- 英
- diuretic, diuretics
- 関
- 尿細管
適応
利尿薬の種類 (GOO.744)
利尿薬の例
-
利尿薬の作用部位
- ホルモンと利尿薬の作用部位についての簡単なまとめは→尿細管
参照
- http://hobab.fc2web.com/sub4-Diuretics.htm
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/02/04 22:08:49」(JST)
[Wiki ja表示]
利尿薬(りにょうやく、英: diuretic)は、尿量を増加させる作用を持つ薬物の総称である。
尿は水分や電解質を体外へ排出する最も効果的な手段である。尿は腎臓でつくられるが、腎臓は体内の状況に応じて尿の量や濃度を調節し、全身の体液を一定に保つよう制御している。利尿薬は、この調節機構が適切にはたらかない病態などにおいて、水分を体外に排出するために用いられる。腎臓の項も参照のこと。
目次
- 1 浸透圧利尿薬
- 2 ループ利尿薬
- 3 サイアザイド系利尿薬
- 4 K保持性利尿薬
- 5 その他の利尿薬
- 6 副作用
- 7 関連項目
- 8 参照・脚注
浸透圧利尿薬[編集]
浸透圧利尿薬は糸球体で濾過されると再吸収されないため、尿細管内の浸透圧が上昇し、水の再吸収が抑制される。脳圧亢進時などに用いられる。
ループ利尿薬[編集]
ヘンレのループにおいてNaとClの再吸収を阻害する。腎機能に悪影響を与えないため、利尿薬の第一選択として使用される。また心不全、高血圧治療薬としても使用される。
- フロセミド(ラシックス®,オイテンシン®, 後発品あり)
- トラセミド (ルプラック®)
- アゾセミド(ダイアート®、長時間作用型)
- ピレタニド(アレリックス®、作用時間はフロセミドに近い)
サイアザイド系利尿薬[編集]
遠位尿細管においてNaとClの再吸収を阻害する。降圧剤としても使用される。大規模臨床試験では他剤と遜色ない結果を得ており、現在も高血圧治療薬の代表的なもの。[1]
- ヒドロクロロサイアザイド(HCTZ,ダイクロトライド®)
- トリクロルメチアジド(フルイトラン®)
- インダパミド(ナトリックス®)
- クロルタリドン(ハイグロトン®)
K保持性利尿薬[編集]
抗アルドステロン薬とも。遠位尿細管においてアルドステロン(抗利尿ホルモン)に拮抗し、Naの再吸収を阻害する一方、Kの尿中排泄を抑制する。ループ利尿薬等と合わせて、肝硬変、うっ血性心不全などに対して使用される。またセララ®は高血圧に対してしか日本では適応症はない。
- トリアムテレン(トリテレン®)
- スピロノラクトン(アルダクトンA®)
- カンレノ酸カリウム(ソルダクトン®注)
- エプレレノン(セララ®錠)
その他の利尿薬[編集]
- アセタゾラミド(ダイアモックス)は、緑内障やメニエール病に対して使用される。
- 塩酸ドパミン(イノバン)は、腎血流量を増やして間接的に利尿作用を示す。
- アミノフィリン(ネオフィリン)や強心薬も利尿作用を示す。
- カルペリチド(ハンプ)は心房性Na利尿ペプチド(ANP)と呼ばれ、重症心不全時の利尿薬として使用される。
- トルバプタンは、世界初のバソプレシンV2-受容体拮抗剤。大塚製薬より「サムスカ®錠 15mg」として2010年12月14日上市された。
副作用[編集]
- アロプリノール(ザイロリック®)を服用するのではなく、利尿薬減量のうえ、ロサルタンやシルニジピン併用とするとよい。[2][3]
- ボクシング等の階級制の競技において、体重調整の最後の手段として利尿剤が使用されることがあるが、ドーピング検査においても利尿剤は禁止薬物として指定されていることが多い。副作用も大きく、治療以外の目的で利尿剤を使用することは危険も伴うため、絶対にさけるべきである。
関連項目[編集]
参照・脚注[編集]
- ^ 木村玄次郎(2006), 高血圧治療と利尿薬, 呼吸と循環, 54(1):71-80.
- ^ シルニジピンの糖尿病合併高血圧症例に関する特定使用成績調査結果 永濱 忍,他:診療と新薬 2009;46:473-491
- ^ N型カルシウム拮抗薬シルニジピンの筋原性高尿酸血症抑制作用 浜田紀宏,他:診療と新薬 2006;43:382-386
薬理学:医薬品の分類 |
|
消化器/代謝(A) |
胃酸中和剤(制酸薬、H2ブロッカー、プロトンポンプ阻害薬) • 制吐薬 • 瀉下薬 • 止瀉薬/止痢薬 • 抗肥満薬 • 経口血糖降下薬 • ビタミン • ミネラル
|
|
血液、血液生成器官(B) |
抗血栓薬(抗血小板剤、抗凝固薬、血栓溶解薬) • 抗出血(血小板、凝固・線溶系、抗線維素溶解性)
|
|
循環器系(C) |
心臓療法/狭心症治療薬(強心配糖体、抗不整脈薬、強心剤) • 高血圧治療薬 • 利尿薬 • 血管拡張薬 • 交感神経β受容体遮断薬 • カルシウム拮抗剤 • レニン-アンジオテンシン系(ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、レニン阻害薬) • 脂質降下薬(スタチン、フィブラート、胆汁酸捕捉因子)
|
|
皮膚(D) |
皮膚軟化薬 • 瘢痕形成剤 • 鎮痒薬 • 乾癬治療薬 • 他の皮膚薬
|
|
泌尿生殖器系(G) |
ホルモン避妊薬 • 排卵誘発治療 • SERM • 性ホルモン
|
|
内分泌器(H) |
視床下部脳下垂体ホルモン • 副腎皮質ホルモン(糖質コルチコイド、ミネラルコルチコイド) • 性ホルモン • 甲状腺ホルモン/抗甲状腺薬
|
|
感染(J、P、QI) |
抗菌薬 (抗生物質) • 抗真菌薬 • 抗ウイルス薬 • 抗寄生虫薬(抗原虫薬、駆虫薬) • 外部寄生虫駆除剤 • 静注用免疫グロブリン • ワクチン
|
|
悪性腫瘍(L01-L02) |
抗がん剤(代謝拮抗薬、抗腫瘍性アルキル化薬、紡錘体毒、抗悪性腫瘍薬、トポイソメラーゼ阻害薬)
|
|
免疫系(L03-L04) |
免疫調節薬(免疫賦活薬、免疫抑制剤)
|
|
筋肉、骨、関節(M) |
アナボリックステロイド • 抗炎症薬(NSAIDs) • 抗リウマチ • 副腎皮質ホルモン • 筋弛緩剤 • ビスホスホネート
|
|
脳、神経(N) |
鎮痛剤 • 麻酔剤(一般、局所・静脈) • 食欲低下薬 • ADHD治療 • 中毒医学 • 抗てんかん薬 • アルツハイマー治療 • 抗うつ薬 • 片頭痛治療 • 抗パーキンソン病薬 • 抗精神病薬 • 抗不安薬 • 抑制剤 • エンタクトゲン • エンセオジェン • 陶酔薬 • 幻覚剤(精神展開薬、解離性麻酔薬、デリリアント) • 睡眠導入剤/鎮静薬 • 気分安定薬 • 神経保護 • スマートドラッグ • 神経毒 • 食欲促進 • セレニック • 覚醒剤 • 覚醒促進物質
|
|
呼吸器(R) |
鬱血除去薬 • 気管支拡張薬 • 鎮咳去痰薬 • 抗ヒスタミン薬
|
|
感覚器(S) |
眼科学 • 耳科学
|
|
その他ATC(V) |
解毒剤 • 造影剤 • 放射性薬理学 • 湿潤療法
|
|
心血管疾患 |
|
疾患 |
|
心疾患
|
不整脈
|
徐脈性
|
洞不全症候群 | 房室ブロック | 脚ブロック(右脚ブロック · 完全右脚ブロック · 左脚ブロック)
|
|
頻脈性
|
上室性
|
洞性頻脈(en) | 心房細動 | 心房粗動(en) | ブルガダ症候群 | QT延長症候群 | WPW症候群
|
|
心室性
|
心室細動 | 心室頻拍
|
|
|
|
虚血性疾患
|
狭心症 | 急性冠症候群 | 心筋梗塞 | 冠動脈血栓症
|
|
弁膜症
|
僧帽弁狭窄症 | 僧帽弁閉鎖不全症 | 三尖弁狭窄症 | 三尖弁閉鎖不全症 | 大動脈弁狭窄症 | 大動脈弁閉鎖不全症
|
|
先天性心疾患
|
心房中隔欠損 | 心室中隔欠損 | 心内膜床欠損症 | 動脈管開存症 | ファロー四徴症(極型ファロー四徴症) | 大血管転位(左旋性 · 右旋性) | 総肺静脈還流異常症 | 大動脈縮窄 | 左心低形成症候群 | 両大血管右室起始症(en) | 三尖弁閉鎖(en)
|
|
心内膜・心筋
・心膜疾患
|
心内膜疾患
|
感染性心内膜炎
|
|
心膜疾患
|
心膜炎(急性心膜炎 · 慢性収縮性心膜炎) | 心タンポナーデ
|
|
心筋疾患
|
心筋症(特発性拡張型心筋症 · 肥大型心筋症 · 拘束型心筋症 · 特発性心筋症) | 心筋炎
|
|
|
心臓腫瘍(en) | 心臓神経症(en) | 心臓性喘息 | 肺性心
|
|
|
血管疾患
|
大血管
|
大動脈瘤 | 大動脈解離 | 大動脈炎症候群
|
|
動脈
|
閉塞性動脈硬化症 | 閉塞性血栓性血管炎 | 動静脈瘻 | 動脈硬化 | レイノー病
|
|
静脈
|
静脈瘤 | 血栓性静脈炎 | 静脈血栓塞栓症 | 脂肪塞栓症
|
|
|
|
|
病態・症候 |
|
心不全
|
左心不全 | 右心不全
|
|
血圧異常
|
高血圧
|
本態性高血圧症(en) | 二次性高血圧(en) | 高血圧性緊急症(en)
|
|
低血圧
|
|
|
心臓発作 | 心臓肥大 | 心停止 | 心肺停止
|
|
|
|
所見・検査 |
|
血圧計 | 聴診 | 心雑音 | 心電図 | 心電図モニタ | 心臓超音波検査 | 胸部X線写真 | 胸部X線CT | 心臓カテーテル検査(肺動脈カテーテル) | 心臓核医学検査
|
|
|
治療 |
|
外科的治療
|
冠動脈バイパス術(CABG)
|
CABG | off-pump CAB(en) | MIDCAB(en) | TECAB(en)
|
|
弁膜症手術
|
弁置換術(en) | 弁形成術(en) | 弁輪形成術 | 交連切開術(en)
|
|
大動脈手術
|
大動脈人工血管置換術 | 大動脈基部置換術 (Bentall, David) | ステントグラフト内挿術(en)
|
|
小児心臓外科
|
先天性心疾患手術
