- 英
- respiratory syncytial virus, RS virus, RSV
- 同
- 呼吸器性シンシチウムウイルス respiratory syncytialウイルス、chimpanzee coryza agent
- 関
- ウイルス
特徴
ウイルス学
感染症
- 小児や成人では鼻かぜ程度であるが、1歳未満の乳幼児では発熱を伴う上気道炎のほかに気管支炎や気管支肺炎を起こす。
WordNet
- the 18th letter of the Roman alphabet (同)r
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RSウイルス(英: respiratory syncytial virus)は、パラミクソウイルス科に属するRNAウイルスの一種。
遺伝子配列は決定されていて、A型とB型の2つの型に分類できる。ウイルス株間での差違は大きい。
環境中では比較的弱いウイルスで、凍結からの融解、55°C以上の加熱、界面活性剤、エーテル、次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系消毒薬などで速やかに不活化される[1]。
目次
- 1 臨床像
- 2 診断
- 3 治療
- 4 脚注
- 5 関連項目
- 6 外部リンク
臨床像
RSウイルスは、成人で免疫不全の有る場合や乳幼児では劇症化し気管支炎・肺炎などの原因になることもある。感染症法でRSウイルス感染症は五類感染症(定点把握)とされている。感染により発症する宿主は、ヒト、チンパンジー、ウシで、無症状のヤギなどからも分離される。
日本では、11月から1月にかけて冬期の流行が多く報告され、熱帯地域では雨期の流行が多いとされている。乳幼児の肺炎の約50%、細気管支炎の50〜90%を占めるとの報告がある[1]。1歳までに50〜70%以上の新生児が罹患し、その1/3が下気道疾患を起こすと報告されていて、3歳までにほぼ全ての小児が抗体を獲得する[1]。母親からの抗体では、感染が防げない。くり返し感染発症しながら徐々に免疫を獲得する[2]ので再発しやすく、徐々に軽症化する。
生後4週未満では感染頻度は低いが、感染し発症した場合に呼吸器症状を伴わない非定型の症状となることも多く、誤診および発見の遅れにいつながることがある。更に生後4週未満では、突然死(乳幼児突然死症候群)につながる無呼吸が起きやすいことも報告されており、注意が必要である。生後6ヶ月以内で最も重症化するといわれる。1歳以下では中耳炎の合併もみられる。発熱、鼻汁、咳など上気道炎症状の後、細気管支炎や肺炎などの下気道症状が出現してくることがある。
感染力および増殖力は強く、飛沫と接触感染の両方で感染し、発症前の潜伏期にも周囲の人を感染させる。小児は症状が消えてから1〜3週間後も感染力を失わない[2]。このため保育園や学校、病院の入院病棟、老人ホーム、家庭内などでの集団感染へつながりやすい。治療薬も存在しないため通常は症状抑制や栄養補給などの支援療法しかなく(ただし米国ではC型肝炎向けの抗ウイルス製剤が吸引薬として認可されている)、院内での集団感染においてはコホーティングや遠隔個室移送などの隔離策が採られる。眼および鼻などの粘膜からも感染すると考えられていて、通常の鼻と口を覆うマスクでは効果はないとされている[1]。
以上の特性から、患者とともにいる家族や医療従事者や園児、生徒らのうち、スキンシップや付近同席や看病など、患者への至近接近や同室、接触があった者およびその時間の長かった者が、重度の気管支炎やインフルエンザ様症状をおこすことがある。これは医学的常識として、キャリア本人の病原となる病原数よりも、咳などで随時まき散らされる(キャリア体内で増殖した=随時生産された)病原数のほうが時間に比例して増加していくため同室内では次第に多くなっていくためであり、これが施設内集団感染へつながり[1]、これは機密性の高い密室および施設で空調が効いているような環境では顕著である。ゆえに通常の屋外での空気感染では学童以上、青年や成人がたとえ発症しても通常感冒のみにとどまる。
- 2〜5日の潜伏期の後、39°C程度の発熱、鼻水、咳など
- 通常1〜2週間で軽快
- 呼吸困難等のために0.5〜2%で入院が必要(酸素補給、気管拡張、点滴などで支援)
診断
病原体診断は呼吸器分泌物より、PCR法による遺伝子検出か免疫クロマトグラフィー法などによりウイルス抗原を検出する。しかし、年長児の再感染では有意な検査結果を得られない場合もある。
日本では「チェックRSV」「ラピッドテスタRSV-アデノ」などの免疫クロマトグラフィー法を用いた迅速診断キットが実用化されている。
日本におけるRSウイルス感染症患者の報告数は、2011年9月までは入院患者のみが迅速診断キットの保険適用対象となっていたが、2011年10月以降は外来患者も保険適用の対象となったため[3]、それ以前の報告患者数は感染の実態を正確に反映していない[4]。
治療
対症療法が主体となるが以下の分子標的治療薬の一つで抗ウイルス薬がある。
