出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/03/21 07:37:47」(JST)
高齢者(こうれいしゃ)は、社会の中で他の成員に比して年齢が高い一群の成員のことである。年齢の定義はさまざまである。
高齢の線引きは曖昧且つ主観的な部分があり、判断は容易ではない。国連では60歳以上[1]、国連の世界保健機関 (WHO) の定義では、65歳以上の人のことを高齢者としている。定年退職者もしくは老齢年金給付対象以上の人を言うことも考えられる。
高齢者の医療の確保に関する法律、およびそれに付随する各種法令[1]では、65~74歳までを前期高齢者、75歳以上を後期高齢者」と規定している。
高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(略称:高年齢者雇用安定法)における「高年齢者」とは、55歳以上の者を言う[2]高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則(昭和46年労働省令第24号)</ref>。
高年齢者雇用安定法における「高年齢者等」とは、「高年齢者」、および55歳未満の「中高年齢者」(45歳以上の者[2])である求職者、および55歳未満の「中高年齢失業者等」(45歳以上65歳未満の失業者その他就職が特に困難な失業者、具体的には身体障害者、刑法等の規定により保護観察に付された者等で、その者の職業のあっせんに関し保護観察所長から公共職業安定所長に連絡があった者[2])を言う。
各種公的機関が行う人口調査では65歳以上を「高齢者」と区分している[3]。
一般的に、一部の高齢者は経験を積み、様々な事に熟達しているとされる。加齢に伴う認知機能及び運動機能の衰えや、老衰に伴う記憶力の減退等といった理由により、第一線を退いた者は多いが、その豊富な経験と、その経験によって導き出される勘は、学習によって得られる知識や、練習によって習得する技能を超えた効率を発揮する高齢者もなかには存在する。これらを若者は学ぶべき点は学び、また後代に伝えるべき物とされる。
高齢者は古くより、社会的には年功序列や選挙での高い投票率によって一定の地位を獲得しているが、現代と違い古代から近代初期に掛けては、医療技術が発展していなかったので、高齢になるほど希少な存在となり、長らくは「古老」や「長老」と呼ばれる、高齢者に対する特別な尊称が存在する。儒教に基づく敬老の考えは、高齢者が尊敬されることに一役買っている。
2010年9月19日の総務省の発表では65歳以上の推計人口(9月15日現在)は前年より46万人多い2944万人であった。
社会の高齢化、核家族化が急速に進んだことにより、高齢者の一人暮らしが増加した。1955年に42万5,000世帯[4]だった高齢単身世帯は、1965年に79万9,000世帯[4]、2005年には386万世帯[5]となっている。
2005年度の上半期(4 – 9月)の全国の交通事故による死者のうち、高齢の運転者による死亡事故が増加。この状況を受け警察庁は「安全教育に加え、高齢者の個々の運転能力に応じた対策も検討を重ねる必要がある」として、75歳以上の高齢者の運転免許更新時に認知機能検査を盛り込んだ道路交通法の改正を2007年の通常国会に提出し、2009年6月から施行されることとなった。
ある国・地域において、高齢者が人口の7%以上を超えると高齢化社会、14%を超えると高齢社会、21%を超えると超高齢社会と呼ばれる。日本では、1935年では4.7%で最低であったが、2007年では21.5%となり、超高齢社会となった。
過度の社会保障受益や認知機能や身体機能が低下し、認知症・寝たきりなど疾病に掛かり易い高齢者に対する介護の疲れや社会的負担から、高齢者に対する嫌悪や高齢者虐待 (Ageism) が増えてきた。これを受けて、「年をとった、年寄り、高齢の」といった年齢を強調した表現を避け、「より経験豊かな、先任の」といった価値中立な表現を工夫して用いるような傾向が出てきている。たとえばoldではなく、senior (シニア)、elderly、aged、後期高齢者医療制度の名称や高齢ドライバー標識の意匠変更など。
日本語においては、同義語として老人、年寄(お年寄り)などの言葉がある。また、この世代を老年と称する場合がある。日本の公共交通機関には高齢者・障害者・病人・怪我人・妊婦などのための優先席が設けられているが、日本国有鉄道や東京都交通局など一部の事業者は、これを「シルバーシート」と表現していた。ここから、日本においては高齢者のことをシルバーとも呼ぶようになった。また、高齢者が自身を「シルバー」と表現することも多く見受けられる。高齢者の職業技能を生かすための、「シルバー人材センター」という名称の施設が各地に存在している。
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