- 英
- cortisol
- 同
- コルチゾル
- 関
- 副腎皮質ホルモン、糖質コルチコイド
コルチゾールの合成
コルチゾールの合成に関係する酵素の局在 HBC.446
基準値
- (血漿) 4.0-18.5 μg/dl (臨床検査法提要第32版) ・・・血中コルチゾール
- (尿) 30-100 μg/日 (臨床検査法提要第32版) ・・・尿中コルチゾール
変動
代謝産物
生理作用
- リンパ球↓、好酸球↓、多核白血球↑ (YN.N-15)
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/09/05 20:15:50」(JST)
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コルチゾール |
|
|
IUPAC名
11β,17,21-トリヒドロキシプレグナ-4-エン-3,20-ジオン
|
識別情報 |
CAS登録番号 |
50-23-7 |
KEGG |
D00088 |
特性 |
化学式 |
C21H30O5 |
モル質量 |
362.465 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
コルチゾール (cortisol) は副腎皮質ホルモンである糖質コルチコイドの一種であり、ヒドロコルチゾン (hydrocortisone) とも呼ばれる。炭水化物、脂肪、およびタンパク代謝を制御し、生体にとって必須のホルモンである。3種の糖質コルチコイドの中で最も生体内量が多く、糖質コルチコイド活性の約95%はこれによる。ストレスによっても発散される。分泌される量によっては、血圧や血糖レベルを高め、免疫機能の低下や不妊をもたらす。
また、このホルモンは、過剰なストレスにより多量に分泌された場合、脳の海馬を萎縮させることが、近年PTSD患者の脳のMRIなどを例として観察されている[1]。海馬は記憶形態に深く関わり、これらの患者の生化学的後遺症のひとつとされている。
目次
- 1 医薬品としての利用
- 2 コルチゾールの生合成
- 3 健康とコルチゾール
- 3.1 コルチゾール低値
- 3.2 コルチゾール高値
- 4 参考文献
- 5 関連項目
- 6 外部リンク
医薬品としての利用
コルチゾール(日本薬局方にはヒドロコルチゾンの名称で収載)はステロイド系抗炎症薬(SAID)の1つとして臨床使用される。ステロイド系抗炎症薬は炎症反応を強力に抑制し、炎症の全ての過程に作用する。急性炎症、慢性炎症、自己免疫疾患、アレルギー性疾患、ショック、痛風、急性白血病、移植片拒絶反応などの治療に使用される。副腎皮質機能不全、クッシング症候群、胃潰瘍などの副作用が現れる場合もある。
コルチゾールの生合成
コルチゾールの前駆物質のコルチゾンは、コレステロールからプレグネノロンを経て生合成される。 プレグネノロン (pregnenolone) は、プロゲステロン、コルチコイド、アンドロゲン、およびエストロゲンのステロイド生成にかかわるプロホルモンである。プレグネノロンは体内であらゆるホルモンに変換されるプロホルモンである。プレグネノロンは、コレステロールから合成される。この反応では、C20とC22との間にヒドロキシル化反応が起こる。この反応を起こす酵素シトクロムP450sccはミトコンドリアにあり、脳下垂体から分泌される副腎皮質刺激ホルモン、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモンによって制御されている。
コルチゾンとアドレナリンは人体がストレスに対して反応する際に放出される主なホルモンである。これらは血圧を上昇させ、体を闘争または逃避反応 (fight or flight response) に備えさせる。 活性体であるホルモンであるコルチゾールの前駆体であり、コルチゾン自体は不活性である。11-β-ステロイド脱水素酵素と呼ばれる酵素の働きによって、11位のケトン基がヒドロキシル化されることで活性化する。このため、コルチゾールはヒドロコルチゾンと呼ばれることもある。類似のステロイドであるコルチゾールよりも重要性は低い。糖質コルチコイドがもたらす作用のうち95%はコルチゾールによるものであり、コルチゾンの寄与は4%–5%に過ぎない。コルチコステロンはさらに重要性が低い。
プレグネノロンからコルチゾールの前駆物質のコルチゾンへ
健康とコルチゾール
コルチゾール値は、コルチゾール分泌をうながすホルモンである下垂体の副腎皮質刺激ホルモンACTHによって増減する。さらにACTHは、視床下部の副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンのCRHによって増減する。そのため、コルチゾールが異常値かもしれないと疑われた場合、ACTHとともに測定する。適正なコルチゾール値は人体の健康に不可欠であり、その値が過剰あるいは低下すると、多彩な状態がもたらされる。
コルチゾール低値
コルチゾール低値では、アジソン病、先天性副腎低形成症(IMAge症候群、ACTH不応症、Triple A症候群(Allgrove症候群))、先天性副腎皮質過形成症、副腎性ACTH単独欠損症、シーハン症候群、ACTH非産生性の下垂体腫瘍、下垂体性副腎皮質機能低下症、視床下部性副腎皮質機能低下症などが疑われる。
コルチゾール高値
コルチゾール高値では、クッシング病、クッシング症候群、グルココルチコイド不応症、異所性ACTH産生腫瘍、異所性CRH産生腫瘍、糖質コルチコイド不応症などが疑われる。
参考文献
- 伊藤勝昭ほか編集 『新獣医薬理学 第二版』 近代出版 2004年 ISBN 4874021018
- ^ 山脇成人(2005年). page 8,9.
