- 英
- abdomen
腹部の9つの領域
- M.111
RH right hypochondriac 右下肋部
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E epigastric 上胃部
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LH left hypochondriac 左下肋部
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RL right lumbar 右側腹部
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U umbilical 臍部
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LL left lumbar 左側腹部
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RI right inguinal 右鼡径部
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P pubic 恥骨部
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LI left inguinal 左鼡径部
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腹腔を仕切る2つの面
腹部の4つの領域
- (M.112)
- 身体所見を記述するために、4つの領域で分ける
- 水平面
- 垂直面
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腹(はら、英語:abdomen)は、人間や動物の体における胴の下半部のことである。腹部(ふくぶ)とも言い、話し言葉ではおなかともいう。なお、人類などの腹部のうち下方(鼠蹊部から股間のあたり)を下腹部(かふくぶ)という。
哺乳類では、胸腔と骨盤の間にあり、内部に消化器・生殖器を中心とする内臓の大部分がある。胸腔との間には横隔膜がある。
目次
- 1 人間の場合
- 2 無脊椎動物の場合
- 3 文化
- 4 腹を使った慣用句・熟語の例
- 5 関連項目
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人間の場合
人間の腹は、肋骨に囲まれた胸郭から下の、足の付け根までの胴部を指す。腰骨の部分は腰とも言うが、その前側は下腹部と呼ぶ。腹部は見かけの上では特に目立った構造のない、なめらかなもので、中央やや下方向の正中線上にへそがある。またさらに下方の股間には泌尿生殖系を含む外陰部が見える。成長期以降には、臍からこの部分にかけて陰毛を生じるが、その範囲には個人差が大きい。
体内ではそのほとんどを消化器系のうち胃、十二指腸、小腸などが占め、次に大きいのは肝臓であるが、胃と肝臓は肋骨の範囲に収まる。さらに泌尿生殖器系がここに含まれる。
また、皮下脂肪の蓄積する部位としても知られ、中年太り、ビール腹などはこれを指すことが多い。
無脊椎動物の場合
無脊椎動物に置いても、腹部が区別される例が多々ある。
節足動物では、複数の体節の接合によって構成されており、それらは機能的に分化した複数体節に区分される。そのうち前端の口と口器、感覚器の集中する部分を頭部、それに続く歩脚などのある区画を胸部といい、その後ろの部分を腹部という。昆虫やクモ類の場合には呼吸のための気門が付けられ、先端部には産卵管などの生殖器が収納されている場合が多い。また消化管の主要部分も腹部にある。甲殻類の場合、腹部はむしろ内臓があまり含まれない。鰓や遊泳脚があって運動に寄与する例もあるが、退化傾向が見られる例もあり、カニ類のように見かけ上なくなっている例もある。
その他、動物の体が左右相称のもので、主要な内臓を多く含む部分を腹部という例が多い。
また、より一般的な表現として、動物が基質上に定位したときに基質に向ける側を腹面、反対側を背面とする。
文化
また、かつては人の本心や根源的な何かは腹に宿っていると考えられていた。胸や胸の内よりももっと深いところ、という位置づけである。現在でも表現として日常的に用いられている。
腹を使った慣用句・熟語の例
胃腸の意味
子宮・胎内の意味
感情や本心の意味
- 腹が立つ
- 腹を割って話す
- ~をしようという腹
- 腹黒い
関連項目
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ウィキメディア・コモンズには、腹に関連するカテゴリがあります。 |
- 背中
- 鼠蹊部(そけい部)
- 股間
- 伏臥位(腹臥位、うつ伏せ)
- 匍匐(腹這い)
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 診断に難渋した腹空鏡補助下胃全摘Roux-en-Y再建術後Petersen's herniaの1例
- 伊藤 信一郎 [他]
- 長崎醫學會雜誌 : Nagasaki Igakkai zasshi 85(4), 363-368, 2011-12-25
- … 腹腔鏡補助下胃全摘、Roux-en-Y再建(以下、R-Y再建と略記)を行った.術後経過は良好であったが、退院後に食後の左上腹部痛、嘔吐が出現し、イレウスの診断で入院加療されるも、保存的治療にて軽快していた.術後2年目に同様の腹痛が出現し、保存的治療による改善が得られなかった.腹部造影CTで血行障害や腸管壊死、穿孔を疑う所見はなかったが、症状が強く、反復性であったため手術を施行した.小 …
- NAID 110008454135
- 腹腔鏡下大腸切除術後に発生したポートサイトヘルニアの2手術例
- 富永 哲郎 [他]
- 長崎醫學會雜誌 : Nagasaki Igakkai zasshi 85(4), 350-355, 2011-12-25
- … 第7病日の腹部CTで,12mmのポート孔から小腸が脱出したポートサイトヘルニアと診断され,同日緊急手術を施行した。 … 術後第5病日に嘔吐が出現し,腹部CTを施行した。 …
- NAID 110008454129
- 新規癒着防止材熱架橋ゼラチンフィルムの物理的・生物学的特性 : 癒着防止効果の機序及び腸管吻合部への影響に対する基礎的検討
- 丹澤 あゆみ,辻本 洋行,的場 麻理,橋本 歩,鈴木 周子,森田 真一郎,筏 義人,萩原 明郎
- 同志社大学理工学研究報告 52(2), 149-155, 2011-07
- … 我々は腹部外科手術後の癒着障害の予防軽減を行う為、新規癒着防止膜である熱架橋ゼラチンフィルムを開発作成し、これまで犬を用いた実験にてその優れた癒着防止効果と消化管吻合部に対しても安全に使用できることを報告してきた。 …
