- 英
- gastric ulcer GU, stomach ulcer
- ラ
- ulcus ventriculi UV
- 関
- 胃、十二指腸潰瘍、胃十二指腸潰瘍、消化性潰瘍
疫学
病態
- 高位潰瘍:高齢者。低酸。 ← 幽門腺(ガストリン分泌)と胃底腺(胃酸・ペプシノゲン分泌)の境界が上昇する。このため潰瘍形成部位が上昇する
- 幽門部潰瘍:若年者。高酸
- 急性潰瘍:多発性。体部
- 穿孔・穿通:潰瘍が筋層以下に進展すれば生じうるが、十二指腸潰瘍に比べで頻度は多くない。→穿通性潰瘍 →穿孔性潰瘍
症状
- 食後1時間以内の早期痛と数時間後の晩期痛がある。(QB.A-308)
- 腹痛の十二指腸潰瘍/胃潰瘍に対する陽性予測率は高くない。NSAIDによる粘膜病変をもつ患者の10%までが先行症状なくcomplication(出血、穿孔、閉塞)を来す。(HIM.1860)
- 十二指腸潰瘍/胃潰瘍では、焼けるようなあるいは差し込むような痛みと表現される。the discomfort is also described as an ill-defined, aching sensation or as hunger pain.(HIM.1861)
- 痛みのパターン:(十二指腸潰瘍)食事後30分~3時間で痛みが治まる。深夜からA.M.3時までの間に痛みで目をさます。これがとっとも鑑別する症状であり、2/3の患者にみられる。しかし、non ulcerative dyspapsia患者の1/3でもこのような症状はみられる。(胃潰瘍)痛みは食事により強まり、悪心と体重減少が起こるのが一般的である。(HIM.1861)
合併症
- 好発部位:小弯部上の巨大潰瘍
- 症状:突然現れる上腹部痛。前屈位・側臥位となる。上腹部腹壁緊張亢進、筋性防御、板状硬をみとめ、Blumberg徴候陽性となる。
検査
上部消化管内視鏡
崎田分類(ステージ分類)
- 参考1
- A1:潰瘍辺縁は浮腫状であり潰瘍底は黒苔で覆われている
- A2:辺縁の浮腫は改善し潰瘍底は白苔により被覆されている
- H1:潰瘍辺縁に再生上皮の出現を認める
- H2:白苔は薄く縮小し再生上皮の部分が拡大している
- 胃潰瘍瘢痕期:潰瘍の治癒期には再生上皮による被覆が完成し白苔は消失
消化管造影
- 胃癌との対比(RNT.191)
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良性潰瘍
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悪性潰瘍
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ニッシェ
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円形、輪郭明瞭、深い
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不整型、輪郭不明瞭、浅い
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軟膜ヒダ
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不整なく均一
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不整、不均一(先細り、肥大、融合)
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診断
治療
生活療法
- 精神的・肉体的安静
- 食事療法(刺激物摂取禁止)
- 生活習慣改善(禁煙・禁酒)
薬物療法
- 胃酸分泌抑制薬(プロトンポンプインヒビター、H2受容体拮抗薬、ムスカリン受容体拮抗薬)
- Helicobacter pyloriの除菌(プロトンポンプインヒビター、アモキシシリン、クラリスロマイシン)。クラリスロマイシン無効ならメトロニダゾールに変更。
interventional radiology
手術療法
- SSUR.501
- 手術適応:内科的手法で止血が得られず、また止血されても繰り返す場合。
- 幹迷走神経切離術 truncal vagotomy:腹部食道の高さで迷走神経を切離:肝枝や腹腔枝が切離され、下痢や胆石症を生じる。胃内容物停滞が起こる
- 選択的迷走神経切離術 selective gastric vagotomy:胃枝のみ切離し、肝枝、幽門枝、腹腔枝を温存:胃内容物停滞が起こる
- 選択的近位迷走神経切離術:selective proximal vagotomy, proximal gastric vagotomy, highly selective vagotomy, parietal cell vagotomy:胃の壁細胞領域に分布する胃体部枝のみを切離する。幽門洞枝が温存され、幽門洞の運動機能が保存される。
予後
参考
- 1. H19(2007)胃潰瘍GLの適用と評価に関する研究班編/医療・GL(07年)胃潰瘍GLの適用と評価に関する研究班編/医療・GL(07年)
