- 英
- hyperemesis gravidarum, hyperemesis
- 関
- つわり
WordNet
- severe and excessive vomiting
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/09/11 16:39:24」(JST)
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つわり、または、おそ(どちらも漢字表記は「悪阻」)とは、「妊婦特有の症状」であり妊娠初期に起こる吐き気と嘔吐のこと。
つわりは母体に対し、筋肉・神経系統を挙上させる(体内に胎児のための領域・スペースを作る)働きがあるため、むやみに嘔吐感を我慢する必要はない。
目次
- 1 概要
- 2 原因
- 3 症状
- 4 対策
- 5 医学的介入
- 6 関連項目
- 7 脚注
概要
通常は胎盤が完成する妊娠3、4カ月ほどで自然に治ることが多い。以前は妊娠高血圧症候群に分類されていたが、現在では生死にかかわる症状とは考えられていない。重症の場合は脱水症状が進み尿からケトン体が検出されるほど体力を消耗し、ウェルニッケ脳症の発症を予防するために、輸液やビタミン剤補給などによる入院治療が必要となる。治療が必要になった場合は妊娠悪阻といわれる。
原因
ホルモンの一種であるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)が関係しているとの説[1]、妊娠で体質がアルカリ性から酸性に変わるため、など諸説あるが、医学的には立証にいたっていない。また、症状は心理的な要因にも大きく左右されるとの説もある。
症状
つわりの症状は多彩で個人差が大きいため、一般的なつわりの症状を記す。
- 吐き気、嘔吐、唾液の増加、全身倦怠感、頭痛、眠気など。
- 匂いに敏感になる(米飯やたばこの残り香など)。
- 食べ物の好き嫌いが変化し、食欲が減退、または増進する。
- ※早朝空腹時に強く出る傾向があると考えられている。このことから英語ではMorning sicknessと言う。
対策
- 枕もとにクッキーなどをおいて低血糖を防ぐ。
- 好物だけでもよいので水分と食事の摂取を心がける。
- 身の回りから自分の嫌いなものを遠ざけたり、ストレスのたまらない生活を送ること。
- 生姜が嘔気症状の改善に効果があるとの報告がある。[2][3][4][5]
医学的介入
つわりは妊娠5週頃から出現し、16週頃には軽快するのが通常である。この期間は胎児の器官形成期であるため、安易な薬物投与は胎児奇形を招く(催奇性)リスクがある(代表例として、サリドマイド)。特に吐き気止めとしてよく用いられる消化管機能改善薬のメトクロプラミド(プリンペラン®)ですら、この時期の催奇形性は確認されていないが安全性は確立していない。少量、短期間投与にとどめるべきと考えられている。漢方薬が比較的安全に投与可能といわれており、よく利用されている。点滴治療では維持液にビタメジン、タチオンなどを加えることが多い。
関連項目
サリドマイド
脚注
- ^ hCG自体がどのような作用をしてつわりを起こすかは未だ解明されていない。
- ^ Obstetrics & Gynecology, 97(4), April 2001, 577-582,
- ^ Obstetrics & Gynecology, 103(4), April 2004, 639-645,
- ^ Obstetrics & Gynecology, 105(4), April 2005, 849-856,
- ^ Midwifery, 25(6), December 2009, 649-653
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Japanese Journal
- Acinetobacter baumannii による敗血症からDICに至った重症妊娠悪阻症例
- 熊坂 諒大,田中 幹二,松下 容子,山本 善光,尾崎 浩士,樋口 毅,水沼 英樹,平川 八大
- 日本産婦人科・新生児血液学会誌 = The Japanese journal of obstetrical, gynecological & neonatal hematology 21(1), 47, 2011-06-01
- NAID 10029378113
- 妊娠悪阻による血糖値の変動にCSIIとカーボカウンティング法が有用であった1型糖尿病合併妊娠の1例
- 長澤 薫,西村 明洋,大久保 実,岡 佳子,今 寿賀子,古賀 千悠,竹林 明枝,東梅 久子,北川 浩明,森 保道
- 糖尿病 53(5), 351-356, 2010-05-30
- NAID 10026420911
Related Links
- 妊娠悪阻について. 病院にいく目安はこちら 入院するときには「妊娠悪阻(にんしんおそ) 」という病名になり、つわりとは区別されます。 入院中は絶食療法が行われることが多く 、点滴によって栄養と水分を補充しながら少しずつ食事を増やしていきます。
