- 英
- cyanosis
- 同
- 青色症 cyanopathy
- 関
- デオキシヘモグロビン
定義
- 皮膚や粘膜の赤青色(暗赤色)に変化すること
- デオキシヘモグロビン(還元Hb)が5g/dl以上
- 異常ヘモグロビン(methemoglobin, sulfhemoglobinなど)が0.5 g/dL以上
- 救急医学の分野ではSpO2<70%をチアノーゼとしている、らしい(日本救急医学会の出版物参照)
分類
病態生理
- 中心性チアノーゼ:呼吸器疾患、肺内・心内シャント、中枢神経系疾患による低酸素血症。異常ヘモグロビン血症
- 末梢性チアノーゼ:末梢循環不全(心不全などの心拍出量や動脈閉塞など)
- 解離性チアノーゼ:動脈管開存症に大動脈縮窄症を伴う場合(上半身ピンク、下半身チアノーゼ)など
チアノーゼを来す疾患
- IMD.497 YN.C-16
病態生理
- 中心性チアノーゼの病態は低酸素血症といえるので、低酸素血症の病態に準じた症状が出現する、と思う。
身体所見
- 末梢では、口唇、頬部、鼻尖部、耳たぶ、爪床でチアノーゼが目立つ。
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/08/11 21:56:18」(JST)
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チアノーゼ (ドイツ語: Zyanose、英語: cyanosis) とは、皮膚や粘膜が青紫色である状態をいう。一般に、血液中の酸素濃度が低下した際に、爪床や口唇周囲に表れやすい。医学的には毛細血管血液中の還元ヘモグロビン(デオキシヘモグロビン)が5g/dL以上で出現する状態を指す。貧血患者には発生しにくい(ヘモグロビンの絶対量が少ないために還元ヘモグロビンの量が5g/dL以上になり難いため)。
主な原因としては、
- 呼吸器または循環器の疾患。
- 静脈血の動脈血への流入。
- 異常なヘモグロビン。
が挙げられる。
上2つの原因に関しては、血管中の還元ヘモグロビン(運んでいた酸素を放出したヘモグロビン)の数が起因している。
本来還元ヘモグロビンは静脈を通って肺に運ばれ、そこで酸素と結びついて酸化ヘモグロビンとなり、動脈を通り全身に運ばれる。しかし呼吸器疾患により還元ヘモグロビンが酸素と結びつかなかったり、循環器疾患により全身、あるいは一部器管の還元ヘモグロビンの数が異常に多くなった時、その色がチアノーゼとして現れる。
また、首吊り自殺した人の顔や水死体、呼吸困難により死亡した人の顔、絞殺された死体にもチアノーゼは表れる。それ以外にも先天的な心疾患や肺疾患、あるいは心肺停止状態のような末期の特徴として表れる。
また、血色素の異常によってもチアノーゼが起こる。
参考
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呼吸器疾患(ICD-10 J00〜99) |
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疾患 |
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閉塞性肺疾患
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慢性閉塞性肺疾患
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気管支喘息 | 慢性気管支炎 | 肺気腫 | びまん性汎細気管支炎
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拘束性肺疾患
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特発性
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IPF | NSIP | COP | AIP | DIP | RB-ILD | LIP
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続発性
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塵肺 | 放射線肺炎 | 薬剤性肺炎
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無気肺 | 気胸 | 血胸
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形態異常
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気管支拡張症 | 肺分画症 | 肺嚢胞症
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腫瘍
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良性腫瘍
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肺過誤腫 | 硬化性血管腫
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悪性腫瘍
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低悪性度肺腫瘍 | 原発性肺癌 | 転移性肺癌 | 中皮腫
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アレルギー
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気管支喘息
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アスピリン喘息
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好酸球性肺炎
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Löffler症候群 | 急性好酸球性肺炎 | 慢性酸球性肺炎 | 好酸球増加症候群
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過敏性肺臓炎 | サルコイドーシス | グッドパスチャー症候群
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肺循環障害
