- 英
- lung cancer, pulmonary carcinoma, carcinoma of lung
- ラ
- carcinoma pulmonum
- 関
- [[]]
疫学
- 肺癌 :男性の死亡率トップ
- 大腸癌:女性の死亡率トップ
組織分類
|
頻度
|
部位
|
喫煙との関係
|
特徴
|
腺癌
|
52%
|
末梢
|
胸膜に近い末梢気管支
|
|
肺胞上皮は腺癌となる
|
扁平上皮癌
|
28%
|
中枢
|
肺門に近い気管支
|
濃厚
|
胞巣状、シート状、角化
|
小細胞癌
|
13%
|
中枢
|
気管支にまとわりつくように分布
|
濃厚
|
ほとんど核からなる。未分化癌。神経物質を出す。ロゼット構造、神経上皮の構造を取る。
|
大細胞癌
|
5%
|
末梢
|
末梢にあって境界明瞭に丸く分布
|
|
扁平上皮に似て扁平状。細胞質が大きい
|
悪性中皮腫
|
|
|
中皮(胸膜が増殖)
|
|
|
-
HIM.551
Table 85-1 Frequency, Age-Adjusted Incidence, and Survival Rates for Different Histologic Types of Lung Cancer
|
Histologic Type of Thoracic Malignancy
|
Frequency, %
|
Age-Adjusted Rate
|
5-Year Survival Rate (All Stages)
|
adenocarcinoma
|
32
|
7
|
17
|
bronchioloalveolar carcinoma
|
3
|
1.4
|
42
|
squamous cell carcinoma
|
29
|
15
|
15
|
small cell carcinoma
|
18
|
9
|
5
|
large cell carcinoma
|
9
|
5
|
11
|
carcinoid
|
1
|
0.5
|
83
|
mucoepidermoid carcinoma
|
0.1
|
<0.1
|
39
|
adenoid cystic carcinoma
|
<0.1
|
<0.1
|
48
|
sarcoma and other soft tissue tumors
|
0.1
|
0.1
|
30
|
all others and unspecified carcinomas
|
11
|
6
|
NA
|
Total
|
100
|
52
|
14
|
肺癌の組織型と特徴
|
腺癌
|
扁平上皮癌
|
小細胞癌
|
性
|
男女共
|
男性
|
男性
|
年齢
|
若年者~高齢者
|
高齢者
|
高齢者
|
喫煙
|
喫煙者~非喫煙者
|
重喫煙者
|
重喫煙者
|
発生部位
|
肺葉末梢部
|
肺門部
|
様々
|
症状(早期)
|
出にくい
|
出やすい
|
出やすい
|
レントゲン診断
|
比較的容易
|
早期では困難
|
容易
|
抗癌剤の反応
|
比較的悪い
|
比較的悪い
|
良い
|
画像所見 SRA.296
|
部位
|
単純XP
|
CT/MRI
|
コメント
|
肺癌
|
頻度:肺門型≒肺野型 右肺:60%、左肺:40% 上肺野:60%、下肺野:30%、中肺,舌区:10%
|
4cm以上の腫瘤は悪性が多い 石灰化は稀 ダブリングタイムは120日
|
|
成人の肺野の腫瘤の30%が肺癌 50歳以上に限ると50% 40-70歳にみられ50歳が最多で60歳がこれに次ぐ
|
扁平上皮癌
|
亜区域気管支以上の太い気管支から発生することが多い 腫瘤が気管支内腔に露出する 20%は肺野型、その1/3で空洞形成 パンコースト腫瘍は扁平上皮癌で多い
|
肺門部腫瘤(凸凹やノッチを示す類円形) 二次変化を伴う 空洞をみることあり 空洞は壁厚く不規則で内面凹凸有り 肺野型では初期には辺縁不鮮明な浸潤性の腫瘤 増大すると辺縁が明瞭となり不整な輪郭を示す。
|
|
|
腺癌
|
20% 肺野型が多い 1/4が肺門部に発生
|
辺縁不整(スピキュレーション) 不明瞭(不整) 大きくなると分葉上の輪郭で比較的辺縁明瞭に 空洞は稀 胸膜陥入
|
CT検診で発見される小型は胃癌の多くは高分化腺癌である (野口分類ではタイプA,B,Cなど、細気管支肺胞上皮癌)
|
|
進展度分類
- 参考3 YN.I-97
T
|
N
|
M
|
Tis
|
上皮内癌
|
N0
|
リンパ節転移無し
|
M0
|
遠隔転移無し
|
T1
|
T1a
|
腫瘍径 ≦20mm
|
N1
|
同側肺門リンパ節転移
|
M1a
|
悪性心嚢水、胸膜播種、対側肺への転移
|
T1b
|
腫瘍径 ≦30mm
|
N2
|
同側縦隔リンパ節転移
|
M1b
|
胸腔外転移
|
T2
|
T2a
|
腫瘍径 30< ≦50mm or 胸膜浸潤有り。
|
N3
|
対側縦隔リンパ節または対側肺門リンパ節、斜角筋前リンパ節、鎖骨上窩リンパ節への転移
|
|
T2b
|
腫瘍径 50< ≦70mm
|
|
T3
|
腫瘍径 70mm < 、胸壁・横隔膜・心膜・縦隔胸膜への浸潤、気管分岐部<20mm、一側全肺の無気肺
|
T4
|
縦隔、心臓、大血管、期間、反回神経、食道、椎体、気管分岐部、同側の異なった肺葉内の腫瘍結節
|
病期分類
- 参考3
|
N0
|
N1
|
N2
|
N3
|
T1
|
T1a
|
IA
|
IIA
|
IIIA
|
IIIB
|
T1b
|
IA
|
IIA
|
IIIA
|
IIIB
|
T2
|
T2a
|
IB
|
IIA
|
IIIA
|
IIIB
|
T2b
|
IIA
|
IIB
|
IIIA
|
IIIB
|
T3
|
IIB
|
IIIA
|
IIIA
|
IIIB
|
T4
|
IIIA
|
IIIA
|
IIIB
|
IIIB
|
M1
|
IV
|
IV
|
IV
|
IV
|
内視鏡的早期肺癌
- 早期肺癌の内視鏡的診断基準及び内視鏡的所見については、肺癌取扱い規約2003年10月【改訂第6版】
症状 HIM.553-554
- 早期に咳嗽、痰、血痰、胸痛、呼吸困難、喘鳴など。閉塞性肺炎、無気肺を合併しやすい。
- 1) ACTH分泌によるクッシング症候群、SIADH、カルチノイド症候群、高カルシウム血症、女性化乳房などの内分泌症状、
- 2) 神経症状(脳・小脳症状)、Lambert-Eaton症候群、
- 3) skeltal-connective tissue syndrome:ばち状指、皮膚筋炎など
- バチ指:半数以上の例で見いだされる(CBT QB vol3 p.311)。非小細胞扁平上皮癌で30%の症例で(HIM.554)。
- pulmonary osteoarthropathyが1-3%の症例で見いだされる。
- 骨膜炎、痛みを伴うバチ指、圧痛、swelling over the affected bones and a positive bone scan
- 4) neurologic-myopathic syndromes:1%の症例で見いだされる。
- 小細胞癌:イートン・ランバート症候群、retinal blindness
- (省略 see HIM.554)
- 皮膚筋炎、acanthosisは希(1%)
- 腎症状や糸球体腎炎も希(≦1%)
内分泌症状
- 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)
- 抗利尿ホルモン、バソプレシン類似物質を産生→水分保持→Na濃度低下→Na<120mEq/Lで昏睡、全身痙攣の恐れ。 ←基準:136-145mEq/l
- 高カルシウム血症
- PTHrPの過剰産生→血清Ca↑→血清Ca≧15mg/dlで傾眠、筋力低下、腹痛、便秘 ←基準:8.6-10.1 mg/dl
- 白血球数増加
- 女性化乳房
検査
初期検査
- 胸部X線写真
- 胸部X腺CT
- 喀痰細胞診 ← 中心型早期肺癌で有用
確定診断の為の検査
- 経気管支生検
- 経皮生検(CTガイド化肺生検、超音波ガイド化肺生検)
- 胸腔鏡下生検
気管支内視鏡
- 気管支や太い気管支内の病変の観察、検体の採取に有用。喫煙者で血痰場ある場合、太い気管支に腫瘍病変がある可能性が高く、出血部位を確認し、政権できる可能性が高いため、有用であ
る。
細胞診
- 喀痰細胞診、擦過細胞診、穿刺吸引細胞診、洗浄細胞診。染色はパパニコロ染色で行う。陽性率は低いが、胸部X線で異常を呈さない早期肺癌にも有用。肺野末梢発生の肺癌には経気管支擦過細胞診、洗浄細胞診を施行。(SPU.329)
- 喀痰細胞診
腺癌
|
濃染下核を持つN/C比の大きい大きな細胞が集塊をなす。腺上皮の特徴である粘液産生、管腔の形成、核の偏在が見られない。
|
扁平上皮癌
|
好酸性の広い細胞質(オレンジ)が扁平上皮への分化を示唆、緑色の細胞質を大きな核を有する細胞が悪性を示唆。
|
小細胞癌
|
裸核上の小型類円形細胞が鋳型形成(木目込み模様)を伴う一列縦帯を呈する。
|
カルチノイド
|
比較的均一な類円形細胞が粗な結合を示しながら平面的に配列
|
大細胞癌
|
除外診断
|
- http://www42.atwiki.jp/galeos/pages/135.html
- 細胞診の一つの手法である。
- 末梢の癌を調べるのに有用
腫瘍マーカー
腫瘍マーカー
|
陽性率(疾患があるときに陽性となる確率)
|
肺癌
|
|
その他の疾患
|
備考
|
扁平上皮癌
|
腺癌
|
小細胞癌
|
CYFRA21-1
|
57.5%*
|
70-80%/73.1%*
|
30-40%
|
30-40%
|
良性疾患:10-15%
|
|
SCC
|
|
○
|
|
|
子宮頸癌、食道癌、皮膚癌
|
|
CEA
|
40-50%
|
|
50-60%
|
|
|
|
SLX
|
70%*
|
|
0.4
|
|
肝硬変
|
|
NSE
|
10-30%
|
|
|
70-90%
|
|
|
proGRP
|
|
|
|
70-90%/65.1%*
|
|
NSEより上昇率が高く、特異性に優れる
|
KL-6
|
|
○
|
|
|
肺腺癌、膵癌、乳癌で40-50%。間質性肺炎の補助診断
|
|
無印:標準呼吸器病学 第1版 p.327。* 臨床検査学第32版 p.634
|
肺癌の腫瘍マーカー(出典不明)
SCC (Squamous Cell Carcinoma related antigen)
多くの扁平上皮癌が産生するタンパク質。肺の扁平上皮癌陽性率60%
CYFRA(サイトケラチン19フラグメント)
肺扁平上皮癌で大量かつ高頻度に検出される。偽陽性率が低く、感度は41~65%である。
肺腺癌に比較的特異的なマーカーである。偽陽性率を下げるためには糖鎖が分化抗原であることを考慮して、未熟型抗原であるシアリルSSEA-1抗原と成熟型抗原であるシアリルⅠ抗原を調べ、比をとれば良い。比が高ければ癌である。
もとは大腸癌のマーカーとして導入されたが、肺癌でも50%で陽性である。腫瘍完全切除後2週間で正常化し、再発すると再び上昇してくるので経過を追うのに良い。
NSE、Pro-GRP
これら二つのマーカーは神経内分泌組織で産生される。小細胞癌は神経内分泌腫瘍としての性格を有しており、また他の肺癌では見られないマーカーなので、これらのマーカーは小細胞癌に特異性が高い。
各論
扁平上皮癌
- 肺門部発生が多い。
- 病理:角化、細胞間橋を認める。癌真珠。
- 組織型:高分化型、中分化型、低分化型
小細胞癌 SPU.322
- 肺門部の中枢気管支発生が多い。気管支の粘膜下に沿って増殖浸潤する。