関連項目
- ステロイド
- コルチゾン
- プレドニゾロン
- メチルプレドニゾロン
- デキサメサゾン
- 非ステロイド系抗炎症薬
- ステロイド系抗炎症薬
- ステロイド外用薬
外部リンク
副腎皮質ホルモン |
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アルドステロン - コルチゾン - コルチゾール - デスオキシコルチコステロン - デヒドロエピアンドロステロン - コルチコステロン
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内分泌器:ホルモン(ペプチドホルモン、ステロイドホルモン) |
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視床下部 - 脳下垂体 |
視床下部
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GnRH - TRH - ドーパミン - CRH - GHRH - ソマトスタチン - ORX - MCH - MRH - MIH
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脳下垂体後葉
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バソプレッシン - OXT
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脳下垂体中葉
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MSH(インテルメジン)
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脳下垂体前葉
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αサブユニット糖タンパク質ホルモン(FSH - LH - TSH) - GH - PRL - POMC(ACTH - エンドルフィン - リポトロピン)
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副腎 |
副腎髄質
|
副腎髄質ホルモン(アドレナリン - ノルアドレナリン - ドーパミン)
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副腎皮質
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副腎皮質ホルモン(アルドステロン - コルチゾール - DHEA)
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甲状腺 |
甲状腺
|
甲状腺ホルモン(T3 - T4 - カルシトニン)
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副甲状腺
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PTH
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生殖腺 |
精巣
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テストステロン - AMH - インヒビン
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卵巣
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エストラジオール - プロゲステロン - インヒビン/アクチビン - リラキシン(妊娠時)
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その他の内分泌器 |
膵臓
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グルカゴン - インスリン - ソマトスタチン
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|
松果体
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メラトニン
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内分泌器でない器官 |
胎盤:hCG - HPL - エストロゲン - プロゲステロン - 腎臓:レニン - EPO - カルシトリオール - プロスタグランジン - 心臓:ANP - BNP - ET - 胃:ガストリン - グレリン - 十二指腸:CCK - GIP - セクレチン - モチリン - VIP - 回腸:エンテログルカゴン - 脂肪組織:レプチン - アディポネクチン - レジスチン - 胸腺:サイモシン - サイモポイエチン - サイムリン - STF - THF - 肝臓:IGFs(IGF-1 - IGF-2) - 耳下腺:バロチン - 末梢神経系:CGRP - P物質
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誘導タンパク質 |
NGF - BDNF - NT-3
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ステロイド |
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前駆体 |
スクアレン · ラノステロール
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一般 |
コレステロール · プレグネノロン · 17-ヒドロキシプレグネノロン · DHEA · アンドロステンジオン · アンドロスタンジオール
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|
性ホルモン |
エストロゲン
|
エストラジオール · エストリオール · エストロン
|
|
アンドロゲン
|
テストステロン · デヒドロテストステロン · アンドロステロン
|
|
プロゲストーゲン
|
プロゲステロン · 17-ヒドロキシプロゲステロン · プロゲスチン
|
|
|
副腎皮質ホルモン |
糖質コルチコイド
|
コルチゾール · プレドニゾン · コルチコステロン · コルチゾン · プロゲステロン
|
|
鉱質コルチコイド
|
アルドステロン
|
|
|
フィトステロール |
スチグマステロール · ブラシカステロール
|
|
エルゴステロール |
エルゴステロール · エルゴカルシフェロール
|
|
主要な生体物質:炭水化物(アルコール、糖タンパク質、配糖体) · 脂質(エイコサノイド · 脂肪酸/脂肪酸の代謝中間体 · リン脂質 · スフィンゴ脂質 · ステロイド) · 核酸(核酸塩基 · ヌクレオチド代謝中間体) · タンパク質(タンパク質を構成するアミノ酸/アミノ酸の代謝中間体) · テトラピロール · ヘムの代謝中間体 |
|
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- Recombinant Human Growth Hormone Replacement in a Japanese Man with a Novel PROP1 Gene Mutation (R112X)
- Ogo Atsushi,Maruta Tetsushi,Ide Chiharu,Sakai Yoshiyuki,Matoba Yuka,Hiramatsu Shinsuke,Usui Takeshi,Naruse Mitsuhide,Shimatsu Akira,小河 淳,丸田 哲史,井手 千晴,酒井 義之,的場 ゆか,平松 真祐,臼井 健,成瀬 光栄,島津 章,オゴウ アツシ,マルタ テツシ,イデ チハル,サカイ ヨシユキ,マトバ ユカ,ヒラマツ シンスケ,ウスイ タケシ,ナルセ ミツヒデ,シマツ アキラ
- 福岡医学雑誌 102, 277-283, 2011-09-25
- Congenital combined pituitary hormone deficiency (CPHD) is associated with deficiencies of anterior pituitary hormones. PROP1 gene mutations are often responsible for CPHD, but few such cases have bee …