- パリビズマブ palivizumab(Synagis シナジス®)
脚注
- ^ a b c d e RSウイルス感染症 国立感染症研究所感染症情報センター
- ^ a b RSウイルスによる気道感染症およびパリビズマブ(シナジス)について 横浜市衛生研究所 感染症・疫学情報課
- ^ IDWR 2012年第34号<注目すべき感染症>RSウイルス感染症 国立感染症研究所
- ^ 13週連続で過去5年間の最高値を更新 RSウイルス感染症が早くも流行中 日経メディカルオンライン 記事:2008年10月17日 閲覧:2012年12月13日
関連項目
- 感染症法 - 5類感染症定点把握疾患
- 牛RSウイルス病
外部リンク
- RSウイルス感染症 厚生労働省
- RSウイルス感染症 愛知県衛生研究所
- RSウイルス情報サイト RSVinfo.net 都道府県別感染最新情報
日本の感染症法における感染症 |
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一類感染症 |
エボラ出血熱 - クリミア・コンゴ出血熱 - 痘そう - 南米出血熱 - ペスト - マールブルグ病 - ラッサ熱
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二類感染症 |
急性灰白髄炎 - 結核 - ジフテリア - 重症急性呼吸器症候群(病原体がコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る) - 鳥インフルエンザ(H5N1)
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三類感染症 |
コレラ - 細菌性赤痢 - 腸管出血性大腸菌感染症 - 腸チフス - パラチフス
|
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四類感染症 |
E型肝炎 - ウエストナイル熱 - A型肝炎 - エキノコックス症 - 黄熱 - オウム病 - オムスク出血熱 - 回帰熱 - キャサヌル森林病 - Q熱 - 狂犬病 - コクシジオイデス症 - サル痘 - 腎症候性出血熱 - 西部ウマ脳炎 - ダニ媒介脳炎 - 炭疽 - チクングニア熱 - つつが虫病 - デング熱 - 東部ウマ脳炎 - 鳥インフルエンザ(鳥インフルエンザ(H5N1)を除く) - ニパウイルス感染症 - 日本紅斑熱 - 日本脳炎 - ハンタウイルス - Bウイルス病 - 鼻疽 - ブルセラ症 - ベネズエラウマ脳炎 - ヘンドラウイルス感染症 - 発しんチフス - ボツリヌス症 - マラリア - 野兎病 - ライム病 - リッサウイルス感染症 - リフトバレー熱 - 類鼻疽 - レジオネラ症 - レプトスピラ症 - ロッキー山紅斑熱 - 重症熱性血小板減少症候群(病原体がフレボウイルス属SFTSウイルスであるものに限る)
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五類感染症 |
アメーバ赤痢 - ウイルス性肝炎(E型肝炎及びA型肝炎を除く) - 急性脳炎(ウエストナイル脳炎、西部ウマ脳炎、ダニ媒介脳炎、東部ウマ脳炎、日本脳炎、ベネズエラウマ脳炎及びリフトバレー熱を除く) - クリプトスポリジウム症 - クロイツフェルト・ヤコブ病 - 劇症型溶血性レンサ球菌感染症 - 後天性免疫不全症候群 - ジアルジア症 - 先天性風しん症候群 - 梅毒 - 破傷風 - バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症 - バンコマイシン耐性腸球菌感染症 - 風しん - 麻しん - 侵襲性インフルエンザ菌感染症 - 侵襲性髄膜炎菌感染症 - 侵襲性肺炎球菌感染症 - RSウイルス感染症 - 咽頭結膜熱 - A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 - 感染性胃腸炎 - 水痘 - 手足口病 - 伝染性紅斑 - 突発性発しん - 百日咳 - ヘルパンギーナ - 流行性耳下腺炎 - インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く) - 急性出血性結膜炎 - 流行性角結膜炎 - 性器クラミジア感染症 - 性器ヘルペスウイルス感染症 - 尖圭コンジローマ - 淋菌感染症 - クラミジア肺炎(オウム病を除く) - 細菌性髄膜炎 - マイコプラズマ肺炎 - 無菌性髄膜炎 - ペニシリン耐性肺炎球菌感染症 - メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症 - 薬剤耐性アシネトバクター感染症 - 薬剤耐性緑膿菌感染症
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気道感染 |
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上気道 |
