- 英
- heat illness, heat stroke( → 熱射病という意味で使う(YN.K-38))
- 関
重症度による分類
- 熱疲労と熱射病の違いは中枢神経障害の有無(beyond resident 2-156)
- WMM.707
- ICU.607
- YN.K-38改変
- beyond resident 2-154
- 研修医直御法度第5版 155
- 研修医直御法度症例帳 143
- マイナーエマージェンシー 6
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熱痙攣
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熱疲労
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熱射病
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heat cramp
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heat exhaustion
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heat stroke
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古典的熱射病
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努力性熱射病
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疫学
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幼小児、老人 基礎疾患(脳血管障害、虚血性心疾患、アルコール依存症) 薬剤性(フェノチアジン系(抗精神病薬)、抗コリン薬、利尿薬) 死亡率:40%
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小児~成人 死亡率:10% 横紋筋融解症、DIC、MOF合併多い
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原因
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電解質喪失
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脱水
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温熱中枢障害
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熱産生>>熱放射
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病態生理
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細胞外液の減少(≒循環血漿量の減少)→頻脈、
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高温により熱中枢が障害される あるいは、心拍出量、発汗能力、血管調節能力の低下により体温調節能が失われる ↓ 汗が出ないことがある。
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意識
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意識障害あり
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体温
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→
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↑~↑↑
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↑~↑↑↑
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↑↑↑
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血圧
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低血圧
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?
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低血圧
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発汗
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++
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+++
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-~+++
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+++
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筋肉
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有痛性筋収縮
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筋肉崩壊
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その他症状
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悪心・嘔吐、頭痛、めまい
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治療
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ストレッチ、マッサージ 経口補液(飲めねば静注)