|
|
心不全外科
|
心移植術 | 補助人工心臓装着術 | バチスタ手術
|
|
不整脈外科
|
メイズ手術(en) | ペースメーカー | 植え込み型除細動器
|
|
末梢血管手術
|
末梢動脈血行再建術 | 末梢静脈血行再建術 | 静脈抜去術(en) | 静脈血栓摘除術(en) | 内シャント作成術
|
|
|
内科的治療
|
循環作動薬
|
抗不整脈薬
|
Ia群: プロカインアミド, キニジン
Ib群: リドカイン, フェニトイン
Ic群: フレカイニド(en), プロパフェノン(en)
II群: 交感神経β受容体遮断薬(プロプラノロールなど)
III群: アミオダロン, ソタロール(en)
IV群: カルシウム拮抗剤(ベラパミル, ジルチアゼムなど)
|
|
心不全治療薬(en)
|
利尿薬 | 血管拡張薬 | 強心配糖体 | 強心剤 | PDEⅢ阻害薬
|
|
狭心症治療薬
|
交感神経β受容体遮断薬 | 硝酸薬
|
|
高血圧治療薬
|
利尿薬 | 交感神経β受容体遮断薬 | レニン-アンジオテンシン系 (ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、レニン阻害薬(en)) | カルシウム拮抗剤 | アドレナリン作動薬 | 脂質降下薬
|
|
|
血管内治療
|
経皮的冠動脈形成術
|
|
|
|
|
循環器系の正常構造・生理 |
|
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 血圧管理 : 小児 (第1土曜特集 CKD診療ガイド2012 ガイドブック) -- (管理法各論)
- 心不全治療における利尿 : バソプレシン受容体拮抗薬への期待と課題 (AYUMI 利尿薬の最新エビデンス)
- 心不全治療薬におけるミネラロコルチコイド受容体遮断薬の位置づけ : 利尿薬なのか? (AYUMI 利尿薬の最新エビデンス)
- 心不全治療におけるループ利尿薬の位置づけ : J-MELODIC試験を受けて (AYUMI 利尿薬の最新エビデンス)
Related Links
- 利尿薬(りにょうやく、英: diuretic)は、尿量を増加させる作用を持つ薬物の総称である。 尿は水分や電解質を体外へ排出する最も効果的な手段である。尿は腎臓でつくられる が、腎臓は体内の状況に応じて尿の量や濃度を調節し、全身の体液を一定に保つよう ...
- 利尿薬 1.炭酸脱水酵素阻害薬 糸球体で濾過された重炭酸イオン(HCO3-)は、80% が近位尿細管で再吸収される。重炭酸イオンは、接合尿細管(CNT)、集合管(CCD、 OMCD、IMCD)では、再吸収と分泌が行われる。 近位尿細管の管腔側の刷子縁には、 ...
- 高血圧の薬:利尿薬の種類と作用機序について解説しているページです。
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 次の文を読み、25~27の問いに答えよ。
- 55歳の男性。激しい胸痛のため救急車で搬入された。
- 現病歴:1週前から階段を昇るときに前胸部痛を自覚したが安静にて消失するため放置していた。今朝から激しい前胸部痛が出現し持続している。
- 既往歴:48歳から高脂血症で加療中である。
- 現症:意識は清明。顔面は苦悶様である。体温36.6℃。呼吸数25/分。脈拍64/分、整。血圧144/96mmHg。貧血と黄疸とを認めない。皮膚は冷汗をかき湿潤である。心雑音はない。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦。下腿に浮腫を認めない。
- 検査所見:尿所見:比重1.018、蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)、沈渣に異常を認めない。血液所見:赤血球520万、Hb16.7g/dl、Ht50%、白血球10,400、血小板26万。血清生化学所見:尿素窒素28mg/dl、クレアチニン1.1mg/dl、AST55単位、ALT20単位、LDH350単位(基準176~353)、CK680単位(基準10~40)、Na144mEq/l、K4.2mEq/l、Cl106mEq/l。心電図を以下に示す。
- ST上昇:II.III.aVF。(軽度)V5,V6 →下壁梗塞 + 側壁梗塞
- ST低下:(reciprocal change)I,aVL,V1-V4
[show details]
血液生化学
心筋梗塞#血液検査
心電図
- 発症から数時間と考えられる。
- ST上昇:II, III, aVF. (軽度)V5,V6
- 血管 :RCA(右冠状動脈)→後下行枝(左心室下壁分布)
下壁梗塞に伴う心ブロック
- 1. 房室結節枝への血流途絶
- 2. 副交感神経の興奮
- acute coronary syndrome refers to any constellation of clinical symptoms that are compatible with acute myocardial ischemia and encompasses acute myocardial infarction as well as unstable angina. (washington manuall 32th ed p.131)
不安定狭心症の定義
最近3週間以内に狭心症が増悪した場合(発作の誘因、強さ、持続時間、硝酸薬の有効性)と、新たに発症した狭心症
- 急性心筋梗塞の診断と治療
- ・主訴:激しい胸痛
- ・問診(S)
- 1週前から階段を昇るときに前胸部痛を自覚したが安静にて消失 → 労作時狭心症?。不安定狭心症?
- 今朝から激しい前胸部痛が出現、持続 → 急性心筋梗塞?
- 高脂血症(48歳~。加療中) → 冠状動脈疾患のリスク因子
- ・診察(O)
- 顔面は苦悶様
- 頻呼吸(25/分) →
- 高血圧(144/96mmHg)
- 皮膚冷汗・湿潤
- ・検査結果(O)
- 白血球 10,400/mm3 → 心筋梗塞に伴って上昇することがある。
- 尿素窒素 28mg/dl → 腎機能低下
- クレアチニン 1.1mg/dl → 腎機能低下
- AST 55単位 → 心筋逸脱酵素
- LDH 350単位(基準176~353) → 心筋逸脱酵素
- CK 680単位(基準10~40) → 心筋逸脱酵素
- ECG ST上昇 → 虚血性心疾患
- ・診断と治療
- 1. 気道確保、酸素投与、静脈路確保
- 2. 心電図装着、パスルオキシメータ装着
- 3. 胸部単純X線写真
- 4. 心エコー → 壁運動。解離性大動脈瘤の否定
- 5. 心カテーテルによる造影検査
- 6. 心カテーテルによる経皮的冠動脈形成術
- ・心電図:発症から数時間と考えられる。
- 下壁梗塞
- ST上昇:II, III, aVF. (軽度)V5,V6
- 血管 :RCA(右冠状動脈)→後下行枝(左心室下壁分布)
- 下壁梗塞に伴う心ブロック
- 1. 房室結節枝への血流途絶
- 2. 副交感神経の興奮
- 下壁には副交感神経が豊富に分布しており、心筋梗塞による神経終末の刺激で副交感神経が興奮し低血圧、嘔吐、徐脈、さらに洞徐脈、洞停止、房室ブロックを起こす(ベツォルド-ヤーリッシュ反射 Bezold-Jarisch反射)。
- ====
- a. SpO2の値が記されていないが、酸素飽和度95%以上に保つことが大切みたい。
- 交感神経が緊張しているから末梢の血管が締まっているのですね。そうしないと心拍出量を保てないほど心機能が低下しているのかもしれません。左心不全の後方症状はまだで前方症状が現れる前の段階でしょうか。末梢組織の酸素化を助けるために、酸素投与が良いかもしれません。頻呼吸でもある。あげておいて悪いことはないし、大抵QQできた患者さんには大抵つけられている。
- b. 輸液を入れられる準備をしておくのが良いでしょう。酸素投与と静脈路確保は救急の基本でしょう
- c. 肺うっ血とか肺水腫所見がないからいらない。むしろ、血圧が低下して、駆出できる血液量が減少して良いことがないのでは?
- d 末梢循環を回復させるにはいい手段。心臓の駆出量も確保される。
- e ありえない。使うのはVFかpulseless VTだけ。
- ====
- ・心電図
- 完全房室ブロックが起きました。
- 徐脈の治療
- アトロピンの投与。無効であれば、緊急ペーシング(体外式のペーシング)
- a. 強心配糖体。今では専ら「心房細動」(を伴う心不全)の治療で用いられる。つまり、房室結節の伝導抑制のために用いる。
- b. βブロッカー。β1受容体に拮抗して心拍数↓、心収縮力↓、心伝導速度↓、、、
- c. 冠血管拡張、静脈系の血管拡張で、、、狭心症の治療をしたいわけじゃない。
- d. よし
- e. 大動脈内バルーンパンピング, intraaortic balloon pumping, IABP
- 適応
- 急性心筋梗塞、不安定狭心症、心原性ショックで、冠循環の改善と心臓のポンプ機能を補助したい場合
- 禁忌
- 大動脈弁閉鎖不全、大動脈解離、腎機能不全、胸部大動脈の人工血管置換術後(12ヶ月以内)(ICU.233)
- 大動脈弁閉鎖不全症、大動脈の高度な硬化性病変の合併
- ====
- a. 解像度が悪い、最近良くなったけどね。時間がかかるらしく、緊急には不向き。
- b. 大動脈解離の可能性があれば造影CT。胸部単純CTで冠状動脈の評価とか多分できないだろうし、あまり診断治療に有用でない
- c. 心電図装着。放射線を出すタリウムを静脈投与。平面像またはSPECTにより断層像を撮影。一定時間後に再度撮影。
- 心筋の血流を確認することができる。心筋が生きているのかどうか、心筋が虚血なのかどうか。これにより狭心症の詳細な評価が可能(心筋に虚血が起こっているのかどうか、もし起こっていれば、それはどこか?)
