交差適合試験 血液交差適合試験 crossmatch cross-matching
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/05/21 16:45:44」(JST)
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交差適合試験(こうさてきごうしけん)は輸血に伴う副作用を防止するために行われる検査である。クロスマッチテスト (cross-match test) ともいう。受血者(患者)の血液と供血者(ドナー)の血液を混合して反応の有無をみるもので、ABO式血液型の不適合や、その他の血液型に対する免疫抗体 (IgG)を検出できる方法を用いる必要がある。
交差適合試験には、受血者血清中に供血者血球に対する抗体があるかどうかを調べる主試験と、供血者血清中に受血者血球に対する抗体があるかどうかを調べる副試験がある。このうち副試験は、受血者の血液型、供血の血液型及び不規則抗体の検査が正しく行われている場合には省略することができる。
試験の結果、陰性(反応なし)であれば輸血が可能である。陽性、すなわち凝集または溶血反応が確認されれば抗体が存在することを意味する。この場合、供血者血液が受血者体内に入ることにより免疫反応が起こるため、原則として輸血を行うことはできない。
主試験と副試験の結果が合致しなかった場合は他の血液を使用することが望ましいが、緊急時には主試験の判定を優先する。
イヌは自然抗体を保有しないので、供血犬、受血犬両者が献血経験を持たない場合は交差適合試験の必要はない。
検査法
交差適合試験の主な方法として、以下が挙げられる。
- 生理食塩液法
- 生理食塩液を使用する。陽性時は自然抗体 (IgM) の存在が考えられる。ABO式血液型不適合などの可能性がある。
- 間接抗グロブリン法
- 陽性の場合はABO式血液型以外の血液型に対する免疫抗体 (IgG) の存在などが考えられる。
- 酵素法
- ブロメリンなどが使用される。特にRh式血液型抗原に対する免疫抗体 (IgG) の検出感度が高い。
関連項目
- 血液型
- ヒト白血球型抗原(HLA型、白血球の血液型)
- Rh因子
参考文献
- 「cross match(-ing) 交差適合試験 クロスマッチ」常用輸血医学用語集、日本輸血・細胞治療学会
- 「交差適合試験」輸血検査の実際、北海道赤十字血液センター
- 「輸血検査」検査マニュアル、琉球大学附属病院検査部
- 「血液型判定・交差試験方法」福井大学医学部附属病院輸血部
- 「血液型検査」血液学ノート、立川察理
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Japanese Journal
- PS-025-7 成人生体肝移植において血液型一致かつリンパ球クロスマッチ陰性にもかかわらず液性拒絶で死亡した2症例の検討(PS-025 肝 移植-1,第112回日本外科学会定期学術集会)
- 田中 真之,河地 茂行,田邉 稔,板野 理,尾原 秀明,篠田 昌宏,北郷 実,松原 健太郎,半田 寛,谷 紀幸,下島 直木,渕本 康史,星野 健,黒田 達夫,北川 雄光
- 日本外科学会雑誌 113(臨時増刊号_2), 543, 2012-03-05
- NAID 110009548899
- 松本 いつか,若松 朋大,川崎 達也,久田 正直
- 医学検査 : 日本臨床衛生検査技師会誌 = The Japanese journal of medical technology 59(7), 877-880, 2010-07-25
- NAID 10027594059
- 寒冷凝集素症患者に対し安全に腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行しえた1例
- 畑 啓昭,岩間 英明,奥知 慶久,西川 元,小木曽 聡,山口 高史,大谷 哲之,土屋 宣之,大和 俊夫,小泉 欣也
- 日本消化器外科学会雑誌 43(5), 519-523, 2010-05-01
- … は十分な注意が必要である.本症例では,CADの急性増悪時の治療の文献や,術中体温管理・輸血準備の文献などを参考に,術前からの寒冷凝集素症の治療,寒冷の回避,症例に応じた血漿交換,エリスロポエチン製剤の使用,準備血液のクロスマッチによる最善の候補血液の確保,手術室での体温保持などを準備し,血漿交換以外の対策を行い無事に手術を施行しえたので,CAD患者に対する手術時の周術期管理法もまとめて報告を行う. …
- NAID 110007619510
Related Links
- 輸血が可能か否かを判断するための検査のこと。交差適合試験、クロスマッチテストともいう。患者の血液とドナーの血液を混合して反応の有無をみるものであり、反応がなければ輸血が可能、混合した血液が凝集や溶血反
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★リンクテーブル★
[★]