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冷却(外部冷却)。⇔冷却は必要なし(ICU.607)
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冷却(外部冷却・内部冷却)
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熱中症の新分類
- 内科救急診療指針1st
身体所見
- まず、バイタル!ショックを評価。心不全はあるかどうか?
検査
- 血液検査(生化学(浸透圧も評価)、血算、凝固(熱射病疑いとして))
- 尿検査(尿ミオグロビンを捕まえる → 赤血球(-)かつ潜血(+) )
治療
- (心不全症状なければ)輸液 ← 末梢静脈ラインを確保すると同時に採血
- YN.K-39
- (血漿浸透圧330mOsm未満)生理食塩水 尿あれば乳酸リンゲルでok
- (血漿浸透圧330mOsm以上)生理食塩水+5%ブドウ糖
死因
救急外来stragegy
- 1. バイタルチェック(体温、血圧、脈拍) → 熱中症に合致しそうか? ちなみに直腸温はかれないときはどうする?
- 2. 現病歴 → ひととおりさらっと聴く
- 3. 現症
- 発汗の有無、皮膚の乾燥・湿潤、
- 筋痙攣 → 熱痙攣を疑いたくなる
- 悪心、嘔吐、頭痛、倦怠感 → 熱疲労~熱射病を疑いたくなる
- 筋肉痛、筋攣縮、中枢神経機能異常(譫妄、運動失調、昏睡、痙攣)、DIC、MOF → 熱射病を疑いたくなる
- 感染症による発熱を疑いたくなったら、頚部リンパ節、咽頭所見、感冒症状、関節痛、呼吸音、尿回数・量、CVA叩打痛、項部硬直、Jolt accentuationをチェック
- 古典的熱射病で心不全を有している場合、輸液不可より昇圧剤を使えと(beyond resident 2-154)
- 5. 末梢静脈ルート確保して採血(生化学、血算、凝固)し、まずは生理食塩水を落とす。血漿浸透圧高値が明らかになれば1/2生理食塩水に切り替え。
- 6. 尿検査提出
- 7. 適切なクーリングをしつつ、結果を待つ。
職場における予防
- 職場における熱中症予防対策マニュアル - 厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課
- https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/manual.pdf
- WBGT値の低減
- 休憩所などの整備:高温多湿作業場所の近隣に冷房を備えた休憩場所、あるいは風通しのよい日陰等の休憩場所を整備する。氷、冷たい飲料が摂取でき、水風呂やシャワーを浴びることができる設備を設置。
- 作業時間の短縮:休憩時間を確保し、熱暑での作業が連続しないようすること、身体作業強度が高い作業を避けること、作業場所を変更すること。
- 熱への馴化:7日以上かけて熱暑への暴露時間を長くしていく。
- 水分及び塩分の摂取
- 服装・帽子:熱を吸収し熱を蓄えやすい服装を避け、透湿性・通気性の良い服装を装着させるようにする。
- 作業中の巡視
- 健康診断の結果などによる対応
- 日常の健康管理など
- 労働者の健康状態の確認
- 自発的脱水
- 予防的・定期的な水分・塩分補給:口渇、口腔内乾燥、尿量減少、体温・心拍の増加は脱水に夜体重減少が2-5%になると自覚されるが、既に脱水に陥っていることになる。そのため、口渇を感じなくても定期的に水分・塩分を摂ることが必要である。
- 身体の状況の確認
- 労働衛生教育
参考
- http://www.nies.go.jp/health/HeatStroke/
- 2. 熱中症環境保健マニュアル 2018 - 環境省
- https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/manual/heatillness_manual_full.pdf
- 3. 暑さ指数と熱中症救急搬送者数との関係 - 環境省
- http://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_report.php
- 4. 熱中症を防ごう / スポーツ医・科学 - 日体協
- http://www.japan-sports.or.jp/medicine/guidebook1.html
- 5. 熱中症診療ガイドライン2015 - 厚生労働省
- https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/heatstroke2015.pdf
- 6. 「日常生活における熱中症予防指針」Ver.3確定版 日本生気象学会
- http://seikishou.jp/pdf/news/shishin.pdf
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%86%B1%E4%B8%AD%E7%97%87
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/11/30 00:41:04」(JST)
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熱射病 |
分類及び外部参照情報 |
ICD-10 |
T67.0 |
ICD-9 |
992.0 |
DiseasesDB |
5690 |
MedlinePlus |
000056 |
eMedicine |
med/956 |
MeSH |
D018883 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
熱疲労 |
分類及び外部参照情報 |
ICD-10 |
T67.3- T67.5 |
ICD-9 |
992.3-992.5 |
DiseasesDB |
5690 |
eMedicine |
emerg/236 |
MeSH |
D006359 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
熱中症(ねっちゅうしょう、hyperthermia、俗に heat stroke, sun stroke ということが多い)とは、暑熱環境下においての身体適応の障害によっておこる状態の総称である[1]。
主な熱中症の症状としては、めまい、失神、頭痛、吐き気、気分が悪くなる、体温の異常な上昇、異常な発汗(または汗が出なくなる)などがある。また、熱中症が原因で死亡する事もある。特にIII度の熱中症においては致死率は30%に至るという統計もあり、発症した場合は程度によらず適切な措置を取る必要があるとされている。また死亡しなかったとしても、特に重症例では何らかの後遺症を残す場合がある。