- つわりの症状が悪化して、日常生活を送れない程の病的な状態を妊娠悪阻と言います。 発症率は全妊婦さんの1%程度で治療や入院が必要になります。
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [104G069]←[国試_104]→[104H002]
[★]
- 検査用の試験紙(別冊No. 2)を別に示す。この試験紙を用いて診断するのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109B023]←[国試_109]→[109B025]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [105C001]←[国試_105]→[105C003]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [106E023]←[国試_106]→[106E025]
[★]
- 妊娠中の深部静脈血栓症の原因として最も注意すべきなのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112E022]←[国試_112]→[112E024]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [109C010]←[国試_109]→[109C012]
[★]
[★]
- ☆case84 嘔吐
- ■症例
- 32歳 男性
- 主訴:
- 現病歴:2 amにからり酔っぱらって救急部に受診。11.45 pmに気分が悪くなり2度嘔吐。嘔吐物は最初は苦く感じられ、それは食べ物と2Lのビールであった。1時間程度後に、何度か猛烈に吐き気を催した。1 amに鮮赤血を吐いた(bright red blood)。患者が言うには最初は少量だったが、2回目にはかなり多い量であった。服用薬なし。時々マリファナを吸う。タバコ1日10本、アルコール2-3 unit/week
- 既往歴:特記なし
- 家族歴:特記なし
- 生活歴:
- ・身体診断
- 酔っぱらっているように見える。口の周りに乾燥した血液の付着を認める。脈拍:102/分。(臥位(lying))血圧:134/80 mmHg。立位でも血圧の変化は認められない。心血管系、呼吸器系に異常を認めず。腹部:上腹部(心窩部)にわずかに圧痛。
- ・検査
- (血液生化学)
- 異常なし
- ■解説
- (第1パラグラフ)
- もっともな診断は、下部食道もしくは胃上部における吐血を引き起こす粘膜の裂傷である(Mallory-Weiss lesion/Mallory-Weiss tear/Mallory-Weiss laceration)。激しい嘔吐やむかつきによる機械的な外傷で生じる。本症例では、なれない大量飲酒によって生じた。
- (第2パラグラフ)
- 患者の話から出血量を見積もるのは難しい。吐血はびっくりするような出来事であり、吐血の量を多く見積もりがちである。ヘモグロ分派性状であり、急性の出血では吐血量を見積もる手がかりにならない。急性期にヘモグロ分が低ければ慢性の出血をほのめかす。著しい失血の最初のサインは頻脈と起立時の血圧低下であることがある。本症例の彼の脈波速いが、これは不安と関連しているのかもしれない。
- (第3パラグラフ)
- 吐血の他の原因は胃炎か消化性潰瘍である。何度か血液を含まない胃内容物のむかつきと嘔吐の話はマロリーワイス症候群に特徴的である。この疾患は普通介入を必要としない良性の病態である。確定診断は上部消化管内視鏡を必要とするが、典型的な症例ではいつも必要になるわけではない。時に、出血がもりひどかったり、壁の解離が粘膜より深いこともあり、穿孔につながる。
- (第4パラグラフ)
- この症例の管理は注意深い観察、嘔吐で失われた体液を戻すための静脈内輸液である。出血が激しい場合には血液型検査のために採血するが、輸血は必ずしも必要ない。彼は生徒大とH2 blockerで治療された。嘔吐は収まりそれ以上の出血も見られなかった。彼は将来のパーティでは通院しすぎないように決めた。
- ■管理(内科診断学 第2版 医学書院)
- ①本疾患の大多数は安静、絶食、制酸薬・粘膜保護薬の投与で保存的に治療できる。
- ②輸血が必要なほどの貧血は稀である。
- ③内視鏡検査時に出血している症例に対しては内視鏡的止血術を行う。
- ④クリッピング法(図4-89) [図] 、純エタノール局注法、アルゴンプラズマ凝固(APC)法などさまざまあるが、いずれの方法でも良好な止血成績を得られる。
- ■鑑別診断 (内科診断学 第2版 医学書院 p.843)
- ・特発性食道破裂(ブールハーフェ症候群)
- ・逆流性食道炎
- ・食道静脈瘤破裂
- ・出血性胃潰瘍
- ・急性胃粘膜病変(AGML)
- ■KEYPOINT
- ・吐血の前の血液を伴わない激しい嘔吐とむかつきの既往は、上部消化管の裂傷を示唆する。
