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この項目では、生物のクモ(蜘蛛)について説明しています。
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クモ目 | |||||||||||||||||||||
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ジョロウグモ
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分類 | |||||||||||||||||||||
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亜目 | |||||||||||||||||||||
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クモ(蜘蛛)、クモ類は、節足動物門鋏角亜門クモ綱クモ目に属する動物の総称である。網を張り、虫を捕食することで、一般によく知られている。この類の研究分野はクモ学と言われる。
クモは糸を出し、大顎に毒腺を持ち、それを用いて小型動物を捕食する、肉食性の陸上節足動物の1群である。糸を使って網を張ることでよく知られるが、実際にはほぼ半数の種が網を張らずに獲物を捕まえる。人間に害をなすほどの毒を持つものはごく少数に限られる。
日常的に「虫」と言われる生物群の一つであるが、節足動物門六脚亜門に属する昆虫とは全く別のグループに属する。昆虫との主な区別点は、脚の数が8本であること、頭部と胸部の境界が明確でないこと、触角を欠くことなどがある。
体は6節の頭胸部(前体)と節が癒合した袋状の腹部(後体)からなり、両者は細い腹柄によってつながる[1]。
前体部は頭部と胸部の合わさった頭胸部となっている。ここには4対の歩脚と1対の触肢、口には鎌状になった鋏角(きょうかく)がある。
頭胸部は背甲では完全に一体化しているが、歩脚の基部のあたりでそれより前が頭部、それより後ろが胸部であり、この間には高さや形に差があることが多い。特にその間に裂け目のような溝がある場合、頸溝という。頭部には目が並んでいる。8つの目が2列に並んでいるが、その配列や位置は分類上重要な特徴になっている。網を張らずに生活するクモでは、そのうちのいくつかが大きくなっているものがある。紫外線を見ることができる。
胸部は多くの場合に頭部より幅広く、背面の中央には小さなくぼみがあることが多く、これを中窪という。また歩脚の隙間に向かって溝が走ることも多く、これを放射溝という。
鋏角は鎌状で、先端が鋭く、獲物にこれを突き刺して、毒を注入する。触肢の基部は鋏角の下面で下唇を形成する。触肢は歩脚状で、普通のクモでは歩脚よりずっと小さく、鋏角の補助のように見えるが、原始的なクモでは見掛けでは歩脚とほとんど差がない。
歩脚の先端には爪がある。造網性のクモでは大きい爪2本と小さい爪1本があるが、徘徊性のクモでは、小さい爪のかわりに吸盤状の毛束がある。歩脚は第一脚が長いものが多いが、それぞれの長さの特徴はそれぞれの群である程度決まっている。
なお、脚の向きにも特徴がある。よく見かけられるコガネグモ科などでは前二対が前に向き、後ろ二対が後ろ向きになっている。この型を前行性という。それに対してカニグモ科やアシダカグモなどでは前三対が前を向くか、四対とも先端が前向きになっているかのいずれかで、この型を横行性という(といっても横向きに動くわけではない)。
腹部にはふつうは外見上の体節がない。外骨格は柔らかく、全体に袋状になっている。腹部の裏面前方には、1対の書肺という呼吸器官があり、その間に生殖腺が開いている。腹部後端には数対の出糸突起(糸疣)がある。その後ろに肛門がある。
これは普通のクモの場合である。キムラグモ類など下等なクモ類では若干の違いがある。キムラグモ類では腹部に体節が見られ、糸疣は腹部下面中央に位置し、書肺は2対で4つある。触肢は歩脚とほぼ同じで、全体では脚が5対あるように見える。トタテグモ類は、腹部に節がなく、糸疣は腹端にあるが、他はキムラグモ類と同じである。