熱中症は、屋内・屋外を問わず高温や多湿等が原因となって起こり得る。日射病とは違い、室内でも発症するケースが多く、年々増加傾向にある。高温障害で、日常生活の中で起きる「非労作性熱中症」と、スポーツや仕事などの活動中に起きる「労作性熱中症」に大別することが出来る。下記の熱中症の分類は臨床医療の現場で混乱を招くため、熱中症I度・II度・III度と記すように日本神経救急学会の熱中症検討委員会により改定された。
なお日本において、熱中症については厚生労働省[2][3]、文部科学省、環境省[4]でそれぞれ指導・対策が公表されている。
目次
- 1 熱中症の分類
- 1.1 熱中症の重症度分類(日本神経救急学会による)
- 1.2 熱中症の種類(旧分類)
- 1.2.1 熱失神
- 1.2.2 熱痙攣
- 1.2.3 熱疲労
- 1.2.4 熱射病
- 2 熱中症の原因
- 3 熱中症の予防と応急措置
- 3.1 熱中症の予防法
- 3.2 熱中症の応急措置
- 3.3 熱中症との誤認
- 4 熱中症の後遺症
- 5 ペットの熱中症
- 6 脚注
- 7 関連項目
- 8 外部リンク
熱中症の分類
熱中症の重症度分類(日本神経救急学会による)
- I度(軽症 日陰で休む。水分補給。衣服を緩めるとともに体を冷やす。)
- めまい、立ちくらみ、気分が悪い、手足のしびれ、こむら返り(筋肉の痛み、硬直など)[5]。
- II度(中等症 病院にかかり補液を受ける必要がある)
- 頭痛、吐き気・嘔吐、体のだるさ、力が入らない[5]。
- III度(重症 救急車で救命医療を行う医療施設に搬送し入院治療の必要がある)
- 返事がおかしい、痙攣、まっすぐに歩けない、体が熱い、意識喪失[5]。
- III度熱中症の診断基準は
- 暑熱への曝露がある
- 深部体温40℃以上または腋窩体温38℃以上
- 脳機能・肝腎機能・血液凝固のいずれかひとつでも異常徴候がある
- の3つを満たすもの。血液凝固は体温の過度の上昇によって体タンパク質が壊れ内出血をした結果、内出血を止めるために血液が凝固するために起こる。言い換えれば、熱射病になった後に起こる症状である。
熱中症の種類(旧分類)
従来は下記のような用語が用いられていた。
- 熱失神(heat syncope)
- 熱痙攣(heat cramps)
- 熱疲労(heat exhaustion)
- 熱射病(heat stroke) → 日射病(sun stroke)とは別モノである[6]
|
熱失神 |
熱痙攣 |
熱疲労 |
熱射病 |
意識 |
消失 |
正常 |
正常 |
高度な障害 |
体温 |
正常 |
正常 |
〜39℃ |
40℃〜 |
皮膚 |
正常 |
正常 |
冷たい |
高温 |
発汗 |
(+) |
(+) |
(+) |
(-) |
重症度 |
I度 |
I度 |
II度 |
III度 |
熱失神
- 原因
- 直射日光の下での長時間行動や高温多湿の室内で起きる。発汗による脱水と末端血管の拡張によって、脳への血液の循環量が減少した時に発生する。
- 症状
- 突然の意識の消失で発症する。体温は正常であることが多く、発汗が見られ、脈拍は徐脈を呈する。
- 治療
- 輸液と冷却療法を行う。
- 分類
- I度
熱痙攣
- 原因
- 大量の発汗後に水分だけを補給して、塩分やミネラルが不足した場合に発生する。
- 症状
- 突然の不随意性有痛性痙攣と硬直で生じる。体温は正常であることが多く、発汗が見られる。
- 治療
- 経口補水液(水1Lに対し砂糖40g、塩3g)の投与を行う。
- 分類
- I度
熱疲労
- 原因
- 多量の発汗に水分・塩分補給が追いつかず、脱水症状になったときに発生する。
- 症状
- 症状は様々で、直腸温は39℃程度まで上昇するが、皮膚は冷たく、発汗が見られる。
- 治療
- 輸液と冷却療法を行う。
- 分類
- II度
熱射病
- 原因
- 視床下部の温熱中枢まで障害されたときに、体温調節機能が失われることにより生じる。
- 症状
- 高度の意識障害が生じ、体温が40℃以上まで上昇し、発汗は見られず、皮膚は乾燥している。
- 治療
- 緊急入院で速やかに冷却療法を行う。
- 分類
- III度
熱中症の原因
環境
- 前日より急に温度があがった日。
- 温度がそれほど高くなくても多湿であれば起こりやすい(なぜなら、汗による蒸散ができず、体内の熱を発散できなくなるため)。
- 涼しい室内で作業をしている人が、急に外に出て作業した場合(暑さに慣れていないため)。
- 作業日程の初日 - 数日間が発症しやすい。
- 長時間にわたる屋外でのスポーツや行動、屋内でも防具や厚手の衣服での行動[7]。
- 統計的にかかりやすい時間帯は、午前中では10時頃、午後では13時から14時頃に発症件数が多く、季節は梅雨明け後に多い。また、スポーツでは登山、野球が最も多い[7]。学校の運動部活動では野球が最も多くなり、サッカー、テニスの順に多い[8]。
素因
- 5歳以下の幼児
- 65歳以上の高齢者
- 肥満者
- 脱水傾向にある人(下痢等)
- 発熱のある人
- 睡眠不足
- 遺伝的素因…CPT-2と呼ばれるエネルギー代謝・産生に関係する酵素に特定のSNPをもつと、高体温でのエネルギー代謝がうまくいかなくなる。インフルエンザ脳症も同様のSNPでなりやすい[9]。
熱中症の予防と応急措置
熱中症の予防法
- 暑熱馴化を行う。
- 出来るだけ薄着として、直射日光下では帽子を被る。
- 湿度が低い場合でも、気温が35℃(乾球温度計)以上の場合は特別な場合をのぞいて運動を禁止する。31℃以上の場合は激しい運動は中止し、体力の弱いものや暑さになれていない者などには禁止する。
- 湿度が高い場合は、27℃以上で運動を禁止、24℃以上では激しい運動を中止し、体力の弱いものや暑さになれていない者などには禁止する。
- 27℃以上では室内外の冷却や、直接的な体内や体表面の冷却により体感温度を下げ、体内の水分・塩分が失われないような環境を作ることが一番重要な予防法となる。
- 体感温度を下げる方法として、日射を防ぐ、通風を確保する、扇風機の風を作業場所へ向ける、スポット冷房する、作業服の内部へ送風する(そのような機能を持った作業服を着用する)、蓄冷剤を利用する、水の気化熱を利用して体温を下げるなどの工夫を行う。手や顔を洗って水で湿らせたり、低温や水のシャワー(急に冷水を浴びる場合は心臓への負担など充分な注意が必要)を浴びる。屋外においてはミストなどを利用することで、発汗させずに体感温度を下げることが効果的である。