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肺血栓塞栓症 | 肺性心 | 新生児呼吸窮迫症候群 | 急性呼吸窮迫症候群
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肺代謝異常
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肺胞蛋白症 | 肺胞微石症
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機能的障害
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過換気症候群 | 睡眠時無呼吸症候群
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感染性疾患
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下気道 |
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原因
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- インフルエンザ菌
- モラクセラ
- 大腸菌
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非定型肺炎
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- RSウイルス
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- クラミジア肺炎
- オウム病
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抗酸菌症
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機序
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病態
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症候・徴候 |
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異常呼吸
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過呼吸 | 頻呼吸 | 徐呼吸 | 低呼吸 | 多呼吸 | 少呼吸 | 起坐呼吸 | 奇異性呼吸 | クスマウル呼吸 | チェーンストークス呼吸 | ビオー呼吸
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咳嗽 | 痰 | 呼吸困難 | 胸痛 | 胸水 | ばち指 | チアノーゼ
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所見・検査 |
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聴診 | 胸部X線写真 | 胸部X線CT | 気管支鏡 | 胸腔鏡 | 血液検査
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呼吸器系の正常構造・生理 |
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気道系 |
解剖学的構造
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上気道
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鼻
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鼻孔 | 鼻腔 | 鼻甲介 | 副鼻腔
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口
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口腔前庭 | 口腔 | 口蓋
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咽頭 - 喉頭
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下気道
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気管
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気管支
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主気管支 - 葉気管支 - 区域気管支 - 亜区域気管支
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細気管支
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小気管支 - 細気管支 - 終末細気管支
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呼吸細気管支
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ガス交換器
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肺 - 肺胞管 - 肺胞嚢 - 肺胞
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顕微解剖学
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I型肺胞上皮細胞 | II型肺胞上皮細胞 | 杯細胞 | クララ細胞 | 気管軟骨輪
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生理学・生化学
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生理学
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肺気量 | 肺活量 | %肺活量 | 残気量 | 死腔 | 1回換気量 | 1秒率 | 肺サーファクタント | SP-A
