- 英
- urinalysis, urine test, urine examination, urine dipstick test
- 同
- 検尿
- 関
- 尿
意義
腎臓および尿管、膀胱、尿道の機能の異常、感染をつかむことができる。
- SURO.49
- 採尿後1時間以内の新鮮尿を用いる。
- 男性:中間尿
- 女性:外陰部を消毒し中間尿。細菌培養検査にはカテーテル尿が望ましい
- 乳幼児:自己採尿が難しい場合、外陰部を消毒し、プラスチックバックにて採尿。細菌培養検査にはカテーテル尿が望ましい。恥骨上から膀胱穿刺する方法もある。
方法
尿検査は尿試験紙法を用いる。採取した尿に試験紙を浸し、試験紙の色の変化を目視によりサンプルと照らし合わせて決定する。尿沈渣は染色し、顕微鏡にて観察する。また、フローサイトメトリーにて成分を分け数量を決定する。
注意
試験紙法は人が目視で行っているので、人がかわると結果も異なってくる可能性を考慮しておく。沈渣も個数はフローサイトメトリーによりだいたい正確に決定されているが、沈渣の円柱の分類などは人の目で決めているので、人による誤差があることを理解しておく。
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/12/29 18:15:33」(JST)
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尿検査(にょうけんさ、英:Urinalysis)は、尿についての多くの検査項目を含み健康診断の最も一般的な方法の一つである[1]。尿検査の一部は検尿で行われ、結果は試験紙の変色で読み取ることができる。
検査項目
検査結果参考基準値 |
測定項目 |
下限値 |
上限値 |
単位 |
尿比重 |
1.003 [1][2] |
1.030[1][2] |
g/mL |
浸透圧 |
400[3] |
n/a[3] |
mOsm/kg |
ウロビリノーゲン |
0.2[2] |
1.0 [2] |
Ehrlich units
or mg/dL |
赤血球(RBCs) /
erythrocytes |
0[2][4] |
2[2] - 3[4] |
per
High Power Field
(HPF) |
赤血球円柱 |
n/a |
0 / negative[2] |
白血球 (WBCs) /
leukocytes |
0[2] |
2[2] / negative[2] |
pH |
5[2] |
7[2] |
(unitless) |
タンパク質 |
0 |
trace amounts[2] |
|
糖 |
n/a |
0 / negative[2] |
|
ケトン類 |
n/a |
0 / negative[2] |
|
ビリルビン |
n/a |
0 / negative[2] |
|
血液 |
n/a |
0 / negative[2] |
|
亜硝酸 |
n/a |
0 / negative[2] |
|
ナトリウム (Na) - per day |
150[3] |
300[3] |
mmol / 24hours |
カリウム (K) - per day |
40[3] |
90[3] |
mmol / 24hours |
カルシウム (Ca) - per day |
2.5[3] |
8.0[3] |
mmol / 24hours |
リン酸 (P) - per day |
n/a[3] |
38[3] |
mmol / 24hours |
クレアチニン - per day |
4.8[3] |
19[3] |
mmol / 24hours |
遊離カテコールアミン、
ドーパミン - per day |
90 [5] |
420 [5] |
μg/d |
尿は血液中の不要物や有害物、新陳代謝の老廃物などを体外へ捨てるために腎臓で濾過されて生産される。このため、身体状態を反映して水素イオン指数 (pH) や成分が変化することが知られており、内科の診断では主要な検査対象となる。
血液やリンパ液、組織液、細胞液などのpHは、ホメオスタシス(恒常性維持機能)によって通常pH7.4±0.05に維持されている。一方、尿は体液ではないため、pHはある程度の範囲で変動し、一般に尿は弱酸性であるが、アルカリ性食品を多く摂取したりすることで、アルカリ性になったまま低下しなくなることがよくある。
尿にタンパク質が含まれる場合、腎疾患や尿路系の異常、糖では糖尿病、血液では尿路系の炎症や結石が疑われる。ただし、これらは疾患がなくても疲労による原因である場合もある。ウロビリノーゲンの量や尿の比重も臓器の疾患を示唆する。ウイルス、細菌が混じる場合には泌尿器系の感染症が疑われる。薬物・毒物等を摂取した場合には固有の代謝産物が検出される。妊娠した女性からはヒト絨毛性ゴナドトロピン (HCG) という特有のホルモンが検出される。
簡単な尿検査は試薬を用いて色の変化や沈殿の有無を調べるもので、妊娠の検査であれば数分程度で確認できる。近年では質量分析の発展によってきわめて微量の成分でも検出が可能となっており、スポーツ競技でのドーピング検査などで使用されている。
脚注
- ^ a b c Simerville JA, Maxted WC, Pahira JJ (March 2005). “Urinalysis: a comprehensive review”. American family physician 71 (6): 1153–62. PMID 15791892. http://www.aafp.org/afp/20050315/1153.html.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r Normal Reference Range Table from The University of Texas Southwestern Medical Center at Dallas. Used in Interactive Case Study Companion to Pathologic basis of disease.
