- 英
- uric acid, UA
- 同
- 2,6,8-トリヒドロキシプリン 2,6,8-trihydroxypurine
- 関
- 結石、アロプリノール、ウリカーゼ法、痛風、リンタングステン酸法
概念
物性
- 分子式:C5H4N4O3
- 溶解度:溶解度 70mg/L 水に不溶
- 構造式:
O
||
/C\ /N\
N C \
| || C=O
C C /
// \N/ \N/
O
解離定数
-NH-CO- (エノール型) ⇔ -NH-C(OH)- (ケト型) (FB.482)
ケト型の尿酸は電離しており、尿酸の電離型はpH↑で増加、pH↓で減少する。非電離型はpH↑で減少、pH↓で増加する。
物性のまとめ
- 温度が低いほど、pHが低いほど析出しやすい (GOO.706)
- → 腫瘍崩壊症候群における尿酸腎症を予防するために尿をアルカリ化して尿酸結晶の析出を防ぐし、末梢で尿酸結晶が形成されやすい。
生理作用
尿酸の合成系路
- 代謝の制御 (PPC.842)
de novo pathway
- the cellular level of PRPP is the most important determinant of de novo purine synthesis
- high de novo pathway activity increases purine turnover, resulting in higher plasma uric acid concentrations
salvage pathway
- increased salvage pathway activity leads to devrease de novo synthesis and reduced plasma uric acid level
- 1. increased scavenging activity depletes cells of PRPP, thus decreasing the rate of de novo purine synthesis
- 2. the salvage pathway leads to the generation of more ATP and GTP. Increased levels of these nucletide inhibit amidoPRT in a feedback manner, also resulting in decreasd de novo purine synthesis.
尿酸の排泄
参考1
- 4コンパートメントモデルによれば尿酸は(1)糸球体濾過の後、近位尿細管で(2)ほとんど全て再吸収され、(3)S2 segmentで50%が再分泌され、さらに(4)S3 segmentで再吸収されるという。
- 尿酸排泄に関わる運搬体:URAT1, Glut9. これらは有機酸トランスポーター(OAT)の一員である。
- 尿酸/有機酸陽イオン交換体(URAT1運搬体)は尿酸に特異的で有機酸トランスポーターとは別の運搬体である。11q13のSLC22A12遺伝子にコードされている。
- URAT1は近位尿細管管腔側の膜上に発現している。
- 乳酸、ニコチン酸、アセト酢酸、ヒドロキシ酪酸、などの有機酸が近位尿細管上皮細胞内に蓄積すると、尿細管腔から尿酸を取り入れて有機酸を排泄する。
- これが有機酸血症のときに高尿酸血症をきたす原因である。 → 飢餓(ケトン体増加)、von Gierke病(乳酸増加)のときに高尿酸血症をきたすのはこのため。
SP.807
- 近位尿細管上皮細胞の管腔側膜に尿酸を再吸収して有機酸を分泌するURAT1という交換輸送体が存在する。
- また管腔側膜にはナトリウムとアニオンを再吸収する共輸送体が存在する。
- 基底側膜には血管側から尿細管上皮細胞内にアニオンを取り込む有機アニオン輸送体 OATが存在する。
- 正常では尿酸の排泄率は10%、pyrazinoateを投与すると1%、プロベネシド(有機酸輸送の抑制薬)を投与すると50%となる。
- 上記のメカニズムが存在するため、近位尿細管でナトリウムの再吸収が亢進する状態、あるいは血液内に有機酸が豊富に存在する状況では尿細管上皮内におけるアニオンの濃度が上昇する。この結果、URAT1による有機酸の排泄、尿酸の再吸収が起こる事になる → 高尿酸血症
- 近位尿細管でのナトリウム再吸収が亢進する状態とは、利尿薬を使用した場合に起こるとされている。利尿薬の使用により組織灌流量が減少するので、RAA系の亢進あるいはNAの産生が増加し近位尿細管におけるナトリウムと水の再吸収が増加すると共に尿酸の再吸収も増加する(renal pathophysiology 3rd edition p.123)。
基準値
- 尿酸の血清尿酸値は男性より女性の方が低い。これはエストロゲンに関係する物質(estrogenic compounds)により尿酸輸送体が抑制されるためらしい。(参考1)
臨床関連
参考
- 1. [charged]Uric acid balance - uptodate [1]
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/07/08 17:50:22」(JST)
[Wiki ja表示]
尿酸 |
|
|
IUPAC名
7,9-dihydro-1H-purine-
2,6,8(3H)-trione
|
|
識別情報 |
CAS登録番号 |
69-93-2 |
PubChem |
1175 |
ChemSpider |
1142 |
UNII |
268B43MJ25 |
EINECS |
200-720-7 |
KEGG |
C00366 |
ChEMBL |
CHEMBL792 |
- O=C1\C2=C(/NC(=O)N1)NC(=O)N2
|
- InChI=1S/C5H4N4O3/c10-3-1-2(7-4(11)6-1)8-5(12)9-3/h(H4,6,7,8,9,10,11,12)
Key: LEHOTFFKMJEONL-UHFFFAOYSA-N
InChI=1/C5H4N4O3/c10-3-1-2(7-4(11)6-1)8-5(12)9-3/h(H4,6,7,8,9,10,11,12)/f/h6-9H[1]
InChI=1/C5H4N4O3/c10-3-1-2(7-4(11)6-1)8-5(12)9-3/h(H4,6,7,8,9,10,11,12)
