元と言う過程にてアンモニアまで還元される。
最終産物のアンモニアは下記の系によりアミノ酸に取り込まれる。 また、アンモニアに含まれる窒素の酸化レベルは有機物窒素と同一であり、還元型ピリジンヌクレオチドなどは必要としない。アンモニア同化反応は以下の3つがある。
硫黄は同化的硫酸還元によってタンパク質にチオールあるいはスルホ基として取り込まれる。硫酸塩はタンパク質中の硫黄と比べて還元的であり、アデノシンと結合することにより活性型の硫黄(ホスホアデノシンホスホ硫酸;PAPS)の状態でタンパク質と硫黄が結合する。
S2-はその後、システイン、ホモシステインを経てメチオニンに取り込まれる。ただし、硫黄代謝は更に多様であると考えられており、異化型硫酸還元や硫黄酸化などでは、更に複雑な中間体が生じている可能性が示唆されている。
上記の反応により細胞内取り込まれた炭素、窒素、硫黄は豊富に存在している水と化合し、生体高分子の単量体であるヌクレオチド、アミノ酸、糖などの有機物を生合成する。これらの生体高分子のモノマーには前駆体として中央代謝系(解糖系、クエン酸回路)の中間代謝物が用いられることが多い。
核酸 (DNA、RNA) のモノマーであるヌクレオチドはプリン、ピリミジン塩基に五炭糖であるリボースあるいはデオキシリボースの5'位にリン酸が結合している構造をとっている。プリン(アデニン、グアニン)ピリミジン(ウラシル、シトシン)ヌクレオチドはそれぞれ異なる経路にて合成される。まずピリミジンヌクレオチドの合成系は以下のとおりである。
リボース5リン酸はペントースリン酸経路より生じている。またアスパラギン酸は後述するアミノ酸合成系より生じている。カルバモイルリン酸はアミノ酸とリン酸を基質としてカルバモイルリン酸合成酵素により合成される。プリン合成系については以下のとおりである。
上記の過程で合成されたリボヌクレオチド (RNA) はリボース部位が還元を受けることによってデオキシリボースとなり、デオキシリボヌクレオチド (DNA) が合成される。また、DNAにおいてアデニンと相補的塩基対を構成するチミンはピリミジン塩基でありながらはウラシル、シトシンとは異なる経路にて合成される。チミン合成系には葉酸およびコバミド(ビタミンB12の補酵素形)を要求することがわかっている。また、上記の新生経路(de novo経路)のみならず、使用済みの核酸を再利用するサルベージ経路も存在する。
タンパク質を構成する20種のアミノ酸については各アミノ酸の炭素骨格から生合成経路が決定される。アミノ酸は炭素骨格によって以下の『族』に分類することが可能である。
なお、それぞれの族の前駆体および由来する代謝系は以下のとおりである。
なお、上記の例は中央代謝系を基準にしたものであり、中央代謝系以外に回路を所持している、例えば植物などでは芳香族はシキミ酸経路、セリン族はカルビン - ベンソン回路由来のグリセリン酸リン酸より生合成を行う。なお、ヒスチジンのみが上記の族に属さずペントースリン酸経路由来のリボース5リン酸より合成される。
すべての前駆体は中央代謝系に由来するものであり、理論上、糖さえ摂取すればすべてのアミノ酸を合成できるはずだが、マウス、ヒトにおいては必須アミノ酸といわれる一群のアミノ酸を経口摂取する必要がある。それらは芳香族、アスパラギン酸族およびピルビン酸族のアミノ酸である。
糖については、解糖系の逆行である糖新生系にて合成される。また、ペントースリン酸経路においては多種多様な糖が合成される。また還元的ペントースリン酸経路と呼称されるカルビン - ベンソン回路においても同様である。
脂肪酸はアセチルCoAを基質として脂肪酸合成経路にて合成される。アセチルCoAは解糖系に由来するものであるが必要な還元力にはNADPHが使用される。NADPHはペントースリン酸経路より供給され、後述するが異化経路と同化経路の密接なかかわりをここにも見ることができる。
上記の過程にて合成された核酸、タンパク質、多糖の各モノマーはポリマーとなって生体高分子となる。各単量体の名称および結合の名称は以下のとおりである。