出糸突起は、別名を糸疣ともいう。普通のクモ類では腹部後端にあるが、キムラグモ類では腹部の中央にあり、大きい。関節があり、これが付属肢に由来することを示すものである。
キムラグモなどハラフシグモ類では出糸突起は腹部の第10節と11節の腹面中央にあり、それぞれの節に2対ずつ、外側に大きい外出糸突起、内側に小さい内出糸突起がある。それ以外のクモ類ではこれらが腹部後端に移動し、その一部が退化したものと考えられる。出糸突起の数や形は群によってやや異なる。
出糸突起の先端近くには、多数の小さな突起があり、それぞれの先端から糸が出る。この突起を出糸管という。これにはクモによって色々な種類があり、それぞれからでる糸にも差があり、クモは用途に応じて使い分けている。
一部に、通常の糸疣の前に、篩板(しばん)という、楕円形の、糸を出す構造を持つものがある。これを持つクモは、第4脚の末端近くに、毛櫛(もうしつ)という、きっちりと櫛状に並んだ毛を持つ。糸を出すときはこの脚を細かく前後に動かし、篩板から顕微鏡でも見えないほどの細かい糸を引き出し、これがもやもやした綿状に太い糸に絡んだものを作る。
性的二形がはっきりしているものが多く、雌雄の区別は比較的たやすい。模様にはっきりとした差のあるものが多い。雄が雌より小型である種が広く知られており、中でも雌雄による大きさの違いが著しいコガネグモ科のクモが有名であるが、徘徊性のクモ(ユウレイグモやハエトリグモ)などには雄が雌よりやや華奢な程度で差が小さい種もよく見られる。
確実な区別は外性器でおこなう。雌では、腹部の腹面前方、書肺の間の中央に生殖孔があり、開口部はキチン化して、複雑な構造を持つ。雄では、生殖孔は特に目立たないが、触肢の先端にふくらみがあり、複雑な構造になっている。精液をここに蓄え、触肢から雌の生殖孔へ精子を送り込むという、特殊な交接を行うためである。この雌の生殖孔と雄の触肢の構造は、種の区別の際にも重視される。
クモの脳は基本的に頭胸部にあり、こと小型のクモや幼虫では身体に占める脳の容積は非常に大きい。中枢神経が容積の8割を占めて脚の中にまではみ出しているものや、幼虫の期間は身体の割に巨大な脳で体が膨れ上がっているものもいる。糸で網を張るクモも網を作らないクモもおおむね巨大な脳を持っていて、網を張る・張らないで目だった差はない[2]。
消化管は大きくは前腸(fore-gut)、中腸(mid-gut)、後腸(hind-gut)からなる。前腸と後腸は外胚葉性で、中腸は内胚葉性である。
頭胸部に収まる部分である。口に続いて咽頭(pharynx)、食道(oesophagus)、吸胃(sacking stomach)からなる。この部分では消化は行われない。
クモ類はあらかじめ体外消化するため、口からは液体だけが取り込まれる。咽頭や食道は二枚の、吸胃は三枚のキチン板を備え、特殊な筋肉とつながっているそれらを動かして食物を吸い込む働きを持つ。なお、これらのキチン板は脱皮の際には完全に外れる。
これは頭胸部と腹部にまたがる部分である。吸胃から後方に続く部分は、頭胸部の後半部から左右に突出し、それぞれ前に向かって胸部前方に至り、群によってはその先端部で融合する。この部分を前出分腸(thoracenteron)と言い、ここからは付属肢の基部に向かって嚢状に突き出ている。この部分を分腸枝(lateral ceaca)という。この部分では消化が行われていると考えられている。
腹柄を通り抜けるとそれに続く中腸は大きく膨らんで腹部背面近くを通る。この部分では数対の分枝が出ており、これを腺様中腸(glandular mid-gut)と言い、さらに細かく分枝して腹部の心臓の両側に大きな固まりとなる。ここでは消化と吸収が行われると考えられている。クモが餌を取るとすぐにこの部分に送られ、腹部が膨大する。
中腸末端に左右一対のマルピーギ管がつながっており、さらに膨らんで糞嚢(stercoral pocket)となっている。最後の部分は直腸(rectum)で、そのまま肛門に続く。
クモ類の呼吸器としては、気管と書肺がある。