Key: LEHOTFFKMJEONL-UHFFFAOYAN
|
特性 |
化学式 |
C5H4N4O3 |
モル質量 |
168g/mol |
外観 |
白色結晶 |
密度 |
1.87 |
融点 |
熱すると分解
|
沸点 |
N/A
|
水への溶解度 |
僅か |
酸解離定数 pKa |
5.8 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
尿酸(にょうさん、uric acid)は、分子式 C5H4N4O3、分子量 168 の有機化合物である。
目次
- 1 代謝経路
- 2 霊長類進化史と尿酸、ビタミンCとの関係
- 3 生体における尿酸
- 3.1 排泄物としての尿酸
- 3.2 痛風の原因物質
- 3.3 抗酸化物質としての尿酸
- 4 脚注
- 5 関連項目
代謝経路
尿酸は、キサンチンやヒポキサンチンのようなオキシプリンからキサンチンオキシダーゼ(キサンチンデヒドロゲナーゼ)によって合成される。ヒトや他の霊長類の多くでは、尿酸はプリン代謝の酸化最終生成物である。その他のほとんどの哺乳動物では、尿酸オキシダーゼ(EC 1.7.3.3)によって尿酸はさらにアラントインまで酸化される[2]。
尿酸は鳥類と爬虫類の多くの種で窒素代謝の最終生成物であり、それらの種では固体の尿として排出される。
霊長類進化史と尿酸、ビタミンCとの関係
霊長類のヒト上科では尿酸オキシダーゼが欠損すると共に、霊長類の直鼻猿亜目ではアスコルビン酸(ビタミンC)合成も欠損している[3]。これは尿酸が抗酸化物質として部分的にアスコルビン酸の代用となるためである[3]。尿酸とアスコルビン酸は強力な抗酸化物質(還元剤および酸化防止剤)である。ヒトでは、血漿中の約半分の抗酸化物質は尿酸から来ている。
なお、霊長類の進化は約6500万年前、白亜紀末期頃に始まったと考えられている[4]。
霊長類でL-グロノラクトンオキシダーゼ(ビタミンC合成酵素)の活性が失われたのは約6300万年前であり、直鼻猿亜目(酵素活性なし)と曲鼻猿亜目(酵素活性あり)の分岐が起こったのとほぼ同時である。ビタミンC合成能力を失った直鼻猿亜目にはメガネザル下目や真猿下目(サル、類人猿、ヒト)を含んでいる。ビタミンC合成能力を有する曲鼻猿亜目には、キツネザルなどが含まれる[5]。
霊長類の狭鼻下目であるヒト上科がオナガザル上科から分岐したのは、2800万年から2400万年前頃であると推定されている[6][7]。5種のヒト上科(テナガザル、オランウータン、チンパンジー、ゴリラ、ヒト)の肝臓から尿酸オキシダーゼ活性は検出されなかったが、ヒト上科以外の旧世界のサルと新世界のサルでは尿酸オキシダーゼ活性が検出された。ヒト上科の共通の祖先が旧世界のサルから分枝した際に、尿酸オキシダーゼ活性が消失したものと推定される[8]。尿酸オキシダーゼ活性の消失の意味付けは、尿酸が抗酸化物質として部分的にビタミンCの代用となるためである[3]。しかし、ヒトを含むヒト上科では、尿酸オキシダーゼ活性の消失により難溶性物質である尿酸をより無害なアラントインに分解できなくなっている。尿酸が体内に蓄積すると結晶化して関節に析出して痛風発作を誘発する[9]。
生体における尿酸
排泄物としての尿酸
尿酸は、鳥類や爬虫類の多くの種でタンパク質代謝における最終産物である窒素化合物で、それらの生物から排泄物として体外に出される。
一方、人をはじめとする哺乳類、両生類、軟骨魚類の場合には尿中の主要な窒素化合物は尿素、硬骨魚類の場合はアンモニアである[10][11][12][要高次出典]。
これは尿酸は尿素に比べ濃縮が可能であり、体内に一時的に保持するにあたって水分をあまり必要としないためで、乾燥への適応だと考えられる。また、硬い殻(閉鎖卵)を有する卵生の動物では、尿を殻の外に排泄できないため、アンモニアでは有害であり、尿素では浸透圧が高くなりすぎ、水にわずかしか溶けない尿酸の形で貯蔵することにより有害性と浸透圧の両方の問題を解決している[13][要高次出典](哺乳類でもカモノハシのように原始的な卵生の種は、卵の状態では尿酸の形で排出している)。尿酸は非水溶性であるため、鳥類や爬虫類の糞の白い部分は、糞ではなく尿である。
痛風の原因物質
ヒトではURAT1と呼ばれる尿酸トランスポーターにより近位尿細管で多く(約80%)が尿中から回収される。ヒトの血液中では尿酸濃度は3.6から8.3mg/dLである。菜食主義者は尿酸値が低いという報告がある[14]。血中の尿酸濃度が高くなる病気に高尿酸血症がある。尿酸は、水への溶解度が低いことから、低体温箇所で結晶化しやすくなり、また酸性下でも析出しやすくなり、これが痛風などにも関連する[15]。血液中の尿酸濃度はUAという略号で表されることが多い。
過剰な尿酸は、血管に炎症をもたらすことが近年の研究で判明しており、高尿酸血症は放置すべきではないとの論調が主流を占めつつある[16]。また高インスリン血症やメタボリックシンドロームは血中尿酸値を上昇させ、悪影響を来すことも研究がすすみつつある。
活性酸素と尿酸は、互いを打ち消しあう作用を持ち、どちらかが多すぎても少なすぎても、酸化ストレスや炎症をきたすことが示唆されている[17]。そのため、低尿酸血症も高尿酸血症も医療の介入が必要であると考えられている。
血液検査の参考基準値
項目 |
被験者のタイプ |
下限値 |
上限値 |
単位 |
備考 |
尿酸[18] |
|
0.18[19] |
0.48[19] |
mmol/L |
|
女性 |
2.0[20] |
7.0[20] |
mg/dL |
|
男性 |
2.1 [20] |
8.5[20] |
mg/dL |
|
抗酸化物質としての尿酸
尿酸はビタミンCよりもはるかに強力な抗酸化物質であり、体内に一定量存在することにはおおきな意義がある[21][22][要高次出典]。ヒトの血中に最も高濃度で存在する抗酸化物質は尿酸であり[23] 、ヒト血清中の抗酸化物質全体の約半分を占める[24]。尿酸は、運動ストレス時の抗酸化物質として作用する報告がある[25]。また、ショウジョウバエにおいて酸化傷害に対する防御機構として尿酸合成が亢進している可能性を示唆する報告もある[21][要高次出典]。
脚注
- ^ "Uric Acid." Biological Magnetic Resonance Data Bank. Indicator Information Retrieved on 18 February 2008.
