- 英
- constrictive pericarditis, CP
- ラ
- pericarditis constrictiva
- 同
- 収縮性心外膜炎
- 関
- 心膜炎
概念
- 急性心膜炎のちに、心膜に線維性肥厚と癒着、あるいは石灰化を来し、心臓拡張期の血流充満が障害され、拍出量低下と右心系にのうっ滞を生じる
- 肥厚した心膜が線維化・石灰化して慢性的に心臓を覆う状態が心膜癒着
病因
分類
病理
症状
- 脱力感、倦怠感、体重増加、腹囲の増加、腹部不快感、腹部の突出(protuberant abdomen)、浮腫 (HIM.1494)
- (重症の症例)全身性浮腫、筋廃用、cachexia (HIM.1494)
- 労作時呼吸困難。きざ呼吸もあり得るが、重度ではない (HIM.1494)
病態生理と症状
- 静脈圧上昇 :肝うっ血、頚静脈怒張、浮腫
- 肺静脈圧上昇:心不全(呼吸困難、起坐呼吸)
↓
↓
身体所見
- 脈:脈圧:正常 or 低下。1/3の症例で奇脈 (HIM.1494)
- うっ血性肝腫大:腹水(浮腫より顕著)、黄疸 (HIM.1494)
- 心尖拍動減弱、may retract in systole(Broadbent's sign)
- 心膜ノック音 → 半数の症例で聴取?(QB.C-361) → 拡張早期過剰音/拡張早期過剰心音 と表現される
検査
- 心カテーテル検査:右室圧曲線において、拡張期早期の急峻な圧低下とその後のプラトーが特徴的。dip and plateau pattern
治療
- 方針:症状が持続的/増悪傾向にあればpericardiectomyを行う。心膜の拘縮や一時的/可逆的である例も少数ながら存在するため、診断がついた患者であって慢性症状がなく、血行動態が安定していれば、手術を行う前に2-3ヶ月間保存的に経過を観察する。(参考1)
- 心拍数を下げる薬はよくない(カルシウム拮抗薬、β遮断薬)
- In constrictive pericarditis, the negative intrathoracic pressure generated by inspiration is not easily transmitted through the rigid pericardial shell to the right-sided heart chambers; therefore, inspiratory augmentation of RV filling is more limited.
- 収縮性心膜炎では胸腔内圧の陰圧に心臓が影響されにくい。このために静脈還流量の変動は少なく、呼吸によらず頚静脈が怒張する? 左室への血流量も呼吸の影響を受けにくいために奇脈は心タンポナーデと比べて見られる頻度は低い?
参考
- 1. [charged] Constrictive pericarditis - uptodate [1]
UpToDate Contents
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- 1. 収縮性心膜炎 constrictive pericarditis
- 2. 収縮性心膜炎と拘束性心筋症の区別 differentiating constrictive pericarditis and restrictive cardiomyopathy
- 3. 非心不全下におけるナトリウム利尿ペプチド測定 natriuretic peptide measurement in non heart failure settings
- 4. 心膜の心エコー評価 echocardiographic evaluation of the pericardium
- 5. 結核性心膜炎 tuberculous pericarditis
Japanese Journal
- 症例報告 大動脈弁置換術後8年で発症し,診断に苦慮したが,手術により劇的に症状が改善した慢性収縮性心膜炎の1例
- 村岡 新,恵木 康壮,針谷 明房,高澤 賢次,三澤 吉雄
- 日本臨床外科学会雑誌 = The journal of the Japan Surgical Association 71(8), 1976-1979, 2010-08-25
- NAID 10026668261
- 急速に収縮性心膜炎に移行した急性結核性心膜炎の1手術例
- 高橋 英樹,西岡 成知,莇 隆,立石 恵実,森本 淳詞,高瀬 栄司
- 日本心臓病学会誌 =Journal of cardiology. Japanese edition 5(2), 148-152, 2010-06-15
- NAID 10026916936
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- 収縮性心膜炎(しゅうしゅくせいしんまくえん)とは、心臓を包んでいる袋である心膜(しん まく)という部分の炎症(えんしょう)が徐々に進行した結果、起こる病気です。心膜は もともと風船のようにある程度は伸びることができるのですが、心膜の炎症が進行した ...