風邪
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ライノウイルス - アデノウイルス - パラインフルエンザウイルス - RSウイルス - コロナウイルス - エコーウイルス - エンテロウイルス
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喉頭炎
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急性喉頭蓋炎 - クループ
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咽頭炎
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下気道 |
急性細気管支炎
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肺炎 |
原因
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定型肺炎
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グラム陽性
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肺炎球菌 - 黄色ブドウ球菌
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グラム陰性
|
肺炎桿菌 - インフルエンザ菌 - モラクセラ - 大腸菌 - 緑膿菌
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|
非定型肺炎
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ウイルス性
|
RSウイルス - インフルエンザ肺炎 - 重症急性呼吸器症候群
|
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肺真菌症
|
ニューモシスチス肺炎 - クリプトコッカス症 - アスペルギルス症
|
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レジオネラ菌 - マイコプラズマ - クラミジア肺炎 - オウム病
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抗酸菌症
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結核 - 非結核性抗酸菌症
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機序
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市中肺炎 - 院内肺炎 - 誤嚥性肺炎
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病態
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肺胞性肺炎
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大葉性肺炎 - 気管支肺炎
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化膿性肺炎
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胸壁 |
膿胸
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- RSウイルス感染症 (特集 小児感染症2011 : 今どうなっているの?小児の感染症) -- (小児で問題となる感染症,ガイドラインからみた診断と治療のポイントは?)
- RSV Medical Discussion パリビズマブ投与における一般産婦人科医への情報提供 「産婦人科診療ガイドライン--産科編」にRSウイルス感染症に関する項目が追加
- 臨床研究・症例報告 乳児の急性細気管支炎とその後の反復性喘鳴の関連
Related Links