- ^ Purine and Pyrimidine Metabolism(Eccles Health Sciences Library, Last modified 12/4/1997)
- ^ a b c Peter Proctor Similar Functions of Uric Acid and Ascorbate in ManSimilar Functions of Uric Acid and Ascorbate in Man Nature vol 228, 1970, p868.
- ^ 高井正成 霊長類の進化とその系統樹 (霊長類の進化を探る)
- ^ Pollock JI, Mullin RJ (May 1987). "Vitamin C biosynthesis in prosimians: evidence for the anthropoid affinity of Tarsius". Am. J. Phys. Anthropol. 73 (1): 65–70. doi:10.1002/ajpa.1330730106. PMID 3113259.
- ^ サルとヒトとの進化の分岐、定説より最近か ミシガン大 AFPBB News 2010年07月16日
- ^ Nature2010年7月15日号
- ^ Friedman TB, Polanco GE, Appold JC, Mayle JE (1985). "On the loss of uricolytic activity during primate evolution--I. Silencing of urate oxidase in a hominoid ancestor". Comp. Biochem. Physiol., B 81 (3): 653?9. PMID 3928241.
- ^ 高木和貴、上田孝典「腺酸分解酵素PEG化ウリカーゼの適応と意義」『高尿酸血症と痛風』18(2),2010,pp41-46
- ^ にょうそ【尿素】の意味 - 国語辞書(goo辞書)
- ^ 有馬四郎「兩棲類の發生初期の代謝終産物について : I.蛙尿の化學成分について」『動物学雑誌』61(9),1952-09-15,pp275-277 NAID 110002880447
- ^ 多様な生物たち(5) 更新日:2006/12/08
- ^ げのむトーク(31-40)
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- ^ 有病者の歯科治療20.痛風 信州大学医学部歯科口腔外科レジデント勉強会 2000.6.14 上原
- ^ 『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン』
- ^ 久留一郎 ほか, Hypertension Frontier 2001; Vol..4: 59-71.
- ^ Normal Reference Range Table from The University of Texas Southwestern Medical Center at Dallas. Used in Interactive Case Study Companion to Pathologic basis of disease.
- ^ a b Last page of Deepak A. Rao; Le, Tao; Bhushan, Vikas (2007). First Aid for the USMLE Step 1 2008 (First Aid for the Usmle Step 1). McGraw-Hill Medical. ISBN 0-07-149868-0.
- ^ a b c d Blood Test Results - Normal Ranges Bloodbook.Com
- ^ a b 根岸、友恵、鈴木利典、濱武有子、藤原 大「酸化傷害に対する内在性防御物質としての尿酸の役割」 研究期間2007年度~2008年度 (科学研究費助成事業データベース)
- ^ 痛風遺伝子の発見 ~痛風の主要病因遺伝子の同定は世界初:尿酸排泄トランスポーターABCG2~ [PRESS RELEASE] 2009年10月30日 東京大学医学部附属病院
- ^ Glantzounis G, Tsimoyiannis E, Kappas A, Galaris D (2005). "Uric acid and oxidative stress". Curr Pharm Des 11 (32): 4145 – 51. doi:10.2174/138161205774913255. PMID 16375736.
- ^ Becker BF (June 1993). "Towards the physiological function of uric acid". Free Radic. Biol. Med. 14 (6): 615–31. doi:10.1016/0891-5849(93)90143-I. PMID 8325534.
- ^ 三上俊夫「152.尿酸は運動ストレス時の抗酸化物質として作用する」『体力科學』49(6),2000-12-01,p742 NAID 110001949422
関連項目
- 尿素
- ロサルタン.....URAT1阻害作用がある。
抗酸化物質 |
|
アセチル-L-カルニチン (ALCAR) • α-リポ酸 (ALA) • アスコルビン酸 (ビタミンC) • カロテノイド (ビタミンA) • クルクミン • エダラボン • フラボノイド (クェルセチン、ケンフェロール、カテキン、EGCG、etc) • 没食子酸 • グルタチオン • ヒドロキシチロソール • ラドスチジル • メラトニン • N-アセチルシステイン (NAC) • N-アセチルセロトニン (NAS) • オレオカンタール • オレウロペイン • ラサギリン • レスベラトロール • セレギリン • セレン • トコフェロール (ビタミンE) • トコトリエノール (ビタミンE) • チロソール • ユビキノン (補酵素Q) • 尿酸
|
|
ヌクレオチドの代謝中間体 |
|
プリン代謝 |
同化
|
R5P→IMP: R5P · PRPP · PRA · GAR · FGAR · FGAM · AIR · CAIR · SAICAR · AICAR · FAICAR
IMP→AMP: アデニロコハク酸
IMP→GMP: キサンチル酸
|
|
異化
|
ヒポキサンチン · キサンチン · 尿酸 · 5-ヒドロキシイソ尿酸
|
|
|
ピリミジン代謝 |
同化
|
カルバモイルリン酸 · カルバモイルアスパラギン酸 · 4,5-ジヒドロオロト酸 · オロト酸 · オロチジン-5'-一リン酸 · ウリジル酸
|
|
異化
|
ウラシル: ジヒドロウラシル · 3-ウレイドプロピオン酸 · β-アラニン
チミン: ジヒドロチミン · β-ウレイドイソ酪酸 · 3-アミノイソ酪酸
|