- d. 狭心症の診断に用いる。当然、急性心筋梗塞の急性期は禁忌。 運動負荷心電図#禁忌 LAB.1519
- e. 診断と治療を行うことができる。
[正答]
※国試ナビ4※ [100C024]←[国試_100]→[100C026]
[★]
- 次の文を読み、60~62の問いに答えよ。
- 63歳の女性。腹部膨隆と尿失禁とを主訴に来院した。
- 現病歴:2年前から腹部膨満感を認めるようになった。次第に腹部膨隆が目立つようになり、食欲はあるが食事をとるのがつらく、時々尿失禁を認めるようになったため受診した。
- 既往歴:30歳時に子宮内膜症。
- 生活歴:幼少期に両親が離婚して母親と2人で暮らしていたが、母親が死亡したため3年前からは一人暮らし。
- 家族歴:父親は詳細不明。母親が肺炎のため85歳で死亡。
- 現症:意識は清明。身長 157cm、体重 55kg。体温 36.5℃。脈拍 84/分、整。血圧 166/90mmHg。呼吸数 18/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は著明に膨隆し、腫大した肝と腫瘤とを腹部全体に触知する。腸雑音に異常を認めない。四肢に異常を認めない。
- 検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ケトン体1+、潜血1+、沈渣に白血球を認めない。血液所見:赤血球 406万、Hb 12.3g/dL、Ht 41%、白血球 6,130、血小板 22万。血液生化学所見:総蛋白 7.8g/dL、アルブミン 4.5g/dL、総ビリルビン 0.4mg/dL、AST 18IU/L、ALT 9IU/L、LD 157IU/L(基準 176~353)、ALP 288IU/L(基準 115~359)、γ-GTP 44IU/L(基準 8~50)、アミラーゼ 95IU/L(基準 37~160)、尿素窒素 24mg/dL、クレアチニン 1.2mg/dL、尿酸 6.3mg/dL、血糖 98mg/dL、総コレステロール 195mg/dL、トリグリセリド 152mg/dL、Na 140mEq/L、K 3.9mEq/L、Cl 103mEq/L。腹部単純CTの冠状断像(別冊No. 12)を別に示す。
- この時点での対応として適切でないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109E060]←[国試_109]→[109E062]
[★]
- 次の文を読み、58~60の問いに答えよ。
- 79歳の男性。ふらつきを主訴に来院した。
- 現病歴:3年前に妻を亡くし、1人暮らし。隣県に住む娘が時々様子を見に来ており、数か月前から物忘れが目立ち、残薬も多いことに気づいたが、主治医には知らせていなかった。食事は給食サービスを受けていたが、服薬管理など生活上の問題を心配した娘が、2週前に老人ホームに入居させた。以後は介護職員が薬を管理している。約1週前から起立時や歩行時にふらつきを自覚するようになり、心配した職員に付き添われて受診した。
- 既往歴:60歳で高血圧症と糖尿病とを指摘され、1年前から利尿薬、β遮断薬、抗血小板薬、スルホニル尿素薬およびアンジオテンシン変換酵素阻害薬を処方されている。この1年間処方内容は変更されていない。
- 家族歴:父親が脳卒中のため65歳で死亡。
- 現症:意識は清明。身長165cm、体重67kg。体温35.8℃。脈拍36/分。血圧128/64mmHg。呼吸数16/分。口腔内は湿潤している。心雑音を聴取しない。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢の筋力は保たれており、浮腫を認めない。腱反射に異常はない。
- 検査所見:血液所見:赤血球407万、Hb 12.4g/dl、Ht 38%、白血球6,800、血小板18万。血液生化学所見:随時血糖126mg/dl、HbA1c(NGSP)6.5%(基準4.6~6.2)、総蛋白7.0g/dl、アルブミン3.8g/dl、尿素窒素18mg/dl、クレアチニン1.2mg/dl、AST 38IU/l、ALT 32IU/l、Na 135mEq/l、K 4.6mEq/l、Cl108mEq/l。CRP 0.3mg/dl。心電図(別冊No.8)を別に示す。
- 服用している薬剤でこの心電図異常の原因となるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107E058]←[国試_107]→[107E060]
[★]
- 76歳の男性。全身倦怠感と呼吸困難とを主訴に来院した。昨日、引っ越しのために一日中荷物の移動を行った。その後、全身倦怠感を自覚していたが、21時ころに就寝した。午前2時ころ呼吸困難が生じてきたため、しばらく座位で安静にしたという。今朝も全身倦怠感と呼吸困難が改善せず、呼気時の喘鳴も出現してきたため妻とともに受診した。10年前に健康診断で不整脈を指摘されていたが、特に症状がなかったので医療機関を受診していなかった。意識は清明。身長 167cm、体重 66kg。体温 36.2℃。脈拍 84/分、不整。血圧 152/66mmHg。呼吸数 24/分。SpO2 95%(room air)。胸部の聴診ではⅢ音と心尖部に最強点を有するⅢ/Ⅵの汎(全)収縮期雑音を聴取する。両側の胸部でwheezesを聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。両側の脛骨前面に圧痕を残す浮腫を認める。血液所見:赤血球 459万、Hb 14.1g/dL、Ht 42%、白血球 4,900、血小板 19万。血液生化学所見:総蛋白 7.6g/dL、アルブミン 3.8g/dL、総ビリルビン 1.1mg/dL、直接ビリルビン 0.3mg/dL、AST 52IU/L、ALT 49IU/L、LD 420IU/L(基準 176~353)、ALP 358IU/L(基準 115~359)、γ-GTP 60IU/L(基準8~50)、アミラーゼ 124IU/L(基準 37~160)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)478pg/mL(基準 18.4以下)、尿素窒素 16mg/dL、クレアチニン 1.1mg/dL、Na 141mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 104mEq/L。CRP 1.3mg/dL。心電図(別冊No. 28A)と胸部エックス線写真(別冊No. 28B)とを別に示す。心エコーで左室駆出率 44%であり、高度の僧帽弁逆流と下大静脈の拡大とを認める。
- 初期治療において投与するのはどれか。3つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [110I079]←[国試_110]→[ ]
[★]
- 次の文を読み、47、48の問いに答えよ。
- 48歳の男性。夜間の呼吸困難のため救急車で搬入された。
- 現病歴 : 4年前に狭心症と診断され、アスピリンと亜硝散薬とを服薬していたが、半年前から中断していた。3か月前から通勤途中の駅の階段を昇るとき軽度の胸痛を感じていた。2か月前から、就眠前の安静時にも軽度の胸痛が出現するようになった。2週前の夕方、勤務中に冷汗を伴う前胸部絞扼感を感じたが、30分ほど安静にしていると軽快した。昨夜、就寝後1時間ほどで呼吸困難のため覚醒した。横になると呼吸困難が再発するので眠れず、午前3時に来院した。
- 既往歴 : 8年前に健康診断で糖尿病を指摘されたことがある。
- 現症 : 意識は清明。身長169cm、体重68kg。呼吸数28/分。脈拍92/分、整。血圧122/88mmHg。頚静脈の怒張と下腿の浮腫とを認める。心雑音はない。両下肺にcoarse crackles を聴取する。右季肋部に圧痛を認める。
- 検査所見 : 尿所見:蛋白1+、糖1+。血液所見:赤血球430万、Hb14.2g/dl、Ht42%、白血球6,500、血小板30万。血清生化学所見:血糖150mg/dl、HbA1c6.8%(基準4.3~5.8)、総蛋白7.0g/dl、尿素窒素17mg/dl、クレアチニン0.9mg/dl、総コレステロール204mg/dl、トリグリセライド129mg/dl(基準50~130)、総ビリルビン0.5mg/dl、AST22単位(基準40以下)、ALT34単位(基準35以下)、LDH320単位(基準176~353)、CK40単位(基準10~40)、Na 148mEq/l、K4.6mEq/l、Cl103mEq/l。入院時の心電図を以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [098F047]←[国試_098]→[098F049]
[★]
- 次の文を読み、7~9の問いに答えよ。
- 66歳の男性。腹部膨満感を主訴に来院した。
- 現病歴 : 20年前から慢性肝炎の診断で近医に通院中であった。3週前から下腹部が張る感じがあり、最近増強した。この1か月で体重が5kg増加した。
- 既往歴 : 25歳の時に十二指腸潰瘍の出血で輸血を受けた。
- 現症 : 意識は清明。身長166cm、体重60kg。体温36.7℃。脈拍76/分、整。血圧146/60mmHg。眼球結膜に黄染を認める。手掌紅斑と胸部のクモ状血管腫とを認める。腹部は全体的に膨隆し、緊満している。肝は触知せず、脾濁音界は拡大し、脾辺縁を触知する。下肢に浮腫を認める。
- 検査所見 : 尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ウロピリノゲン2+、ビリルビン1+、潜血(-)。血液所見:赤血球380万、Hb11.9g/dl、Ht37%、白血球3,500、血小板6万、プロトロンビン時間67%(基準80~120)。血清生化学所見:空腹時血糖92mg/dl、総蛋白5.3g/dl、アルブミン2.1g/dl、γ-グロブリン35.5%、尿素窒素8.3mg/dl、クレアチニン0.7mg/dl、アンモニア42μg/dl(基準18~48)、総コレステロール130mg/dl、総ビリルビン4.7mg/dl、直接ビリルビン2.9mg/dl、AST89単位、ALT45単位、ALP366単位(基準260以下)、γ-GTP392単位(基準8~50)、Na136mEq/l、K3.9mEq/l、Cl103mEq/l。免疫学所見:CRP0.1mg/dl、HBs抗原(-)、HCV抗体(+)、AFP16ng/ml(基準20以下)。腹部超音波検査では大量の腹水の貯留を認め、肝辺縁は鈍化し、表面は不整、肝実質も不均一である。結節像は認めない。
[正答]
※国試ナビ4※ [100C008]←[国試_100]→[100C010]
[★]