- ^ a b c d e f g h i j k l Reference range list from Uppsala University Hospital ("Laborationslista"). Artnr 40284 Sj74a. Issued on April 22, 2008
- ^ a b “medical.history.interview: Lab Values”. 2008年10月21日閲覧。
- ^ a b “University of Colorado Laboratory Reference Ranges”. 2008年10月21日閲覧。
関連項目
- 健康診断
- 人間ドック
- 血液検査
- 血液検査の参考基準値
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 初回査定時に高血圧情報が入り再検査となった契約の血圧再検査結果と心電図検査結果の検討(第二報)
- 吉丸 昌秀,磯部 実
- 日本保険医学会誌 109(1), 19-36, 2011-03-17
- … 本報告の第一報に引き続き,初回査定時に高血圧の情報が入り血圧尿検査と心電図検査が必要と判断され,実際に両検査が同時に行われて再検査結果の血圧値と心電図所見が確認できた契約(ペア血圧心電図群)の性,年齢,心電図コードおよび再査定時血圧値について確認した。 …
- NAID 110008513632
- 松永 宏明,小谷 和彦,石橋 和久,鯉渕 晴美,中澤 晶子,藤井 康友,紺野 啓,尾本 きよか,山田 俊幸,河野 幹彦,谷口 信行
- 自治医科大学紀要 33, 135-140, 2011-03-01
- … 一見common diseaseと思われても,口渇や全身倦怠感がみられた場合には,積極的に尿検査をすべきと思われた。 …
- NAID 110008506978
- 75g経口ブドウ糖負荷2時間後尿中ミオイノシトールを指標とした耐糖能低下者の検出法の検討
- 河津 捷二,山縣 文夫,富永 真琴,足立 雅樹,池田 斉,矢澤 麻佐子,土田 温子,松田 彰,大村 栄治,松田 昌文,今井 康雄,桂 善也,大嶋 利枝,鈴木 幸子,芳野 原,岨 康二,加計 正文,川上 正舒
- 糖尿病 54(1), 27-33, 2011-01-30
- NAID 10028116523
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- 健康診断に付き物の尿検査の詳細を収集して、わかりやすく解説しています。検査結果で 、潜血や蛋白、糖、白血球、ウロビリなどが陽性となった場合に疑われる病気のことなど を調べました。また、自宅で簡単にできる尿検査の種類や用法についても説明しま ...
- 尿検査, 検査と基準値, 原因. 肉眼で, 尿の色, 淡い小麦色~琥珀色, [血尿] [黄疸] [ 乳糜尿] [ポルフィリン尿]. 1日の尿量約1500cc, ・増加するもの [尿崩症] [ 糖尿病]. ・減少するもの [腎不全] [心不全] [脱水]. 夜間尿量, 通常はない, [糖尿病] ...