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生化学
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PaCO2 | PaO2 | AaDO2 | FiO2 | SpO2 | 呼吸係数および酸素化係数
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血管系 |
肺循環系
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(右心室 -) 肺動脈 - 毛細血管 - 肺静脈 (- 左心房)
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気管支循環系
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(胸部大動脈 -) 気管支動脈 - 毛細血管 - 気管支静脈 (- 奇静脈/副反奇静脈)
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運動器系 |
骨格
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肋骨 | 胸骨
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呼吸筋
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横隔膜 | 内肋間筋 | 外肋間筋 | 胸鎖乳突筋 | 前斜角筋 | 中斜角筋 | 後斜角筋 | 腹直筋 | 内腹斜筋 | 外腹斜筋 | 腹横筋
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神経系 |
中枢神経系
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呼吸中枢 | 呼吸調節中枢 | 前頭葉
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末梢神経系
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横隔神経 | 肋間神経
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Japanese Journal
- 各種症状・所見の診かたと対応 小児のチアノーゼ (特集 小児診療のピットフォール(2))
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- チアノーゼの衝撃写真と動画集|真実を知り、正しい理解を|その病気治ります!
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[★]
- 次の文を読み、49、50の問いに答えよ。
- 生後2時間の男児。手と足とにチアノーゼを認める。
- 現病歴: 妊娠経過中、特に異常はなく、在胎40週、自然経膣分娩で出生した。Apgarスコア9点(1分)。分娩室から部屋に戻ったあと児の手足に軽度のチアノーゼがあることに母親が気付いた。
- 現症: 身長50.5cm、体重3,040g。直腸温36.8℃。呼吸数40/分。心拍数120/分。頭部は頭頂方向に長く変形し、骨縫合での骨重積がみられる。大泉門径1cm。軽度のチアノーゼを手と足とに認めるが、口唇には認めない。心雑音はなく、呼吸音も正常である。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝を1cm触れる。左右とも精巣を触知しない。
- 検査所見: 血液所見:赤血球560万、Hb16.4g/dl、Ht48%、白血球12,000。
- 血清生化学所見:血糖70mg/dl、総ビリルビン2.6mg/dl、AST36IU/l、ALT30IU/l。
[正答]
A
- b.呼吸障害が認められれば。d.低体温が認められれば。
※国試ナビ4※ [101D049]←[国試_101]→[101E001]
[★]
- 72歳の男性。 1週前から続く両下肢の冷感と痛みとを主訴に来院した。 1か月前に不安定狭心症に対する冠動脈ステント留置術を受けた。 15年前から糖尿病と高血圧症とで治療中である。喫煙は15本/日を50年間。体温36.6℃。脈拍84/分、整。血圧140/88mmHg。呼吸数18/分。両下腿に網状皮斑を認める。足趾にチアノーゼを認める。尿所見:蛋白(-)、潜血(±)。血液所見:赤血球380万、Hb11.8g/dl、 Ht35%、白血球6,600(桿状核好中球5%、分葉核好中球60%、好酸球15%、単球5%、リンパ球15%)、血小板26万。血液生化学所見:アルブミン4.0g/dl、尿素窒素42mg/dl、クレアチニン3.0mg/dl(冠動脈ステント留置術前: 1.2mg/dl)。免疫学所見: CRP1.5mg/dl。リウマトイド因子(RF)陰性、抗核抗体陰性。 CH50 19U/mL(基準30-40)。下腿の皮膚生検のH-E染色標本(別冊No. 13)を別に示す。
- 診断として考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106D039]←[国試_106]→[106D041]
[★]
- 出生直後の新生児。呼吸不全のためNICUに入院となった。母親が妊婦健康診査を受けていなかったため、妊娠経過は不明である。3,026gで出生した。Apgarスコアは3点(1分)、4点(5分)。呼吸数72/分で非常に浅い。心拍数88/分、整。全身にチアノーゼを認める。筋緊張は低下し、自発運動に乏しく、泣き声はほとんど聞き取れない。心音と呼吸音とを右胸部でわずかに聴取する。腹部は陥凹し、肝・脾を触知しない。マスクによる酸素投与が行われたが経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)50%のため、直ちに気管挿菅し、100%酸素で人工換気を行った。気管挿管後、SpOsは70%まで上昇したが、それ以上の改善は認められなかった。気管挿菅後の胸部エックス線写真(別冊No.22)を別に示す。
- この新生児の呼吸不全の原因はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105I067]←[国試_105]→[105I069]
[★]
- 次の文を読み、10~12の問いに答えよ。
- 68歳の男性。嚥下障害を主訴に来院した。
