- 英
- hormone
古典的な定義
- 特定の内分泌腺から分泌され、血行によって運ばれ、遠隔部の特定の標的器官に作用して特異的効果を現す物質(PT.403)
例外
- 消化管ホルモン (PT.403)
- 視床下部ホルモン (PT.403)
- 甲状腺濾胞ホルモン?
- カルシトニン?
ホルモンの一覧表
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この項目では、動物の生理活性物質のホルモンについて説明しています。その他の用法については「ホルモン (曖昧さ回避)」をご覧ください。 |
ホルモン(ドイツ語: Hormon、英語: hormone)は、狭義には生体の外部や内部に起こった情報に対応し、体内において特定の器官で合成・分泌され、血液など体液を通して体内を循環し、別の決まった細胞でその効果を発揮する生理活性物質を指す[1]。ホルモンが伝える情報は生体中の機能を発現させ、恒常性を維持するなど、生物の正常な状態を支え、都合よい状態にする[2]重要な役割を果たす[1]。ただし、ホルモンの作用については未だわかっていない事が多い[1][2]。
目次
- 1 定義・命名
- 2 種類
- 3 内分泌系
- 4 ホルモンの検出と測定法
- 4.1 生理活性を利用した手法
- 4.2 免疫学的な手法
- 5 ヒトのホルモン一覧
- 6 脚注
- 7 参考文献
- 8 関連項目
定義・命名
ホルモンは古代ギリシア語: ὁρμᾶν(hormān,「刺激する」「興奮させる」の意)を語源に[3]、20世紀初頭にセクレチンを発見したウィリアム・ベイリス(英語版)とアーネスト・スターリング(英語版)によって命名された[1]。
種類
ホルモン分子の種類は、生物が進化のどのような段階であるか、また同一の個体でも成長段階によって変わる[1]。数多くのペプチドは無脊椎動物・脊椎動物双方に見られ、構造の相関性を持つものも多い。その他脊椎動物が持つ主なものにはポリペプチド・アミン・カテコールアミン・ステロイドなどがある[1]。
生体内の特定の器官の働きを調節するための情報伝達を担う物質であり、栄養分などとは違って、ホルモンの体液中の濃度は非常に微量であるのが特徴。例えば、低分子量のホルモン血液中の濃度は10−6から10−8 mol/L(nmol/L=ナノモル)、ポリペプチドホルモンで10−9から10−12 mol/L、程度と低濃度である[1]。
内分泌系
ホルモンの分泌形式を内分泌系(endocrine system、または液体調整系)と呼ぶ[4]。これは、ホルモンの分泌は体内(体液中)であることから、汗など体外(消化管等の管腔を含む)に分泌される外分泌(exocrine secretion)[5]と対比する呼び方である。ホルモンを分泌する器官を内分泌器官(endocrine organs)と呼ぶ。
ホルモンが生成される部位は数多い。脊髄動物の場合、神経の情報を受けて視床下部・下垂体・副腎髄質などで、細胞の状態から情報を受けて性腺・副腎皮質・甲状腺濾胞細胞・心臓などで、栄養情報から消化管・膵臓・甲状腺濾胞傍細胞・副甲状腺などで作られる[1]。これらのホルモンの貯蔵方式も様々である。ペプチドホルモンやアミンホルモンは分泌顆粒の中に蓄えられ、甲状腺が分泌するホルモンはタンパク質の形で維持される。これらに対しステロイドホルモンでは貯蔵例が発見されていない[1]。分泌されたホルモンは体液を通じて運ばれるが、甲状腺ホルモンはある種のタンパク質と結合した状態で輸送される[1]。
ホルモンが作用を発揮する器官をホルモンの標的器官(target organ)、実際に作用を起こす細胞をホルモン標的細胞(target cell)と呼ぶ[6]。ここには、ホルモン分子に特異的に結合する蛋白質であるホルモン受容体(ホルモン・レセプター)が存在する。受容体がホルモンと結合することが、その器官でホルモンの作用が発揮される第一のステップとなる。標的器官が非常に低濃度のホルモンに鋭敏に反応するのは、このホルモン受容体蛋白質が、ホルモン分子とだけ強く結合する性質が基本となっている。
アミンやペプチドホルモンは主に細胞膜で受容され、細胞膜の構造や機能を変化させたり、生成させた第二メッセンジャーを細胞内部に浸透させて働きを起こす[2]。甲状腺ホルモンやステロイドホルモンは、受容体と結合した複合体が遺伝子情報に制御を加える働きを持ち[1]、特定遺伝子の活動を活発にしたり、伝令RNAの生成を促したりする[2]。甲状腺ホルモンは細胞膜やミトコンドリア上にも結合する部位が見つかっているが、その機能は明らかになっていない[2]。
ホルモンによって行われる、ある器官の機能の調節のことを、体液循環を介した調節であることから液性調節と呼ぶ。液性調節は、神経伝達物質を介した神経性調節に比べて、時空間的には厳密なコントロールができない一方、遠く離れた器官に大きな影響を与えることができる、コストのかからない調節であるといえる。また、アドレナリンなど液性調節と神経性調節の両方でシグナル伝達に介在する物質もある。ただしホルモンは神経伝達物質などと物質が共通しているものが多く、また神経伝達物質も必ずしもシナプス内だけで働くものではない。そのため、神経伝達物質や細胞増殖因子とホルモンを特に区別しない場合もある[1]。実際に、ホルモンは他の情報系や標的細胞の様々な要因と密接に関連しながら作用を及ぼす[2]。
ホルモンの検出と測定法
ホルモンは、非常に微量でその作用を発揮するようにできており、血液などの体液中での濃度も極めて低い。そのため、ホルモンを、その物質としての性状から他の物質と分離・精製するのは一般に困難である。しかし、ホルモンの濃度を調べることは、特定の病気の診断において、非常に重要な場合がある。
生理活性を利用した手法