- NAID 120003413057
- 飛彈 浩一,鈴木 舞,橋本 未来実,鈴木 ももこ,中野 優木,中畑 千夏子,坂田 憲昭,宮越 幸代,太田 克矢,那須 裕
- 信州公衆衛生雑誌 6(1), 30-29, 2011-08
- 本研究では、水中運動による精神的ストレスに対する効果を、水中運動の前後における唾液中に含まれる各種ストレス指原物質{コルチゾール、クロモグラニンA(CgA)、唾液アミラーゼ}の測定及び、心理的覚醒度・快適度を測定する二次元気分尺度を用いて検討した。二次元気分尺度による結果から、水中運動により精神的ストレスが軽減していることが示唆された。また、水中運動による精神的ストレスの緩和とコルチゾールの濃度変 …
- NAID 120003534493
- 抑うつ傾向の高い女性でのコルチゾールと炎症性サイトカインの変化についての検討
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- 副腎皮質から分泌されるホルモンで、糖質コルチコイドの一種です。ストレスに敏感に 反応して分泌量が増加しますので、ストレスホルモンとも呼ばれています。コルチゾール の検査は、副腎皮質や下垂体、視床下部の異常が疑われる場合に行ないます。
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★リンクテーブル★
[★]
- 36歳の女性。分娩後の頭痛と視野障害を主訴に来院した。妊娠 28週ころから頭痛、 30週から左眼の視野障害が出現した。多尿や多飲はない。身長 165 cm、体重62 kg。脈拍 76/分、整。血圧 118/74 mmHg。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。対面法による視野検査により両耳側に欠損を認める。尿所見:比重 1.024、蛋白 (-)、糖 (-)。血液生化学所見: AST 33 IU/l、ALT 17 IU/l、クレアチニン 0.6 mg/dl、血糖 92 mg/dl、総コレステロール 124 mg/dl、Na 140 mEq/l、K 3.8 mEq/l、Cl 104mEq/l、アンジオテンシン変換酵素〈ACE〉18 U/l(基準 8.3.21.4)、 TSH 0.15μU/ml(基準 0.2.4.0)、 FT4 0.74 ng/dl(基準 0.8.2.2)、 ACTH 11.4 pg/ml(基準 60以下 )、コルチゾール 1.8μg/dl(基準 5.2.12.6)、 GH 2.7 ng/ml(基準 5以下 )、 IGF-I 164ng/ml(基準 112~271)、プロラクチン 25.4 ng/ml(基準 15以下 )。免疫血清学所見: CRP 0.3 mg/dl、抗サイログロブリン抗体 24 U/ml(基準 0.3以下 )。頭部単純MRIのT1強調矢状断像 (別冊 No.11A)と頭部造影 MRIのT1強調冠状断像 (別冊 No.11B)を別に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108A033]←[国試_108]→[108A035]
[★]
- 42歳の男性。人間ドックの腹部CTで異常を指摘されたため来院した。既往歴に特記すべきことはない。喫煙歴と飲酒歴とはない。身長 172cm、体重 75kg。脈拍 76/分、整。血圧 142/82mmHg。身体所見に異常を認めない。血液所見:赤血球 420万、Hb 14.4g/dL、Ht 41%、白血球 8,000(桿状核好中球 10%、分葉核好中球 70%、単球 4%、リンパ球 16%)。血液生化学所見:空腹時血糖 102mg/dL、HbA1c 5.9%(基準 4.6~6.2)、Na 141mEq/L、K 4.3mEq/L、Cl 106mEq/L、ACTH 7pg/mL未満(基準 60以下)、コルチゾール 11.8ng/dL(基準 5.2~12.6)、アルドステロン 106pg/mL(基準 45~106)、血漿レニン活性 2.4pg/mL/時間(基準 1.2~2.5)。尿中メタネフリン 0.11mg/日(基準 0.05~0.23)、尿中ノルメタネフリン 0.14mg/日(基準 0.07~0.26)。人間ドックの腹部単純CT(別冊No. 30)を別に示す。
- 診断に有用な検査はどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [109I077]←[国試_109]→[109I079]
[★]
- 次の文を読み、48、49の問いに答えよ。
- 20歳の女性。体重減少を主訴に来院した。
- 現病歴:生来健康であった。2か月前の健康診断では47kgであった体重が40kgになった。食事量は以前と変わらず、過食や嘔吐はない。倦怠感が強く、暑がりになり、夜は眠れなくなった。
- 既往歴:12歳時に急性虫垂炎で手術。輸血歴はない。
- 生活歴:大学生。喫煙歴と飲酒歴はない。
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- 診断に最も有用な血液検査項目はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112B048]←[国試_112]→[112C001]
[★]
- 62歳の女性。高血圧を主訴に来院した。10年前から高血圧を指摘され、様々な降圧薬を内服したが、正常血圧の維持が困難であった。意識は清明。身長154cm、体重40kg。体温36.4℃。脈拍76/分、整。血圧160/96mmHg。心尖部にIV音を聴取する。肝・脾を触知しない。臍周囲に血管性雑音を認める。下肢に浮腫を認めない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球 416万、Hb 12.2g/dl、Ht32%、白血球6,800、血小板28万。血液生化学所見:血糖96mg/dL、総蛋白7.2g/dl、アルブミン4.6g/dl、尿素窒素20mg/dl、クレアチニン1.01ng/dl、尿酸6.0mg/dl、総コレステロール272mg/dl、トリグリセリド160mg/dl、Na 140mEq/l、K3.4mEq/l、Cl 106mEq/l。腹部造影CT血管写真(腹部CTA)(別冊No.6)を別に示す。
- 異常値が予測されるのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [104A023]←[国試_104]→[104A025]
[★]
- 45歳の男性。職場の廊下で倒れているところを同僚に発見され救急車で搬入された。同僚や家族によると最近、ときに異常な言動がみられたという。常用薬はない。身長 172cm、体重 84kg(ともに家族からの情報)。体温 36.5℃。心拍数 110/分、整。血圧 140/70mmHg。呼吸数 18/分。呼びかけにかすかにうなずき、痛み刺激に反応する。全身の発汗が著明である。胸腹部に異常を認めない。血液生化学所見:血糖 28mg/dL、Na 138mEq/L、K 3.7mEq/L、Cl 99mEq/L、空腹時インスリン(IRI) 42μU/mL(基準 17以下)、空腹時Cペプチド 5.6ng/dL(基準 0.6~2.8以下)。心電図、胸腹部エックス線写真、腹部超音波検査および頭部CTで異常を認めない。
- 鑑別診断に必要な検査はどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [111I075]←[国試_111]→[111I077]
[★]
- 54歳の女性。顔と手足のむくみを主訴に来院した。10年前から疲れやすく便秘がちになったが、加齢によるものと思い、そのままにしていた。数か月前から指輪や靴がきつくて入らなくなったことを気にしていた。2日前、数年ぶりに帰省した娘から「顔が腫れている。声も以前はそんなにしわがれていなかった」と指摘され、心配になって受診した。身長156cm、体重58kg。体温35.0℃。呼吸数16/分。脈拍52/分、整。血圧124/90mmHg。皮膚は乾燥。下肢に指圧痕を残さない浮腫を認める。血液所見:赤血球 360万、Hb 12.6g/dl、Ht 39%、白血球 4,500、血小板 21万。血液生化学所見:空腹時血糖 96mg/dl、Na 142mEq/l、K 4.3mEq/l、Cl 103 mEq/l。
- この病態でみられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105I038]←[国試_105]→[105I040]