- 現病歴 : 6か月前から胸骨後部の不快感を自覚していた。1か月前、食事中に肉片がつかえたがお茶を飲んで通過した。その後、固形物が頻回につかえるようになった。最近1か月で5kgの体重減少がみられた。
- 既往歴 : 特記すべきことはない。
- 生活歴 : 飲酒:日本酒2合/日、40年間。喫煙:30本/日、40年間。
- 現症 : 身長162cm、体重47kg。左側の頚部と鎖骨上窩とにリンパ節を触知する。
- 検査所見 : 血液所見:赤血球280万、Hb9.5g/dl、白血球7,900。血清生化学所見:総蛋白5.8g/dl、アルブミン3.2g/dl、AST18単位(基準40以下)、ALT16単位(基準35以下)。入院後の食道造影写真(別冊No.4)を別に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [097C009]←[国試_097]→[097C011]
[★]
- 30歳の男性。会社員。独身。高度の呼吸困難、発熱および乾性咳嗽を主訴に来院した。3か月前から全身倦怠感と乾性咳嗽、2か月前から体動時の息切れ、2週前から発熱がみられ呼吸困難は高度となった。22歳から2年間海外に留学した。意識は清明。身長178cm、体重56kg。体温 38.2℃。呼吸数 30/分。脈拍 112/分、整。血圧 114/60 mmHg。チアノーゼを認める。血液所見:赤血球 452万、Hb 12.8 g/dl、Ht 40%、白血球 8,200(桿状核好中球 16%、分葉核好中球 64%、単球 8%、リンパ球 4%)、血小板 17万。免疫学所見:CRP 18mg/dl、IgG 620 mg/dl (基準 960~1,960)、β-D-グルカン 280pg/ml(基準 20以下)。胸部エックス線写真で両側び慢性に浸潤影を認める。
- 治療薬として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [103D045]←[国試_103]→[103D047]
[★]
- 次の文を読み、49、50の問いに答えよ。
- 生後2時間の男児。手と足とにチアノーゼを認める。
- 現病歴: 妊娠経過中、特に異常はなく、在胎40週、自然経膣分娩で出生した。Apgarスコア9点(1分)。分娩室から部屋に戻ったあと児の手足に軽度のチアノーゼがあることに母親が気付いた。
- 現症: 身長50.5cm、体重3,040g。直腸温36.8℃。呼吸数40/分。心拍数120/分。頭部は頭頂方向に長く変形し、骨縫合での骨重積がみられる。大泉門径1cm。軽度のチアノーゼを手と足とに認めるが、口唇には認めない。心雑音はなく、呼吸音も正常である。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝を1cm触れる。左右とも精巣を触知しない。
- 検査所見: 血液所見:赤血球560万、Hb16.4g/dl、Ht48%、白血球12,000。
- 血清生化学所見:血糖70mg/dl、総ビリルビン2.6mg/dl、AST36IU/l、ALT30IU/l。
[正答]
※国試ナビ4※ [101D048]←[国試_101]→[101D050]
[★]
- 次の文を読み、26、27の問いに答えよ。
- 4か月の乳児。体重増加不良と発達遅延の疑いとを主訴に来院した。
- 現病歴:生後数時間から心雑音が聴取され、7mmの欠損孔を有する心室中隔欠損症と診断された。生後2週から利尿薬を内服している。この1か月の体重の増加は約300gであった。
- 発育・発達歴 在胎38週2日、3,240gで出生。追視は可能、頚定は十分でない。
- 既往歴・家族歴 特記すべきことはない。
- 現症 体動は活発。身長64.2cm、体重4.8kg。体温37.1℃。呼吸数60/分。心拍数132/分、整。右肋骨弓下に肝を2.5cm触知する。
- 検査所見 胸部エックス線写真(別冊No.4)を別に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [105F025]←[国試_105]→[105F027]
[★]
- 3か月の乳児。発熱とチアノーゼとを主訴に来院した。1か月前から肺炎として治療されていたが、軽快しないため紹介された。体温38.5℃。呼吸数38/分。栄養状態は不良である。血液所見:白血球22,000(桿状核好中球20%、分葉核好中球33%、単球9%、リンパ球38%)。血清生化学所見:IgG1,730mg/dl(基準280~700)、IgA60mg/dl(基準10~60)、IgM198mg/dl(基準30~120)。CRP4.0mg/dl。白血球のNBT還元試験/nitroblue tetrazolium還元試験は陰性。胸部エックス線写真を以下に示す。
- この疾患について正しいのはどれか。2つ選べ。
- a. 女児に多い。
- b. ウイルス感染が重症化する。
- c. 胸腺の形成不全がある。
- d. 肉芽腫を形成する。
- e. 白血球の殺菌能が欠損している。
[正答]
※国試ナビ4※ [101A054]←[国試_101]→[101A056]
[★]
- 次の文を読み、28、29の問いに答えよ。
- 72歳の女性。息苦しさを主訴に来院した。
- 現病歴:2日前から発熱と全身倦怠感とを訴えていた。昨日の就寝時から息苦しさがひどくなり、よく眠れなかった。
- 既往歴:8年前から慢性閉塞性肺疾患を指摘されているが、治療は受けていない。
- 現症:意識は清明。身長154cm、体重42kg。体温37.8℃。呼吸数24/分。脈拍108/分、整。血圧186/104mmHg。口唇にチアノーゼを認める。頸静脈の怒張を認める。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝を2cm触知する。脾は触知しない。腹部に圧痛や抵抗はない。
[正答]
※国試ナビ4※ [102C027]←[国試_102]→[102C029]
[★]
- 3歳の男児。チアノーゼの増強を主訴に来院した。出生直後から収縮期心雑音を認めた。生後3か月からチアノーゼが出現し、最近歩行時にしゃがみこむようになった。脈拍90/分、整。血圧110/80mmHg。血液所見:赤血球510万、Hb13.8g/dl、Ht48%。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH7.38、PaO2 48Torr、PaCO2 38Torr。心エコー左室長軸断層像を以下に示す。
- この疾患の適切な術式はどれか。
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [096A018]←[国試_096]→[096A020]
[★]