ただし、各モノマーが重合するよりもポリマーが加水分解を受ける方が自由エネルギー的に低く、したがって各モノマーは活性化されなければならない。各モノマーの活性化された形状とは以下のとおりである。
核酸にはゲノムDNA、プラスミド、ミトコンドリアDNA、葉緑体DNAあるいはrRNA、tRNA、mRNAといったいくつかの種類が存在している。遺伝情報を保存したDNAが合成される際は複製という過程にて、生合成が行われる。また、遺伝情報を発現する際に用いられるRNAはすべてが転写によって生合成される。転写された各RNAの共同的な働きにより遺伝情報は翻訳され、タンパク質の生合成が行われる。各過程の詳細な説明は、該当記事参照。
多糖の合成については不明な部分が多いが、糖新生系あるいはカルビン - ベンソン回路にてデンプンが合成される。またもっとも現存量の多い有機物であるセルロースはドリコールというアルコールおよびタンパク質が多糖キャリアーとなって生合成が行われる。
上記、代謝を異化と同化に分けて説明を行ったが、これまでの文中にもあるように異化と同化は関連している。それらの関連については、異化によって得られたエネルギーを同化に使用すると言う点のほかに、何らかの有機物が不足した際に代謝系の連結によって不足した物質をある程度補えるという点がある。
生物を構成する物質を大まかに分類すると糖(核酸など)、アミノ酸(タンパク質)、脂肪酸(生体膜)となる。いずれの物質も生物にとって必要欠くべからざるものであり、一部の例外(寄生を行う生物など)を除いてはこれらの物質に関する代謝系(異化、同化のいずれも)を有している。それぞれの物質に対応する代謝系は以下の通りである。
これらのうち、解糖系はほとんどの生物が持っている基本的なエネルギー獲得経路であり[6]、クエン酸回路も真核生物ではミトコンドリア、原生生物では膜系で行われる[7]。脂肪酸生合成系の出発物質およびβ酸化の最終産物は解糖系の最終産物であるアセチルCoAである。また、各アミノ酸の分解における中間代謝物質は、以下の通りである。
なお、上述したアミノ酸生合成経路と若干異なる点については、代謝の調節に関わっている(後述)。
中央代謝系を中心としたそれぞれの物質の異化と同化が行われる点について、例えば糖が不足した際にはアミノ酸および脂肪酸を摂取していれば生合成が可能である。脂肪酸の場合も同様で糖、アミノ酸から生合成できる。唯一アミノ酸は窒素および生体成分における硫黄の供給源となるので、ある程度摂取しなければならないが無機態の窒素および硫黄を利用可能な代謝系が存在することは上述の通りである。
生命の恒常性に際しては異化と同化両方の代謝系の調和が成立しなければならない。代謝系のほとんど全ての反応は酵素によるものであるが、したがって個々の反応の調節がなされなければならない。全ての酵素反応を調節するには、非常に複雑で膨大なシステムの存在をイメージするが、生物はその過程をシンプルかつ最小のエネルギーで行えるよう優れたシステムを構築している。
主たる酵素反応の調節には、以下の4つがあげられる。
1.の酵素の局所化については、原核生物の場合は形質膜構造は原則として1つであり、細胞内、細胞外のほか膜内といった区別しかなされない。したがって、原核生物の代謝調節における1.の依存度は真核生物ほどではない。一方真核生物は、ミトコンドリア、小胞体、リソソームといった多くの形質膜構造からなるオルガネラを有しており、個々の器官において特有の代謝系を有している。例えばミトコンドリアはクエン酸回路および電子伝達系のほかβ酸化系を有している。
2.の異化と同化を別経路に分ける点については上述の異化と代謝のつながりにも筆記している。例えば解糖系と糖新生系は多くの酵素に関しては同一であるが、一部不可逆反応を交えることにより、結果として別経路となっている。また、そのような不可逆反応を行う酵素は酵素活性そのものの調節を受けるアロステリック酵素である場合が多い(後述)。
3.熱力学的な反応の調節については、基質の濃度差の変化に伴うケースが多い。例えばA→B→Cという反応が存在し、細胞のフェーズとしてCが必要であるとするとAあるいはBを何らかの形で外部から摂取し、細胞内のAあるいはBの濃度を高めることでCの生合成を助ける。その結果、最終的にCが使用されなくなりCの濃度が細胞内で増加したとするとB→Cの反応は濃度差の解消により平衡に達する。BとC間の反応が可逆でありBの濃度が減少すると今度はCからBへと反応が起きる。