- 72歳の女性。咳と労作時息切れとを主訴に来院した。 1年前から乾性咳嗽と労作時呼吸困難とを自覚し、時に朝方のこわばりも自覚していた。 1か月前から増悪するため受診した。既往歴に特記すべきことはない。意識は清明。身長 162 cm、体重62 kg。体温 36.8℃。脈拍 76/分、整。血圧 130/60 mmHg。皮疹を認めない。心音に異常を認めない。両側の背下部に fine cracklesを聴取する。両側手指の変形、腫脹および圧痛は認めない。血液所見:赤血球 269万、 Hb 8.7 g/dl、Ht 25%、白血球9,700(桿状核好中球 5%、分葉核好中球 74%、好酸球 2%、単球 4%、リンパ球 13% )、血小板 22万。血液生化学所見:総蛋白 6.8 g/dl、アルブミン 2.8 g/dl、AST 22 IU/l、 ALT 12 IU/l、LD 253 IU/l(基準 176~ 353)、尿素窒素 18 mg/dl、クレアチニン 1.1mg/dl、尿酸 5.9 mg/dl、脳性ナトリウム利尿ペプチド〈BNP〉10 pg/ml(基準 18.4以下 )、 KL-6 996 U/ml(基準 500未満 )。免疫血清学所見: CRP 8.7 mg/dl、リウマトイド因子〈RF〉315 IU/ml(基準 20未満 )、抗 CCP抗体 65 U/ml(基準 4.5未満 )、抗核抗体 80倍 (基準 20以下 )、サーファクタントプロテインD〈SP-D〉178 ng/ml(基準 0~109)。動脈血ガス分析 ( room air): pH 7.47、PaCO2 34 Torr、PaO2 63 Torr、HCO3-24 mEq/l。呼吸機能検査所見:% VC 63%、 FEV1% 79%、% DLco 35.6%。胸部エックス線写真 (別冊 No.29A)と肺野条件の胸部単純 CT(別冊 No.29B)とを別に示す。
- 治療薬として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [108D057]←[国試_108]→[108D059]
[★]
- 次の文を読み、7~9の問いに答えよ。
- 46歳の男性。背部に放散する激しい腹痛を主訴に来院した。
- 現病歴 : 昨日の夕方に大量飲酒した。夜半から背部に放散する上腹部痛が出現した。今朝から疼痛がさらに増強し、腹部全体に広がり、冷汗も出現した。
- 既往歴 : 6年前腹部超音波検査で胆石を発見されたが放置している。3年前から高血圧症でカルシウム拮抗薬を投与されている。
- 嗜好 : 32歳時から1日平均約3合の日本酒を毎日飲酒している。
- 現症 : 身長165cm、体重76kg。体温37.8℃。呼吸数34/分。脈拍124/分、整。血圧76/48mmHg。心肺に異常所見はない。腹部では、全体に圧痛を認め、反跳痛も認める。左背部に叩打痛を認める。
- 検査所見 : 尿所見:蛋白1+、糖(-)。血液所見:赤血球391万、Hb12.7g/dl、Ht38%、白血球11,800。血清生化学所見:血糖215mg/dl、総蛋白6.2g/dl、アルブミン3.3 g/dl、尿素窒素50mg/dl、クレアチニン2.0mg/dl、総ビリルビン1.0 mg/dl、GOT62単位(基準40以下)、GPT76単位(基準35以下)、LDH760単位(基準176~353)、アルカリホスファターゼ296単位(基準260以下)、γ-GTP320単位(基準8~50)、アミラーゼ1,560単位(基準37~160)、Na133mEq/l、K5.0mEq/l、Cl 100mEq/l、Ca 7.2mg/dl、CRP 38mg/dl(基準0.3以下)。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air)PO2 60.6 Torr、base excess -5mEq/l。
[正答]
※国試ナビ4※ [095H006]←[国試_095]→[095H008]
[★]
- 61歳の男性。手のこわばりを主訴に来院した。 4か月前から Raynaud現象と手のこわばりとを自覚していた。意識は清明。体温 37.3 ℃。脈拍 72/分、整。血圧 130/84 mmHg。呼吸数 16/分。 SpO2 95% ( room air)。上肢と体幹に皮膚硬化を認める。心音に異常を認めない。呼吸音は両側の背下部に fine cracklesを聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。尿所見:蛋白 1+、潜血 (-)、沈渣に硝子円柱 1 /数視野。血液所見:赤血球 383万、 Hb 12.0 g/dl、Ht 35%、白血球 9,200、血小板 28万。血液生化学所見:総蛋白 6.9 g/dl、アルブミン 3.5 g/dl、IgG 1,686 mg/dl(基準 960~1,960)、 IgA 255 mg/dl(基準 110~410)、 IgM 70 mg/dl(基準 65~350)、 AST 20 IU/l、ALT 12 IU/l、LD 177 IU/l(基準 176~353)、尿素窒素 11.1 mg/dl、クレアチニン 0.9mg/dl、尿酸 6.9 mg/dl、血糖 98 mg/dl、Na 139 mEq/l、K 3.9 mEq/l、Cl 104 mEq/l。免疫血清学所見: CRP 1.3 mg/dl、抗核抗体 1,280倍 (基準 20以下 )、抗 Scl-70抗体陽性。胸部 CTで両側下葉に網状影を認める。皮膚硬化に対してプレドニゾロン 30mg/日を投与した。 1週後に血圧が 180/100 mmHgに上昇し、クレアチニン 1.9 mg/dl、尿酸 9.0 mg/dl、Na 138 mEq/l、K 4.5 mEq/l、Cl 106 mEq/lとなった。
- 現時点での治療法として最も適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108D046]←[国試_108]→[108D048]
[★]
- 次の文を読み、1~3の問いに答えよ。
- 34歳の初産婦。胎児の異常を指摘され、妊娠31週に近医の紹介で精査のため入院した。
- 現病歴 : 妊娠初期に特記すべきことはなく、妊娠29週ころから軽度の腹部緊満感を訴えていた。妊娠30週の妊婦健康診査で胎児の異常を指摘された。
- 既往歴・家族歴 : 特記すべきことはない。
- 現症 : 意識は清明。身長155cm、体重58㎏。体温36.0℃。脈拍80/分、整。血圧98/64mmHg。下肢に浮腫を認める。触診上、胎児は第1頭位であった。子宮底長32cm。
- 検査所見 : 尿所見:蛋白(-)、糖(-)。
- 血液所見:赤血球320万、Hb10.2g/dl、Ht30%、白血球9,800、血小板20万。
- 血清生化学所見:総蛋白6.0g/dl、アルブミン3.1g/dl、クレアチニン0.5mg/dl、AST22単位、ALT20単位、LDH180単位(基準176~353)、アルカリホスファターゼ350単位(基準260以下)。胎児の腹部超音波写真(別冊No.1A)と胎児MRIのT2強調冠状断像(別冊No.1B)とを別に示す。
- 入院後の経過:腹部緊満感が徐々に強くなり、妊娠33週には子宮底長が38cmとなり、軽度の呼吸困難を訴えるようになった。超音波検査で羊水腔の拡大が認められる。胎児心拍数パターンに以上を認めない。
[正答]
※国試ナビ4※ [099I002]←[国試_099]→[099I004]
[★]
- 次の文を読み、4~6の問いに答えよ。
- 45歳の男性。足のむくみを主訴に来院した。
- 現病歴 : 約1年前から階段を昇るときに息切れを自覚し、最近労作時の息切れが増悪するようになった。3か月前から下肢のむくみと3kgの体重増加とがみられた。
- 既往歴 : 23歳時に胸膜炎に罹患したが、2か月の自宅療養で軽快した。
- 家族歴 : 父親が肺結核。
- 現症 : 身長165cm、体重63kg。体温36.5℃。呼吸数18/分。脈拍70/分、整。血圧108/52mmHg。頚静脈は怒張し、頭部血管性雑音は聴取しない。胸部では、心尖部に汎収縮期雑音を聴取する。呼吸音に異常はない。両側下腿前面に浮腫を認める。
- 検査所見 : 尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球385万、Hb 11.2g/dl、白血球4,100、血小板11万。血清生化学所見:総蛋白6.4g/dl、アルブミン3.1g/dl、クレアチニン0.6mg/dl、総コレステロール172mg/dl、総ビリルビン1.8mg/dl、GOT84単位(基準40以下)、GPT90単位(基準35以下)、LDH408単位(基準176~353)。胸部エックス線正面写真と側面写真とを以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [095H005]←[国試_095]→[095H007]
[★]
- 次の文を読み、67~69の問いに答えよ。
- 58歳の男性。歩行時の胸痛と息苦しさとを主訴に来院した。
- 現病歴: 2か月前から階段を上がったとき前胸部痛を感じていた。前胸部痛は安静になると消失していた。2週前から平地歩行でも胸痛が出現するようになった。また、息苦しさも感じるようになった。
- 既往歴: 特記すべきことはない。
- 生活歴: 喫煙は20本/日を35年間。
- 家族歴: 父親は高脂血症で加療中である。
- 現症 : 身長162cm、体重75kg。脈拍72/分、整。血圧126/76mmHg。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常をみとめない。肝・脾を触知しない。下肢に浮腫を認めない。
- 検査所見: 血液所見:赤血球450万、Hb14.5g/dl、白血球6,800、血小板25万。血液生化学所見:総蛋白7.5g/dl、アルブミン4.0g/dl、尿素窒素15.0mg/dl、クレアチニン1.0mg/dl、総コレステロール270mg/dl、トリグリセライド140mg/dl、HDL-コレステロール44mg/dl、AST25IU/l、ALT20IU/l。冠動脈造影写真を以下に示す。
- 手術後に使用する薬剤で適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [102G068]←[国試_102]→[102H001]
[★]
- 次の文を読み、7~9の問いに答えよ。
- 36歳の女性。呼吸困難を主訴に来院した。
- 現病歴 : 5年前に心電図で左室肥大を指摘されたが、無症状のため放置していた。3か月前から労作時の息切れを自覚していたが、最近、夜間に呼吸困難発作が生じるようになった。
- 既往歴 : 特記すべきことはない。
- 現症 : 身長161cm、体重56kg。呼吸数16/分。脈拍86/分、整。血圧104/72mmHg。頚静脈は軽度怒張し、胸部では心尖拍動が左方に偏位し、その部位にIII音と汎収縮期雑音とを聴取する。呼吸音に異常はない。肝を右肋骨弓下に2cm触知し、両側下腿前面に浮腫を認める。
- 検査所見 : 尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球385万、Hb12.1g/dl、白血球4,600。血清生化学所見:総蛋白6.8g/dl、アルブミン3.3g/dl、クレアチニン0.7mg/dl、総ビリルビン1.2mg/dl、AST(GOT)48単位(基準40以下)、ALT(GPT)56単位(基準35以下)、CK28単位(基準10~40)。心エコーの左室長軸断層像(別冊No.2)を別に示す。
- この患者の治療薬として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [096C008]←[国試_096]→[096C010]
[★]
