- 英
- benign prostatic hyperplasia BPH, benign prostatic hypertrophy, prostatic hyperplasia
- 同
- 前立腺肥大
- 関
- 前立腺
定義
- 加齢に従い、前立腺の内腺が腫大し、尿路を圧迫して排尿障害を呈する疾患。
疫学
- 前立腺の肥大(内腺)は30-40歳代から始まり、50歳代には顕著となり、70歳代以降ではほぼ全例に認められるが、臨床症状を呈するのはこの一部である(10-20%)。
病因
病態
- 肥大した前立腺により尿路を刺激し、さらには閉塞して、ついには完全尿閉に至る。
重症分類
- 前立腺体積が20ml以下では軽症、前立腺体積が20-50ml以下では中等症、前立腺体積が50ml以上では重症
症状
- YN.E-86 SURO.258
- 病期は3つに分けられる:(1)第1病期 刺激期、(2)第2病期 残尿発生期、(3)第3病期 慢性尿閉期
病期
|
病態
|
症状
|
第1病期
|
刺激期
|
腫大した前立腺による後部尿道(膀胱頚部、前立腺尿道)の刺激
|
軽度の排尿困難、夜間頻尿、排尿時不快感
|
第2病期
|
残尿発生期
|
残尿(50-150ml)の発生
|
排尿困難(いきみながらの排尿)。残尿。急性尿閉(飲酒、抗コリン薬、長時間の乗り物の乗車)
|
第3病期
|
慢性尿閉期
|
さらなる残尿(300ml以上)、膀胱の過伸展(排尿筋だけでは排尿できない)
|
奇異性尿失禁、腎機能低下による尿毒症症状
|
検査
[show details]
診断
- 参考1
- 病歴、理学的検査、尿検査、血清クレアチニン測定、PSA測定、尿流測定、残尿測定、排尿時における排尿筋圧、尿流率同時測定法、内視鏡検査、画像診断(超音波検査法、静脈性腎盂造影法、排尿時膀胱尿道造影法、逆行性尿道造影法など)などにより行う。
- 診断のステップ
- 1. 病歴、理学的検査(直腸診)、尿検査、血清クレアチニン測定、PSA測定 → 排尿障害の症状が前立腺肥大症によるものと考えられるか判断
- 2. 国際前立腺症状スコアの評価:(≦7点)経過観察。(≧8点)尿流測定、残尿測定、PFSを施行 → 尿道閉塞の程度を把握し治療
- 3. (治療する場合)QOLスコアを考慮して治療方法を選択。
- 4. (追加検査)内視鏡検査、画像診断法:ルーチン検査法ではない。外科的治療の準備や合併疾患の疑診例に対して実施する。
治療
- SURO.258 参考1 参考3
-
- α1ブロッカー:プラゾシン(副:起立性低血圧)、タムスロシン(副:血圧を下げないが、射精障害がある) ← 肥大した前立腺の圧迫の他に膀胱頚部、尿道、前立腺の平滑筋(α1受容体)の過剰収縮によっても排尿困難が起きているため、尿道内圧を下げ症状緩和しうる。
- 抗アンドロゲン薬:クロルマジノン、アリルエストレノール。前立腺の縮小作用。(副:性器脳障害、肝機能障害)
- 5α還元酵素阻害薬:前立腺の縮小作用。
- その他:漢方製剤(猪苓湯、八味地黄丸)、花粉製剤、アミノ酸製剤 ← 自覚症状の改善にとどまる
- 加熱療法:ハイパーサーミア(前立腺内加熱温度45℃以下)と高温度療法(前立腺内加熱温度45℃以上)がある。熱源はマイクロ波、RF波、レーザー波などがある。レーザー療法、温熱療法の長期成績は未確立。
- 出典不明
- 第1期:薬物療法:α遮断薬、抗アンドロゲン薬、漢方薬
- 第2期:手術療法:経尿道的前立腺切除術、前立腺被膜下摘出術
参考
- 1. 2001年 前立腺肥大症 ガイドライン
- 2. 日本Endourology・ESWL学会によるBPHガイドライン
- http://jsee.umin.ac.jp/images/guideline.pdf
- 3. [信頼度不明]前立腺肥大症の漢方治療【百花園漢方薬局】
- http://www.est.hi-ho.ne.jp/abes/hyakkaen21/tokusiyu26.htm
国試
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/05/09 06:11:47」(JST)
[Wiki ja表示]
前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)は加齢とともに前立腺(内腺)の細胞数が増加し肥大化する疾患。
目次
- 1 概要
- 2 前立腺肥大症の主な原因
- 3 疫学
- 4 症状
- 5 検査
- 6 治療法
- 7 獣医学領域での前立腺肥大症