- 血液検査項目の組合せで、2回に分けて採血すべきなのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109F002]←[国試_109]→[109F004]
[★]
- ☆case84 嘔吐
- ■症例
- 32歳 男性
- 主訴:
- 現病歴:2 amにからり酔っぱらって救急部に受診。11.45 pmに気分が悪くなり2度嘔吐。嘔吐物は最初は苦く感じられ、それは食べ物と2Lのビールであった。1時間程度後に、何度か猛烈に吐き気を催した。1 amに鮮赤血を吐いた(bright red blood)。患者が言うには最初は少量だったが、2回目にはかなり多い量であった。服用薬なし。時々マリファナを吸う。タバコ1日10本、アルコール2-3 unit/week
- 既往歴:特記なし
- 家族歴:特記なし
- 生活歴:
- ・身体診断
- 酔っぱらっているように見える。口の周りに乾燥した血液の付着を認める。脈拍:102/分。(臥位(lying))血圧:134/80 mmHg。立位でも血圧の変化は認められない。心血管系、呼吸器系に異常を認めず。腹部:上腹部(心窩部)にわずかに圧痛。
- ・検査
- (血液生化学)
- 異常なし
- ■解説
- (第1パラグラフ)
- もっともな診断は、下部食道もしくは胃上部における吐血を引き起こす粘膜の裂傷である(Mallory-Weiss lesion/Mallory-Weiss tear/Mallory-Weiss laceration)。激しい嘔吐やむかつきによる機械的な外傷で生じる。本症例では、なれない大量飲酒によって生じた。
- (第2パラグラフ)
- 患者の話から出血量を見積もるのは難しい。吐血はびっくりするような出来事であり、吐血の量を多く見積もりがちである。ヘモグロ分派性状であり、急性の出血では吐血量を見積もる手がかりにならない。急性期にヘモグロ分が低ければ慢性の出血をほのめかす。著しい失血の最初のサインは頻脈と起立時の血圧低下であることがある。本症例の彼の脈波速いが、これは不安と関連しているのかもしれない。
- (第3パラグラフ)
- 吐血の他の原因は胃炎か消化性潰瘍である。何度か血液を含まない胃内容物のむかつきと嘔吐の話はマロリーワイス症候群に特徴的である。この疾患は普通介入を必要としない良性の病態である。確定診断は上部消化管内視鏡を必要とするが、典型的な症例ではいつも必要になるわけではない。時に、出血がもりひどかったり、壁の解離が粘膜より深いこともあり、穿孔につながる。
- (第4パラグラフ)
- この症例の管理は注意深い観察、嘔吐で失われた体液を戻すための静脈内輸液である。出血が激しい場合には血液型検査のために採血するが、輸血は必ずしも必要ない。彼は生徒大とH2 blockerで治療された。嘔吐は収まりそれ以上の出血も見られなかった。彼は将来のパーティでは通院しすぎないように決めた。
- ■管理(内科診断学 第2版 医学書院)
- ①本疾患の大多数は安静、絶食、制酸薬・粘膜保護薬の投与で保存的に治療できる。
- ②輸血が必要なほどの貧血は稀である。
- ③内視鏡検査時に出血している症例に対しては内視鏡的止血術を行う。
- ④クリッピング法(図4-89) [図] 、純エタノール局注法、アルゴンプラズマ凝固(APC)法などさまざまあるが、いずれの方法でも良好な止血成績を得られる。
- ■鑑別診断 (内科診断学 第2版 医学書院 p.843)
- ・特発性食道破裂(ブールハーフェ症候群)
- ・逆流性食道炎
- ・食道静脈瘤破裂
- ・出血性胃潰瘍
- ・急性胃粘膜病変(AGML)
- ■KEYPOINT
- ・吐血の前の血液を伴わない激しい嘔吐とむかつきの既往は、上部消化管の裂傷を示唆する。
- ・患者は血液の量を見積もるのが困難と分かるので、吐血で失われた失血の程度は多糸かでないし、消化管の中にとどまっている血液の量は分からない。
- ・アルコールは救急入院の約1/4と直接の連関があるという研究がある。
- □マロリーワイス症候群(内科診断学 第2版 医学書院)
- 嘔吐などにより腹腔内圧が急激に上昇して噴門部近傍に裂創が発生し、これを出血源として顕出血をきたしたもの。30-50歳代の男性に多く、全消化管出血例の約3-15%を占める。 アルコール多飲が原因となることが多いが、ほかに妊娠悪阻、乗り物酔い、脳腫瘍や髄膜炎、医原性のものとしては上部消化管内視鏡検査や心肺蘇生術など、原因となるものは種々である。 ②嘔吐などにより急激に腹圧が上昇すると、急激に胃内圧が上昇し、これにより食道胃接合部近傍に裂創が生じる。
- □吐血 hematemesis (内科診断学 第2版 医学書院)
- コーヒー残渣用の吐血 melanemesis
- 鮮血の吐血 hematoemesis
- □急性胃粘膜病変 acute gastric mucosal lesion AGML
- 急性胃炎の劇症型であり、急速に起こる腹痛(時に、吐血、下血)をきたし、潰瘍・びらん・出血が混在した病態を呈する。
- 病因はアルコール、薬物(アスピリン、ステロイド)、薬品、ストレス、食物(激辛食品など)、アニサキス、中枢神経系障害、熱傷、外科手術