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- 生活習慣病の認知/行動療法(<特集>認知/行動療法)
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- 心身医学 51(12), 1088-1097, 2011-12-01
- … わが国における食生活の欧米化とモータリゼーションの発展は,確実に高カロリー摂取と低エネルギー消費をもたらした.その結果,2型糖尿病,高脂血症,高尿酸血症,高血圧,冠動脈疾患が急増した.これらは,生活習慣がその発症と進展に深く関与していることから生活習慣病と呼ばれるようになった.欧米では生活習慣病に対して,薬物療法と並び,生活習慣の変容法が重要な治療として位置づけられている.その治療の中核を担 …
- NAID 110008761813
- フェノフィブラートの尿酸代謝とURAT1に及ぼす影響 (第128回成医会総会一般演題)
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- 痛風と核酸代謝 = Gout and nucleic acid metabolism 35(1), 91, 2011-07-01
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- 尿酸ナトリウム結晶に吸着するTHP-1細胞のタンパク質の解析
- 岩田 英信,金子 希代子
- 痛風と核酸代謝 = Gout and nucleic acid metabolism 35(1), 90, 2011-07-01
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[正答]
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[★]
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- 尿所見: pH 5.5、クレアチニン 80mg/dL、尿酸 34mg/dL。
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- 尿酸排泄率(FEUA)を求めよ。
- ただし、小数点以下第2位を四捨五入すること。
- ① 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9
- ② 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9
[正答]
※国試ナビ4※ [106I079]←[国試_106]→[ ]
[★]
- 右尿管結石症の腹部単純エックス線写真(別冊No.2)を別に示す。この結石の成分として最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107I015]←[国試_107]→[107I017]
[★]
- 55歳の男性。3日前から発熱と1日10回以上の水様性下痢とが持続している全身の脱力感と立ちくらみとがあり、歩行が困難となったため来院した。低下していると考えられる血液検査所見はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [099H017]←[国試_099]→[099H019]
[★]
- 血液検査項目とその検査結果が低値となる状態の組合せで正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107E018]←[国試_107]→[107E020]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [104I031]←[国試_104]→[104I033]
[★]
- インスリンの作用により血中濃度が低下するのはどれか。3つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [114F033]←[国試_114]→[114F035]
[★]
- 急性副腎不全時に血中で低下するのはどれか。 2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [105A012]←[国試_105]→[105A014]
[★]
- eGFRを求めるために血清クレアチニン値と性別の他に必要なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111C010]←[国試_111]→[111C012]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [098G038]←[国試_098]→[098G040]
[★]
- 血中濃度が多臓器不全の進行の指標となるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101B062]←[国試_101]→[101B064]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [101C026]←[国試_101]→[101C028]
[★]
- ☆case10 背痛
- ■症例
- 27歳 女性
- 主訴:背中に突き抜ける?痛み(pain across her back)
- 現病歴:背中に広がる痛みを訴えて、27歳の女性が救急部に運ばれてきた。2日前に熱が出て背部痛が始まり、以降調子が悪い。痛みは増強している。6時間前に2度嘔吐した。
- 既往歴:3ヶ月前に合併症のない胆嚢炎。
- ・身体診断
- 調子が悪そうであり、紅潮している。体温:39.2℃。脈拍:120/分。血圧:104/68 mmHg。心血管系、呼吸器系に異常を認めず。腹部:全体的に圧痛。両側の腰部で著明な圧痛。
- ・検査
- (血液生化学)
- 白血球↑、血清尿素↑、CRP↑
- (尿検査)
- タンパク:++、鮮血:+++、亜硝酸塩:++
- 尿の顕微鏡検査:(おそらく400倍の一視野に)赤血球>50、白血球>50
- 腹部X線:正常
- ■glossary
- loin n. (pl)腰、腰部(→(adj.)lumbar)。(獣の)腰肉、ロイン。(pl)陰部、生殖器、性器
- 腸雑音、腸音、intestinal murmur、intestinal sound、bowel sound
- urine microscopy 尿の顕微鏡検査
- dysuria 排尿障害
- urgency n. 切迫、急迫、危急。緊急、火急、焦眉の急。[pl]しつこい要求、懇願。せき立てる力、刺激
- hydronephrosis 水腎症
- -nephros 腎臓
- -stomy 開口術
- nephrostomy n. 腎瘻造設術、腎造瘻術、腎瘻術
- obstructive urophathy 閉鎖性尿路疾患
- intravenous fluid 静脈内輸液