書肺を二対持つ群と、ユウレイグモ科などでは気管(trachea)を欠くが、それ以外のものでは腹部の腹面に気管気門が開き、そこから体内に細長い気管が伸び、分枝して緒器官の間を通る。その先は頭胸部にまで伸びるものもある。気管気門は書肺と糸疣の間にある。
書肺(book-lung)、または肺書(lung-book)は、クモ綱独特の呼吸器官であり、肺葉片が偏平で、それが並んでいる様子が書物の頁のようであることから、その名がある。
他の節足動物と同様に解放血管系であり、動脈の先端から血液は体腔へ直接流れ出て、再び心門から循環系へ取り入れられる。心臓(heart)は腹部背面にあり、腹部と頭胸部へは動脈が走る。
心臓は細長く、腹部背面にあって、前の端からは前行動脈(aorta)、両側には側腹動脈(lateral abdominal artery)、後ろへは尾行動脈(caudal artery)が出る。心臓は囲心嚢(pericardium)に包まれており、心臓との間の空間を囲心腔(pericardial cavity)という。側面には心門(cardiac ostia)があり、ここから体腔を流れる血液が取り入れられる。心門の数はハラフシグモ類では五対あり、高等なものでは少なくなる傾向があり、普通のクモの多くは三対である。心臓の周囲には対をなす心靭帯(cardiac ligament)があり、これが心臓の動きに関係していると考えられている。
前行動脈は腸管の背面にあり、腹柄を通って頭胸部に入り、吸胃の上で左右の小動脈に分かれ、さらに細かく分かれて付属肢などに入り込む。側腹動脈、尾行動脈はそれぞれ枝分かれして腹部の諸器官の間に広がる。
なお、腹部に流れ出た血液のうち、書肺を通ったものはそこから心臓へ向かう血洞を通って囲心腔へ入る。この血洞を肺静脈(pulmonary vein, dorsal lacunae)と言い、クモ類の体内では唯一の静脈である。これは酸素を多く含んだ血液を優先的に心臓へ送り、全身へ送り出す仕組みである。
排出器官としては、マルピーギ管と脚基腺がある。
マルピーギ管(Malpighian vessel)は、腹部後半の中腸の背面部に分枝しながら伸び、中腸の後部に口を開く。体腔液中から不純物をくみ出す働きがあるとされるが、詳細は不明である。なお、昆虫に見られる本来のマルピーギ氏管が外胚葉起源であるのに対して、クモ類のそれは内胚葉である中腸より分化したものであるから、生物学的に相似ではあるが相同ではない。
脚基腺(coxal gland)は、胸部の歩脚の基節の間にあり、腎管の一種と考えられる。原始的な類では、この器官はよく発達しており、排出小嚢となって第一脚、第三脚の後方に口を開き、ここから排出物を出す。しかし多くの普通のクモ類では退化傾向が激しい。
基本的に陸上性の動物で、多くの種類が砂漠、高山、森林、草原、湿地、海岸などあらゆる陸上環境に分布している。これほど多彩な環境に分布があるというのは、現在多くのニッチを昆虫類に取って代わられた鋏角亜門の中でクモとダニだけである。ただし淡水にせよ海水にせよ、水際までは結構種類がいるが、水中生活と言えるものは、ミズグモただ1種だけと言ってよい。その点、ミズダニなど水中生活のものを含むダニ類には負けている。
大部分が肉食性で、どの種も自分とほぼ同じ大きさの動物まで捕食する。オオヒメグモなど網を張るクモの一部は、自分の数倍もある大きさの獲物を網に捕らえて食べることもある。捕食対象は昆虫類から同じクモ類、軟体動物、小型の脊椎動物まで多岐にわたる。日本国内においても沖縄県石垣島では日本最大のクモであるオオジョロウグモがツバメを、同じく沖縄県糸満市ではシジュウカラを[3]捕食していたのが観察されている。また、オオツチグモ類はかつて、鳥を捕食するというのでトリトリグモあるいはトリクイグモ(バードイーター)と呼ばれていた。この話そのものは伝説めいているが、実際にカエルやネズミはよく捕食するようである。
捕食行動としては、細い糸で巣や網をつくって捕らえる・徘徊して捕らえるの2つに大別できる。網を張るものを造網性、張らないものを徘徊性という。
