出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/10/30 12:47:19」(JST)
相殺(そうさい)
(「そうさつ」は慣用読み)
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。 |
相殺(そうさい)とは、相手に対して同種の債権をもっている場合に、双方の債権を対当額だけ消滅させることをいう。日本法では、民法第505条以下に規定がある。債権同士が消滅するとも債務同士が消滅するともいえるが、債権と債務は表裏の関係にあり、どちらで考えても結果的には差はない。
例えば以下のような場面を想定する。AはBからテレビを10万円で買った。このとき、AはBに対して代金10万円を支払うべき債務を負ったことになる。一方でBは以前Aからコンピューターを15万円で購入していたが、代金はまだ支払っていなかった。このとき、BはAに対して代金15万円を支払うべき債務を負っている。つまり、AとBはお互いに対して代金支払債務を負っている。ここで実際に金銭を支払ってもよいが、それは面倒なだけである。そこでお互いの債務を対当額で消滅させる、つまり相殺することで決済を簡略化できる。つまりBは自己の債務(15万円)とAの債務(10万円)を差し引きして、残った5万円だけAに支払えばよい。もしも双方が負う債務の金額が同額であれば、相殺の時点で互いの債務が消滅することになる。以上が典型的な相殺の例である。
なお、相殺する側の債権を自働債権(じどうさいけん)、相殺される側の債権を受働債権(じゅどうさいけん)という。上述の例でBから相殺を主張した場合、Bの債権(10万円、Aから見れば債務)が自動債権であり、Aの債権(15万円、Bから見れば債務)が受動債権となる。
相殺は互いの債権を弁済する手間を省き、決済を簡略化する。また、両当事者のうち資力のある債権者だけが支払いを余儀なくされる不公平を解消し、それがひいては相殺の担保的機能をもたらす。相殺の担保的機能とは、相殺を弁済を確保する手段として利用することである。相殺をうまく駆使することにより、土地などの物的担保や何らかの先取特権をもたない一般の債権者であっても、他の債権者に先駆けて弁済を受けることができる(事実上の優先弁済となる)。
相殺の担保的機能を利用した典型例として、銀行による預金担保貸付がある。銀行が預金者に対して貸付をする際にその預金者が有する預金債権について債権質(権利質の一種で、債権について設定される質権)を設定し、かつ返済が不可能となった場合には相殺適状を生じさせ(期限の利益を失わせて直ちに弁済期を到来させる、など)、預金債権と貸付金を直ちに相殺する相殺予約がされるものである。
この相殺の担保的機能は債権回収の方法として応用される。多重債務に陥っている債務者に対する債権を債権譲渡によって取得し、これを自働債権としてその債務者が有する債権と相殺することで事実上の優先弁済が受けられるのである。
相殺ができるために必要とされる一般的な要件を相殺適状(そうさいてきじょう)といい、相殺されるべき両債権が以下のすべてを満たしている必要がある。
相殺適状を満たしていても、以下の場合には相殺をすることが許されない。これを相殺禁止事由という。
相殺は当事者どちらかの一方的な意思表示によって効力を生じる(506条1項)。ただし、意思表示に条件又は期限をつけることはできない(506条但書)。なお、諸外国には条件を満たせば直ちに相殺の効力が生じるという立法例もある。また、日本法においても、この例外として、訴訟上の相殺は条件付き相殺であると理解されている。比較法的には、(1)裁判上の相殺のみが認められるもの、(2)裁判によらずに、(a)当然相殺となるものと(b)意思表示によって相殺がなされるものがある。日本では(2)(b)が採用されているが、2(a)を採用するフランス法の影響もみられる。
