- 英
- cholelithiasis, gallstone disease
- 関
- 胆石 gallstone
原因の分類
疫学
症状
- 胆石発作 食後などに急激な腹痛発作
- 腹痛、発熱、黄疸
- 半数以上は症状がない
検査
治療
治療のモダリティー
胆嚢結石
- 症状が無ければ経過観察
- 症状がある場合には、腹腔鏡下胆嚢摘出術が第一選択となる。ウルソデオキシコール酸による結石溶解や体外衝撃波結石破砕術(ESWL)も選択肢であるが、再発率が高い。
胆管結石
- 手術適応である。非侵襲的な手法として、内視鏡的乳頭括約筋切開術と内視鏡的除石術が行われる。
合併症
WordNet
- a calculus formed in the gall bladder or its ducts (同)bilestone
PrepTutorEJDIC
- 胆石
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/10/01 14:50:46」(JST)
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胆石(たんせき、英: Gallstone)は、肝臓から分泌される、胆汁の成分が固まって胆嚢内・胆管内に溜まったもの。
胆嚢炎などは、ほとんど、胆石が原因である。胆石の成分によって何種類かあり、色も形も多様である。
目次
- 1 歴史
- 2 疫学
- 3 名称
- 4 種類
- 5 要因
- 6 臨床像
- 7 検査
- 8 治療
- 8.1 薬物治療
- 8.2 内視鏡治療
- 8.3 手術治療
- 8.4 超音波破砕治療
- 9 動物における胆石
- 10 関連項目
|
歴史
「胆石」の名前の由来は、固まった胆汁が結石のような物だったため、胆石と付けられている。胆石は古来の欧州から、非常に流行していた病気とされ、紀元前1500~1600年頃のミイラから胆石が発見されている。
疫学
女性、肥満、中高年・高TG血症に多いとされ、経口避妊薬内服・急激なダイエットにも多いことが報告されている。また、胆石を保持している人の大半は、症状の無い無症状胆石で、人間ドックで発見されることも多く、胆石症の症状を起こす人は1~3%と言われている。また胆石が明らかな胆嚢癌を生じやすいという証拠はないが、胆嚢癌では高率に胆石が認められる。
名称
胆石の出来る場所によって正式には以下の通り称される。
- 胆嚢結石:胆嚢に出来る胆石
- 総胆管結石:総胆管に出来る結石
- 肝内胆石:肝内胆管に出来る結石
診療において、上記は単に名称の違いだけではなく、それぞれ治療方法が異なってくるため使い分けられている。
種類
胆石にはそれぞれ種類があり、成分によって異なり主に以下の3種類に類別される。
- 主に70%以上がコレステロールを主成分とした胆石。脂肪分の多い物、カロリーの高い食事等で出来やすいとされている。石灰化結石が多い。
- ビリルビンを主成分とし、胆道系に感染を生じることで出来る結石。総胆管結石に多い。
- ビリルビンを主成分とし、感染していない胆嚢内に生じる。
日本では、カロリーの少ない食事が主流だったため、コレステロール石の患者はほとんど存在しなかったが、近年増加傾向にある。なお、飲酒する人の胆石保有率は低いという報告もある。
-
-
様々な胆石
(黄色いものがコレステロール結石、その他はビリルビンカルシウム結石)
-
要因
胆石が形成される大きな要因の一つとして胆嚢収縮機能の低下が挙げられる。また、胆汁の中のコレステロールが上昇することも胆石の形成に関係している。このコレステロールの上昇に関しては、レシチンと胆汁酸のバランスが悪くなり、胆汁の粘張度が高くなり、うっ滞もしくは感染等によって凝集を起こした胆汁が、胆嚢・胆管で固まって結石となるためとされている。なお、胆汁にはもともとコレステロールが多く含まれているものの、通常脂溶性である胆汁は、レシチンと胆汁酸の作用によって固まらず、液体のまま十二指腸に送られている。
臨床像
多くは無症状保持の場合が多いが、胆石そのものの徴候(胆石発作)と、感染を伴う胆嚢炎・胆管炎の徴候としては以下がある。
症状
主な症状は、以下の通りである。
- 主にみぞおちの痛みや右脇腹の痛み、そのほかに背中の痛みや張り、腰痛、肩凝り等が生じることもある。また、痛みの部位から、狭心症の痛みや、胃潰瘍の痛みと鑑別を必要とする。非常に強い痛みを伴うことが多い。