- commence vt. 始める、開始する。 vi. ~から始める、始まる(with)
- urgently
- eradication n. 根絶、撲滅
- mimic vt. ~の物まねをする、まねて馬鹿にする。そっくりに[卑屈に]まねる。~によく似る
- renal ultrasound 腎臓超音波検査
- obstructive uropathy 閉塞性尿路疾患
- polycystic kidney disease 多発性嚢胞腎
- medullary sponge kidney 海綿腎
- loin-pain hematuria syndrome 腰痛血尿症候群
- ■解説
- (第1パラグラフ)疫学
- 急性腎盂腎炎:男性より女性でmore common。尿路からの細菌の上行感染。リスク:妊娠、糖尿病、免疫低下者、尿路奇形(尿の腎臓への逆流。そして多分、狭窄していたりして結石で閉塞されやすいこともあると思う)
- (第2パラグラフ)病態
- 食欲不振、悪心、嘔吐と共に40℃の発熱が出ることがある。
- 腎盂腎炎患者の中には膀胱炎の先行症状(排尿障害、頻尿、尿意切迫、血尿)がある人がいるけど、こういう下部尿路症状がいつも出現するわけではない。
- 多くの腎盂腎炎患者は、先行する6ヶ月以内の膀胱炎の既往がある。
- 老人の場合、非典型的な症状を示し、そして混乱した状態でやってくる。
- 腎盂腎炎は他の病態によく似ている:急性虫垂炎、急性胆嚢炎、急性膵炎、下葉の肺炎
- 普通、体表から見て腎臓の直上に前からも後ろからも圧痛を感じる。
- 未治療の腎盂腎炎では敗血症になるかもしれない。
- (第3パラグラフ)本ケースについて
- ・CRP上昇は急性感染症を示唆
- ・顕微鏡的血尿・タンパク尿、白血球増多は尿路の炎症を示す。
- ・硝酸塩(nitrate, HNO3と何かの塩)から亜硝酸塩(nitrite, HNO2と何かの塩)への還元により細菌の存在が確認される。
- 覚え方:亜硝酸は(Oが一つ)足らないi(愛)
- でも複雑です。
- HNO2 亜硝酸 nitrous acid, nitrite 。亜硝酸塩 nitrite
- HNO3 硝酸 nitric acid, nitrate 。硝酸塩 nitrate
- (第4パラグラフ)管理
- ・女性は入院すべき。
- ・血液と尿の採取
- ・静脈内輸液+抗生物質で治療開始。微生物が同定されたら、感受性のある抗菌薬を使用する。初期治療ではゲンタマイシン、アンピシリン、シプロフロキサシンを用いる
- ・腎臓エコー検査:尿路閉塞を除外するため。閉塞性尿路疾患では、激しい痛み、発熱、敗血症ショック、腎不全を伴う脳腎症を起こしうる。
- ・尿路敗血症の経過で水腎症が疑われたら、合併症を防ぐために緊急に腎瘻を造設すべき
- (第5パラグラフ)薬物治療
- ・(腎結石など合併していない)腎感染症(ucomplicated renal infection)患者は抗生物質2週間のコースで治療すべき。
- ・感染の根絶を確実にする治療が終わった後10-14日間は、反復して細菌培養をする。<
- ・尿路結石を有する感染症や腎瘢痕を有する患者では抗生物質6週間のコースが用いられる。
- ■鑑別診断のポイント
- 腎盂腎炎は片側性、あるいは両側性の腰痛を引き起こす。
- 腰部痛の鑑別診断:
- 閉塞性尿路疾患
- 腎梗塞:心疾患などで生じた血栓が腎動脈またはその分枝を閉塞し、その血管の支配領域が虚血性壊死に陥った状態。
- 腎細胞癌:腎尿細管上皮細胞より発生する悪性腫瘍
- 腎乳頭壊死:腎乳頭より腎髄質にかけて、その支配動脈の虚血により壊死を来したもの。 主として基礎疾患に糖尿病を有する人にみられ、しばしば急性腎盂腎炎などの尿路感染に伴って発症する。
- 腎結石:
- 糸球体腎炎:
- 多発性嚢胞腎:先天性かつ両側性に腎実質内に大小無数の嚢胞を発生する。 ほとんどが両側性で、貧血、顕微鏡的血尿、蛋白尿、高血圧といった症状を呈しながら腎機能が低下し、最終的には腎不全となる疾患
- 海綿腎:腎錐体における集合管の先天性嚢状拡張症。症状としては拡張した集合管に尿の停滞 → 感染・細かな結石ができる。
- 腰痛血尿症候群:若年女性に好発し、反復して出現する腰部から側腹部の強い疼痛と血尿を主徴とする病因不明の疾患。肉眼的血尿や軽度の蛋白尿がみられることもあるが、特異的な検査所見はなく、診断は他疾患の除外診断による
- ■KEYPOINT
- ・急性腎盂腎炎は下部尿路症状があったり無かったりする。
- ・腎臓超音波検査は尿路閉塞を否定するために、入院24時間後に行うべき。
- ・抗菌薬は、再発のリスクを最小限にするために、少なくとも2週間継続すべき。
- □閉塞性尿路疾患(http://merckmanual.jp/mmpej/sec17/ch229/ch229a.htmlより引用)
- □KUBの陰影から尿路結石成分の推定
- リン酸カルシウム(22.0)
- シュウ酸カルシウム(10.8):シュウ酸カルシウム結石は,尿路結石のうちで最も頻度が高く(70~80%),シュウ酸カルシウム結石の約半数はリン酸カルシウムとの混合結石である。
- リン酸マグネシウムアンモニウム(4.1):ストラバイト結石:尿素分解菌(Proteus 、Klebsiella 、Pseudomonas )による尿路感染が原因で、尿素が分解されアンモニアとなると尿がアルカリ性となり、リン酸マグネシウムアンモニウム結石が形成される。
- シスチン(3.7):ホモシスチン尿症
- 尿酸(1.4):痛風
- キサンチン(1.4):プリン体
- □多嚢胞腎
- 常染色体劣性多発性嚢胞腎:ARPKD
- 旧名:幼児型嚢胞腎
- 常染色体優性多発性嚢胞腎:ADPKD
- 旧名:成人型嚢胞腎
[★]
- 英
- urinary sediment
- 関
- 尿沈渣検査 urinary sediment examination、尿沈液
概念
- 尿中に含まれる各種の細胞、円柱、結晶、微生物などの有形成分。
- 尿沈渣の検査は腎・尿路系疾患の診断、進行度、予後の推定を目的に行う。
検体
- 検体は早朝起床時尿(早朝第一尿)の中間尿約10mL。早朝第一尿では円柱がみられやすい
- 検体は採尿後1時間以内になるべく早く観察 → 室温2時間以上放置すると細菌が増殖し、アルカリ化が進む。尿路感染が分からなくなるうえ、円柱や細胞が崩壊して観察できない。
- 古い尿やアルカリ性尿では血球、円柱、上皮細胞の崩壊が強く正しい判定ができないことがある。
- 女性の場合、月経時における血液の混入、腟分泌物の混入(中間尿を採るようにしてもらう)
方法
- 1. 新鮮尿10mLを尿沈渣用試験管にとり500Gで5分間遠心する
- 2. 上清を捨て残液約0.2mLとする
- 3. そのまま、あるいは尿沈渣用染色液を加えて混和する
- 4. 1滴(15μl)をスライドガラスに載せカバーガラスをかけ鏡検する
観察方法
- LPF(low power field 、弱拡大、100倍):3.14 mm2、7.27ul
- HPF(high power field、強拡大、400倍):0.196 mm2、0.45ul