- ■glossary
- inebriate
- vt. (人)を酔わせる(make drunk)。~を有頂天にする
- adj. 酔っぱらいの、大酒飲みの
- n. 酔っぱらい、大酒飲み
- pint n. (液体の単位)1パイント = 1/2クオート=(米)28.8753 inch cube = 0.473 liter = (英) 0.568 liter = 約500cc
- retch
- vi. むかつく、吐き気を催す、無理に吐こうとする
- vt. 吐く
- n. むかつく。ヒック(吐き気を催すときの音)
- lager n. ラガー(ビール)(貯蔵ビール;日本の普通のビール)
- violently adj. 激しく、猛烈に
- drunk adj. (pred)酔って。(fig)酔いしれて
- epigastrium n. 上腹部、心窩部
- blood grouping 血液型判定、血液型検査
- indulge
- vt. ~にふけらせる。気ままにさせる、(子どもを)甘やかす。(欲求などを)思いのままに満たす。喜ばせる、楽しませる。
- vi. (快楽・趣味などに)ふける、身を任す(in)。(略式)たらふく食べる、痛飲する。(~に)従事する。(好ましくないことに)かかわる(in)
- □Hematemesis and Melena(Differential Diagnosis in Primary Care 4th)
- ・吐血か喀血を見分けたい場合はnitrazine paperを使って判定
- ・身体開口部(body orifice)からの出血を鑑別するとき解剖学的なアプローチがよい。
- (食道)
- ・静脈瘤、逆流性食道炎、癌腫、マロリーワイス症候群。
- ・外来異物も忘れるな。
- ・先天性まれな病因として異所性胃粘膜によるバレット食道炎と潰瘍もある。
- ・大動脈瘤、縦隔腫瘍、肺癌が食道を潰瘍化させ出血させることもある。
- (胃)
- ・炎症:胃炎と胃潰瘍。アスピリンとアルコールも良くある原因
- ・幽門部静脈瘤で出血するかもしれない
- ・出血がひどく、他の原因が見つからなければ血液疾患を検索する。
- (診断への道)
- ・吐血の確固たる証拠がある時、内視鏡をつかえる状況にあれば問診とか検査で無駄な時間を使わずに内視鏡で診断&治療をやってしまえ。
- ・血液型検査、血液のクロスマッチ?して輸血の準備、凝固能検査など鑑別に必要な検査をやりなさい。内視鏡検査の準備をしている間に、アルコール、アスピリン、そのほかの薬品の服用、潰瘍の既往、食道疾患既往を聴け
- ・ひどい出血や最近の急な吐血の既往がなければ(内視鏡を使わずに?)伝統的なアプローチでも良い
- ・吐血の前に血液を伴わない嘔吐があればマロリーワイス症候群の診断の助けとなる。
[★]
- 英
- crossmatching test
- 同
- 血液交差適合試験 blood cross-matching procedure、クロスマッチ試験 cross-matching test、クロスマッチ cross-matching
- 関
- 交差試験、blood typing
概念
- 不適合輸血を防ぐための検査。
- 輸血前に行われ、ABO型血液型、Rho(D)抗原の検査とは別の時点で採血した献体を用いる。
- 主試験は必ず実施
|
供血者
|
受血者
|
目的
|
主試験
|
major cross-match
|
血球
|
血清
|
輸血する血球の型を調べる
|
副試験
|
minor cross-match
|
血清
|
血球
|
輸血する血清中の抗体を調べる。
|
交差適合試験の省略
- 供血者の血液型検査を行い、間接抗グロブリン抗体を含む不規則抗体スクリーニング検査が陰性であり、かつ患者の血液型検査が適正に行われていれば、ABO同型血使用時の副試験は省略しても良い。
- 輸血用血液の不規則抗体スクリーニングは血液センターで実施され陰性のものが供給されていること、またPC、FFP中に赤血球はほとんど含まれていないことから、 患者の血液型と同型の製剤を使用することを原則として交差適合試験の省略が可能とされている。 ← もちろん全血や赤血球を輸血する場合でも前述の条件を満たす限り、副試験は省略可能です。
[★]
- 英
- lymphocyte cross-match
- 関
- 抗HLA抗体
- 臓器移植の術前検査の一つ(他の検査は、ABO血液型適合試験、HLA適合試験)
- ドナーT細胞 + レシピエント血清+補体 (B細胞は内在抗原提示のためのMHC class Iをもつ)
- ドナーB細胞 + レシピエント血清+補体 (B細胞は内在抗原提示のためのMHC class Iと外来抗原提示のためのMHC classIIをもつ)
[★]
リンパ球クロスマッチ
[★]
- 英
- cross、crossreact、crosslink
- 関
- 横断、架橋、交差、交差反応、交雑、交雑種、通過
[★]
- 英
- match
- 関
- 一致、対応、調和、匹敵、整合