- 8 関連項目
- 9 脚注
- 10 参考文献
- 11 外部リンク
概要
前立腺は解剖学的には膀胱の下で尿道を取り囲むようにして存在する臓器である。前立腺から分泌される前立腺液は精液の構成成分で、体外に射精された精液中の精子を保護しエネルギーを補充する働きがある。年齢とともに生殖能力が必要でなくなるために、前立腺は萎縮するか肥大するかの二者択一の道を選ぶ。昭和30年代(1955年代)ごろまでは、日本人男性のほとんどが前立腺は萎縮の経過をたどっていた。ところが、食生活の向上・欧米化により、現在では80歳までに日本人男性の80%が前立腺肥大症になるといわれている。罹患率は加齢とともに高くなり、50歳代より急速に増加する。組織学的な前立腺肥大は、30歳代から始まり、50歳で30%、60歳で60%、70歳で80%、80歳では90%に見られる。前立腺の肥大と排尿症状を伴う場合のみ治療が必要だが、すべてが治療の対象になるわけではない。治療を必要とする、いわゆる前立腺肥大症の頻度は、その1/4程度である。
前立腺肥大症の主な原因
前立腺肥大症の主な原因として、加齢・性ホルモン・喫煙・肥満・肝硬変・アルコール摂取・高血圧・家族歴(遺伝)が挙げられている。ただし、これらはあくまで疑われている要因でしかなく、現在において前立腺肥大症の明らかな原因はわかっていない。
高血圧、高血糖、肥満や脂質異常症との関係や、メタボリック症候群との関係についても、指摘される場合がある。野菜、穀物、大豆などに含まれるイソフラボノイドに前立腺肥大症の発症抑制効果があるとされる。また、喫煙やアルコール、性生活との因果関係を指摘されることもあるが、不明である。発症のメカニズムは未だ未解明だが、男性ホルモンの働きが関係していることは間違いなく、中高年以降に男性ホルモンを含む性ホルモン環境の変化が起こることにより、発症すると考えられている [1]。
溢流性尿失禁(奇異性尿失禁) の原因となる。
疫学
発症には人種や地理的要因による差異があり、頻度は東洋人が低く、次いで白人、黒人の順序で高くなる。栄養状態による差として、ビタミン類、脂質、タンパク質の過不足などが注目されており、緑黄色野菜の摂取量と発症率に相関があるとする見解もあるが、否定的な結果も示唆されている。 更に、「社会的環境」や「肉体的特徴」により発症に傾向があるとする見解もあるが、何れも正確な対照比較試験及び系統的な研究に乏しく、結論は出されていない。また、既往症や合併疾患との関連性、血液型、食事内容に関しても、研究が不足している。
症状
肥大した前立腺によってもたらされる症状には、尿道閉塞により直接的に生じる排尿困難を主とする症状と、尿道閉塞により二次的に生じ刺激を受けた膀胱の機能変化(収縮力の低下)に伴う症状があり、肥大の発生部位や様々な要因により患者毎に異なる複雑な症状を呈する。
- 排尿開始遅延:出るまでの息み時間が長いこと。
- 尿線細小:尿線が細く、チョロチョロしか出ない状態。
- 尿線分裂:尿が散るために便器を汚してしまう状態。
- 排尿終末時滴下:尿の最後の方がポタポタしか出ない状態。
- 残尿感:排尿直後にまだ出し足りない感じがすること。
- 排尿後尿滴下:排尿後に、尿道に残っていた尿が少量漏れるもの。
- 尿意頻拍:常に尿意が襲ってくる状態。
- 頻尿:頻繁な尿意のために足繁くトイレで排尿すること。
- 夜間頻尿:就寝してから排尿のために、何度もトイレに足を運ぶこと。
- 尿混濁:黄色透明の正常な尿が混濁し汚れた状態。
- 尿閉:尿がほとんど出なくなる。
- 腎機能低下:閉塞の影響により血清クレアチニンが0.3-30%の頻度で上昇。
検査
診断のためには、排尿障害の程度、前立腺の大きさ、前立腺癌との区別が必要になる。
- 尿検査
- 超音波エコー検査
- 断面のサイズとしては、左右径35mm、前後径20mm、上下径25mm程度が正常上限とされる。
- 前立腺容積としては20mL未満が正常とされる。
- 尿流量測定ウロフロメトリー検査
- 残尿量測定検査
- 正常ではほぼ0mLであるが、残尿量50mL未満が許容範囲とされる。
- PSA血液検査(前立腺癌腫瘍マーカー)
- 内視鏡検査
- 血清クレアチニン
治療法
症状があっても日常生活に不便を感じていなければ治療は不要。 患者の体力や社会的適応などにより、様々な治療法が選択される。日帰り手術(3~5)を選ぶ患者も多い。但し、外科的治療によって尿道閉塞を解消した後も、約3割の症例において症状は解消しない。
- 内服薬:
- 交感神経α1遮断薬 : タムスロシン(ハルナール®)、ナフトピジル(アビショット®[2]・フリバス®)、ウラピジル(エブランチル®)、シロドシン(ユリーフ®)など
- 5α還元酵素阻害剤 (ジヒドロテストステロン生成阻害剤) : デュタステリド, フィナステリド
- 黄体ホルモン剤(抗アンドロゲン剤):クロルマジノン(プロスタール®)、アリルエストレノール(パーセリン®)
- PDE-5阻害剤; タダラフィル(米国FDA承認済、日本未承認)
- 植物エキス製剤(エビプロスタット配合錠DB®、エビプロスタット配合錠SG®、セルニルトン®)
- 漢方(八味地黄丸)
- 注射薬
- 黄体ホルモン剤(抗アンドロゲン剤):カプロン酸ゲストノロン(デポスタット®)
- 高温度治療
- レーザー光線治療
- ILCP(前立腺組織内凝固術)
- VLAP(ビデオ直視下前立腺蒸散術)
- 電気メス治療
- 開腹手術
- 民間療法:ノコギリヤシ[3]
獣医学領域での前立腺肥大症
5歳以上の犬で見られることが多い。原因として加齢に伴うアンドロゲンとエストロゲン分泌の不均衡が考えられ、食欲不振、体重減少、血尿、排便困難を示す。治療には精巣摘出術や抗アンドロゲン製剤の投与が行われる。
関連項目
脚注
- ^ 旭化成ファーマHP(名古屋大学大学院医学系研究科泌尿器科学 後藤百万教授)
- ^ アビショット®は、2010年3月31日販売中止見込み。
- ^ 藤野(隠岐)知美、鈴木真由美、山田静雄「ノコギリヤシ果実抽出液の排尿機能及び下部尿路受容体に対する作用」、『日本補完代替医療学会誌』第4巻第2号、2007年、 41-50頁、 doi:10.1625/jcam.4.41、 NAID 130000079381。
参考文献
- 『EBMに基づく前立腺肥大症診療ガイドライン』 厚生科学研究班編 (Minds医療情報サービス)
- 『EBMに基づく前立腺肥大症診療ガイドライン2001年版』 厚生科学研究班編 (Minds医療情報サービス)
- 河邉 香月 前立腺肥大症の薬物治療最前線 薬学雑誌Vol.126 (2006) No. Special_Issue : New Drug “Silodosin” P 199-206
- 『これで安心! 前立腺がん・前立腺肥大症~自分に合った治療法を選ぶ』市川智彦監修、2014年
外部リンク
- 前立腺肥大症-病気のはなし・病気辞典
- 前立腺肥大症 治療について東海大学医学部付属病院 泌尿器科
腎・泌尿器系の疾患 |
|
疾患 |
|
糸球体病変
|
急性糸球体腎炎 | IgA腎症 | 急速進行性糸球体腎炎 | 慢性糸球体腎炎
|
|
ネフローゼ症候群
|
原発性
|
微小変化群 | 巣状糸球体硬化症 | 膜性腎症 | 膜性増殖性糸球体腎炎
|
|
|
遺伝性腎炎
|
アルポート症候群 | 良性家族性血尿
|
|
尿細管機能障害
|
ファンコーニ症候群 | バーター症候群 | ギッテルマン症候群 | リドル症候群 | 尿細管性アシドーシス | 腎性糖尿 | 尿細管間質性腎炎
|
|
続発性腎障害
|
膠原病
|
全身性エリテマトーデス | 全身性強皮症 | シェーグレン症候群
|
|
糖尿病性腎症 | 痛風腎 | クリオグロブリン血症 | アミロイドーシス | 溶血性尿毒症症候群
|
|
|
腎循環障害
|
腎血管性高血圧症 | 腎梗塞 | クルミ割り現象
|
|
泌尿器疾患
|
機能障害
|
膀胱尿管逆流 | 神経因性膀胱 | 水腎症 |
|
|
先天異常
|
多発性嚢胞腎(常染色体優性多発性嚢胞腎 | 常染色体劣性多発性嚢胞腎) | 尿管異所開口 | 重複腎盂尿管 |ポッター症候群
|
|
感染症
|
腎盂腎炎 | 腎膿瘍 | 膀胱炎 | 腎結核
|
|
尿路結石
|
膀胱結石
|
|
腫瘍
|
腎細胞癌 | 腎盂腫瘍 | 尿管腫瘍 | 前立腺肥大症 | 前立腺癌 | 精巣腫瘍 | 陰茎癌 |腎芽腫
|
|
性器の疾患
|
前立腺炎 | 停留精巣 | 精巣捻転 | 包茎 | 勃起不全
|
|
|
|
|
病態・症状 |
|
腎不全
|
急性腎不全
|
急性尿細管壊死
|
|
慢性腎臓病
|
慢性腎不全 | 尿毒症
|
|
|
尿所見異常
|
乏尿 | 無尿 |多尿 |頻尿 |血尿 | タンパク尿 | 尿円柱
|
|
尿閉 |陰嚢腫大
|
|
|
|
検査 |
|
腎機能検査
|
糸球体濾過量 | クレアチニンクリアランス | ナトリウムクリアランス | 尿中ナトリウム排泄率 | 腎不全指数
|
|
腹部X線写真 | 腎盂造影 | レノグラム | 腎生検