[★]
- 33歳の女性。未経妊。無月経を主訴に来院した。初経13歳。月経周期は不規則であり、29歳以降無月経となっていたがそのままにしていた。身長 161cm、体重 58kg。脈拍76/分、整。血圧 114/74mmHg。胸腹部と四肢とに異常を認めない。恥毛は正常女性型。血液生化学所見:血糖 86mg/dL、TSH 1.3μU/mL(基準 0.4~4.0)、LH 2.0mIU/mL(基準 1.8~7.6)、FSH 6.4mIU/mL(基準 5.2~14.4)、プロラクチン 79ng/mL(基準 15以下)、FT4 0.8ng/dL(基準 0.8~1.8)、コルチゾール 10ng/dL(基準 5.2~12.6)、エストラジオール 15pg/mL(基準 25~75)、IGF-I 155ng/mL(基準 93~236)。頭部造影MRIのT1強調冠状断像(別冊No. 30)を別に示す。
- この患者にみられる可能性が高いのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109A055]←[国試_109]→[109A057]
[★]
- 34歳の男性。頭痛、顔つきの変化および手足の容積増大を主訴に来院した。2年前から家人に顔貌の変化を指摘されている。1年前から頭痛を自覚するようになった。身長 182cm、体重 98kg。脈拍 80/分、整。血圧 156/90mmHg。顔面は眉弓部の膨隆、鼻と口唇の肥大、巨舌を認める。胸部と腹部とに異常は認めない。内分泌検査所見:GH 8.5ng/mL(男性の基準 2.5以下)、IGF-1 780ng/mL(34歳男性の基準 102~283)、ACTH 35pg/mL(基準 7.2~63.3)、プロラクチン 62.0ng/mL(基準 3.6~12.8)、コルチゾール 14μg/dL(基準 6.24~18.0)。頭部単純エックス線写真(別冊No. 15)を別に示す。
- この患者でみられないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114A041]←[国試_114]→[114A043]
[★]
- 19歳の女性。無月経を主許に来院した。10歳時に1型糖尿病と診断され 以後インスリンによる治療を開始した。1年ほど前から体重が次第に減少し、このころから無月経となった。身長 158cm、体重 32kg。脈拍 48/分、整。血圧 84/52mmHg。血液所見: 赤血球 390万、Hb 8.6g/dl、Ht 38%、白血球 3,500。血液生化学所見: 空腹時血糖 128mg/dl、HbA1c 6.2 %、総蛋白 6.3g/dl、Na 145mEq/l。前胸部から腋窩にかけての写真(別冊No.16)を別に示す。
- この病態でみられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104I059]←[国試_104]→[104I061]
[★]
- 62歳の女性。手のしびれ感を主訴に来院した。8年前から高血圧症のため自宅近くの診療所で治療を受けており、2年前から血糖値の軽度上昇を指摘されていた。ほぼ同時期から両手の第2~4指の先端部に「ピリピリする」感じを自覚し、徐々に増悪してボタンが留めにくくなった。身長165cm、体重67kg。脈拍64/分、整。血圧150/86mmHg。声はこもった低音である。顔と手の写真(別冊No.22A、B)を別に示す。
- 確定診断のために測定するホルモンとして最も適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107I066]←[国試_107]→[107I068]
[★]
- 45歳の男性。意識障害のため搬入された。3か月前から全身倦怠感と食欲不振とがあった。2日前から上気道炎様の症状が続いており、今朝から呼びかけに応答しなくなった。身長165cm、体重55kg。体温38.2℃。脈拍96/分、整。血圧80/40mmlHg。全身の皮膚に色素沈着が認められ、特に四肢の関節部に顕著である。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟。深部腱反射は正常である。血清生化学所見:血糖48mg/dl、Na126mEq/l、K5.6mEq/l、Ca9.0mg/dl。CRP0.8mg/dl。
- この患者の血中で低下しているのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101G048]←[国試_101]→[101G050]
[★]
- 47歳の女性。顔のほてりを主訴に来院した。7年前に子宮筋腫のため子宮全摘出術を受けた。両側卵巣は温存されている。2か月前から顔のほてりがあり、汗をかきやすくなったという。動悸と息切れも自覚している。身長 160cm、体重 56kg。体温 36.5℃。脈拍 76/分、整。血圧 112/64mmHg。呼吸数 18/分。甲状腺の腫大を認めない。超音波検査で両側卵巣に卵胞を認めない。
- まず確認すべき検査項目はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112D035]←[国試_112]→[112D037]
[★]
- 46歳の女性。1か月前からの四肢の脱力があり来院した。2年前から高血圧を指摘されている。下痢や嘔吐はなく、降圧利尿薬は服用していない。脈拍68/分、整。血圧170/110mmHg。血清生化学所見:アルブミン4.1g/dl、Na141mEq/l、K2.1mEq/l、Cl 101mEq/l、Ca9.2mg/dl。診断のために必要な血液生化学検査はどれか。
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [098B017]←[国試_098]→[098B019]
[★]
- 50歳の男性。皮疹を主訴に来院した。 3か月前から両肩と胸部とに赤い皮疹が多発しているのに気付いていた。 25年の飲酒歴があり、肝機能障害を指摘されているが自覚症状はない。左肩の写真(別冊No.4)を別に示す。
- この皮膚症状に関連するのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105B041]←[国試_105]→[105B043]
[★]
- 50歳の男性。3か月前から両肩と胸部とに赤い皮疹が多発しているのに気付き来院した。長年の飲酒歴がある。自覚症状はない。左肩の写真を以下に示す。
- この皮膚症状に関連するのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [100I010]←[国試_100]→[100I012]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [105A015]←[国試_105]→[105A017]
[★]
- ホルモンとその過剰による病態の組合せで正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [100G061]←[国試_100]→[100G063]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [103B013]←[国試_103]→[103B015]
[★]
[正答]
[★]
- 高齢者の内分泌系にみられる特徴はどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [113C022]←[国試_113]→[113C024]
[★]
- 英
- hypoglycemics
- 同
- hypoglycemic agent、antidiabetic agent、antidiabetic drug、antidiabetics、glucose-lowering agent、hypoglycemic、hypoglycemic drug、hypoglycemics
- 関
- [[]]
投稿記事
k氏より
インスリンの抽出は大変意図的に行われたのに対し、スルフォニルウレア薬(SU)は偶然に見つかりました。で、1950年代にはじめに二型糖尿病の患者に使われるようになりました。いまでは20種類くらいのSUが広く世界で使われています。
1997にはメグリチニドが臨床適用されました。食後高血糖の治療薬としてはじめて使用された薬です。
メタフォルミンというビグアナイド薬(BG)は、ヨーロッパで広く使われていましたが、1995年にアメリカでも認可されました。
チアゾリジン1997年に市場導入され、二番目にメジャーなインスリン刺激薬として使用されています。この種類の薬には、広汎な肝障害を起こしにくく、世界中で使われています。
