出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/06/22 15:03:52」(JST)
痛風 | |
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分類及び外部参照情報 | |
尿酸
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ICD-10 | M10. |
ICD-9 | 274.0 274.1 274.8 274.9 |
OMIM | 138900 300323 |
DiseasesDB | 29031 |
eMedicine | emerg/221 med/924 med/1112 oph/506 orthoped/124 radio/313 |
MeSH | D006073 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 | |
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痛風(つうふう、gout)は、高尿酸血症を原因とした関節炎を来す疾患。名称は、痛み(発作の箇所)が風が吹く様に足・膝・腰・肩・肘・手や胸骨など全身の関節・骨端を移動し、尚且つ風が強くなったり穏やかになったりする様に痛みが酷くなったり和らいだりを繰り返す(痛みの悪風に中(あた)る意、または吹いた風が当たっただけでも痛む、の説もある)ことから命名された。
ヒトを含むヒト科では、進化の過程で尿酸オキシダーゼ活性の消失により難溶性物質である尿酸をより無害なアラントインに分解できなくなっている。
詳細は「尿酸」を参照
尿酸が体内に蓄積すると結晶化して関節に析出して痛風発作を誘発する[1]。
高尿酸血症の患者にきっかけが加わると痛風を発症する。何がきっかけなのか明確ではないことも多い。
健康状態における人体の血中には、ごく普通に尿酸が含有されているが、この濃度(血中尿酸値)が何らかの理由により著しく上昇すると、本来人体が持つ恒常化機能を超えて飽和解消できず、特に体温が低い足部などにおいて、尿酸が溶解しきれずに尿酸塩として結晶化して関節包内などに付着することが知られている。この状況においては、白血球群のうち、特に好中球が尿酸結晶を攻撃(捕食活動)を行うことが知られている。
好中球による尿酸結晶捕食活動が激化すると、その活動による過大なエネルギーや、尿酸を抱え込んで死亡した好中球の遺骸そのものによる影響などから、血管壁がダメージを受けて大きな炎症を発生する。当然に、当該部位周囲の神経組織をも相当に刺激し、患者は「内側からの激痛」を感じることとなる。
また、血中含有尿酸の濃度が急激に低下した場合においても、痛風発作が生じることが知られている。これは、好中球が攻撃対象である尿酸結晶の行方を急激に見失うと、対象を探し続けて活動を激化させることによるためとも言われているが異論も多く、血中尿酸値急降下時の明確な発作システム自体の解明はなされていない。ただし後述の通り、疫学的には、血中尿酸値の上昇とともに血中尿酸値の急降下も、痛風発作の要因であることは広く知られており、痛風発作時における尿酸生成阻害剤や尿酸排出促進剤などの服用は禁忌とされていることが多い[要出典]。
必ずしも恒常的な高尿酸血症患者がすべて痛風発作を起こすわけではなく、そのメカニズムは解明しきれていないが、よく知られている発作のきっかけとしては、脱水症状に伴う急激な尿酸値の変動、物理的衝撃による結晶の剥落、不適切なタイミングでの尿酸コントロール薬の投与、激しすぎるスポーツなどが考えられている。アルコールの痛飲はアルコール代謝に水が回ることで起こる脱水症状に加え、乳酸と尿酸の競合による尿酸排出の遅れによって尿酸値を激しく変動させ、翌日朝に痛風を起こすきっかけとなることが多いともされる。
あくまで、高尿酸血症の患者でも痛風を起こさないケースは少なくないため、引き金となる要因が全て分かっているわけではない。米国で、高尿酸血症の患者に尿酸値を下げる薬を処方しないのはその考え方に基づいているが、高尿酸血症は腎臓結石など別の病気のリスク要因であることは忘れるべきではない。
血清尿酸値に影響を及ぼす比較的頻度の高い遺伝子としてURAT1(SLC22A12)が知られていたが、GWAS(ゲノムワイド関連解析)により大規模に発見された。即ちSLC11A9, SLC2A9, SLC17A1, SLC22A12, SLC22A11, SLC16A9, ABCG2, LRP2, PDZK1, GCKR, TRIM46, INHBB, INHBC, SFMBT1, TMEM171, VEGFA, BAZ1B, STC1, PRKAG2, HNF4G, A1CF,ATXN2, UBE2Q2, IGF1R, NFAT5, MAF, HLFなどである。これらの遺伝子は一般の痛風の発症に関係していると考えられる。この中でSLCのつくものはATP結合カセットを持たないトランスポーター(輸送蛋白質)であり、腎臓の尿細管に分布し尿酸の尿中排泄に関係すると考えられる。ABCG2は主として腸管に分布し、腸からの尿酸排泄の低下により高尿酸血症を来し、痛風を来す事が示唆されている。[2]。