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[★]
- 次の文を読み、28、29の問いに答えよ。
- 84歳の男性。尿閉と下腹部痛とを主訴に来院した。
- 現病歴:以前から尿意を催しても排尿に時間がかかることを自覚していた。2、3日前から鼻水と咳とがあり、昨日の朝から市販の総合感冒薬を服用した。その後さらに尿が出にくくなった。今朝はほとんど尿が出ず、下腹部痛も自覚したため受診した。
- 既往歴:特記すべきことはない。
- 生活歴:喫煙は20本/日を60年間。
- 家族歴:特記すべきことはない。
- 現症:意識は清明。体温36.4℃。脈拍76/分、整。血圧158/78mmHg。呼吸数14/分。SpO2 97%(room air)。頭頸部と胸部とに異常を認めない。腹部は下腹部が膨隆しており、やや硬い。軽度の圧痛がある
- 現時点で実施する必要がないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107C027]←[国試_107]→[107C029]
[★]
- 7か月の男児。発熱を主訴に来院した。昨夜から急に発熱した。咳と鼻汁とを認めない。やや活気がないが哺乳力は良好である。最近3か月の間に今回と同様、感冒様症状を伴わない発熱を2回繰り返しているが、抗菌薬の内服でいずれも軽快している。体温39.5℃。心拍数132/分、整。呼吸数28/分。咽頭と呼吸音とに異常を認めない。鼓膜の発赤を認めない。大泉門の膨隆を認めない。
- 診断のためにまず行うべき検査はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107F018]←[国試_107]→[107F020]
[★]
- 56歳の女性。昨夜から右眼にゴミのようなものが動いて見えるので来院した。5年前からロ渇があったが、健康診査は受けていなかった。視力は右0.3(矯正不能)、左1.0(矯正不能)。右眼底写真を以下に示す。診断に有用でないのはどれか。2つ選べ。
- a. 蛍光眼底造影
- b. 血清生化学検査
- c. 頭部MRI撮影
- d. 網膜電図 ERG
- e. 尿検査
[正答]
※国試ナビ4※ [099H027]←[国試_099]→[099H029]
[★]
- 67歳の男性。腹部のしこりを主訴として来院した。2年前から腹部のしこりに気付いていた。最近これが大きくなり、腹部膨満感も出現した。触診上腫瘤は拍動性である。腹部の写真を以下に示す。この患者の診断に有用なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [096F006]←[国試_096]→[096F008]
[★]
- 67歳の男性。腹部のしこりを主訴に来院した。2年前から腹部のしこりに気付いていたが、最近急に大きくなってきた。触診上腫瘤は拍動性である。腹部の写真を以下に示す。この患者の診断に有用なのはどれか。
[正答]
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[★]
- 30歳の初産婦。妊娠33週0日に破水感を主訴に来院した。これまでの妊娠経過に異常はなかった。心拍数 80/分、整。血圧 110/70mmHg。腟内に貯留した羊水は透明で、児は第1頭位、不規則な子宮収縮を認める。
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[正答]
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- 28歳の初産婦。妊娠39週時に少量の性器出血と陣痛とを主訴に来院した。陣痛間欠は3分で、発作は40秒である。
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[正答]
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[★]
- 3歳児健康診査の内容について正しいのはどれか。3つ選べ。
[正答]
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[★]
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[★]
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[正答]