- http://minds.jcqhc.or.jp/lo/ps/Fpastlist.aspx
国試
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/09/05 14:01:07」(JST)
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消化性潰瘍 |
分類及び外部参照情報 |
Deep gastric ulcer
|
ICD-10 |
K25.-K27. |
ICD-9 |
531-534 |
DiseasesDB |
9819 |
eMedicine |
med/1776 ped/2341 |
MeSH |
D010437 |
消化性潰瘍(しょうかせいかいよう、英:Peptic ulcer)とは主に胃酸が要因となって生じる潰瘍のことである。
胃癌等の悪性腫瘍も潰瘍病変を呈するが本稿では良性の潰瘍について記述。
目次
- 1 分類
- 2 成因
- 3 要因
- 4 臨床像
- 5 検査
- 5.1 血液検査
- 5.2 内視鏡検査
- 5.3 消化管造影検査
- 6 分類
- 7 治療
- 7.1 緊急治療
- 7.2 薬物治療
- 7.3 H.Pylori除菌
- 8 関連項目
|
分類
潰瘍の生じる部位別に旧来通り以下の通りに称される。
- 胃潰瘍(Gastric ulcer or Stomach ulcer)
- 十二指腸潰瘍(Duodenal ulcer)
- 食道潰瘍(esophageal ulcer 胃食道逆流症を参照)
- デュラフォイ潰瘍(仏:Ulcère de Dieulafoy)
- 比較的小さな潰瘍であるが大出血を生じる潰瘍として1898年にフランスの外科医Paul Georges Dieulafoyが報告したもの。粘膜浅層の血管の走行上部にちょうど潰瘍が生じることで、小さく浅い潰瘍でも血管破綻を生じ大出血する潰瘍。
- 急性胃粘膜病変(AGML:acute gastric mucosal lesion)
- 急性十二指腸粘膜病変(ADML:acute duodenal mucosal lesion)
成因
- 通常は強酸である胃酸の分泌に対し、胃内の粘膜は粘膜保護が作用し攻撃因子・防御因子のバランスが保たれている。胃潰瘍は主に、粘膜保護作用の低下によって防御因子が低下することで生じる。
- ヘリコバクター・ピロリ(H.Pylori)保菌者が多く、比較的若年者に多い。H.Pyloriが胃前庭部に潜伏し始め、持続的にガストリン分泌刺激が促され胃酸分泌過多を生じることによって生じるとされている。十二指腸潰瘍は食前・空腹時に痛みが増悪することが知られているが、摂食刺激によってセクレチンが分泌されガストリン分泌が抑制され胃酸分泌が少なくなるためと考えられている。
要因
リスクファクターは主に胃粘膜保護の減少である防御因子の低下を助長するものであり、以下が知られている。
- 飲酒
- 喫煙
- ストレス
- コーヒー(カフェイン)
- NSAIDs(非ステロイド系消炎鎮痛薬 Non steroidal anti-inflammatory drugs)
- NSAIDsは鎮痛薬や抗血小板剤として広く用いられCOX(シクロオキシゲナーゼ)という酵素を阻害する作用を有し、このうちCOX-1が阻害されることで胃粘膜防御因子のPGE2(プロスタグランジン)産生低下が生じ潰瘍を生じやすいとされている。COX-2のみを選択的に阻害するNSAIDsでは比較的生じにくい。
- 旧来よりステロイド(一般に糖質コルチコイド製剤)使用にて消化性潰瘍発症が高くなると言われていたが、近年のメタアナリシス報告で潰瘍発症の有意差は無いことが指摘されステロイドは消化性潰瘍のリスクファクターでは無いことが証明されてきた。
臨床像
胃潰瘍・十二指腸潰瘍共に以下の症状が基本となって生じてくる。
- 胃潰瘍では食後に腹痛が増悪することが多く、十二指腸潰瘍では食前・空腹時に増悪することが多いとされている。しかし、実際には必ずしもそうではないこともある。
- 胃・十二指腸内に出血した血液が逆流して嘔吐すれば「吐血」ないし酸化を受け黒色に変色した「コーヒー残渣様嘔吐」となって生じ、そのまま便となって出てくる場合は血液が酸化されて黒色となり「黒色の便」として生じてくる。ただ、食道静脈瘤・Mallory-Weiss症候群等の他の上部消化管出血でも同様の症状を呈する。また大腸や小腸からの下部消化管からの出血の場合、これを受けないで排出されるため「赤い便・血便」として生じてくる。
- 出血していても胃潰瘍・十二指腸潰瘍の腹痛はそこまで強くなく強い腹痛がある場合は、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の穿孔による腹膜刺激症状である場合が多い。
検査
血液検査
出血があれば貧血(Hb・RBC低下)が認められ、持続消耗性出血による小球性低色素性貧血(MCV低下)を呈してくる場合が多い。大量出血である場合には貧血があっても、MCV低下がみられないこともある。また活動期の出血の場合、胃内に蛋白成分が漏出し蛋白異化による尿素窒素(BUN)が高くなることでBUN/Cr比の上昇が認められ臨床的に出血兆候の指標として用いられる。