- 慢性収縮性心膜炎(英: chronic constrictive pericarditis)とは、心膜が慢性炎症 によって線維化・肥厚・癒着を生じ、これによって心膜腔が閉塞して心臓の拡張障害に 至ったものである。基本的に、急性心膜炎はすべて慢性 ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 53歳の男性。易疲労感、腹部膨満感および下肢の浮腫を主訴に来院した。頸静脈の怒張を認める。右肋骨弓下に肝を4cm触知し、肝の圧迫により頸静脈の怒張が顕著となる。胸部エックス線写真側面像と心臓カテーテル検査での右室圧曲線とを以下に示す。
- a. 病因としてウイルス性が多い。
- b. II音の固定性分裂を聴取する。
- c. 前胸部で心膜ノック音を聴取する。
- d. 心エコー検査で左室収縮不全を認める。
- e. 右室拡張期圧は正常である。
[正答]
※国試ナビ4※ [097A020]←[国試_097]→[097A022]
[★]
- 75歳の女性。2時間持続する激しい前胸部痛を主訴に来院した。意識は清明。脈拍88/分、整。血圧104/88mmHg。呼吸数16/分。心音と呼吸音とに異常を認めなかった。心電図のV1-V5誘導でST上昇を認めたため、緊急入院し、治療を行った。入院後3日、突然の呼吸困難を自覚した。脈拍104/分、整。血圧90/70mmHg。呼吸数24/分。心音の聴取で、入院時に認めなかった全収縮期雑音を認める。
- この時点の病態として考えられるのはどれか。 2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [106I078]←[国試_106]→[106I080]
[★]
- 心臓の聴診所見と疑われる疾患の組合せで正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109H004]←[国試_109]→[109H006]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [106D017]←[国試_106]→[106D019]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [114A008]←[国試_114]→[114A010]
[★]
- 英
- heart sound
- 関
- 過剰心音、心雑音、心拍数
心音
open snap
- 三尖弁や肺動脈弁が開く音。三尖弁領域や僧帽弁領域で聴取。高音。僧帽弁狭窄症、三尖弁狭窄症。呼吸で変動しにくい。
- 僧帽弁狭窄症:左胸骨縁~心尖。A2~P2~OSの順に聞こえる。吸気ではS1,,,A2, P2, OS、呼気ではS1,,,S2,OSと聴取される。病状が進行するほどS2~OSは狭くなる(左心房の圧上昇を反映)。
- 左房が固くなった左室に対して強力に収縮するときの音 PHD.37
- まれ
- 高音
- 収縮性心膜炎
- 拡張期早期
- S2の後(S3やOSと混同しやすい。OSより若干遅めで、音が大きい。ventricular gallopよりタイミングは早い)
- 心室への血流充満が急激に止まる(abrupt cessation)ことにより生じる
収縮期早期
- ejection click:大動脈弁や肺動脈弁が開く音。大動脈弁領域・肺動脈弁領域で聴取。高音。大動脈弁狭窄症、肺動脈弁狭窄症、大動脈の拡張、肺動脈の拡張。
- 大動脈弁狭窄症、肺動脈弁狭窄症:硬くなった弁が急に開くため?
- 大動脈の拡張、肺動脈の拡張 :大動脈・肺動脈基部が急激に緊張するため?
- aortic ejection click :心基部、心尖部聴取。呼吸変動無し
- pulmonic ejection click:心基部のみで聴取 。吸気で減弱
収縮期中期~末期
心音と過剰心音のまとめ QB.C-360
|
音を発する構造
|
聴診部位
|
疾患
|
*I音
|
房室弁
|
心尖部
|
MS
|
*II音
|
肺動脈弁、大動脈弁
|
心基部
|
HT, PH
|
*III音
|
拡張早期に血液が心臓に充満する音
|
|
容量負荷(心不全)、生理的
|
*IV音
|
拡張後期に心房収縮により心室壁が振動する音
|
|
圧負荷(拡張不全)
|
呼吸性変動
- 吸気時:心拍数↑
- 呼気時:心拍数↓
- I音-II音の間隔の変化は小さい。
II音の分裂
まとめ
|
心拍数
|
II音分裂
|
吸気
|
↑
|
A2-P2
|
呼気
|
↓
|
S2
|
記載方法の例
- I音(→) II音(→) III音(-) IV音(-)
- I音亢進減弱無し(=normal intensity) II音normal splitting
[★]
- 英
- restrictive cardiomyopathy, RCM
- 同
- 拘束性心筋症
- 関
- 心筋症、難病
定義
- (1)硬い左心室、(2)左室拡大や肥大の欠如、(3)正常または正常に近い左室収縮機能、(4)原因不明を満たす疾患
- 難病
病因
-
疫学
- 拡張型心筋症:14.0/10万人対
- 肥大型心筋症:17.3/10万人対
- 拘束型心筋症:0.2人/10万人対
病態
- 左心室拡張障害によるうっ血性心不全
- 左室内腔の拡大(×DCM)や壁肥厚はない(×HCM)。
- 収縮能は正常。
- 左房径は増大 ← 左心房は拡張(LAもrigitになる気がするけど、それでもやっぱり心房の方がコンプライアンスが高いから?そもそも、心室に血液を送り込めないから拡張せざるを得ないのだろう?)