- 冷たいものを摂取することで、体内からも冷やす。多量に摂取した場合、おなかを壊す場合もあるので摂取量には注意が必要である。
- 暑いときの運動として水泳を取り入れる。
- 水中での運動をしている限り、熱中症の可能性はとても低いが、水中以外で補強運動などが行われる場合は他の運動時並の注意が必要[10]。
体感温度を下げられない環境下において、発汗がやむをえない場合は、発汗の量に合わせた水分・塩分補給が必要である。また、発汗量が少ないにもかかわらず多量に水分補給をしすぎた場合、逆に水中毒を発症する可能性がある。水分補給は多すぎず少なすぎず、適度な量の水分補給を行うことが重要である。
- 運動・就労前に内臓(胃など)の負担にならない程度に適度の水分を取る。
- 発汗によって失った水分と塩分の補給をこまめに行う。スポーツドリンクなど塩分と糖分を飲みやすく配合した飲み物も良い。ただし、家庭内など比較的運動していない場合に多量に摂取すると、ペットボトル症候群の危険もあるため糖分の摂取には注意する必要もある。
- 塩分の補給には味噌汁やスープなど塩気の感じられる飲料が体液と塩分(塩濃度)が近く最適である。ただし、水だけを飲みすぎると体内の塩分濃度が薄まるだけでなく尿としても水分等が排出されてしまい、脱水症状を引き起こすので適度な電解質の補給も必要である[11]。
普段から体調管理につとめる。
- 睡眠を充分に取る。
- 充分に休憩を取りながら作業する(休憩により体温を充分に下げる)。
熱中症の応急措置
冷却と経口摂取による水分補給が基本となるが、経口摂取が難しければ点滴を行う。具体的な処置例を以下に列記する。
- 経口補水液またはスポーツドリンクなどを飲ませる。ただし、冷たいものを大量に飲ませると胃痙攣がおきることがあるので注意が必要。また、スポーツドリンクではナトリウム濃度が低いため、病的脱水時にこれを与えると低ナトリウム血症から水中毒を誘発する可能性がある。特に乳幼児等には注意が必要で、経口補水液の投与が望ましい。手近な物としては味噌汁などが極めて有効である。夏場の重労働などでは早め早めの飲用がトラブルを防ぐ重要なポイントになる。経口塩分の過剰摂取には短期的に生命の危険になる可能性はほとんどない(心不全等を除く)ため、量は多目でよい。
- 霧吹きで全身に水を浴びせて、気化熱によって冷やす。霧吹きがないときは、口に水を含んで吹きかけても良い。そのときの水は冷たくなくて良い。一気に水をかけるとショックが大きいので、冷たい缶ジュースや氷枕などを腋の下、股などの動脈が集中する部分にあてて冷やすのが良い。
- 涼しい場所で休ませる。木陰やクーラーの効いたところで衣服を緩めるのが良い。近くにそのような場所がないときは、うちわなどで早急に体を冷やす。
- 速やかに病院などに連れて行く。躊躇せずに救急車を呼ぶ。移動させるのに人手が必要と思えば大声で助けを呼ぶ。
- 汗をかいていないとしても、体温が高くなくても熱中症の可能性はある。脱水していれば、汗をかくことができない。
- 体温調整が出来なくなっているためか、高温多湿の体育館内での運動中などに寒気を訴える場合があり、そういったときは熱中症の兆候を疑ってみた方がよい。
- 自覚症状で熱中症だと感じることはまずない。自分で大丈夫だと思っても「おかしい」と思った時にはもう遅い可能性があるので、上記を参考に注意する必要がある。
熱中症との誤認
注意が必要なのは糖尿病、高血圧の既往歴を有する場合で、低血糖発作、心筋梗塞や脳梗塞などの血管梗塞の症状を誤認し適切な対応が遅れる例が報告されている[12]。
熱中症の後遺症
重度の熱中症になった場合、仮に救命できたとしても、間脳の視床下部に存在する体温調節中枢に永久的な障害を残す場合もある。もしも体温調節中枢に障害が残ると、以後、極端な高温や低温に対する耐性が低くなってしまう。この他、幻覚、視力低下、構音障害、運動障害、意識障害、肝機能低下、痙攣、等の後遺症が残った例もある[13]。
ペットの熱中症
イヌは汗腺が少ないため特に5月から10月にかけて熱中症にかかりやすいとされている[14]。散歩の際には地面から体までの距離が人よりも近く舗装道路からの反射熱がイヌに大きな影響を及ぼすため注意が必要とされている[14]。
脚注
- ^ 日医雑誌 2012;141(2): 259-263.
- ^ “職場における熱中症の予防について”. 厚生労働省労働基準局安全衛生部 (2009年6月19日). 2011年8月2日閲覧。
- ^ “職場における熱中症予防対策マニュアル”. 厚生労働省労働基準局安全衛生部. 2011年8月2日閲覧。
- ^ “環境省熱中症情報”. 環境省. 2011年8月2日閲覧。
- ^ a b c 朝日新聞DIGITAL「熱中症 暑さ、甘く見るな」
- ^ かつては高温多湿の作業環境で発症するものを熱射病、日光の直射で発症するものを日射病と言い分けていたが、その発症メカニズムは全く同じものであり、最近では熱射病の用語に統一されつつある。
- ^ a b “学校の管理下における熱中症死亡事例の傾向”. 日本スポーツ振興センター. 2012年9月27日閲覧。
- ^ 熱中症予防マニュアル・東京都教育委員会
- ^ [1]
- ^ 水泳の水分補給「熱中症、熱射病、日射病のHP」
- ^ STOP熱中症「かくれ脱水」JOURNAL
- ^ 猛暑で増えるニセ熱中症 -脱水で起こる、心筋梗塞・脳梗塞- 日経メディカルオンライン 記事:2011年7月14日 閲覧:2011年7月15日
- ^ 中2男子 熱中症で重体 金沢・野球クラブ 練習で罰走40分 中日新聞 2014年9月17日
- ^ a b “ドクター石川のどうぶつ百科 イヌの熱中症注意を”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2014年6月23日). http://www.hokkaido-np.co.jp/cont/dr-ishikawa/236554.html
関連項目
- 経口補水液
- 救急医療
- ヒートアイランド
- 湿球黒球温度
- こむら返り
外部リンク
- 日本赤十字内関連ページ
- 日本体育協会内関連ページ
- 熱中症予防啓発資料(独立行政法人日本スポーツ振興センター内関連ページ)
- 子供たちを熱中症とケガから救え!(一般社団法人SAVE OUR KIDS)
- 熱中症予防対策の落とし穴 体力科学 Vol.56 (2007) No.1 P42
救急医学(救急医療) |
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病院前救護
(JPTEC) |
バイスタンダー |