相殺は双方の債務の履行地(金銭債務で特約がなければ債権者の現在の住所、484条)が異なるときであってもすることができる。この場合において、相殺をする当事者は、相手方に対して、これによって生じた損害を賠償しなければならない(507条)。
相殺によって双方の債務は相殺適状の時点に遡及(そきゅう; さかのぼって)して消滅する(506条2項)。例えば相殺適状(弁済期)が10月1日であったとして、11月1日に相殺の意思表示が行われた場合、この一ヶ月間の利息(遅延損害金)は生じない。このため、自働債権と受働債権の利率に差がある場合でも、本来なら遅延損害金にも差が生じるところ、問題とならない。債権が時効によって消滅したとしても、消滅以前に相殺適状になっていれば、その債権者は相殺を主張することができる(508条)。
相殺は上記のようにその要件、方法および効果が法定されている。民法上に定められた一方から相手方に対する意思表示による相殺を法定相殺という。ただ、これらの民法上の相殺の規定は当事者間の合意による相殺を排除するものではない。当事者間の契約による相殺を相殺契約という。相殺契約では、相殺適状を満たすと同時に相殺される旨の合意(方法に関する特約)や、相殺の効果を遡及させない旨の合意(効果に関する特約)などが可能となる。
また、相殺の予約というものがなされる場合もある。これは相殺契約の予約を意味する場合もあるが、停止条件付相殺契約(先にあげた方法に関する特約と同様)や、準法定相殺を指すこともある。 準法定相殺とは、相殺それ自体はあくまで法定相殺だが、相殺適状を満たす条件を緩和する合意がなされる場合である。例えば、信用状の不安が生じた場合には直ちに相殺適状が発生する旨の合意である。
民事訴訟において、相手の請求に対して、相殺があったこと(又は相殺をすること)を主張することを相殺の抗弁という。すでに相殺の意思表示を行ったという抗弁(裁判外の相殺の抗弁)と、当該法廷において(相手の債権が認められることを条件とした)相殺の意思表示を行うという抗弁(訴訟上の相殺の抗弁)の2種類がある。
たとえば、原告の主張する金銭債権が認められても、被告によってその全額について相殺の抗弁が主張され、その主張を裁判所が認めた場合は、相殺の抗弁を主張した被告が勝訴することになる。しかし、訴訟上の相殺の抗弁の場合には、勝訴した被告にも実体的な債権の消滅という不利益をもたらすので、弁済など他の抗弁も同時に主張されている場合はまずそちらの抗弁について先に認められるか否かを判断するものとされている。
相殺の抗弁の対象となった債権については、既判力の効力により再度の主張が禁じられる(民事訴訟法114条2項)。主文だけでなく理由中の判断にも既判力が及ぶ例外的な場合である。
この節の加筆が望まれています。 |
|
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
リンク元 | 「血糖降下薬」「対抗」「counteracting」 |
拡張検索 | 「相殺効果」「相殺的」 |
k氏より
インスリンの抽出は大変意図的に行われたのに対し、スルフォニルウレア薬(SU)は偶然に見つかりました。で、1950年代にはじめに二型糖尿病の患者に使われるようになりました。いまでは20種類くらいのSUが広く世界で使われています。 1997にはメグリチニドが臨床適用されました。食後高血糖の治療薬としてはじめて使用された薬です。 メタフォルミンというビグアナイド薬(BG)は、ヨーロッパで広く使われていましたが、1995年にアメリカでも認可されました。 チアゾリジン1997年に市場導入され、二番目にメジャーなインスリン刺激薬として使用されています。この種類の薬には、広汎な肝障害を起こしにくく、世界中で使われています。