- ・患者は血液の量を見積もるのが困難と分かるので、吐血で失われた失血の程度は多糸かでないし、消化管の中にとどまっている血液の量は分からない。
- ・アルコールは救急入院の約1/4と直接の連関があるという研究がある。
- □マロリーワイス症候群(内科診断学 第2版 医学書院)
- 嘔吐などにより腹腔内圧が急激に上昇して噴門部近傍に裂創が発生し、これを出血源として顕出血をきたしたもの。30-50歳代の男性に多く、全消化管出血例の約3-15%を占める。 アルコール多飲が原因となることが多いが、ほかに妊娠悪阻、乗り物酔い、脳腫瘍や髄膜炎、医原性のものとしては上部消化管内視鏡検査や心肺蘇生術など、原因となるものは種々である。 ②嘔吐などにより急激に腹圧が上昇すると、急激に胃内圧が上昇し、これにより食道胃接合部近傍に裂創が生じる。
- □吐血 hematemesis (内科診断学 第2版 医学書院)
- コーヒー残渣用の吐血 melanemesis
- 鮮血の吐血 hematoemesis
- □急性胃粘膜病変 acute gastric mucosal lesion AGML
- 急性胃炎の劇症型であり、急速に起こる腹痛(時に、吐血、下血)をきたし、潰瘍・びらん・出血が混在した病態を呈する。
- 病因はアルコール、薬物(アスピリン、ステロイド)、薬品、ストレス、食物(激辛食品など)、アニサキス、中枢神経系障害、熱傷、外科手術
- ■glossary
- inebriate
- vt. (人)を酔わせる(make drunk)。~を有頂天にする
- adj. 酔っぱらいの、大酒飲みの
- n. 酔っぱらい、大酒飲み
- pint n. (液体の単位)1パイント = 1/2クオート=(米)28.8753 inch cube = 0.473 liter = (英) 0.568 liter = 約500cc
- retch
- vi. むかつく、吐き気を催す、無理に吐こうとする
- vt. 吐く
- n. むかつく。ヒック(吐き気を催すときの音)
- lager n. ラガー(ビール)(貯蔵ビール;日本の普通のビール)
- violently adj. 激しく、猛烈に
- drunk adj. (pred)酔って。(fig)酔いしれて
- epigastrium n. 上腹部、心窩部
- blood grouping 血液型判定、血液型検査
- indulge
- vt. ~にふけらせる。気ままにさせる、(子どもを)甘やかす。(欲求などを)思いのままに満たす。喜ばせる、楽しませる。
- vi. (快楽・趣味などに)ふける、身を任す(in)。(略式)たらふく食べる、痛飲する。(~に)従事する。(好ましくないことに)かかわる(in)
- □Hematemesis and Melena(Differential Diagnosis in Primary Care 4th)
- ・吐血か喀血を見分けたい場合はnitrazine paperを使って判定
- ・身体開口部(body orifice)からの出血を鑑別するとき解剖学的なアプローチがよい。
- (食道)
- ・静脈瘤、逆流性食道炎、癌腫、マロリーワイス症候群。
- ・外来異物も忘れるな。
- ・先天性まれな病因として異所性胃粘膜によるバレット食道炎と潰瘍もある。
- ・大動脈瘤、縦隔腫瘍、肺癌が食道を潰瘍化させ出血させることもある。
- (胃)
- ・炎症:胃炎と胃潰瘍。アスピリンとアルコールも良くある原因
- ・幽門部静脈瘤で出血するかもしれない
- ・出血がひどく、他の原因が見つからなければ血液疾患を検索する。
- (診断への道)
- ・吐血の確固たる証拠がある時、内視鏡をつかえる状況にあれば問診とか検査で無駄な時間を使わずに内視鏡で診断&治療をやってしまえ。
- ・血液型検査、血液のクロスマッチ?して輸血の準備、凝固能検査など鑑別に必要な検査をやりなさい。内視鏡検査の準備をしている間に、アルコール、アスピリン、そのほかの薬品の服用、潰瘍の既往、食道疾患既往を聴け
- ・ひどい出血や最近の急な吐血の既往がなければ(内視鏡を使わずに?)伝統的なアプローチでも良い
- ・吐血の前に血液を伴わない嘔吐があればマロリーワイス症候群の診断の助けとなる。
[★]
- 英
- vomiting, emesis
- ラ
- vomitus
- 関
- 悪心、嘔気 nausea、悪心・嘔吐 nausea and vomiting
概念
- 胃の内容物をはき出す現象。
- 胃または腸内容が食道を経て口腔より吐出される現象。
嘔吐中枢
嘔吐中枢の近傍に存在するもの
- 呼吸中枢、血管運動中枢、消化管運動中枢、唾液分泌中枢、前庭神経核
随伴症状
- 発汗、唾液分泌、顔面蒼白、脈拍微弱、徐脈、頻脈、血圧の動揺、めまいなど
症状の出現形式と原因の所在
噴水状、噴射状嘔吐
- projectile vomiting is where stomach contents 'shoot out' (like a fountain) to a distance sometimes many feet away.