原始的な種は、地中にトンネル状の巣を作り、入り口に捕虫のための仕掛けを糸で作る。網はこれを起源として発達したと考えられる。クモの網はさまざまな形があり、簡単なものは数本の糸を引いただけのものから、極めて複雑なものまでさまざまである。約半数のクモが、網を張らずに待ち伏せたり、飛びかかったりして餌を捕らえる。いずれの場合にも、餌に食いつくには直接に噛み付く場合と糸を絡めてから噛み付く場合がある。
「生き血を吸う」という風にもいわれるが、実際には消化液を獲物の体内に注入して、液体にして飲み込む(体外消化)ので、食べ終わると獲物は干からびるのではなく、空っぽになっている。小さいものはかみつぶして粉々にしてしまうこともある。
他にアシブトヒメグモが花粉を食べる例やアリグモがアリマキの甘露を食べるなど、非肉食性の習性もいくつか知られている。ハエトリグモ類の仲間であるバギーラ・キプリンギは、アカシアの芽を小動物より多く食べることが知られている。[4][5]。
かつて動物生態学者のエルトンは『クモの網にゾウはかからない』という言葉を残し、喰う喰われるの関係の大事さを主張したが、これはクモの網は大きささえ合えばどんなものでも捕まえるだろう、つまり獲物の選り好みはしないだろうとの予断がある。実際、多くのクモは特に獲物を選ばないジェネラリストであろうと予想される。だが、明らかに決まった獲物しか選ばないものも知られており、例えば以下のようなものがある。
クモと言えば糸を想像するくらい、クモと糸とのつながりは深い。全てのクモは糸を出すことができ、生活の上でそれを役立てている。
造網性でも徘徊性でも、全てのクモは歩くときに必ず「しおり糸」という糸を引いて歩く。敵から逃れるために網から飛び落ちるクモは、必ず糸を引いており、再び糸をたぐって元に戻ることができる。ハエトリグモが獲物に飛びついたとき、間違って落下しても、落ちてしまわず、糸でぶら下がることができる。
代表的なクモの網である円網では、横糸に粘液の着いた糸があって、獲物に粘り着くようになっている。網を歩く時にはこの糸を使わず、粘りのない縦糸を伝って歩くので、自らは網に引っかからない。粘液をつけた糸を全く使わない網もある。
造網性のクモは、網に餌がかかるのを振動で感じ取る。網の隅にクモが位置している場合でも、網の枠糸か、網の中心から引いた1本の糸を脚に触れており、網からの振動を受け取ることができる。餌がかかると、糸を巻き付けて獲物を回転させながら幅広くした糸を巻き付けてゆき、身動きできなくして捕らえる。場合によってはクモが獲物の周りを回りながら糸をかけてゆく。徘徊性のクモでも、餌を糸で巻いて捕らえるものもある。
地中に巣穴を作るものや、テント状の巣を作り、特に網を作らないものでも、巣のまわりの表面にまばらに放射状の糸を張り、虫が触れると飛び出して捕らえるものがある。このような糸を「受信糸」という。これが網の起源ではないかともといわれている。
多くの種では、子グモが糸を出し風にふかせて、タンポポの種子のように空を飛ぶ習性(バルーニング)を持つ。小型の種では、成虫でもそれを行うものがある。この飛行能力により、クモは他の生物よりもいち早く生息地を拡大することができる。一例として、インドネシアのクラカタウで火山活動により新たな島が誕生したときに、生物の移住について調査したところ、最初にやってきた生物はクモだったと報告されている。
産卵や脱皮のために巣を作るものもあり、その場合も糸を使う。地中生のクモでは巣穴の裏打ちを糸で行い、トタテグモのように扉を作るものは、糸でそれを作る。多くのものは卵塊を糸でくるんで卵のうにする。
糸の組成はタンパク質分子の連鎖で、体内では液状で存在し、体外へ排出される際に空気と応力によって繊維状の糸となる。これは不可逆反応で、空気上で液状に戻ることはないが、使用した糸を蛋白源として食べ、消化して再び糸などに利用する種もみられる。
雄が触肢に入れた精子を雌の生殖孔に受け渡すという、動物界で他にあまり例のないやり方を行う。雄の触肢の先端には、雄が成熟すると複雑な構造が出来上がる。スポイトのようになっていて、精子を蓄える袋と、注入する先端がある。雄は雌の所へゆく前に、小さな網を作り、ここへ生殖孔から精子を放出し触肢に取り入れる。ほとんどのクモは肉食性であるので、雌が巨大である種の場合、雄の接近は危険が伴う。そのため安全に接近するための配偶行動がいろいろと知られている。コガネグモ科など造網性のものでは雄が網の外から糸をはじいて雌の機嫌を伺う種が多い。変わった例として、雄が前足を振ってダンスをする徘徊性のハエトリグモのような例もある。