身体所見
症状
検査
- 左室圧におけるa波が増大し、LVEDPが上昇。
- 左室圧波形:dip and plateau (square root sign)
診断
治療
鑑別疾患
収縮性心膜炎との鑑別
|
収縮性心膜炎
|
拘束型心筋症
|
contrictive endocarditis
|
restricted cardiomyopathy
|
心カテーテル検査
|
両親室の拡張末期圧同じ
|
左室拡張末期圧 - 右室拡張末期圧 > 5mmHg
|
右室拡張末期圧 > 右室収縮末期圧/3
|
右室収縮期圧 > 50mmHg
|
右室経静脈的心内膜心筋生検
|
|
線維化や浸潤(アミロイド、鉄、転移性腫瘍などの浸潤)がみられる。
|
CT
|
肥厚した心内膜が観察される。石灰化があれば白く見える
|
|
MRI
|
肥厚した心内膜が観察される
|
|
- LVとRVの壁厚を考慮すると、ある病因によるコンプライアンスの低下がLVでより顕著になると考えればよい?なんでだろう?
参考
- http://www.nanbyou.or.jp/upload_files/036_s.pdf
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/259
[★]
- 英
- cardiac tamponade (M)
- 関
- 心膜血腫、ベック三徴、閉塞性ショック
- 心膜腔になんらかの液体が充満して心室への血流を制限する状態
病因
- 心膜腔に漿液、血液、ガス、腫瘍が存在することによる
- 急性的に心膜液が100-150ml貯留することで症状を呈する(資料によっては150-200ml)。
病態
- まとめると、「右心不全」と「左心不全の前方不全」による症状が出現する、と考えられる? ← 肺にまつわる症状は出現しない?(そもそも右心系から肺循環にうっ血するほど血液が拍出されないから?)
- 心嚢水の貯留により心臓の低圧部位が圧迫され、虚脱する(心嚢水の貯留により高圧部位の圧力が心嚢水を介して伝わる)。収縮期早期に低圧なchamberは右房、拡張期に低圧なのは右室であり、この部位が虚脱しやすい(出典不明)。
- 右心型 (SUR.401)
- 右心系への還流異常による中心静脈圧上昇 → 頚動脈怒張(クスマウル徴候 ← 顕著には出現しないはずだが?)、肝腫大、右心房圧上昇、下大静脈圧上昇
- 左心系 (SUR.401)
- 心拍出量低下 → 奇脈、脈圧低下、心音減弱、頻脈、呼吸困難、失神 (SUR.401)
症状
- ベック三徴 Beck's triad:静脈圧上昇、血圧低下、心拍動微弱
- 心拍出量低下 → 血圧低下、奇脈
検査
- 胸部単純X線写真:心拡大
- 心エコー:心嚢水貯留。右房、右室の虚脱。
治療
- 心嚢穿刺、開窓術による心嚢内血液除去
- 支持的療法:(軽症例の場合のみ。だたし、循環動態のモニターをしながら)輸液(血液、血漿、デキストラン、生理食塩水) (参考2)
やってはいけない治療
- 静脈還流量を減じる治療 → 利尿薬(サイアザイド系利尿薬、ループ利尿薬)、ニトログリセリン、陽圧換気人工呼吸、カルシウム拮抗薬?