ホルモンの生体内での生理活性を指標にする方法。ホルモンの濃度の国際単位はこの方法で決定されている。実験動物などにホルモンを投与し、その動物に起きる反応の大きさを、あらかじめ濃度のわかっているホルモン試料と比較することで、濃度を推定する。実験動物を用いた方法に加え、特定の培養細胞を用いた方法も開発され、基準化および簡便化が図られている。
免疫学的な手法
ホルモンに対して特異的に結合する抗体を測定対象の試料に加え、ホルモンと抗体との複合体を形成させ、このホルモンと結合した抗体の量を何らかの方法で測定する方法。生理活性を用いた方法よりも簡便で安価であり、実際の診療に用いられる場合が多い。
ヒトのホルモン一覧
分泌器官ごとの一覧は、内分泌器を参照。
- 蛋白質ホルモン(単純ペプチド、糖蛋白質)
- インヒビン
- 副甲状腺ホルモン(PTH)
- 副甲状腺ホルモンは血中カルシウム濃度を上げるホルモン。カルシトニンと逆の性質を持つ。動態は、副甲状腺から分泌される。作用は、血中カルシウム濃度を上げるために、破骨細胞を活性化して骨吸収を促進し、血中からカルシウムを奪うリンを腎臓で排泄し、血中でカルシウムを抱えているアルブミンがカルシウムを手放すように腎臓で重炭酸イオンを排泄してアシドーシスにし、血中カルシウム濃度を上昇させる働きのあるビタミンDを腎臓で合成し、腎臓からのカルシウムの排泄を抑制する。調節は、副甲状腺の主細胞で血中カルシウム濃度を感知して、血中カルシウム濃度が上昇すると分泌が低下し、血中カルシウム濃度が低下すると分泌が上昇する。
- カルシトニン
- カルシトニンは血中カルシウム濃度を下げるホルモン。副甲状腺ホルモンと逆の性質を持つ。動態は、甲状腺の傍濾胞細胞などから分泌される。作用は、血中カルシウム濃度を下げるために破骨細胞による骨吸収を抑制する。調節は、血中カルシウム濃度が上昇すると分泌が亢進し、血中カルシウム濃度が低下すると分泌が低下する。
- 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)
- 甲状腺刺激ホルモン(TSH)
- バソプレッシン(抗利尿ホルモン)(ADH)
- 副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)
- 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)
- 性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)
- 性腺刺激ホルモン
- 黄体形成ホルモン(LH)
- 卵胞刺激ホルモン(FSH)
- 絨毛性ゴナドトロピン
- プロラクチン(PRL)
- メラトニン
- オキシトシン
- インスリン
- グルカゴン
- ソマトスタチン
- 膵臓ポリペプチド
- 成長ホルモン放出ホルモン
- 成長ホルモン
- ステロイドホルモン(詳細はステロイドホルモンの項を参照)
- 男性ホルモン
- 女性ホルモン
- エストロゲン(卵胞ホルモン)
- プロゲステロン(黄体ホルモン)
- 鉱質コルチコイド(アルドステロン)
- 糖質コルチコイド(コルチゾール)
脚注
- ^ a b c d e f g h i j k l 生化学辞典第2版、p.1285 【ホルモン】
- ^ a b c d e f 生化学辞典第2版、p.1285 【ホルモン作用】
- ^ [1]
- ^ 生化学辞典第2版、pp. 946–947 【内分泌系】
- ^ 生化学辞典第2版、p. 248 【外分泌】
- ^ 生化学辞典第2版、p.1286 【ホルモン標的細胞】
参考文献
- 『生化学辞典第2版』 東京化学同人、1995年、第2版第6刷。ISBN 4-8079-0340-3。
関連項目
|
ウィキメディア・コモンズには、ホルモンに関連するカテゴリがあります。 |
- 内分泌学
- 化学伝達物質
- 神経伝達物質
- 植物ホルモン
- サイトカイン
- ケモカイン
内分泌器:ホルモン(ペプチドホルモン、ステロイドホルモン) |
視床下部 - 脳下垂体 |
視床下部 |
GnRH - TRH - ドーパミン - CRH - GHRH - ソマトスタチン - ORX - MCH - MRH - MIH
|
脳下垂体後葉 |
バソプレッシン - オキシトシン
|
脳下垂体中葉 |
MSH(インテルメジン)
|
脳下垂体前葉 |
性腺刺激ホルモン - αサブユニット糖タンパク質ホルモン(FSH - LH - TSH) - GH - PRL - POMC(ACTH - エンドルフィン - リポトロピン)
|
|
副腎 |
副腎髄質 |
副腎髄質ホルモン(アドレナリン - ノルアドレナリン - ドパミン)
|
副腎皮質 |
副腎皮質ホルモン( 鉱質コルチコイド - 糖質コルチコイド - アンドロゲン)
|
|
甲状腺 |
甲状腺 |
甲状腺ホルモン(T3 - T4 - カルシトニン)
|
副甲状腺 |
パラトルモン
|
|
生殖腺 |
精巣 |
テストステロン - AMH - インヒビン
|
卵巣 |
エストラジオール - プロゲステロン - インヒビン/アクチビン - リラキシン(妊娠時)
|
|
その他の内分泌器 |
膵臓 |
グルカゴン - インスリン - ソマトスタチン - 膵ポリペプチド(英語版)
|
松果体 |
メラトニン
|
|
内分泌器でない器官 |
胎盤:hCG - HPL - エストロゲン - プロゲステロン - 腎臓:レニン - エリスロポエチン(EPO) - カルシトリオール - プロスタグランジン - 心臓:ANP - BNP - ET - 胃:ガストリン - グレリン - 十二指腸:コレシストキニン - GIP - セクレチン - モチリン - VIP - 回腸:エンテログルカゴン - 脂肪組織:レプチン - アディポネクチン - レジスチン - 胸腺:サイモシン - サイモポイエチン - サイムリン - STF - THF - 肝臓:IGFs(IGF-1 - IGF-2) - 耳下腺:バロチン - 末梢神経系:CGRP - P物質