- 18歳の女子。運動時の息切れと動悸とを主訴に来院した。3か月前から同症状を自覚している。呼吸数14/分。脈拍88/分、整。血圧120/72mmHg。右背部に連続性血管性雑音を聴取し、深吸気で増強する。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH7.41、PaO2 72.6Torr、PaCO2 33.6Torr。胸部エックス線写真を以下に示す。
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [097D012]←[国試_097]→[097D014]
[★]
- 4か月の乳児。RSウイルス感染症による呼吸障害のため入院している。呼吸・心拍モニターのアラームが鳴ったため研修医、指導医および看護師で患児を診察に行ったところ全身にチアノーゼを認めた。気道確保をして呼吸を確認したが、自発呼吸を認めない。心電図モニターでは心静止である。末梢静脈路は確保されており、心肺蘇生の備品は病室に準備されている。
- 直ちに行うべきなのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113B032]←[国試_113]→[113B034]
[★]
- 出生直後の新生児。41週5日、3,200gで出生した。分娩時間第I期14時間、第II期1時間40分。羊水混濁があり、胎盤は黄染していた。臍帯動脈血pH 7.25。Apgarスコア5点(1分)、7点(5分)。鳴き声が弱く、軽度のチアノーゼを認めた。口腔内を吸引し、酸素を再び投与たところ、チアノーゼは改善し泣き声も強くなった。約10分後、再びチアノーゼと多呼吸とが出現した。、聴診上、心雑音はないが、呼吸音は両側とも減弱している。
- まず行うべき処置はどれか。
[★]
- 3歳の男児。嗄声と喘鳴とを主訴に母親に連れられて来院した。 2日前から発熱、鼻汁および嗄声が出現し、本日夕方から吸気性喘鳴と犬吠様咳嗽を認めたため小児科を受診し、その後耳鼻咽喉科を紹介された。陥没呼吸やチアノーゼは認めない。SpO2 98% ( room air)。
- まず行うべき検査はどれか。
- a 頸部 CT
- b 後鼻鏡検査
- c 頸部超音波検査
- d 喉頭内視鏡検査
- e 副鼻腔エックス線撮影
[正答]
※国試ナビ4※ [108H022]←[国試_108]→[108H024]
[★]
- 65歳の男性。体動時の息切れを主訴に来院した。身長160cm、体重55kg。呼吸数14/分。脈拍76/分、整。血圧138/82mmHg。心音に異常を認めない。左下肺野で呼吸音の減弱を認める。胸部エックス線写真と胸部単純CTとを以下に示す。
- この患者に認めるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [100F021]←[国試_100]→[100F023]
[★]
- 日齢5の新生児。在胎39週、出生体重2,840gで帝王切開で出生した。Apgarスコアは5点(1分)、9点(5分)。本日、心雑音を認めたため、心エコー検査を行ったところ大動脈遠位弓部狭窄、心室中隔欠損および動脈管開存を認めた。
- 今後、この患児にみられる可能性が高い症候はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111G052]←[国試_111]→[111G054]
[★]
- 7歳の男児。学校の健康診断で心雑音を指摘されたため来院した。チアノーゼを認めない。胸部聴診上、吸気時と呼気時とでII音が分裂し、収縮期雑音を聴取する。
- これらの所見の聴診に最も通した部位はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106I069]←[国試_106]→[106I071]
[★]
- 64歳の女性。肺癌に対して左肺全摘術を受け、経過観察のため術後7か月に来院した。胸部エックス線写真を以下に示す。
- a. チアノーゼ
- b. 頸静脈怒張
- c. 肺肝境界消失
- d. 心濁音界拡大
- e. 左胸部呼吸音減弱
[正答]
※国試ナビ4※ [100D007]←[国試_100]→[100D009]
[★]
- 成人の急性呼吸不全で動脈血ガス分析(自発呼吸, 酸素投与下)が, pH7.30、PaO2 80Torr、PaCO2 92Torr のときみられるのはどれか。
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [096G081]←[国試_096]→[096G083]
[★]
- 生後16時間の新生児。在胎28週0日、体重1,220gで出生した。 Apgarスコア7点(1分)、 8点(5分)。多呼吸とチアノーゼとをきたしている。
- 他に認められる可能性が高いのはどれか。 3つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [106B047]←[国試_106]→[106B049]
[★]
- ☆case75 自宅での意識消失
- ■症例
- 21歳 男性
- 主訴:意識消失
- 現病歴:男性のアパートで意識を失っている所を彼女に発見され、午後5時に搬送された。彼女が最後に彼に会ったのは午後8時で、クリスマスの買い物をして帰宅した時であった。翌日午後、彼女が彼に会いに行った所、彼がお風呂の床で意識を失っているのを見つけた。彼女によれば、前日変わった様子(unusal mood)はなかった。彼は心理学の期末試験が1週間に迫っておりこのことを心配していたが、勉強はうまくいっているようだった。また以前の試験に問題はなかった。
- 喫煙歴:なし。
- 飲酒歴:機会飲酒 10 units/week(1週間に350mlビール6本弱)
- 既往歴:なし
- 家族歴:父と2人の兄弟のうち1人が糖尿病
- 服薬歴:以前、エクスタシー錠剤を服用していたが、静脈注射の薬はやったことがない。
- 身体所見 examination
- 顔貌 青白。注射痕は認められない。脈拍 92/分、血圧 114/74 mmHg、呼吸数 22/分。心血管系、呼吸器系に異常を認めず。神経系 命令に従わないが、痛みに反応して適切に手を引っ込める(GCS M4)。腱反射(+)・対称性、足底反射(-)。瞳孔散大、対光反射(+)。眼底 視神経円板腫脹
- ■鑑別診断をあげるためのkeyword(司会者用)
- ・24時間以内に来した意識消失、糖尿病の家族歴、冬、風呂、精神疾患リスク(試験で悩んでいる。薬物の服用歴)、顔色、脈拍、血圧、呼吸数、腱反射、病的反射、瞳孔、眼底(司会者用)
- ■keywordからどういう疾患を考えるか?