スルフォニルウレア薬 SU薬
膵臓のβ細胞の刺激によって、インスリンを放出させ、血糖値を下げます。
治療が長引くと、インスリン分泌というSUのβ細胞刺激性の効果が薄れてきますが、β細胞上のSU受容体のダウンレギュレーションによるものです。また、SUはソマトスタチンの放出を刺激します。ソマトスタチンはグルカゴン分泌を抑制しているので、これも関係SUの糖を下げる効果と関係しています。
SUはATP感受性Kチャンネルを抑制します。Kレベルが下がると、まく表面における、脱分極を促し、電位依存性カルシウムチャンネルを通じたカルシウムイオンの流入を促進します。
SUには無視できない膵臓外作用があるという議論があります。確かにありうべきことですが、2型糖尿病の患者の治療においては、それほど重要なことではないようです。
SU薬はそれぞれが似たような作用スペクトラムを持っているので、薬物動態的な特性がここの薬を区別する手がかりです。腸管からのSU薬の吸収の割合は薬によって違いますが、食物や、高血糖は、この吸収を抑制します。高血糖はそれ自身、腸管の運動を抑制するので、ほかの薬の吸収も阻害します。血漿濃度が効果的な値にまで達する時間を考えると、半減期の短いSUは、食前三十分に投与するのが適切です。SU薬は90から99パーセントくらい血中たんぱく質と結合し、特にアルブミンと結合します。
第一世代のSUは半減期や分布において、大きく違っています。この半減期や作用時間の不一致の理由はいまだはっきりしていません。
SUはすべて肝臓で代謝を受け、尿中に排泄されます。なので、肝不全、腎不全患者には要注意で処方します。
めったにありませんが、第一世代服用患者では、4パーセントの割合でおきます。第二世代ではもっと少ないでしょう。低血糖による昏睡がしばしば問題になります。腎不全や肝不全がある高齢者の患者でおきやすいです。
重症の低血糖は脳血管障害も起こしうる。急性の神経障害が見つかった高齢患者では血中グルコースレベルを測るのが大事です。半減期の長いSUもあるので、24から48時間のグルコースを輸液します。
第一世代は多くの薬物と相互作用を持っています。
ほかに、吐き気嘔吐、胆汁うっ滞性黄疸、脱顆粒球症、再生不良性・溶血性貧血、全身性のアレルギー症状があります。
SUが心血管障害による死亡率を上げるのかについては議論の余地あり。
SUは、食事療法だけでは十分なコントロールを得られない2型糖尿病患者の血糖コントロールに用いられます。禁忌はtype 1 DM(diabetes mellitus:糖尿病)、妊婦、授乳中の患者、腎障害や肝障害の患者です。
普通の患者なら五割から八割くらい、経口の糖尿病治療薬が効きます。インスリン療法が必要になる患者もいます。
トルブタマイドの一日量は500ミリグラムで、3000ミリグラムが最大の許容量です。SUの治療成績の評価は患者の様子を頻繁に観察しながら、行います。
SUとインスリンの併用療法はtype 1, type 2 両方の糖尿病で用いられていますが、βセルの残存能力がないとうまくいきません。
レパグリニドはメグリチニドクラスの経口インスリン分泌促進物質です。化学構造上、SUとは異なっており、安息香酸から分離されたものです。
SU薬と同様にレパグリニドは膵臓βセルにおけるATP依存性Kチャンネルを閉じることによりインスリン分泌を促進します。AEもSU薬と同様、低血糖です。
Dふぇにるアラニンから分離された薬。レパグリニドよりもSEとして低血糖が認められづらいです。
メトフォルミンとフェノフォルミンは1957年に市場導入され、ブフォルミンが1958年に導入されました。ブフォルミンは使用が制限されていますが、前者二つは広く使われています。フェノフォルミンは1970年代に乳酸アシドーシスのAEによって市場から姿を消しました。メトフォルミンはそのようなAEは少なく、ヨーロッパカナダで広く使われています。アメリカでは1995年に使用可能に。メトフォルミンは単独かSUと併用して使われます。
ものの言い方によると、メトフォルミンは抗高血糖であって、血糖を下げる薬ではありません。膵臓からのインスリン放出は促さないので、どんな大容量でも低血糖は起こしません。グルカゴン・コルチゾール・成長ホルモン・ソマトスタチンにも影響なし。肝での糖新生を抑制したり、筋や脂肪におけるインスリンの働きを増すことで、血糖を押さえます。
小腸から吸収。安定な構造で、血中の蛋白と結合しないで、そのまま尿中に排泄。半減期は二時間。2.5グラムを食事と一緒に飲むのがアメリカで最もお勧めの最大用量。
メトフォルミンは腎不全の患者には投与しないこと。肝障害や、乳酸アシドーシスの既往、薬物治療中の心不全、低酸素性の慢性肺疾患なども合併症として挙げられる。乳酸アシドーシスはしかしながら、めちゃくちゃまれである。1000人年(たとえば100人いたら、10年のうちにという意味の単位。または1000人いたら1年につき、ということ。)につき0.1という割合。
メトフォルミンの急性のAEは患者の20パーセントに見られ、下痢、腹部不快感、吐き気、金属の味、食欲不振などです。メタフォルミンを飲んでいる間はビタミンB12や葉酸のきゅうしゅうが 落ちています。カルシウムをサプリで取ると、ビタミンB12の吸収が改善されます。
血中乳酸濃度が3ミリMに達するとか、腎不全・肝不全の兆候が見られたら、メタフォルミンは中止しましょう。
PPARγに効く。(ペルオキシソーム・プロライファレーター・アクチベイティッド・受容体、つまりペルオキシソーム増殖活性受容体みたいな。)PPARγに結合して、インスリン反応性をまして、炭水化物とか、脂質の代謝を調整します。
ロジグリタゾンとピオグリタゾンは一日一度。チアゾリジンは肝にて代謝され、腎不全のある患者にも投与できますが、活動性の肝疾患があるときや肝臓のトランスアミナーゼが上昇しているときは、使用しないこと。
ロジグリタゾンはCYP2C8で代謝されますがピオグリタゾンはCYP3A4とCYP2C8で代謝されます。ほかの薬との相互作用や、チアゾリジン同士の相互作用はいまだ報告されていませんが、研究中です。
ピオグリタゾンとロジグリタゾンは肝毒性とはめったに関係しませんが、肝機能をモニターする必要があります。心不全のある患者はまずそちらを治療してから。
αGIは小腸の刷子縁におけるαグルコシダーゼの働きを阻害することによって、でんぷん・デキストリン・ダイサッカリダーゼの吸収を抑制します。
インスリンを増やす作用はないので、低血糖もおきません。吸収がよくない薬なので、食事の開始と一緒に飲むとよいです。
アカルボースとミグリトールは食後高血糖の抑制に使われます。
αGIは用量依存性に、消化不良・ガス膨満・下痢などをきたします。αGIとインスリンを併用中に低血糖症状が出たら、、グルコースを補充します。
経口から、グルコースが静脈を通ると、インスリンが上がることがわかっていました。消化管の上部からはGIP、消化管下部からはGLP1というホルモンが出ていて、糖依存性のインスリン放出を促していることがわかりました。これらのホルモンはインクレチンといわれています。この二つのホルモンは別の働き方でインスリンの放出を促進します。GIPはtype 2 DMではインスリン分泌を促進する能力がほとんど失われています。一方でGLP1は糖依存性のインスリン分泌を強く促しています。つまりtype 2 DMの治療ではGIPをターゲットにすればよいということになります。GLPはグルカゴンを抑制し。空腹感を押さえ、食欲を抑えます。体重減少も実現できます。この長所を相殺するように、GLP1は迅速にDPPIV(ヂペプチジルペプチダーゼ4エンザイム)によって負活化されます。つまり、GLP1を治療に使うなら、連続的に体に入れなければなりません。GLP1受容体のアゴニストが研究され、これはDPPIVにたいして抵抗性があります。
そのほかのGLP1療法のアプローチに仕方としては、DPPIVプロテアーゼの不活性化で、それによってGLP1の循環量を増やそうとするものです。type 2 DM治療に新しい薬がでるかもしれないですね。
[★]
- 英
- pituitary adenoma
- 関
- 脳腫瘍、下垂体腫瘍、下垂体前葉ホルモン、下垂体
概念
- 脳下垂体前葉(の内分泌腺細胞)を発生母地とする良性腫瘍。
分類
-
- 成長ホルモン産生腺腫 GH産生腺腫
- プロラクチン産生腺腫 PRL産生腺腫
- 副腎皮質刺激ホルモン産生腺腫 ACTH産生腺腫
- 甲状腺刺激ホルモン産生腺腫 TSH産生腺腫
- ゴナドトロピン産生腺腫
- 混合腺腫
- 非機能性腺腫
放射線診断学的分類
- 鞍内型(enclosed type):手術による治療率が高い、とかなんとか?