|
誘導タンパク質 |
NGF - BDNF - NT-3
|
|
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Japanese Journal
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- ホルモン療法の副作用対策 : ほてり・性機能障害・女性化乳房など (特集 前立腺癌の内分泌療法 : 気になる最新の動向)
- 鞍作 克之,田中 智章,仲谷 達也
- 臨床泌尿器科 = Japanese journal of clinical urology 69(5), 374-377, 2015-04
- NAID 40020400455
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
HMG「TYK」75注用
組成
成分
含量
- (1アンプル中)卵胞刺激ホルモン(FSH)として75単位
- ヒト(閉経婦人)尿由来
添加物(1アンプル中)
- パラオキシ安息香酸エチル 0.25mg
D-マンニトール 5.0mg
リン酸水素ナトリウム水和物 0.65mg
リン酸二水素ナトリウム 0.325mg
水酸化ナトリウム 適量
禁忌
- エストロゲン依存性悪性腫瘍(例えば、乳癌、子宮内膜癌)及びその疑いのある患者〔腫瘍の悪化あるいは顕性化を促すことがある。〕
- 卵巣腫瘍の患者及び多のう胞性卵巣症候群を原因としない卵巣腫大のある患者〔卵胞刺激ホルモン作用によりその症状を悪化させることがある。〕
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
効能または効果
間脳性(視床下部性)無月経、下垂体性無月経の排卵誘発
- 〔本剤は女性不妊症のうち視床下部−下垂体系の不全に基因するもので、無月経、希発月経又は他の周期不順を伴うもの、すなわち尿中ゴナドトロピン分泌が正常かそれより低い症例で他の内分泌器官(副腎、甲状腺など)に異常のないものに用いられる。〕
- 本剤1アンプルを添付の溶解液で溶解したのち、1日FSHとして75〜150単位を連続筋肉内投与し、頸管粘液量が約300mm3以上、羊歯状形成(結晶化)が第3度の所見を呈する時期を指標として(4〜20日間、通常5〜10日間)、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンに切り換える。
本剤の用法・用量は非常に複雑であり、使用に際しては医師の厳密な臨床検査が必要である。特に用量については症例ごとに医師により決められねばならない。
慎重投与
- 未治療の子宮内膜増殖症のある患者〔子宮内膜増殖症は細胞異型を伴う場合があるため。〕
- 子宮筋腫のある患者〔子宮筋腫の発育を促進するおそれがある。〕
- 子宮内膜症のある患者〔症状が増悪するおそれがある。〕
- 乳癌の既往歴のある患者〔乳癌が再発するおそれがある。〕
- 乳癌家族素因が強い患者、乳房結節のある患者、乳腺症の患者又は乳房レントゲン像に異常がみられた患者〔症状が増悪するおそれがある。〕
重大な副作用
- 本剤の投与に引き続き、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン製剤を用いた場合又は併用した場合、卵巣腫大、下腹部痛、下腹部緊迫感、腹水・胸水を伴う卵巣過剰刺激症候群があらわれることがある。これに伴い、血液濃縮、血液凝固能の亢進、呼吸困難等を併発することがあるので、直ちに投与を中止し、循環血液量の改善につとめるなど適切な処置を行うこと。(頻度不明)
- 卵巣過剰刺激症候群に伴い、血栓症、脳梗塞を引き起こすことがある。(頻度不明)
- 卵巣過剰刺激症候群に伴い、呼吸困難、肺水腫を引き起こすことがある。(頻度不明)
- 卵巣過剰刺激症候群に伴い、卵巣破裂、卵巣茎捻転を引き起こすことがある。(頻度不明)
薬効薬理
- ヒト下垂体性性腺刺激ホルモン(hMG)は卵胞刺激ホルモン(FSH)活性を有し、卵巣に作用して原始卵胞から発育卵胞を形成する。次いで黄体形成ホルモン(LH)との協力により卵胞を成熟させ、卵胞ホルモンを分泌させて排卵を誘発する(Wistarラット)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- ヒト下垂体性性腺刺激ホルモン、Human Menopausal Gonadotrophin(JAN)
性状
★リンクテーブル★
[★]
- 次の文を読み、19~21の問いに答えよ。
- 21歳の男性。右下腹部痛と下痢とを主訴に来院した。
- 現病歴: 3か月前から右下腹部痛が持続し、1週前から1日5回の下痢が出現している。今朝から37℃台の発熱を認めている。
- 既往歴:19歳時、痔瘻の手術を受けた。
- 現症:身長168cm、体重54kg。体温37.2℃。脈拍72/分、整。血圧118/62mmHg。眼瞼結膜に貧血を認める。眼球結膜に黄梁を認めない。右下腹部に圧痛を伴う腫瘤を触知する。筋性防御は認めない。肝・脾は触知しない。
- 検査所見:尿所見:異常を認めない。
- 血液所見:赤沈48mm/1時間、赤血球310万、Hb9.1g/dl、白血球9,800、血小板51万。
- 血清生化学所見:総蛋白5.8g/dl、アルブミン2.3g/dl、AST25IU/l、ALT25IU/l。CRP3.8mg/dl。大腸内視鏡写真を以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [101E018]←[国試_101]→[101E020]