- 吐気や嘔吐を伴うことが多い。
- 胆嚢や胆管が炎症を起こすと、発熱を生じる。
所見
- 多くの場合に認められる。
- 胆管で肝臓から流れ込む胆汁が胆石によって、黄疸症状を引き起こすことがある。黄疸症状は胆管結石に多く、黄疸によって尿の色が濃くなることもある。
検査
診断には以下の検査がある。
- 最も簡便かつ確実な検査方法。超音波検査は微小の病変描出に優れており、非常に有用な検査方法。ただ胆管内に出来た胆石は、超音波ではうまく描出出来ないこともある。
- 胆管・胆嚢の結石の有無構造的に描出する。微小の結石に関しては診断困難なこともある。
- 胆嚢・胆管結石の有無を3D立体構築画像として診断できる検査として汎用されている。
- 主に胆石の治療において行われる検査・処置。
- 無症状の胆嚢結石の場合血液検査にて異常値を示すことはほとんどないが、胆管結石の場合は肝・胆道系酵素(AST、ALT、ALP、γ-GTP)やビリルビン値が上昇傾向を示す。また、胆嚢結石においても胆嚢炎等の感染を伴う場合も上昇傾向を示す。
治療
胆石が体内に存在していても、痛みや症状を伴わず、日常生活に支障を来たさないことも多く、症状の無い場合には、特に治療をせず基本的に経過観察で問題ない。しかし、胆石発作や胆嚢炎・胆管炎を生じうる場合には以下の治療を必要としてくる。
薬物治療
ウルソデオキシコール酸(UDCA)を主成分とする経口胆石溶解剤を内服することで、胆汁の流れをよくし胆石を溶かす効果を期待する。しかし、基本的に胆石の完全除去はほとんど無いため予防的に処方されることが多い。
内視鏡治療
一般に、胆嚢炎・胆管炎等の感染を伴う場合や、総胆管結石等の治療に行われる。ERCPの項目を参照。
手術治療
胆嚢摘出術は胆石症の原因である胆嚢を摘出する手術で、最も根治的な胆石症の治療法である。近年では腹腔鏡下で行う手術が多くなってきている。
胆嚢の機能は胆汁を一時的に蓄えるだけで、術後も胆汁は肝臓で作られ消化機能に影響がないため、手術により胆嚢を失っても日常生活に支障はないが、油脂を採り過ぎると下痢をしやすい体質になる可能性がある。
超音波破砕治療
体外衝撃波胆石破砕術(Extracorporeal shock wave lithotripsy|ESWL)と呼ばれ、体外から高周波の衝撃波を当てることにより、胆石を砕く治療法。
侵襲が少なく患者への負担が軽い治療ではあるが、適応が「純コレステロール胆嚢結石」のみであり、日本人の多くのコレステロール胆石が石灰化混合胆石で他の胆石に対しては治療適応が無く、また胆石を除去するのではなく粉砕し自然排石を期待する治療で再発が多い。そのため、行う施設が少ない。また、胆嚢炎を生じた場合、胆嚢が肥大化し胆嚢壁が薄くなり、衝撃波を当てると胆嚢壁が破れる危険性があるため、この治療法を施すことはできない。
動物における胆石
犬では臨床上問題となる胆石の大部分はビリルビンとカルシウムを主体とする胆汁色素系胆石である。慢性経過では特徴的な症状を示さないことが多い。胆管内に胆石が存在すると疼痛を示す。
関連項目
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ウィキメディア・コモンズには、胆石に関連するカテゴリがあります。 |
- 牛黄 - ウシの胆石。漢方薬に使用される。
- 尿路結石
- 膀胱結石
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 胆石症の手術入院を契機として診断されたインスリノーマの1例
- 高橋 憲史,大矢 敏裕,松本 広志,多胡 賢一,清水 尚,沼賀 有紀,家里 裕,横森 忠紘,竹吉 泉
- The Kitakanto medical journal 61(1), 63-68, 2011-02-01
- … 症例は69歳女性で, 2008年4月, 検診の上部消化管造影検査で胆石症を指摘され, 小千谷総合病院消化器科を受診した. …
- NAID 120002789399
- 胆石症の手術入院を契機として診断されたインスリノーマの1例
- 高橋 憲史,大矢 敏裕,松本 広志,多胡 賢一,清水 尚,沼賀 有紀,家里 裕,横森 忠紘,竹吉 泉
- 北関東医学 61(1), 63-68, 2011