|
|
|
|
腎・泌尿器系の正常構造・生理 |
|
腎臓 |
肉眼解剖
|
尿細管
|
近位尿細管 - ヘンレのループ(下行脚 - 細い上行脚 - 太い上行脚) - 遠位尿細管 - 集合管 - 腎盤 ( - 尿管)
|
|
腎循環
|
腎動脈 - 傍尿細管毛細血管 - 輸入細動脈 - (糸球体) - 輸出細動脈 - 直細動脈 - 腎静脈
|
|
ゲロタ筋膜
|
|
|
顕微解剖
|
ネフロン
|
腎小体
|
糸球体
|
毛細血管 | 糸球体内メサンギウム細胞 | ボーマン嚢
|
|
傍糸球体装置
|
緻密斑 | 傍糸球体細胞 | 糸球体外メサンギウム細胞
|
|
|
尿細管
|
|
|
|
生理学
|
アシドーシスとアルカローシス | 膠質浸透圧 | 糸球体濾過量 | 腎血漿流量 | クレアチニンクリアランス
|
|
生化学
|
バソプレッシン | アルドステロン | 心房性ナトリウム利尿ペプチド | エリスロポエチン | レニン-アンジオテンシン系
|
|
|
尿路 |
肉眼解剖
|
尿管 - 膀胱 - 尿道
|
|
顕微解剖
|
移行上皮
|
|
|
生殖器系 |
|
女性器 |
尿道 - 陰核 - 陰裂 - 陰核亀頭 - 陰核亀頭冠 - 陰核包皮 - 陰核小帯 - Gスポット - 処女膜 - 陰唇 - 大陰唇 - 小陰唇 - 膣 - バルトリン腺 - スキーン腺 - 子宮頸部 - 子宮 - 子宮内膜 - 卵管 - 卵巣
|
|
男性器 |
尿道 - 陰茎 - 陰茎亀頭 - 陰茎亀頭冠 - 海綿体 - 陰茎ワナ靭帯 - 陰茎包皮 - 陰茎小帯 - 陰嚢 - 精索 - 精巣上体 - 精細管 - セルトリ細胞 - 精巣輸入管 - 輸精管 - 精嚢 - 射精管 - 前立腺 - 尿道球腺 - 精巣網 - 精巣
|
|
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- レセプトデータでみる潜在市場(Vol.8)前立腺肥大症治療薬
- 前立腺肥大症に伴う男性下部尿路症状に対するナフトピジルとシロドシンの無作為クロスオーバー試験
- 増田 光伸,神座 慎一郎,増子 洋 [他]
- 泌尿器科紀要 = Acta urologica Japonica 58(12), 671-678, 2012-12
- We compared the efficacy, safety, and patient preferences for two α1-adrenoceptor (AR) antagonists with different affinity for AR subtypes, naftopidil (Naf) and silodosin (Silo), for the treatment of …
- NAID 40019530612
- 前立腺肥大症に対する新しい治療戦略 : 個別化治療と創薬開発
- ホルミウムレーザ前立腺核出術(HoLEP) : 前立腺肥大症に対するホルミウム・ヤグレーザを使用した手術法 (特集 進展するレーザ医療)
Related Links
- 前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)は加齢とともに前立腺(内腺)の細胞数が 増加し肥大化する疾患。 ... 年齢とともに生殖能力が必要でなくなるために、前立腺は 萎縮するか肥大するかの二者択一の道を選ぶ。 昭和30年代(1955年代)ごろまでは、 日本 ...
- 前立腺肥大症. 燐人の事情が良くわかる公衆便所の男性用トイレは残酷である。若い頃 はものの大きさが気になり、歳がいくと排尿の時間が気になる。駅や空港の便所では 後ろに並ぶ人の視線も気になる。早くことを済ませなくてはならず、つい先日までは時間 の ...
- 2009年7月22日 ... 前立腺肥大 症状・診断・治療法. 前立腺肥大によるいろいろな症状とその診断方法、 そして各種治療方法を解説しています。 カテゴリ. このサイトの目次(1) 前立腺肥大症の 症状(2) 前立腺肥大症の診断方法(1) 前立腺肥大症の治療方法(6) ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 86歳の男性。なんとなく元気がないと家族から往診の依頼があった。数日前から食欲が低下し、いつもより元気がないと同居の妻から説明を受けた。本人は何ともないと言う。ほぼベッド上の生活で食事摂取は自立しているが、それ以外のADLには介助を必要としている。5年前から脳梗塞後遺症(左片麻痺)、混合型認知症、高血圧症、前立腺肥大症および胆石症で訪問診療を受けている。意識レベルはJCS I-2。体温 36.5℃。脈拍 112/分、整。血圧 110/80mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 96%(room air)。眼瞼結膜は貧血様でない。眼球結膜に黄染を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部では腸雑音がやや亢進し、右季肋部の触診を行うと右手で払いのけようとする。下腿に浮腫を認めない。