- 病理:小型。N/C比が高い。壊死像あり。腫瘍間質少ない。血管に富む。リボン状配列、ロゼットの形成。
- 組織型:燕麦細胞型、中間細胞型
- 免疫組織化学:神経特異エノラーゼ(NSE)、Leu7
-
腺扁平上皮癌 (NEW外科学改訂第2版 p.343)
- 組織像に腺癌と扁平上皮癌を少なくとも20%認めるもの
- 頻度は2-3%
- 予後はきわめて不良
治療
治療方針
非小細胞癌
- 手術適応外:IIIA期のうち縦隔リンパ節が腫大している場合(bulky N2)、遠隔転移、癌性胸水、全身状態不良、N3(対側縦隔リンパ節または対側肺門リンパ節、斜角筋前リンパ節、鎖骨上窩リンパ節への転移)
- IIIB期以降:化学療法、放射線療法
小細胞癌
- I-II期:手術適応。術前・術後に化学療法を追加することが多い。 (SSUR.349)
- IIIA期以上は手術適応なし。化学療法(あるいは放射線療法との併用)の適応。 (SSUR.349)
非小細胞癌
-
- CP療法:シスプラチン、パクリタキセル
- CD療法:シスプラチン、ドセタキセル
- CV療法:シスプラチン、ビンクリスチン
- 放射線療法の線量:通常分割照射法(1日1回1.8-2Gy週5回法)で、最低合計線量60Gyとする。(参考4)
- ECOGのPSによって治療の選択肢が多少異なる。PS0-2では通常の抗悪性腫瘍薬が使用できるが、PS3-4では使用が推奨されない。
- EGFR遺伝子変異陽性例であればゲフィチニブは使用できるが、陰性例では使用できない。
分子標的薬
小細胞癌
- PEとPIの有意差無し。日本ではPI療法がよく使われている。
- PE療法:シスプラチン+エトポシド(VP-16, トポイソメラーゼを阻害)
- PI療法:シスプラチン+イリノテカン(CPT-11, トポイソメラーゼを阻害)
- AMR:アムルビシン
転移
他臓器への転移
- 癌腫:結腸、直腸癌(大腸癌)、乳癌、頭頚部腫瘍(扁平上皮癌)、腎癌、精巣腫瘍、甲状腺癌、胃癌
- 肉腫:骨肉腫
予後
参考1
- 第50回日本呼吸器学会学術講演会
- 肺癌登録合同委員会による報告。
- 全国から18552人が登録、予後が把握できた14695人について解析。
年生存率
|
生存率(%)
|
1年生存率
|
73
|
2年生存率
|
59
|
3年生存率
|
51
|
4年生存率
|
47
|
5年生存率
|
44
|
臨床病期別5年生存率
|
5年生存率(%)
|
IA期
|
79
|
IB期
|
56
|
IIA期
|
47
|
IIB期
|
42
|
IIIA期
|
29
|
IIIB期
|
16
|
IV 期
|
6
|
SSUR.350
- 日本で1999年に切除された13344例。日本は胃癌学会と日本呼吸器外科学会の合同調査報告
5年生存率
|
5年生存率(%)
|
臨床病期
|
病理病期
|
IA期
|
77
|
83.3
|
IB期
|
60.1
|
66.4
|
IIA期
|
53.8
|
60.1
|
IIB期
|
43.6
|
47.2
|
IIIA期
|
38
|
32.8
|
IIIB期
|
33.6
|
30.4
|
IV 期
|
27
|
23.4
|
組織別
- 予後:(良好)腺癌 > 扁平上皮癌 > 大細胞癌 > 小細胞癌 > 腺扁平上皮癌
参考2
- 非小細胞癌 NSCLC:stage IAで平均生存期間59ヶ月、stage IVでは4ヶ月
- 小細胞癌 SCLC:limited stage diseaseで平均生存期間は15-20ヶ月で5年生存率は10-13%、extended stage diseaseでは平均生存期間は8-13ヶ月で5年生存率は1-2%
予後因子
- SPU.332
宿主因子
腫瘍細胞因子
肺CTスクリーニングの基準
参考
- http://pulmonary.exblog.jp/12548030/
- 2. [charged] Overview of the initial evaluation, treatment and prognosis of lung cancer - uptodate [1]
- 3. New TNM Classification for Lung Cancer - Part I: The changes
- http://www.doctorslounge.com/index.php/articles/page/340
- 4. 肺癌診療ガイドライン(2010年版) 2010.10.21【非小細胞肺癌】肺尖小部胸壁浸潤、Ⅲ期非小細胞肺癌・切除不能例
- http://www.haigan.gr.jp/uploads/photos/322.pdf
- 5. 肺癌診療ガイドライン(2010年版) 2010.10.21【非小細胞肺癌】Ⅳ期未治療非小細胞肺がん
- http://www.haigan.gr.jp/uploads/photos/323.pdf
肺癌診療ガイドライン(2010年版) - 日本肺癌学会
- http://www.haigan.gr.jp/modules/guideline/index.php?content_id=3
- 5. 肺尖小部胸壁浸潤、III期非小細胞肺癌・切除不能例
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/10/29 15:03:34」(JST)
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肺癌(はいがん、Lung cancer)とは肺に発生する、上皮細胞由来の悪性腫瘍。90%以上が気管支原性癌 (bronchogenic carcinoma) 、つまり気管支、細気管支あるいは末梢肺由来の癌である。国際肺癌学会によれば、肺癌は世界的に最も致死的ながんであるが、その理由の1つは、多くの場合発見が遅すぎて効果的な治療を行うことができないことであり、早期に発見された場合は手術か放射線治療でその多くを治癒することができる[1]。
肺癌のデータ |
ICD-10 |
C33-C34 |
統計 |
出典: |
世界の患者数 |
|
世界の死亡者数 |
1,300,000人
(2005年)[2] |
日本の新規患者数 |
83,881人
男性58,264人
女性25,617人
(2005年) |
日本の死亡者数 |
62,063人
男性45,189人
女性16,874人
(2005年)[3] |
学会 |
日本 |
日本肺癌学会 |
世界 |
世界肺癌学会 |
この記事はウィキプロジェクトの雛形を用いています |
Lung cancer |
分類及び外部参照情報 |
がんに冒された肺
|
ICD-10 |
C33.-C34. |
ICD-9 |
162 |
DiseasesDB |
7616 |
MedlinePlus |
007194 |
eMedicine |
med/1333 med/1336 emerg/335 radio/807 radio/405 radio/406 |
MeSH |
D002283 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
目次
- 1 疫学
- 2 要因
- 2.1 アスベスト・喫煙による肺がん増加要因の推察
- 3 組織
- 3.1 小細胞肺癌
- 3.2 非小細胞肺癌
- 3.3 その他
- 3.4 転移性肺癌
- 4 臨床像
- 5 検査
- 6 病理診断
- 7 治療
- 7.1 小細胞肺癌(SCLC)
- 7.2 非小細胞肺癌(NSCLC)
- 8 予防
- 9 肺癌に関連する著名人
- 10 脚注
- 11 参考文献
- 12 関連項目
- 13 参考
疫学[編集]
WHOによる2004年における10万人毎の肺がんによる死亡者数(年齢標準化済み)
0 データなし
0 5以下
0 5-10
0 10-15
0 15-20
0 20-25
0 25-30
0 30-35
0 35-40
0 40-45
0 45-50
0 50-55
0 55以上
WHOの試算[2]では、肺癌による死亡者数は全がん死の17%を占め最も多く、世界中で年間130万人ほどがこの疾患で死亡している。日本では2005年の統計で、全がん死の19%を占め、男性では全がん死の中で最も多く、女性では大腸癌(結腸がんおよび直腸がん)・胃癌に次いで3番目を占めている[3]。
西側諸国では、肺癌は癌患者数の第二位に位置し、男性でも女性でもがん死のトップである。西側諸国では男性の肺癌死亡率は低下傾向であるが、女性の喫煙者グループの増大とともに肺癌死も増加している。
要因[編集]
- 喫煙と肺がん
最大の原因は喫煙である[4]。喫煙を開始する年齢が低ければ罹患する可能性が増し、また自分が喫煙しなくとも周りの人が喫煙すれば肺がんになる可能性が20-30%高くなると言われる[4]。1日あたりの喫煙するタバコの本数と喫煙している年数をかけ合せた数字(喫煙指数)が600以上の人は肺がんの高危険群である[5]。概して喫煙者の肺がん死亡リスクは非喫煙者の4倍から5倍、それも喫煙量が1日あたり20本以上なら10倍以上であり、喫煙開始年齢が低いとさらに増加することは前述の通りである[5]。
- ラドン
ラドンは多くの国で喫煙に次ぐ第2位の肺がんの原因であり、全ての肺がんの3~14%がラドンに起因すると推測されている。ラドンの肺がんリスクは、ラドンの濃度が高いほど大きい。しかし、多数の人々が家庭内で低濃度の屋内ラドンにさらされているため、実際にラドンによって誘発される肺がんは、高濃度のラドンではなく、むしろ低~中濃度のラドンによるものの方が多いとされる。[6]
特殊な職業に携わる人はアスベスト[4][5]、クロム[5]による肺がんに罹患することがある[5]。その他の原因には大気汚染[5][4]、放射線[7]、遺伝的感受性[7]、ウイルス[7]、食事の欧米化が挙げられてはいるが疫学的に確かな証明はない[5]。
アスベスト・喫煙による肺がん増加要因の推察[編集]
岡山大学教授の中村栄三は自身の専門である地球化学的手法を適用し、次のように報告している。アスベスト吸入や喫煙によって、肺内で含鉄タンパク質小体が形成される。この含鉄タンパク質が海水中のラジウム(Ra)の100万倍から1000万倍という濃度のラジウムホットスポットを形成する。226Raが崩壊すると222Rnとなるが、フェリチン中のフェリハイドライト構造中で発生したラドン(Rn)は呼気によって体外に逃げないため、222Rn (3.8日), 218Po (3分), 214Po (0.16ミリ秒)といった崩壊系列による連続的なアルファ線を体内で浴びる事になる。[8]。
組織[編集]
肺癌は治療の方向性から、大きく「小細胞肺癌:SCLC = small cell lung cancer」と「非小細胞肺癌:NSCLC = non-small cell lung cancer」に大別されて扱われる。
小細胞肺癌[編集]
小細胞肺癌は肺癌の20%程度を占める。喫煙との関連性が大きいとされ、中枢側の気管支から生ずることが多い。悪性度が高く、急速に増大・進展し、またリンパ行性にも血行性にも早いうちから脳などの他臓器に転移しやすいため、発見時すでに進行がんである事が多い。がん遺伝子としては L-myc が関わっている。免疫染色によるマーカーの同定や電子顕微鏡撮影により、カルチノイドなどと同じく神経内分泌上皮由来であることがつきとめられている。診断時に既に転移が見られることが多いため、化学療法、放射線療法が行われることが多い。放射線療法、化学療法に対して比較的感受性があるものの、多くは再発するため予後はあまり良くない。しばしばランバート・イートン症候群(Lambert-Eaton syndrome; LEMS)などの傍腫瘍症候群を合併する。血液検査では、ProGRPや神経特異的エノラーゼ (NSE) が腫瘍マーカーとなる。時に副腎皮質刺激ホルモンや抗利尿ホルモンなどのホルモンを分泌することがあり、クッシング症候群や抗利尿ホルモン不適合分泌症候群 (SIADH) の原因となる。