- … 症例は69歳女性で, 2008年4月, 検診の上部消化管造影検査で胆石症を指摘され, 小千谷総合病院消化器科を受診した. …
- NAID 130000677719
Related Links
- gooヘルスケア 家庭の医学。胆石症。どんな病気か 蛋白質や脂質の消化・吸収を助ける 胆汁は、肝臓で生成され、肝内胆管や胆管をへて、胆嚢管(たんのうかん)から胆嚢に 流れ込み貯蔵されます。胆汁の成分は胆汁酸、コレステロール、リン脂質、ビリルビ.
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- 次の文を読み、55~57の問いに答えよ。
- 68歳の男性。血痰を主訴に来院した。
- 現病歴:3か月前から咳嗽があり、時々血痰も出現していた。最近血痰の回数が増加したため来院した。
- 既往歴:55歳時に胆石症で手術。
- 生活歴:中華料理店に50年間勤務。喫煙は20本/日を48年間。飲酒は日本酒5合/日を40年間。
- 家族歴:特記すべきことはない。
- 現症:意識は清明。身長173cm、体重77kg。体温36.6℃。脈拍64/分、整。血圧134/82mmHg。呼吸数18/分。SpO2 93%(room air)。頸部リンパ節を触知しない。心音に異常を認めないが、呼吸音は右上前胸部で減弱している。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。
- 検査所見:血液所見:赤血球468万、Hb 13.9g/dl、Ht 42%、白血球8,800(桿状核好中球20%、分葉核好中球45%、好酸球1%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球27%)、血小板15万。血液生化学所見:血糖130mg/dl、HbA1c(NGSP)7.4 %(基準4.6~6.2)、総蛋白7.5g/dl、アルブミン3.9g/dl、尿素窒素12mg/dl、クレアチニン0.6mg/dl、尿酸6.9mg/dl、総コレステロール246mg/dl、トリグリセリド190mg/dl、総ビリルビン0.9mg/dl、AST 35IU/l、ALT 28IU/l、LD 198IU/l(基準176~353)、ALP 264IU/l(基準115~359)、γ-GTP 50IU/l(基準8~50)、アミラーゼ98IU/l(基準37~160)、CK 42IU/l(基準30~140)。CEA 3.5ng/ml(基準5以下)、SCC 9.7ng/ml(基準1.5以下)。CRP1.5mg/dl。心電図に異常を認めない。胸部エックス線写真(別冊No.5A)と胸部造影CT(別冊No.5B)とを別に示す。
- 患者に対する説明で適切なのはどれか。
- a 「右肋骨に病変があります」
- b 「右肺の血管が詰まっています」
- c 「右胸の中に水がたまっています」
- d 「右肺の中に膿がたまっています」
- e 「右肺の太い気管支が詰まっています」
[正答]
※国試ナビ4※ [107B054]←[国試_107]→[107B056]
[★]
- 86歳の男性。なんとなく元気がないと家族から往診の依頼があった。数日前から食欲が低下し、いつもより元気がないと同居の妻から説明を受けた。本人は何ともないと言う。ほぼベッド上の生活で食事摂取は自立しているが、それ以外のADLには介助を必要としている。5年前から脳梗塞後遺症(左片麻痺)、混合型認知症、高血圧症、前立腺肥大症および胆石症で訪問診療を受けている。意識レベルはJCS I-2。体温 36.5℃。脈拍 112/分、整。血圧 110/80mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 96%(room air)。眼瞼結膜は貧血様でない。眼球結膜に黄染を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部では腸雑音がやや亢進し、右季肋部の触診を行うと右手で払いのけようとする。下腿に浮腫を認めない。
- 正しい判断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109E047]←[国試_109]→[109E049]
[★]