善きサマリア人の法 - 応急手当普及員 - 救命講習 - 患者等搬送乗務員基礎講習 - 応急手当指導員 - 赤十字救急法救急員 - 緊急即時通報現場派遣員基礎講習 - ライフセービング - メディックファーストエイド - 野外救急法
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救急隊 |
救急救命士 - 救急車 - 日本の救急車 - ドクターカー - ドクターヘリ(航空救急)
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一次救命処置 |
国際ガイドライン - 心肺蘇生法 - 応急処置 - 救急処置 - 自動体外式除細動器 - RICEの法則 - 止血
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カーラーの救命曲線 - 救命の鎖
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初期診療
(JATEC) |
医療機関 |
救急指定病院 - 救急救命室 - 救命救急センター - 高度救命救急センター - 小児初期救急センター
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外傷 |
創傷 - 脊髄損傷 - 腹腔内出血 - 肺挫傷 - 外傷性大動脈破裂 - 大動脈解離 - 心タンポナーデ - フレイルチェスト - 気胸 - 血胸 - 動物咬傷 - 虫刺症 - 熱傷 - 凍傷 - 溺水 - 窒息 - 骨折 - 服毒
|
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病態・症候 |
外傷死の3徴 - 低体温症 - 熱中症 - 挫滅症候群 - 全身性炎症反応症候群 - ショック - 多臓器不全
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二次救命処置 |
二次心肺蘇生法 - ABCDEアプローチ
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災害医療 |
災害拠点病院(東京都災害拠点病院) - DMAT - JMAT - DPAT - トリアージ - CBRNE - 72時間の壁
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軍事医療 |
衛生兵 - 軍医 - 従軍看護婦 - 衛生科 (陸上自衛隊) - 機上救護員 - 降下救助員 - 救難員 - 医官 - 歯科医官 - 防衛医科大学校 - メディック
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被服・資器材 |
感染防止衣 - 術衣
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関連項目 |
日本の救助隊 - 赤十字社 - 国境なき医師団 - 世界の医療団 - 救世軍 - スター・オブ・ライフ
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 坂口 守男,中司 妙美,飛谷 渉,有川 智美,さかぐち もりお,なかつか たえみ,とびたに わたる,ありかわ ともみ,SAKAGUCHI Morio,NAKATSUKA Taemi,TOBITANI Wataru,ARIKAWA Tomomi
- 大阪教育大学紀要 第Ⅲ部門 自然科学・応用科学 60(2), 27-35, 2012-02-29
- … 保健センターが取り組んでいる熱中症対策に関する報告を行った。 … 2006年~2010年までの過去5年間における本学での熱中症発生件数は31件で,ほとんどが7月,8月に集中していた。 …
- NAID 120003933893
- 消防活動におけるヒートストレス対処に関する研究 : 衣服内温度モニターによるヒートストレス予測と警報指標値の設定
- 杉山 恵一郎,伊関 憲,林田 昌子,清野 慶子,阿部 尚弘,篠崎 克洋
- 山形大学紀要. 医学 : 山形医学 30(1), 15-22, 2012-02-25
- … 41℃の発熱があり、熱中症を疑われて当院救急部に搬送された。 …
- NAID 110008906960
Related Links
- 熱中症(ねっちゅうしょう、heat disorder, disorder due to heat, heat illness)は、暑熱 環境下においての身体適応の障害によっておこる状態の総称。屋内・屋外を問わず 高温や多湿等が原因となって起こる。日射病とは違い、室内でも発症するケースが多く、 ...
- 熱中症環境保健マニュアル(2011年5月改訂版) 環境省が作成し、公表している保健 活動にかかわる方々向けの保健指導マニュアル。「熱中症とは何か」「熱中症を予防策」 「保健指導のあり方」等について紹介しています。
- Q1:熱中症とは何ですか? Q2:熱中症はどのような状態で起りますか? Q3:熱中症 はどのような症状を呈しますか? Q4:熱中症を重症度で分類するとどのようになります か? Q5:熱中症の治療法はどうなっていますか? Q6:熱中症を予防するための注意 ...
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- 既往歴 5年前に痔瘻の手術。
- 生活歴 喫煙は20歳から15本/日を17年間。飲酒は機会飲酒。
- 家族歴 父が高血圧症、高尿酸血症および糖尿病で治療中である。母は胆嚢摘出術を受けている。
- 現症 意識は清明。身長171cm、体重58kg。体温36.8℃。呼吸数22/分。脈拍64/分、整。血圧102/68mmHg。甲状腺の腰大を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。
- 検査所見 尿所見:蛋白(-)、糖3+、ケトン体2+。血液所見:赤血球 468万、Hb 13.9g/dl、Ht 42%、白血球 12,300(好中球75%、好酸球1%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球17%)、血小板27万。血液生化学所見:血糖 610mg/dl、HbA1c 5.8%(基準4.3-5.8)、総蛋白 7.5g/dl、アルブミン 3.9g/dl、尿素窒素 12mg/dl、クレアチニン 0.6mg/dl、尿酸 6.9mg/dL、総コレステロール 246mg/dl、トリグリセリド 190mg/dl、総ビリルビン 0.9mg/dl、AST 10IU/l ALT 16IU/l、LD 177IU/l(基準176-353)、ALP 174IU/l(基準115-359)、アミラーゼ 950IU/l(基準37-160)、Na 131mEq/l、K 4.4mEq/l、Cl 97mEq/l。CRP 1.0mg/dl。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH 7.25、PaCO2 28Torr、PaO2 102Torr、HCO3- 12mEq/l。