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- 2007年1月24日 ... RS「アール・エス」 ウイルス(respiratory syncytial virus: RSV)は、乳児急性気道感染 症(細気管支炎、肺炎など)の主な原因ウイルスです。名前の由来は、呼吸器( respiratory tract)感染症患者から分離され、感染細胞が多核巨細胞つまり合 ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 5か月の乳児。5日前から鼻水と咳とが続いていたが、発熱はなく、元気もよかった。昨日夕方から咳がひどくなり、呼吸がゼーゼーと苦しそうになってきたので来院した。体温37.2℃。呼吸数56/分。呼吸困難があり、口唇に軽度のチアノーゼを認める。胸部聴診で、呼気の延長、喘鳴およびわずかなcoarse crackles(湿性ラ音)を聴取する。白血球8,700。CRP0.9mg/dl(基準0.3以下),動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH7.35、PaO2 45Torr、PaCO2 48Torr。胸部エックス線写真は、軽度肺気腫像を示す。原因として最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [096A011]←[国試_096]→[096A013]
[★]
- 2か月の乳児。喘鳴を主訴に母親に連れられて来院した。在胎 39週3日、体重 2,750gで出生した。出生直後から啼泣時に軽度の喘鳴を認めていたが、その後、安静時にも喘鳴を認めるようになった。2日前から哺乳時に喘鳴が増強し哺乳量が低下したという。体重 4,560g。体温 36.6℃。心拍数 110/分、整。呼吸数 36/分。SpO2 98%(room air)。胸骨上窩に陥没呼吸を認め、吸気時に喘鳴を認める。RSウイルス抗原迅速検査は陰性であった。胸部エックス線写真で異常を認めない。
- 可能性が高い疾患はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114F045]←[国試_114]→[114F047]
[★]
- 10歳の女児。咳と発熱とを主訴に来院した。7日前から咳嗽が出現し、次第に増強している。4日前から38℃台の熱が続き、市販の感冒薬を服用している。本日、躯幹に発疹が出てきた。咽頭は軽度の発赤を認める。口腔粘膜に異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。
- 病原体として考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [103I062]←[国試_103]→[103I064]
[★]
- 成人の病態と関連性が強いウイルスとの組合せで正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110D002]←[国試_110]→[110D004]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [106D019]←[国試_106]→[106D021]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [096H016]←[国試_096]→[096H018]
[★]
- 発疹がみられる小児のウイルス感染症の病原体はどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [104I025]←[国試_104]→[104I027]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [100B068]←[国試_100]→[100B070]
[★]
- (1) RSウイルスが病因となる
- (2) 2-3歳児に好発する
- (3) 吸気性呼吸困難がみられる
- (4) 胸部X線写真で両肺の透過性亢進が見られる
- (5) 加湿酸素吸入が有効である
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[★]
- 4ヶ月の乳児の呼吸器感染症の病原微生物として多いのはどれか?
[★]
- 学童の肺炎の病原体として最も頻度が高いものはどれか
[★]
- 英
- myocarditis
- 関
概念
- 種々の原因により心筋が局所的・びまん性に炎症性が生じた病態
分類
経過
病理学的
- (特発性)巨細胞性心筋炎:心筋生検あるいは剖検による組織学的検索で、炎症巣に多核巨細胞を認める場合で、なおかつ心臓サルコイドーシスが除外されるもの。好酸球とリンパ球の浸潤が強く、心筋壊死が高度である。
- 好酸球性心筋炎:心筋生検にて好酸球の浸潤・脱顆粒、心筋の破壊、末梢血における好酸球の増加が認められるもの。
類縁疾患
年齢
ガイドラインによる分類
病因分類
|
組織分類
|
臨床病型分類
|
ウイルス
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リンパ球性
|
急性
|
細菌
|
巨細胞性
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劇症型
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真菌
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好酸球性