非小細胞肺癌[編集]
以下の3組織亜型があり、治療上の観点から一括して総称される。
- 肺扁平上皮癌
- 肺扁平上皮癌(はいへんぺいじょうひがん、Squamous cell carcinoma)は、気管支の扁平上皮(英語版)(厳密には扁平上皮化生した細胞。生理的には、扁平上皮は気道においては口腔や声帯など上気道の一部の細胞であり、正常な下気道のどこにも扁平上皮は存在しない)から発生する癌。喫煙との関係が大きく、中枢側の気管支から生ずることが多い。喀痰細胞診では、パパニコロウ染色にて扁平上皮細胞から分泌されたケラチンがオレンジに染まることが特徴的である。病理組織学的検査では、扁平上皮細胞の球から内側に分泌されたケラチンが纏まり真珠のように見られることがあり、癌真珠とよばれる。血液検査ではSCC、CYFRA(シフラ)が腫瘍マーカーとなる。
- 肺腺癌
- 肺腺癌(はいせんがん、Adenocarcinoma)は、肺の腺細胞(気管支の線毛円柱上皮、肺胞上皮、気管支の外分泌腺など)から発生する癌。発生部位は肺末梢側に多い。喫煙とも関連するが、非喫煙者の女性に発生する肺癌は主にこの型である。病理組織学的には、がん細胞は腺腔、乳頭状、微小乳頭状、充実性構造を作る。血液検査ではCEA(癌胎児性抗原)、SLX(シアリルルイスX抗原)などが腫瘍マーカーとなる。
- 細気管支肺胞上皮癌
- 細気管支肺胞上皮癌(さいきかんしはいほうじょうひがん、Bronchioloalveolar carcinoma; BAC)は肺腺癌の亜型で、形態学的に細気管支上皮・肺胞上皮に類似した高分化腺癌である。全肺癌の3-4%を占める[9]。他の非小細胞肺癌と比較すると若年者、女性に多く、進行は比較的緩徐で喫煙との関連が薄い[10][11]。
- 肺大細胞癌
- 肺大細胞癌(はいだいさいぼうがん、Large cell carcinoma)は、扁平上皮癌にも腺癌にも分化が証明されない、未分化な非小細胞肺癌のことである。発育が早く、多くは末梢気道から発生する。
新しい肺腺癌分類試案[編集]
IASLC/ATS/ERS Classification of Lung Adenocarcinoma in Resection Specimens[12]
- Preinvasive lesions
- Atypical adenomatous hyperplasia
- Adenocarcinoma in situ (≤3 cm formerly BAC)
- Nonmucinous
- Mucinous
- Mixed mucinous/nonmucinous
- Minimally invasive adenocarcinoma (≤3 cm lepidic predominant tumor with ≤5 mm invasion)
- Nonmucinous
- Mucinous
- Mixed mucinous/nonmucinous
- Invasive adenocarcinoma
- Lepidic predominant (formerly nonmucinous BAC pattern, with >5 mm invasion)
- Acinar predominant
- Papillary predominant
- Micropapillary predominant
- Solid predominant with mucin production
- Variants of invasive adenocarcinoma
- Invasive mucinous adenocarcinoma (formerly mucinous BAC)
- Colloid
- Fetal (low and high grade)
- Enteric
BAC, bronchioloalveolar carcinoma; IASLC, International Association for the Study of Lung Cancer; ATS, American Thoracic Society; ERS, European Respiratory Society.
その他[編集]
カルチノイド (carcinoid tumor) 、円柱腫 (cylindroma) 、粘表皮癌 (mucoepidermoid carcinoma) など。
転移性肺癌[編集]
全身から右心系に集まってきた血液が肺へ送られるため、肺以外の原発巣からの血行性転移の好発部位となる。肺腫瘤影が多発する場合、転移性肺癌が疑われる。ただし原発性肺癌のみを「肺癌」と呼び、転移性肺癌を含めない使い方もある。
臨床像[編集]
肺内の気道粘膜の上皮は、たばこの成分などの、発癌性物質に曝露されると速やかに、小さいながらも変異を生じる。このような曝露が長期間繰り返し起こると、小さな変異が積み重なって大きな傷害となり、遂には組織ががん化するに至る。腫瘍が気管支腔内へ向かって成長すれば気道は閉塞・狭窄(きょうさく)し、場所と程度によってはそれだけで呼吸困難を起こす。気道が完全に閉塞すれば、そこより末梢が無気肺となり、細菌の排出が阻害されることにより肺炎を生じやすくなる(閉塞性肺炎)。また、腫瘍の血管はもろく出血しやすいため、血痰を喀出するようになる。一方、気管支の外側への腫瘍の成長は、他の臓器に転移するまでは、それ自体による身体的症状を起こしにくい。
一般的な症状は、血痰、慢性的な激しい咳、喘鳴(ぜんめい)、胸痛、体重減少、食欲不振、息切れなどであるが、進行するまでは無症状であることが多い。
検査[編集]
肺癌は、検診等で偶然撮影した、あるいは何か症状があって撮影した胸部レントゲン写真・CTで異常影が認められ、疑われることが多い。肺癌の検査には、胸部異常影が肺癌であるかどうかの確定診断のための検査と、肺癌の病期(広がり)を決定し治療方針を決めるための検査がある。
- 腫瘍マーカー
- CEA、SCC、CYFRA、ProGRP、NSEなどの高値は癌が存在する可能性を示唆する。また、治療後の効果を推定する補助となり得る。
- 喀痰検査
- 喀痰細胞診で癌細胞が検出されれば、肺癌の可能性が非常に高い。逆に肺癌があるとき細胞診検体に癌細胞が出現しないことも多い。
- CT
- 肺腫瘤がスピクラ (spicula) 、胸膜陥入像、ノッチを伴う場合、肺癌の可能性が高い。また肺門・縦隔リンパ節腫大の有無、胸水の有無は肺癌の病期確定に関与する。
- 気管支鏡検査 (bronchoscopy)
- 気管支に内視鏡を挿入することで、中枢気管支を観察し、生検を行う。ただし、気管支鏡は太さが4-6 mm 程度あるため挿入できる範囲が限られ、肺癌が肺末梢に存在する場合異常を観察できないことが多い。その場合、経気管支生検 (Transbronchial biopsy; TBB)、経気管支擦過、気管支洗浄などの方法で肺末梢から病理診断検体や細胞診検体を採取し、肺癌の確定診断を行なう。
- また、蛍光気管支鏡(AFB:Autofluorescence Bronchoscopy)や気管支腔内超音波断層法(EBUS:endobronchial ultrasonography)等によって極早期の肺癌の発見が可能となっている。
- 経皮肺針生検
- CTを撮影しながら針を直接経皮的に肺腫瘤に突き刺し生検を行い、病理学的に確定診断を行なう。
- 胸水細胞診
- 原因不明の胸水がある場合、胸腔穿刺にて胸水検体を採取し、細胞診が行われることがある。
- PET
- 核種で標識したブドウ糖を点滴静注し (18FDG-PET)、その集積をみることで肺腫瘤が癌かどうか、リンパ節および全身に転移がないかどうか推定できる。病期診断に用いる。
- MRI、骨シンチグラフィ
- 脳転移や骨転移の有無をみる。病期診断に用いる。
病理診断[編集]
小生検/細胞診における腺癌診断のアルゴリズム[13]
第一段階:明らかな腺癌 adenocarcinoma (ADC)あるいは扁平上皮癌 squamous carcinoma (SQCC)が認められる場合は、そこで診断が確定する。神経内分泌形態が認められる場合、腫瘍は「小細胞癌」small cell carcinoma (SCLC) あるいは「非小細胞癌おそらく大細胞神経内分泌癌」non-small cell lung carcinoma (NSCL), probably large cell neuroendocrine carcinoma (LCNEC)に分類される。これ以外のものは非小細胞癌NSCL-NOSに分類される。 第二段階:非小細胞癌NSCLC-NOSは、さらに免疫染色(TTF-1, p63, CK5/6)、粘液染色(DPAS or mucicarmine)、分子情報により以下のように分類される。
- NSCLC, favor ADC
- NSCLC, favor SQCC
- NSCLC-NOS, possibly adenosquamous carcinoma
- NSCLC-NOS
EGFR mutation testingは、古典的腺癌、NSCLC, favor ADC, NSCLC-NOS, NSCLC-NOS, possible adenosquamous carcinomaに実施すべきである。
IASLC/ATS/ERSコンセンサス会議における病理学的推奨事項[14] 1)BACという用語の使用を控える 2)小型(≤3cm)で、純粋なLepidic growthを示す孤立性腺癌を上皮内腺癌adenocarcinoma in situ(AIS)と呼ぶ。完全に切除されれば患者の生存は100%である。AISの大部分はnon-mucinous である。 3)小型(≤3cm)で、Lepidic growth優位、浸潤巣≤0.5cmの腺癌を微小浸潤腺癌 Minimally invasive adenocarcinoma (MIA)と呼ぶ。完全に切除されれば患者の生存はほぼ100%である。MIAの大部分はnon-mucinousである。 4)浸潤性腺癌は、準定量的に組織パターンを評価し、優位パターンに基づいて分類する。 5)腺癌が多発している場合、組織パターンの徹底的な評価が、転移か同時・異時性重複癌かの決定に役立つ。 6)かつて混合型と分類されていたnon-mucinous BAC優位の腺癌は、lepidic predominant adenocarcinoma (LPA)という用語の使用を推奨する 7)早期腺癌における micropapillary predominant adenocarcinoma という分類は予後不良を意味するため、使用が推奨される。 8)かつてmucinous BACと分類されていた腺癌は、lepidic growth と浸潤性増殖の程度により mucinous AIS, mucinous MIA, invasive mucinous adenocarcinoma のいずれかに分類すべきである。 9)生検で認められる非小細胞癌は、可能なかぎり腺癌か扁平上皮癌に分類すべきである。
治療[編集]
肺癌の中でも小細胞肺癌は他の組織型と生物学的な性格が大きく異なるため、小細胞肺癌とそれ以外の組織型を併せた非小細胞肺癌の二つに大別して治療方法が選択される。