- NAID 110008601739
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- 急性腹症のCT診断について、様々な症例の演習をわかりやすく解説します。
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- 次の文を読み、28、29の問いに答えよ。
- 72歳の男性。皮膚の黄染を主訴に来院した。
- 現病歴 3か月前から全身倦怠感があり、2週前から上腹部および背部の鈍痛と食思不振とを自覚していた。3日前に皮膚の黄染に気付いた。
- 家族歴 特記すべきことはない。
- 生活歴 喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
- 既往歴 40歳台に右尿管結石にて治療を受けた。50歳台に十二指腸潰瘍で吐血したが、薬物治療にて治癒した。
- 現 症 意識は清明。身長168cm、体重62kg。体温36.1℃。全身の皮膚と眼球結膜とに黄染を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で、肝・脾を触知しない。圧痛、反跳痛および筋性防御を認めない。
- 検査所見 尿所見:蛋白(-).糖1+。血液所見:赤血球 386万、Hb 13.1g/dl、Ht 39%、白血球 9,100、血小板 18万、PT 12秒(基準10-14)。血液生化学所見:血糖 131mg/dl、総蛋白 6.5g/dl、アルブミン 3.8g/dl、総ビリルビン 18.1mg/dl、AST 138IU/l、ALT 162IU/l、LD 570IU/l(基準176-353)、ALP 483IU/l(基準115-359)、γ-GTP 132IU/l(基準8 -50)、CK 41IU/l(基準30-140)。腹部単純CT(別冊No.5A、B)を別に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [105F027]←[国試_105]→[105F029]
[★]
- 45歳の男性。事務職。職場の健康診断で検査結果の異常値を指摘され、産業医が面談を行うこととなった。自覚症状、現病歴および既往歴に特記すべきことはない。自家用車で通勤し、運動習慣はない。喫煙歴はない。飲酒は毎日ビール500mgと日本酒1.5合とを10年間。身長170cm、体重75kg、腹囲92cm。血圧120/78mmHg。血液生化学所見:空腹時血糖95mg/dL、 HbA1c4.8%(基準4.3-5.8)、トリグリセリド180mg/dL、 HDLコレステロール38mg/dL、 LDLコレステロール135mg/dL(基準65-139)、 AST38IU/L、 ALT48IU/L、 γ-GTP 136IU/L(基準8-50)。同時に実施した食事調査では摂取エネルギー量2,100kcal/日、食塩摂取量9g/日であった。
- 産業医がまず勧める内容として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106E047]←[国試_106]→[106E049]
[★]
- 32歳の男性。建築現場で作業中に約 10 m転落し、搬入された。来院時、ネックカラーを装着されバックボード上に全脊椎固定されており、意識レベルは JCSI-3で右殿部の痛みがあるという。身長 178 cm、体重 70 kg。体温 36.4 ℃。脈拍 112 /分、整。血圧 90/50 mmHg。呼吸数 24/分。 SpO2 100% (リザーバー付マスク 10 l/分酸素投与下 )。気道は開通しており呼吸困難はない。皮膚は蒼白で冷汗を伴い、橈骨動脈の拍動は弱い。明らかな外出血はなく、右下肢は変形は明らかでないが左と比較すると短縮がある。顔面、頸部および胸部に異常を認めない。超音波検査で心嚢、両側の胸腔および腹腔に液体貯留を認めない。胸部エックス線写真に異常を認めない。
- 次に行うべき単純エックス線撮影の部位はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108H023]←[国試_108]→[108H025]
[★]
- 53歳の男性。突然生じた強い左背部痛のため搬入された。 2年前から痛風で尿酸排泄促進薬を内服している。身長175cm、体重91kg。体温36.0℃。脈拍76/分、整。血圧162/92mmHg。呼吸数16/分。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。左肋骨脊柱角に叩打痛を認める。尿所見:蛋白1+、糖(-)、潜血3+、沈渣に赤血球多数/1視野、白血球1-5/1視野。血液所見:赤血球428万、 Hb13.6g/dl、 Ht38%、白血球7,800、血小板21万。血液生化学所見:総蛋白6.9g/dl、アルブミン3.9g/dl、尿素窒素12mg/dl、クレアチニン0.9mg/dl、尿酸7.0mg/dl、 Na138mEq/l、 K3.9mEq/l、 Cl102mEq/l。 CRP0.lmg/dl。腹部超音波検査で左水腎症を認める。腹部エックス線写真で異常を認めない。
- 診断に有用なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106D023]←[国試_106]→[106D025]
[★]
- 78歳の男性。右腰痛と立ちくらみとを主訴に来院した。今朝、居間でテレビを見ていたときに突然、右腰部に激痛を感じた。しばらくして痛みは軽快したものの、立ちくらみが出現したために受診した。 65歳時に高血圧を指摘されたが受診はしていない。意識は清明。身長168cm、体重89kg。体温36.2℃。脈拍96/分、整。血圧102/68mmHg。呼吸数14/分。腹部に拍動性の腹痛を触知する。尿所見:潜血(-)、白血球反応(-)。
- 次に行うべき検査として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106I068]←[国試_106]→[106I070]
[★]
- 26歳の男性。朝から腹痛が持続するため来院した。朝食後、嘔気と心窩部の痛みとが出現し、痛みは次第に右下腹部に移動した。体温37.6℃。呼吸数14/分。脈拍92/分、整。血圧118/78mmHg。血液所見:赤血球450万、白血球13,000、血小板22万。認められる所見はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [099C010]←[国試_099]→[099C012]
[★]