[正答]
※国試ナビ4※ [105G066]←[国試_105]→[105G068]
[★]
- 次の文を読み、65-67の問いに答えよ。
- 45歳の男性。めまい、嘔気および嘔吐を主訴に来院した。
- 現病歴 24歳から毎年健康診断を受けていたが、異常を指摘されたことはなかった。直近では6月14日に健康診断を受け、空腹時血糖98mg/dl、HbA1c5.1%であった。7月25日ころから軽い咳が出現し、7月30日に突然、口渇、多飲および多尿が出現した。8月1日にめまいが出現し、熱中症ではないかと自己判断して、スポーツ飲料を4リットル飲んだ。その夜から嘔気と嘔吐とが出現し、8月2日に受診した。
- 既往歴 5年前に痔瘻の手術。
- 生活歴 喫煙は20歳から15本/日を17年間。飲酒は機会飲酒。
- 家族歴 父が高血圧症、高尿酸血症および糖尿病で治療中である。母は胆嚢摘出術を受けている。
- 現症 意識は清明。身長171cm、体重58kg。体温36.8℃。呼吸数22/分。脈拍64/分、整。血圧102/68mmHg。甲状腺の腰大を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。
- 検査所見 尿所見:蛋白(-)、糖3+、ケトン体2+。血液所見:赤血球 468万、Hb 13.9g/dl、Ht 42%、白血球 12,300(好中球75%、好酸球1%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球17%)、血小板27万。血液生化学所見:血糖 610mg/dl、HbA1c 5.8%(基準4.3-5.8)、総蛋白 7.5g/dl、アルブミン 3.9g/dl、尿素窒素 12mg/dl、クレアチニン 0.6mg/dl、尿酸 6.9mg/dL、総コレステロール 246mg/dl、トリグリセリド 190mg/dl、総ビリルビン 0.9mg/dl、AST 10IU/l ALT 16IU/l、LD 177IU/l(基準176-353)、ALP 174IU/l(基準115-359)、アミラーゼ 950IU/l(基準37-160)、Na 131mEq/l、K 4.4mEq/l、Cl 97mEq/l。CRP 1.0mg/dl。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH 7.25、PaCO2 28Torr、PaO2 102Torr、HCO3- 12mEq/l。
[正答]
※国試ナビ4※ [105G065]←[国試_105]→[105G067]
[★]
- 次の文を読み、65-67の問いに答えよ。
- 45歳の男性。めまい、嘔気および嘔吐を主訴に来院した。
- 現病歴 24歳から毎年健康診断を受けていたが、異常を指摘されたことはなかった。直近では6月14日に健康診断を受け、空腹時血糖98mg/dl、HbA1c5.1%であった。7月25日ころから軽い咳が出現し、7月30日に突然、口渇、多飲および多尿が出現した。8月1日にめまいが出現し、熱中症ではないかと自己判断して、スポーツ飲料を4リットル飲んだ。その夜から嘔気と嘔吐とが出現し、8月2日に受診した。
- 既往歴 5年前に痔瘻の手術。
- 生活歴 喫煙は20歳から15本/日を17年間。飲酒は機会飲酒。
- 家族歴 父が高血圧症、高尿酸血症および糖尿病で治療中である。母は胆嚢摘出術を受けている。
- 現症 意識は清明。身長171cm、体重58kg。体温36.8℃。呼吸数22/分。脈拍64/分、整。血圧102/68mmHg。甲状腺の腰大を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。
- 検査所見 尿所見:蛋白(-)、糖3+、ケトン体2+。血液所見:赤血球 468万、Hb 13.9g/dl、Ht 42%、白血球 12,300(好中球75%、好酸球1%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球17%)、血小板27万。血液生化学所見:血糖 610mg/dl、HbA1c 5.8%(基準4.3-5.8)、総蛋白 7.5g/dl、アルブミン 3.9g/dl、尿素窒素 12mg/dl、クレアチニン 0.6mg/dl、尿酸 6.9mg/dL、総コレステロール 246mg/dl、トリグリセリド 190mg/dl、総ビリルビン 0.9mg/dl、AST 10IU/l ALT 16IU/l、LD 177IU/l(基準176-353)、ALP 174IU/l(基準115-359)、アミラーゼ 950IU/l(基準37-160)、Na 131mEq/l、K 4.4mEq/l、Cl 97mEq/l。CRP 1.0mg/dl。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH 7.25、PaCO2 28Torr、PaO2 102Torr、HCO3- 12mEq/l。
- a 感染
- b 低栄養
- c 飲水過多
- d ホルモン欠乏
- e ホルモン不応
[正答]
※国試ナビ4※ [105G064]←[国試_105]→[105G066]
[★]
- 36歳の男性。意識障害のため救急車で搬入された。夏季に作業のため穀物貯蔵タンク内に入ったところ、間もなく意識を消失して倒れた。作業前に普段と変わったところはなく、所持品に不審なものもなかった。救急隊接触時、全身にチアノーゼを認め、SpO2 88%であった。来院時の意識レベルはJCS Ⅲ-300。体温 37.2℃。心拍数 108/分、整。血圧 132/90mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 100%(リザーバー付マスク10L/分酸素投与下)。心音と呼吸音とに異常を認めない。皮膚は湿潤しており、血管拡張は認めない。血液所見:赤血球 530万、Hb 16.0g/dL、白血球 6,000。血液生化学所見:総蛋白 6.8g/dL、AST 30U/L、ALT 32U/L、CK 22U/L(基準 30~140)、尿素窒素 16mg/dL、クレアチニン 1.1mg/dL、Na 142mEq/L、K 3.8mEq/L、Cl 102mEq/L。心電図と胸部エックス線写真とに異常を認めない。