- 小細胞肺癌(Small cell lung cancer:SCLC ―― 肺癌の約20%)
- 非小細胞肺癌(Non-small cell lung cancer:NSCLC ―― 肺癌の約80%)
肺癌の治療はその癌の増殖状態と患者の状況(年齢など)に依存する。普通実施される治療は、外科手術、化学療法そして放射線療法である。また、極めて早期の肺門中心型早期肺癌に対しては、光線力学的治療(PDT)が行われる。
小細胞肺癌(SCLC)[編集]
小細胞肺癌は、基本的に発育が早いため、ほとんど発見時には進行性である場合が多い。また、CTなどの画像検査上限局しているように見えても検出できない程度の微少転移が既に存在していることがほとんどである。そのため手術や放射線療法などの局所治療の効果は極めて限定的であり、化学療法が治療の中心となる。 治療法の違いにより病期は2つに分類される。
- 限局型 (Limited disease: LD)
- Stage Ia期(リンパ節、周囲臓器への浸潤及び転移が認められない)に限っては手術療法が検討されるが、その時期で発見される場合は少ない。その他の場合は化学療法+胸部放射線療法を同時併用する。奏功例に対しては脳転移再発予防のため予防的放射線全脳照射(prophylactic cranial irradiation; PCI)が行われる。
- 進展型 (Extended disease: ED)
- 放射線治療の適応は無く全身化学療法(以下が主なレジメン)が主な治療となる。
- PE療法:CDDP(シスプラチン)+VP-16(エトポシド)
- PI療法:CDDP(シスプラチン)+CPT-11(イリノテカン)
- AMR療法:アムルビシン
- 初回治療においてはPE療法が標準治療とされている。ただし日本で行われた臨床試験ではPI療法の方が良好な成績であったため、PI療法が使われることが増えてきている。[15]しかし、海外で行われたPI療法の追試ではPE療法と比較して優位性は証明されなかった。
- 現在欧米では感受性再発症例ではノギテカン単剤投与が標準治療とされている。ノギテカンの奏効率は10%前後に過ぎず、再発例におけるアムルビシンの有効性が現在検討されつつある。[16]
非小細胞肺癌(NSCLC)[編集]
非小細胞肺癌では、stageIII期までは手術療法が検討される。一方、stage IV以上の臨床病期では手術の適応となることは乏しく、化学療法、放射線療法が治療の主体となる。
- 化学療法
- 進行非小細胞肺癌の初回治療では白金製剤を含む2剤併用化学療法が推奨されている。以下に主なレジメンを示す。
- CDDP(シスプラチン)+DTX(ドセタキセル)
- CDDP(シスプラチン)+VNR(ビノレルビン)
- CBCDA(カルボプラチン)+PTX(パクリタキセル)
- CDDP(シスプラチン)+GEM(ゲムシタビン)
- CDDP(シスプラチン)+CPT-11(イリノテカン)
- CDDP or CBCDA+PEM(ペメトレキセド)
- 近年は、後述のように組織亜型に合わせて異なるレジメンを用いることが提唱されており、そのため前述のように生検段階での亜型確定診断が強く求められてきている。
- 扁平上皮癌は、それ以外の非小細胞肺癌と異なりペメトレキセドなどの葉酸拮抗薬に対する感受性が乏しい[17]。また、非小細胞肺癌のうち上皮成長因子受容体(EGFR)の遺伝子変異(エクソン19 21等)がある症例(多くは 女性・非喫煙者・腺癌)では、分子標的治療薬のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬のゲフィチニブ(イレッサ®)・エルロチニブ(タルセバ®)で高い奏功率が報告されており、第一選択で施行されることも多い。扁平上皮癌ではEGFRが変異していることは少ない一方で、血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)が変異していることが多い(逆に、腺癌や大細胞癌ではVEGFRの変異が少ない)ので、抗VEGFモノクローナル抗体のベバシズマブ(アバスチン®)が分子標的治療に用いられる。これらの分子標的治療薬は、間質性肺炎等の重篤な副作用があることに注意して施行される。
- 放射線療法
- 高齢、内科的合併症などにより手術不能非小細胞肺癌に対しては、放射線治療が標準治療として行われてきた。
- 合併症による手術不能I期非小細胞肺癌に対し、先端医療技術としてラジオ波焼灼術 (Radiofrequency Ablation) や定位手術的放射線治療 (Stereotactic Radiotherapy)、粒子線治療 (Ion Beam Therapy) を施行する施設もある。一部の報告では、低侵襲で、手術療法に匹敵する成績が報告されている。しかし、長期成績や、臨床試験の成績報告は乏しく、今後の手術療法との比較の臨床試験の結果が待たれる。
- カテーテル治療(血管内治療)
- 手術・放射線・抗癌剤治療などの標準治療を終了したが、それ以上の効果が見込めず疼痛コントロールなどの対症療法しか残されていない肺癌患者に対し、一部の施設でカテーテル治療が実施されている。腫瘍の栄養血管に対し、マイクロカテーテルを用いて超選択的に少量の抗癌剤を注入したり、塞栓物質を注入ないし留置したりする方法である。十分なエビデンスはまだ蓄積されていないが、著効例も報告されており今後の発展と症例の蓄積が望まれる。
- 治療対象は、非小細胞癌・小細胞癌を問わず、また転移性肺腫瘍も治療可能である。
- 以下、重複する点があるがまとめると、この治療法の利点は、低侵襲であること、短期入院で済むこと、標準治療を終えた方でも治療できる可能性があることである。また欠点はエビデンスが確立していないこと、実施施設が少ないことなどである。
予防[編集]
費用対効果の高い肺癌対処法として、予防計画が地域単位更には地球規模で策定されている。少なからぬ国家において、喫煙が許される場所を制限しているが、それでもなお様々な場所で喫煙が行われているのが実情である。喫煙の除去は肺癌予防のための闘いの第一目標であり、おそらく受動喫煙防止はこのプロセスにおいて最も重要な予防策である。
検診は重要であり且つ実施も容易なことから、肺癌予防の2番目の目標として検診の種々の試みがなされている。単純胸部X線撮影と喀痰検査は肺癌の早期発見には効果がなく、癌死を減らす結果につながらない。
しかし、2003年9月にLancet誌には期待される検診が掲載された。スパイラルCT(ヘリカルCTの項に詳しい)はヘビースモーカーなど高リスク群の早期肺癌発見に効果がある。[18]またNew England Journal of Medicineにも低線量CTの有用性を示唆する報告があった。[19]
肺癌に関連する著名人[編集]
- 室生犀星
- 筑紫哲也
- 峰岸徹
- ユル・ブリンナー
- 仰木彬
- 加藤博一
- 尾崎行雄 (野球)
- ミヤコ (お笑い芸人)
脚注[編集]
- ^ 国際肺癌学会らせんCT検診声明
- ^ a b WHO Fact sheet N°297
- ^ a b 平成17年人口動態統計(厚生労働省大臣官房統計情報部人口動態・保健統計課)
- ^ a b c d 西條 2011 p.16
- ^ a b c d e f g 『肺がんの原因』(がん研究会)
- ^ Radon and cancer - 世界保健機関
- ^ a b c Alberg AJ, Ford JG, Samet JM; American College of Chest Physicians. Epidemiology of lung cancer: ACCP evidence-based clinical practice guidelines. Chest. 2007 Sep;132(3 Suppl):29S-55S.
- ^ 肺内の含鉄タンパク質小体に蓄積されるラジウムと微量元素
- ^ Read WL, Page NC, Tierney RM, et al. "The epidemiology of bronchioloalveolar carcinoma over the past two decades: analysis of the SEER database." Lung cancer, 45, 2006, p.p. 137-142. PMID 15246183.
- ^ Barkley JE, Green MR. "Bronchioloalveolar carcinoma." Journal of Clinical Oncology, 14, 1996, p.p. 2377-1286. PMID 8708731.
- ^ Liu YY, Chen YM, Huang MH, et al. "Prognosis and recurrent patterns in bronchioloalveolar carcinoma." Chest, 118, 2000, p.p. 940—947. PMID 11035660.
- ^ William Travis et al., “IASLC/ATS/ERS: International Multidisciplinary Classification of Lung Adenocarcinoma,” Journal of Thoracic Oncology, Volume 6, Number 2, February 2011
- ^ William Travis et al. Journal of Thoracic Oncology • Volume 6, Number 2, February 2011;6:244-285
- ^ William Travis et al. Journal of Thoracic Oncology • Volume 6, Number 2, February 2011;6:244-285
- ^ Noda K, et al: N Engl J Med 2002; 346: 85-91.
- ^ Ettinger DS, et al: J Clin Oncol 2010; 28: 2598-2603.
- ^ Scagliotti GV, Parikh P, von Pawel J, et al. Phase III study comparing cisplatin plus gemcitabine with cisplatin plus pemetrexed in chemotherapy-naive patients with advanced-stage nonsmall-cell lung cancer. J Clin Oncol. 2008;26:3543-3551
- ^ Pastorino U et al. "Early lung-cancer detection with spiral CT and positron emission tomography in heavy smokers: 2-year results".Lancet 362(9384), 2003, pp593-97. PMID 12944057
- ^ Targeting of Low-Dose CT Screening According to the Risk of Lung-Cancer Death. Stephanie A., et al. N Engl J Med 2013; 369:245-254. July 18, 2013. DOI: 10.1056/NEJMoa1301851.