卵は多くの場合、多数をひとかたまりで産み、糸を巻いて卵嚢(らんのう)を作る。卵嚢は種によってさまざまな形をしている。卵は全体で丸い塊となり、柔らかな糸でくるまれる。それだけの卵嚢を作るものもあるが、さらにその外側に厚く糸で作った膜で袋や円盤状の卵嚢に仕上げるものもある。
卵嚢をそのまま樹皮に貼り付けたり、石の裏にくっつけたりと放置するものもあるが、自分の網の片隅につるす、あるいは自分の巣の中に卵を産む、しばらくを一緒に過ごすなど、一定の親による保護を行う種も存在する。ユウレイグモ・ハシリグモ・アシダカグモなどは卵のうを口にくわえて保護し、コモリグモは糸疣につけて運ぶ。
孵化した幼虫は、通常1回の脱皮をするまでは卵嚢内にとどまる。初齢幼生は柔らかく不活発で、卵嚢内でもう1回の脱皮をおこなった後、やや活発になった子グモが卵嚢から出てくるのが普通である。卵嚢から出てきた子グモが、しばらくは卵嚢の周辺で固まって過ごす習性が見られるものが多く、クモの「まどい」という。この時期にちょっかいをかけると大量の子グモが四方八方へ散っていくため、大勢があちこちへ逃げ惑う様を例えて「蜘蛛の子を散らす」という比喩表現をする。
卵を保護する習性のあるものでは、子グモとしばらく一緒に過ごすものも多い。コモリグモ類では、生まれた子をしばらく背中で運ぶ。ヒメグモ科には雌親が幼虫に口移しで栄養を与える例があり、この時与えるものを Spider Milk という。カバキコマチグモは雌親が子グモに自分自身を食わせてしまう。
その後子グモはそれぞれ単独生活にはいるが、その際バルーニングを行う種が多い。
一般には幼虫は成虫を小さくした姿であるが、中には大きく色や模様が変わる例もある。また、習性についても親とほぼ同じなのが普通であるが、成虫は徘徊性なのに幼虫は網を張る例(ハシリグモなど)、逆に成虫になって網を張るようになる例(トリノフンダマシなど)がある。前者は祖先が造網性であったことを示すとの説明があるが、後者についてはよくわからない。
ほとんどのクモ類は単独で生活し肉食性である。幼虫がしばらく成虫と生活を共にする例は少なくなく、これらは亜社会性といわれる。また、造網性のクモで、網を接した多数個体が集まる例も知られる。
さらに、大きな集団をつくり、長期にわたって共同生活するクモは、日本国外からは少数ながら知られている。それらは社会性クモ類といわれる。共同で営巣し、巨大化した網の集合体を形成し、そこに時には数千頭ものクモが住み、共同で餌をとる生活をする。このような生活をするクモは世界で約20種が知られ、それらはタナグモ科、ハグモ科、ウズグモ科など複数の科にまたがっているため、それらは個々に独自に進化したものと考えられる。
それらのクモでは以下の三点がその生活を成立させる条件として存在するとされる。
また、これらのクモでは集団を作る個体間で遺伝的に非常に近いことが知られる。それらは往々にして一腹の集団から始まり、集団内で近親交配を繰り返す。
ただし、ハチやアリなどの社会性昆虫では女王と働き蟻など分業とそれに伴う個体間の階級の分化が見られるが、クモ類ではそれは知られていない。しかし、一部のものでは真社会性を獲得しているのではないかとの説や示唆がある。
小型の肉食動物にはクモ類を捕食するものは多いと考えられる。クモは昆虫よりも体が柔らかいので、飼育下の餌としても重宝する。
特にクモ類の天敵としては、狩り蜂類のベッコウバチ類がクモを狩るハチとして有名である。これらのハチは、クモの正面から突っ込んで、大顎の間に針を刺して麻酔を行い、足をくわえて巣穴に運ぶ。他に、寄生性のものとして成虫に外部寄生するクモヒメバチや卵のうに寄生するハエ類やカマキリモドキなども知られる。また、センショウグモやオナガグモなどはクモを専門に食べるクモとして知られる。
