出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/04/16 14:23:37」(JST)
IUPAC命名法による物質名 | |
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N-(4-hydroxyphenyl)acetamide | |
臨床データ | |
ライセンス | US FDA:link |
胎児危険度分類 | A(AU) B(US) 安全 |
法的規制 | Unscheduled (AU) GSL (UK) OTC (US) |
投与方法 | 経口、座剤、点滴静注 |
薬物動態的データ | |
生物学的利用能 | ほぼ100% |
代謝 | 90-95% (肝臓) |
半減期 | 1–4 時間 |
排泄 | 腎臓 |
識別 | |
CAS登録番号 | 103-90-2 |
ATCコード | N02BE01 |
PubChem | CID 1983 |
DrugBank | APRD00252 |
ChemSpider | 1906 |
KEGG | D00217 |
化学的データ | |
化学式 | C8H9NO2 |
分子量 | 151.169 |
SMILES
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物理的データ | |
密度 | 1.263 g/cm3 |
融点 | 169 °C (336 °F) |
水への溶解量 | 14 mg/mL @ 25 °C [1] mg/mL (20 °C) |
化合物アセトアミノフェン(英: Acetaminophen USAN)、別名(国際一般名):パラセタモール(英: Paracetamol INN, 英: para-acetylaminophenol)は、解熱鎮痛薬の一つである。
目次
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軽い発熱や、寒け、頭痛などの症状を抑える解熱剤、鎮痛剤として用いられる薬物の主要な成分の一つとなっている。一般に解熱剤は禁忌とされるインフルエンザの際にも解熱剤としてしばしば用いられるなど標準的な服用法では非常に安全な薬物であるが、その広い薬効のため、服用量が過剰となる事が少なくない。
なお、アセトアミノフェンはアスピリンやイブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と異なり、抗炎症作用を殆ど持っていない。また、正常な服用量では、アセトアミノフェンは非ステロイド性抗炎症薬と異なり、胃を刺激せず、血液凝固、腎臓あるいは胎児の動脈管収縮などの影響がない。また、オピオイド系鎮痛剤(モルヒネなど)と異なり、興奮、眠け、などの副作用が無く、依存性、抵抗性および禁断症状に関する問題が完全にないという利点を持っている。さらに、アスピリンやイブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナクなどNSAIDsによって引き起こされる「アスピリン喘息」の患者であってもアセトアミノフェンでは喘息を起こしにくいという主張する人もいる。
分子式は、C8H9NO2。
アセトアミノフェンは、関節炎、痛風、腎結石、尿路結石、片頭痛、さらに、小規模から中規模な手術後や、外傷、生理痛、歯痛、腰痛、筋肉痛、神経痛などの鎮痛目的で使用される。
アセトアミノフェンは1873年に初めて合成された。 医薬品として用いられたのは1893年である。
アスピリンと同様にシクロオキシゲナーゼ (COX) 活性を阻害することでプロスタグランジンの産生を抑制するがその効果は弱い。解熱・鎮痛作用はCOX阻害以外の作用によると考えられてはいるが、詳細は不明である。
2002年に脳内で痛みの知覚に関与するシクロオキシゲナーゼ3 (COX3) が発見され、アセトアミノフェンがこのCOX3を特異的に阻害することで鎮痛効果を発現すると考えられた時期もあったが、アセトアミノフェンの鎮痛効果発現メカニズムとCOX3阻害効果を結びつけることは非常に困難であることが明らかになってきた。
2005年にZygmuntらにより、アセトアミノフェンの代謝物であるp-アミノフェノールが肝臓主体で産生された後に、大部分が脳内に、また、ごく一部は脊髄に移行しアラキドン酸と結合することで、N-acylphenolamineを合成することを見いだした。[2]このN-acylphenolamineこそが強力な鎮痛作用を示す源となるとの可能性を報告している。
アセトアミノフェンは以下の手順で合成される。
フェノールに硝酸ナトリウムを作用させてニトロ化し、2-ニトロフェノールと4-ニトロフェノールの混合物を得る。この混合物から4-ニトロフェノールを分離する。分離した4-ニトロフェノールを水素化ホウ素ナトリウムで還元し、4-アミノフェノールを得る。この4-アミノフェノールに無水酢酸を作用させてアセチル化し、アセトアミノフェンを得る。[3]
アセトアミノフェンは、COX阻害活性が弱く、NSAIDsに見られるような胃障害の副作用が発生する頻度は低いが、肝障害がしばしば問題となる。 人体内に存在するシトクロムP450はアセトアミノフェンを酸化し、アセトアミドキノンを生成する。アセトアミドキノンは強い求電子試薬であり、グルタチオン(GSH)のチオール基や細胞内タンパク質と反応する。アセトアミドキノンは、グルタチオン抱合を受けると、無毒のメルカプツール酸になって尿中に排泄される。しかし、肝細胞内のグルタチオンが払底してしまうとアセトアミドキノンが肝細胞内の蛋白質や核酸と結合するため肝細胞が障害される。そのため、アセトアミノフェンを多量に摂取すると肝臓毒性が現れる。例えば、常習の飲酒のためにシトクロムP450の活性が上昇している場合には、アセトアミノフェンの接取量が少なくても中毒になりやすくなる[4]。(ただし、治療レベルであれば、多くの場合は問題にならない。)
他方、犬や猫(特に猫)ではグルクロン酸抱合能が低いため、少量のアセトアミノフェンの摂取でも中毒を起こす。したがって、アセトアミノフェンを含む解熱鎮痛剤を犬猫に投与してはならない。
1999年に日本の埼玉県で、市販の風邪薬とアルコールを大量に摂取させることによる殺人事件が発生した。警察は容疑者を絞り込んでいたものの、被害者の体内から毒物などの物的証拠を確認できなかったため逮捕に至らなかったが、風邪薬に含まれるアセトアミノフェンとアルコールを同時に大量摂取することで死に至る危険性があるという調査結果を得て逮捕に踏み切った(詳細は本庄保険金殺人事件を参照)。
米国ではアセトアミノフェンの大量摂取による中毒死が発生しており、日本でも前述の殺人事件の発生をきっかけに、日本薬剤師会から販売体制の徹底が薬局などに通知された。
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