関節に激烈な痛みが起こり、発赤や発熱を伴う。尿酸の結晶は比重が高く重力に引かれて足部に沈着しやすいため、痛風発作(痛風性関節炎)は足趾(特に母趾MP関節)に好発する。初発症状は足部であることが多いが、足関節、膝関節から発症することもある。発作を繰り返すたびに症状は増悪する。発作の痛みは骨折の痛み以上といわれ、非常に苦痛を伴う。また、耳介などに痛風結節と呼ばれる皮下結節を作ることがあり、これが診断の助けとなる。X線では骨髄腫のように"punched out"と呼ばれる骨破壊像が見える。痛風と鑑別を要する関節炎の疾患としては関節リウマチ、変形性関節症、偽痛風がある。
痛風によりMP関節にできた関節炎
痛風の炎症部位
耳介にできた痛風結節
患者の90%以上が男性。最近の疫学的研究によると、アルコールは肝臓で尿酸が作られるのを促進し、尿酸濃度をあげてしまうため、痛風のリスクを高める。特にビールは最もリスクが高く[3]、ワインは飲んでも痛風のリスクを高めない[4]焼酎やウイスキーもそれほど痛風のリスクは高くはない(なおアルコール飲料自体のプリン体は、食品の中でも比較的少ない方である)。尿酸とはプリン体と呼ばれる物質の代謝産物であり、プリン体を多く摂取すると高尿酸血症、さらには痛風の引きがねとなると考えられる。肉のみならず魚に含まれるプリン体も痛風のリスクを高めるが、野菜に含まれるプリン体(麦芽[5]、豆類に多い)は高めない[6]。また、フルクトース(果糖)は急速に代謝されてアシドーシスを引き起こしやすく[7]、酸性下で尿酸が析出しやすくなる。フルクトースを構成体に持つ砂糖の多いドリンクを週に5~6杯飲む場合やフルクトースを含むフルーツジュースの摂取も痛風のリスクを増大させる[8]。近年、高尿酸血症に関わる遺伝子が各国(含日本)で発見されている。
そのほか、精神的ストレスや水分摂取の不足も発症の引きがねとなる。特に水分摂取の不足に関しては、日常的に意識して水分を多めに取り、血中尿酸濃度を(排尿によって体外に出す事で)低く保つことが勧められている。
好中球の活動抑制、炎症鎮痛、患部の管理、緩やかな尿酸の排出、尿酸値上昇要因の排除、の5手法併用を以って行う。
現状では、非ステロイド系鎮痛消炎薬を使用することが多い。例えば、力価60mgのロキソプロフェンナトリウム製剤を、その投入が不要と認められるまで、概ね8時間以上の間隔で経口投与することが多い。ロキソプロフェン製剤服用にあたっては、胃壁へのダメージを避ける目的で、テプレノン製剤・レバミピド製剤などの胃粘膜保護剤を併せて処方することが多い。
高尿酸血症患者においては、その治療方法そのものが、すなわち痛風発作の予防方法のほぼ全てを充足するほか、非高尿酸血症者においても、日常において血中尿酸の急激な濃淡を起こさないような体調・ストレスの管理を要する。
痛風を来す作用が極めて強く、一つの遺伝子が痛風の原因となる場合(単一遺伝子病)と、一つの遺伝子の作用が弱く、複数の遺伝子と環境要因が加わって痛風を来す場合(多因子病)がある。 前者にはPRPP合成酵素亢進症、HPRT欠損症(レッシュ・ナイハン症候群)などの酵素異常症、ウロモデュリン異常症などがある。 後者には多数の遺伝子があり、上記のように少なくとも27個の遺伝子が関係している。
水分を多めに摂る事で、非常な痛みを伴う症状の発生を予防できる事は、古くから経験によって知られていた。これは排尿によって血中尿酸濃度を下げる効果があるため、関節への尿酸結晶の発生を避けられるためである。
特に利尿作用のある緑茶・紅茶・コーヒー等を多量に摂取して大量に排尿すれば、それだけ大量の尿酸が体外に排泄される事にも繋がるため、より症状発生の予防ができるとされている。しかし利尿作用も度が過ぎると、脱水症状を起こして症状が悪化したり、尿路結石が出来る可能性もある。
ヨーロッパに喫茶の習慣が伝えられると、痛風の症状を緩和できたり予防できるとして、盛んに喫茶が流行・奨励された。
なお当時の緑茶が、日本・中国などのアジアでしか生産されていなかった事もあり、大変贅沢な療法とされ、オランダが日本産や中国産の、イギリスが中国産の緑茶を独占的に扱っていたため、緑茶が高価過ぎて手が出せない事情から、フランスやドイツでは、コーヒーの飲用が流行したという。紅茶は、保存に便利で効果の程は緑茶と大きく変わらないとして、後々のイギリスにおける紅茶文化発展の元となった。