- 65歳の女性。1か月前からの左上腹部痛と背部痛とを主訴に来院した。6か月前から背部の張り感を自覚していた。肝・脾は触知しない。血液所見:赤血球370万、白血球6,200、血小板28万。血清生化学所見:総蛋白7.0g/dl、アルブミン4.5g/dl、総ビリルビン0.4mg/dl、AST(GOT)17単位(基準40以下)、ALT(GPT)8単位(基準35以下)、LDH299単位(基準176~353)、アルカリホスファターゼ343単位(基準260以下)、アミラーゼ40単位(基準37~160)。CA19-9 36U/ml(基準37以下)。腹部エックス線単純写真を以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [096A029]←[国試_096]→[096A031]
[★]
- 57歳の女性。3年前から糖尿病と胆石症とを指摘されている。胆石症の経過観察として外来で行われていた腹部超音波検査中に突然強い頭痛と動悸とを訴え苦しがり始めた。意識は清明。脈拍120/分、整。血圧240/160mmHg。呼吸数20/分。著明な発汗と四肢末<の冷感とを認める。治療によって症状が安定した後に実施した腹部造影CT(別冊No.14)を別に示す。
- 考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107D032]←[国試_107]→[107D034]
[★]
- 54歳の男性。2時間前に始まった胸背部痛を主訴に来院した。10年前から高血圧で治療中である。服薬は不規則で降圧薬を飲み忘れることが多い。30年前からタバコを毎日20本吸っている。顔貌は苦悶状で全身の冷汗を認める。血圧は右上腕で160/100mmHg、左上腕で140/80mmHgである。心尖部に2/6度の拡張期雑音を聴取するが、呼吸音に異常は認めない。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [097F005]←[国試_097]→[097F007]
[★]
- 48歳の男性。右上腹部の不快感を主訴に来院した。身体所見に異常はない。血液所見:Hb13.8g/dl、白血球5,800。血清生化学所見:総ビリルビン0.9mg/dl、AST30IU/l、ALT32IU/l、γ-GTP48IU/l(基準8~50)。免疫学所見:CRP0.1mg/dl、CA19-9 32U/ml(基準37以下)。腹部超音波写真を以下に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101A028]←[国試_101]→[101A030]
[★]
- 68歳の女性。腹痛を主訴に来院した。13年前から時々食後に上腹部痛があった。昨日の夕食後にも腹痛があった。体温37.4℃。右季肋部に圧痛を伴う腫瘤を触れる。白血球12,500。CRP5.8mg/dl。腹部造影CTを以下に示す。
- 考えられるのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [102D036]←[国試_102]→[102D038]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [108E021]←[国試_108]→[108E023]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [101B087]←[国試_101]→[101B089]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [106I029]←[国試_106]→[106I031]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [101C015]←[国試_101]→[101C017]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [101F029]←[国試_101]→[101F031]
[★]