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慢性(遷延性/不顕性)
|
リケッチア
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肉芽腫性
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|
スピロヘータ
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原虫,寄生虫
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その他の感染症
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薬物,化学物質
|
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|
アレルギー,自己免疫
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膠原病,川崎病
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サルコイドーシス
|
|
|
放射線,熱射病
|
|
|
原因不明,特発性
|
|
|
疫学
病因
- 参考1より
YN.C-137
- ウイルス(コクサッキーB、エコーウイルス、ヘルペスウイルス。風疹ウイルス、ムンプスウイルス、インフルエンザウイルスでも生じる)、細菌、心筋、原虫(シャーガス病)。
- 化学物質、放射線、膠原病、特発性
病理
- 実質性心筋炎 parenchymatous myocarditisと間質性心筋炎 interstitial myocarditisの像がみられる。
- 心筋細胞の融解、間質浮腫、円形細胞浸潤、壊死巣形成
病態
- ウイルス性の場合、免疫反応に基づき心筋を障害する。
- 薬剤性の場合は、薬剤による心筋障害
- 心筋の障害 → 伝導障害、不整脈、心不全、ショック
経過
- 急性の場合、かぜ症状や消化器症状に続発。これらの初発症状から数時間から数日で心症状が出現(YN.C-137)。
身体所見
心臓
- (重症の場合)muffled first heart sound, along with a third heart sound (HIM.1486)
- (心不全に至れば)奔馬調律(gallop rhythm) (YN.C-138)
- 心雑音:(重症の場合)a murmur of mitral regurgitation (HIM.1486)
- 心膜摩擦音:心膜炎を伴った場合に聴取
肺
症状
検査
- 心電図、心エコー所見、単純胸部X線写真、及び症状がが短時間に変化していくのはacute myocarditisを示唆(IMD)
- 心電図:(特異的な変化はない)非特異的ST-T変化、QRS低電位、異常Q、ST上昇(心膜炎があれば)、心室内伝導障害、房室ブロック
- 血液検査:心筋障害、炎症を示唆する様な結果
- CK-MB、LDH、AST上昇、CRP陽性、ESR亢進、WBC増加
- ウイルス学的検査:
- 心エコー:壁運動低下、(間質に浮腫が認められれば)壁肥厚、心室腔拡大(心不全)、心嚢液貯留(心膜炎)
- 心筋生検:心臓への炎症細胞の浸潤。
- 好酸球増加性心疾患による心筋炎:急性期に心内膜を中心とした好酸球の浸潤:*自己免疫疾患(劇症型心筋炎、重症筋無力症、潰瘍性大腸炎など)による心筋炎:多核巨細胞の出現
- 核医学検査:67Ga,99Tc-ピロリン酸の心臓への集積。
診断
鑑別疾患
- 心筋梗塞
- 甲状腺機能低下症、心筋障害を伴うミオパチー
- 膠原病
- (慢性心筋症の鑑別)拡張型心筋症
治療
- ウイルス性心筋炎では根治療法がなく、対症療法にとどまる。
- 不整脈:(完全房室ブロック)体外式一時ペーシング、(頻脈性不整脈)除細動・抗不整脈薬
- 心不全:SGカテーテルで血行動態を見ながら、利尿薬、血管拡張薬、カテコラミンを使用する。
- 重症心不全・ショック:経皮的心肺補助(PCPS)、大動脈内バルーンパンピング(IABP)
- ステロイド、免疫グロブリン:考慮されることがあるがエビデンスなし。
予後
- 急性型は予後良好であるが、劇症型心筋炎、拡張型心筋症にいたる場合もある。
参考
- 1. 急性および慢性心筋炎の診断・治療に関するガイドライン - 日本循環器学会
[★]
- 英
- vaccine
- 関
- 予防接種 immunization、感染症、感染症予防法、シードロット・システム。immunization
種類
副反応
風疹ワクチン
おたふくかぜワクチン
- 2-3週間後、まれに、発熱、耳下腺腫脹、咳、鼻水
- MMRの際に無菌性髄膜炎が数千人に一人
- 髄膜炎の症状:発熱、頭痛、嘔吐
学校伝染病、予防接種、ワクチン (学校伝染病、予防接種、ワクチン.xls)
日本で使われているワクチン
その他マイナーなワクチン
- 1ヶ月に1回、6ヶ月続けて。