直接にクモを攻撃するものではないが、メジロなどの小鳥はクモの網を巣の材料とする。そのためにクモの網に鳥は突っ込み、その体にまとわりついた糸を集め、巣材の苔などをかためるのに用いる。クモの網に引っかかった虫を横取りする昆虫(シリアゲムシなど)も知られる。
耕作地圏においては、農業害虫の天敵であるため益虫として重視される。人家の内外にも多くの種類が生息し、これらは衛生害虫(ハエ、蚊、ダニ、ゴキブリなど)を捕食するため、クモは家庭生活圏においても益虫の役割を果たしている。これを理解している人は、居宅や身の回りにクモが見られても気にしない事が多い。
しかし近年では、主に都市生活者の間で、その容姿から不気味な印象を持ち忌み嫌う人や、いわゆる「虫嫌い」の増加などの理由で、不快害虫のカテゴリーに入れられる場合もある。網や巣を張る種については家や壁を汚すとして嫌われる要因となる。実際2000年代後半に入り日本でも、従来のゴキブリやハエ等と同様に、ムカデ、クモを駆除対象とすることをうたった殺虫剤が一般に市販されテレビCM等で宣伝までされるようになった。
ほとんどのクモは虫を殺す程度の毒を持っているが、人間に影響を持つほどのものは世界でも数種に限られる。人間を殺すほどの毒を持つクモは、人間に影響を持つ種の中でもさらに限られる。また在来種のほとんどのクモは、人の皮膚を貫くほど大きな毒牙自体を持っていない。なお、ウズグモ科は毒腺そのものを失っている。
毒グモとして有名なのは、日本に侵入してニュースとなったセアカゴケグモ、ハイイロゴケグモをはじめとするゴケグモ類である。それ以外にも世界でいくつかが危険視される。在来種でそれほど危険視されるクモは存在しないが、コマチグモ科の大型種(カバキコマチグモなど)は毒性が強く、噛まれるとかなり痛み、人によってはしばらく腫れ上がる。逆に毒グモとしてのイメージが強いオオツチグモ科の別称であるタランチュラは、強い毒を持つものは稀である。しかしながら全ての毒グモの毒にはアナフィラキシーショックを起こす可能性があり、注意が必要である。
毒性の有無・程度にかかわらず、人間など自身より遥かに大きなサイズの動物に対しては、ほとんどのクモは攻撃的でなく、近寄れば必死に逃げようとする。能動的に咬害を与えることも基本的にないが、不用意に素手で掴むなどすると、防衛のために噛みつかれる恐れがある。
捕食時に獲物へ注入する消化液には強い殺菌能力があり、また自身の体もこの消化液で手入れを行っている。このためクモ自体や、獲物の食べ殻が病原体を媒介する可能性は低い。
クモの糸が目にはいると炎症を起こすことがある。汚染によるものではなく、毒成分が関与しているともといわれる。
網がはられている状態は、人間の生活する環境としては、全く手入れが行き届いていない証拠とみなされる。映画やテレビドラマ等では、空き家であること、通る人がいないことを示すために使われる。またホラーゲームを筆頭として各ジャンルのゲームにもよく登場する。「クモの巣が張る」というのは、誰も使う人がいない、誰もやって来ないことを暗示する表現である。
クモを害虫駆除のために積極的に利用する試みが行なわれたことがある。元来日本には生息していなかったアシダカグモは、江戸時代にゴキブリ退治用として人為的に輸入されたとの説もある。農業の方面では、害虫駆除の効果がさまざまに研究され、一定の評価を得ている。水田では、アシナガグモ・ドヨウオニグモ・セスジアカムネグモなどの造網性のもの、コモリグモなどの徘徊性のものなどが農業害虫駆除に大いに役立っていることが知られている。
上記のとおり自然生成可能な糸の中でも比較的頑丈であるため、糸を工業的に利用する試みもあるが、大きく認められているものは少ない。クモを大量養殖することの困難さ(新鮮な生餌が必要で、クモの数が適当でないと共食いを起こしやすい)と、糸を取り出すことの困難さが障壁になる。これまでにもっとも用いられたのは、レンズにスケールを入れるための用途である。
現存する糸の大型の布製品の一つはアメリカ自然史博物館に存在するコガネグモ科のクモの糸による絨毯(約3.4メートル×1.2メートル)であるが、作成には野生のコガネグモ科のクモの捕獲に70人、糸の織布に12人の人員と4年間の年月を要した[6]。蜘蛛単体では手間と高価になりやすいため、生産のしやすい蚕に蜘蛛の遺伝子を組み合わせた品種や微生物を使用し、人工的に蜘蛛の糸を出そうとする試みが行われている。