- 腹部の聴診で右下腹部にbruitを認めた。
- この所見に関連して、腹部診察で他に認める可能性があるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106H001]←[国試_106]→[106H003]
[★]
- a 腹部が膨満する。
- b 人工乳が発症を予防する。
- c 正期産児で発症頻度が高い。
- d 疑った段階で直ちに開腹手術を行う。
- e 腹部エックス線写真で腸管壁の気腫像がみられる。
[正答]
※国試ナビ4※ [107I035]←[国試_107]→[107I037]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [106I016]←[国試_106]→[106I018]
[★]
- ☆case76 頭痛
- ■glossary
- 傾眠 drowsiness 正常、病的の区別なく眠り込む場合に用いられる
- 意識不鮮明 confusion 周囲に対する認識や理解は低下し、思考の清明さや、記憶の正確さが失われる
- 錯乱 confusion 夢幻様状態より見当識障害と思考の滅裂が見られる状態(PSY.40)
- MA = Master of Arts 文学修士
- The Master of Arts (BrE: MA, UsE: M.A.) is awarded in Arts, Humanities, Theology and Social Sciences (Wikipedia)
- graduate student 大学院生
- rousable adj. 覚醒できる、目を覚ますことができる
- rouse vt. ~の目を覚まさせる、呼び起こす。喚起する、鼓舞する、奮起させる。(感情を)起こさせる、かき立てる
- lateralize vt. (生理)(大脳が)(左右半球に心的機能差がある、左右差がある。(器官・機能・活動などが)大脳の(左右いずれかの)片側優位下にある。(医学)(障害などが)大脳の片半球にあると診断される
- 乳頭浮腫 papilledema 原因を問わず視神経乳頭が腫脹している状態
- うっ血乳頭 choked disc 脳圧亢進による乳頭浮腫
- ■症例
- 24歳、男性 精神学の修士過程を専攻している大学院生
- 主訴:激しい頭痛
- 現病歴:頭部全体に痛みがある。2回嘔吐。傾眠と錯乱が認められるようになった。明るい光を嫌う()he finds bright lights uncomfortable。
- 既往歴:病気の既往はない。アレルギーはない。タバコ1日10本。アルコール24 unit/week(缶ビール(350ml)13.7本/週)。薬は服用してない。
- 家族歴:彼女と同居。3歳と4歳の子供がいる。
- ・診察 examination
- 見た感じ紅潮しており、調子が悪そう。体温:39.2℃。項部硬直あり(he has stiffness on passice flexion of his neck)。皮疹なし。副鼻腔に圧痛なし。鼓膜所見は正常。脈拍:120/分。血圧:98/74 mmHg。心血管系、胸部、腹部に異常所見なし(normal)。意識レベル低下。命令に応じて覚醒する(JCS10?)。局所神経症状認めない。眼底所見正常
- ・検査 investigation
- 血液検査
- 白血球:上昇。血清Na:低下。血清尿素:上昇。血清クレアチニン:上昇。血液培養:検査中
- 画像検査
- 胸部X線:異常所見なし。頭部CT:正常
- 心電図:洞性頻脈
- 腰椎穿刺
- 髄液所見:混濁。白血球:増多。蛋白:増多。糖:低下(普通の人の血糖100mg/dLと考える。→ 1g/L → 1/180 mol/L → 5.56 mmol/L。グラム染色:結果待ち
- ■Q
- 診断、鑑別診断、管理
- ■A
- 細菌性髄膜炎、髄膜炎・クモ膜下出血、経験的抗菌薬投与・
- ■解説
- (第1パラグラフ)細菌性髄膜炎
- ・(症状)突然発症。激しい頭痛、嘔吐、錯乱、羞明、項部硬直
- ・低血圧、白血球増多、腎機能低下 → ウイルス性よりむしろ細菌性の感染を示唆する。 ← 重症敗血症~敗血症ショックかな?(私見)
- ・(髄膜炎菌の種類)
- <テーブル挿入 髄膜炎>
- ・(疫学)HIM. 2621 (多分、全患者中(←私見))
- Streptococcus pneumoniae ~50%
- Neisseria meningitidis ~25%、
- group B streptococci ~15%
- Listeria monocytogenes ~10%
- Haemophilus influenzae type B <10%
- ・Neisseria meningitidisは全身性の脈管の皮疹(点状出血、紫斑)が特徴的(generalized vasculitic rash)
- (第2パラグラフ)鑑別診断
- ・激しい頭痛
- ・the most severe headaches are experienced in meningitis, subarachnoid hemorrhage and classic migraine.
- ・meningitis:単回の発作(single episode)。症状は時間単位で出現。
- ・subarachnoid hemorrhage:単回の発作(single episode)。突然発症(突発完成?)。硝子体出血を認めることがある。
- ・classic migraine:繰り返す(数回/年~1回/週。平均月2回。発作は4-72時間継続)
- ・髄膜刺激:急性に発熱をきたした多くの病態でみられる(acute febrile conditions)。特に子供。 ← そうなの?
- ・頚部硬直:頚部や脊椎の局所感染症でも起こる。 ← パーキンソン病などによる筋トーヌスの異常亢進も除外しよう
- ・他の髄膜炎:脳脊髄液所見で鑑別する
- (第3パラグラフ)経験的治療
- ・(細菌性)髄膜炎が疑われたら、確定診断する前に適切な抗菌薬を投与(empirical treatment)。 → 数時間の経過で死亡することがある。
- ・ペニシリンアレルギーがなければ、ceftriaxoneかceftaximeの静脈内投与が一般的な治療法
- (第4パラグラフ)腰椎穿刺
- ・乳頭浮腫がない、あるいは占拠性病変を示唆する片側性の神経徴候(lateralized neurological signs)がある患者では(CTの結果を待たずに)腰椎穿刺をすぐにやるべき(CASES) ← どういう事?
- ・局在性の神経徴候(localized neurological sign)がある場合はまずCTを撮るべき(CASES)。 → the dangers of coning ← 鉤ヘルニアの事?