- 適応は低体重児と免疫不全児だった気がする
接種間隔
参考
- 1. 国立感染症研究所 感染症情報センター:予防接種のページ
- http://idsc.nih.go.jp/vaccine/vaccine-j.html
- 2. 日本で接種可能なワクチンの種類 - 国立感染症研究所
- http://idsc.nih.go.jp/vaccine/atopics/atpcs003.html
[★]
- 英
- pneumonia pneumonitis
- 関
疫学
- 日本の肺炎の受療率は人口10万対3、死亡率は人口10万対7。死因順位は第4位である。
- 受療率・罹患率共に高齢になるに従い急激に増加し、85歳以上の男性では死因第2位、90歳以上の男性では死因第1位となる(ガイドライン1)。
- 死亡者の95%以上が高齢者である。
- 年代と病原体
日本における肺炎の年齢階級別受療率と死亡率(人口10 万対,2002 年)
- ガイドライン1 2004 年「国民衛生の動向」 改変
|
年齢階級
|
総数
|
15~
|
25~
|
35~
|
45~
|
55~
|
65~
|
75~
|
85~
|
90~
|
19
|
29
|
39
|
49
|
59
|
69
|
79
|
89
|
|
受療率
|
外来
|
6
|
3
|
4
|
3
|
3
|
6
|
7
|
14
|
21
|
21
|
入院
|
19
|
2
|
3
|
2
|
3
|
7
|
21
|
86
|
309
|
489
|
死亡率
|
男性
|
76.4
|
0.5
|
0.5
|
1.5
|
4.6
|
15.2
|
69.2
|
339
|
2087
|
4317
|
女性
|
62.7
|
0.3
|
0.5
|
0.9
|
1.9
|
5.6
|
22.4
|
144
|
934
|
2291
|
総数
|
69.4
|
0.4
|
0.5
|
1.2
|
3.2
|
10.3
|
44.6
|
249
|
1291
|
2787
|
分類
発症の場
原因
病理
- 上気道から連続的に下気道へ、あるいは、直接下気道に及んでいる。炎症は上皮に包まれた管腔内
肺炎の比較
ガイドライン
[★]
- 英
- cold syndrome, common cold syndrome
- 同
- 上気道症候群 upper airway syndrome、急性上気道炎 acute upper respiratory tract infection
- 関
概念
- 上気道粘膜の急性カタル性炎症(急性カタル性上気道炎)の総称
- 急性鼻炎や咽頭炎を呈し、全身症状は軽微。
- 予後良好、2-5日で軽快し予後は良好。
病因
-
- 環境要因:個体条件(アレルギー、免疫不全、脱水、疲労、飲酒など)、物理化学的刺激(乾燥、寒冷)
疫学
- 多くの人が1年に1回以上罹患。冬期に多い。
- 小児において罹患回数が多い → 成人になると記憶T細胞、記憶B細胞が増加するため、なんとなくウイルスに対して抵抗性が付与される、はず。
病理
- ウイルスの場合、上気道粘膜に付着して、粘膜上皮を冒す。上気道線毛円柱上皮(呼吸上皮)に付着し、上皮細胞は変性・脱落・壊死する。上皮を失った部位から細菌が侵入しやすくなる。
病型
症状
- 鼻かぜ:鼻汁、鼻閉などの鼻症状が主体
- のどかぜ:咽頭痛、嗄声など咽頭症状が主体
- 気管支かぜ:咳、痰などの気管支症状が主体
共通の症状
- まず、鼻炎症状が緩徐に発現し、鼻咽頭不快感・乾燥感、くしゃみ、鼻閉、水様鼻汁を呈する。
病原体に特異的な症状
診断
- 臨床的診断
- 検査はほとんどの場合行わないが、インフルエンザ、溶連菌などを鑑別する場合には迅速診断キットを使う。 → つかえる迅速診断キットがあればのはなし
検査
- 血液検査:ウイルス感染の場合、WBCやCRPは動かないが、細菌感染があれば上昇する。
- ウイルス分離は一般臨床では行われない。 → 高コストだし、培養している内に治癒する。
- 血清抗体価測定ではペア血清で 4 倍以上の上昇で陽性とする。 → 高コストだし、ペア血清を取った時点で治癒する。
- 細菌感染を疑ったら、喀痰検査(培養は時間がかかるので検鏡でしょう?)、血液検査(血算)のちに、培養して薬物感受性検査を行う(けど時間がどのくらいかかるのやら)
治療
- 一般療法(安静、保温・保湿、栄養補給、脱水予防、入浴制限)
- 対症療法:解熱・鎮痛薬、非ステロイド性抗炎症薬、蛋白分解酵素製剤、含嗽薬、鎮咳去痰薬、抗ヒスタミン薬
- 細菌感染が疑われるときのみ、抗生物質を使用する。予防的に使うのはいかがな最中
予後
予防
- RSウイルス:適応が限られるが、ワクチンを使うことができる。
[★]
- 英
- coronavirus
- 同
- ヒト呼吸器コロナウイルス, human respiratory coronavirus, HRCV
- 関
- SARSコロナウイルス、ウイルス、SARS-CoV-2
- ニドウイルス目 Nidovirales コロナウイルス科 Coronaviridae コロナウイルス属に所属するウイルスである。