- 正しい判断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109E047]←[国試_109]→[109E049]
[★]
- 次の文を読み、54~56の問いに答えよ。
- 68歳の男性。尿失禁を主訴に来院した。
- 現病歴:2年前から就寝後に2回トイレに行くようになった。1か月前から気が付かないうちに尿失禁をきたしている。残尿感と排尿困難とは認めない。
- 既往歴:10年前から糖尿病で血糖降下薬を内服している。
- 家族歴:特記すべきことはない。
- 現症:意識は清明。身長160cm、体重66kg、体温36.4℃。脈拍68/分、整。血圧144/88mmHg。下腹部に弾性軟で手拳大の腰痛を触知する。下肢に浮腫を認めない。直腸診で小鶏卵大の前立腺を触知するが、硬結や圧痛は認めない。
- 検査所見.尿所見:蛋白(-)、糖2+、潜血(-)、沈さに赤血球と白血球とを認めない。血液所見:赤血球450万、Hb14.6g/dl、Ht44%、白血球5.600。血液生化学所見:血糖146mg/dl、HbA1c 6.8%(基準4.3~5.8)、尿素窒素20.0mg/dl、クレアチニン1.2mg/dl。免疫学所見:CRP O.1mg/dl、PSA1.6ng/ml(基準4.0以下)。
[正答]
※国試ナビ4※ [102B054]←[国試_102]→[102B056]
[★]
- 次の文を読み、37、38の問いに答えよ。
- 68歳の男性。下腹部の痛みと尿が出ないこととを主訴に来院した。
- 現病歴 : 3年前から頻尿、残尿感および排尿困難があったが放置していた。2時間前に自宅で晩酌をしていたところ、下腹部に痛みが出現し、触ると痛みが増強した。排尿ができず、痛みも持続している。
- 既往歴 : 5年前から高脂血症を指摘されているが放置している。
- 生活歴 : 喫煙20本/日を30年間。飲酒晩酌程度。
- 現症 : 意識は清明。身長163cm、体重65kg。体温36.5℃。脈拍100/分、整。血圧156/90mmHg。上腹部はほぼ平坦で、肝・脾は触知しない。下腹部は軽度膨隆しており、正中に腫瘤を触知し、同部に圧痛を認める。下肢に浮腫を認めない。骨盤部超音波写真を以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [100D037]←[国試_100]→[100D039]
[★]
- 68歳の男性。排尿困難と頻尿とを主訴に来院した。1か月前から尿意切迫感と夜間頻尿とを認めた。既往歴と家族歴とに特記すべきことはない.身長164cm、体重64kg、脈拍68/分、整。血圧128/82mmHg。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。直腸指診で表面平滑で腫大した弾性硬の前立腺を触知し、圧痛を認めない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、沈渣に赤血球と白血球とを認めない。PSA 1.6ng/ml(基準4.0以下)。国際前立腺症状スコア 14点(軽症0-7点、中等症8-19点、重症20-35点)。残尿量 30mg。腹部超音波写真(別冊No.13A)と尿流測定の結果(別冊No.13B)とを別に示す。
- 対応として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105I055]←[国試_105]→[105I057]
[★]
- 60歳の男性。 1年前からの頻尿と排尿困難とを主訴に来院した。直腸診で前立腺は鶏卵大で、硬結を認めない。尿所見と血液所見とに異常を認めない。PSA 2.4ng/ml(基準4.0以下)。排尿日誌で1回排尿量 200-250mg、昼間排尿回数 10回、夜間排尿回数 2回。国際前立腺症状スコア15点(軽症0-7、中等症8-19、重症20-35)。QOLスコア 4点(軽症0-1、中等症2-4、重症5-6)。腹部超音波写真(別冊No.12)を別に示す。前立腺の長径は53mm、短径は51mm及び前後径は52mmである。