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [100E036]←[国試_100]→[100E038]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [106I015]←[国試_106]→[106I017]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [096E034]←[国試_096]→[096E036]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [096E017]←[国試_096]→[096E019]
[★]
[★]
- 英
- bile
- 関
- 肝臓、胆嚢、胆管
- 0.5-1.0 L/day, pH 8.0-8.6
- 消化酵素を含まないアルカリ性の分泌液である
分泌部位
部位 胆汁 割合
肝細胞 毛細管胆汁 2/3
胆細管 胆細管胆汁 1/3
分泌経路
- 肝臓胆汁が総肝管を経由して胆嚢にいたり、ここで濃縮を受けて胆嚢胆汁となる。
機能
- 胆汁酸により、直径1μm以下の脂肪滴が形成され、表面積拡大によりリパーゼと反応しやすくなる。
- ミセルの直径5nm。胆汁酸は両親媒性であり親水基と疎水基を持つ。
- 親水性: OH基,ペプチド結合,カルポキシル基
- 疎水性: 上記部分以外
- 胆汁に含まれる胆汁酸とリン脂質により、モノグリセリド・脂肪酸とミセルを形成することができる。
- 3. コレステロールとビリルビンの排出
- 4. 胃酸の中和
組成
1. 胆汁酸
- see HBC.236
1次胆汁:コレステロールより合成
コール酸
キノデオキシコール酸
2次胆汁:1次胆汁の腸内細菌による代謝(7位の部位のOH基が除去される)
デオキシコール酸
リトコール酸
3次胆汁:肝臓から分泌される状態(可溶性)
タウロコール酸(タウリンと抱合)
グリココール酸(グリシンと抱合)
2. 胆汁色素
ビリルビン:Hbの代謝産物
間接型(不溶性)
↓←グルクロン酸抱合
直接型(水溶性)(抱合型ビリルビン)
↓
ウロビリノーゲン(腸管)
↓
ステルコピリン(腸管)
↓
排泄
3. 脂質
リン脂質(主にレシチン)
不溶性であるが胆汁酸存在下でミセル形成(可溶性)
コレステロール
不溶性であるが胆汁酸存在下でミセル形成(可溶性)
4.電解質成分
陽イオン:Na+(主)、その他K+,Ca2+
陰イオン:Cl-,HCO3-(アルカリ性)
胆汁の分泌と排出
1. 毛細管胆汁
1-1. 胆汁酸依存性胆汁
胆汁酸と水分の分泌:胆汁酸の腸肝循環に依存。
腸肝循環:肝臓から分泌された胆汁が小腸で吸収され、門脈を経て肝臓に戻り、再び排泄されること。
タウロコール酸・グルココール酸
陰イオンに解離しやすく吸収されやすい。
リトコール酸
非解離型なので糞便中に排泄される。
分泌された胆汁酸の95%は腸肝循環により再利用される。
1-2. 胆汁酸非依存性胆汁
胆汁酸以外の分泌:Na+,K+,Ca2+,Cl-,HCO3-,ビリルビン(有機陰イオン)
等張性 :Na+,Cl-,HCO3-は血漿濃度に類似
2. 胆細管胆汁
2-1. Na+,HCO3-(高濃度),水の分泌---セクレチンによる
2-2. Na+,Cl-の吸収
3. 胆汁の濃縮(胆嚢)
電解質吸収(Na+,Cl-の能動的吸収)とそれに伴う水の吸収→5-50倍に濃縮
4. 胆汁排出
食後30分で胆嚢収縮開始。液性の調節機構による排出が主である。
4-1. 液性
十二指腸内食物→CCK分泌→オッディ括約筋弛緩・胆嚢収縮
十二指腸内食物→セクレチン分泌→CCKの作用に拮抗
胃内食物→ガストリン分泌→胆嚢収縮
4-2. 神経性
迷走神経性反射→オッディ括約筋弛緩,胆嚢収縮(関与の程度不明)
臨床関連
- 胆道系に形成された結石。半数以上は無症状SilentStoneである
- 食後3時間程度で痛痛発作、黄痘などを呈する事がある。
- コレステロール系結石(全体の70%):コレステロールの過飽和による。
- ビリルビン系結石(全体の30%):黒色石+ビリルビンCa石
- その他:炭酸カルシウム石など
-
- 1. ビリルビンの生成過多
- 2. 肝細胞によるビリルビンの取り込み減少
- 3. グルクロン抱合障害
- 4. 胆汁へのビリルビン分泌障害
- 5. 胆管閉塞
[★]
- 英
- autoimmune pancreatitis AIP
- 同
- 膵管狭細型慢性膵炎 chronic pancreatitis showing irregular narrowing of main pancreatic duct