- コロナウイルスは直径80-160nmのエンベロープに包まれたウイルス(粒子)である。
- ウイルス粒子の表面には12-24nmのスパイク(ペプロマー peplomer)の突起を有しており、これが太陽のコロナに似ることからコロナウイルスと命名されている。
- ゲノムは一本鎖のプラス鎖であり、5'末端にcap構造、3'末端にpoly A構造を有している。
- ゲノムRNAの大きさは、6~9x10^6 Daであり、20-30kbの大きさを有する。
- ゲノムRNAはカプシドと結合してらせん対称のヌクレオカプシドをなしており、エンベロープ下に配置されている。
- ウイルス粒子の密度は1.15~1.18g/cm3程度である。
- ゲノムRNAはウイルスRNAポリメラーゼにより感染細胞中でマイナス鎖RNAに転写され、それを鋳型に3'末端が揃った複数のmRNAが合成される。
- 脂質二重膜上にはスパイク(S)、膜(M)などの蛋白質が存在する。種よっては血球凝集素・エステラーゼ(hemagglutinin-erastase, HE)も存在する(OC43株など)。
- S蛋白とHE蛋白が中和に関する主な抗原決定基となりうる
- ヒトには鼻かぜを起こし、その他の動物にも感染しうる;マウス(マウス肝炎ウイルス, mouse hepatitis virus, MHV)、ラット、イヌ、ウシ、鳥類(ニワトリ伝染性気管支炎ウイルス, avian infectious bronchitis virus, AIV)。
- ヒト呼吸器コロナウイルス human respiratory coronavirus HRCVには229E株とOC43株が代表的なものである。OC43株は赤血球凝固能を有する。
- ヒトに風邪症状を引きおこすウイルスは、αコロナウイルスの22E株、NL63株、βコロナウイルスのOC43株、HKU1株であり、これら4種類が風邪の原因の10-15%を占める(流行期35%)。
- コロナウイルスには4種の血清型を有しており、αコロナウイルス(I群)には229E株・NL63株・ブタ伝染性胃腸炎ウイルス、βコロナウイルス(II群)にはOC32株・HKU1株・・マウス肝炎ウイルス、γコロナウイルス(III群)にはニワトリ伝染性気管支炎ウイルス、δコロナウイルス(IV群)には七面鳥コロナウイルスが属する。
- 2002年11月に中国で始まり、2003年に世界に広まったsevere acute respiratory syndrome SARSの原因ウイルスであるSARSコロナウイルスは遺伝的にこれまでのいずれのコロナウイルスとも抗原性が異なる。現在ではβコロナウイルスに属するとされている。
- 2012年中東で流行したMERSコロナウイルスはもβコロナウイルス属に所属する。
- 致死率はいずれも高くSARSコロナウイルス感染症は10%、MERSコロナウイルス感染症は30%とされる。
- 2019年末から2020年初頭に中国で始まり世界に広まった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因ウイルス SARS-CoV-2はβコロナウイルスに属する。
コロナウイルス感染症の特徴
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- 英
- SARS virus
- 関
- SARSコロナウイルス、SARS関連コロナウイルス
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- 英
- respiratory syncytial virus vaccine
- →パリビズマブ
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- 英
- bovine respiratory syncytial virus
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- 英
- virus
- 同
- ウイルス粒子 virus particle、ビリオン virion
- 関
- 微生物学、抗ウイルス薬、国試に出がちなウイルス
感染経路による分類 SMB.374
学名
目(order, -virales), 科(family, -viridae), 亜科(subfamily, -virinae), 属(genus, -virus), 種(species)
増殖過程
- 吸着 absorption
- 侵入 penetration
- 脱殻 uncoating
- ゲノムの複製 replication、遺伝子発現 transcription
- ウイルス粒子の組み立て assembly
- 放出 release
感染の分類
持続時間
ゲノム
- 一本鎖RNA(-)をゲノムとするウイルスはウイルス粒子内にRNA依存性RNA合成酵素を有する。
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