- (第5パラグラフ)細菌性髄膜炎の管理
- ・診断:CSF検査(グラム染色、髄液培養(確定診断、感受性試験)
- ・管理
- ・意識が低下しているのでそれなりの看護(must be nursed)。アヘン剤による鎮痛。生理食塩水による低ナトリウム血症の補正。低血圧を補正するためにinotrope(a drug with positive inotropic effects, e.g. dobutamine, digitalis, milrinone )も必要かもしれない。(100CASES)
- ・感受性のある抗菌薬の投与(大量静注、髄液移行性の高いもの)、髄液所見の正常化・CRP 陰転後、1週間抗菌薬を投与して治療を終了。対症療法として脳圧亢進には高張脳圧降下薬(マンニトールなど)を投与。(IMD.1042)
- (第6パラグラフ)家族構成を考えた治療
- ・(意訳)誰が3-4歳の世話をしていたのか分からないけど、子供も検査すべき。髄膜炎菌か原因菌が不明だったら、リファンピシンによる予防的治療と髄膜炎球菌に対する予防接種をすべき。 ← 日本ではどうなんでしょうか。
- □350ml アルコール5%
- 350x0.05/10=1.75 unit
- ■莢膜を有し、髄膜炎を起こす細菌 → 莢膜を有することで血液中で補体などを介した貪食を免れ、血行性にクモ膜下腔まで到達しうる。
- ・Streptococcus pneumoniae
- ・Haemophilus influenzae type b
- ・Neisseria meningitidis
- ■敗血症
- ・定義
- 感染症による全身性炎症反応症候群(SIRS)をセプシス(sepsis, 広義の敗血症?)とする
- 感染症の病原体は、一般細菌(グラム陽性菌・陰性菌)、真菌、寄生虫、ウイルスなど
- 皮膚や粘膜の傷とか、種々の臓器にある感染巣から、細菌がリンパ流から血中に入り、全身に播種されて、新たに転移性の感染巣をつくり、重篤な全身症状を引き起こす。
- ・全身性炎症反応症候群の診断基準
- 下記項目のうち2項目以上が当てはまる
- 1. 体温>38℃ or 体温<36℃
- 2. 心拍数>90bpm
- 3. 呼吸数>20回/min or PaCO2<32mmHg
- 4. (白血球数>12,000/ul or 白血球数<4,000/ul) or ( 幼若好中球>10% ) ← ここでいう幼若好中球とは桿状好中球のことである。
- ・敗血症の周辺疾患概念
- 1. 全身性炎症反応症候群 systemic inflammatory response syndrome SIRS
- 発熱や白血球増加などの全身の炎症の徴候によって特徴づけられる病態(SIRSの診断基準に合致する病態)
- 2. 敗血症 sepsis
- SIRSが感染の結果である場合
- 3. 重症敗血症 severe sepsis
- 主要臓器障害を伴う敗血症
- 4. 敗血症性ショック septic shock
- 輸液投与に不応性の低血圧を伴う重症敗血症
- 5. 多臓器機能障害症候群 multiorgan dysfunction syndrome MODS
- 2つ以上の主要臓器の機能異常
- 6. 多臓器不全 multiorgan failure MOF
- 2つ以上の主要臓器の不全状態
- ■参考文献
- HIM = Harrison's Principles of Internal Medicine 17th Edition
- PSY = 標準精神医学 第3版
- CASES = 100 Cases in Clinical Medicine Second edition
- IMD = 内科診断学第2版
[★]
- ☆case10 背痛
- ■症例
- 27歳 女性
- 主訴:背中に突き抜ける?痛み(pain across her back)
- 現病歴:背中に広がる痛みを訴えて、27歳の女性が救急部に運ばれてきた。2日前に熱が出て背部痛が始まり、以降調子が悪い。痛みは増強している。6時間前に2度嘔吐した。
- 既往歴:3ヶ月前に合併症のない胆嚢炎。
- ・身体診断
- 調子が悪そうであり、紅潮している。体温:39.2℃。脈拍:120/分。血圧:104/68 mmHg。心血管系、呼吸器系に異常を認めず。腹部:全体的に圧痛。両側の腰部で著明な圧痛。
- ・検査
- (血液生化学)
- 白血球↑、血清尿素↑、CRP↑
- (尿検査)
- タンパク:++、鮮血:+++、亜硝酸塩:++
- 尿の顕微鏡検査:(おそらく400倍の一視野に)赤血球>50、白血球>50
- 腹部X線:正常
- ■glossary
- loin n. (pl)腰、腰部(→(adj.)lumbar)。(獣の)腰肉、ロイン。(pl)陰部、生殖器、性器
- 腸雑音、腸音、intestinal murmur、intestinal sound、bowel sound
- urine microscopy 尿の顕微鏡検査
- dysuria 排尿障害
- urgency n. 切迫、急迫、危急。緊急、火急、焦眉の急。[pl]しつこい要求、懇願。せき立てる力、刺激
- hydronephrosis 水腎症
- -nephros 腎臓
- -stomy 開口術
- nephrostomy n. 腎瘻造設術、腎造瘻術、腎瘻術
- obstructive urophathy 閉鎖性尿路疾患
- intravenous fluid 静脈内輸液
- commence vt. 始める、開始する。 vi. ~から始める、始まる(with)
- urgently
- eradication n. 根絶、撲滅
- mimic vt. ~の物まねをする、まねて馬鹿にする。そっくりに[卑屈に]まねる。~によく似る
- renal ultrasound 腎臓超音波検査
- obstructive uropathy 閉塞性尿路疾患
- polycystic kidney disease 多発性嚢胞腎
- medullary sponge kidney 海綿腎
- loin-pain hematuria syndrome 腰痛血尿症候群
- ■解説
- (第1パラグラフ)疫学
- 急性腎盂腎炎:男性より女性でmore common。尿路からの細菌の上行感染。リスク:妊娠、糖尿病、免疫低下者、尿路奇形(尿の腎臓への逆流。そして多分、狭窄していたりして結石で閉塞されやすいこともあると思う)
- (第2パラグラフ)病態
- 食欲不振、悪心、嘔吐と共に40℃の発熱が出ることがある。