- 関
- 膵炎
疫学
病態
- 参考2
- 膵外分泌障害(約80%)
- 膵内分泌障害(糖尿病)(70%)
症候
合併症
検査
- 参考2 (%)内は頻度
- 膵酵素、肝胆道系酵素(60-82%)、総ビリルビン上昇(39-62%)
- 参考2 (%)内は頻度
- 高γグロブリン血症:≧2 g/dl (43%)
- 高IgG血症:≧1800 mg/dl (62-80%)
- 高IgG4血症:≧135 mg/dl (68-92%) 疾患特異的ではない
- 自己抗体:陽性
- 超音波検査:
- CT:びまん性あるいは限局性の膵腫大。被膜様構造(capsule-like rim)が認められ、この被膜は膵実質相では病変部の膵実質よりも低吸収を示し、ダイナミックCTでは遅延性増強パターンを示す。(参考2)
- [show details]
- [show details]
診断基準
- 自己免疫性膵炎診断基準(改定案)(厚生労働省難治性膵疾患調査研究班・日本本膵臓学会)
- 高γグロブリン血症(2g/dl以上)、
- 高IgG血症(1800 mg/dl以上)、
- 高IgG4血症(135 mg/dl以上)
- 自己抗体のいずれかを認める
- 膵にリンパ球・形質細胞を主とする著明な細胞浸潤と線維化を認める
- 上記の1を含んで2項目以上満たす症例を自己免疫性膵炎と診断する
- ただし膵癌胆管癌などの悪性疾患を除外することが必要である
診断
鑑別診断
治療
参考
- 1. 自己免疫性膵炎/IgG4関連疾患 信州医誌,58.:3~10,2010
- http://s-igaku.umin.jp/DATA/58_01/58_01_02.pdf
- http://www.jstage.jst.go.jp/browse/suizo/24/Supplement/_contents/-char/ja/
- http://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/medicine/chair/i-1nai/news/images/0807/yokoyama.pdf
国試
[★]
- 英
- abdominal pain
- 関
- PQRST、急性腹症
コアカリ診療の基本 p.107
心窩部
|
食道潰瘍
|
胸焼け、嚥下困難
|
急性胃炎
|
悪心、嘔吐を伴う
|
消化性潰瘍
|
空腹時悪化傾向
|
胃癌
|
進行しないと痛まず
|
虫垂炎初期
|
回盲部に圧痛
|
急性膵炎
|
激烈な腹痛、背部痛、膵酵素の上昇
|
慢性膵炎
|
不定の上腹部症状で神経症的にみえる
|
膵臓癌
|
浸潤すると疼痛強し
|
右季肋部
|
胆石症
|
右肩に放散、発作間は痛みほとんどなし
|
急性胆嚢炎
|
発熱、圧痛著明、肝胆道系酵素上昇
|
急性肝炎
|
肝腫大、鈍痛、黄疸-肝酵素著明に上昇
|
肝膿瘍
|
激しい発熱、叩打痛は肋骨弓部付近など
|
肝癌
|
鈍痛、破裂すると激しい痛み
|
左右側腹部
|
尿管結石
|
肋骨脊椎角の叩打痛、血尿、超音波検査で水腎症
|
腎盂腎炎
|
急激な発熱と叩打痛、膿尿
|
腎梗塞
|
時に一過性の激しい痛み、血尿
|
回盲部
|
虫垂炎
|
他疾患除外の目的で、超音波検査が有用
|
右側結腸憩室炎
|
虫垂炎との鑑別困難
|
回腸末端炎
|
虫垂炎との鑑別が必要
|
クローン病
|
回盲部潰瘍をきたしやすい
|
大腸癌
|
右側結腸癌は腫癌を触知することが多い
|
左腸骨窩部
|
虚血性大腸炎
|
急激な腹痛と下血
|
S状結腸憩室炎
|
腹痛、圧痛、発熱
|
急性大腸炎
|
下痢、嬬動の元進
|
S状結腸軸捻転
|
便秘老人、鼓腸強い、内視鏡的修復
|
下腹部
|
子宮付属器炎
|
発熱、圧痛
|
卵巣嚢腫茎捻転
|
ショックに陥ることもあり、超音波検査が有用
|
子宮外妊娠破裂
|
急激に貧血が進行、ショックなど
|
生理痛
|
内膜症がある場合は強い
|
全体
|
腹膜炎
|
原発性、結核性、癌性など症状が微妙に異なる
|
潰瘍穿孔
|
腹壁防御、板状硬、緊急手術
|
腸間膜血栓症
|
鼓腸、腸麻痺、ショック、最も重篤
|
- 小腸疾患による腹痛は食事後20分後ぐらいから始まることが多い。(QB.A-308)
乳幼小児の腹痛