膵臓のβ細胞の刺激によって、インスリンを放出させ、血糖値を下げます。 治療が長引くと、インスリン分泌というSUのβ細胞刺激性の効果が薄れてきますが、β細胞上のSU受容体のダウンレギュレーションによるものです。また、SUはソマトスタチンの放出を刺激します。ソマトスタチンはグルカゴン分泌を抑制しているので、これも関係SUの糖を下げる効果と関係しています。 SUはATP感受性Kチャンネルを抑制します。Kレベルが下がると、まく表面における、脱分極を促し、電位依存性カルシウムチャンネルを通じたカルシウムイオンの流入を促進します。 SUには無視できない膵臓外作用があるという議論があります。確かにありうべきことですが、2型糖尿病の患者の治療においては、それほど重要なことではないようです。
SU薬はそれぞれが似たような作用スペクトラムを持っているので、薬物動態的な特性がここの薬を区別する手がかりです。腸管からのSU薬の吸収の割合は薬によって違いますが、食物や、高血糖は、この吸収を抑制します。高血糖はそれ自身、腸管の運動を抑制するので、ほかの薬の吸収も阻害します。血漿濃度が効果的な値にまで達する時間を考えると、半減期の短いSUは、食前三十分に投与するのが適切です。SU薬は90から99パーセントくらい血中たんぱく質と結合し、特にアルブミンと結合します。 第一世代のSUは半減期や分布において、大きく違っています。この半減期や作用時間の不一致の理由はいまだはっきりしていません。 SUはすべて肝臓で代謝を受け、尿中に排泄されます。なので、肝不全、腎不全患者には要注意で処方します。
めったにありませんが、第一世代服用患者では、4パーセントの割合でおきます。第二世代ではもっと少ないでしょう。低血糖による昏睡がしばしば問題になります。腎不全や肝不全がある高齢者の患者でおきやすいです。 重症の低血糖は脳血管障害も起こしうる。急性の神経障害が見つかった高齢患者では血中グルコースレベルを測るのが大事です。半減期の長いSUもあるので、24から48時間のグルコースを輸液します。 第一世代は多くの薬物と相互作用を持っています。 ほかに、吐き気嘔吐、胆汁うっ滞性黄疸、脱顆粒球症、再生不良性・溶血性貧血、全身性のアレルギー症状があります。 SUが心血管障害による死亡率を上げるのかについては議論の余地あり。
SUは、食事療法だけでは十分なコントロールを得られない2型糖尿病患者の血糖コントロールに用いられます。禁忌はtype 1 DM(diabetes mellitus:糖尿病)、妊婦、授乳中の患者、腎障害や肝障害の患者です。 普通の患者なら五割から八割くらい、経口の糖尿病治療薬が効きます。インスリン療法が必要になる患者もいます。 トルブタマイドの一日量は500ミリグラムで、3000ミリグラムが最大の許容量です。SUの治療成績の評価は患者の様子を頻繁に観察しながら、行います。 SUとインスリンの併用療法はtype 1, type 2 両方の糖尿病で用いられていますが、βセルの残存能力がないとうまくいきません。
レパグリニドはメグリチニドクラスの経口インスリン分泌促進物質です。化学構造上、SUとは異なっており、安息香酸から分離されたものです。 SU薬と同様にレパグリニドは膵臓βセルにおけるATP依存性Kチャンネルを閉じることによりインスリン分泌を促進します。AEもSU薬と同様、低血糖です。
Dふぇにるアラニンから分離された薬。レパグリニドよりもSEとして低血糖が認められづらいです。
メトフォルミンとフェノフォルミンは1957年に市場導入され、ブフォルミンが1958年に導入されました。ブフォルミンは使用が制限されていますが、前者二つは広く使われています。フェノフォルミンは1970年代に乳酸アシドーシスのAEによって市場から姿を消しました。メトフォルミンはそのようなAEは少なく、ヨーロッパカナダで広く使われています。アメリカでは1995年に使用可能に。メトフォルミンは単独かSUと併用して使われます。