[★]
- ホルモンとその生理作用の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [108B031]←[国試_108]→[108B033]
[★]
- 53歳の女性。朝からものが二重に見えることを主訴に来院した。意識は清明。右眼瞼下垂と右眼球運動障害とを認める。頭部単純MRIのT1強調像とT2強調像とを以下に示す。
- 診断の確定に必要なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101A041]←[国試_101]→[101A043]
[★]
- ホルモンとその過剰による病態の組合せで正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [100G061]←[国試_100]→[100G063]
[★]
- ホルモンと産生組織の組合せで誤っているのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [097G042]←[国試_097]→[097G044]
[★]
- 英
- hypoglycemics
- 同
- hypoglycemic agent、antidiabetic agent、antidiabetic drug、antidiabetics、glucose-lowering agent、hypoglycemic、hypoglycemic drug、hypoglycemics
- 関
- [[]]
投稿記事
k氏より
インスリンの抽出は大変意図的に行われたのに対し、スルフォニルウレア薬(SU)は偶然に見つかりました。で、1950年代にはじめに二型糖尿病の患者に使われるようになりました。いまでは20種類くらいのSUが広く世界で使われています。
1997にはメグリチニドが臨床適用されました。食後高血糖の治療薬としてはじめて使用された薬です。
メタフォルミンというビグアナイド薬(BG)は、ヨーロッパで広く使われていましたが、1995年にアメリカでも認可されました。
チアゾリジン1997年に市場導入され、二番目にメジャーなインスリン刺激薬として使用されています。この種類の薬には、広汎な肝障害を起こしにくく、世界中で使われています。
スルフォニルウレア薬 SU薬
膵臓のβ細胞の刺激によって、インスリンを放出させ、血糖値を下げます。
治療が長引くと、インスリン分泌というSUのβ細胞刺激性の効果が薄れてきますが、β細胞上のSU受容体のダウンレギュレーションによるものです。また、SUはソマトスタチンの放出を刺激します。ソマトスタチンはグルカゴン分泌を抑制しているので、これも関係SUの糖を下げる効果と関係しています。
SUはATP感受性Kチャンネルを抑制します。Kレベルが下がると、まく表面における、脱分極を促し、電位依存性カルシウムチャンネルを通じたカルシウムイオンの流入を促進します。
SUには無視できない膵臓外作用があるという議論があります。確かにありうべきことですが、2型糖尿病の患者の治療においては、それほど重要なことではないようです。
SU薬はそれぞれが似たような作用スペクトラムを持っているので、薬物動態的な特性がここの薬を区別する手がかりです。腸管からのSU薬の吸収の割合は薬によって違いますが、食物や、高血糖は、この吸収を抑制します。高血糖はそれ自身、腸管の運動を抑制するので、ほかの薬の吸収も阻害します。血漿濃度が効果的な値にまで達する時間を考えると、半減期の短いSUは、食前三十分に投与するのが適切です。SU薬は90から99パーセントくらい血中たんぱく質と結合し、特にアルブミンと結合します。
第一世代のSUは半減期や分布において、大きく違っています。この半減期や作用時間の不一致の理由はいまだはっきりしていません。
SUはすべて肝臓で代謝を受け、尿中に排泄されます。なので、肝不全、腎不全患者には要注意で処方します。
めったにありませんが、第一世代服用患者では、4パーセントの割合でおきます。第二世代ではもっと少ないでしょう。低血糖による昏睡がしばしば問題になります。腎不全や肝不全がある高齢者の患者でおきやすいです。
重症の低血糖は脳血管障害も起こしうる。急性の神経障害が見つかった高齢患者では血中グルコースレベルを測るのが大事です。半減期の長いSUもあるので、24から48時間のグルコースを輸液します。
第一世代は多くの薬物と相互作用を持っています。
ほかに、吐き気嘔吐、胆汁うっ滞性黄疸、脱顆粒球症、再生不良性・溶血性貧血、全身性のアレルギー症状があります。
SUが心血管障害による死亡率を上げるのかについては議論の余地あり。
SUは、食事療法だけでは十分なコントロールを得られない2型糖尿病患者の血糖コントロールに用いられます。禁忌はtype 1 DM(diabetes mellitus:糖尿病)、妊婦、授乳中の患者、腎障害や肝障害の患者です。
普通の患者なら五割から八割くらい、経口の糖尿病治療薬が効きます。インスリン療法が必要になる患者もいます。
トルブタマイドの一日量は500ミリグラムで、3000ミリグラムが最大の許容量です。SUの治療成績の評価は患者の様子を頻繁に観察しながら、行います。
SUとインスリンの併用療法はtype 1, type 2 両方の糖尿病で用いられていますが、βセルの残存能力がないとうまくいきません。
レパグリニドはメグリチニドクラスの経口インスリン分泌促進物質です。化学構造上、SUとは異なっており、安息香酸から分離されたものです。
SU薬と同様にレパグリニドは膵臓βセルにおけるATP依存性Kチャンネルを閉じることによりインスリン分泌を促進します。AEもSU薬と同様、低血糖です。