病的所見
- 赤血球と白血球はそれぞれ5/HPF以上、硝子円柱は1/HPF以上、上皮細胞性円柱、顆粒円柱、蝋様円柱、脂肪円柱、赤血球円柱、白血球円柱の各種円柱類、異常結晶(ビリルビン、チロジン、ロイシン、コレステロール、シスチン、2,8-ジヒドロキシアデニンなど)、細菌、真菌、原虫、虫卵、腫瘍細胞の出現
判断基準
赤血球
|
≧5個/HPF
|
白血球
|
≧5個/HPF
|
上皮細胞(正常)
|
扁平上皮細胞をのぞく全て(移行上皮、尿細管上皮、円柱上皮)
|
上皮細胞(異常)
|
すべて(卵円系脂肪体、多核巨細胞、封入体細胞)
|
異型細胞
|
癌細胞
|
大食細胞
|
≧1個/HPF
|
円柱
|
<1個/HPFの硝子円柱をのぞく全て
|
粘液系
|
≧1+
|
結晶
|
病的結晶(シスチン、チロシン、ロイシン、ビリルビン、コレステロール、DHA結晶)。正常結晶(尿酸結晶)で≧2+の時
|
細菌
|
≧1+(>/HPFの桿菌)
|
真菌
|
すべて
|
原虫
|
すべて
|
寄生虫
|
すべて
|
OLM.53
尿沈渣成分の基準値
|
|
強拡大視野あたり(/HPF)
|
赤血球数
|
1/4-7≧
|
白血球数
|
1-2/4-7≧
|
上皮細胞数
|
1/10≧
|
円柱
|
1/20≧
|
結晶 (LAB.217)
- アルカリ性尿で見られる血症はウレアーゼ産生菌のプロテウスやクレブシエラなどによる尿路感染症でみられるが、正常尿でも見られうる。
病的意義のある結晶
急性腎不全を背景とする場合
円柱 (LAB.214)
- 硝子円柱は正常でも見られるので病的意義はない。尿量の少ないとき、運動後や利尿薬の使用時にみられる。
[★]
- ☆case16 膝の痛み
- ■glossary
- indigestion 消化障害、消化不良
- ■症例
- 80歳 男性
- 主訴:左膝の痛みと腫脹
- 現病歴:左膝の痛みを2日前から認めた。膝は発熱・腫脹しており、動かすと疼痛を生じる。時々胸焼けと消化不良が見られる。6ヶ月前のhealth checkで、高血圧(172/102mmHg)と血中クレアチニンが高い(正常高値)こと以外は正常といわれた。その4週間数回血圧を測定したが、高値が継続したため、2.5mg bendrofluamethizide(UK)/ベンドロフルメチアジドbendroflumethiazide(US)で治療を開始した。最近の血圧は138/84 mmHgであった。
- 喫煙歴:なし。
- 飲酒歴:一週間に平均4unit。
- 既往歴:股関節に中程度(mild)の変形性関節症
- 家族歴:特記なし
- 服薬歴:アセトアミノフェン(股関節の疼痛に対して)
- 身体所見 examination
- 血圧 142/86mmHg。体温37.5℃。脈拍88/分。grade 2 hypertensive retinopathy(高血圧症性網膜症)。心血管系、呼吸器系に検査場異常なし。手にDIPにヘバーデン結節なし。
- 左膝が発熱し腫脹している。関節内に液、patellar tap陽性。90℃以上膝関節を屈曲させると痛みを生じる。右の膝関節は正常に見える。
- 検査 investigation
- 生化学:白血球増多、ESR上昇、尿素高値、グルコース高値
- 単純X線:関節間隙やや狭小。それ以外に異常は認めない。
- ■problem list
- #1 左膝の痛み
- #2 胸焼け
- #3 消化不良
- #4 高血圧
- #5 クレアチニン正常高値
- #6 股関節の変形性リウマチ
- #7 高血圧性網膜症
- ■考え方
- ・関節痛の鑑別診断を考える。
- ・VINDICATEで考えてみてもよいでしょう。
- ・関節痛の頻度としては 外傷>慢性疾患(OAなど)>膠原病>脊椎疾患>悪性腫瘍
- ■関節痛の鑑別疾患
- DIF 282
- V Vascular 血友病 hemophilia, 壊血病 scurvy, 無菌性骨壊死 aseptic bone necrosis (Osgood-Schlatter diseaseとか)
- I Inflammatory 淋疾 gonorrhea, ライム病 lyme disease, 黄色ブドウ球菌 Staphylococcus, 連鎖球菌 Streptococcus, 結核 tuberculosis, 梅毒 syphilis, 風疹 rubella, 単純ヘルペス herpes simplex, HIV human immunodeficiency virus, サイトメガロウイルス cytomegalovirus
- N Neoplastic disorders 骨原性肉腫 osteogenic sarcoma, 巨細胞腫 giant cell tumors
- D Degenerative disorders degenerative joint disease or 変形性関節症 osteoarthritis
- I Intoxication 痛風 gout (uric acid), 偽痛風 pseudogout (calcium pyrophosphate), ループス症候群 lupus syndrome of hydralazine (Apresoline) and procainamide, gout syndrome of diuretics
- C Congenital and acquired malformations bring to mind the joint deformities of tabes dorsalis and syringomyelia and congenital dislocation of the hip. Alkaptonuria is also considered here.
- A Autoimmune indicates (多い)関節リウマチ RA (可能性)血清病 serum sickness, 全身性エリテマトーデス lupus erythematosus, リウマチ熱 rheumatic fever, ライター症候群 Reiter syndrome, 潰瘍性大腸炎 ulcerative colitis, クローン病=限局性回腸炎 regional ileitis, 乾癬性関節炎 psoriatic arthritis (老人であり得る)リウマチ性多発筋痛症 polymyalgia rheumatica
- T Trauma 外傷性滑膜炎 traumatic synovitis, tear or rupture of the collateral or cruciate ligaments, 亜脱臼 subluxation or laceration of the meniscus (semilunar cartilage), 脱臼 dislocation of the joint or patella, a 捻挫 sprain of the joint, and fracture of the bones of the joint.