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[★]
- ☆case59 尿中の血液
- 52歳 ビジネスマン
- 顕微鏡的血尿のため泌尿器科医に紹介があった。
- 主訴:顕微鏡的血尿
- 現病歴:6ヶ月前、new jofのためのisurance medicalで血尿を指摘された。以来、家庭医に2回血尿指摘された。以前の尿検査は正常だった。一度も顕微鏡は指摘されたことが無く、泌尿器系の症状もなかった。顕微鏡的血尿であることを除けば健康である。視覚、聴覚に問題なし。タバコ1日30本、アルコール35 unit/week(缶ビール(350ml)20本/週)
- 既往歴:特記無し。
- 家族歴:特記無し。腎臓病の家族歴無し
- ・身体所見
- 栄養状態良く体調はよい。心拍:72/分、整。血圧:146/102 mmHg。心血管系、呼吸器系、腹部、神経学所見:異常なし。眼底鏡でarteriovenous nippingを認める。
- ・検査
- (血液生化学)
- 上昇:尿素、クレアチニン、γ-GTP
-
- (尿検査)
- 蛋白:++。血尿:++。赤血球:>100 red cells
- 24時間尿蛋白:1.2g; 正常値 <200mg/24hr
- (その他)
- ECG:左室拡大。腎超音波検査:大きさは正常
- (第一パラグラフ)
- ・顕微鏡的血尿の原因は腎臓と尿路系のものがある(ex.前立腺病変、結石)。
- ・顕微鏡的血尿 + 高度のタンパク尿 + 高血圧 + 腎障害 = 慢性糸球体腎炎の病態
- ・γ-GTP高値はアルコールの過剰摂取による肝臓病であることに適合する
- ・男性で推奨されるアルコール摂取の上限は、28unit/週 ()
- (第二パラグラフ)IgA腎症
- ・IgA腎症は先進国における一般的な糸球体腎炎。メサンギウム領域におけるIgAの蓄積が特徴的
- ・患者はしばしば、上気道感染と同時におこる顕微鏡血尿のエピソードがある
- ・IgA腎症は多くは特発性だけど、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病(Henoch-Schonlein purpura)とアルコール性肝硬変(alcoholic cirrhosis)と関連するのが普通である。
- ・IgA腎症の患者の20%は20年の経過で末期腎不全(end-stage renal failure)に陥る。
- (第三パラグラフ)基底膜病・アルポート症候群
- ・菲薄基底膜病はisolated microscopic hematuria、minimal proteinuria及び正常腎機能(悪化しない)をしめす家族性の疾患である。
- ・電顕的にはびまん性の糸球体基底膜の菲薄化が見られる(300-400nm -> 150-225nm)
- ・アルポート症候群は進行性糸球体病態であり、聴覚消失と視覚異常と関連している。ふつうX連鎖優性遺伝で、男性がひどく影響を受ける。
- (第四パラグラフ)What further incestigations would you organize?
- ・腎生検
- ・age>50: 尿細胞診、前立腺特異抗原、膀胱鏡 → 除外診断のため(膀胱・前立腺病変)
- ・肝超音波検査が必要で、肝生検を考慮するべき。
- (第五パラグラフ)What advice would you give this patient
- ・指導:禁酒、血圧のコントロール
- ・経過観察:透析、腎移植に移行しうるため
- ・血清/血漿クレアチニン:これはGFRが50%減らないと上昇しない → この症例では軽度のクレアチニンの上昇は腎機能は正常の腎機能の40%であることを示す。
- ・治療:免疫抑制薬がIgA腎症の大部分で透析導入を遅らせるという証拠はない
- ■KEYPOINT
- ・50歳以下の血尿のみを訴える患者はまず腎臓専門医に紹介すべき。
- ・50歳以上の血尿のみを訴える患者は、膀胱や前立腺の疾患を除外するためにまず泌尿器科医に紹介すべき
- ・血清/血漿クレアチニンのわずかな上昇は腎機能の大きな喪失を示している。
- ・大量のアルコール摂取による肝障害は明らかな徴候なく起こるかもしれない。
- ■もっとも一般的な顕微鏡的血尿をきたす糸球体による原因
- IgA腎症
- 菲薄基底膜病(thin basement membrane disease)