参考文献[編集]
- 西條長宏、加藤治文(編)、2011、『肺がん』、医薬ジャーナル社 ISBN 978-4-434-16309-8
関連項目[編集]
参考[編集]
- 『EBMの手法による 肺癌診療ガイドライン2005年版』 日本肺癌学会(Minds医療情報サービス)
- 『有効性評価に基づく肺がん検診ガイドライン2006年版』 厚労省がん研究班編(Minds医療情報サービス)
呼吸器疾患(ICD-10 J00〜99) |
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疾患 |
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閉塞性肺疾患
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続発性
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無気肺 | 気胸 | 血胸
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機序
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生理学・生化学
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生理学
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生化学
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PaCO2 | PaO2 | AaDO2 | FiO2 | SpO2 | 呼吸係数および酸素化係数
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運動器系 |
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Japanese Journal
- 病理診断と遺伝子診断の実際 : 肺癌を例にして (AYUMI コンパニオン診断 : 診断薬開発から臨床応用へ)
- 研究・症例 肺癌化学療法中に発症した感染性恥骨結合炎と考えられた1例
- 澤田 貴裕,町野 隆介,竹治 みゆき [他]
- 胸部外科 = The Japanese journal of thoracic surgery 67(3), 198-201, 2014-03
- NAID 40019987386
- 原発性肺癌に対する肺葉切除術の術後呼吸器合併症の発生に影響を及ぼす要因
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- 78歳の男性。悪心と嘔吐とを主訴に来院した。
- 現病歴: 1年前に肺癌と診断され、右上葉切除術と抗癌化学療法とを受けた。その後、定期的に通院をしていたが、 1か月前に背部から右の側胸部にかけて疼痛が出現した。外来受診の際、骨シンチグラフィで胸椎と右肋骨とに骨転移巣が判明した。疼痛に対して消炎鎮痛薬を処方された。その後も疼痛が増悪し、呼吸困難が出現したため、昨日の外来受診時にオピオイドの処方が追加された。昨夕からオピオイドの内服を開始したが、吐き気が出現し食物を嘔吐したため、家族に伴われて来院した。頭痛や腹痛はないという。
- 既往歴: 65歳時から高血圧症と脂質異常症とで治療中。
- 生活歴:喫煙は20本/日を57年間。 1年前の手術時から禁煙している。
- 家族歴 :兄が肺癌のため75歳で死亡。
- 現 症:意識は清明。身長168cm、体重57kg。体温36.8℃。脈拍72/分、整。血圧128/72 mmHg。呼吸数20/分。 SpO2 93 %(room air)。眼瞼結膜に貧血を認めない。眼球結膜に黄染を認めない。咽頭に異常を認めない。頸部リンパ節を触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。圧痛を認めない。腸雑音は低下している。背部と右肋骨部とに圧痛を認める。
- 検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球402万、Hb11.9g/dL、 Ht36%、白血球9,300、血小板39万。血液生化学所見:アルブミン 3.2g/dL、クレアチニン 0.8mg/dL、 AST 28IU/L、 ALT 26IU/L、 LD 421IU/L(基準176-353)、 ALP 403IU/L(基準115-359)、アミラーゼ 150IU/L(基準37-160)、CK 42IU/L(基準30-140)、 Na 131mEq/L、 K 4.4mEq/L、 Cl 97mEq/L、 Ca 9.7mg/dL、 P 2.5mg/dL。 CRP 3.4mg/dL。胸部エックス線写真で浸潤影を認めない。腹部立位エックス線写真ではガス像がやや多いが、鏡面形成を認めない。
- この患者の骨転移による疼痛のコントロールに有効なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106H035]←[国試_106]→[106H037]
[★]
- 78歳の男性。悪心と嘔吐とを主訴に来院した。
- 現病歴: 1年前に肺癌と診断され、右上葉切除術と抗癌化学療法とを受けた。その後、定期的に通院をしていたが、 1か月前に背部から右の側胸部にかけて疼痛が出現した。外来受診の際、骨シンチグラフィで胸椎と右肋骨とに骨転移巣が判明した。疼痛に対して消炎鎮痛薬を処方された。その後も疼痛が増悪し、呼吸困難が出現したため、昨日の外来受診時にオピオイドの処方が追加された。昨夕からオピオイドの内服を開始したが、吐き気が出現し食物を嘔吐したため、家族に伴われて来院した。頭痛や腹痛はないという。
- 既往歴: 65歳時から高血圧症と脂質異常症とで治療中。
- 生活歴:喫煙は20本/日を57年間。 1年前の手術時から禁煙している。
- 家族歴 :兄が肺癌のため75歳で死亡。
- 現 症:意識は清明。身長168cm、体重57kg。体温36.8℃。脈拍72/分、整。血圧128/72 mmHg。呼吸数20/分。 SpO2 93 %(room air)。眼瞼結膜に貧血を認めない。眼球結膜に黄染を認めない。咽頭に異常を認めない。頸部リンパ節を触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。圧痛を認めない。腸雑音は低下している。背部と右肋骨部とに圧痛を認める。
- 検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球402万、Hb11.9g/dL、 Ht36%、白血球9,300、血小板39万。血液生化学所見:アルブミン 3.2g/dL、クレアチニン 0.8mg/dL、 AST 28IU/L、 ALT 26IU/L、 LD 421IU/L(基準176-353)、 ALP 403IU/L(基準115-359)、アミラーゼ 150IU/L(基準37-160)、CK 42IU/L(基準30-140)、 Na 131mEq/L、 K 4.4mEq/L、 Cl 97mEq/L、 Ca 9.7mg/dL、 P 2.5mg/dL。 CRP 3.4mg/dL。胸部エックス線写真で浸潤影を認めない。腹部立位エックス線写真ではガス像がやや多いが、鏡面形成を認めない。
[正答]
※国試ナビ4※ [106H034]←[国試_106]→[106H036]
[★]
次の文を読み、 30、 31の問いに答えよ。
- 62歳の女性。持続性の腹痛を主訴に来院した。
- 現病歴: 6か月前に食欲不振と全身倦怠感とを主訴に受診し、精査の結果、肺癌とその肝転移であると診断された。抗癌化学療法などの積極的な治療を希望せず、外来通院することとなった。 2週前から右上腹部に持続性の疼痛が出現し、次第に増強した。疼痛は体動によって増悪した。外来で非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が投与され、一時的に疼痛は軽減したが、 1週前から再び増悪したため来院した。
- 2週前までは日中は車椅子で生活できていたが、最近は疼痛のために室内の移動も困難となり、 1日中ベッドに横になっていることが多かったという。
- 既往歴:特記すべきことはない。
- 生活歴:娘夫婦と同居。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
- 家族歴:父親が大腸癌のため72歳で死亡。
- 現 症:意識は清明。身長152cm、体重42kg。体温36.2℃。脈拍76/分、整。血圧118/76mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝を鎖骨中線上で6cm触知する。
- 検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)、沈渣に異常を認めない。
- 血液所見:赤血球382万、 Hb10.6g/dl、 Ht36%、白血球5,300、血小板17万。
- 血液生化学所見:血糖98mg/dl、総蛋白6.1g/dl、アルブミン2.9g/dl、尿素窒素32mg/dl、クレアチニン0.8mg/dl、総ビリルビン1.2mg/dl、 AST78IU/l、 ALT66IU/l、 LD 477IU/l(基準176-353)、 ALP483IU/l(基準115-359)、 γ-GTP 132IU/l(基準8-50)、 Na139mEq/l、 K4.4mEq/l、 Cl97mEq/l。
- 入院後2週が経過し、疼痛コントロールが安定した。患者は退院して自宅で生活することを希望している。
- 在宅ケアを導入するにあたり、医師が病状観察と服薬管理とを依頼する職種として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106C030]←[国試_106]→[106D001]
[★]
- 次の文を読み、 30、 31の問いに答えよ。
- 62歳の女性。持続性の腹痛を主訴に来院した。
- 現病歴: 6か月前に食欲不振と全身倦怠感とを主訴に受診し、精査の結果、肺癌とその肝転移であると診断された。抗癌化学療法などの積極的な治療を希望せず、外来通院することとなった。 2週前から右上腹部に持続性の疼痛が出現し、次第に増強した。疼痛は体動によって増悪した。外来で非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が投与され、一時的に疼痛は軽減したが、 1週前から再び増悪したため来院した。
- 2週前までは日中は車椅子で生活できていたが、最近は疼痛のために室内の移動も困難となり、 1日中ベッドに横になっていることが多かったという。
- 既往歴:特記すべきことはない。
- 生活歴:娘夫婦と同居。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
- 家族歴:父親が大腸癌のため72歳で死亡。
- 現 症:意識は清明。身長152cm、体重42kg。体温36.2℃。脈拍76/分、整。血圧118/76mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝を鎖骨中線上で6cm触知する。
- 検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)、沈渣に異常を認めない。
- 血液所見:赤血球382万、 Hb10.6g/dl、 Ht36%、白血球5,300、血小板17万。
- 血液生化学所見:血糖98mg/dl、総蛋白6.1g/dl、アルブミン2.9g/dl、尿素窒素32mg/dl、クレアチニン0.8mg/dl、総ビリルビン1.2mg/dl、 AST78IU/l、 ALT66IU/l、 LD 477IU/l(基準176-353)、 ALP483IU/l(基準115-359)、 γ-GTP 132IU/l(基準8-50)、 Na139mEq/l、 K4.4mEq/l、 Cl97mEq/l。
- a 直ちに非経口薬を用いる。
- b NSAIDsの投与を中止する。
- c 疹痛時の追加投与は行わない。
- d 投与開始から制吐薬を併用する。
- e 便秘が出現した場合は中止する。
[正答]
※国試ナビ4※ [106C029]←[国試_106]→[106C031]
[★]