- E Endcrine 先端肥大症 acromegaly, 閉経 menopause, 糖尿病 diabetes mellitus
- ■答え
- 骨格筋系-関節炎-単関節炎-急性単関節炎
- 痛風 尿酸 → 発熱、ESR↑、白血球↑
- 偽痛風 ピロリン酸カルシウム
- 高齢女性でチアジド系利尿薬の使用により痛風が誘発されやすい。特に腎機能低下、糖尿病の人はこのリスクが高まる。
- ■(BSTからの知識「)循環器領域での利尿薬
- ・心不全の治療において、循環血漿量を減らし、心臓の前負荷を軽減する。
- ・利尿薬は高尿酸血症を起こす。(けど、心不全の治療において高尿酸血症になったからといって痛風を発症している患者はみたことない)
- ・電解質異常を起こしやすいので、血液生化学の検査でモニタして注意する。たとえば低Kで不整脈のリスクが高まる。
- ・チアジド系の利尿薬は血糖を上げるし、尿酸を上げる
- ・長期の使用で腎機能を低下させる
- ■initial plan
- Dx 1. 関節液の吸引:関節液の一般検査、生化学検査、培養検査、
- ・白血球が増加していれば急性炎症性であることを示す。
- ・偏光顕微鏡で関節液を検鏡する。
- ・尿酸の結晶:針状結晶。negatively birefringent
- ・ピロリン酸カルシウムの結晶:positively birefringent
- Tx 1. 関節液の吸引:炎症が軽度改善
- 2. NSAIDによる疼痛管理
- 3. PPI:NSAID潰瘍を予防するため
- 4. ACE inhibitorの導入
[★]
- poly(多) + cyt(細胞) + mia(血症) vera(真性?)
- ラ
- polycythemia vera PCV PV
- 同
- 真性赤血球増加症、真性赤血球増多症
- オスラー病 Osler disease,オスラー・ワーケ病 オスラー-ヴァケー病 Osler-Vaquez disease,ヴァケー病 Vaquez disease
- 関
- 骨髄増殖性疾患(MPD)
概念
- 慢性骨髄増殖性疾患の一つ。
- 多能性血液幹細胞の腫瘍性増殖により、赤血球数の絶対的増加と循環赤血球量の増加を呈する。
- 赤血球の他に、白血球、血小板も増加するが、リンパ球は増加しない。
病因
- 多能性幹細胞の異常により、血球が腫瘍性に増殖することが原因とされる。
疫学
- 新患発生数:100万人対2人/年
- 50-60歳に多い。
症状
- 循環赤血球量の増加 → 循環血液量の増加+血液粘稠度の亢進:循環障害による頭痛、めまい、耳鳴り、倦怠感、知覚異常、呼吸困難など → 高血圧、狭心症・心筋梗塞、間欠性跛行
- 血球の増加:脾腫(70%の症例)、赤ら顔(口唇、頬部、鼻尖、耳) →肝臓や脾臓の腫大は髄外造血による
- 骨髄
- ヒスタミンの放出:皮膚の掻痒感、消化性潰瘍
- 尿酸の放出増加:高尿酸血症 → 痛風
検査
- 赤血球:増加
- 白血球:増加
- 血小板:増加
- リンパ球:正常
血液生化学
遺伝子検査
特殊検査
- 循環赤血球量:増加(男性36 mL/kg以上、女性32 mL/kg以上) ← RIを使うはず
骨髄穿刺
鉄代謝
診断
- インスリン様成長因子Iに対する感受性の亢進、Bcl-2ファミリーに属するBcl-XLの発現亢進、エリスロポエチン受容体の発現パターンの異常、トロンボポエチン受容体の発現低下、チロシンホスファターゼの発現異常、エリスロポエチン受容体遺伝子の異常
診断基準
2008年WHOによる真性多血症診断基準
|
大基準
|
1. Hb>18.5g/dl(男性)、>16.5/dl(女性) もしくは 年齢、性別、住居している緯度から換算したHbかHtが9.9%以上増加している もしくは Hb>17g/dl(男性)、>15g/dl(女性)で鉄欠乏性貧血などの改善以外にHbが本人の基準値よりも2g/dl以上持続上昇している もしくは 赤血球数が予想値の25%を超えて上昇している
|
2. Jak2V617Fかもしくは同様の変異が存在する
|
小基準
|
1. 骨髄の3系統が増生を示す
|
2. 血清エリスロポイエチンがおおよそ正常値を示す
|
3. 内因性の赤芽球コロニー形成を認める
|
鑑別診断
治療
- 治療目標:生命予後は良好であり、10年生存率は50%異常が期待できる。合併症となる血栓症の予防が主眼となる。
- 瀉血:Ht 42-47% ← 血管閉塞症の頻度が低下する
- 血圧や脈拍の経過を見ながら月1-2回、1回200-400ml程度で行う。
- 高齢者や心血管障害を有する例では1回100-200ml頻回の瀉血が望ましい
- 抗血栓療法:血栓症の既往、もしくはリスクが高いときには抗血小板薬を処方。
- 抗癌薬投与:ヒドロキシウレアが第一選択で、不応例や不耐例の場合はルキソリチニブ。以前は40歳以上ではブスルファンとされていた。
- 放射性同位体:32P
- 高尿酸血症を有する場合にはフェブリクやアロプリノールを処方。
血栓症リスク
- Barbui T, et al.(J Clin Oncol. 2011 ; 29 : 761)
リスク分類
|
予後因子
|
低リスク
|
年齢<60歳、かつ血栓症の既往なし
|
高リスク
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年齢≧60歳、または血栓症の既往がある
|
予後
- 生存は平均6-10年。5年生存率約75%, 10年生存率約55%
- 主な死因は、消化管出血や脳血管障害
長期生存
- 25%の症例で骨髄線維症へ移行
- まれに急性白血病を発症。32Pによる治療を受けた患者に多い
USMLE
- Q book p.245 32
- first aid step1 2006 p.278
国試
参考
- 総論 - 造血器腫瘍診療ガイドライン - 造血器腫瘍診療ガイドライン
http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/1_4.html#soron
- PV瀉血療法後のHt目標値を45%にすることは勧められるか
http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/1_4.html#cq7
- 真性多血症の治療ガイド - ノバルティスファーマ株式会社
http://product.novartis.co.jp/jak/tool/JAK00193GG0002.pdf
[★]
- 英
- syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone, (国試)SIADH
- syndrome of inappropriate secretion of antidiuresis, SIAD
- 同
- 抗利尿ホルモン不適合分泌、ADH不適合分泌症候群 inappropriate antidiuretic hormone secretion inappropriate secretion of antidiuretic hormone syndrome inappropriate ADH syndrome IADHS、シュワルツ・バーター症候群 Schwartz-Bartter syndrome。抗利尿ホルモン分泌異常症。不適切ADH分泌症候群
- syndrome of inappropriate ADH、syndrome of inappropriate ADH secretion、syndrome of inappropriate antidiuretic hormone、syndrome of inappropriate antidiuretic hormone secretion、syndrome of inappropriate diuresis、syndrome of inappropriate secretion of ADH、syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone
- 関
- バソプレシン AVP
病因
- 1. 抗利尿ホルモンが分泌される血漿浸透圧の閾値が異常となっている ← セットポイントの異常
- 2. 何らかの原因によって、恒常的に抗利尿ホルモンが分泌されている
HIM.2222改変
- 癌腫:肺、十二指腸、膵臓、卵巣、膀胱・尿路系
- その他:胸腺腫、中皮腫、気管支腺腫、カルチノイド、gangliocytoma、ユーイング肉腫
- 頭部外傷
- 感染症
- 血管障害
- 神経疾患
- 先天奇形
- 代謝異常
- 薬剤性
病態生理
- なぜ、waterのreabsorptionが増えるにもかかわらず、血圧が上昇しないの?