嘔吐に関わる経路
- IMD.351
- 1. 嘔吐中枢(延髄網様体背側神経背側核近傍)への直接刺激(脳圧亢進、循環障害)
- 2. 化学受容体誘発帯(CTZ; 第四脳室底)への刺激(代謝異常や中毒による化学物質の作用) → 1.
- 3. 大脳皮質(中枢神経など高位中枢)からの入力 → 1.
- 4. 求心性迷走神経や交感神経を介する入力 → 1.
原因
小児科で遭遇する嘔吐の原因
[★]
- 英
- morning sickness
- 関
- (脱水とケトン尿を生ずれば→)妊娠悪阻 hyperemesis gravidarum、悪阻
妊娠5-6週 ~ 妊娠12週 (第2月初~第4月初)
定義
- 参考1
- 妊娠5-6週より一過性に悪心・嘔吐、食欲不振、食嗜変化などの消化器症状が出現し、妊娠12~16週頃にはほとんど消失するもの ⇔ 重症化したものが妊娠悪阻
疫学
- めざせ外来診療の達人 第3版 p.25
臨床像
- めざせ外来診療の達人 第3版 p.2
- 悪心:早朝空腹時に増悪。食事により軽快し、空腹時に増悪。食欲は落ちない。
治療
参考
- 1. 〔産科合併症とその対策〕妊娠悪阻にまつわる諸問題 - 日産婦誌50巻6号
- http://www.jsog.or.jp/PDF/50/5006-143.pdf
[★]
- 英
- morning sickness, morning vomiting, vomiting in the early morning
- 関
- 妊娠悪阻、つわり
[★]
- 英
- hyperemesis gravidarum symptoms
[★]
- 英
- pregnancy, gravidity, gestation
- 関
- 妊娠週数、妊娠期間、(妊娠週数・妊娠月数の推定)子宮#子宮の大きさ、trimester。妊婦
- 妊娠x週
- x weeks of gestation
妊娠期間 (L.107)
- 最終月経の開始から280日(40週)
- 受精後266日(38週)
妊娠に伴う自覚、検査所見
- QB必修
- 尿検査による妊娠反応陽性:4週
- つわり症状 :6週
- 胎動の自覚 :18-20週
検査
超音波検査
- QB必修
- 妊娠4週:胎囊
- 妊娠5週:胎児
- 妊娠6週:胎児心拍
- 妊娠10-12週:ドップラーによる胎児心拍
尿妊娠反応
妊娠による変化
- G10M.38 NGY.293-303
- 循環血液量増加 → 血漿量の増加が血球成分の増加より著しい → 血液希釈(赤血球数↓、Hb↓、Ht↓)
- 白血球増加(5000~12000 /ul)。多核白血球優位に増加。
- 凝固能:凝固系亢進、線溶系抑制
- 血液凝固因子:第XI因子、第XIII因子を除き、血液凝固因子の濃度が上昇
- 胃:緊張度と運動性低下。食道括約筋圧低下、妊娠子宮による胃の変異により胃食道逆流が生じやすい(→麻酔管理では妊婦はfull stomach扱い)。
- 胸郭弛緩、横隔膜挙上、気道拡張(プロゲステロンによる気管平滑筋弛緩)
- →[一回換気量]増加、[予備呼気量]減少、[残気量]減少 → 残気量が減少し、一回換気量が増加 → 分時換気量増加
-
- 食後血糖は上昇。空腹時血糖は低下する。また、食後に高インスリン血症が持続する。 (NGY.293)
- FSH, LH:非妊娠時の基礎値
- hCG:10週前後にピークとなり以降、減少。
- PRL:妊娠末期に向かって増加
妊娠によるエネルギー付加量
- NGY.324
- 日本人成人女子の生活活動強度別の栄養所要量(kcal/day)
- 妊婦 +350
- G10M.72
- 妊娠初期:50kcal
- 妊娠中期:250kcal
- 妊娠末期:500kcal
- 授乳中:450kcal
妊娠と服用薬
- 妊娠と薬情報センター - 独立行政法人 国立成育医療研究センター
- http://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html
服用薬の影響
- 4週から7週末までは器官形成期であり、催奇形性が確認されているものはワルファリン(鼻奇形、骨形成不全)、メトトレキセート(種々の奇形)、抗てんかん薬(種々の奇形)がある。(参考1)
臨床関連
届出
参考
- http://www.jsog.or.jp/activity/pdf/FUJ-FULL.pdf
[★]
- 英
- hyperemesis, emesis gravidarum
- 関
- 妊娠悪阻、つわり