- 腎盂腎炎患者の中には膀胱炎の先行症状(排尿障害、頻尿、尿意切迫、血尿)がある人がいるけど、こういう下部尿路症状がいつも出現するわけではない。
- 多くの腎盂腎炎患者は、先行する6ヶ月以内の膀胱炎の既往がある。
- 老人の場合、非典型的な症状を示し、そして混乱した状態でやってくる。
- 腎盂腎炎は他の病態によく似ている:急性虫垂炎、急性胆嚢炎、急性膵炎、下葉の肺炎
- 普通、体表から見て腎臓の直上に前からも後ろからも圧痛を感じる。
- 未治療の腎盂腎炎では敗血症になるかもしれない。
- (第3パラグラフ)本ケースについて
- ・CRP上昇は急性感染症を示唆
- ・顕微鏡的血尿・タンパク尿、白血球増多は尿路の炎症を示す。
- ・硝酸塩(nitrate, HNO3と何かの塩)から亜硝酸塩(nitrite, HNO2と何かの塩)への還元により細菌の存在が確認される。
- 覚え方:亜硝酸は(Oが一つ)足らないi(愛)
- でも複雑です。
- HNO2 亜硝酸 nitrous acid, nitrite 。亜硝酸塩 nitrite
- HNO3 硝酸 nitric acid, nitrate 。硝酸塩 nitrate
- (第4パラグラフ)管理
- ・女性は入院すべき。
- ・血液と尿の採取
- ・静脈内輸液+抗生物質で治療開始。微生物が同定されたら、感受性のある抗菌薬を使用する。初期治療ではゲンタマイシン、アンピシリン、シプロフロキサシンを用いる
- ・腎臓エコー検査:尿路閉塞を除外するため。閉塞性尿路疾患では、激しい痛み、発熱、敗血症ショック、腎不全を伴う脳腎症を起こしうる。
- ・尿路敗血症の経過で水腎症が疑われたら、合併症を防ぐために緊急に腎瘻を造設すべき
- (第5パラグラフ)薬物治療
- ・(腎結石など合併していない)腎感染症(ucomplicated renal infection)患者は抗生物質2週間のコースで治療すべき。
- ・感染の根絶を確実にする治療が終わった後10-14日間は、反復して細菌培養をする。<
- ・尿路結石を有する感染症や腎瘢痕を有する患者では抗生物質6週間のコースが用いられる。
- ■鑑別診断のポイント
- 腎盂腎炎は片側性、あるいは両側性の腰痛を引き起こす。
- 腰部痛の鑑別診断:
- 閉塞性尿路疾患
- 腎梗塞:心疾患などで生じた血栓が腎動脈またはその分枝を閉塞し、その血管の支配領域が虚血性壊死に陥った状態。
- 腎細胞癌:腎尿細管上皮細胞より発生する悪性腫瘍
- 腎乳頭壊死:腎乳頭より腎髄質にかけて、その支配動脈の虚血により壊死を来したもの。 主として基礎疾患に糖尿病を有する人にみられ、しばしば急性腎盂腎炎などの尿路感染に伴って発症する。
- 腎結石:
- 糸球体腎炎:
- 多発性嚢胞腎:先天性かつ両側性に腎実質内に大小無数の嚢胞を発生する。 ほとんどが両側性で、貧血、顕微鏡的血尿、蛋白尿、高血圧といった症状を呈しながら腎機能が低下し、最終的には腎不全となる疾患
- 海綿腎:腎錐体における集合管の先天性嚢状拡張症。症状としては拡張した集合管に尿の停滞 → 感染・細かな結石ができる。
- 腰痛血尿症候群:若年女性に好発し、反復して出現する腰部から側腹部の強い疼痛と血尿を主徴とする病因不明の疾患。肉眼的血尿や軽度の蛋白尿がみられることもあるが、特異的な検査所見はなく、診断は他疾患の除外診断による
- ■KEYPOINT
- ・急性腎盂腎炎は下部尿路症状があったり無かったりする。
- ・腎臓超音波検査は尿路閉塞を否定するために、入院24時間後に行うべき。
- ・抗菌薬は、再発のリスクを最小限にするために、少なくとも2週間継続すべき。
- □閉塞性尿路疾患(http://merckmanual.jp/mmpej/sec17/ch229/ch229a.htmlより引用)
- □KUBの陰影から尿路結石成分の推定
- リン酸カルシウム(22.0)
- シュウ酸カルシウム(10.8):シュウ酸カルシウム結石は,尿路結石のうちで最も頻度が高く(70~80%),シュウ酸カルシウム結石の約半数はリン酸カルシウムとの混合結石である。
- リン酸マグネシウムアンモニウム(4.1):ストラバイト結石:尿素分解菌(Proteus 、Klebsiella 、Pseudomonas )による尿路感染が原因で、尿素が分解されアンモニアとなると尿がアルカリ性となり、リン酸マグネシウムアンモニウム結石が形成される。
- シスチン(3.7):ホモシスチン尿症
- 尿酸(1.4):痛風
- キサンチン(1.4):プリン体
- □多嚢胞腎
- 常染色体劣性多発性嚢胞腎:ARPKD
- 旧名:幼児型嚢胞腎
- 常染色体優性多発性嚢胞腎:ADPKD
- 旧名:成人型嚢胞腎
[★]
- ☆case84 嘔吐
- ■症例
- 32歳 男性
- 主訴:
- 現病歴:2 amにからり酔っぱらって救急部に受診。11.45 pmに気分が悪くなり2度嘔吐。嘔吐物は最初は苦く感じられ、それは食べ物と2Lのビールであった。1時間程度後に、何度か猛烈に吐き気を催した。1 amに鮮赤血を吐いた(bright red blood)。患者が言うには最初は少量だったが、2回目にはかなり多い量であった。服用薬なし。時々マリファナを吸う。タバコ1日10本、アルコール2-3 unit/week
- 既往歴:特記なし
- 家族歴:特記なし
- 生活歴:
- ・身体診断
- 酔っぱらっているように見える。口の周りに乾燥した血液の付着を認める。脈拍:102/分。(臥位(lying))血圧:134/80 mmHg。立位でも血圧の変化は認められない。心血管系、呼吸器系に異常を認めず。腹部:上腹部(心窩部)にわずかに圧痛。
- ・検査
- (血液生化学)
- 異常なし
- ■解説
- (第1パラグラフ)
- もっともな診断は、下部食道もしくは胃上部における吐血を引き起こす粘膜の裂傷である(Mallory-Weiss lesion/Mallory-Weiss tear/Mallory-Weiss laceration)。激しい嘔吐やむかつきによる機械的な外傷で生じる。本症例では、なれない大量飲酒によって生じた。
- (第2パラグラフ)
- 患者の話から出血量を見積もるのは難しい。吐血はびっくりするような出来事であり、吐血の量を多く見積もりがちである。ヘモグロ分派性状であり、急性の出血では吐血量を見積もる手がかりにならない。急性期にヘモグロ分が低ければ慢性の出血をほのめかす。著しい失血の最初のサインは頻脈と起立時の血圧低下であることがある。本症例の彼の脈波速いが、これは不安と関連しているのかもしれない。