- 最も考えられる病態はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111D046]←[国試_111]→[111D048]
[★]
- 36歳の男性。夏季に作業のため小麦貯蔵タンク内に入って間もなく意識を消失して倒れ、救急車で搬入された。
- 救出時意識不明でチアノーゼがあった。皮膚は湿潤しており、血管拡張は認めない。体温37.2℃。呼吸数16/分。脈拍108/分、整。血圧132/90mmHg。胸部聴診所見に異常はない。
- 血液所見:赤血球530万、Hb16.0g/dl、白血球6,000。血清生化学所見:総蛋白6.8g/dl、尿素窒素16mg/dl、クレアチニン1.1mg/dl、AST30単位、ALT32単位、CK22単位(基準10~40)、Na142mEq/l、K3.8mEq/l、Cl102mEq/l。
- 動脈血ガス分析(自発呼吸、酸素5L/分投与下):pH7.39、PaO2 80Torr、PaCO2 42Torr。心電図と胸部エックス線写真とに異常を認めない。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [099A059]←[国試_099]→[099B001]
[★]
- 11歳の男児。呼吸困難のため搬入された。学校給食で食パンとシチューを食べた後、昼休みに校庭でサッカーをしていたときに皮膚掻痒感と蕁麻疹とが出現した。養護教諭が保健室で休ませて様子をみていたところ、患児が呼吸困難と気分不快とを訴えたため、救急車を要請した。意識は清明。体温36.8℃。脈拍92/分、整。血圧86/48mmHg。呼吸数32/分。 SpO2 90%(room air)。ぐったりとしている。顔面と四肢とに膨疹が散在している。胸部で喘鳴を聴取する。 1か月前にも同様のエピソードがあったという。
- 病態として最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106D035]←[国試_106]→[106D037]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [108F008]←[国試_108]→[108F010]
[★]
- a 「外出時に注意すれば大丈夫です」
- b 「ひどく汗をかくのが典型的です」
- c 「頭痛や悪心は自覚症状としてはまれです」
- d 「口渇感がなくても水分の補給が必要です」
- e 「スポーツドリンクを大量に補給すれば予防できます」
[正答]
※国試ナビ4※ [108H018]←[国試_108]→[108H020]
[★]
- a 深部体温44℃の熱中症は予後が悪い。
- b 減圧症は旅客機に搭乗することで改善する。
- c 凍傷では壊死部分のマッサージが有効である。
- d 高地脳浮腫では酸素吸入で登山続行が可能となる。
- e 全身被ばく後に下血を伴う急性放射線障害は予後が良い。
[正答]
※国試ナビ4※ [107I028]←[国試_107]→[107I030]
[★]
- a 水分補給には糖質の多いものを勧める。
- b 気温が急激に高くなると発症しやすい。
- c 口渇感がなくとも水分摂取を勧める。
- d 腎機能障害をきたすことが多い。
- e 室内温度の調節に注意を促す。
[正答]
※国試ナビ4※ [109D015]←[国試_109]→[109D017]
[★]
- a. 寒帯地域での白内障の増加
- b. 温帯地域での皮膚癌の増加
- c. 発展途上国での循環器疾患の増加
- d. マラリア感染危険地域の高緯度への拡大
- e. 温帯地域で熱中症に罹患する高齢者の増加
[正答]
※国試ナビ4※ [102B028]←[国試_102]→[102B030]
[★]
- 急性腎不全に伴う症候と原因の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [101B080]←[国試_101]→[101B082]
[★]
- 労働形態と健康障害の組合せで正しいのはどれか。 2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [105D015]←[国試_105]→[105D017]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [097H078]←[国試_097]→[097H080]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [111G002]←[国試_111]→[111G004]
[★]
- 英
- fever of unknown origin FUO
- 同
- 原因不明熱
- 関
- 発熱、体温
- ジェネラリスト診療が上手になる本 p.9
定義
- 3週間以上の発熱。38.3℃以上、1週間の入院精査でも原因不明
鑑別疾患
3大疾患
- 1. 感染症(深部腫瘍、心内膜炎、結核、寄生虫、腸チフスなど)
- 2. 悪性疾患(悪性リンパ腫、白血病など)
- 3. 膠原病(血管炎、側頭動脈炎、成人still病など)
- 4. その他:薬剤性など
- ジェネラリスト診療が上手になる本 p.9
- (各種病原体)感染性心内膜炎、骨髄炎、伝染性単核球症、副鼻腔炎、齲歯
- (細菌)結核、腸チフス、リケッチア感染症
- (ウイルス)HIV感染症、サイトメガロウイルス感染症
- (真菌)ニューモシスチス肺炎、クリプトコッカス症
- (寄生虫)マラリア
- UCSF.44
- 感染症26%, 腫瘍13%, 非感染性炎症疾患24%
- 感染症:背臥位結核、心内膜炎、膿瘍(肝臓、脾臓、腎臓、後腹膜、骨、脳、耳、脊椎)、HIV感染症、サイトメガロウイルス感染症、カンジダ感染症、その他(尿路感染症、副鼻腔、骨髄炎)、入院患者(尿路感染、カテーテル感染症、偽膜性腸炎、褥瘡、蜂窩織炎)
- 腫瘍:悪性リンパ腫、白血病、腎細胞癌、肝癌、心房粘液腫、VAHS(ウイルス関連性血球貪食症候群)、LAHS(リンパ腫関連性血球貪食症候群)
- 非感染性炎症疾患:成人スティル病、SLE(全身性エリテマトーデス)、顕微鏡的多発血管炎(MPA)/多発性結節性動脈周囲炎(PN)/高安病、側頭動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、サルコイドーシス、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)