クエン酸製剤が痛風緩和に有効であることが医学的に証明されている。[要出典]従ってクエン酸を多く含むレモン、グレープフルーツ、梅干、トマトなどの摂取が痛風対策に有効であることになる。[要出典]
また、尿酸値を下げることが発作のリスクを抑えるという観点から、肝機能向上(中性脂肪を減らし、肝臓内に蓄えられているプリン体自体を減らす)と腎機能向上(腎臓の負担を減らし、効率的に尿酸の排出をうながす)は重要な療法といえる。具体的には、散歩などの有酸素運動、低塩分、低カロリーな食事、カリウムを多く含む食品の摂取、十分な水分補給と入浴、睡眠などが効果があるとされる。
アメリカにおいて尿酸値を下げる効果と痛風発作の痛みを緩和する効果があると広く信じられているアメリカンチェリーは、アントシアニンなどのポリフェノール類が働いているといわれている。一方、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、痛風への効能を謳ってチェリー加工品を販売する業者に対し、証明されていない効能をラベルに載せるのをやめるよう警告している[13] [14]。
経験的な民間療法として、スライスした生たまねぎを半分から一個分、水にさらさずに食べることにより、発作時の劇的な痛みを軽減し、また痛みの続く期間を短くするという説がある。また、日常的に摂取することにより、発作を抑え、痛風体質の改善にも高い効果があると言われている。これは、たまねぎに多く含まれているクェルセチンの炎症抑制効果と、尿酸の増加を抑制する効果のためではないかと言われている。ただし、生のたまねぎの摂取は、体質によって胃が痛むなどの副作用もあり、この点には注意が必要である。
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型分類 | 増加するリポ蛋白 | 血清脂質の変動 | コレステロール (mg/dl) |
トリグリセリド (mg/dl) | ||
正常 | - | - | <220 | <150 | ||
I型高脂血症 | 高カイロミクロン血症 | hyperchylomicronemia | カイロミクロン | 中性脂肪著明増加 | <260 | >1000 |
IIa型高脂血症 | 高コレステロール血症 | hypercholesterolemia | LDL | コレステロール増加 | >220 | >150 |
IIb型高脂血症 | 複合型高脂血症 | combined hyperlipidemia | LDL, VLDL | コレステロールと中性脂肪増加 | >220 | 150-300 |
III型高脂血症 | 異常βリポ蛋白血症 | dysbetalipoproteinemia | IDL | 電気泳動でbroad β | 350-500 | 350-500 |
IV型高脂血症 | 高トリグリセリド血症 | hypertriglyceridemia | VLDL | 中性脂肪増加 | <240 | 200-1000 |
V型高脂血症 | 複合型高トリグリセリド血症 | mixed hypertriglyceridemia | カイロミクロン, VLDL | 中性脂肪著明増加 | <300 | >1000 |
I型 | II型 | III型 | IV型 | V型 | |||
IIa型 | IIb型 | ||||||
高カイロミクロン血症 | 高コレステロール血症 | 複合型高脂血症 | 異常βリポ蛋白血症 | 高トリグリセリド血症 | 複合型高トリグリセリド血症 | ||
増加リポ蛋白 | CM | ++ | + | ||||
VLDL | + | + | + | ||||
IDL | + | ||||||
LDL | + | + | |||||
血漿脂質 | TC | + | +++ | ++ | ++ | /+ | + |
TG | +++ | ++ | ++ | ++ | +++ | ||
TC/TG | <0.2 | >1.6 | 不定 | ≒ | 0.6-1.6 | <0.6 | |
病因 | ・LPL欠損 ・アポCII欠損 (外因性高脂血症) |
LDL受容体異常 | 不明 | アポE異常 (E2/E2など) |
不明 (内因性高脂血症) |
LPL欠損へテロ(一部) (外因性高脂血症 and (内因性混合型高脂血症) | |
臨床所見 | 発症時期 | 小児期 | 小児期~成人 | 成人 | 成人 | 小児期~成人 | |
肝脾肥大 |
+++ | - | + | +++ 脾のみ |
+++ | ||
腹痛 | + | + | + | ||||
膵炎 | + | + | |||||
網膜脂血症 | + | + | |||||
肥満 | + | + | |||||
角膜輪 | + | + | |||||
冠動脈疾患 | まれ | 最も高率 | 高率 | 中程度 | 比較的まれ | ||