- 4か月の乳児。嘔吐、血便および活気不良のため母親に連れられて来院した。2日前の朝から便がゆるく哺乳不良であった。昨日の朝に自宅近くの診療所を受診し安静を指示されていた。今朝から嘔吐が続き顔色も悪く、ぐったりして血便がみられたため夕刻に受診した。呼びかけには眼を開けるが、すぐに閉じてしまう。体温 37.8℃。脈拍 160/分(微弱)、整。血圧 70/50mmHg。呼吸数 40/分で浅い。SpO2 96%(マスク2L/分酸素投与下)。毛細血管再充満時間 3秒と延長している。栄養状態は良好。顔面は蒼白。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は膨満し、筋性防御を認める。血液所見:赤血球 426万、Hb 12.3g/dL、Ht 35%、白血球 16,000(桿状核好中球 17%、分葉核好中球 53%、好酸球 1%、好塩基球 0%、単球 6%、リンパ球 23%)、血小板 17万。血液生化学所見:総蛋白 7.0g/dL、アルブミン 3.6g/dL、尿素窒素 20mg/dL、クレアチニン 0.6mg/dL、Na 135mEq/L、K 3.8mEq/L、Cl 98mEq/L。CRP 10mg/dL。急速輸液を開始した。腹部超音波像(別冊No. 10)を別に示す。
- 次に行う治療はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111D029]←[国試_111]→[111D031]
[★]
- 次の文を読み、26、27の問いに答えよ。
- 65歳の女性。動悸を訴え、外来の処置室で臥床している。
- 現病歴:本日、眼底検査のため来院し眼科外来の待合室の長椅子に座って待っていた。看護師が声かけしたところ、応答が鈍く、冷汗がみられた。体調について尋ねたところ、患者は動悸を訴えた。処置室へ移動するために、立ち上がろうとしたときにふらつきがみられた。処置室で臥床後も動悸は続いている。
- 既往歴:5年前から高血圧症と糖尿病とで内科で治療中である。カルシウム拮抗薬、利尿薬、スルホニル尿素薬およびビグアナイド薬を内服し血圧は150/92mmHg程度、この1年間のHbA1cは8.5%程度。
- 生活歴:喫煙は10本/日を40年間。
- 家族歴:姉が脳梗塞で右片麻痺。弟が急性心筋梗塞のため60歳で死亡。
- 現時点でのこの患者への質問として最も適切なのはどれか。
- a 「最近、食欲や体重に変わりはありませんか」
- b 「最近、排尿や排便の調子はどうでしょうか」
- c 「昨日の夕食の内容で心当たりはありますか」
- d 「昨夜の睡眠時間は何時間だったでしょうか」
- e 「今朝の食事とお薬は、いつも通りでしたか」
[正答]
※国試ナビ4※ [109C025]←[国試_109]→[109C027]
[★]
- 23歳の女性。下肢の浮腫を主訴に来院した。3週前から軟便と腹部不快感とがみられていた。1週前から下肢の浮腫が出現し、次第に増悪してきたため受診した。既往歴に特記すべきことはない。意識は清明。身長158cm、体重70kg。体温36.3℃。脈拍92/分、整。血圧124/74mmHg。全身の浮腫が著明である。皮疹を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。尿所見:蛋白3+、糖(-)、潜血(-)、沈渣に硝子円柱1/数視野、卵円形脂肪体1/数視野。血液所見:赤血球586万、Hb 17.3g/dl、Ht 50%、白血球5,400、血小板28万。血液生化学所見:血糖99mg/dl、総蛋白4.6g/dl、アルブミン1.4g/dl、尿素窒素9mg/dl、クレアチニン0.7mg/dl、尿酸7.5mg/dl、総コレステロール880mg/dl、トリグリセリド120mg/dl、AST 22IU/l、ALT 23IU/l、Na 141mEq/l、K 4.3mEq/l、Cl105mEq/l。免疫学所見:CRP 0.2mg/dl、CH50 32.4U/l(基準30~40)。腎生検のPAS染色標本(別冊No.14A)と電子顕微鏡写真(別冊No.14B)とを別に示す。
- 治療薬として最も適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107A038]←[国試_107]→[107A040]
[★]
- 次の文を読み、35、36の問いに答えよ。
- 32歳の女性。持続する咳嗽を主訴に来院した。
- 現病歴:2か月前から鼻汁と鼻閉とを感じていた。1か月前から咳を自覚するようになり、3週前から咳が増強し、続いている。特に夜間に咳嗽が強い。
- 既往歴:5歳時にアトピー性皮膚炎を発症。
- 生活歴:両親と3人暮らし。事務職。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。5か月前からハムスターを飼っている。
- 家族歴:父親が高血圧症で治療中。
- 現症:意識は清明。身長160cm、体重50kg。体温36.4℃。脈拍88/分、整。血圧126/72mmHg。呼吸数20/分。SpO2 98%(room air)。咽頭粘膜に発赤を認めない。両側の胸部に強制呼出でwheezesを認める。胸部エックス線写真(別冊No.9)を別に示す。
- 外来で通院治療していたが、自宅で歯痛があり市販の鎮痛薬を服用したところ、約30分後喘鳴と呼吸困難とを生じたため受診した。意識は清明。両側の胸部にwheezesを聴取する。
[正答]
※国試ナビ4※ [107H035]←[国試_107]→[107H037]
[★]
- 63歳の男性。発熱と腹痛とを主訴に来院した。現病歴:昨日から38℃台の発熱と腹部全体の痛みとがある。痛みは持続的で、下痢と嘔吐とはない。家族の話では、いつもと比べて何となくぼんやりしているという。
- 既往歴 53歳時にC型肝炎を、 60歳時に肝硬変を指摘された。
- 生活歴 喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
- 家族歴 父親が脳梗塞のため84歳で死亡。
- 現 症 意識レベルはJCS I-2。体温38.1℃。脈拍96/分、整。血圧106/56mmHg。呼吸数24/分。腹部は膨隆し、打診では仰臥位から左側臥位への体位変換で濁音境界が移動する。腹部全体に軽度の圧痛を認める。
- 検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球295万、 Hb9.2g/dl、Ht27%、白血球4,200、血小板4.3万。血液生化学所見:総蛋白5.8g/dl、アルブミン2.6g/dl、尿素窒素15mg/dl、クレアチニン0.9mg/dl、総ビリルビン1.0mg/dl、 AST94IU/l、 ALT64IU/l、 ALP230IU/l(基準115-359)、アンモニア73μg/dl(基準18-48) 。腹部超音波検査で肝臓に腹痛を認めない。
- 治療として適切でないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106B050]←[国試_106]→[106B052]
[★]
- 82歳の男性。呼吸困難のため搬入された。10年前に心筋梗塞を発症し、5年前に冠動脈バイパス術を受け、現在はアンジオテンシン変換酵素阻害薬とアスピリンとを服用中である。4泊5日の温泉旅行に行き3日前に帰ってきた。2日前からは身の回りのことで息切れを感じるようになり、昨晩、就寝後約2時間で突然呼吸困難、喘鳴および咳嗽が出現したため、救急車を要請した。意識は清明。脈拍112/分、不整。血圧142/88mmHg。呼吸数24/分。SpO2 95%(マスク4l/分酸素投与下)。頸静脈怒張を認める。III音を聴取し、全肺野に水泡音を聴取する。下腿に浮腫を認める。心電図で心房細動を認め心拍数は130/分である。前回検査時の心電図は洞調律で心拍数は64/分で、調律と心拍数の所見以外は変化はない。来院時の胸部エックス線写真(別冊No.5)を別に示す。
- 治療として適切でないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107C020]←[国試_107]→[107C022]
[★]
- 次の文を読み、26、27の問いに答えよ。
- 65歳の女性。動悸を訴え、外来の処置室で臥床している。
- 現病歴:本日、眼底検査のため来院し眼科外来の待合室の長椅子に座って待っていた。看護師が声かけしたところ、応答が鈍く、冷汗がみられた。体調について尋ねたところ、患者は動悸を訴えた。処置室へ移動するために、立ち上がろうとしたときにふらつきがみられた。処置室で臥床後も動悸は続いている。
- 既往歴:5年前から高血圧症と糖尿病とで内科で治療中である。カルシウム拮抗薬、利尿薬、スルホニル尿素薬およびビグアナイド薬を内服し血圧は150/92mmHg程度、この1年間のHbA1cは8.5%程度。
- 生活歴:喫煙は10本/日を40年間。
- 家族歴:姉が脳梗塞で右片麻痺。弟が急性心筋梗塞のため60歳で死亡。
- 現症:意識レベルはJCS I-1。体温 36.4℃。脈拍 108/分、整。血圧 166/96mmHg。呼吸数 22/分。SpO2 98%(room air)。
- 直ちに行うべき検査はどれか。
- a 血糖測定
- b 頭部MRI
- c 心エコー検査
- d 甲状腺機能検査
- e 胸部エックス線撮影
[正答]
※国試ナビ4※ [109C026]←[国試_109]→[109C028]
[★]
- 英
- hyponatremia
- 同
- 低Na血症
- 関
- ナトリウム、高ナトリウム血症、電解質異常
定義
- 血清ナトリウムが134mEq/L以下の病態。(正常の下限は135mEq/Lとされる)
- 水とナトリウムのバランスという観点で、2つに分けられる
疫学
分類
-
病型
ICU.525
- 利尿・副腎不全: 尿中Na > 20mEq
- 嘔吐・下痢 : 尿中Na < 20mEq
- 等容量性低ナトリウム血症:細胞外液は増加していないが、水の方が多くなった状態。臨床的に浮腫が無い。下表で[1]に相当
- 循環血増加性低ナトリウム血症:細胞外液にナトリウムと水が増加しており、なおかつ水の方が多い病態:下表で[3]に相当
- 腎不全 : 尿中Na > 20mEq
- 心不全・肝不全: 尿中Na < 20mEq
IMD
- [1] 細胞外液量増加:組織間質に非常に多量の水と多量のナトリウムが移動。移動する原因は血液のうっ滞、膠質浸透圧の低下など
-
- うっ血性心不全や腹水を伴う肝硬変では、圧受容器が循環血液量の減少を検出してバソプレシンを分泌する(cases.200)
- 消化管からの喪失(下痢、嘔吐、腸閉塞など)、熱傷、利尿薬の過剰投与、腎疾患、副腎不全など。
- [3] 細胞外液量正常:ナトリウムの摂取・排泄は変わらないが、水が異常に蓄積されるため? ← 最も多いらしい
- 内分泌疾患(副腎不全、抗利尿ホルモン(ADH)不適合分泌症候群(SIADH)、甲状腺機能低下症)、薬物、水中毒(心因性多飲)など。
- 高浸透圧性:高血糖、マンニトール投与など。
- 正浸透圧性:脂質異常症(高脂血症)、高蛋白血症など。
水とナトリウムのバランスによる分類
低ナトリウム血症+血漿浸透圧上昇
- QB.D-333
- 高脂血症 → (炎光光度法で測定する場合)過剰の脂質によって血漿の非液相成分が増加し血漿浸透圧が上昇するが、液相成分が減少しているため見かけ上低ナトリウム血症となる (ICU.523) → 偽性低ナトリウム血症
- 高血糖 ← 高血糖だけで低血糖になる?