内視鏡検査
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の診断・治療において上部消化管内視鏡が基本となってくる。他の消化管病変の精査・鑑別も含めて、一般的に広く行われる。同時に治療も行える利点がある。
消化管造影検査
いわゆる「胃透視(MDL)」は旧来より広く行われている。所見から消化性単純潰瘍が疑わしい場合に、精査として行われることはほとんどなく、上記の内視鏡検査が行われる。悪性腫瘍に付随する潰瘍病変である場合には、病変の位置や大きさが内視鏡検査よりも客観的に描出できるため、内視鏡検査の後であっても行われることが多い。
-
胃前庭部の多発胃潰瘍。潰瘍表面を覆うのは「白苔」と呼ばれる壊死物質。
分類
胃潰瘍・十二指腸潰瘍ともに内視鏡所見から以下の分類を用いて評価することが多い。
崎田分類
潰瘍の治癒状態を分類したもの。1961年に国立がんセンターの崎田隆夫(後に筑波大学教授)・大森皓次・三輪剛(後に東海大学教授)等が作成したもの。元々は内視鏡観察ではなく当時の主流である「胃透視画像(バリウム造影)」から提唱されたものであるが、内視鏡観察が広く行われるようになってきた現在でも広く用いられている。
- 活動期(Active stage):潰瘍辺縁の浮腫像・厚い潰瘍白苔がある時期
- A1:出血や血液の付着した潰瘍底はやや汚い白苔の状態
- A2:潰瘍底はきれいな厚い白苔の状態 潰瘍辺縁の浮腫像は改善してくる時期
- 治癒過程期(Healing stage):潰瘍辺縁の浮腫像の消失・壁集中像・再生上皮の出現が見られてくる時期
- H1:再生上皮が少し出現している(潰瘍の50%以下)
- H2:再生上皮に多く覆われてきている(潰瘍の50%以上)
- 瘢痕期(Scar stage):潰瘍白苔が消失した時期
Forrest分類
潰瘍の出血状態を分類したもの。1974年にJohn Forrestが「Lancet」に発表したもの。現在は以下のWalter Heldweinによる改変版が広く用いられている。
- Active bleeding(活動性出血)
- Ia:Spurting bleed(噴出性出血)
- Ib:Oozing bleed(漏出性出血)
- Recent bleeding(最近の出血)
- IIa:Non-bleeding visible vessel(出血の無い露出血管)
- IIb:Adherent blood clot・Black base(凝血塊の付着・黒色潰瘍底)
- No bleeding(出血無し)
- III:Lesion without stigmata of recent bleeding(最近の出血所見の無い病変)
治療
緊急治療
出血病変・穿孔病変に対しては以下の緊急処置が行われる
- 潰瘍からの出血兆候を認める場合、以下の上部消化管内視鏡による内視鏡的止血術が行われる。
- clip止血
- 局注止血
- エピネフリン添加高張食塩水(HSE:Hypertonic Saline-Epinephrine)
- 純エタノール
- 高周波凝固止血
- APC(argon plasma coagulation)止血
- 稀に内視鏡的な止血困難な症例は腹部血管カテーテル検査によって出血血管の塞栓術(IVR)が施行されたり、または手術(胃切開+出血血管縫合止血術+潰瘍縫縮術)が施行される場合もある。
- 潰瘍穿孔を来たした場合、消化管穿孔として腹膜炎発症のコントロールが重要となってくる。
- 基本的に絶食・輸液管理・胃管挿入・抗菌薬投与による保存的加療にて穿孔が自然閉鎖し軽快することも多いが、穿孔が巨大であったり腹膜炎が生じていたりするようであれば手術(穿孔部縫合術+大網被覆術+腹腔内洗浄)が行われる。
薬物治療
旧来、消化性潰瘍の治療としては胃切除術が施行されてきたが抗潰瘍薬の開発と共に消化性潰瘍の治療は以下の内服治療が基本となっている。
H.Pylori除菌
ヘリコバクター・ピロリを保有している場合、再発予防として除菌療法を行うことが推奨されている。
詳細は「ヘリコバクター・ピロリ」を参照
関連項目
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Japanese Journal
- 胃・十二指腸潰瘍穿孔 (特集 外科救急 : 実際の手順を追う) -- (食道・胃・腸)
- 重種競走馬の胃潰瘍に対するオメプラゾール製剤短期投与の効果
- 臨床研究・症例報告 胃潰瘍により幽門狭窄を来した男児例
- 臨床報告 胃潰瘍穿孔に対して穿孔部を腹直筋後鞘で被覆した1例
Related Links
- また、腹痛が強ければ強いほど、胃潰瘍の状態が悪いわけではなく、胃潰瘍にかかっ ていても全く痛みを感じない場合もあり、気が付かないまま、潰瘍が悪化し胃に孔(あな) が空き「穿孔性潰瘍」になって、初めて激痛が起こり胃潰瘍に気づくといった場合もある ...
- 胃潰瘍の体験談や胃潰瘍を予防、改善するためのレシピを掲載中.