- 真っ先にあげたいもの
- ・二次的な脳圧亢進
- ・糖尿病
- ・薬物中毒、中毒物質の摂取・吸引
- ・神経疾患(てんかんなど)の発作
- ・24時間以内に来した意識消失
- ・クモ膜下出血:局所神経症状、硝子体下出血(subhyaloid hemorrhage)。
- ・糖尿病の家族歴
- ・低血糖発作
- 低血糖による昏睡は早いが糖尿病の新規症状として起こらない。まれにインスリノーマによる低血糖による昏睡があり得る。
- ・糖尿病性ケトアシドーシス diabetic ketoacidosis DKA
- 極度のインスリン欠乏とコルチゾールやアドレナリンなどインスリン拮抗ホルモンの増加により、(1)高血糖(≧250mg/dl)、(2)高ケトン血症(β-ヒドロキシ酪酸の増加)、アシドーシス(pH7.3未満)をきたした状態。(糖尿病治療ガイド 2008-2009 p.66)
- ・高浸透圧性非ケトン性昏睡 nonketotic hyperosmolar coma
- DM type 2
- 50歳以上に好発し、インスリン非依存性糖尿病*患者が腎不全や中枢神経障害、悪性腫瘍、消化器疾患、呼吸器感染などを合併するときに多くみられ、ステロイドや利尿薬の投与、輸液や高カロリー補給、人工透析などの際に医原性に起きやすい。
- 高血糖性の昏睡は発症が早くない。その前に口渇や多尿があるはず。
- → 否定するための検査 → 血糖測定
- ・風呂
- ・脳出血
- ・冬だし、風呂(脱衣所のことか)にガスヒーターがあったら疑わしい。
- ・精神疾患リスク(試験で悩んでいる。薬物の服用歴)
- (最も多いのが)薬物中毒(鎮静薬、アスピリン、アセトアミノフェン)
- (意識障害で運ばれてきたときに考えるべきなのが)一酸化中毒
- 一酸化中毒の場合の顔色は蒼白(cherry-red colorと言われてきたが)。眼底所見:(severe CO中毒で)乳頭浮腫
- ・顔色
- ・脈拍、血圧、呼吸数
- ・腱反射、病的反射
- 腱反射が亢進していたら、上位運動ニューロンの障害を考慮する。腱反射亢進と意識障害が共存していれば、障害部位は脊髄の伝導路ではなくむしろ脳幹・大脳皮質に障害があると考えることができる。
- ・瞳孔
- 瞳孔が散大していれば交感神経興奮、副交感神経の麻痺:フェニレフリン・エピネフリン・コカインなど交感神経刺激、動眼神経麻痺、脳死の徴候
- 瞳孔が縮瞳していれば副交感神経興奮、オピオイド受容体への刺激:麻薬中毒、有機リン中毒、橋出血、脳幹部梗塞(脳底動脈閉塞症など)
- ・眼底 (IMD.71)
- 視神経円板(=視神経乳頭)の腫脹は乳頭浮腫(papilledema, DIF.342)を反映。乳頭浮腫の発生機序は軸索輸送障害や静脈還流うっ滞である。原因として頭蓋内疾患が最も多い。頭蓋外の疾患(高血圧、視神経炎、偽性脳腫瘍)。
- 乳頭浮腫 papilledema DIF.243
- V 動静脈奇形、高血圧による脳血圧脳症・頭蓋内出血、クモ膜下出血、硬膜下血腫
- I 脳膿瘍、慢性経過の髄膜炎(細菌性×)、敗血症による血栓や静脈洞血栓
- N 脳腫瘍
- D -
- C 動静脈奇形、水頭症、頭蓋奇形(尖頭症などによる)、血友病、時にSchilder disease
- A ループス脳炎、動脈周囲炎
- T 急性期の硬膜外血腫や硬膜下血腫ではない。慢性硬膜下血腫ならありうる。
- E 褐色細胞腫による悪性高血圧、偽性脳腫瘍(=特発性頭蓋内圧亢進症)(肥満・無月経・感情障害(emotionally disturbed)をきたした女性に多い)
- ■問題
- 症例だけでは絞れないので、最も疑われる疾患をあげ、鑑別診断を列挙し、検査、治療を考えていくことにします。
- ■一酸化炭素中毒
- ■オチ
- 血中carboxyhemoglobinを測定したところ32%。高レベルの酸素投与でゆっくりだが、48時間で完全に回復。脳浮腫にたいするマンニトールや高圧酸素療法も考慮する。問題は4年間点検されていないガス温水器の不完全燃焼だったとさ。
- ■KEY POINTS
- ・薬物中毒は若い人の意識消失の最も一般的な原因だけど、他の診断もいつも考慮しておく。
- ・一酸化炭素ヘモグロビンレベルは屋内や車内、あるいはよく分からない煙に暴露した意識消失患者で測るべき
- ・一酸化中毒による重度の低酸素血症ではチアノーゼを欠く。
- ■initial plan(救急だからのんびりやってられないだろうけど)
- A.