- 68歳の男性。動悸と易疲労感とを主訴に来院した。身長 165 cm、体重 63 kg。体温 36.5℃。脈拍 92/分、整。血圧 122/68 mmHg。皮膚は灰褐色で眼瞼結膜は貧血様である。眼球結膜に黄染を認めない。頸部、腋窩および鼠径部の表在リンパ節は触知しない。胸骨左縁第 2肋間に II /VIの収縮期雑音を聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下肢に浮腫や紫斑を認めない。血液所見:赤血球 233万、 Hb7.1 g/dl、Ht 20%、網赤血球 0%、白血球 9,400(桿状核好中球 6%、分葉核好中球54%、単球 3%、リンパ球 37% )、血小板 32万。血液生化学所見:総蛋白 6.8 g/dl、アルブミン 3.4 g/dl、AST 56 IU/l、ALT 71 IU/l、LD 438 IU/l(基準 176~353)、尿素窒素 14 mg/dl、クレアチニン 0.7 mg/dl、血糖 98 mg/dl、Fe 234 μg/dl(基準 59~161)、不飽和鉄結合能〈UIBC〉67μg/dl(基準 163~251)。骨髄は正形成で巨核球を散見する。胸部エックス線写真 (別冊 No.24A)、胸部 CT(別冊 No.24B)及び骨髄血塗抹 May-Giemsa染色標本 (別冊 No.24C)を別に示す。
- 考えられるのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [108D051]←[国試_108]→[108D053]
[★]
- 71歳の男性。肺癌術後 2日で入院中である。 2日前、右上葉肺癌のため右上葉切除とリンパ節郭清術を行った。術中出血量は 65 ml、手術時間は 3時間 10分だった。手術後の経過は順調で手術翌日から食事を開始した。しかし術後 2日から胸腔ドレナージの排液量は 500 mlに増加し、排液の性状は淡血性から黄白色混濁となった。喫煙は 20本/日を 50年間。意識は清明。身長 160 cm、体重 65 kg。体温 37.0℃。脈拍 84/分、整。血圧 120/74 mmHg。呼吸数 16/分。 SpO2 98% (鼻カニューラ 1 l/分酸素投与下 )。眼瞼結膜に貧血を認めない。頸静脈の怒張を認めない。心音に異常を認めないが、呼吸音は右側で軽度減弱している。血液所見:赤血球 362万、Hb 12.4 g/dl、Ht 36%、白血球 7,700、血小板 25万。 CRP 2.4 mg/dl。心電図に異常を認めない。術後 2日のポータブル胸部エックス線写真 (別冊 No.7A)と胸腔ドレナージ排液 (別冊 No.7B)とを別に示す。
- この患者の術後合併症として考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108A025]←[国試_108]→[108A027]
[★]
- 65歳の男性。健康診断のために来院した。半年前から労作時に息苦しさを感じるようになったが、加齢によるものと思いそのままにしていた。3年前の健康診断で胸部エックス線写真に経過観察が必要な陰影を指摘されたが、今回まで受診しなかった。喫煙は30本/日を40年間。20歳から55歳まで工場でボイラーの点検保守を行っていた。家族歴に特記すべきことはない。身長170cm、体重64kg。体温36.4℃。呼吸数16/分。脈拍64/分、整。血圧122/78mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。肺機能検査所見:%VC7 8%、FEV1.0% 75%。今回の胸部エックス線写真(別冊No.7)を別に示す。
- この病態の原因に関連し、注意すべき疾患はどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [105E055]←[国試_105]→[105E057]
[★]
- 75歳の男性。健康診断で胸部異常陰影を指摘され精査目的で来院した。心配した娘が付き添ってきた。持参した胸部エックス線写真では、肺癌が親く疑われた。喫煙歴を本人に尋ねたところ、「20歳ころから1日10本くらい吸っています。やっぱりやめた方がいいですよね。禁煙パッチを出して下さい」と答えた。それを聞いていた娘が、「そんなに少なくありません。1日に2箱は吸っていますよ」と付け加えた。
- この患者にかける言葉として適切なのはどれか。
- a 「嘘をついてはいけません」
- b 「今さら禁煙しても意味ないですよ」
- c 「娘さんには外に出て行ってもらいましょう」
- d 「異常があると言われたら心配になりますよね」
- e 「ごまかすのはタバコが原因だと考えるからですか」
[正答]
※国試ナビ4※ [104F018]←[国試_104]→[104F020]
[★]
- 80歳の男性。胸痛と息苦しさとを主訴に来院した。 6か月前に多発転移を伴う肺癌の診断を受けた。「癌に対する積極的な治療は受けない」、「少しでも家族とともに過ごしたい」と訴え自宅で療養していた。 1週前から両側の胸部鈍痛と息苦しさとを自覚し、自宅近くの診療所で非ステロイド性抗炎症薬を処方されたが改善しないため受診した。疼痛で食欲は低下しているが、食事摂取は可能である。来院時、意識は清明。身長 168 cm、体重 40 kg。体温 36.0℃。脈拍 96/分、整。血圧 110/60mmHg。呼吸数 20/分。 SpO2 96% ( room air)。
- 治療として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108C024]←[国試_108]→[108C026]
[★]
- 46歳の男性。呼吸困難を主訴に来院した。1か月前から胸部違和感と労作時呼吸困難とを自覚していたが、徐々に増強するため来院した。1週間前までは胸部にヒューヒューという音がしていたが、現在は消失しているという。既往歴に特記すべきことはない。喫煙は40本/日を26年間。胸部エックス線写真(別冊No. 14)を別に示す。
- 異常所見の原因として最も可能性が高いのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112D030]←[国試_112]→[112D032]
[★]
- 65歳の女性。咳と背部痛とを主訴に来院した。1年前から咳と背部痛とが出現し、近医で内服薬を処方されたが、症状が改善していない。夫は30年にわたり断熱材工場に勤務していた。身長156cm、体重53Kg、体温36.6℃、呼吸数16/分。脈拍92/分、整。血圧118/80mmHg、左下肺野の呼吸音は減弱している。胸部エックス線写真と胸部造影CTとを以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [100A015]←[国試_100]→[100A017]
[★]
- 70歳の男性。肺癌の治療で入院中である。肺癌にて右肺下葉切除術、縦隔リンパ節郭清術が施行された。術後1日目に食事を開始し、術後2日目に約1,000mLの白色混濁した胸水が胸腔ドレーンから排出された。胸水中トリグリセリド 150mg/dL。
- 対応として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [113C048]←[国試_113]→[113C050]
[★]
- 60歳の男性。咳嗽と労作時の呼吸困難とを訴えて来院した。20年間自動車部品製造業に従事した職歴がある。来院時の胸部エックス線写真と造影CTとを以下に示す。入院後に胸腔穿刺により採取した胸水の細胞診は陰性で、ヒアルロン酸値が増加していた。診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [095D015]←[国試_095]→[095D017]
[★]
- 60歳の男性。定期健康診断を受けに来院した。高校卒業後から、染料工場に勤務していた。現在では製造中止となっているβ-ナフチルアミンを使用する仕事に数年間従事したことがある。現在とくに自覚症状はない。最も気をつけるべき疾患はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [095C008]←[国試_095]→[095C010]
[★]
- 65歳の女性。2か月前から続く咳嗽を主訴に来院した。痰は伴わず、胸やけがあり、鼻汁と鼻閉とが時々ある。喫煙歴はない。身体所見に異常を認めない。3か月前の健康診査での胸部エックス線写真は正常である。
[正答]
※国試ナビ4※ [101H024]←[国試_101]→[101H026]
[★]
- 36歳の男性。健康診断で胸部異常陰影を指摘されて精査のため来院した。自覚症状はなく、身体所見にも異常を認めない。胸部エックス線写真と左肺動脈造影写真を以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [095D012]←[国試_095]→[095D014]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [106F007]←[国試_106]→[106F009]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [104E003]←[国試_104]→[104E005]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [099D040]←[国試_099]→[099D042]
[★]
- a 原因物質へのばく露がなくなると病状の進行は止まる。
- b 植物由来物質が原因に含まれる。
- c 診断には職業歴が重要である。
- d 肺癌は重要な合併症である。
- e 線維増殖性の疾患である。
[正答]
※国試ナビ4※ [105I015]←[国試_105]→[105I017]
[★]
- ☆case84 嘔吐
- ■症例
- 32歳 男性
- 主訴:
- 現病歴:2 amにからり酔っぱらって救急部に受診。11.45 pmに気分が悪くなり2度嘔吐。嘔吐物は最初は苦く感じられ、それは食べ物と2Lのビールであった。1時間程度後に、何度か猛烈に吐き気を催した。1 amに鮮赤血を吐いた(bright red blood)。患者が言うには最初は少量だったが、2回目にはかなり多い量であった。服用薬なし。時々マリファナを吸う。タバコ1日10本、アルコール2-3 unit/week
- 既往歴:特記なし
- 家族歴:特記なし
- 生活歴:
- ・身体診断
- 酔っぱらっているように見える。口の周りに乾燥した血液の付着を認める。脈拍:102/分。(臥位(lying))血圧:134/80 mmHg。立位でも血圧の変化は認められない。心血管系、呼吸器系に異常を認めず。腹部:上腹部(心窩部)にわずかに圧痛。
- ・検査
- (血液生化学)
- 異常なし
- ■解説
- (第1パラグラフ)
- もっともな診断は、下部食道もしくは胃上部における吐血を引き起こす粘膜の裂傷である(Mallory-Weiss lesion/Mallory-Weiss tear/Mallory-Weiss laceration)。激しい嘔吐やむかつきによる機械的な外傷で生じる。本症例では、なれない大量飲酒によって生じた。
- (第2パラグラフ)
- 患者の話から出血量を見積もるのは難しい。吐血はびっくりするような出来事であり、吐血の量を多く見積もりがちである。ヘモグロ分派性状であり、急性の出血では吐血量を見積もる手がかりにならない。急性期にヘモグロ分が低ければ慢性の出血をほのめかす。著しい失血の最初のサインは頻脈と起立時の血圧低下であることがある。本症例の彼の脈波速いが、これは不安と関連しているのかもしれない。
- (第3パラグラフ)
- 吐血の他の原因は胃炎か消化性潰瘍である。何度か血液を含まない胃内容物のむかつきと嘔吐の話はマロリーワイス症候群に特徴的である。この疾患は普通介入を必要としない良性の病態である。確定診断は上部消化管内視鏡を必要とするが、典型的な症例ではいつも必要になるわけではない。時に、出血がもりひどかったり、壁の解離が粘膜より深いこともあり、穿孔につながる。
- (第4パラグラフ)
- この症例の管理は注意深い観察、嘔吐で失われた体液を戻すための静脈内輸液である。出血が激しい場合には血液型検査のために採血するが、輸血は必ずしも必要ない。彼は生徒大とH2 blockerで治療された。嘔吐は収まりそれ以上の出血も見られなかった。彼は将来のパーティでは通院しすぎないように決めた。
- ■管理(内科診断学 第2版 医学書院)
- ①本疾患の大多数は安静、絶食、制酸薬・粘膜保護薬の投与で保存的に治療できる。
- ②輸血が必要なほどの貧血は稀である。
- ③内視鏡検査時に出血している症例に対しては内視鏡的止血術を行う。
- ④クリッピング法(図4-89) [図] 、純エタノール局注法、アルゴンプラズマ凝固(APC)法などさまざまあるが、いずれの方法でも良好な止血成績を得られる。
- ■鑑別診断 (内科診断学 第2版 医学書院 p.843)
- ・特発性食道破裂(ブールハーフェ症候群)
- ・逆流性食道炎
- ・食道静脈瘤破裂
- ・出血性胃潰瘍
- ・急性胃粘膜病変(AGML)
- ■KEYPOINT
- ・吐血の前の血液を伴わない激しい嘔吐とむかつきの既往は、上部消化管の裂傷を示唆する。
- ・患者は血液の量を見積もるのが困難と分かるので、吐血で失われた失血の程度は多糸かでないし、消化管の中にとどまっている血液の量は分からない。