- 浸潤型
大きさによる分類
- マクロアデノーマ macroadenoma:10mm以上
- 微小腺腫 マイクロアデノーマ microadenoma:10mm以下
疫学
- 原発性脳腫瘍の16%(IMD.1040)。(頭蓋内腫瘍の約10%。全脳腫瘍の約17%(2000年統計)。)
- 成人の下垂体の5-20%に腺腫が存在するらしい(IMD.1040)。
- 好発年齢:成人(30-50歳)。小児はまれ。
症状
- 下垂体の上に視交叉があるため、下垂体が広がるとトルコ鞍の骨を薄くし風船のように膨らむので視交叉を圧迫するので、視力低下が進行し両耳側半盲などになる。
- 腫瘍組織による下垂体前葉機能低下
- 腫瘍組織より分泌されるホルモンによる機能障害
下垂体腺腫 鞍上部腫瘍の圧迫による内分泌障害
- 生殖・成長に関わるホルモンは真っ先に切られる。
- TSHは代謝のアクセル。代謝をゆるめてみる?
- ACTHはストレス耐性、異化・同化に関わるから重要。
- PRL・・・授乳は生命維持と必要ない・・・けど、下垂体前葉の内分泌細胞数として2番目に多いからと理解?
病理
- 組織学的に一様な腺腫細胞が、血管に富んだ結合組織の隔壁によって分画。(IMD)
検査
画像検査 IMD.1041,YN J-198
- トルコ鞍の拡大(ballooning)。前後13mm、深さ17mm以上
- トルコ鞍底の二重輪郭(double floor)。
- 血管造影:前大脳動脈水平部(A1)および前交通動脈の挙上。
- 頭部CT:トルコ鞍から鞍上槽部へ進展する
- 単純:等吸収~高吸収。微小腺腫は低吸収
- 造影:ほぼ均一に増強
- MRI:腫瘍と周囲組織との関係が明瞭。術前検査として有効。矢状断と前頭断で微小腺腫の診断を行う
- T1強調像:低信号
- T2強調像:高信号
- 造影:ほぼ均一に増強
内分泌検査
ホルモン名称
|
腫瘍
|
頻度 (IMD.1040)
|
頻度 (RNT. 64)
|
症候
|
検査(IMD.1041より引用)
|
成長ホルモン
|
成長ホルモン産生腺腫
|
20%.
|
20%.
|
頭痛、視野欠損、手足の成長、顔貌粗造、手根管症候群、いびきおよび閉塞性睡眠時無呼吸、下顎成長および下顎前突症、骨関節炎および関節痛、過剰発汗、醜形恐怖
|
・安静空腹時のGHが10ng/ml以上と持続的に高値。 ・75gOGTTによっても5ng/ml以下にならない。 ・TRHおよびLH-RH負荷に反応してGH増大。 ・L-ドパまたはブロモクリプチンに対する増加反応がない。(正常:DRアゴニスト→GH↑) ・ソマトメジンC(IGF-I)高値。
|
プロラクチン
|
プロラクチン産生腺腫
|
32%.
|
30%.
|
頭痛、視野欠損、希発月経または無月経、妊孕性の低下、性欲喪失、勃起不全、エストロゲンで初回刺激を受けた(estrogen-primed)女性乳房における乳汁漏出
|
・抗精神病薬、乳房刺激などの原因を除外しても血清PRL濃度が100ng/ml以上。 ・インスリン負荷(IRI)(0.1U/kg)による低血糖刺激(正常:低血糖→TRH↑→PRL↑)、TRH負荷(500μg)(正常:TRH↑→PRL↑)、クロルプロマジン負荷(25mg)(正常:D2R↓→PRL↑)による反応減少。
|
副腎皮質刺激ホルモン
|
ACTH産生腺腫
|
3%.
|
5%.
|
頭痛、視野欠損、近位筋障害、求心性の脂肪分布、神経精神医学的症状、線条、易傷性、皮膚の菲薄化、多毛、骨減少
|
・血中コルチゾールが高値、かつ日内変動なし。 ・尿中17-ヒドロキシコルチコステロイド(17-OHCS)、尿中17-ケトステロイド(17-KS)、尿中コルチゾールが高値。 ・CRH試験(CRH100μg静注) ・健常者:血中ACTHは30分後に、血中コルチゾールは60分後に、それぞれ前値の約2倍に上昇。 ・Cushing病:過剰反応 ・副腎腫瘍・異所性ACTH産生腫瘍によるCushing症候群:無反応
|
甲状腺刺激ホルモン
|
|
|
|
動悸、振戦、体重減少、不眠、過剰な排便(hyperdefecation)、発汗
|
*freeT3、freeT4上昇。 *TSHが、(1)上昇、(2)T3で抑制されない、(3)TRH負荷で無反応。
|
卵胞刺激ホルモン
|
ゴナドトロピン産生腺腫
|
10%.