糸の強度は同じ太さの鋼鉄の5倍、伸縮率はナイロンの2倍もある。鉛筆程度の太さの糸で作られた巣を用いれば、理論上は飛行機を受け止めることができるほどである。そのため、長い間人工的にクモの糸を生成する研究が行われてきたが、コストが高い上に製造に有害性の高い石油溶媒が必要になるなど障壁が多く実用化は困難とされていた。しかし、2013年5月に日本の山形県のベンチャー企業が世界初となる人工クモ糸の量産技術を開発し、人工クモ糸の工業原料としての実用化が現実のものとなる目処がたった[7]。
日本では伝統的にコガネグモなどを戦わせる遊びが子供たちの間にあり、「蜘蛛合戦」とよんだ。多くの地域で廃れてはいるが、現在でも町を挙げて取り組んでいるところがある。
最近ではオオツチグモ科のクモ(通称タランチュラ)が飼育用として販売されるなど、ペットとしての地位を獲得している。その他のクモもペットとして輸入されており、変わった種類もみられる。
日本では一般的でないが、クモを食用にする国はある。インドシナ半島、ミャンマーから中国南部では食用にしているといわれる。カンボジアでは、現在でもクモを油で揚げたクモのフライが食されることもある[8]。クモの種はいわゆるタランチュラであった。味についてはエビに近いとか卵黄のようだとか馬鈴薯の味だとか沢蟹のようだといわれ、今ひとつ判然としない。他にオオジョロウグモもこの地域では食されるという[要出典]。
日本においては1980年代のサバイバル/探検ブームの時期に、クモを生で食するとチョコレートの味がして手軽な非常食になるという情報が広まったが、「昆虫料理を楽しむ」によればそのような味はしないとのことである。
クモは、身近な生物であり形態や習性が特徴的である。一例として、益虫であるにもかかわらず、外観から誤解されたり嫌われることが多い。肉食性であるにもかかわらず、天敵も多く臆病で草食的な性格である点等があげられる。このため古来世界各国において、人間に対し吉凶善悪両面にわたり様々な印象を与えており、擬人化されることも数多い。
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ウミグモ類は、名前にクモの字が付くが、クモ綱とは別のウミグモ綱に属する。クモ綱に含まれるクモ目以外のグループは、ダニ目、サソリ目、カニムシ目、ザトウムシ目など。クモ綱の中での系統関係は、必ずしも統一した見解がない。ザトウムシは、別名をアシナガグモ、メクラグモといい、クモと比較的外見が似ている。ウデムシ目もクモ目に近いとされることがある。
クモ目そのものの存在自体は、その単系統性という形で強く認められている。目全体で共有される特徴としては以下のようなものがある[9]。
クモ目の中での系統関係についても、各部に諸説があり、必ずしも確定してはいない。しかし次の三点は古くから認められている。
これらをかつては原蛛亜目・古蛛亜目・新蛛亜目としたが、現在ではキムラグモ類をハラフシグモ亜目として分け、残るものをまとめたクモ亜目にトタテグモ下目とクモ下目をたて、それらに当てる。
普通のクモ類(クモ下目)の中の分類では、上位分類のための形質として、さらに以下のような特徴が重視される。
以下に古典的な分類体系として八木沼(1986)の体系を示す。
しかし近年これを否定する考えが大きな支持を受け、分子系統学の発展もあって、分類体系に大きな変更の動きが続いている。特に、篩板を持つ群の扱いが大きく変化した。それによると、クモ類の主な部分を占める系統はかつて篩疣を持っていたのだが、そのうちのいくつかの系統で篩疣が消失し、しかも篩疣を失った系統が大発展を遂げたため、篩疣を持つものが比較的まとまって見えるだけで、実際には側系統群なのだという。このような新たな考え方に基づく分類体系は、科の配置を始めとして従来の分類体系と大きく異なり、中にはそれまで篩板類と無篩板類に分かれていたものが同一の科に含まれるようになるものすらある。これは一部では分子系統学にも支持されているが、すべてがこの考えに合致しているわけでもない。また、篩板の有無はやはりそれなりに重視されるべきとの考えもあり、統一見解はない。今後の研究の進展が待たれる。