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- 次の文を読み、 53~ 55の問いに答えよ。
- 74歳の女性。意欲低下と全身倦怠感とを主訴に来院した。
- 現病歴: 3年前に夫を亡くし、そのころから意欲低下を自覚するようになったが誰にも相談しなかった。 3か月前から意欲低下がこれまでより増悪し、全身倦怠感も徐々に出現した。一昨日、転倒して尻もちをついた。昨日、腰痛も自覚したためかかりつけ医を受診し、カルシトニンの筋肉注射を受け、さらに精査のため紹介されて受診した。
- 既往歴: 68歳で脂質異常症と骨粗鬆症とを指摘され、 HMG-CoA還元酵素阻害薬と活性型ビタミン Dとを服用中である。
- 生活歴: 3年前から一人暮らし。喫煙歴と飲酒歴とはない。
- 家族歴:夫が心筋梗塞のため 75歳で死亡。妹が脂質異常症で治療中。
- 現症:意識は清明。身長 153 cm、体重 58 kg。体温 35.8 ℃。脈拍 52/分、整。血圧 116/64 mmHg。甲状腺はびまん性に腫大し硬い。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。
- 検査所見:血液所見:赤血球 408万、 Hb 12.0 g/dl、Ht 38%、白血球 5,300、血小板 17万。血液生化学所見:総蛋白 7.0 g/dl、アルブミン 3.7 g/dl、AST 62 IU/l、ALT 42 IU/l、LD 484 IU/l(基準 176~353)、 ALP 275 IU/l(基準 115~359)、 γ -GTP 3 3IU/l(基準 8~50)、 CK 682 IU/l(基準 30~140)、 CK-MB 15 IU/l(基準 20以下 )、尿素窒素 16 mg/dl、クレアチニン 0.9 mg/dl、尿酸 7.2 mg/dl、血糖 98 mg/dl、総コレステロール 216 mg/dl、トリグリセリド 130 mg/dl、HDLコレステロール 45 mg/dl、Na137 mEq/l、K 4.5 mEq/l、Cl 102 mEq/l、Ca 9.5 mg/dl、TSH 56.3 μU/ml(基準 0.2~4.0)、 FT3 0.8 pg/ml(基準 2.5~4.5)、 FT4 0.2 ng/dl(基準 0.8~2.2)。 CRP 1.0 mg/dl。心電図で肢誘導の低電位を認める。胸部エックス線写真で心胸郭比 54%。甲状腺ホルモン補充療法を開始した。
- 最も注意すべき有害事象はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108B054]←[国試_108]→[108B056]
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- 次の文を読み、49、50の問いに答えよ。
- 58歳の女性。腰背部の激痛を訴え、家族に付き添われ来院した。
- 現病歴 : 慢性関節リウマチで15年間治療中であり、5年前に右膝人工関節置換術を受け、現在は少量の副腎皮質ステロイド薬と非ステロイド性抗炎症薬とを中心に服用中である。特に誘因なく4日前から増悪する腰背部痛を自覚した。
- 既往歴 : 特記すべきことはない。
- 現症 : 身長154cm、体重46kg。円背があり、胸背移行部に強い自発痛と叩打痛とがあり、坐位保持は30分間が限度である。神経学的には明らかな脊髄症状はみられない。手指変形と多発性関節痛とがある。屋内は伝い歩きが可能であるが、屋外歩行は困難である。
- 検査所見 : 胸腰椎エックス線単純撮影で第7、8、9及び12胸椎に圧迫骨折が認められる。
- 経過 : 以上の所見から入院となった。体幹装具を作製し、歩行訓練を始め、杖歩行が可能となった。4週経過し退院準備中である。なお本人の自宅居室は1階にある。退院前検査所見:血液所見:赤血球370万、Hb 10.5g/dl、白血球6,000。血清生化学所見:総蛋白5.8g/dl、アルブミン3.5g/dl。CRP2.3mg/dl(基準0.3以下)。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):PaO2 80Torr、PaCO2 40 Torr。胸部エックス線写真で軽度の間質性肺炎の所見がみられる。
[正答]
※国試ナビ4※ [096F049]←[国試_096]→[096G001]
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- 55歳の女性。2週前からの褐色調尿を主訴に来院した。身長155cm、体重52kg。眼球結膜に黄染を認める。右肋骨弓下に肝を3cm、左肋骨弓下に脾を2cm触知する。血液所見:赤血球325万、Hb9.2g/dl、Ht30%、白血球5,400、血小板9万。血清生化学所見:総蛋白6.7g/dl、アルブミン3.8g/dl、IgG1,360mg/dl(基準960~1,960)、IgA150mg/dl(基準110~410)、IgM480mg/dl(基準65~350)、総ビリルビン3.2mg/dl、直接ビリルビン1.9mg/dl、AST62IU/l、ALT59IU/l、ALP782IU/l(基準260以下)、γ-GTP322IU/l(基準8~50)。免疫学所見:CRP0.3mg/dl、HBs抗原陰性、HCV抗体陰性、抗核抗体80倍(基準20以下)、抗ミトコンドリア抗体160倍(基準20以下)。
- この疾患に合併する頻度が高いのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [101A027]←[国試_101]→[101A029]
[★]
- 48歳の女性。昨日からの激しい心窩部痛、悪心・嘔吐および発熱のため来院した。身長158cm、体重66kg。体温38.5℃。眼球結膜に黄染はない。右季肋部にBlumberg徴候を認める。尿所見:濃褐色、蛋白(-)、ウロビリノゲン1+、ビリルビン1+、沈液に赤血球0/1視野、白血球2~3/1視野。血液所見:赤血球480万、Hb15.0g/dl、Ht41%、白血球13,500(桿状核好中球11%、分葉核好中球68%、好酸球2%、好塩基球1%、単球5%、リンパ球13%)。血清生化学所見:総ビリルビン1.5mg/dl、直接ビリルビン1.0mg/dl、AST46単位(基準40以下)、ALT41単位(基準35以下)、アルカリホスファターゼ290単位(基準260以下)、アミラーゼ180単位(基準37~160)。
[正答]
※国試ナビ4※ [097F010]←[国試_097]→[097F012]