4.の酵素活性そのものの調節や酵素の発現量による調節は特に後者は原核生物にて、非常によく研究が進んでいる。酵素活性の調節はアロステリック効果をはじめとした最終産物阻害を中心に、複雑なカスケード系あるいは酵素そのものの化学修飾(一例としてプロテインキナーゼを参照)などがある。酵素の発現量による調節はジャコブとモノーのオペロン説を中心に遺伝子発現と生体成分の協同的なモデルがある(一例としてラクトースオペロンを参照)。
エネルギー代謝とは物質代謝に対して生命現象をエネルギーという観点から見た、より熱力学的要素の強い代謝の視点である。具体的には、エネルギー獲得系は光・食物・ある種の細菌では無機物などを元に、ミトコンドリア内膜や葉緑体などの生体膜でH+輸送反応を介して生体のエネルギー通貨であるATPを合成する反応(ATP合成系)である。エネルギー利用系は、筋肉を動かすミオシン等の収縮性タンパク質やイオン輸送を行うATPアーゼはATPを加水分解する。分子合成は酵素リガーゼがATPを消費して行う[3]。
また、このATPの化学エネルギーをさかのぼると異化によって生じることから独立栄養生物による有機物生産が大元であり、それらの生産は太陽光[8]の還元力(特殊な環境においては地球科学的起源の水素、硫化水素と置き換えても良い)が出発点であることがわかる。太陽光の(あるいは地球に残存した)還元力は生体的な代謝のエネルギーのみならず、石油や天然ガスといった人間活動に使用しているエネルギーをも供給している。
詳細は「二次代謝」および「二次代謝産物」を参照
上述の糖、アミノ酸、脂肪酸に関連した異化同化の両反応およびそれらに関するエネルギー代謝を中央代謝あるいは一次代謝という。対して、それらの中央代謝系から外れた生命維持における役割の不明な物質を生産する特定の生物に限定的な代謝のことを二次代謝という。
二次代謝産物としては、以下のような物質があげられる。
これらにあげたのは一部であり、生物界には未分類の微量生体成分が非常に多数存在すると言われている。二次代謝産物の多くは顕著な生理活性を示すものが多く、毒物や薬物として分類されるものも多い。
生物は薬、毒物などの生体外物質(ゼノバイオティクスXenobiotics、異物ともいう)にさらされており、これらを分解あるいは排出するための代謝も行う。詳しくは薬物代謝の項を参照。
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k氏より
インスリンの抽出は大変意図的に行われたのに対し、スルフォニルウレア薬(SU)は偶然に見つかりました。で、1950年代にはじめに二型糖尿病の患者に使われるようになりました。いまでは20種類くらいのSUが広く世界で使われています。 1997にはメグリチニドが臨床適用されました。食後高血糖の治療薬としてはじめて使用された薬です。 メタフォルミンというビグアナイド薬(BG)は、ヨーロッパで広く使われていましたが、1995年にアメリカでも認可されました。 チアゾリジン1997年に市場導入され、二番目にメジャーなインスリン刺激薬として使用されています。この種類の薬には、広汎な肝障害を起こしにくく、世界中で使われています。
膵臓のβ細胞の刺激によって、インスリンを放出させ、血糖値を下げます。 治療が長引くと、インスリン分泌というSUのβ細胞刺激性の効果が薄れてきますが、β細胞上のSU受容体のダウンレギュレーションによるものです。また、SUはソマトスタチンの放出を刺激します。ソマトスタチンはグルカゴン分泌を抑制しているので、これも関係SUの糖を下げる効果と関係しています。 SUはATP感受性Kチャンネルを抑制します。Kレベルが下がると、まく表面における、脱分極を促し、電位依存性カルシウムチャンネルを通じたカルシウムイオンの流入を促進します。 SUには無視できない膵臓外作用があるという議論があります。確かにありうべきことですが、2型糖尿病の患者の治療においては、それほど重要なことではないようです。