- 次に行うのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104I053]←[国試_104]→[104I055]
[★]
- 67歳の男性。3日前からの発熱と頻尿とを主訴に来院した。 2年前から前立腺肥大症の診断でα1遮断薬を内服している。体温38.4℃。直腸指診で小鶏卵大の前立腺を触知し、圧痛を認める。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、沈渣に赤血球1-3/1視野、白血球100以上/1視野。血液所見:赤血球460万、 Hb14.6g/dL、Ht41%、白血球12,300、血小板23万。免疫学所見: CRP6.2mg/dL。 PSA12.6ng/mL(基準4以下)。腹部超音波検査で推定前立腺体積36mL、残尿量10mL。
- 対応として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106I064]←[国試_106]→[106I066]
[★]
- 67歳の男性。1年前からの夜間頻尿と尿意切迫感とを主訴に来院した。直腸診で表面滑らかで腫大した前立腺を触知する。弾性硬で圧痛はない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、沈渣に赤血球2~4/1視野、白血球1/数視野。
- 対応として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [103I058]←[国試_103]→[103I060]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [098D038]←[国試_098]→[098D040]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [109H005]←[国試_109]→[109H007]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [097E023]←[国試_097]→[097E025]
[★]
- 経尿道的手術が外科的治療の第一選択となるのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [110B032]←[国試_110]→[110B034]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [111B016]←[国試_111]→[111B018]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [101B075]←[国試_101]→[101B077]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [106E020]←[国試_106]→[106E022]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [105D009]←[国試_105]→[105D011]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [105F013]←[国試_105]→[105F015]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [107F011]←[国試_107]→[107F013]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [095E032]←[国試_095]→[095E034]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [102G004]←[国試_102]→[102G006]
[★]
- 英
- prazosin
- 化
- 塩酸プラゾシン prazosin hydrochloride
- 商
- ミニプレス Minipress、ダウナット
- 関
- αアドレナリン受容体遮断薬、アドレナリン受容体
GOO. 269.