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- 67歳の男性。労作時胸痛の再発を主訴に来院した。10年前に胃潰瘍の既往がある。4か月前に狭心症、高血圧、高尿酸血症および高脂血症と診断され、経皮的冠動脈ステント留置術を受けた。その後は胸痛が消失し体調が良かったため、自己判断で1週前から処方薬の内服を中断していた。意識は清明。身長168cm、体重68kg、脈拍72/分、整。血圧132/78mmHg。心尖部でIV音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。下肢に浮腫を認めない。
- 以前服薬していた薬剤の中で、中断が労作時胸痛の再発に最も影響したのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104I045]←[国試_104]→[104I047]
[★]
- 32歳の男性。突然の吐血のため救急車で来院した。1年前から胃潰瘍と診断され内服薬を服用していたが、症状がないので10日前から自己判断で中止していた。意識は清明。脈拍104/分、整。血圧110/72mmHg。尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見;赤血球378万、Hb10.8g/dl、Ht32%、白血球6,200、血小板32万。血清生化学所見:総蛋白6.5g/dl、アルブミン4.2g/dl、尿素窒素25 mg/dl、クレアチニン0.9mg/dl、AST32単位(基準40以下)、ALT28単位(基準35以下)、アルカリホスファターゼ230単位(基準260以下)、Na 138 mEq/、K4.2mEq/l、C1 102 mEq/l。
- 最も有用な検査はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [098F020]←[国試_098]→[098F022]
[★]
- 54歳の男性。全身の皮疹と倦怠感とを主訴に来院した。1か月前から顔面、体幹および四肢に紅斑が出現し、徐々に拡大し、全身倦怠感を伴ってきた。上眼瞼と四肢関節の背面とを中心に紅斑がみられる。膝部の写真と同部の病理組織H-E染色標本とを以下に示す。
- 第一選択の治療を開始する際、患者に伝えておくべき副作用はどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [102I063]←[国試_102]→[102I065]
[★]
- 72歳の男性。3日前から持続する腹痛と嘔吐とを主訴に来院した。徒歩にて来院したが.その後、腹痛が増悪し、外来処置室で横になっている。歩行はかろうじて可能である。40歳時に胃潰瘍で胃切除術を受けた。意識は清明。腹部は膨隆し、正中線上に手術痕がある。腸蠕動音は亢進し腹部全体に圧痛を認める。
まず行うべき検査はどれか。
- a 腹部エックス線撮影
- b 腹部血管造影
- c 上部消化管バリウム造影
- d 腹部MRI
- e 下部消化管内視鏡検査
[正答]
※国試ナビ4※ [105F020]←[国試_105]→[105F022]
[★]
- 45歳の男性。家族との会話が少なく、顔色の悪いことに気付いた妻に伴われて来院した。仕事で重要プロジェクトに参加している。3か月前から食思不振と不眠とをきたすようになり、体重が3kg減少した。話し声は小さく、勣務中にぼんやりしていて、仕事に意欲がわかないと言っている。意識は清明。身長175cm、体重60kg。体温37.1℃。脈拍80/分不整。血圧126/70mmEg。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [098F009]←[国試_098]→[098F011]
[★]
- 最近3か月で2kgの体重減少がある。
- 身長154cm、体重43㎏。表在リンパ節は触知しない。眼瞼結膜に軽度貧血を訟める。心窩部に軽度の圧痛がある。
- 血液所見:赤血球340万、Hb11.4g/dl、Ht33%、白血球4,800、血小板21万。上部消化管造影写真と胃内視鏡写真とを以下に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [096D024]←[国試_096]→[096D026]
[★]
- 45歳の男性。吐血のため搬入された。今朝から吐血を2回認めた。意識は清明。体温36.7℃。脈拍120/分、整。血圧76/42mmHg。眼瞼結膜に軽度の貧血を認める。心慮部に軽度の圧痛を認める。筋性防御を認めない。緊急で行った胃内視鏡写真を以下に示す。
- 内視鏡治療として適切なのはどれか。2つ選べ。
- a. 結紮
- b. 硬化療法
- c. 粘膜切除
- d. クリッピング
- e. エタノール局注
[正答]
※国試ナビ4※ [102G055]←[国試_102]→[102G057]
[★]
- 35歳の男性。吐血を主訴に来院した。昨夜過度の飲酒の後、本日早朝に嘔吐した。その1時間後に再び嘔吐し、吐物に血液が混じっていた。来院時、胸痛はなく、皮下気腫と腹部筋性防御とは認めなかった。食道胃接合部の内視鏡写真を以下に示す。考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [097A030]←[国試_097]→[097A032]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [107F012]←[国試_107]→[107F014]
[★]
- 胃体下部小彎の内視鏡写真(別冊No. 1)を別に示す。診断として最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106F004]←[国試_106]→[106F006]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [105I024]←[国試_105]→[105I026]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [107F013]←[国試_107]→[107F015]
[★]
- バリウムによる上部消化管造影が禁忌となるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102G021]←[国試_102]→[102G023]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [096H034]←[国試_096]→[096H036]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [104C010]←[国試_104]→[104C012]
[★]
- Helicobacter pylori除菌治療の適応となるのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [110A018]←[国試_110]→[110A020]
[★]
- attend
- vt.