Dふぇにるアラニンから分離された薬。レパグリニドよりもSEとして低血糖が認められづらいです。
メトフォルミンとフェノフォルミンは1957年に市場導入され、ブフォルミンが1958年に導入されました。ブフォルミンは使用が制限されていますが、前者二つは広く使われています。フェノフォルミンは1970年代に乳酸アシドーシスのAEによって市場から姿を消しました。メトフォルミンはそのようなAEは少なく、ヨーロッパカナダで広く使われています。アメリカでは1995年に使用可能に。メトフォルミンは単独かSUと併用して使われます。
ものの言い方によると、メトフォルミンは抗高血糖であって、血糖を下げる薬ではありません。膵臓からのインスリン放出は促さないので、どんな大容量でも低血糖は起こしません。グルカゴン・コルチゾール・成長ホルモン・ソマトスタチンにも影響なし。肝での糖新生を抑制したり、筋や脂肪におけるインスリンの働きを増すことで、血糖を押さえます。
小腸から吸収。安定な構造で、血中の蛋白と結合しないで、そのまま尿中に排泄。半減期は二時間。2.5グラムを食事と一緒に飲むのがアメリカで最もお勧めの最大用量。
メトフォルミンは腎不全の患者には投与しないこと。肝障害や、乳酸アシドーシスの既往、薬物治療中の心不全、低酸素性の慢性肺疾患なども合併症として挙げられる。乳酸アシドーシスはしかしながら、めちゃくちゃまれである。1000人年(たとえば100人いたら、10年のうちにという意味の単位。または1000人いたら1年につき、ということ。)につき0.1という割合。
メトフォルミンの急性のAEは患者の20パーセントに見られ、下痢、腹部不快感、吐き気、金属の味、食欲不振などです。メタフォルミンを飲んでいる間はビタミンB12や葉酸のきゅうしゅうが 落ちています。カルシウムをサプリで取ると、ビタミンB12の吸収が改善されます。
血中乳酸濃度が3ミリMに達するとか、腎不全・肝不全の兆候が見られたら、メタフォルミンは中止しましょう。
PPARγに効く。(ペルオキシソーム・プロライファレーター・アクチベイティッド・受容体、つまりペルオキシソーム増殖活性受容体みたいな。)PPARγに結合して、インスリン反応性をまして、炭水化物とか、脂質の代謝を調整します。
ロジグリタゾンとピオグリタゾンは一日一度。チアゾリジンは肝にて代謝され、腎不全のある患者にも投与できますが、活動性の肝疾患があるときや肝臓のトランスアミナーゼが上昇しているときは、使用しないこと。
ロジグリタゾンはCYP2C8で代謝されますがピオグリタゾンはCYP3A4とCYP2C8で代謝されます。ほかの薬との相互作用や、チアゾリジン同士の相互作用はいまだ報告されていませんが、研究中です。
ピオグリタゾンとロジグリタゾンは肝毒性とはめったに関係しませんが、肝機能をモニターする必要があります。心不全のある患者はまずそちらを治療してから。
αGIは小腸の刷子縁におけるαグルコシダーゼの働きを阻害することによって、でんぷん・デキストリン・ダイサッカリダーゼの吸収を抑制します。
インスリンを増やす作用はないので、低血糖もおきません。吸収がよくない薬なので、食事の開始と一緒に飲むとよいです。
アカルボースとミグリトールは食後高血糖の抑制に使われます。
αGIは用量依存性に、消化不良・ガス膨満・下痢などをきたします。αGIとインスリンを併用中に低血糖症状が出たら、、グルコースを補充します。
経口から、グルコースが静脈を通ると、インスリンが上がることがわかっていました。消化管の上部からはGIP、消化管下部からはGLP1というホルモンが出ていて、糖依存性のインスリン放出を促していることがわかりました。これらのホルモンはインクレチンといわれています。この二つのホルモンは別の働き方でインスリンの放出を促進します。GIPはtype 2 DMではインスリン分泌を促進する能力がほとんど失われています。一方でGLP1は糖依存性のインスリン分泌を強く促しています。つまりtype 2 DMの治療ではGIPをターゲットにすればよいということになります。GLPはグルカゴンを抑制し。空腹感を押さえ、食欲を抑えます。体重減少も実現できます。この長所を相殺するように、GLP1は迅速にDPPIV(ヂペプチジルペプチダーゼ4エンザイム)によって負活化されます。つまり、GLP1を治療に使うなら、連続的に体に入れなければなりません。GLP1受容体のアゴニストが研究され、これはDPPIVにたいして抵抗性があります。
そのほかのGLP1療法のアプローチに仕方としては、DPPIVプロテアーゼの不活性化で、それによってGLP1の循環量を増やそうとするものです。type 2 DM治療に新しい薬がでるかもしれないですね。
[★]
- ☆case10 背痛
- ■症例
- 27歳 女性
- 主訴:背中に突き抜ける?痛み(pain across her back)
- 現病歴:背中に広がる痛みを訴えて、27歳の女性が救急部に運ばれてきた。2日前に熱が出て背部痛が始まり、以降調子が悪い。痛みは増強している。6時間前に2度嘔吐した。
- 既往歴:3ヶ月前に合併症のない胆嚢炎。
- ・身体診断
- 調子が悪そうであり、紅潮している。体温:39.2℃。脈拍:120/分。血圧:104/68 mmHg。心血管系、呼吸器系に異常を認めず。腹部:全体的に圧痛。両側の腰部で著明な圧痛。
- ・検査
- (血液生化学)
- 白血球↑、血清尿素↑、CRP↑
- (尿検査)
- タンパク:++、鮮血:+++、亜硝酸塩:++
- 尿の顕微鏡検査:(おそらく400倍の一視野に)赤血球>50、白血球>50
- 腹部X線:正常
- ■glossary
- loin n. (pl)腰、腰部(→(adj.)lumbar)。(獣の)腰肉、ロイン。(pl)陰部、生殖器、性器