- その他:薬剤熱、詐熱、肺塞栓症/深部静脈血栓症、脊椎損傷/頭蓋内疾患、副腎機能不全/甲状腺機能亢進症、家族性地中海熱、組織球性壊死性リンパ節炎(菊地病)
- 感染症専門医テキスト 第1部 解説編 p.53
- 不明熱の最終診断
診断
|
診断診断例 n=192
|
早期診断例 n=67
|
中期診断例 n=38
|
後期診断例 n=87
|
感染症
|
|
57(29.7)
|
25(37.3)
|
12(31.6)
|
20(23.0)
|
細菌性
|
|
43
|
1.8
|
8
|
17
|
心内膜炎
|
11
|
9
|
1
|
1
|
結核
|
8
|
0
|
0
|
8
|
尿跨感染症(1)
|
6
|
3
|
1
|
2
|
腹腔内膿瘍
|
5
|
2
|
2
|
1
|
骨・関節感染
|
4
|
2
|
1
|
1
|
その他の細菌感染
|
9
|
2
|
3
|
4
|
ウイルス性
|
|
10
|
5
|
3
|
2
|
CMV
|
6
|
2
|
3
|
1
|
EpsteinーBarrウイルス
|
3
|
3
|
0
|
0
|
HIV
|
1
|
0
|
0
|
1
|
寄生虫性(2)
|
|
4
|
2
|
1
|
1
|
悪性新生物
|
|
29(15.1)
|
5(7.5)
|
6(15.8)
|
18(20.7)
|
血液疾患
|
|
22
|
2
|
6
|
14
|
非Hodgkinリンパ腫
|
9
|
0
|
2
|
7
|
Hodgkin病
|
5
|
1
|
1
|
3
|
白血病
|
6
|
0
|
3
|
3
|
血管免疫芽球性リンパ酔症
|
2
|
1
|
0
|
1
|
固形癌
|
|
7
|
3
|
0
|
4
|
腺癌
|
5
|
2
|
0
|
3
|
その他(3)
|
2
|
1
|
0
|
1
|
非感染性炎症性疾患
|
|
68(35.4)
|
22(32.8)
|
.6)
|
34(39.1)
|
結合織疾患
|
|
35
|
15
|
6
|
14
|
成人Still病
|
18
|
5
|
4
|
9
|
SLE
|
8
|
5
|
1
|
2
|
リウマチ性多発性筋痛症
|
3
|
3
|
0
|
0
|
関節リウマチ
|
2
|
0
|
0
|
2
|
Sjogren症候群
|
2
|
1
|
0
|
1
|
その他(4)
|
2
|
1
|
1
|
0
|
血管炎症候群
|
|
19
|
5
|
3
|
11
|
巨細胞性動脈炎
|
11
|
4
|
3
|
4
|
Wegener肉芽腫症
|
2
|
1
|
0
|
1
|
結節性多発性動脈炎
|
2
|
0
|
0
|
2
|
その他(5)
|
4
|
0
|
0
|
4
|
肉芽腫性疾患
|
|
14
|
2
|
3
|
9
|
サルコイドーシス
|
10
|
0
|
2
|
8
|
Crohn病
|
4
|
2
|
1
|
1
|
その他
|
|
39(18.1)
|
15(22.4)
|
8(21.1)
|
15(17.2)
|
亜急性甲状腺炎
|
6
|
3
|
1
|
2
|
Addison病
|
2
|
0
|
1
|
1
|
心筋梗塞後症候群
|
2
|
1
|
0
|
1
|
肺動脈塞栓症
|
2
|
1
|
0
|
1
|
習慣性高体温症
|
11
|
6
|
3
|
2
|
薬剤熱
|
4
|
3
|
0
|
1
|
詐熱
|
1
|
1
|
0
|
0
|
その他(6)
|
10
|
0
|
3
|
7
|
- 数値は症例数で( )内は比率. %表示
- 1) 膿瘍を除く実質感染
- 2) マラリア(2例)、ジアルジア症、トリパノソーマ症を含む
- 3) germinoma, hypernephromaを含む
- 4) Reiter症候群, 多発性筋炎を含む
- 5) Behcet病, Schönlein-Henoch紫斑病, Schnitzler症候群, 分類不能型血管炎を含む
- 6) Sweet症候群, 原発性硬化性胆管炎, アルコール性肝炎, 出血を伴う巨大肝血管腫, 間質性肺炎, 特発性胸膜心膜炎, 特発性好酸球増多症候群, リンパ節の炎症性偽腫瘍, 後腹膜線維症, 線状IgA水疱症
- (Vanderschueren S. Knockaert D. et al. : From prolonged febrile illness to fever of unknown origin: the challenge continues. Arch Intern Med. 2003 : 163 : 1033-1041)
診断
問診
- 既往歴、家族歴、職業歴、旅行歴、薬剤歴、sick contact、動物との接触、同性とのまたはハイリスクな性的接触の有無、現病歴と発熱パターン、輸血歴
診察
- リンパ節腫脹、肝脾腫、心雑音、圧痛
- 培養
- 胸部XP
- 抗核抗体,C3,C4,RF,赤沈
- 抗HIVコウタイ
- 皮膚生検
- ツベルクリン反応/クオンティフェロン
- 腹部エコー
- 造影CT
- 心エコー:心内膜炎を最も疑えば経食道心エコーを。
- ガリウムシンチ
- 骨髄生検
- 腰椎穿刺
- 頭部CT
- 大腸ファイバー
- 肝生検
[★]
- 英
- heatstroke, thermic fever, heat apoplexy, heat hyperpyrexia
- 同
うつ熱症 heat retention、日射病? sun stroke?
- 関
- 熱中症
- 熱中症のなかで最重症型
- 臓器障害を来しうる。
- 病型:
- 冷却:体温が38℃以下になるまで速やかに冷却 ← 38℃以下に冷やすと、冷やしすぎるため、らしい。持続的に冷却し深部体温が38℃に達する頃には体表温度はもっと下がっており、やがて深部と平衡に達して適切な体温に達する、のかもしれない。
- 外部冷却:氷嚢による鼠径部、腋窩、上胸部、頚部の冷却。冷水吹きつけによる蒸発冷却
- 内部冷却:胃、膀胱、直腸の冷水による洗浄
[★]
- 英
- nontraumatic medical problem in sports
[★]
- 英
- exertional heat stroke
- 同
- 労作性熱射病、運動性熱射病
- 関
- 熱中症
[show details]
[★]
- 英
- heat cramp, thermal cramp
- 同
- 熱けいれん、熱痙攣症
- 関
- 熱中症、熱ストレス、熱ストレス疾患
- 塩類の喪失と低浸透圧血症により、筋肉がけいれんする。
- けいれんは典型的には大きな筋肉に起こる(体幹筋<四肢筋)
- 治療に点滴は不要。経口補液でok。
[★]
- 英
- sis, pathy
[★]
- 英
- enthusiasm
- 関
- 熱意