- SPE.481
- 乳幼児・学童に共通して最も多い腹痛の原因は便秘。その他は急性胃腸炎、胆道拡張症
[★]
- 英
- hereditary spherocytosis, HS
- 同
- 家族性溶血性黄疸 familial hemolytic jaundice、先天性溶血性黄疸 congenital hemolytic jaundice、ミンコフスキー・ショファー症候群 ミンコフスキー-ショファール症候群 Minkowski-Chauffard syndrome
- 関
- 溶血性貧血
概念
病因
- 赤血球の細胞の裏打ち蛋白(アンキリンなど)の障害により生じる。
疫学
遺伝
病態
- 臨床的なスペクトラムは広く、幼児に発症することもあれば成人後、あるいは妊娠を契機に診断されることがある。
- 血管外溶血をきたす → 脾腫
身体所見
検査
- 網赤血球:増加 → 造血の亢進
- 正球性高色素性貧血:MCHC高値
- 末梢血:球状赤血球の出現
[show details]
[show details]
- AST:上昇 → 溶血による
- LDH:上昇 → 溶血による
- 浸透圧に対する脆弱性 (the presence of osmotic fragility became the main diagnostic test for HS.)
- → (1)赤血球膜の物理的な脆弱性、((2)構造的に水分を取り込む余地がない(出典は???))
症状
合併症
参考
- 1. [charged] Hereditary spherocytosis: Mechanism of hemolysis and pathogenesis - uptodate [1]
- 2. [uptodate] Hereditary spherocytosis: Clinical features; diagnosis; and treatment - uptodate [2]
国試
-hereditary spherocytosis
[★]
- 英
- pathology
- 関
細胞障害
炎症
創傷治癒
循環障害
免疫異常
遺伝性疾患
腫瘍
代謝障害
-
-
環境と疾患
参考
[★]
- 英
- cholelithiasis following gastrectomy
[★]
- 英
- gall stone
- 同
cholelithiasis
- 関
- 胆石症、胆石イレウス、胆汁
部位による区分
成分による区分
参考1-5
- 純コレステロール石:コレステロール100%。光沢のある白色。胆嚢内に単発が多い。割面は放射状。
- コレステロール混成石:内層がコレステロール成分、外層がビリルビン成分。胆嚢内に単発が多い。割面は放射状+層状。
- コレステロール混合石:コレステロールと少量のビリルビン。黄、褐、緑、黒、白など多彩。個数は数個から数百個に及ぶ。胆嚢内に発生。内部にひび割れを生じる。
-
- 黒色石:ビリルビンカルシウムの重合体。ほとんどが胆嚢内。
主要なリスクファクター
- 参考6
- 年齢
- 性別:女性
- 遺伝:ピマインディアン(2型糖尿病の罹患率が高い)、ある種のネイティブアメリカ人、チリ人
- 妊娠
- 肥満
- 急激な体重減少
- 回腸末端切除
- 胆汁うっ滞(gallbladder stasis)
検査
超音波所見
X線CT
- 石灰化胆石:胆嚢内高濃度
- コレステロール胆石:胆嚢内低濃度
参考
- http://www.med.kyushu-u.ac.jp/surgery1/aboutus/topics/chole/index.html
- http://www.ususus.sakura.ne.jp/062-002cholecystolithiasis0.html
- http://www.kanazawa-med.ac.jp/~hiromu/new_page_17.htm
- http://hattori-clinic.com/byouki-tannou.stone.htm
- http://www.sada.or.jp/feature/cholelithiasis.html
- 6. [charged] Epidemiology of and risk factors for gallstones - uptodate [3]
[★]
- 英
- sis, pathy