黄色腫 | 発疹状 | 黄色板状 結節状 腱黄色腫 |
手掌線 結節状 発疹状 |
発疹状 | |||
耐糖能 | 正常 | 正常 | 正常 | 異常多い | 異常多い | ||
高尿酸血症 | なし | なし | 少ない | 多い | 多い | ||
遺伝 | 劣性遺伝 | 優性遺伝 | 劣性遺伝 | 優性遺伝 | 不明 | ||
頻度 | まれ | 多い 500人中 1人(ヘテロ) 100万人中 1人(ホモ) |
多い 200人中 1人 |
少ない 1万人中 2-3人 |
最も多い | まれ | |
血清静置試験 | 上層:乳濁 | 透明 | わずかに混濁 | 混濁、 時にミルク状 |
混濁 | 上層:乳濁 | |
下層:透明 | 下層:混濁 | ||||||
特徴 | small dense LDL の存在 |
broad β |
血清TG | 血清TC | ||
内分泌代謝疾患 | 甲状腺機能低下症 | +++ | |
クッシング症候群 | + | ++ | |
先端性肥大症 | + | ||
糖尿病 | +++ | +~++ | |
痛風 | + | ||
神経性食思不振症 | ++ | ||
ウェルナー症候群 | ++ | ||
肝疾患 | 閉塞性肝・胆道疾患 | +++ | |
肝癌 | ++ | ||
腎疾患 | ネフローゼ症候群 | ++ | +++ |
慢性腎不全 | +++ | ||
免疫異常 | 全身性エリテマトーデス | +++ | |
骨髄腫 | ++ | + | |
薬剤など | サイアザイド | + | + |
β遮断薬 | + | ||
シクロスポリン | + | ||
経口避妊薬 | +++ |
治療方針の原則 | カテゴリー | 脂質管理目標値(mg/dL) | |||||
リスク群 | LDL-C以外の主要危険因子 | LDL-C | HDL-C | TG | |||
一次予防 | まず生活習慣の改善を 行った後、薬物治療の 適応を考慮する | I | 低リスク群 | 0 | <160 | ≧40 | <150 |
II | 中リスク群 | 1~2 | <140 | ||||
III | 高リスク群 | 3以上 | <120 | ||||
二次予防 | 生活習慣の改善とともに 薬物治療を考慮する | 冠動脈疾患の既往 | <100 |
ja
hypotensor : 約 1,170 件 depressor : 約 13,000 件 hypotensive drugs : 約 1,410 件 hypotensive agent : 約 1,320 件 hypotensive drug : 約 1,200 件
en
hypotensor : 約 12,100 件 depressor : 約 1,220,000 件 hypotensive drugs : 約 29,100 件 hypotensive agent : 約 37,600 件 hypotensive drug : 約 12,500 件
降圧薬 | 積極的な適応 | 禁忌 | ||||||||||
高齢者 | 糖尿病 | 狭心症 | 心不全 | 脳血管障害 | 左室肥大 | 腎障害 | 心筋梗塞 | 頻脈 | 脂質代謝異常 | 前立腺肥大 | ||
Ca拮抗薬 | ○ | ○ | ○ | ○ | 心ブロック(ジルチアゼム) | |||||||
ACE阻害薬 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 妊娠、高カリウム血症、両側腎動脈狭窄 | ||||
A-II受容体拮抗薬 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
利尿薬 | ○ | ○ | 痛風、高尿酸血症 | |||||||||
β遮断薬 | ○ | ○(後) | ○ | 喘息、心ブロック、末梢循環不良 | ||||||||
α遮断薬 | ○ | ○ | ○ | 起立性低血圧 |
合併症 | Ca拮抗薬 | ACE阻害薬 | 利尿薬 | β遮断薬 | α遮断薬 |
脳血管障害慢性期 | ○ | ○ | ○ | ||
虚血性心疾患 | ○ | ○ | ○ | ||
心不全 | ○ | ○ | △ | △ | |
腎障害 | ○ | ○ | ○ | ||
糖尿病 | ○ | ○ | △ | △ | △ |
高脂血症 | ○ | ○ | △ | △ | ○ |
痛風(高尿酸血症) | ○ | ○ | × | ||
慢性閉塞性肺疾患 | ○ | × | |||
閉塞性動脈硬化症 | ○ | ○ | △ | × | |
骨粗鬆症 | ○ | ||||
前立腺肥大 | ○ |
○:第一選択 空欄:適応可 △:注意が必要 ×:禁忌
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