|
|
|
|
黄体形成ホルモン
|
|
|
|
|
非機能性腺腫
|
18%.
|
40%.
|
頭痛、視野欠損、下垂体不全、などmassの圧排による続発性性腺機能低下症。まれに、卵巣過剰刺激、精巣増大、またはテストステロン値の上昇、
|
|
診断
- トルコ鞍を中心とした脳内局所圧迫症状 + 下垂体ホルモンの過剰・欠乏症状 + 画像所見(CT、MRI)
合併症
- 下垂体卒中:発生頻度は7-9%。血管に富んでいるため腫瘍内出血や梗塞が起こりやすく、急激かつ高度に生じた場合に致命的となる。病理的には出血性壊死による下垂体腫瘍の突然の腫大がみられ、鞍隔膜の破裂をきたすとくも膜下出血となる。脳動脈瘤の合併率は高いらしい。髄膜刺激症状+血性髄液がみられ、クモ膜下出血と誤診されることがある。(IMD.1040)
治療
治療法別
薬物療法
- ブロモクリプチン:ドパミンD2受容体作動薬
- 麦角アルカロイド系:ドパミンD2受容体作動薬
- PRL分泌、GH分泌に対する生理的抑制因子。血漿PRL値、GH値の低下、腫瘍縮小の効果がある。
- ブロモクリプチンで効果不十分な例、外科手術困難例に用いる。
- 50%で腺腫の縮小がみられる。
外科的治療
腫瘍別
プロラクチン産生下垂体腫瘍(2)
- ドパミンアゴニスト(カベルゴリン(麦角由来)・ブロモクリプチン)で腫瘍の縮小・症状の寛解を狙う。手術は一般に、ドパミンアゴニストに耐えられない患者、治療中に下垂体卒中を被る患者、またはマクロプロラクチノーマが医学療法に反応しない患者にのみ行われる。最終的に放射線療法を必要とする。
- ほとんどの微小腺腫と大腺腫はドパミンアゴニストに反応。
- カベルゴリンは、ブロモクリプチン副作用が少なく、ブロモクリプチンに抵抗性の患者また不耐性の患者に有用。
- 妊孕性の回復を目標とする場合、妊娠中の安全性を考慮しブロモクリプチンが第一選択となる。
- 薬物療法に対して微小腺腫では大きさに変化はほとんど認められないが、大腺腫では縮小が期待できる。
参考
- 1. 日本脳神経外科学会 脳神経外科疾患情報ページ
- http://square.umin.ac.jp/neuroinf/medical/205.html
- 2. がん情報サイト|PDQR日本語版(医療専門家向け)下垂体腫瘍の治療(PDQR)
- http://cancerinfo.tri-kobe.org/pdq/summary/japanese-s.jsp?Pdq_ID=CDR0000062915
- 3. プロラクチン(PRL)分泌過剰症の診断と治療の手引き(平成22年度改訂)
- http://square.umin.ac.jp/kasuitai/doctor/guidance/prolactin_surplus.pdf
名称
|
構造
|
分泌細胞
|
下垂体前葉細胞 全細胞に対する 産生細胞の割合
|
染色性
|
腫瘍
|
頻度 (IMD.1040)
|
頻度 (RNT. 64)
|
症候
|
成長ホルモン
|
GH
|
ペプチド
|
somatotroph
|
40-50%
|
好酸性
|
|
成長ホルモン産生腺腫
|
成長ホルモン分泌細胞腺腫
|
20%.
|
20%.
|
頭痛、視野欠損、手足の成長、顔貌粗造、手根管症候群、いびきおよび閉塞性睡眠時無呼吸、下顎成長および下顎前突症、骨関節炎および関節痛、過剰発汗、醜形恐怖
|
プロラクチン
|
PRL
|
mammotroph
|
10-25%
|
好酸性
|
|
プロラクチン産生腺腫
|
プロラクチノーマ
|
32%.
|
30%.
|
頭痛、視野欠損、希発月経または無月経、妊孕性の低下、性欲喪失、勃起不全、エストロゲンで初回刺激を受けた(estrogen-primed)女性乳房における乳汁漏出
|
副腎皮質刺激ホルモン
|
ACTH
|
corticotroph
|
0.1
|
好塩基性
|
嫌色素性
|
ACTH産生腺腫
|
コルチコトロフ腺腫
|
3%.
|
5%.
|
頭痛、視野欠損、近位筋障害、求心性の脂肪分布、神経精神医学的症状、線条、易傷性、皮膚の菲薄化、多毛、骨減少
|
甲状腺刺激ホルモン
|
TSH
|
糖タンパク
|
thyrotroph
|
0.05
|
好塩基性
|
|
|
甲状腺刺激ホルモン分泌細胞腺腫
|
|
|
動悸、振戦、体重減少、不眠、過剰な排便(hyperdefecation)、発汗
|
卵胞刺激ホルモン
|
FSH
|
gonadotroph
|
10-15%
|
好塩基性
|
|
ゴナドトロピン産生腺腫
|
|
10%.
|
|
|
黄体形成ホルモン
|
LH
|
好塩基性
|
|
|
|
|
|
非機能性腺腫
|
非機能性腺腫
|
18%.
|
40%.