- 1. 呼吸器系、循環器系の安定を確認
- 2. 血液ガス検査
- 3. 血液生化学(電解質(Na,Ca)、血糖)
- □ビール1本 = 350ml アルコール5%: 350 (ml/本) x 0.05 / 10 (ml/unit) =1.75 (unit/本)
- ■参考文献
- DIF Differential Diagnosis in Primary Care Fourth Edition版 Lippincott Williams & Wilkins
[★]
- 96
- 35歳 女性
- 【主訴】息切れ
- 【現病歴】6ヶ月から次第に増悪する息切れを訴え来院。息切れは進行しており、今では同年代の人に比べ階段を登ったり平地を歩くのがおそい。3ヶ月間空咳が出現してきている。
- 【既往歴】喘息(子供の頃、中等度)
- 【家族歴】父:40歳時に胸部疾患(chest problem)で死亡(と、この患者は思いこんでいる)。
- 【服用薬】パラセタモール。やせ薬は過去に使ったことがある
- 【嗜好歴】タバコ:吸わない。飲酒:週に10 units以下。
- 【職業歴】印刷会社(学校卒業後ずっと)
- 【生活歴】8歳と10歳の子供がいる。ペットとして自宅にネコとウサギを飼育している。
- 【身体所見】
- バチ指、貧血、チアノーゼは認めない。心血管系正常。呼吸器系で、両側性に肺拡張能低下。胸部打診音、および触覚振盪音は正常。聴診上、両肺の肺底部に呼気終期年発音を聴取する。
- 【検査所見】
- 呼吸機能試験
- 測定値 予測値
- FEV1(L) 3.0 3.6-4.2
- FVC(L) 3.6 4.5-5.3
- FER(FEV1/FVC)(%) 83 75-80
- PEF(L/min) 470 450-550
- 胸部単純X線写真
- 胸部単純CT(肺野条件)
- Q1 診断は?Q2 追加の検査と治療法
- (解説)
- ・6ヶ月から次第に増悪する息切れ
- ・本当に6ヶ月から息切れが始まったかは分からない!!実際にはもっと前から存在する可能性を考えよう。
- ・喘息の既往歴 → また喘息か・・・
- ・聴診上笛音 weezingなく、また呼吸機能検査で閉塞性肺障害は認められず否定的
- ・職業性喘息 ← 肺の疾患では職業歴が重要なんだよ、うん。
- ・職業に関連した特定の物質に曝露され引き起こされる気管支喘息。
- ・気管支喘息だと閉塞性換気障害でしょっ。
- ・本症例の病態
- ・拘束性病変(restrictive problem):拡張制限 + ラ音(呼気時に閉鎖していた気道の再開通によるラ音。このラ音は(1)肺が硬い+(2)肺容量低下による起こるんじゃ)
- ・呼吸機能検査の結果
- ・中等度の拘束性換気障害(FEV1とFVCの低下、slightly high ratio)
- → 硬い肺と胸郭を示唆している → 肺コンプライアンス低下じゃな。
- → 拡散能低下が予想される。
- ・胸部単純X線写真
- ・小さい肺野、中肺野~下肺野にかけて結節性網状陰影(nodular and reticular shadowing)を認める ← 教科書的には「線状網状影」
- ・HRCT
- ・胸膜下嚢胞形成(subspleural cyst formationの直訳。教科書的には「胸膜直下の蜂巣肺所見」)を伴う線維化
- これらの所見→diffusing pulmonary fibrosis(fibrosing alveolitis)
- ・肺の線維化病変を見たら限局性かびまん性かを見なさい!マジで?
- ・びまん性:diffuse fine pulmonary fibrosis
- ・原因:膠原病、薬剤性、中毒性、特発性
- ・限局性:例えば肺炎感染後の瘢痕
- ・IPF
- ・まれに家族性の病型有 → 本症例で父がchest problemで無くなっている事と関連があるかもしらん。
- ・IPFの良くある病型:UIP + CT上胸膜下に認められる蜂巣肺
- ・膠原病に合併する場合、NSIPの様に広い範囲に斑状の病変が出現
- ・CT上、ground glass shadowingに見える所はactive cellular alveolitisであり、反応に反応する確率が高いことと関連している。
- ・追加の検査の目的:原因と合併症の検索、肺生検施行の有無を決定
- ・肺生検:経気管支鏡生検は試料が少ないために負荷。VATは良く使用されており、若年の肺組織を得るのに適切な方法。
- ・治療
- ・低用量~中等量の副腎皮質ステロイド ± 免疫抑制薬(アザチオプリン):数ヶ月経過観察し、反応性を観察。
- ・UIP症例でこのレジメンに対する反応性は乏しく、治療による利益より重大な副作用を起こさないことが重要
- ・アセチルシステイン:anti-oxidant
- ・予後を改善するというエビデンス有り
- ・ステロイド+アザチオプリン+アセチルシステインというレジメンで用いられることがある
- ・肺移植
- ・本症例の様にナウでヤングな患者には適応を考慮しても良い
- ・予後
- ・疾患の進展速度は症例により様々
- ・6ヶ月で死亡する急性増悪も起こることがある。
- Progression rates are variable and an acute aggressive form with death in 6 months can occur.
- ・UIP症例では多くの場合2~3年かけて確実に進行していく。
- ■glossary
- clubbing n. バチ指
- restrictive ventilatory defect 拘束性換気障害
- transfer factor = 拡散能/拡散能力 diffusion capacity
- subpleural bleb 胸膜下嚢胞
- diffuse fine pulmonary fibrosis びまん性微細肺線維症
- warrant vt. (正式)(SVO/doing)S(事)からするとO(事)は「~することは」当然のことである(justify)
- relevant adj. 直接的に関連する、関連性のある(to)
- ground glass すりガラス
- 'ground glass' shadowingすりガラス陰影
[★]
- 英
- heart failure, HF, cardiac failure CF, cardiac insufficiency
- 関
定義
- 心臓のポンプ能が低下しているために、十分な心拍出量が得られない状態を指す (EPT.115)
- 心筋の機能が低下し、末梢組織の酸素需要量に見合うだけの血液を駆出できなくなった状態。
- 心臓に器質的あるいは機能的異常が生じて、心臓のポンプ機能力が低下し、主要臓器の酸素需要量に見合うだけの血液を拍出できない病態(YN)。全ての心疾患の「終末像」である。あくまでも終末像のため、死亡診断書に死因と記載するのは不適切である。
分類
病期
原因
場所
病態の分類
病期分類
- No limitation of physical activity. Ordinary physical activity does not cause undue fatigue, palpitation, or dyspnea (shortness of breath).