- 尿毒症 → 浸透圧較差の増大による。ある種の毒性物質(エタノール、メタノール、エチレングリコール、腎不全によって蓄積した同定できない毒素)が細胞外液にあるときに増加する(ICU.517)(つまり、毒性物質が浸透圧を生み出す物質として作用するということ)。ちなみに、急性腎不全では正常であり、慢性腎不全で浸透圧較差は上昇する。
病態生理
- 体液電解質異常と輸液 改訂第3版 p.51
低ナトリウム血症のメカニズム
|
|
障害の原因
|
障害の例
|
effective osmole(Na, K)の欠乏
|
長期間のの下痢・嘔吐・絶食
|
浸透圧利尿
|
水分過剰
|
口渇感の異常 (多飲)
|
尿自由水排泄能力を超えた量の飲水
|
心因性多飲
|
マラソン中の多量飲水
|
尿希釈能の低下 (水排泄障害)
|
尿細管での 自由水生成障害
|
有効循環血漿量低下 (心不全、肝不全、脱水)
|
極度の低栄養・偏食
|
腎障害
|
不適切な抗利尿ホルモン作用
|
SIADH
|
有効循環血漿量低下
|
甲状腺機能低下
|
糖質コルチコイド欠乏
|
症状
- 急性:症状が出現しやすい。意識障害を呈する
- 慢性:無症候。125mEq/L以下にならなければ顕性化しない事が多い。臨床的に問題となるのは非常に低いレベル(120mEq/L)。
- 全身 :無力感、全身倦怠感
- 消化器:食欲不振、悪心・嘔吐
- 神経 :意識障害(傾眠、昏睡)
- 筋 :痙攣、腱反射低下、筋力低下
重症度別(YN.D137)
- 軽症:120mEq/L以上:無気力、疲労感、軽度の食思不振、頭痛
- 重症:120mEq/L以下:悪心・嘔吐、強い食思不振や頭痛、精神症状や間代性痙攣、意識障害
検査
- 血清Na・K 測定、腎機能検査、ADH、コルチゾール、アルドステロン、甲状腺ホルモンの測定、血液ガス分析など(IMD)
- 尿の浸透圧、尿Na濃度
治療
YN.D-137改変
|
脱水
|
|
水
|
Na
|
体液
|
病態生理
|
尿中Na
|
尿浸透圧
|
ADH
|
治療
|
原疾患
|
[1]
|
なし
|
hyponatremia with hypervolemia
|
|
大過剰
|
過剰
|
細胞外液量増加
|
|
(>20mEq/L)
|
|
分泌される
|
・ループ利尿薬+水,Na制限 ・(不十分)サイアザイド追加 ・低Kや体腔液貯留が強い場合スピロノラクトン追加
|
末期腎不全
|
(<20mEq/L)
|
うっ血性心不全、肝硬変
|
[2]
|
あり
|
hyponatremia with hypovolemia
|
ナトリウム喪失型 ナトリウム欠乏性低ナトリウム血症
|
-
|
過少
|
細胞外液量減少
|
Na OUT →○⇒
|
↑ 80mEq/L (>20mEq/L)
|
|
|
・Naの補給+等張液輸液(生食,乳酸リンゲル) ・Na排泄率をモニターしIN>OUTを確認
|
腎性:利尿薬の過剰投与、Addison病、尿細管傷害
|
↓ 20mEq/L (<20mEq/L)
|
腎外性:消化管からの喪失(下痢、嘔吐、腸閉塞)、熱傷、
|
Na IN →○→
|
↓ 20mEq/L
|
経口摂取不能
|
[3]
|
なし
|
hyponatremia with normovolemia
|
水過剰型 希釈性低ナトリウム血症
|
過剰
|
-
|
細胞外液量正常
|
水 OUT →○→
|
→ 40mEq/L
|
ADH excess >320 mOsm/kg (>100mOsm/L)
|
分泌抑制不可能
|
・水制限 ・ループ利尿薬+生理食塩水
|
SIADHなど
|
|
水IN ⇒○→
|
↓ 20mEq/L
|
<100 mOsm/kg (<100mOsm/L)
|
分泌抑制を上回るwater intake
|
低張輸液過多、水中毒(心因性多飲)
|
[4]
|
|
|
|
|
|
偽性低Na血症
|
高浸透圧性
|
|
|
|
|
|
高血糖、マンニトール投与
|
正浸透圧性
|
脂質異常症(高脂血症)、高蛋白血症
|
対症療法
- 脱水:等張の生理食塩水
- SIADH:飲水制限
- 水とナトリウムの過剰:水とナトリウムの摂取制限、利尿薬
- 研修医当直御法度 症例帳 p.28
- 低ナトリウム血症だからといって生理食塩水を輸液すればいいわけではない。
- [1] ナトリウム過剰(それ以上に水貯留):(症状)浮腫、腹水などによる著明体重増加。(基礎疾患)心不全、ネフローゼ症候群、肝硬変
- ・・・ 生理食塩水輸液××
- ・・・ 生理食塩水輸液ok
- [3] ナトリウム正常(水が過剰):水中毒、SIADH
- ・・・ 生理食塩水輸液××
合併症
- 急速な低ナトリウム血症の補正により生じうる。
- 中枢神経に細胞内脱水をきたし、橋部を中心に脱髄病変を示す。
- 症状:神経障害、意識障害、痙攣、四肢麻痺など
[★]
- 英
- hypotensor, depressor, hypotensive drugs hypotensive agent hypotensive drug
- 同
- 降圧剤、血圧降下薬、高血圧症治療薬、抗高血圧薬 antihypertensive antihypertensive drug, antihypertensive drugs
[show details]
ja
hypotensor : 約 1,170 件
depressor : 約 13,000 件
hypotensive drugs : 約 1,410 件
hypotensive agent : 約 1,320 件
hypotensive drug : 約 1,200 件
en
hypotensor : 約 12,100 件
depressor : 約 1,220,000 件
hypotensive drugs : 約 29,100 件
hypotensive agent : 約 37,600 件
hypotensive drug : 約 12,500 件
降圧薬
-
- 近位尿細管:アセタゾラミド:炭酸脱水酵素を阻害
- 太いヘンレループ上行脚:フロセミド:Na+-K+-2Cl-共輸送体(NKCC)を阻害
- 遠位尿細管前半部:チアジド系利尿薬:Na+とCl-の共輸送体を阻害
- 遠位尿細管後半部と集合管:
- スピラノラクトン:アルドステロン受容体に競合的に結合
- トリアムチレン:Na+流入を抑制
-
-
-
- カルベジロール(α1遮断により末梢血管を拡張。β遮断により陽性変力作用を抑制)
- アムスラロールなど
- 強力な降圧効果を示す
- 細胞内へのCa流入を抑制することにより血管平滑筋を弛緩させ末梢血管抵抗を下げる
- 脳、心臓、腎臓への血流を保つ
- 膜電位依存性Caチャネルに作用して血管平滑筋を弛緩させる
-
- 副作用:ジルチアゼムの副作用:洞性徐脈、洞性ブロック
- ニフェジピン: 血管への親和性が高い→抗高血圧薬として優れる
- 副作用:反射性交感神経緊張、顔面紅潮、浮腫(静脈拡張より動脈拡張の度合いが大きいため)、便秘
- 臓器障害の改善、進展予防 beyond blood pressure
- RA系の抑制
- アンジオテンシノゲン→(レニン)→アンジオテンシンI→(アンジオテンシン転換酵素)→アンジオテンシンII-(アンジオテンシン受容体遮断薬)-|アンジオテンシン受容体1
- ACE阻害薬の腎機能保護
- ACE阻害薬:輸入細動脈 拡張、輸出細動脈 拡張 → 糸球体内圧↓
- Ca拮抗薬 :輸入細動脈 拡張、輸出細動脈 なし → 糸球体内圧↑
-
- 副作用
- ACEはブラジキニンを分解するキニナーゼIIと同一の酵素である。ACE阻害薬はこの酵素を阻害するが、ブラジキニンは血管拡張、決勝滲出決勝進出、発痛作用に関わっている。このため咳を誘発することがある。
- 禁忌
- 妊婦。ブラジキニンは胎児の動脈管閉鎖に関わっている。このた、母胎にACE阻害剤を加え、ブラジキニンが増えると胎児の動脈管が閉鎖してしまう。(血管浮腫?)