- (第3パラグラフ)
- 吐血の他の原因は胃炎か消化性潰瘍である。何度か血液を含まない胃内容物のむかつきと嘔吐の話はマロリーワイス症候群に特徴的である。この疾患は普通介入を必要としない良性の病態である。確定診断は上部消化管内視鏡を必要とするが、典型的な症例ではいつも必要になるわけではない。時に、出血がもりひどかったり、壁の解離が粘膜より深いこともあり、穿孔につながる。
- (第4パラグラフ)
- この症例の管理は注意深い観察、嘔吐で失われた体液を戻すための静脈内輸液である。出血が激しい場合には血液型検査のために採血するが、輸血は必ずしも必要ない。彼は生徒大とH2 blockerで治療された。嘔吐は収まりそれ以上の出血も見られなかった。彼は将来のパーティでは通院しすぎないように決めた。
- ■管理(内科診断学 第2版 医学書院)
- ①本疾患の大多数は安静、絶食、制酸薬・粘膜保護薬の投与で保存的に治療できる。
- ②輸血が必要なほどの貧血は稀である。
- ③内視鏡検査時に出血している症例に対しては内視鏡的止血術を行う。
- ④クリッピング法(図4-89) [図] 、純エタノール局注法、アルゴンプラズマ凝固(APC)法などさまざまあるが、いずれの方法でも良好な止血成績を得られる。
- ■鑑別診断 (内科診断学 第2版 医学書院 p.843)
- ・特発性食道破裂(ブールハーフェ症候群)
- ・逆流性食道炎
- ・食道静脈瘤破裂
- ・出血性胃潰瘍
- ・急性胃粘膜病変(AGML)
- ■KEYPOINT
- ・吐血の前の血液を伴わない激しい嘔吐とむかつきの既往は、上部消化管の裂傷を示唆する。
- ・患者は血液の量を見積もるのが困難と分かるので、吐血で失われた失血の程度は多糸かでないし、消化管の中にとどまっている血液の量は分からない。
- ・アルコールは救急入院の約1/4と直接の連関があるという研究がある。
- □マロリーワイス症候群(内科診断学 第2版 医学書院)
- 嘔吐などにより腹腔内圧が急激に上昇して噴門部近傍に裂創が発生し、これを出血源として顕出血をきたしたもの。30-50歳代の男性に多く、全消化管出血例の約3-15%を占める。 アルコール多飲が原因となることが多いが、ほかに妊娠悪阻、乗り物酔い、脳腫瘍や髄膜炎、医原性のものとしては上部消化管内視鏡検査や心肺蘇生術など、原因となるものは種々である。 ②嘔吐などにより急激に腹圧が上昇すると、急激に胃内圧が上昇し、これにより食道胃接合部近傍に裂創が生じる。
- □吐血 hematemesis (内科診断学 第2版 医学書院)
- コーヒー残渣用の吐血 melanemesis
- 鮮血の吐血 hematoemesis
- □急性胃粘膜病変 acute gastric mucosal lesion AGML
- 急性胃炎の劇症型であり、急速に起こる腹痛(時に、吐血、下血)をきたし、潰瘍・びらん・出血が混在した病態を呈する。
- 病因はアルコール、薬物(アスピリン、ステロイド)、薬品、ストレス、食物(激辛食品など)、アニサキス、中枢神経系障害、熱傷、外科手術
- ■glossary
- inebriate
- vt. (人)を酔わせる(make drunk)。~を有頂天にする
- adj. 酔っぱらいの、大酒飲みの
- n. 酔っぱらい、大酒飲み
- pint n. (液体の単位)1パイント = 1/2クオート=(米)28.8753 inch cube = 0.473 liter = (英) 0.568 liter = 約500cc
- retch
- vi. むかつく、吐き気を催す、無理に吐こうとする
- vt. 吐く
- n. むかつく。ヒック(吐き気を催すときの音)
- lager n. ラガー(ビール)(貯蔵ビール;日本の普通のビール)
- violently adj. 激しく、猛烈に
- drunk adj. (pred)酔って。(fig)酔いしれて
- epigastrium n. 上腹部、心窩部
- blood grouping 血液型判定、血液型検査
- indulge
- vt. ~にふけらせる。気ままにさせる、(子どもを)甘やかす。(欲求などを)思いのままに満たす。喜ばせる、楽しませる。
- vi. (快楽・趣味などに)ふける、身を任す(in)。(略式)たらふく食べる、痛飲する。(~に)従事する。(好ましくないことに)かかわる(in)
- □Hematemesis and Melena(Differential Diagnosis in Primary Care 4th)
- ・吐血か喀血を見分けたい場合はnitrazine paperを使って判定
- ・身体開口部(body orifice)からの出血を鑑別するとき解剖学的なアプローチがよい。
- (食道)
- ・静脈瘤、逆流性食道炎、癌腫、マロリーワイス症候群。
- ・外来異物も忘れるな。
- ・先天性まれな病因として異所性胃粘膜によるバレット食道炎と潰瘍もある。
- ・大動脈瘤、縦隔腫瘍、肺癌が食道を潰瘍化させ出血させることもある。
- (胃)
- ・炎症:胃炎と胃潰瘍。アスピリンとアルコールも良くある原因
- ・幽門部静脈瘤で出血するかもしれない
- ・出血がひどく、他の原因が見つからなければ血液疾患を検索する。
- (診断への道)
- ・吐血の確固たる証拠がある時、内視鏡をつかえる状況にあれば問診とか検査で無駄な時間を使わずに内視鏡で診断&治療をやってしまえ。
- ・血液型検査、血液のクロスマッチ?して輸血の準備、凝固能検査など鑑別に必要な検査をやりなさい。内視鏡検査の準備をしている間に、アルコール、アスピリン、そのほかの薬品の服用、潰瘍の既往、食道疾患既往を聴け
- ・ひどい出血や最近の急な吐血の既往がなければ(内視鏡を使わずに?)伝統的なアプローチでも良い
- ・吐血の前に血液を伴わない嘔吐があればマロリーワイス症候群の診断の助けとなる。
[★]
- attend
- vt.
- ~に出席/参列する、(学校に)行く(go toより堅い語)
- The normal ECG and chest X-ray when he attended hospital after an episode do not rule out an intermittent conduction problem.
- (結果として)~に伴う
- ~に同行/同伴する、付き添う、仕える。往診する。~の世話をする、~に気をつける、見張る
- vi.