- 腸雑音、腸音、intestinal murmur、intestinal sound、bowel sound
- urine microscopy 尿の顕微鏡検査
- dysuria 排尿障害
- urgency n. 切迫、急迫、危急。緊急、火急、焦眉の急。[pl]しつこい要求、懇願。せき立てる力、刺激
- hydronephrosis 水腎症
- -nephros 腎臓
- -stomy 開口術
- nephrostomy n. 腎瘻造設術、腎造瘻術、腎瘻術
- obstructive urophathy 閉鎖性尿路疾患
- intravenous fluid 静脈内輸液
- commence vt. 始める、開始する。 vi. ~から始める、始まる(with)
- urgently
- eradication n. 根絶、撲滅
- mimic vt. ~の物まねをする、まねて馬鹿にする。そっくりに[卑屈に]まねる。~によく似る
- renal ultrasound 腎臓超音波検査
- obstructive uropathy 閉塞性尿路疾患
- polycystic kidney disease 多発性嚢胞腎
- medullary sponge kidney 海綿腎
- loin-pain hematuria syndrome 腰痛血尿症候群
- ■解説
- (第1パラグラフ)疫学
- 急性腎盂腎炎:男性より女性でmore common。尿路からの細菌の上行感染。リスク:妊娠、糖尿病、免疫低下者、尿路奇形(尿の腎臓への逆流。そして多分、狭窄していたりして結石で閉塞されやすいこともあると思う)
- (第2パラグラフ)病態
- 食欲不振、悪心、嘔吐と共に40℃の発熱が出ることがある。
- 腎盂腎炎患者の中には膀胱炎の先行症状(排尿障害、頻尿、尿意切迫、血尿)がある人がいるけど、こういう下部尿路症状がいつも出現するわけではない。
- 多くの腎盂腎炎患者は、先行する6ヶ月以内の膀胱炎の既往がある。
- 老人の場合、非典型的な症状を示し、そして混乱した状態でやってくる。
- 腎盂腎炎は他の病態によく似ている:急性虫垂炎、急性胆嚢炎、急性膵炎、下葉の肺炎
- 普通、体表から見て腎臓の直上に前からも後ろからも圧痛を感じる。
- 未治療の腎盂腎炎では敗血症になるかもしれない。
- (第3パラグラフ)本ケースについて
- ・CRP上昇は急性感染症を示唆
- ・顕微鏡的血尿・タンパク尿、白血球増多は尿路の炎症を示す。
- ・硝酸塩(nitrate, HNO3と何かの塩)から亜硝酸塩(nitrite, HNO2と何かの塩)への還元により細菌の存在が確認される。
- 覚え方:亜硝酸は(Oが一つ)足らないi(愛)
- でも複雑です。
- HNO2 亜硝酸 nitrous acid, nitrite 。亜硝酸塩 nitrite
- HNO3 硝酸 nitric acid, nitrate 。硝酸塩 nitrate
- (第4パラグラフ)管理
- ・女性は入院すべき。
- ・血液と尿の採取
- ・静脈内輸液+抗生物質で治療開始。微生物が同定されたら、感受性のある抗菌薬を使用する。初期治療ではゲンタマイシン、アンピシリン、シプロフロキサシンを用いる
- ・腎臓エコー検査:尿路閉塞を除外するため。閉塞性尿路疾患では、激しい痛み、発熱、敗血症ショック、腎不全を伴う脳腎症を起こしうる。
- ・尿路敗血症の経過で水腎症が疑われたら、合併症を防ぐために緊急に腎瘻を造設すべき
- (第5パラグラフ)薬物治療
- ・(腎結石など合併していない)腎感染症(ucomplicated renal infection)患者は抗生物質2週間のコースで治療すべき。
- ・感染の根絶を確実にする治療が終わった後10-14日間は、反復して細菌培養をする。<
- ・尿路結石を有する感染症や腎瘢痕を有する患者では抗生物質6週間のコースが用いられる。
- ■鑑別診断のポイント
- 腎盂腎炎は片側性、あるいは両側性の腰痛を引き起こす。
- 腰部痛の鑑別診断:
- 閉塞性尿路疾患
- 腎梗塞:心疾患などで生じた血栓が腎動脈またはその分枝を閉塞し、その血管の支配領域が虚血性壊死に陥った状態。
- 腎細胞癌:腎尿細管上皮細胞より発生する悪性腫瘍
- 腎乳頭壊死:腎乳頭より腎髄質にかけて、その支配動脈の虚血により壊死を来したもの。 主として基礎疾患に糖尿病を有する人にみられ、しばしば急性腎盂腎炎などの尿路感染に伴って発症する。
- 腎結石:
- 糸球体腎炎:
- 多発性嚢胞腎:先天性かつ両側性に腎実質内に大小無数の嚢胞を発生する。 ほとんどが両側性で、貧血、顕微鏡的血尿、蛋白尿、高血圧といった症状を呈しながら腎機能が低下し、最終的には腎不全となる疾患
- 海綿腎:腎錐体における集合管の先天性嚢状拡張症。症状としては拡張した集合管に尿の停滞 → 感染・細かな結石ができる。
- 腰痛血尿症候群:若年女性に好発し、反復して出現する腰部から側腹部の強い疼痛と血尿を主徴とする病因不明の疾患。肉眼的血尿や軽度の蛋白尿がみられることもあるが、特異的な検査所見はなく、診断は他疾患の除外診断による
- ■KEYPOINT
- ・急性腎盂腎炎は下部尿路症状があったり無かったりする。
- ・腎臓超音波検査は尿路閉塞を否定するために、入院24時間後に行うべき。
- ・抗菌薬は、再発のリスクを最小限にするために、少なくとも2週間継続すべき。
- □閉塞性尿路疾患(http://merckmanual.jp/mmpej/sec17/ch229/ch229a.htmlより引用)
- □KUBの陰影から尿路結石成分の推定
- リン酸カルシウム(22.0)
- シュウ酸カルシウム(10.8):シュウ酸カルシウム結石は,尿路結石のうちで最も頻度が高く(70~80%),シュウ酸カルシウム結石の約半数はリン酸カルシウムとの混合結石である。