- 1型アンジオテンシンII受容体拮抗薬(AT1受容体拮抗薬)
降圧薬の積極的な適応と禁忌
- 合併症を有する高齢者高血圧に対する第一選択薬と併用薬
○:第一選択 空欄:適応可 △:注意が必要 ×:禁忌
- 理由はACE参照
使用できる降圧薬
- α2作動薬
- β遮断薬
- α遮断薬
参考
- http://www.jhf.or.jp/a&s_info/guideline/kouketuatu.html
漢方薬
- 降圧目的に釣藤散が使われることが多い。補助的に防風通聖散が用いられることがある。
[★]
- ☆case75 自宅での意識消失
- ■症例
- 21歳 男性
- 主訴:意識消失
- 現病歴:男性のアパートで意識を失っている所を彼女に発見され、午後5時に搬送された。彼女が最後に彼に会ったのは午後8時で、クリスマスの買い物をして帰宅した時であった。翌日午後、彼女が彼に会いに行った所、彼がお風呂の床で意識を失っているのを見つけた。彼女によれば、前日変わった様子(unusal mood)はなかった。彼は心理学の期末試験が1週間に迫っておりこのことを心配していたが、勉強はうまくいっているようだった。また以前の試験に問題はなかった。
- 喫煙歴:なし。
- 飲酒歴:機会飲酒 10 units/week(1週間に350mlビール6本弱)
- 既往歴:なし
- 家族歴:父と2人の兄弟のうち1人が糖尿病
- 服薬歴:以前、エクスタシー錠剤を服用していたが、静脈注射の薬はやったことがない。
- 身体所見 examination
- 顔貌 青白。注射痕は認められない。脈拍 92/分、血圧 114/74 mmHg、呼吸数 22/分。心血管系、呼吸器系に異常を認めず。神経系 命令に従わないが、痛みに反応して適切に手を引っ込める(GCS M4)。腱反射(+)・対称性、足底反射(-)。瞳孔散大、対光反射(+)。眼底 視神経円板腫脹
- ■鑑別診断をあげるためのkeyword(司会者用)
- ・24時間以内に来した意識消失、糖尿病の家族歴、冬、風呂、精神疾患リスク(試験で悩んでいる。薬物の服用歴)、顔色、脈拍、血圧、呼吸数、腱反射、病的反射、瞳孔、眼底(司会者用)
- ■keywordからどういう疾患を考えるか?
- 真っ先にあげたいもの
- ・二次的な脳圧亢進
- ・糖尿病
- ・薬物中毒、中毒物質の摂取・吸引
- ・神経疾患(てんかんなど)の発作
- ・24時間以内に来した意識消失
- ・クモ膜下出血:局所神経症状、硝子体下出血(subhyaloid hemorrhage)。
- ・糖尿病の家族歴
- ・低血糖発作
- 低血糖による昏睡は早いが糖尿病の新規症状として起こらない。まれにインスリノーマによる低血糖による昏睡があり得る。
- ・糖尿病性ケトアシドーシス diabetic ketoacidosis DKA
- 極度のインスリン欠乏とコルチゾールやアドレナリンなどインスリン拮抗ホルモンの増加により、(1)高血糖(≧250mg/dl)、(2)高ケトン血症(β-ヒドロキシ酪酸の増加)、アシドーシス(pH7.3未満)をきたした状態。(糖尿病治療ガイド 2008-2009 p.66)
- ・高浸透圧性非ケトン性昏睡 nonketotic hyperosmolar coma
- DM type 2
- 50歳以上に好発し、インスリン非依存性糖尿病*患者が腎不全や中枢神経障害、悪性腫瘍、消化器疾患、呼吸器感染などを合併するときに多くみられ、ステロイドや利尿薬の投与、輸液や高カロリー補給、人工透析などの際に医原性に起きやすい。
- 高血糖性の昏睡は発症が早くない。その前に口渇や多尿があるはず。
- → 否定するための検査 → 血糖測定
- ・風呂
- ・脳出血
- ・冬だし、風呂(脱衣所のことか)にガスヒーターがあったら疑わしい。
- ・精神疾患リスク(試験で悩んでいる。薬物の服用歴)
- (最も多いのが)薬物中毒(鎮静薬、アスピリン、アセトアミノフェン)
- (意識障害で運ばれてきたときに考えるべきなのが)一酸化中毒
- 一酸化中毒の場合の顔色は蒼白(cherry-red colorと言われてきたが)。眼底所見:(severe CO中毒で)乳頭浮腫
- ・顔色
- ・脈拍、血圧、呼吸数
- ・腱反射、病的反射
- 腱反射が亢進していたら、上位運動ニューロンの障害を考慮する。腱反射亢進と意識障害が共存していれば、障害部位は脊髄の伝導路ではなくむしろ脳幹・大脳皮質に障害があると考えることができる。
- ・瞳孔
- 瞳孔が散大していれば交感神経興奮、副交感神経の麻痺:フェニレフリン・エピネフリン・コカインなど交感神経刺激、動眼神経麻痺、脳死の徴候
- 瞳孔が縮瞳していれば副交感神経興奮、オピオイド受容体への刺激:麻薬中毒、有機リン中毒、橋出血、脳幹部梗塞(脳底動脈閉塞症など)
- ・眼底 (IMD.71)
- 視神経円板(=視神経乳頭)の腫脹は乳頭浮腫(papilledema, DIF.342)を反映。乳頭浮腫の発生機序は軸索輸送障害や静脈還流うっ滞である。原因として頭蓋内疾患が最も多い。頭蓋外の疾患(高血圧、視神経炎、偽性脳腫瘍)。
- 乳頭浮腫 papilledema DIF.243
- V 動静脈奇形、高血圧による脳血圧脳症・頭蓋内出血、クモ膜下出血、硬膜下血腫
- I 脳膿瘍、慢性経過の髄膜炎(細菌性×)、敗血症による血栓や静脈洞血栓
- N 脳腫瘍
- D -
- C 動静脈奇形、水頭症、頭蓋奇形(尖頭症などによる)、血友病、時にSchilder disease
- A ループス脳炎、動脈周囲炎
- T 急性期の硬膜外血腫や硬膜下血腫ではない。慢性硬膜下血腫ならありうる。
- E 褐色細胞腫による悪性高血圧、偽性脳腫瘍(=特発性頭蓋内圧亢進症)(肥満・無月経・感情障害(emotionally disturbed)をきたした女性に多い)
- ■問題
- 症例だけでは絞れないので、最も疑われる疾患をあげ、鑑別診断を列挙し、検査、治療を考えていくことにします。
- ■一酸化炭素中毒
- ■オチ
- 血中carboxyhemoglobinを測定したところ32%。高レベルの酸素投与でゆっくりだが、48時間で完全に回復。脳浮腫にたいするマンニトールや高圧酸素療法も考慮する。問題は4年間点検されていないガス温水器の不完全燃焼だったとさ。
- ■KEY POINTS
- ・薬物中毒は若い人の意識消失の最も一般的な原因だけど、他の診断もいつも考慮しておく。
- ・一酸化炭素ヘモグロビンレベルは屋内や車内、あるいはよく分からない煙に暴露した意識消失患者で測るべき
- ・一酸化中毒による重度の低酸素血症ではチアノーゼを欠く。
- ■initial plan(救急だからのんびりやってられないだろうけど)
- A.