- ~に出席/参列する、(学校に)行く(go toより堅い語)
- The normal ECG and chest X-ray when he attended hospital after an episode do not rule out an intermittent conduction problem.
- (結果として)~に伴う
- ~に同行/同伴する、付き添う、仕える。往診する。~の世話をする、~に気をつける、見張る
- vi.
- 出席/参列/出勤する(at)
- 留意/注目/傾聴する(to)。身を入れる、勢力を注ぐ、心を傾注する(to)。世話をする、気を配る(to)
- 仕える、付きそう(on)。(危険・困難などが)伴う(on)
- productive
- outflow
- obstruction
-
- the clinical picture suggests obstruction to outflow from the stomach.(この臨床像は胃流出障害を示唆している)
- obstruction to outflow
- 流出障害
-
- the clinical picture suggests obstruction to outflow from the stomach.(この臨床像は胃流出障害を示唆している)
- aqueous outflow from the eye (眼球からの房水流出)
- retain
- re + tent (tineo=teneo) = to hold back
- 保持する、保有する、保留する、持ち続ける、維持する。(使用のために)確保しておく
- (ある場所に)保つ、保持する。(熱などを)保っている、失わないでいる
- 忘れないでいる、覚えている
- (弁護士・気腫・召使いなどを)雇っておく、抱える
- 使用/実行し続ける。(廃止しないで)そのままにしておく
- palliation
- n.
- 寛解、緩和
- volvulus
- 腸捻転
- bezoar
- 胃石
- malrotation
- 腸回転異常
- intussusception
- 腸重積
- succussion
- n.
- 強く揺り動かすこと、強く揺れること
- splash
- n.
- はね返し、はねかけ。はねかす音。
- どっと流れる水。
- □unit
- 1 unit = 10 ml of ethanol
- □350ml アルコール5%
- 350x0.05/10=1.75 unit
- http://pohwa.adam.ne.jp/you/hobby/ryori/sake2.html
- 1unitの量が国によって違う。純エタノール換算で、1英unitは8g=10ml(英糖尿病協会採用の数値)、1米unitは15g(20ml弱:1drinkとも)で、日本では10~14g程度(代謝熱量80Kcalが基準:食品成分表5訂版,2002)や20ないし23g(日本酒1合分)を1unitとしている。日本の医学界では1unit=20g(体積に換算すると25ml)を採用することが多いので、ここでもそれに従う。この基準(1unit=20g=25ml)で計算すると、40度のウィスキー1ショット(=1オンス:英液量オンスで28.41ml、米液量オンスで29.57ml、日本の1ショットで30ml)が約0.5unitとなる。5度のビールなら500mlでだいたい1unit(この、日本酒1合≒ウィスキーダブル≒ビール500cc≒1unitという関係は、覚えておくと便利かもしれない:ワインなどは日本酒に準じるので、1本750mlがだいたい4unit強である)。
- 主訴:体重減少
- (主訴にまつわる症状)
- ・4ヶ月で10kg減少、食欲の減少、嘔吐(頻度:次第に増えてきている。嘔吐物と量:何時間も前に食べたものを多量に嘔吐する)
- (主訴以外の症状)
- ・一ヶ月前から脱力感(部位:特に下肢で著しい(丘に登ったり、階段を上ったりするとき))
- 嗜好歴:喫煙 20/day、飲酒 10units/week (ビール 6本弱)
- 家族歴:なし
- 既往歴:高血圧(2年間β遮断薬で治療、4ヶ月前に服薬中止)
- 身体所見 examination
- バイタル:82/分、血圧 148/86 mmHg
- 全身:やせ、体調が悪そう(unwell)。
- 呼吸器、心血管系に異常なし
- 腹部:腫瘤触知せず、圧痛なし、振盪音/振水音を認める
- 検査所見 investigations
- 低値:ナトリウム、カリウム、クロライド、尿素
- 高値:重炭酸
- Q
- 1. これらの所見の説明は?