- ・アルコールは救急入院の約1/4と直接の連関があるという研究がある。
- □マロリーワイス症候群(内科診断学 第2版 医学書院)
- 嘔吐などにより腹腔内圧が急激に上昇して噴門部近傍に裂創が発生し、これを出血源として顕出血をきたしたもの。30-50歳代の男性に多く、全消化管出血例の約3-15%を占める。 アルコール多飲が原因となることが多いが、ほかに妊娠悪阻、乗り物酔い、脳腫瘍や髄膜炎、医原性のものとしては上部消化管内視鏡検査や心肺蘇生術など、原因となるものは種々である。 ②嘔吐などにより急激に腹圧が上昇すると、急激に胃内圧が上昇し、これにより食道胃接合部近傍に裂創が生じる。
- □吐血 hematemesis (内科診断学 第2版 医学書院)
- コーヒー残渣用の吐血 melanemesis
- 鮮血の吐血 hematoemesis
- □急性胃粘膜病変 acute gastric mucosal lesion AGML
- 急性胃炎の劇症型であり、急速に起こる腹痛(時に、吐血、下血)をきたし、潰瘍・びらん・出血が混在した病態を呈する。
- 病因はアルコール、薬物(アスピリン、ステロイド)、薬品、ストレス、食物(激辛食品など)、アニサキス、中枢神経系障害、熱傷、外科手術
- ■glossary
- inebriate
- vt. (人)を酔わせる(make drunk)。~を有頂天にする
- adj. 酔っぱらいの、大酒飲みの
- n. 酔っぱらい、大酒飲み
- pint n. (液体の単位)1パイント = 1/2クオート=(米)28.8753 inch cube = 0.473 liter = (英) 0.568 liter = 約500cc
- retch
- vi. むかつく、吐き気を催す、無理に吐こうとする
- vt. 吐く
- n. むかつく。ヒック(吐き気を催すときの音)
- lager n. ラガー(ビール)(貯蔵ビール;日本の普通のビール)
- violently adj. 激しく、猛烈に
- drunk adj. (pred)酔って。(fig)酔いしれて
- epigastrium n. 上腹部、心窩部
- blood grouping 血液型判定、血液型検査
- indulge
- vt. ~にふけらせる。気ままにさせる、(子どもを)甘やかす。(欲求などを)思いのままに満たす。喜ばせる、楽しませる。
- vi. (快楽・趣味などに)ふける、身を任す(in)。(略式)たらふく食べる、痛飲する。(~に)従事する。(好ましくないことに)かかわる(in)
- □Hematemesis and Melena(Differential Diagnosis in Primary Care 4th)
- ・吐血か喀血を見分けたい場合はnitrazine paperを使って判定
- ・身体開口部(body orifice)からの出血を鑑別するとき解剖学的なアプローチがよい。
- (食道)
- ・静脈瘤、逆流性食道炎、癌腫、マロリーワイス症候群。
- ・外来異物も忘れるな。
- ・先天性まれな病因として異所性胃粘膜によるバレット食道炎と潰瘍もある。
- ・大動脈瘤、縦隔腫瘍、肺癌が食道を潰瘍化させ出血させることもある。
- (胃)
- ・炎症:胃炎と胃潰瘍。アスピリンとアルコールも良くある原因
- ・幽門部静脈瘤で出血するかもしれない
- ・出血がひどく、他の原因が見つからなければ血液疾患を検索する。
- (診断への道)
- ・吐血の確固たる証拠がある時、内視鏡をつかえる状況にあれば問診とか検査で無駄な時間を使わずに内視鏡で診断&治療をやってしまえ。
- ・血液型検査、血液のクロスマッチ?して輸血の準備、凝固能検査など鑑別に必要な検査をやりなさい。内視鏡検査の準備をしている間に、アルコール、アスピリン、そのほかの薬品の服用、潰瘍の既往、食道疾患既往を聴け
- ・ひどい出血や最近の急な吐血の既往がなければ(内視鏡を使わずに?)伝統的なアプローチでも良い
- ・吐血の前に血液を伴わない嘔吐があればマロリーワイス症候群の診断の助けとなる。
[★]
- 英
- sarcoidosis
- 同
- サルコイド症、ベック病 Boeck disease、ベック類肉腫 Boeck sarcoid Boeck's sarcoid、ベニエー・ベック・シャウマン病 morbus Besnier-Boeck-Schaumann、血管類狼瘡 angio-lupoide
- 関
- 難病
概念
- 特定疾患治療研究事業の対象となっている難病である。
- 原因不明の全身性疾患
病因
- P. acnes?が抗原としてTh細胞に提示されるため?
- HLA-DRB1*1101 are assosiated with an increased risk for developing sarcoidosis (HIM.2136)
疫学
- 若年と中年に好発。
- 北に多く南に少ない。黒人に多い。HLAやサイトカイン遺伝子が関与か?
病型
病理
- 真皮および皮下組織に、結合組織に被包された類上皮細胞の特徴的な島嶼状結節性の肉芽腫がある。
- 皮膚では複数の類上皮細胞肉芽腫が主に真皮の上中層に生じる。ときに真皮深層、皮下組織、筋層に生じうる。
症候
- 無症状での検診発見例が大多数。微熱などの症状を出して来院することはまれ。
- 肺病変 :両側肺門リンパ節腫脹(bilateral hilar lymphadenopathy, BHL):胸部X線所見の割には無症状。
- 眼病変 :両眼性霧視(ぶどう膜炎、硝子体炎)
- 心病変 :心サルコイドーシス。心ブロック、不整脈、Adams-Stokes症候群
- 皮膚病変:2型ある。結節型、びまん浸潤型が多く、古い瘢痕(肘、膝)にサルコイド肉芽腫ができることがある。この肉芽腫を病理診断に使うと浸襲が少ない。
- 内分泌異常:高ACE活性、高カルシウム血症
- その他・・無痛性表在リンパ節腫大や心病変(まれだが本症の急死の原因)脳神経(致死的)
病変部位の頻度
- 肺(縦隔・肺門リンパ節,肺)95%以上
- 眼(ぶどう膜,網膜,硝子体)30-40%
- 皮膚5-10%
- 表在リンパ節腫脹のみられることがあり,時に心臓病変がみられる。
- YN I-112
- 初発症状:眼(眼前霧視)50%、呼吸器症状15%、皮膚症状5-10%、両側耳下腺腫脹、リンパ節腫脹
検査
- 生検:病理的に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を証明する。経気管支的肺生検や前斜角筋生検が行われる。
- 画像検査
- 胸部単純X線写真:両側肺門部リンパ節腫脹(BHL)、びまん性陰影、結節影、空洞病変、網状影、浸潤影、小粒状影
- 分類(I~III型):(I型)BHL、(II型)BHL+肺野病変、(III型)肺野病変。I型が最多。
- 胸部CT:縦隔リンパ腺腫脹、血管・気管支周囲の肥厚・不整像、胸膜不整像
- ガリウムシンチグラム(67Ga):病変部に集積。
- テクネシウムシンチグラム(99mTc):病変部に欠損像
- タリウムシンチグラム(201Tl):灌流欠損像
- PET:高集積
- 気管支鏡検査:気管分岐部周囲や両主気管支に毛細血管の増生・拡張や腫大したリンパ節による圧排像を認めうる。気管支内にサルコイド結節(肉芽腫)を認めうる。
- 気管支肺胞洗浄
- 細胞数増加
- リンパ球増加
- CD4/CD8比:高値 (喫煙者でも上昇しうる) → 液性免疫優位。血清γグロブリン上昇はこのためか?
- 皮膚生検、皮下結節生検、表在リンパ節生検、前斜角筋リンパ節生検、肝生検、縦隔・肺門部リンパ節生検:非乾酪性類上皮細胞肉芽腫の証明
診断
診断基準
- 参考1
- 組織診断群(確実) :1-(2)のいずれかの臨床・検査所見があり,1-(3)が陽性。
- 臨床診断群(ほぼ確実):1-(2)①,②のいずれかの臨床所見があり,1-(2)③の(a)(ツベリクリン反応)又は(c)(血清ACE)を含む3 項目以上陽性。
- (1) 臨床症状:呼吸器症状(咳・息切れ),眼症状(霧視),皮膚症状(丘疹)など。
- (2) 臨床所見・検査所見
-
- (a) 胸部X 線・CT 所見(両側肺門リンパ節腫脹,びまん性陰影,血管・胸膜の変化など)
- (b) 肺機能所見(%VC・DLco・PaO2 の低下)
- (c) 気管支鏡所見(粘膜下血管のnetwork formation,結節など)
- (d) 気管支肺胞洗浄液所見※1(総細胞数・リンパ球の増加,CD4/8 上昇)
- (e) 胸腔鏡所見(結節,肥厚,胸水など)
- (a) 眼病変(前部ぶどう膜炎,隅角結節,網膜血管周囲炎など) → 眼サルコイドーシス
- (b) 皮膚病変(結節,局面,びまん性浸潤,皮下結節,瘢痕浸潤)
- (c) 表在リンパ節病変(無痛性腫脹)
- (d) 心病変(伝導障害,期外収縮,心筋障害など) → 心サルコイドーシス
- (e) 唾液腺病変(耳下腺腫脹,角結膜乾燥,涙腺病変など)
- (f) 神経系病変(脳神経,中枢神経障害など)
- (g) 肝病変(黄疸,肝機能上昇,結節など)
- (h) 骨病変(手足短骨の骨梁脱落など)
- (i) 脾病変(腫脹など)
- (j) 筋病変(腫瘤,筋力低下,萎縮など)
- (k) 腎病変(持続性蛋白尿,高カルシウム血症,結石など)
- (l) 胃病変(胃壁肥厚,ポリープなど)
- (a) ツベルクリン反応陰性
- (b) γグロブリン上昇
- (c) 血清ACE 上昇
- (d) 血清リゾチーム上昇
- (e) 67Ga 集積像陽性(リンパ節,肺など)
- (f) 気管支肺胞洗浄液の総細胞数・リンパ球増加,CD4/8 上昇
- 類上皮細胞からなる乾酪性壊死を伴わない肉芽腫病変生検部位(リンパ節,経気管支肺生検,気管支壁,皮膚,肝,筋肉,心筋,結膜など)。クベイム反応も参考になる
治療
- stage0やⅠ(BHL)では経過観察
- stageⅡ(BHL+肺陰影)、Ⅲ(肺陰影のみ)、Ⅳ(肺繊維化)では
- 1ステロイド(8割) 2免疫抑制剤メソトレキセート・アザチオプリン(難治性2割に)
予後
- 70%は2年以内に自然寛解。5-10%は難治性に進行。
- 死因の60%は心サルコイドーシスであり、心病変(刺激伝導障害)をきたす。
参考
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/266
- http://www.nanbyou.or.jp/upload_files/043_s.pdf
- http://www.jssog.com/www/top/shindan/shindankijyun.html
[★]
- 英
- tumor marker
- 同
- 生物学的腫瘍マーカー biological tumor marker、癌マーカー cancer marker、悪性腫瘍特異物質 tumor-specific antigen
肺癌の腫瘍マーカー
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陽性率(疾患があるときに陽性となる確率, 感度)
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肺癌
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備考
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扁平上皮癌
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腺癌
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小細胞癌
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その他の疾患
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CYFRA21-1
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57.5%*
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70-80%/73.1%*
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30-40%
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30-40%
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良性疾患:10-15%
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SCC
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○
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子宮頸癌、食道癌、皮膚癌