SU薬はそれぞれが似たような作用スペクトラムを持っているので、薬物動態的な特性がここの薬を区別する手がかりです。腸管からのSU薬の吸収の割合は薬によって違いますが、食物や、高血糖は、この吸収を抑制します。高血糖はそれ自身、腸管の運動を抑制するので、ほかの薬の吸収も阻害します。血漿濃度が効果的な値にまで達する時間を考えると、半減期の短いSUは、食前三十分に投与するのが適切です。SU薬は90から99パーセントくらい血中たんぱく質と結合し、特にアルブミンと結合します。 第一世代のSUは半減期や分布において、大きく違っています。この半減期や作用時間の不一致の理由はいまだはっきりしていません。 SUはすべて肝臓で代謝を受け、尿中に排泄されます。なので、肝不全、腎不全患者には要注意で処方します。
めったにありませんが、第一世代服用患者では、4パーセントの割合でおきます。第二世代ではもっと少ないでしょう。低血糖による昏睡がしばしば問題になります。腎不全や肝不全がある高齢者の患者でおきやすいです。 重症の低血糖は脳血管障害も起こしうる。急性の神経障害が見つかった高齢患者では血中グルコースレベルを測るのが大事です。半減期の長いSUもあるので、24から48時間のグルコースを輸液します。 第一世代は多くの薬物と相互作用を持っています。 ほかに、吐き気嘔吐、胆汁うっ滞性黄疸、脱顆粒球症、再生不良性・溶血性貧血、全身性のアレルギー症状があります。 SUが心血管障害による死亡率を上げるのかについては議論の余地あり。
SUは、食事療法だけでは十分なコントロールを得られない2型糖尿病患者の血糖コントロールに用いられます。禁忌はtype 1 DM(diabetes mellitus:糖尿病)、妊婦、授乳中の患者、腎障害や肝障害の患者です。 普通の患者なら五割から八割くらい、経口の糖尿病治療薬が効きます。インスリン療法が必要になる患者もいます。 トルブタマイドの一日量は500ミリグラムで、3000ミリグラムが最大の許容量です。SUの治療成績の評価は患者の様子を頻繁に観察しながら、行います。 SUとインスリンの併用療法はtype 1, type 2 両方の糖尿病で用いられていますが、βセルの残存能力がないとうまくいきません。
レパグリニドはメグリチニドクラスの経口インスリン分泌促進物質です。化学構造上、SUとは異なっており、安息香酸から分離されたものです。 SU薬と同様にレパグリニドは膵臓βセルにおけるATP依存性Kチャンネルを閉じることによりインスリン分泌を促進します。AEもSU薬と同様、低血糖です。
Dふぇにるアラニンから分離された薬。レパグリニドよりもSEとして低血糖が認められづらいです。
メトフォルミンとフェノフォルミンは1957年に市場導入され、ブフォルミンが1958年に導入されました。ブフォルミンは使用が制限されていますが、前者二つは広く使われています。フェノフォルミンは1970年代に乳酸アシドーシスのAEによって市場から姿を消しました。メトフォルミンはそのようなAEは少なく、ヨーロッパカナダで広く使われています。アメリカでは1995年に使用可能に。メトフォルミンは単独かSUと併用して使われます。
ものの言い方によると、メトフォルミンは抗高血糖であって、血糖を下げる薬ではありません。膵臓からのインスリン放出は促さないので、どんな大容量でも低血糖は起こしません。グルカゴン・コルチゾール・成長ホルモン・ソマトスタチンにも影響なし。肝での糖新生を抑制したり、筋や脂肪におけるインスリンの働きを増すことで、血糖を押さえます。
小腸から吸収。安定な構造で、血中の蛋白と結合しないで、そのまま尿中に排泄。半減期は二時間。2.5グラムを食事と一緒に飲むのがアメリカで最もお勧めの最大用量。