- リン酸マグネシウムアンモニウム(4.1):ストラバイト結石:尿素分解菌(Proteus 、Klebsiella 、Pseudomonas )による尿路感染が原因で、尿素が分解されアンモニアとなると尿がアルカリ性となり、リン酸マグネシウムアンモニウム結石が形成される。
- シスチン(3.7):ホモシスチン尿症
- 尿酸(1.4):痛風
- キサンチン(1.4):プリン体
- □多嚢胞腎
- 常染色体劣性多発性嚢胞腎:ARPKD
- 旧名:幼児型嚢胞腎
- 常染色体優性多発性嚢胞腎:ADPKD
- 旧名:成人型嚢胞腎
[★]
- ☆case75 自宅での意識消失
- ■症例
- 21歳 男性
- 主訴:意識消失
- 現病歴:男性のアパートで意識を失っている所を彼女に発見され、午後5時に搬送された。彼女が最後に彼に会ったのは午後8時で、クリスマスの買い物をして帰宅した時であった。翌日午後、彼女が彼に会いに行った所、彼がお風呂の床で意識を失っているのを見つけた。彼女によれば、前日変わった様子(unusal mood)はなかった。彼は心理学の期末試験が1週間に迫っておりこのことを心配していたが、勉強はうまくいっているようだった。また以前の試験に問題はなかった。
- 喫煙歴:なし。
- 飲酒歴:機会飲酒 10 units/week(1週間に350mlビール6本弱)
- 既往歴:なし
- 家族歴:父と2人の兄弟のうち1人が糖尿病
- 服薬歴:以前、エクスタシー錠剤を服用していたが、静脈注射の薬はやったことがない。
- 身体所見 examination
- 顔貌 青白。注射痕は認められない。脈拍 92/分、血圧 114/74 mmHg、呼吸数 22/分。心血管系、呼吸器系に異常を認めず。神経系 命令に従わないが、痛みに反応して適切に手を引っ込める(GCS M4)。腱反射(+)・対称性、足底反射(-)。瞳孔散大、対光反射(+)。眼底 視神経円板腫脹
- ■鑑別診断をあげるためのkeyword(司会者用)
- ・24時間以内に来した意識消失、糖尿病の家族歴、冬、風呂、精神疾患リスク(試験で悩んでいる。薬物の服用歴)、顔色、脈拍、血圧、呼吸数、腱反射、病的反射、瞳孔、眼底(司会者用)
- ■keywordからどういう疾患を考えるか?
- 真っ先にあげたいもの
- ・二次的な脳圧亢進
- ・糖尿病
- ・薬物中毒、中毒物質の摂取・吸引
- ・神経疾患(てんかんなど)の発作
- ・24時間以内に来した意識消失
- ・クモ膜下出血:局所神経症状、硝子体下出血(subhyaloid hemorrhage)。
- ・糖尿病の家族歴
- ・低血糖発作
- 低血糖による昏睡は早いが糖尿病の新規症状として起こらない。まれにインスリノーマによる低血糖による昏睡があり得る。
- ・糖尿病性ケトアシドーシス diabetic ketoacidosis DKA
- 極度のインスリン欠乏とコルチゾールやアドレナリンなどインスリン拮抗ホルモンの増加により、(1)高血糖(≧250mg/dl)、(2)高ケトン血症(β-ヒドロキシ酪酸の増加)、アシドーシス(pH7.3未満)をきたした状態。(糖尿病治療ガイド 2008-2009 p.66)
- ・高浸透圧性非ケトン性昏睡 nonketotic hyperosmolar coma
- DM type 2
- 50歳以上に好発し、インスリン非依存性糖尿病*患者が腎不全や中枢神経障害、悪性腫瘍、消化器疾患、呼吸器感染などを合併するときに多くみられ、ステロイドや利尿薬の投与、輸液や高カロリー補給、人工透析などの際に医原性に起きやすい。
- 高血糖性の昏睡は発症が早くない。その前に口渇や多尿があるはず。
- → 否定するための検査 → 血糖測定
- ・風呂
- ・脳出血
- ・冬だし、風呂(脱衣所のことか)にガスヒーターがあったら疑わしい。
- ・精神疾患リスク(試験で悩んでいる。薬物の服用歴)
- (最も多いのが)薬物中毒(鎮静薬、アスピリン、アセトアミノフェン)
- (意識障害で運ばれてきたときに考えるべきなのが)一酸化中毒
- 一酸化中毒の場合の顔色は蒼白(cherry-red colorと言われてきたが)。眼底所見:(severe CO中毒で)乳頭浮腫
- ・顔色
- ・脈拍、血圧、呼吸数
- ・腱反射、病的反射
- 腱反射が亢進していたら、上位運動ニューロンの障害を考慮する。腱反射亢進と意識障害が共存していれば、障害部位は脊髄の伝導路ではなくむしろ脳幹・大脳皮質に障害があると考えることができる。
- ・瞳孔
- 瞳孔が散大していれば交感神経興奮、副交感神経の麻痺:フェニレフリン・エピネフリン・コカインなど交感神経刺激、動眼神経麻痺、脳死の徴候
- 瞳孔が縮瞳していれば副交感神経興奮、オピオイド受容体への刺激:麻薬中毒、有機リン中毒、橋出血、脳幹部梗塞(脳底動脈閉塞症など)
- ・眼底 (IMD.71)
- 視神経円板(=視神経乳頭)の腫脹は乳頭浮腫(papilledema, DIF.342)を反映。乳頭浮腫の発生機序は軸索輸送障害や静脈還流うっ滞である。原因として頭蓋内疾患が最も多い。頭蓋外の疾患(高血圧、視神経炎、偽性脳腫瘍)。
- 乳頭浮腫 papilledema DIF.243
- V 動静脈奇形、高血圧による脳血圧脳症・頭蓋内出血、クモ膜下出血、硬膜下血腫
- I 脳膿瘍、慢性経過の髄膜炎(細菌性×)、敗血症による血栓や静脈洞血栓
- N 脳腫瘍
- D -
- C 動静脈奇形、水頭症、頭蓋奇形(尖頭症などによる)、血友病、時にSchilder disease
- A ループス脳炎、動脈周囲炎
- T 急性期の硬膜外血腫や硬膜下血腫ではない。慢性硬膜下血腫ならありうる。