小野(2009)による体系を示す。彼の立場は上記のような見直しをある程度支持しつつも、篩板は間疣から複数回にわたって生じたという可能性を示唆し、篩板を持つ群は多系統群ではあるが、やはり基本的な系統の違いを示すものとの見方に基づいている。
なお、下記のうち日本から記録のあるクモの科は64であり、これは全部のクモの科の数(115)の半分ほどでしかない。
Araneae クモ目
[ヘルプ] |
ウィキスピーシーズにクモ目に関する情報があります。 |
ウィキメディア・コモンズには、クモ目に関連するカテゴリがあります。 |
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※※ オーネスSP配合カプセル
====○膵臓性消化酵素TA ==== *主としてブタの膵臓から製した酵素で、でんぷん消化力、蛋白消化力、脂肪消化力を有する。活性pH域は、6.0〜9.0である。
リンク元 | 「100Cases 33」「100Cases 76」「100Cases 75」「リゾプス属」 |
拡張検索 | 「クモザル亜科」「クモ咬刺症」「ククモウイルス」「フェンプロクモン」「ヤクモソウ」 |
テンプレート:生物分類表 クモノスカビは、菌界・接合菌門・接合菌綱・ケカビ目・ケカビ科(あるいはユミケカビ科)に属するカビ(Rhizopus)の和名である。基質表面をはう菌糸の様子がクモの巣を思わせることから、その名がある。
クモノスカビは、湿った有機物表面に出現する、ごく普通のカビである。空中雑菌として出現することも多い。
体制はケカビに似ている。菌糸体は多核体の菌糸からなり、基質中に菌糸をのばすが、基質表面から気中へと匍匐菌糸をのばすのが特徴である。匍匐菌糸は基質の上をはい、基質につくとそこから菌糸をのばす。そのため、ケカビに比べると、コロニーの成長が早く、あっというまに広がる。基質の表面に広がる気中菌糸は、その表面に水滴がつき、きらきらと輝き、クモの網のように見える。
無性生殖は、胞子のう胞子による。胞子嚢柄は匍匐菌糸が基質に付着したところから出て、その下には仮根状菌糸が伸びる。胞子のう柄はほとんど分枝せず、先端に大きな胞子のうを1つつける。胞子のうは、ケカビのものによく似ているが、胞子のう柄の先端がすこし広がって胞子のうに続き、胞子のう内部の柱軸になめらかに続いている(ケカビでは、胞子のう柄は胞子のうのところでくびれる)。このような胞子のう直下のふくらみをアポフィシスと呼び、ケカビ目の属の分類では重要な特徴とされる。ただし、ユミケカビ(Absidia)ほど明瞭ではないので、見分けにくい場合もある。
胞子は、胞子嚢の壁が溶けることで放出される。はじめは壁がとろけてできた液粒の中に胞子が入った状態だが、すぐに乾燥し、柱軸も乾いて傘状に反り返り、その表面に胞子が乗った状態になる。クモノスカビの胞子はケカビなどにくらべて乾燥に強そうな、丈夫な表面を持ち、条模様が見られるのが普通である。
有性生殖は、ケカビと同じように、配偶子のう接合によって接合胞子のうを形成する。一部の種をのぞいては自家不和合性なので、接合胞子のうを見掛けることは少ない。接合胞子のう柄はH字型で、丸くふくらむ。接合胞子のうは黒褐色に着色し、その表面は凹凸がある。
クモノスカビは、基本的には腐生であるが、弱い寄生菌として、植物の病原体になる場合がある。食物の上に出現することも多い。モモなどの柔らかい果実について、その腐敗を早めることもある。
極めて成長が早いので、微生物の培養時にコンタミとしてこれが侵入すると、一夜にして全てを覆いつくす。胞子もよく飛ぶのでいやがられる。
他方、コウジカビを使う日本以外のアジア全域において、紹興酒などの酒の醸造で麹に用いられたり、インドネシアでは茹でた大豆に生やしてテンペ(Tempeh)という食品にする例がある。
100を越える種が記載されている。形態が単純で分類が難しい類でもある。実際の種数は十数種といわれる。
-クモノスカビ属
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