- 1. 呼吸器系、循環器系の安定を確認
- 2. 血液ガス検査
- 3. 血液生化学(電解質(Na,Ca)、血糖)
- □ビール1本 = 350ml アルコール5%: 350 (ml/本) x 0.05 / 10 (ml/unit) =1.75 (unit/本)
- ■参考文献
- DIF Differential Diagnosis in Primary Care Fourth Edition版 Lippincott Williams & Wilkins
[★]
- 英
- calcium
- 関
- カルシウムイオン、リン
- calcium channel blockers, calcium channels
基準値
- 血清総Ca 8.6-10.1 mg/dl(臨床検査法提要第32版)
- 8.6-10.2 mg/dL (QB) だいたい 9.4 ± 0.8
- 血清Caイオン 1.15-1.30 mmmol/l(臨床検査法提要第32版), 4.6-5.1 mg/dl
血液ガス
- 血液ガスでは (mEq/l)で出されるが 4倍すれば (mg/dl)に変換できる 原子量が約40ゆえ
溶解度積
リン酸カルシウム
|
366x10-6
|
(30℃)
|
リン酸カルシウム
|
0.35x10-6
|
(38℃)
|
炭酸カルシウム
|
0.0087x10-6
|
(25℃)
|
酒石酸カルシウム
|
0.0077x10-6
|
(25℃)
|
シュウ酸カルシウム
|
0.00257x10-6
|
(25℃)
|
オレイン酸カルシウム
|
0.000291x10-6
|
(25℃)
|
パルチミン酸カルシウム
|
0.000000161x10-6
|
(23℃)
|
カルシウムの吸収(SP.744)
- +健康成人の1日あたりの食物Ca摂取0.6g
- +消化管分泌物と脱落上皮細胞のCa 0.6g
- -吸収されるCa 0.7g
- -そのまま排泄 0.5g
- 正味吸収されるCa 0.1g
カルシウムの吸収部位
カルシウム代謝の調節機構
副甲状腺ホルモン
- 1. 破骨細胞に作用してCa,Pが血中へ。
- 2. 腎の遠位尿細管に作用してCa再吸収の亢進、近位尿細管でのP再吸収の抑制。
- 3. 近位尿細管に作用して酵素を活性化し、1,25水酸化ビタミンD3の産生亢進。
1,25(OH)2D3
- 1. 空腸からのCaとPの吸収。
- 2. 骨形成促進。
- 3. 遠位尿細管でのCaとPの再吸収促進。
- 4. 副甲状腺ホルモンの合成を抑制
尿細管における部位別カルシウム輸送
- 糸球体で濾過されるのはイオン化Caと陰イオン複合型Ca(蛋白結合型Caは濾過されない)
- 濾過されたカルシウムのうち95%が再吸収される。
- 近位尿細管:60-70%
- ヘンレループ:20-25%
- 遠位尿細管、集合管:10-15%
近位尿細管
- Na+依存的に再吸収。受動輸送80%、能動輸送20%
- 基底側のCa2+ ATPase, 3Na+-Ca2+逆輸送系
ヘンレループ
- 太いヘンレループ上行脚で
- 受動輸送:管腔内電位が正であるため
遠位尿細管~集合管
- 糸球体濾過量の10-15%が再吸収されている → 量としては少ないが能動的に吸収が行われる部位。
- 能動輸送:管腔内電位が負であるため。
- PTH、カルシトニンに調節されている
- チアジド系利尿薬により細胞内Na↓となるとCa再吸収↑となる!!!! ← ループ利尿薬と違う点。よって高カルシウム血症が起こることがある。
接合尿細管
- 管腔側:Ca2+チャネル/非選択的カチオンチャネル
- 基底側:Na+-K+ ATPase, 3Na+-Ca2+交換系
尿細管におけるカルシウムの輸送の調節 SP.796
- Ca2+の尿中排泄量はNa+の尿中排泄量と比例。循環血漿量が増加するとCa2+排泄も増加
- Ca2+の尿中排泄量は血漿Ca2+濃度と比例する。
血清カルシウム濃度
- 血液中でCa2+は調節を受けて一定に保たれるが、蛋白と結合しているCaはアルブミンの量によって増減する。
- 血清アルブミン濃度 4 g/dl、血清Ca濃度 9mg/dl。補正Ca濃度 9mg/dl → 正常
- 血清アルブミン濃度 2 g/dl、血清Ca濃度 7mg/dl。 → 大変!!低カルシウム血症!! → ホント? ってことになる。アルブミンの量が減ってAlb-Caが減っただけで生理的に重要なCa2+は保たれているのではないか。 → こんな時に補正Ca濃度を用いるのである
- →補正Ca濃度 9mg/dl → 正常
- つまり、低アルブミン血症ではCa2+は保たれているにもかかわらず、血清Caは低値となりそのままでは評価できないために補正を行う。
- 補正Ca濃度(mg/dl)=Ca実測値(mg/dl)+(4-血清アルブミン濃度(g/dl)) ・・・Payneの式
- アルブミンのpIは7より小さく、アシデミアでは負に帯電しているアルブミンが減少、アルカレミアでは負に帯電しているアルブミンが増加する。すなわち、pHが下がるとアルブミンとくっつなくなったCaが増加するので、血液pH0.1の低下につきfreeイオン化Ca(Ca2+)は0.12mg/dl増加する???????????
循環血液量
血清Ca濃度
- 血清Ca濃度↑→PTH↓
- 生理活性のあるのはイオン化Ca(Ca2+)のみ
- 血清Ca濃度=イオン化Ca(45%) + 蛋白結合型Ca(40%) + 陰イオン複合型Ca(15%)
- イオン化Caは一定に保たれる
pH
- アシドーシス :pHが小さくなると負電荷減少:蛋白のCa結合能↓、イオン化Ca↑
- アルカローシス:pHが大きくなると負電荷増加:蛋白Caの結合能↑、イオン化Ca↓→Ca欠乏(低カルシウム血症)
低蛋白血症
- 低蛋白血症の際、蛋白結合型Caは減少するが、イオン化Ca一定。
尿中カルシウム
血中カルシウムと尿中カルシウム
- 薬剤などの影響がなければ、血中カルシウムと尿中カルシウムは相関がありそうである → 副甲状腺ホルモン
血清カルシウムと心電図
元素
- 金属元素。周期表第2族アルカリ土類金属元素
- 原子番号:20
- 元素記号:Ca
- 原子量 40.078 g/mol
臨床関連
参考
- http://www.orth.or.jp/osteoporose/caseizai.html
[★]
- ☆case16 膝の痛み
- ■glossary
- indigestion 消化障害、消化不良
- ■症例
- 80歳 男性
- 主訴:左膝の痛みと腫脹
- 現病歴:左膝の痛みを2日前から認めた。膝は発熱・腫脹しており、動かすと疼痛を生じる。時々胸焼けと消化不良が見られる。6ヶ月前のhealth checkで、高血圧(172/102mmHg)と血中クレアチニンが高い(正常高値)こと以外は正常といわれた。その4週間数回血圧を測定したが、高値が継続したため、2.5mg bendrofluamethizide(UK)/ベンドロフルメチアジドbendroflumethiazide(US)で治療を開始した。最近の血圧は138/84 mmHgであった。
- 喫煙歴:なし。
- 飲酒歴:一週間に平均4unit。
- 既往歴:股関節に中程度(mild)の変形性関節症
- 家族歴:特記なし
- 服薬歴:アセトアミノフェン(股関節の疼痛に対して)
- 身体所見 examination
- 血圧 142/86mmHg。体温37.5℃。脈拍88/分。grade 2 hypertensive retinopathy(高血圧症性網膜症)。心血管系、呼吸器系に検査場異常なし。手にDIPにヘバーデン結節なし。
- 左膝が発熱し腫脹している。関節内に液、patellar tap陽性。90℃以上膝関節を屈曲させると痛みを生じる。右の膝関節は正常に見える。
- 検査 investigation
- 生化学:白血球増多、ESR上昇、尿素高値、グルコース高値
- 単純X線:関節間隙やや狭小。それ以外に異常は認めない。
- ■problem list
- #1 左膝の痛み
- #2 胸焼け
- #3 消化不良
- #4 高血圧
- #5 クレアチニン正常高値
- #6 股関節の変形性リウマチ
- #7 高血圧性網膜症
- ■考え方
- ・関節痛の鑑別診断を考える。
- ・VINDICATEで考えてみてもよいでしょう。
- ・関節痛の頻度としては 外傷>慢性疾患(OAなど)>膠原病>脊椎疾患>悪性腫瘍
- ■関節痛の鑑別疾患
- DIF 282
- V Vascular 血友病 hemophilia, 壊血病 scurvy, 無菌性骨壊死 aseptic bone necrosis (Osgood-Schlatter diseaseとか)
- I Inflammatory 淋疾 gonorrhea, ライム病 lyme disease, 黄色ブドウ球菌 Staphylococcus, 連鎖球菌 Streptococcus, 結核 tuberculosis, 梅毒 syphilis, 風疹 rubella, 単純ヘルペス herpes simplex, HIV human immunodeficiency virus, サイトメガロウイルス cytomegalovirus
- N Neoplastic disorders 骨原性肉腫 osteogenic sarcoma, 巨細胞腫 giant cell tumors
- D Degenerative disorders degenerative joint disease or 変形性関節症 osteoarthritis
- I Intoxication 痛風 gout (uric acid), 偽痛風 pseudogout (calcium pyrophosphate), ループス症候群 lupus syndrome of hydralazine (Apresoline) and procainamide, gout syndrome of diuretics
- C Congenital and acquired malformations bring to mind the joint deformities of tabes dorsalis and syringomyelia and congenital dislocation of the hip. Alkaptonuria is also considered here.
- A Autoimmune indicates (多い)関節リウマチ RA (可能性)血清病 serum sickness, 全身性エリテマトーデス lupus erythematosus, リウマチ熱 rheumatic fever, ライター症候群 Reiter syndrome, 潰瘍性大腸炎 ulcerative colitis, クローン病=限局性回腸炎 regional ileitis, 乾癬性関節炎 psoriatic arthritis (老人であり得る)リウマチ性多発筋痛症 polymyalgia rheumatica
- T Trauma 外傷性滑膜炎 traumatic synovitis, tear or rupture of the collateral or cruciate ligaments, 亜脱臼 subluxation or laceration of the meniscus (semilunar cartilage), 脱臼 dislocation of the joint or patella, a 捻挫 sprain of the joint, and fracture of the bones of the joint.
- E Endcrine 先端肥大症 acromegaly, 閉経 menopause, 糖尿病 diabetes mellitus
- ■答え
- 骨格筋系-関節炎-単関節炎-急性単関節炎
- 痛風 尿酸 → 発熱、ESR↑、白血球↑
- 偽痛風 ピロリン酸カルシウム
- 高齢女性でチアジド系利尿薬の使用により痛風が誘発されやすい。特に腎機能低下、糖尿病の人はこのリスクが高まる。
- ■(BSTからの知識「)循環器領域での利尿薬
- ・心不全の治療において、循環血漿量を減らし、心臓の前負荷を軽減する。
- ・利尿薬は高尿酸血症を起こす。(けど、心不全の治療において高尿酸血症になったからといって痛風を発症している患者はみたことない)
- ・電解質異常を起こしやすいので、血液生化学の検査でモニタして注意する。たとえば低Kで不整脈のリスクが高まる。
- ・チアジド系の利尿薬は血糖を上げるし、尿酸を上げる
- ・長期の使用で腎機能を低下させる
- ■initial plan
- Dx 1. 関節液の吸引:関節液の一般検査、生化学検査、培養検査、
- ・白血球が増加していれば急性炎症性であることを示す。
- ・偏光顕微鏡で関節液を検鏡する。
- ・尿酸の結晶:針状結晶。negatively birefringent
- ・ピロリン酸カルシウムの結晶:positively birefringent
- Tx 1. 関節液の吸引:炎症が軽度改善
- 2. NSAIDによる疼痛管理
- 3. PPI:NSAID潰瘍を予防するため
- 4. ACE inhibitorの導入