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CEA
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40-50%
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50-60%
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SLX
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70%*
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0.4
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肝硬変
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NSE
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10-30%
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70-90%
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proGRP
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70-90%/65.1%*
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NSEより上昇率が高く、特異性に優れる
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KL-6
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○
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肺腺癌、膵癌、乳癌で40-50%。間質性肺炎の補助診断
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無印:標準呼吸器病学 第1版 p.327。* 臨床検査学第32版 p.634
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臨床応用されている腫瘍マーカー (LAB.630)
肝癌関連 AFP, AFP-L3%, PIVKA-II
膵癌ならびにその他の消化器癌 CEA, CA19-9, Dupan-2, CA50, Span-1
肺癌 CEA, sialyl Lex-i (SLX), SCC, SYFRA21-1, NSE, ProGRP
婦人科悪性腫痩
子宮癌:SCC, CA125
卵巣癌:CA125, AFP, CEA, CA19-9, GAT
乳癌 :CA15-3, BCA225, CEA, NCC-ST-439
尿器科悪性腫壕
前立腺痛:PSA(γ-Sm), PAP
膀胱癌 :BTA, NMP22
神経内分泌腫療 NSE
広範な腫瘍に反応するマーカー
TPA, BFP, IAP
消化管悪性腫瘍マーカー
- CEA:胎児癌性蛋白。陽性率:(50-70%)大腸癌、胆道癌、膵癌。(40-60%)肺癌。(30-40%)胃癌。良性疾患でも上昇する(胆嚢炎、胆管炎、膵炎)。
- DU-PAN-2:2→3シアリルLec抗原を認識する抗体。陽性率:(70-80%)膵癌、(60-70%)胆道癌。Lea-b-の個体でも陽性になる。良性疾患でも上昇する(慢性肝炎、肝硬変、胆道炎症を伴う胆石症)。
- CA19-9:Leaの基本骨格にシアル酸が結合したもの。陽性率:(80-90%)膵癌。(70-80%)胆道癌。良性疾患でも上昇する((10-40%)閉塞性黄疸、慢性肝炎、肝硬変)。日本人の約7-10%に存在するフコース転移酵素が欠如したLea-b-の個体ではCA19-9は産生されない。
- SLX:Lexの基本骨格にシアル酸が結合したもの。陽性率:(高い)肺癌、卵巣癌。(50-60%)胆道癌、膵癌。
主な腫瘍マーカー CBT QB vol2 p.297
組織型別に有用な腫瘍マーカー(NEWエッセンシャル産科学・婦人科学 第3版 p.236)
上皮性腫瘍
漿液性腺癌: CA125 *1
粘液性腺癌: CA19-9 *2, CA72-4, CEA
胚細胞腫瘍
卵黄嚢腫瘍: AFP *3
絨毛癌: hCG
未分化胚細胞腫: LDH *4
悪性転化を伴う成熟嚢胞性奇形腫(扁平上皮癌) : SCC
性索間質性腫瘍(ホルモン)
顆粒膜細胞腫,莢膜細胞腫:工ストロゲン
Sertoli-間質性腫瘍, Leydig細胞腫(門細胞腫) :テストステロン
*1 上皮性腫瘍中で最も有用.類内膜腺癌,明細胞腺癌でも陽性を示す.子宮内膜症,炎症,妊娠初期も軽度-中等度上昇
*2 成熟嚢胞性奇形腫で陽性を示すことがある
*3 胎芽性癌,混合性腔細胞腫療でも陽性を示す
*4 非特異的
- also see →「生殖系チュートリアル症例2_プレゼン.ppt」
産婦人科において重要視される腫瘍マーカー
-
-
-
-
- 子宮頚部扁平上皮癌から精製された蛋白質
- 早期癌でも比較的高い陽性率を示し、経過観察にも有用である。
- 一般に扁平上皮の存在する部位に広範な重症疾患存在すれば血中のSCCは上昇しうる
- 皮膚表面、唾液中に大量に存在し、採血時に複数回穿刺する事などによるコンタミネーションの可能性があります。
腫瘍マーカー 臓器別
- OLM.372改変
(略)
[★]
- 英
- chronic obstructive pulmonary disease, COPD
- 同
- chronic obstructive lung disease COLD
- 関
- 慢性気道閉塞
- 日本語訳としての「慢性閉塞性肺疾患」より「COPD」を使用することが勧められている
概念
- 「COPD とは有毒な粒子やガスの吸入によって生じた肺の炎症反応に基づく進行性の気流制限を呈する疾患である.この気流制限には様々な程度の可逆性を認め、発症と経過が緩徐であり、労作性呼吸困難を生じる」疾患
- 完全に可逆性ではない気流制限が特徴 ← 気管支喘息ではβ2受容体作動薬により気流制限の改善をみる。
- 慢性気管支炎や肺気腫により常に気道閉塞(一秒率:一秒量FEV1/努力肺活量FVC<70%)に陥っている病態で、気管支拡張薬に対する反応は乏しく、症状(呼吸困難)が恒常的・慢性的である。
疫学
病因
- 参考1
臨床上のリスク因子
- 喫煙
- 気道の過敏性
- 環境からの暴露
- アトピー体質
- 抗酸化物質の欠乏
- 気管支肺低形成
- 結核
遺伝形式
症状
身体所見
検査
- PaO2:低下
- PaCO2:上昇
- A-aDO2:上昇
- %VC:軽度の肺気腫においては時に正常より増えていることがあるが、進行した肺気腫においては低下する。(093E019)
- %DLCO:肺胞領域の破壊により拡散能低下
- 肺肝境界の下降、肺の過膨張、
- 気管短縮(輪状軟骨上縁から胸骨上炎までが4-5cm未満に短縮していることがある、らしい)(出典不明、機序不明)
診断
- 呼吸器学会ガイドライン
- 1. 気管支拡張薬投与後のスパイロ検査で、FEV1/FVC<70%
- 2. 他の気流制限を来しうる疾患を除外する
-
- 検査は原則として急性呼吸器感染症のない臨床安定期に行う
- 短時間作用型気管支拡張薬は少なくとも 6 時間、長時間作用型気管支拡張薬は 24 時間中止したうえで検査を行う
- 検査に用いる気管支拡張薬は、通常、短時間作用型吸入用 β2刺激薬を原則とするが、抗コリン薬あるいは両者の併用であってもよい
- 投与方法はスペーサーを用いた β2刺激薬定量噴霧式吸入薬(MDI)吸入、ネブライザー吸入のいずれであってもよい
- 気管支拡張薬吸入後の検査は吸入後 30~60 分後に行うべきものとする.
- 気管支拡張薬吸入効果の評価は、吸入前の FEV1.0 と吸入後 FEV1.0 を比較して、200ml 以上の増加かつ前値に対して 12%以上の増加があったときに有意と判定
鑑別診断
評価法
- mMRC(the Modified British Medical Research Council):日常生活に対する呼吸困難(息切れ)の影響を測定
- CAT(COPD assessment test):COPDの症状やQOLに関する8項目を0〜40点で評価
- IPAG(International Primary Care Airways Group):COPD 関連症状と危険因子を測定
治療
病期分類
- ガイドライン1
- 0期:リスク群:慢性症状(咳嗽・喀痰):(a) 禁煙、インフルエンザワクチン接種(肺炎球菌ワクチンはガイドライン上では推奨されていないが(COPD増悪予防に対する効果が証明されなかった?)、接種した方がよいとする意見がある)
- I期:軽症:80%≦%FEV1:(a)。(b) 必要に応じ短時間作用型の気管支拡張薬を使用。
- II期:中等症:50%≦%FEV1<80%:(a)。(b)。(c) 呼吸リハビリテーション、長時間作用型気管支拡張薬の定期的使用
- III期:重症:30%≦%FEV1<50%:(a)。(b)。(c)。(d) 吸入ステロイド薬の考慮(増悪を繰り返す)
- IV期:最重症:%FEV1<30%または%FEV1<50%かつ慢性呼吸不全あるいは右心不全合併:(a)。(b)。(c)。(d)。(e) 長期酸素療法、外科的治療の考慮
安定期の治療
- 治療のmodality:薬物療法、包括的呼吸リハビリテーション、患者教育、栄養管理、酸素療法、換気補助療法、肺容量減量手術、肺移植、在宅管理
急性増悪
- COPDの急性増悪や重症度の分類には定説はない (ガイドライン1)
- COPDの急性増悪とは「病態が日内変動を超えて悪化し、日常施行していた治療内容を変更せざるを得ない状態」(呼吸器疾患最新の治療2004-2006 p.267)
- 原因:気道感染と大気汚染が最多。1/3は原因不明。
COPDの急性増悪
定義
- COPDの自然の進行の中で起きる現象で、呼吸困難、咳嗽、喀痰といった症状が日常の変動を超えて増悪したもの
入院適応
- 突然の安静時呼吸器困難の出現など、症状の顕著な増悪
- 基盤にあるCOPDが重症(III度,IV度)
- 新たな身体所見の発言
- 増悪に対する初期治療に反応しない
- 重大な合併症の存在
- 頻回の増悪
- 新たに発生した不整脈
- 診断が不確実な例
- 高齢者
- 不十分な住宅サポート
- modality (ガイドライン1)
- 気管支拡張薬吸入の容量/回数の増加(例えば、短期間作用型β2刺激薬が用いられる)
- ステロイドの全身投与(経口/静脈注射):増悪からの回復、肺機能の回復までの時間を短縮する
- (喀痰から感染症が疑われる場合)抗菌薬の投与
- 外来 :経口ペニシリン系薬、ニューキノロン系薬
- 入院例:注射用β-ラクタム系薬/β-ラクタマーゼ阻害薬、第3,4世代セフェム系薬、カルバペネム系薬、ニューキノロン系薬
病原体
予後
参考
- 1. [charged] Chronic obstructive pulmonary disease: Risk factors and risk reduction - uptodate [2]
ガイドライン
- 1. COPD診断と治療のためのガイドライン第2版
- http://www.jrs.or.jp/quicklink/glsm/guideline/nopass_pdf/copd_summary.pdf
国試
[★]
- 英
- vomiting, emesis
- ラ
- vomitus
- 関
- 悪心、嘔気 nausea、悪心・嘔吐 nausea and vomiting
概念
- 胃の内容物をはき出す現象。
- 胃または腸内容が食道を経て口腔より吐出される現象。
嘔吐中枢
嘔吐中枢の近傍に存在するもの
- 呼吸中枢、血管運動中枢、消化管運動中枢、唾液分泌中枢、前庭神経核
随伴症状
- 発汗、唾液分泌、顔面蒼白、脈拍微弱、徐脈、頻脈、血圧の動揺、めまいなど
症状の出現形式と原因の所在
噴水状、噴射状嘔吐
- projectile vomiting is where stomach contents 'shoot out' (like a fountain) to a distance sometimes many feet away.
嘔吐に関わる経路
- IMD.351
- 1. 嘔吐中枢(延髄網様体背側神経背側核近傍)への直接刺激(脳圧亢進、循環障害)
- 2. 化学受容体誘発帯(CTZ; 第四脳室底)への刺激(代謝異常や中毒による化学物質の作用) → 1.
- 3. 大脳皮質(中枢神経など高位中枢)からの入力 → 1.
- 4. 求心性迷走神経や交感神経を介する入力 → 1.
原因
小児科で遭遇する嘔吐の原因