- E 褐色細胞腫による悪性高血圧、偽性脳腫瘍(=特発性頭蓋内圧亢進症)(肥満・無月経・感情障害(emotionally disturbed)をきたした女性に多い)
- ■問題
- 症例だけでは絞れないので、最も疑われる疾患をあげ、鑑別診断を列挙し、検査、治療を考えていくことにします。
- ■一酸化炭素中毒
- ■オチ
- 血中carboxyhemoglobinを測定したところ32%。高レベルの酸素投与でゆっくりだが、48時間で完全に回復。脳浮腫にたいするマンニトールや高圧酸素療法も考慮する。問題は4年間点検されていないガス温水器の不完全燃焼だったとさ。
- ■KEY POINTS
- ・薬物中毒は若い人の意識消失の最も一般的な原因だけど、他の診断もいつも考慮しておく。
- ・一酸化炭素ヘモグロビンレベルは屋内や車内、あるいはよく分からない煙に暴露した意識消失患者で測るべき
- ・一酸化中毒による重度の低酸素血症ではチアノーゼを欠く。
- ■initial plan(救急だからのんびりやってられないだろうけど)
- A.
- 1. 呼吸器系、循環器系の安定を確認
- 2. 血液ガス検査
- 3. 血液生化学(電解質(Na,Ca)、血糖)
- □ビール1本 = 350ml アルコール5%: 350 (ml/本) x 0.05 / 10 (ml/unit) =1.75 (unit/本)
- ■参考文献
- DIF Differential Diagnosis in Primary Care Fourth Edition版 Lippincott Williams & Wilkins
[★]
- 英
- congenital anomaly, congenital abnormality
- ラ
- congenitalis anomalia
- 同
- 先天性異常
- 関
- [[]]
[show details]
発生
- 発生第3-8週(妊娠第5-11週)に器官原基形成(発生第3週に三胚葉性胚盤となり、第3週末に中枢神経の分化が始まり第8週までに主要な器官原基が確立される。
感受性の高い時期
妊娠区分
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妊娠初期
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胎齢
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2
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妊娠週数
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妊娠月数
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第1月
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第2月
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第3月
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第4月
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器官原基形成
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原因
- NGY.512
-
- X線:小頭症、二分脊椎、口蓋裂、四肢の異常
- 高熱:無脳症
- 耐糖能異常合併妊娠:種々の奇形:心臓や神経管の異常
[★]
- 英
- growth hormone (Z), GH
- 同?
- ソマトトロピン somatotropin、ソマトトロピックホルモン somatotropic hormone STH
- 関
- 成長ホルモン
- 関
- ホルモン、下垂体成長ホルモン、組換え型成長ホルモン
基準値
- 血清:M:0.4±0.1 ng/ml, F:3.2±0.4 ng/ml → 性差(エストロゲンが分泌促進作用を持つため?生物学的意義は?)
分類
性状
産生組織
標的組織
作用
- SP.883
-
- 成長を促進:各組織における細胞分裂による増殖(細胞分裂、DNA,RNA,蛋白合成)と細胞の分化
-
- GH存在下でアミノ酸が組織に取り込まれ蛋白合成のために用いられる。内臓臓器、骨格筋、皮膚、および結合組織などほとんど全ての組織がGHに反応して肥大。
- (抗インスリン作用->血糖上昇)筋肉、脂肪へのグルコース取り込みを減少させ、肝臓からのグルコース放出を増加させる。膵臓に作用しインスリン分泌を促進する。 ← GHは何がしたいの?
- (中性脂肪分解作用->血中遊離脂肪酸増加)中性脂肪を分解し、末梢血でFFAを増加させ、グルコースの代わりにエネルギー源として利用される。(おそらくFFA増加により)ケトン体が増加する。
- (骨形成に向かう反応。リン酸濃度上昇、カルシウム濃度上昇)近位尿細管でのリン酸の再吸収促進、腸からのカルシウム促進。Na,K,Cl濃度増加、細胞外液増加
分泌の調整
分子機構
臨床関連
- 成長の遅れ:成長ホルモン分泌が低下している場合、3歳頃から身長の伸びが遅れる。
国試
[★]
- 英
- thyroid hormone resistance syndrome
- 関
- 甲状腺ホルモン不応症、全身型甲状腺ホルモン不応症
[★]
- 英
- plasma parathyroid hormone
- 関
- 血漿上皮小体ホルモン
[★]
- 英
- gonadotrope
- 関
- ゴナドトロピン産生細胞
[★]
エストラジオール、テストステロン
[★]
エストラジオール、テストステロン