- 血圧を下げる薬物投与 → ヒドララジン
- 105C031
参考
- 1. [charged] 心タンポナーデ - uptodate [2]
- 2. [charged] 心嚢液貯留の診断および治療 - uptodate [3]
国試
[★]
- 英
- protein-losing gastroenteropathy PLGE, proteinlosing gastroenteropathy
- 同
- タンパク質漏出性胃腸症、滲出性腸症 exudative enteropathy、本態性低タンパク血症 essential hypoproteinemia、異化亢進性低タンパク血症 hypercatabolic hypoproteinemia
- 関
- 低タンパク血症
- 蛋白漏出性腸症 protein-losing enteropathy、蛋白喪失性腸症、タンパク質喪失性腸症、タンパク質漏出性腸症
[show details]
概念
消化管粘膜より管腔にタンパク質(主にアルブミン) が漏出する為に、低蛋白血症を伴った病態。主症状は浮腫である。吸収不良症候群とのoverlapが多い
病態生理に基づく病因の分類
- YN.A-87 参考1
- 2. 炎症:びらん・潰瘍により蛋白質が漏出する。さらに全層性の腸管病変(悪性腫瘍腫瘍、クローン病)によりリンパ管が閉塞し、リンパが漏出する機序もある→3.
検査
- アルブミン:低下
- A/G比:正常 → アルブミン低値ながらA/G比が正常なのが特徴。
- 免疫グロブリン:低下 → 免疫グロブリンも漏出してしまう
- 糞便検査:α1アンチトリプシンクリアランス試験(α1-アンチトリプシン消化管クリアランス試験):血清蛋白中の約4%を占めるATの糞便中排泄量を求める試験。腸粘膜からの蛋白漏出の程度をみる。20mL/日以上の排泄があれば陽性と診断する。
- YN A-87
鑑別
- 蛋白漏出性胃腸症:蛋白↓、コレステロール↓
- ネフローゼ症候群:蛋白↓、コレステロール↑
参考
- 1. [charged] Protein-losing gastroenteropathy - uptodate [4]
[★]
- 英
- shock
- 同
- 虚脱状態
- 関
- 産科ショック
メジャー
- 心筋梗塞、致死的不整脈、心不全
- 心タンポナーデ、収縮性心膜炎、肺血栓塞栓症、緊張性気胸
- 低容量性ショック hypovolemic shock = 循環血液量減少性ショック
- 出血性ショック、体液喪失(熱傷)・脱水
マイナー
ショックの5P
ショックの判断
簡便
循環モニターのためのデバイス・検査項目
- 血圧・脈拍
- 心電図
- 心エコー
- 呼吸・血ガス
- 血液検査・尿検査
- バルーンカテーテル:残尿を排泄し、30分ごとに尿量、血圧、脈拍を測定する
- 中心静脈圧
- スワン・ガンツカテーテル
- PiCCO
- 胃トノメトリー
治療
心原性ショック
|
原疾患の治療
|
低容量性ショック
|
輸液、輸血、止血、昇圧剤は原則使用しない
|
敗血症性ショック
|
抗菌薬、昇圧薬、エンドトキシン吸着カラム、輸血、血糖コントロール、低容量ステロイド
|
神経原性ショック
|
輸液、昇圧薬
|
アナフィラキシーショック
|
エピネフリン、輸液、抗ヒスタミン剤、ステロイド、昇圧薬、H2ブロッカー
|
閉塞性ショック
|
緊張性気胸
|
胸腔穿刺、胸腔ドレナージ
|
心タンポナーデ
|
心嚢穿刺、心膜開窓
|
肺塞栓
|
塞栓除去術、血栓溶解術
|
[★]
- 英
- chronic constrictive pericarditis
[★]
- 英
- pericarditis
- 同
- 心嚢炎、心包炎、心外膜炎 ← おそらく心内膜炎に対応する言葉として
- 関
- 心膜
分類
病因
症状
- 初発症状は、発熱、胸痛(持続性、咳・呼吸による増強)、呼吸困難
検査
心電図
- 90%の患者に異常が見られる(PHD.338)
- aVR, V1を除いたST上昇(PHD.338)
- いくつかの電極でPR部の低下(PR segment depression) → 心房の心外膜の炎症に関連した心房の異常な再分極を示唆(PHD.338)
合併症
参考
- 1. [charged] Epidemiology of and risk factors for atrial fibrillation - uptodate [5]
[★]
- 英
- heart sac
- 同
- 心嚢
- ラ
- pericardium (N)
- 関
- 心臓
心膜の構造 (Z)
臨床関連
[★]
- 英
- contractility、contractile、constrictive
- 関
- 狭窄、筋収縮性、収縮、収縮力、閉塞性
[★]
- 関
- 炎光、炎症