- 2. もっともな診断は?
- A
- ★
- 胃流出路の閉塞 = 食後の嘔吐 + 胃の振水音
- 高BUN + 低CRE → 脱水
- 低Na,Cl,H+ → 嘔吐
- HClの喪失 → 代謝性アルカローシス
- H:細胞内→外
- K:細胞外→内
- 従って、低カリウム血症 → 筋力低下・脱力
- ★
- 胃流出路の閉塞の原因:胃癌とか胃潰瘍による瘢痕
- 診断には上部消化管内視鏡・生検(組織診)、その後にCT(局所浸潤、転移巣検索)
- 治療法:腫瘍だったら腹腔鏡による腫瘍の摘出術。その他の場合は手術をしたり、薬物療法をしたり、、、
- 学習ポイント
- ・嘔吐・嘔気 nausea and vomiting DIF.321, vomitus DIF.449 IMD.351
- 解剖で考えよう。縦に解剖、横に病因
- 鼻咽頭 扁桃、外来異物
- 食道 アカラシア、逆流性食道炎、食道癌 ・・・嚥下困難があるはず
- 胃 胃炎、消化性潰瘍、胃癌、幽門部の病変(ポリープ、癌、潰瘍;胃の出口を閉塞させる)。子供だったら幽門狭窄症
- 十二指腸:潰瘍、十二指腸炎、Billroth II法による輸出脚の閉塞、Billroth I/II法によるダンピング症候群。胆汁性胃炎も原因となる。
- 小腸:小腸閉塞(腸重積、腸回転異常症、胃石症、癌腫、限局性回腸炎)
- 結腸:潰瘍性大腸炎、アメーバ症、腫瘍男。腸間膜動脈血栓症、
- 消化管全体:Strongyloides, Ascaris, Taenia solium
- ・β遮断薬の服用中止で何が起こる?
- 狭心症や発作性の高血圧。
- なんでやめたんだろう? → 副作用:(1%程度に)めまい、全身倦怠感、頭痛、徐脈が出現
- ・振盪音
- 腹水や胃内容物の貯留によって聴取される。
- ・BUN高値、Cre低値
- suggest a degree of dehydration
・BUN
- ==検査値の異常 (異常値の出るメカニズム第5版 p.144)==
- ===BUN上昇===
[★]
- 英
- emerging infectious disease
- 関
- 感染症、再興感染症
- 新たにヒトでの感染が証明された疾患、あるいはそれまでその土地では存在しなかったが新たにそこでヒトの病気として現れてきたものなどとされています。原因が不明であった疾患のうち病原物質が明らかとなり、地域あるいは国際的に多くの人の健康に対して問題となるものも新興感染症の概念の中に含まれます。
一覧
-感染症
[★]
- 英
- stomach (Z)
- ラ
- gaster, ventriculus
- 関
- 消化器系#上皮の移行
解剖
- 胃は以下の間膜によって連結されている。
- 横隔膜の下面との間は胃横隔間膜
- 脾臓との間は胃脾間膜
胃の位置
- 噴門口:第7肋軟骨の胸骨付着部より約2cm左(T11の高さ) (KL.342)
- 胃底:胃底の上端は左第5肋骨の高さ (KL.342)
- 幽門:L1の高さ (KL.342)
胃の動脈
生理
胃腺の分布
2007年後期生理学授業プリント
HIS
胃腺の移動
- 胃底腺と幽門腺の境界は移動する。
- 年齢に伴って上昇する?らしく、これにともない胃酸の分泌が低下する。
胃液のホルモンによる分泌調節
生理
神経支配
-
- T6,7の側柱→大内臓神経(節前線維)→腹腔神経叢(節後線維)→内在神経叢内でシナプス前抑制、一部直接作用
- 迷走神経(節前線維)→内在神経系(アセチルコリン作動性ニューロン(興奮性)、VIP,NO作動性ニューロン(抑制性))
役割
- 1. タンパク質の消化
- 2. 食物の貯蔵
- 3. 殺菌
機能
- 受け入れ弛緩(胃近位部弛緩)
- 蠕動運動、逆移送
受け入れ弛緩
- 迷走神経反射。胃近位部伸展受容器→迷走神経→脳幹→迷走神経
臨床関連
[★]
- 英
- duodenal ulcer, DU
- ラ
- ulcus duodeni
- 関
- 胃潰瘍、胃十二指腸潰瘍、消化性潰瘍
まとめ
- 十二指腸粘膜にびらん・潰瘍を来した病態であり、攻撃因子(ストレス、薬剤、ゾリンジャー・エリソン症候群、甲状腺機能亢進症)が防御因子(慢性肺気腫、喫煙、肝硬変、関節リウマチ、低栄養、腎不全、糖尿病、ステロイド、NSAID、ビスホスホネート)を上回ったことにより生じると考えられている。20-40歳に多く、十二指腸球部前壁に好発する。空腹時・夜間に心窩部痛を覚え、摂食により軽快、その他胸焼け・悪心嘔吐が認められることがある。吐血よりむしろ下血が認められることがある。治癒後瘢痕性の幽門狭窄による通過障害を来すことがある。再発は胃潰瘍よりも頻繁である。胃酸の分泌過多が原因と考えられているが、血中ガストリンは正常なことが多い。検査上、血清中ペプシノゲンIの上昇が認められる。