メトフォルミンは腎不全の患者には投与しないこと。肝障害や、乳酸アシドーシスの既往、薬物治療中の心不全、低酸素性の慢性肺疾患なども合併症として挙げられる。乳酸アシドーシスはしかしながら、めちゃくちゃまれである。1000人年(たとえば100人いたら、10年のうちにという意味の単位。または1000人いたら1年につき、ということ。)につき0.1という割合。 メトフォルミンの急性のAEは患者の20パーセントに見られ、下痢、腹部不快感、吐き気、金属の味、食欲不振などです。メタフォルミンを飲んでいる間はビタミンB12や葉酸のきゅうしゅうが 落ちています。カルシウムをサプリで取ると、ビタミンB12の吸収が改善されます。 血中乳酸濃度が3ミリMに達するとか、腎不全・肝不全の兆候が見られたら、メタフォルミンは中止しましょう。
PPARγに効く。(ペルオキシソーム・プロライファレーター・アクチベイティッド・受容体、つまりペルオキシソーム増殖活性受容体みたいな。)PPARγに結合して、インスリン反応性をまして、炭水化物とか、脂質の代謝を調整します。
ロジグリタゾンとピオグリタゾンは一日一度。チアゾリジンは肝にて代謝され、腎不全のある患者にも投与できますが、活動性の肝疾患があるときや肝臓のトランスアミナーゼが上昇しているときは、使用しないこと。 ロジグリタゾンはCYP2C8で代謝されますがピオグリタゾンはCYP3A4とCYP2C8で代謝されます。ほかの薬との相互作用や、チアゾリジン同士の相互作用はいまだ報告されていませんが、研究中です。
ピオグリタゾンとロジグリタゾンは肝毒性とはめったに関係しませんが、肝機能をモニターする必要があります。心不全のある患者はまずそちらを治療してから。
αGIは小腸の刷子縁におけるαグルコシダーゼの働きを阻害することによって、でんぷん・デキストリン・ダイサッカリダーゼの吸収を抑制します。 インスリンを増やす作用はないので、低血糖もおきません。吸収がよくない薬なので、食事の開始と一緒に飲むとよいです。 アカルボースとミグリトールは食後高血糖の抑制に使われます。 αGIは用量依存性に、消化不良・ガス膨満・下痢などをきたします。αGIとインスリンを併用中に低血糖症状が出たら、、グルコースを補充します。
経口から、グルコースが静脈を通ると、インスリンが上がることがわかっていました。消化管の上部からはGIP、消化管下部からはGLP1というホルモンが出ていて、糖依存性のインスリン放出を促していることがわかりました。これらのホルモンはインクレチンといわれています。この二つのホルモンは別の働き方でインスリンの放出を促進します。GIPはtype 2 DMではインスリン分泌を促進する能力がほとんど失われています。一方でGLP1は糖依存性のインスリン分泌を強く促しています。つまりtype 2 DMの治療ではGIPをターゲットにすればよいということになります。GLPはグルカゴンを抑制し。空腹感を押さえ、食欲を抑えます。体重減少も実現できます。この長所を相殺するように、GLP1は迅速にDPPIV(ヂペプチジルペプチダーゼ4エンザイム)によって負活化されます。つまり、GLP1を治療に使うなら、連続的に体に入れなければなりません。GLP1受容体のアゴニストが研究され、これはDPPIVにたいして抵抗性があります。 そのほかのGLP1療法のアプローチに仕方としては、DPPIVプロテアーゼの不活性化で、それによってGLP1の循環量を増やそうとするものです。type 2 DM治療に新しい薬がでるかもしれないですね。
吸収 | Absorption |
分布 | Distribution |
代謝 | Metabolism |
排泄 | Excretion |
血中濃度
ピークまでの時間 |
血中濃度
ピークの高さ | |||
静脈注射 | i.v. | intravenous | ++++ | ++++ |
筋内注射 | i.m. | intramuscular | +++ | +++ |
皮下投与 | s.c. | subcutaneous | ++ | ++ |
経口投与 | p.o. | peroral | + | + |
name=グルタル酸 構造式= IUPAC=1,5-ペンタン二酸
ペンタン-1,5-ジカルボン酸 別名=プロパン-1,3-ジカルボン酸
1,3-プロパンジカルボン酸
n-ピロ酒石酸 分子式=C5H8O4 分子量=132.12 CAS登録番号=110-94-1 融点=95~98 沸点=200
.