- HIM.2222
- 何らかの原因による不適切な抗利尿ホルモンの分泌 → 水の過剰な保持 →
- 1. → 細胞外液の増加 → (1)糸球体濾過量の増加と心房性利尿ペプチドの分泌、(2)レニン活性の抑制(supresses plasma renin activity)、(3)尿ナトリウム排泄の増加
- 細胞外液の増加を相殺しているが、その代償としてナトリウムを喪失し、低ナトリウム血症の増悪に繋がっている。 ← このために血圧は正常で、浮腫も起きないし、体液量も増えないと。
- 2. → 低ナトリウム血症 → 脳を含めた全身の細胞内液の増加 → 頭蓋内圧が亢進 → 急性水中毒症状
- 2-3日で脳の組織から水が排除されて症状が寛解する。
- 上記メカニズムに追加。
- 3. 1.の通り、循環血漿量の増加を招き、RAA系抑制などが起こる → 近位尿細管でのNa、水吸収低下(近位尿細管でのNa再吸収にはアンジオテンシンIIが関与) → 尿酸の再吸収低下、尿排泄増加(近位尿細管での挙動はNa、水と同じ、らしい) → 低尿酸血症
症状
- 低ナトリウム血症に基づくもの
- 尿量は変化がない ← 水の再吸収が亢進しているため??
検査
診断基準
- 1.低ナトリウム血症:血清ナトリウム濃度は135mEq/Lを下回る。
- 2.血漿バゾプレシン値:血清ナトリウムが135mEq/L未満で、血漿バゾプレシソ値が測定感度以上である。
- 3.低浸透圧血症:血漿浸透圧は280mOsm/kgを下回る。 ← 基準値:275-295 mOsmol/kg serum water(HIM.A)
- 4.高張尿:尿浸透圧は300mOsm/kgを上回る。 ← 基準値:50-1200 mOsm/l (QB) , 500-800 mOsmol/kg water(HIM.A)
- 5.ナトリウム利尿の持続:尿中ナトリウム濃度は20mEq/L以上である。
- 6.腎機能正常:血清クレアチニンは1.2mg/dl以下である。
- 7.副腎皮質機能正常:早朝空腹時の血清コルチゾールは6μg/dl以上である。
鑑別診断
治療
- 参考1
- 1.根治療 : 原疾患の治療を行う。
- 2.水分摂取制限: 1日の総水分摂取量を体重1 kg当り15~20 mlに制限する。
- 3.Na摂取 :食塩を経口的または非経口的に1日200 mEq以上投与する。
- 4. 自由水排泄 :重症低ナトリウム血症(120 mEq/L以下)で中枢神経系症状を伴うなど速やかな治療を必要とする場合はフロセミドを随時10~20 mg静脈内に投与し、尿中ナトリウム排泄量に相当する3%食塩水を投与する。その際、橋中心髄鞘崩壊を防止するために1日の血清ナトリウム濃度上昇は10 mEq/L以下とする。
- 5.ADH拮抗阻害薬:異所性バゾプレシン産生腫瘍に原因し、既存の治療で効果不十分な場合に限り、成人にはモザバプタン塩酸塩錠(30 mg)を1日1回1錠食後に経口投与する。投与開始3日間で有効性が認められた場合に限り、引き続き7日間まで継続投与することができる。
- 6.ADH拮抗阻害薬:デメクロサイクリンを1日600~1,200 mg経口投与する。
- 注意:急速な低Na血症の補正は橋中心髄鞘崩壊 CPMをきたす。
- ADH拮抗薬としては抗菌薬のデメクロサイクリン(レダマイシン)や抗てんかん薬のジフェニルヒダントイン(フェニトイン)が使われることがあった
参考
- http://square.umin.ac.jp/endocrine/tebiki/001/001008.pdf
国試
- 同
- 不適切ADH分泌症候群
[★]
- 英
- methylhippuric acid, MHA
- 関
- キシレン
[★]
- 英
- uricaciduria, uricosuria
- 関
- [[]]
[★]
- 英
- hyperuricemic
- 関
- 高尿酸血症
[★]
レッシュ・ナイハン症候群
[★]
- 英
- acid
- 関
- 塩基
ブランステッド-ローリーの定義
ルイスの定義