- アルポート症候群(XR)
- ■高血圧の病理的帰結 HIM.1552
- ・高血圧が生み出すリスクファクター:粥状硬化症
- ・高血圧が悪化因子?(predisposing factor)となる疾患:心不全、冠動脈疾患、梗塞、腎臓病、末梢動脈疾患
- 心臓:高血圧性心疾患は高血圧に対する機能的・構造的適応 → 左心室肥大、拡張期機能不全(diastolic dysfunction)、うっ血性心不全、血行異常(冠状動脈の粥状硬化・微小血管障害による)、不整脈
- 左心室肥大(1遺伝的要因と血行動態要因による) → ↑リスク:冠動脈心疾患、梗塞、慢性心不全、突然死
- 拡張期機能不全:(左心室壁が肥厚して拡張期に十分拡張できないという意味での機能不全(written by s))
- 脳:(高血圧は脳梗塞と脳出血のリスクファクター)
- ・認知症(脳梗塞による)
- ・高血圧脳症(autoreguration(50-150mmHg)が傷害され、重度の頭痛、悪心・嘔吐、巣状神経徴候(focal neurologic sign)、精神状態の変調をきたす)
- 腎臓:高血圧は腎障害と末期腎臓病のリスクファクター。
- ・腎臓における粥状硬化性の高血圧に関連した血管損傷は、最初に糸球体の前の細動脈に及ぶ。これにより糸球体と糸球体の後の構造に虚血性の変化を起こす。
- ・糸球体の損傷は糸球体の高灌流による糸球体毛細血管の損傷の結果かもしれない。
- ・糸球体の病理は糸球体硬化症を呈し、そして尿細管は虚血により萎縮する。
- 末梢動脈:長期にわたって持続する高血圧により、下肢の動脈を狭窄させる → 跛行
- 網膜:交差現象(http://www.1stretinalscreen.com/ra_DR_NonDR.asp )
- AV nipping is indicative of hypertension and describes the changes which occur at arteriovenous crossings in the retina where an artery crosses a vein. In patients with hypertension and associated arteriolosclerosis (narrowing of the artery) the artery applies increased pressure on the vein at the point where it passes over the top of the vein.
- ■顕微鏡的血尿
- 血尿のうち、肉眼的には血尿ではないが、尿沈渣で400倍毎視野1個以上の赤血球を認める場合をいう。 しかしそれでは再現性に乏しいので、一般的には5個以上の赤血球を認める場合を顕微鏡的血尿といい病的意義をもつ。
- ■glossary
- modest adj. 謙虚な。慎み深い、控えめな、遠慮がちの。(主に女性が)しとやかにした、ひどく上品な。質素な、地味な。適度の、穏当な。大きくない、ささやかな。
[★]
- 63歳 女性
- 主訴:口渇と頻尿
- 来院のきっかけ:(GPから)多尿の精査のために泌尿器科医に紹介された。
- 症状:
- (主訴にまつわる症状)
- ・多尿:(発症時期)4週間前。(発症様式)突然。(頻度)一晩に5回排尿
- (主訴以外の症状)
- ・全身倦怠感:3ヶ月間体中調子悪い。
- ・背部痛:
- ・体重減少:3ヶ月前から3kg体重減少。
- ・頭痛、悪心:朝に悪心と持続する前頭部の頭痛。(増悪因子)臥床、咳嗽。
- 既往症:8年前、乳癌のために乳房切断術と放射線照射をうけた。
- 職業歴:市に公務員に勤めていたが、現在は退職している。
- 嗜好歴:喫煙歴無し。飲酒は10 units/week
- 服薬歴:なし
- 身体所見 examination
- 全身:やせている。筋肉は萎縮(muscles are wasted)。
- 循環器系:脈拍 72 /分、血圧 120/84 mmHg、頚静脈怒張なし。I, II音に亢進減弱無く、過剰心音、雑音を認めない。
- 四肢:浮腫なし
- 呼吸器系、腹部、神経系に異常所見なし。
- 眼:眼底に乳頭浮腫を認める。
- 検査所見 investigations
- 高値:Ca(軽度高値)、アルカリホスファターゼ
- 尿検査:蛋白(-)、血尿(-)
- frequency n.頻尿
- pass urine 排尿する