- 出席/参列/出勤する(at)
- 留意/注目/傾聴する(to)。身を入れる、勢力を注ぐ、心を傾注する(to)。世話をする、気を配る(to)
- 仕える、付きそう(on)。(危険・困難などが)伴う(on)
- productive
- outflow
- obstruction
-
- the clinical picture suggests obstruction to outflow from the stomach.(この臨床像は胃流出障害を示唆している)
- obstruction to outflow
- 流出障害
-
- the clinical picture suggests obstruction to outflow from the stomach.(この臨床像は胃流出障害を示唆している)
- aqueous outflow from the eye (眼球からの房水流出)
- retain
- re + tent (tineo=teneo) = to hold back
- 保持する、保有する、保留する、持ち続ける、維持する。(使用のために)確保しておく
- (ある場所に)保つ、保持する。(熱などを)保っている、失わないでいる
- 忘れないでいる、覚えている
- (弁護士・気腫・召使いなどを)雇っておく、抱える
- 使用/実行し続ける。(廃止しないで)そのままにしておく
- palliation
- n.
- 寛解、緩和
- volvulus
- 腸捻転
- bezoar
- 胃石
- malrotation
- 腸回転異常
- intussusception
- 腸重積
- succussion
- n.
- 強く揺り動かすこと、強く揺れること
- splash
- n.
- はね返し、はねかけ。はねかす音。
- どっと流れる水。
- □unit
- 1 unit = 10 ml of ethanol
- □350ml アルコール5%
- 350x0.05/10=1.75 unit
- http://pohwa.adam.ne.jp/you/hobby/ryori/sake2.html
- 1unitの量が国によって違う。純エタノール換算で、1英unitは8g=10ml(英糖尿病協会採用の数値)、1米unitは15g(20ml弱:1drinkとも)で、日本では10~14g程度(代謝熱量80Kcalが基準:食品成分表5訂版,2002)や20ないし23g(日本酒1合分)を1unitとしている。日本の医学界では1unit=20g(体積に換算すると25ml)を採用することが多いので、ここでもそれに従う。この基準(1unit=20g=25ml)で計算すると、40度のウィスキー1ショット(=1オンス:英液量オンスで28.41ml、米液量オンスで29.57ml、日本の1ショットで30ml)が約0.5unitとなる。5度のビールなら500mlでだいたい1unit(この、日本酒1合≒ウィスキーダブル≒ビール500cc≒1unitという関係は、覚えておくと便利かもしれない:ワインなどは日本酒に準じるので、1本750mlがだいたい4unit強である)。
- 主訴:体重減少
- (主訴にまつわる症状)
- ・4ヶ月で10kg減少、食欲の減少、嘔吐(頻度:次第に増えてきている。嘔吐物と量:何時間も前に食べたものを多量に嘔吐する)
- (主訴以外の症状)
- ・一ヶ月前から脱力感(部位:特に下肢で著しい(丘に登ったり、階段を上ったりするとき))
- 嗜好歴:喫煙 20/day、飲酒 10units/week (ビール 6本弱)
- 家族歴:なし
- 既往歴:高血圧(2年間β遮断薬で治療、4ヶ月前に服薬中止)
- 身体所見 examination
- バイタル:82/分、血圧 148/86 mmHg
- 全身:やせ、体調が悪そう(unwell)。
- 呼吸器、心血管系に異常なし
- 腹部:腫瘤触知せず、圧痛なし、振盪音/振水音を認める
- 検査所見 investigations
- 低値:ナトリウム、カリウム、クロライド、尿素
- 高値:重炭酸
- Q
- 1. これらの所見の説明は?
- 2. もっともな診断は?
- A
- ★
- 胃流出路の閉塞 = 食後の嘔吐 + 胃の振水音
- 高BUN + 低CRE → 脱水
- 低Na,Cl,H+ → 嘔吐
- HClの喪失 → 代謝性アルカローシス
- H:細胞内→外
- K:細胞外→内
- 従って、低カリウム血症 → 筋力低下・脱力
- ★
- 胃流出路の閉塞の原因:胃癌とか胃潰瘍による瘢痕
- 診断には上部消化管内視鏡・生検(組織診)、その後にCT(局所浸潤、転移巣検索)
- 治療法:腫瘍だったら腹腔鏡による腫瘍の摘出術。その他の場合は手術をしたり、薬物療法をしたり、、、
- 学習ポイント
- ・嘔吐・嘔気 nausea and vomiting DIF.321, vomitus DIF.449 IMD.351
- 解剖で考えよう。縦に解剖、横に病因
- 鼻咽頭 扁桃、外来異物
- 食道 アカラシア、逆流性食道炎、食道癌 ・・・嚥下困難があるはず
- 胃 胃炎、消化性潰瘍、胃癌、幽門部の病変(ポリープ、癌、潰瘍;胃の出口を閉塞させる)。子供だったら幽門狭窄症
- 十二指腸:潰瘍、十二指腸炎、Billroth II法による輸出脚の閉塞、Billroth I/II法によるダンピング症候群。胆汁性胃炎も原因となる。
- 小腸:小腸閉塞(腸重積、腸回転異常症、胃石症、癌腫、限局性回腸炎)
- 結腸:潰瘍性大腸炎、アメーバ症、腫瘍男。腸間膜動脈血栓症、
- 消化管全体:Strongyloides, Ascaris, Taenia solium
- ・β遮断薬の服用中止で何が起こる?