分類
薬理作用
- 末梢動脈の拡張→末梢血管抵抗↓→血圧↓(α1受容体遮断による) (SPC.249)
- 動静脈に働き末梢血管抵抗を減少させ、静脈還流量を低下させる (GOO.269)
- 心臓の前負荷を減らす。心拍出量と心拍数には影響を与えない (GOO.269)
- 反射性頻脈が少ない。(他の血管拡張薬では心拍数↑。hydralazine) (GOO.269)
- →前負荷減少、選択的α1遮断、さらには中枢神経に働いて、交感神経系の出力を抑制しているのかも (GOO.269)
ミニプレス
- プラゾシンは高血圧自然発症ラット、腎性高血圧ラット、DOCA高血圧ラットのいずれにおいても優れた降圧作用が認められている。
- プラゾシンの降圧作用はα受容体を遮断することにより末梢血管を拡張させ、その抵抗を減少させることによるが、従来のα遮断薬と異なり、シナプス後α受容体を選択的に遮断し、シナプス前α受容体にはほとんど作用しない。このためシナプス前α受容体を介するノルアドレナリン放出の負のフィードバック機構を抑制せず、過剰のノルアドレナリン放出をおこさないことがin vitroにおけるウサギ肺動脈の試験で認められている。シナプス後α受容体に対するプラゾシンの選択的な作用は本態性高血圧症患者に反射性頻脈をほとんどきたさないこと、レニン活性に及ぼす影響が少ないこと、長期連用による耐性発現がみられないこと10)などの特性に関連するものと考えられている。
適応
- 抗高血圧薬として(SPC.249)
- 前立腺肥大症での排尿障害
- 腎機能低下例にも適応可能
- 静脈系の拡張作用を持つので、心臓の前負荷・後負荷を軽減し、心不全にも適応可
副作用
- 老人に多い
[★]
- 英
- prostate specific antigen, prostate-specific antigen, PSA, PA
- 関
- 前立腺、前立腺液、前立腺癌。PAP
概念
- LAB.639 OLM.377
- 前立腺上皮細胞から分泌されるキニン-カリクレインファミリーに属する分子量33~34kDaの糖蛋白で、セリンプロテアーゼの一種である。
- 精液中に含まれ、精子運動性の亢進および精漿の液状化に関与するといわれている。
- 一部血中に逸脱するため、血清PSAとして測定することができる。
- 血液中では10-20%がfree PSAとして存在するが、多くはα1-アンチキモトリプシン(ACT)と結合している。
- 前立腺癌では総PSAに対するACT-PSA複合体の割合が増加するため、前立腺肥大症との鑑別に有用かもしれない。
- 前立腺癌の診断や治療経過をみる腫瘍マーカーとして用いられているが、生理的、あるいは他の疾患でも上昇することがある。
- Tandem-Rキットでの基準値が臨床では良く用いられている、らしい。(ガイドラインにも記載があった気がした)
判定
- 正常:4ng/ml以下(IRMA法) (参考1)
- グレーゾーン:4-10 ng/ml
- 高値:10ng/ml
- LAB.640
- 加齢により増加するため、年齢階層別基準値が定められている。
高値
- LAB.639 OLM.377
- 前立腺癌:腫瘍量とPSAとは正の相関関係にある。
- 前立腺肥大症:PSA軽度上昇を示す。確定診断には前立腺生検が必要 ← そこまでする???