ものの言い方によると、メトフォルミンは抗高血糖であって、血糖を下げる薬ではありません。膵臓からのインスリン放出は促さないので、どんな大容量でも低血糖は起こしません。グルカゴン・コルチゾール・成長ホルモン・ソマトスタチンにも影響なし。肝での糖新生を抑制したり、筋や脂肪におけるインスリンの働きを増すことで、血糖を押さえます。
小腸から吸収。安定な構造で、血中の蛋白と結合しないで、そのまま尿中に排泄。半減期は二時間。2.5グラムを食事と一緒に飲むのがアメリカで最もお勧めの最大用量。
メトフォルミンは腎不全の患者には投与しないこと。肝障害や、乳酸アシドーシスの既往、薬物治療中の心不全、低酸素性の慢性肺疾患なども合併症として挙げられる。乳酸アシドーシスはしかしながら、めちゃくちゃまれである。1000人年(たとえば100人いたら、10年のうちにという意味の単位。または1000人いたら1年につき、ということ。)につき0.1という割合。 メトフォルミンの急性のAEは患者の20パーセントに見られ、下痢、腹部不快感、吐き気、金属の味、食欲不振などです。メタフォルミンを飲んでいる間はビタミンB12や葉酸のきゅうしゅうが 落ちています。カルシウムをサプリで取ると、ビタミンB12の吸収が改善されます。 血中乳酸濃度が3ミリMに達するとか、腎不全・肝不全の兆候が見られたら、メタフォルミンは中止しましょう。
PPARγに効く。(ペルオキシソーム・プロライファレーター・アクチベイティッド・受容体、つまりペルオキシソーム増殖活性受容体みたいな。)PPARγに結合して、インスリン反応性をまして、炭水化物とか、脂質の代謝を調整します。
ロジグリタゾンとピオグリタゾンは一日一度。チアゾリジンは肝にて代謝され、腎不全のある患者にも投与できますが、活動性の肝疾患があるときや肝臓のトランスアミナーゼが上昇しているときは、使用しないこと。 ロジグリタゾンはCYP2C8で代謝されますがピオグリタゾンはCYP3A4とCYP2C8で代謝されます。ほかの薬との相互作用や、チアゾリジン同士の相互作用はいまだ報告されていませんが、研究中です。
ピオグリタゾンとロジグリタゾンは肝毒性とはめったに関係しませんが、肝機能をモニターする必要があります。心不全のある患者はまずそちらを治療してから。
αGIは小腸の刷子縁におけるαグルコシダーゼの働きを阻害することによって、でんぷん・デキストリン・ダイサッカリダーゼの吸収を抑制します。 インスリンを増やす作用はないので、低血糖もおきません。吸収がよくない薬なので、食事の開始と一緒に飲むとよいです。 アカルボースとミグリトールは食後高血糖の抑制に使われます。 αGIは用量依存性に、消化不良・ガス膨満・下痢などをきたします。αGIとインスリンを併用中に低血糖症状が出たら、、グルコースを補充します。
経口から、グルコースが静脈を通ると、インスリンが上がることがわかっていました。消化管の上部からはGIP、消化管下部からはGLP1というホルモンが出ていて、糖依存性のインスリン放出を促していることがわかりました。これらのホルモンはインクレチンといわれています。この二つのホルモンは別の働き方でインスリンの放出を促進します。GIPはtype 2 DMではインスリン分泌を促進する能力がほとんど失われています。一方でGLP1は糖依存性のインスリン分泌を強く促しています。つまりtype 2 DMの治療ではGIPをターゲットにすればよいということになります。GLPはグルカゴンを抑制し。空腹感を押さえ、食欲を抑えます。体重減少も実現できます。この長所を相殺するように、GLP1は迅速にDPPIV(ヂペプチジルペプチダーゼ4エンザイム)によって負活化されます。つまり、GLP1を治療に使うなら、連続的に体に入れなければなりません。GLP1受容体のアゴニストが研究され、これはDPPIVにたいして抵抗性があります。 そのほかのGLP1療法のアプローチに仕方としては、DPPIVプロテアーゼの不活性化で、それによってGLP1の循環量を増やそうとするものです。type 2 DM治療に新しい薬がでるかもしれないですね。
.