|
頭痛、視野欠損、下垂体不全、などmassの圧排による続発性性腺機能低下症。まれに、卵巣過剰刺激、精巣増大、またはテストステロン値の上昇、
|
[★]
- ラ
- anorexia nervosa, AN
- 同
- 神経性食欲不振症、神経性無食欲症
- also see KPS. 798
概念
- 器質的・特定の精神的疾患がないのに、拒食や過食などの食行動の異常、極端なやせ、無月経など種々の身体・精神症状をきたす病態。
- 身体像(ボディイメージ)の障害、やせ願望や肥満恐怖などによる。
病型
- 制限型:少食でやせを維持
- むちゃ食い/排出型:過食しながら自己嘔吐や下剤・利尿薬の乱用でやせを維持
病因
- 1. 遺伝的要因
- 2. 環境要因(人格的脆弱性、生活環境、社会文化的要因)など → ストレスを適切に処理できないために発症
- 性格:内向的、自己中心的、小心、完全癖、潔癖症など
- 生活環境:家庭内の葛藤、学業や人間関係の悩み
- 病態的には、心理的ストレスが大脳皮質を介して視床下部摂食中枢のコルチコトロピン放出ホルモン系を活性化することなどにより、食欲抑制や性機能障害をきたす。
疫学
- 1980年代より増加傾向。日本の有病率は0.4-1.0%(摂食異常調査表による調査)(IMD.922)
- 12-25歳に好発(YN.D-166)。10代後半-20代前半、15歳以下の発症例も増加傾向(IMD.922)。
- 99%が女性(YN.D-166)。男性例は5%以下(IMD.922)
症状
- やせ、無月経
- 病識なし、活動性亢進、むちゃ食い/排出型の場合は自己嘔吐や下剤・利尿薬乱用の習慣化
- 飢餓症候群
- 生活すべてが食とやせの維持に振り回され、ついには飢餓に伴う精神症状が出現
- 集中力・判断力の低下、抑うつ、不安、過敏性、不眠、自傷行為など
身体所見(IMD.922, YN.D-166)
- 低栄養だが、性ホルモンは比較的維持。
- 低血圧、低体温、便秘、徐脈 ← 自律神経失調
- (背中)うぶ毛密生、貧血、浮腫、肝機能障害、
- カロチン症
- 循環障害による皮膚色の変化や凍瘡、末梢神経麻痺
- やせに比して乳房は比較的保たれ、腋毛・恥毛は脱落しないことが多い。
検査
- 白血球数減少、貧血、血小板減少
- 肝機能障害、低血糖、低蛋白血症
- (むちゃ食い/排出型)低Na・低K血症、代謝性アルカローシスや高アミラーゼ血症 ← 低K血症(循環血漿量減少 → RAA系の亢進 → アルドステロンによるKの排出)
- 血清コレステロール値:(軽症)上昇、(重症)低下
- 骨密度の低下
- 甲状腺:T4:→/↑、T3:↓、reverse T3:↑(低T3症候群)。
- 成長ホルモン:↑、インスリン様成長因子-I(IGF-I):↓ ← 末梢でIGF-Iの産生が低下、負のフィードバックにより成長ホルモンが増加
- ACTH、コルチゾール:↑
- 卵胞刺激ホルモン(FSH):→/↑
- 黄体ホルモン(LH):↓
診断
診断基準(厚生省特定疾患・神経性食欲不振症調査研究班, 1990年)
- (2) 標準体重の -20%以上のやせ
- (3) 食行動の異常(不食、大食、隠れ食いなど)
- (4) 体重や体型についての歪んだ認識(体重増加に対する極端な恐怖など)
- (1) 発症年齢:30歳以下
- (5) (女性ならば)無月経
- (6) やせの原因と考えられる器質性疾患がない
- やせや無月経をきたす器質性疾患:視床下部腫瘍、下垂体機能低下症、糖尿病、慢性膵炎、甲状腺機能亢進症、炎症性腸疾患、結核などの感染症、悪性腫瘍
鑑別診断
食思不振症とか錐体機能低下症の比較 IMD.923改変
- 神経性食思不振症では成長ホルモンと糖質コルチコイドの上昇、末梢の甲状腺ホルモンの異常(reverse T3↑のこと?)、インスリン分泌の異常が認められることがある。(参考6) ← 甲状腺、副腎機能は正常と言い切っている書物もあるが、、、
治療
- 医師と患者の信頼関係が重要。体重増加を受け入れてもらう
- 栄養療法:少量・低エネルギー食より開始。栄養不良が著しい場合には静脈栄養/経腸栄養
- 心理社会的療法(認知行動療法)
予後
- 改善50%、不変25%、悪化25%、死亡率5-8%(YN.D-167) ← 過食性食思不振症に比して予後が悪い
参考
- http://www.aiiku.or.jp/aiiku/jigyo/contents/kaisetsu/ks0712/ks0712_4.pdf
- 5. [charged] Patient information: Anorexia nervosa (TheBasics) - uptodate [1]
- 6. [charged] 成人における神経性食思不振症:診断、随伴する臨床的特徴、および評価 - uptodate [2]
- 7. [charged] 成人における神経性食思不振症:合併症の評価およびこれらの合併症管理のための入院基準 - uptodate [3]
- 8. [charged] 成人における神経性食思不振症:薬物療法 - uptodate [4]
- 9. [charged] 成人および思春期における神経性食思不振症:再栄養症候群 - uptodate [5]
- 10. [charged] 成人および思春期における神経性食思不振症:内科的合併症およびその管理 - uptodate [6]
- 11. [charged] 摂食障害:疫学、病因、および臨床的特徴の概要 - uptodate [7]
- 12. [charged] 摂食障害:治療および転帰 - uptodate [8]
[★]
- 英
- examination、test、testing、assessment、trial、exam、examine
- 関
- アセスメント、計測、検査、検定、試み、査定、試行、調べる、診断、治験、調査、テスト、判定、評価、検討、影響評価、実験デザイン、研究デザイン、データ品質、対応群、スコアリング法
循環器
肝臓異物排泄能
カルシウム
ビタミン
血液
- ショ糖溶血試験:(方法)等張ショ糖液に血液を加える。(検査)溶血の存在。低イオン強度では補体の赤血球に対する結合性が増し、発作性夜間血色素尿症 PNHにおいては溶血をきたす。スクリーニング検査として用いられ、確定診断のためにはハム試験を行う。
- ハム試験 Ham試験:(方法)洗浄赤血球に塩酸を加え、弱酸性(pH6.5-7.0)条件にする。(検査)溶血の存在。発作性夜間血色素尿症 PNHにおいては弱酸性条件で補体に対する感受性が亢進するため
産婦人科
内分泌
視床下部-下垂体-糖質コルチコイド
高血圧
- 立位フロセミド負荷試験:(投与)フロセミド、(検査)血漿レニン濃度:フロセミドでhypovolemicとし歩行負荷で交感神経を興奮させレニンの分泌を促す。原発性アルドステロン症の場合、レニン高値のまま無反応。
膵臓
膵外分泌機能
腎臓
ガストリノーマ
感染症
[★]
- 英
- hormone
古典的な定義
- 特定の内分泌腺から分泌され、血行によって運ばれ、遠隔部の特定の標的器官に作用して特異的効果を現す物質(PT.403)
例外
- 消化管ホルモン (PT.403)
- 視床下部ホルモン (PT.403)
- 甲状腺濾胞ホルモン?
- カルシトニン?
ホルモンの一覧表