- 尿路・前立腺の炎症:急性前立腺炎
- 機械的刺激:長時間のサイクリング、前立腺マッサージ、前立腺生検、尿道カテーテル留置、膀胱鏡検査、前立腺手術
- その他:急性尿閉、射精後
臨床的意義
注意
- フィナステリド服用例ではPSAの値に影響を与える可能性がある。
- 前立腺肥大症に対するステロイド系抗アンドロゲン薬服用例ではPSAに影響を与える可能性がある。
参考
- 1. 体外診断用放射性医薬品/タンデム-R free PSA
- http://www.yamasa.com/shindan/seihin/freePSA/freepsa.htm#rinsyou
[★]
- 英
- urinary retention, ischuria, urodialysis
- ラ
- retentio urinae
- 関
- 尿貯留
定義
- 膀胱まで移送された尿が尿道より排泄できない状態 ⇔無尿
原因
- SURO.39
- 前立腺肥大を有する患者が飲酒した場合や抗コリン薬の服用による事が多い
症状
- SURO.39
- 急性尿閉:苦痛有。強い尿意、恥骨上部の疼痛、強度の不安感、冷や汗
- 慢性尿閉:苦痛は少ない。溢流性失禁、両側水腎症
検査
- SURO.111
臨床関連
- 中枢神経(上位ニューロン)障害の急性期には脊髄ショックにより排尿中枢が機能しなくなり尿閉に陥るらしい。
[★]
- 英
- pollakiuria, pollakisuria, frequent urination, frequent micturition, urinary frequency
- 関
- 尿、乏尿、無尿、頻尿症、尿意頻数、排尿回数、機能性膀胱容量
定義
- 正常者の排尿回数は24時間で5~6回で就寝中は0~1回である。
- 就寝中の頻尿を夜間頻尿(夜間多尿症)、起床から就寝までの頻尿を昼間頻尿と呼ぶ。
- 排尿回数が異常に多いこと
- 1. 昼間頻尿を8回以上、夜間頻尿(夜間多尿症)を2回以上(日本泌尿器科学会排尿障害臨床試験ガイドライン)
- 2. 1日10回以上、就眠時 2回以上の排尿
原因
鑑別疾患
[★]
- 英
- antiandrogen
- 同
- アンドロゲン拮抗薬 androgen antagonist、男性ホルモン拮抗薬 male sex hormone antagonist
- 関
- 抗アンドロゲン、前立腺肥大症
[show details]
抗アンドロゲン剤 : 約 16,100 件
抗アンドロゲン薬 : 約 55,300 件
抗アンドロゲン製剤 : 約 1,100 件
抗男性ホルモン剤 : 約 12,800 件
抗男性ホルモン薬 : 約 33,400 件
抗男性ホルモン製剤 : 36 件
アンドロゲン拮抗薬 : 55 件
男性ホルモン拮抗薬 : 14 件
- (ヒドロキシプロゲステロン誘導体)シプロテロン、
- (合成黄体ホルモン製剤)クロルマジノン、
- (テストステロン系)オキセンドロン:前立腺でアンドロゲンと競合阻害し、アンドロゲンのアンドロゲン受容体への結合を阻害。
[★]
- 同
- benign prostatic hupertrophy, BPH
- 英
- [[]]
- 関
- [[]]
[★]
- 英
- prostate (KL,KH,N,Z), prostate gland
- ラ
- prostata
- 同
- 前位腺、摂護腺
解剖
- くるみ大の大きさ。体積は5ml(??)程度が普通で、大きい場合、前立腺肥大症や前立腺癌などが考えられる
- 膀胱の直下にある栗の実に似た固い器官
- 内腺と外腺からなる。現在では、central zone CZ,transitional zone TZ,peripheral zone PZという分け方が一般的。
組織
- 円柱上皮と立方上皮が2相構造を呈している → 多列円柱上皮? : 前立腺肥大症ではこの構造が保たれ、前立腺癌ではこの構造が乱れる。
- 30-50個からなる複合管状胞状腺の集合体からなる。(HIS.427)
- 管状胞状腺の内腔に前立腺石(アミロイド小体)を認める。(HIS.428)
機能 (KL.446)
- 特有の臭気を有する乳白色の液で、クエン酸や、デヒドロゲナーゼ、亜鉛を含み、精液の15-30%を構成する。
- 分泌はジヒドロテストステロンに制御されている(HIS.428)
発生学的な関係 (KH.258,264 N.362,368)
臨床関連
- inner, periurethral glandsに見られる。肥大はinner region(central and transitional region)で著明
- outer region(peripheral) glandsで起こる → 尿路の閉塞は初期に出づらい。
参考
- http://img4.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/2d/5d/zr750soyokaze/folder/1188086/img_1188086_27786171_0?1242055767
[★]
- 英
- hypertrophy
- ラ
- hypertrophia
- 関
- 過形成、増殖
[★]
- 英
- sis, pathy
[★]
- 英
- hypertrophic
- 関
- 肥厚性、肥大性、肥大型