- 狭心症や発作性の高血圧。
- なんでやめたんだろう? → 副作用:(1%程度に)めまい、全身倦怠感、頭痛、徐脈が出現
- ・振盪音
- 腹水や胃内容物の貯留によって聴取される。
- ・BUN高値、Cre低値
- suggest a degree of dehydration
・BUN
- ==検査値の異常 (異常値の出るメカニズム第5版 p.144)==
- ===BUN上昇===
[★]
- ☆case59 尿中の血液
- 52歳 ビジネスマン
- 顕微鏡的血尿のため泌尿器科医に紹介があった。
- 主訴:顕微鏡的血尿
- 現病歴:6ヶ月前、new jofのためのisurance medicalで血尿を指摘された。以来、家庭医に2回血尿指摘された。以前の尿検査は正常だった。一度も顕微鏡は指摘されたことが無く、泌尿器系の症状もなかった。顕微鏡的血尿であることを除けば健康である。視覚、聴覚に問題なし。タバコ1日30本、アルコール35 unit/week(缶ビール(350ml)20本/週)
- 既往歴:特記無し。
- 家族歴:特記無し。腎臓病の家族歴無し
- ・身体所見
- 栄養状態良く体調はよい。心拍:72/分、整。血圧:146/102 mmHg。心血管系、呼吸器系、腹部、神経学所見:異常なし。眼底鏡でarteriovenous nippingを認める。
- ・検査
- (血液生化学)
- 上昇:尿素、クレアチニン、γ-GTP
-
- (尿検査)
- 蛋白:++。血尿:++。赤血球:>100 red cells
- 24時間尿蛋白:1.2g; 正常値 <200mg/24hr
- (その他)
- ECG:左室拡大。腎超音波検査:大きさは正常
- (第一パラグラフ)
- ・顕微鏡的血尿の原因は腎臓と尿路系のものがある(ex.前立腺病変、結石)。
- ・顕微鏡的血尿 + 高度のタンパク尿 + 高血圧 + 腎障害 = 慢性糸球体腎炎の病態
- ・γ-GTP高値はアルコールの過剰摂取による肝臓病であることに適合する
- ・男性で推奨されるアルコール摂取の上限は、28unit/週 ()
- (第二パラグラフ)IgA腎症
- ・IgA腎症は先進国における一般的な糸球体腎炎。メサンギウム領域におけるIgAの蓄積が特徴的
- ・患者はしばしば、上気道感染と同時におこる顕微鏡血尿のエピソードがある
- ・IgA腎症は多くは特発性だけど、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病(Henoch-Schonlein purpura)とアルコール性肝硬変(alcoholic cirrhosis)と関連するのが普通である。
- ・IgA腎症の患者の20%は20年の経過で末期腎不全(end-stage renal failure)に陥る。
- (第三パラグラフ)基底膜病・アルポート症候群
- ・菲薄基底膜病はisolated microscopic hematuria、minimal proteinuria及び正常腎機能(悪化しない)をしめす家族性の疾患である。
- ・電顕的にはびまん性の糸球体基底膜の菲薄化が見られる(300-400nm -> 150-225nm)
- ・アルポート症候群は進行性糸球体病態であり、聴覚消失と視覚異常と関連している。ふつうX連鎖優性遺伝で、男性がひどく影響を受ける。
- (第四パラグラフ)What further incestigations would you organize?
- ・腎生検
- ・age>50: 尿細胞診、前立腺特異抗原、膀胱鏡 → 除外診断のため(膀胱・前立腺病変)
- ・肝超音波検査が必要で、肝生検を考慮するべき。
- (第五パラグラフ)What advice would you give this patient
- ・指導:禁酒、血圧のコントロール
- ・経過観察:透析、腎移植に移行しうるため
- ・血清/血漿クレアチニン:これはGFRが50%減らないと上昇しない → この症例では軽度のクレアチニンの上昇は腎機能は正常の腎機能の40%であることを示す。
- ・治療:免疫抑制薬がIgA腎症の大部分で透析導入を遅らせるという証拠はない
- ■KEYPOINT
- ・50歳以下の血尿のみを訴える患者はまず腎臓専門医に紹介すべき。
- ・50歳以上の血尿のみを訴える患者は、膀胱や前立腺の疾患を除外するためにまず泌尿器科医に紹介すべき
- ・血清/血漿クレアチニンのわずかな上昇は腎機能の大きな喪失を示している。
- ・大量のアルコール摂取による肝障害は明らかな徴候なく起こるかもしれない。
- ■もっとも一般的な顕微鏡的血尿をきたす糸球体による原因
- IgA腎症
- 菲薄基底膜病(thin basement membrane disease)
- アルポート症候群(XR)
- ■高血圧の病理的帰結 HIM.1552
- ・高血圧が生み出すリスクファクター:粥状硬化症
- ・高血圧が悪化因子?(predisposing factor)となる疾患:心不全、冠動脈疾患、梗塞、腎臓病、末梢動脈疾患
- 心臓:高血圧性心疾患は高血圧に対する機能的・構造的適応 → 左心室肥大、拡張期機能不全(diastolic dysfunction)、うっ血性心不全、血行異常(冠状動脈の粥状硬化・微小血管障害による)、不整脈
- 左心室肥大(1遺伝的要因と血行動態要因による) → ↑リスク:冠動脈心疾患、梗塞、慢性心不全、突然死
- 拡張期機能不全:(左心室壁が肥厚して拡張期に十分拡張できないという意味での機能不全(written by s))
- 脳:(高血圧は脳梗塞と脳出血のリスクファクター)
- ・認知症(脳梗塞による)
- ・高血圧脳症(autoreguration(50-150mmHg)が傷害され、重度の頭痛、悪心・嘔吐、巣状神経徴候(focal neurologic sign)、精神状態の変調をきたす)
- 腎臓:高血圧は腎障害と末期腎臓病のリスクファクター。
- ・腎臓における粥状硬化性の高血圧に関連した血管損傷は、最初に糸球体の前の細動脈に及ぶ。これにより糸球体と糸球体の後の構造に虚血性の変化を起こす。
- ・糸球体の損傷は糸球体の高灌流による糸球体毛細血管の損傷の結果かもしれない。
- ・糸球体の病理は糸球体硬化症を呈し、そして尿細管は虚血により萎縮する。
- 末梢動脈:長期にわたって持続する高血圧により、下肢の動脈を狭窄させる → 跛行
- 網膜:交差現象(http://www.1stretinalscreen.com/ra_DR_NonDR.asp )
- AV nipping is indicative of hypertension and describes the changes which occur at arteriovenous crossings in the retina where an artery crosses a vein. In patients with hypertension and associated arteriolosclerosis (narrowing of the artery) the artery applies increased pressure on the vein at the point where it passes over the top of the vein.
- ■顕微鏡的血尿
- 血尿のうち、肉眼的には血尿ではないが、尿沈渣で400倍毎視野1個以上の赤血球を認める場合をいう。 しかしそれでは再現性に乏しいので、一般的には5個以上の赤血球を認める場合を顕微鏡的血尿といい病的意義をもつ。
- ■glossary
- modest adj. 謙虚な。慎み深い、控えめな、遠慮がちの。(主に女性が)しとやかにした、ひどく上品な。質素な、地味な。適度の、穏当な。大きくない、ささやかな。