- servant n. 公務員
- mastectomy 乳房切断術
- 乳癌が脳に転移し、視床下部に浸潤・圧迫し尿崩症を来している。頭痛・悪心は頭蓋内圧によるもので、眼底の乳頭浮腫はこれを指示している。また、朝の頭痛は頭蓋内圧亢進症に特徴的らしい。また、咳や体位により増悪するのも頭蓋内圧の亢進によるものということを支持している。背部痛があるので、胸椎から腰椎に骨転移しており、骨破壊によりCa, AlP上昇を来していると理解される。
- 尿崩症:尿比重、血液検査、
- 頭蓋内圧亢進症:頭部MRI。利尿剤によって頭痛が軽快するか検査。
- 骨転移:胸部or腰部MRI。ガリウムシンチグラフィーで全身の転移巣を精査。
[★]
- 34歳 女性
- 主訴:皮疹
- 現病歴 2週間前から脛と前腕に有痛性紅色の腫脹(multiple tender red serllings)が多数認められるようになった。古い腫脹(older swelling)は黒ずんでおり(darker)、中心から治癒傾向にあるようであった。調子が悪く全身倦怠感を訴えており、手首と足首の痛みも訴えていた。最近咽頭痛は無かった。2年前からずっと口内アフタが再発していた。陰部に潰瘍はなかったが間欠的な腹痛と下痢に悩まされてきた。
- 職業歴:ウェイトレスとして働いている。
- 結婚歴:未婚。
- 嗜好歴:1日15本。機会飲酒。
- 既往歴:なし
- 家族歴:なし
- examination
- 全身:やせているが元気そう。
- 口内:アフタを認めない(診察時)。
- 関節:炎症所見無し。可動域制限なし。疼痛無し。
- 皮膚:脛と前腕に有痛性隆起性病変(直径1-3cm)を多数認める。新しい病変は赤色で古い病変は水疱の様に見える。
- その他異常所見を認めず
- investigations
- 高値:白血球。赤沈。
- 胸部単純X線写真:異常所見認めず
- 尿検査:異常を認めず
[★]
- 英
- dip stick test, dipand read test
- 関
- 尿検査、尿定性検査
概念
- 白血球、ウロビリノゲン、蛋白質、pH、潜血、比重、ケトン体、ブドウ糖を読み取ることができる。(参考1)
- pH:5-6
- タンパク尿:アルブミンと反応。Bence-Jones蛋白、β2マイクログロブリンは検出できない(偽陰性)
- 血尿:尿沈渣で、赤血球が1-2個以上/視野(x400)で陽性となる
タンパク尿
原理 LAB.172
- pH測定用のブロムフェノールブルー系のPH指示薬は蛋白が存在すると蛋白との複合体を形成して黄色より青色に変色し、これによって溶液のpHは真のpHよりも高い値を示す(pH指示薬のpH誤差)。
- 試験紙にはテトラブロムフェノールブルーとpH2.0-3.0のクエン酸緩衝液が含まれている。
注意 LAB.172
- 偽陽性反応:強アルカリ尿(長期放置によるアンモニア生成)
- 偽陰性反応:pH3以下の強酸尿(保存剤として塩酸を加えた場合)
参考
- http://www.aichi-amt.or.jp/labo/urine/2011nyouteiseikennsa.pdf
[★]
- 英
- urine specific gravity, specific gravity of urine
- 関
- 尿、尿検査
基準範囲
- 1.020 (1.010-1.030)
- 蛋白補正:1g/dL:0.003、糖補正:1g/dL:0.004
低張、等張の定義
異常値の見方
- 検査値の本
高値(1.030以上)
- [高頻度・可能性]脱水(下痢、嘔吐、熱性疾患、水制限など)、糖尿病、ネフローゼ症候群、多発性骨髄腫、造影剤、浸透圧利尿薬(マンニトール製剤、グリセリン(グリセオール))、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)
低値(早朝第一尿で1.010以下)
- [高頻度]慢性腎不全、急性腎不全の利尿期、利尿薬投与時、低K血症(利尿薬、原発性アルドステロン症、Bartter症候群、尿細管性アシドーシスなど)、高Ca血症(原発性副甲状腺機能亢進症、サルコイドーシス、悪性腫瘍など)、中枢性尿崩症、腎性尿崩症、薬剤性尿細管障害(リチウム、ゲンタマイシン、メチシリン、アムホテリシンB、ビンブラスチンなど)
- [可能性]心因性多飲症、低蛋白食、低塩食、尿路閉塞
[★]
- 関
- 検定、試験、視察、視診、調べる、調査、テスト、点検、検討、監査、診察