- Slight limitation of physical activity. Comfortable at rest, but ordinary physical activity results in fatigue, palpitation, or dyspnea.
- Marked limitation of physical activity. Comfortable at rest, but less than ordinary activity causes fatigue, palpitation, or dyspnea.
- Unable to carry out any physical activity without discomfort. Symptoms of cardiac insufficiency at rest. If any physical activity is undertaken, discomfort is increased.
原因
- 虚血性心疾患、弁膜疾患、高血圧精神疾患、心筋虚血の順に多い。(IMD.790)
- 誘因としては過労、ストレス、感染、心拍数の異常、不整脈、水分・塩分の過剰摂取がある。
増悪因子
- ストレス
- 感染症:頻脈→心筋酸素需要↑
- 貧血 :心拍出量↑
- 妊娠 :心拍出量↑、体液量↑
- 甲状腺機能亢進症:甲状腺ホルモン(心臓のカテコラミン受容体増加)の陽性変力効果、陽性変時効果→心筋酸素需要↑
- 血圧上昇 :圧負荷
- 頻脈性不整脈:心筋酸素需要↑
table 9.3. 代償されている心不全において症状を誘発させる要因 PHD.240
- 代謝的需要の増加 → 心筋が十分に収縮できなくなる
- コントロールされていない高血圧 ←左心系
- 肺塞栓症 ← 右心系
- 陰性変力作用を持つ薬物
- 心筋虚血 or 心筋梗塞
- アルコールの摂取
症状
心不全の身体所見 IMD.791改変
- 右心不全での胸水:左心不全の後方障害で起こるが、右心不全でも上大静脈圧上昇により奇静脈系が上昇して胸水貯留を認める
- the pleural veins drain into both the systemic and pulmonary veous beds.(PHD.243)
治療
参考
- 2006年改訂版:http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2006_maruyama_h.pdf
- 2011年改訂版:http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2011_izumi_h.pdf
- 2. 慢性心不全治療ガイドライン(2010年改訂版)
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010_matsuzaki_h.pdf
[★]
- 英
- complete transposition of great arteries, complete-TGA
- 同
- 完全大血管転位 ← googleでこちらが多く、ガイドラインではこちらが使われている。一方、教科書には「完全大血管転位症」として載っていることが多い
- 関
- 大血管転位症 TGA、修正大血管転位症
[show details]
概念
- 大動脈が右室から、肺動脈が左室から起始している先天性心疾患。
疫学
- 男児に多い(64$)
- 早産や低体重児であることは少ない
病型
治療
手術療法
- I型:生後14日までにarterial switch
- そうでないと肺動脈・左室圧が低下し左室の心筋重量が低下してしまうため、術後に左室芽体血圧を支えることができなくなるため
まとめ PED.922
|
VSD
|
PS
|
チアノーゼ
|
頻呼吸
|
陥没呼吸
|
心雑音
|
肺血管陰影
|
手術
|
I型
|
-
|
-
|
生後
|
○
|
なし
|
なし
|
増強
|
生後14日までにarterial switch
|
II型
|
+
|
-
|
軽度
|
|
生後1-2週
|
生後数日
|
-
|
新生児期・乳児期早期にarterial switch手術+VSD閉鎖術
|
III型
|
+
|
+
|
|
|
|
生直後
|
-
|
Blalock-Taussig手術→Rastelli手術。乳児期から幼児期前半。
|
SPE.456-457, 医学大事典, YN.C-115
参考
- 先天性心疾患の診断、病態把握、治療選択のための検査法の選択ガイドライン
-complete transposition of the great arteries
- 同
- TGA
[★]
- 英
- dyspnea (M)
- 関
- 呼吸、呼吸苦、呼吸不全
概念
- 息が苦しいという自覚症状。呼吸時の不快な感覚である。呼吸苦とも記載されることがあるが、呼吸困難とする。息切れも同義とされている。
- 呼吸困難という自覚症状があるにもかかわらず、必ずしも呼吸不全という客観的な病態に陥っていないことがあるので注意。
原因疾患
鑑別診断
IMD
胸痛と呼吸困難
- 参考1
- 気胸、肺炎、胸膜炎、慢性閉塞性肺疾患、慢性閉塞性肺疾患の悪化、肺癌などの肺疾患、心不全
参考
- 1. 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2009年改訂版)
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2009_andoh_h.pdf