病因
- 参考1
-
- ピロリ菌
- 単純ヘルペスウイルス
- サイトメガロウイルス
- Helicobacter heilmanni
- その他:結核菌、淋菌
- NSAID
- アスピリン
- 高用量のアセトアミノフェン
- ビスホスホネート(+NSAID)
- クロピドグレル(+NSAID or 高リスク患者)
- コルチコステロイド(+NSAID)
- シロリムス
- スピロノラクトン
- mycophenolate mofetil
- potassium chloride
- 抗悪性腫瘍薬(
- ガストリノーマ
- 全身性肥満細胞症
- 骨髄増殖疾患における好酸球症
- 前庭部G細胞機能亢進
- crack cocaine使用を含めた血行不全
- (器質的な)十二指腸閉塞(輪状膵など)
- 放射線療法
- 浸潤性疾患
- 特発性過分泌十二指腸潰瘍(ピロリ菌陰性)
- 非NSAID家族性消化性潰瘍, ピロリ菌陰性
- 非NSAID消化性潰瘍, ピロリ菌陰性
- ICUストレス潰瘍
- 肝硬変
- 臓器移植
- 腎不全
- COPD
病態
- ガストリンの分泌を十分に抑制できない。
- 壁細胞が過形成している ←ガストリンの作用
- 胃酸の基礎分泌量が上昇している
- ペプシンの分泌が増加している。
- 空腹時の血中ガストリン濃度は変わっていない
- 十二指腸潰瘍では胃潰瘍より胃酸の過剰分泌が明らかである。
- 好発部位:球部小弯側前壁
- 穿孔・穿通:潰瘍が筋層以下に進展すれば生じうるが、胃潰瘍より多い。→穿通性潰瘍 →穿孔性潰瘍
合併症
- 好発部位:球部前壁潰瘍
- 症状:突然現れる上腹部痛。前屈位・側臥位となる。上腹部腹壁緊張亢進、筋性防御、板状硬をみとめ、Blumberg徴候陽性となる。
検査
- 十二指腸球部は壁が薄いために、潰瘍により容易に変形をきたす。タッシェ(憩室様突出)をともなうクローバー城辺型が認められる。
国試
参考
- 1. [charged] Epidemiology and etiology of peptic ulcer disease - uptodate [1]
[★]
- 英
- omeprazole
- 化
- オメプラゾールナトリウム omeprazole sodium
- 商
- エンプラール、オブランゼ、オメプトロール、オメプラール、オメプラゾン、オメプロトン、オメラップ, Prilosec
- 関
- プロトンポンプ阻害薬
分類
-
適応
相互作用
併用禁忌
副作用
[★]
- 関
- 胃潰瘍、NSAID-induced gastropathy
リスク因子
- 高齢、潰瘍の既往、糖質ステロイドの併用、高用量あるいは複数のNSAIDの内服、全身疾患の合併 (ガイドライン1)
病態
- 幽門部から前庭部に多発する比較的小さな潰瘍、前庭部の深掘れ潰瘍、不整形の巨大潰瘍などが特徴 (ガイドライン1)
治療と予防
- ガイドライン1
- 非ステロイド消炎鎮痛薬(NSAID)は可能ならば中止し通常の潰瘍治療を行う。NSAIDの中止が不可能ならばプロトンポンプ阻害薬(PPI)あるいはプロスタグランジン(PG)製剤により治療を行う。
NSAID継続下での再発の防止には、PPI、PG製剤あるいは高用量のH2受容体拮抗薬(H2RA)が有効である。
- COX-1は胃粘膜などの組織で構成的に発現している。NSAIDの作用によりCOX-1の作用が抑制されると胃潰瘍を来しうる。投与経路(経口、坐薬)を変更してもこの副作用の発現は変わらない、らしい。
ガイドライン
- 1. H19(2007)胃潰瘍GLの適用と評価に関する研究班編/医療・GL(07年)胃潰瘍GLの適用と評価に関する研究班編/医療・GL(07年)
- http://minds.jcqhc.or.jp/lo/ps/Fpastlist.aspx
[★]
- 英
- acute peptic ulcer, acute gastric ulcer
- 関
- 急性消化性潰瘍、急性胃粘膜病変
[★]
- 英
- diet for gastric ulcer
- 同
- 胃十二指腸潰瘍食
[★]
- 英
- hemorrhagic gastric ulcer
[★]
- 英
- ulcer
- ラ
- ulcus
- 関
- びらん
- 粘膜の損傷が粘膜筋板に達し、その筋層を貫通した場合。