- 英
- duodenal ulcer, DU
- ラ
- ulcus duodeni
- 関
- 胃潰瘍、胃十二指腸潰瘍、消化性潰瘍
まとめ
- 十二指腸粘膜にびらん・潰瘍を来した病態であり、攻撃因子(ストレス、薬剤、ゾリンジャー・エリソン症候群、甲状腺機能亢進症)が防御因子(慢性肺気腫、喫煙、肝硬変、関節リウマチ、低栄養、腎不全、糖尿病、ステロイド、NSAID、ビスホスホネート)を上回ったことにより生じると考えられている。20-40歳に多く、十二指腸球部前壁に好発する。空腹時・夜間に心窩部痛を覚え、摂食により軽快、その他胸焼け・悪心嘔吐が認められることがある。吐血よりむしろ下血が認められることがある。治癒後瘢痕性の幽門狭窄による通過障害を来すことがある。再発は胃潰瘍よりも頻繁である。胃酸の分泌過多が原因と考えられているが、血中ガストリンは正常なことが多い。検査上、血清中ペプシノゲンIの上昇が認められる。
病因
- 参考1
-
- ピロリ菌
- 単純ヘルペスウイルス
- サイトメガロウイルス
- Helicobacter heilmanni
- その他:結核菌、淋菌
- NSAID
- アスピリン
- 高用量のアセトアミノフェン
- ビスホスホネート(+NSAID)
- クロピドグレル(+NSAID or 高リスク患者)
- コルチコステロイド(+NSAID)
- シロリムス
- スピロノラクトン
- mycophenolate mofetil
- potassium chloride
- 抗悪性腫瘍薬(
- ガストリノーマ
- 全身性肥満細胞症
- 骨髄増殖疾患における好酸球症
- 前庭部G細胞機能亢進
- crack cocaine使用を含めた血行不全
- (器質的な)十二指腸閉塞(輪状膵など)
- 放射線療法
- 浸潤性疾患
- 特発性過分泌十二指腸潰瘍(ピロリ菌陰性)
- 非NSAID家族性消化性潰瘍, ピロリ菌陰性
- 非NSAID消化性潰瘍, ピロリ菌陰性
- ICUストレス潰瘍
- 肝硬変
- 臓器移植
- 腎不全
- COPD
病態
- ガストリンの分泌を十分に抑制できない。
- 壁細胞が過形成している ←ガストリンの作用
- 胃酸の基礎分泌量が上昇している
- ペプシンの分泌が増加している。
- 空腹時の血中ガストリン濃度は変わっていない
- 十二指腸潰瘍では胃潰瘍より胃酸の過剰分泌が明らかである。
- 好発部位:球部小弯側前壁
- 穿孔・穿通:潰瘍が筋層以下に進展すれば生じうるが、胃潰瘍より多い。→穿通性潰瘍 →穿孔性潰瘍
合併症
- 好発部位:球部前壁潰瘍
- 症状:突然現れる上腹部痛。前屈位・側臥位となる。上腹部腹壁緊張亢進、筋性防御、板状硬をみとめ、Blumberg徴候陽性となる。
検査
- 十二指腸球部は壁が薄いために、潰瘍により容易に変形をきたす。タッシェ(憩室様突出)をともなうクローバー城辺型が認められる。
国試
参考
- 1. [charged] Epidemiology and etiology of peptic ulcer disease - uptodate [1]
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/06/29 06:43:56」(JST)
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消化性潰瘍 |
分類及び外部参照情報 |
Deep gastric ulcer
|
ICD-10 |
K25-K27 |
ICD-9 |
531-534 |
DiseasesDB |
9819 |
eMedicine |
med/1776 ped/2341 |
MeSH |
D010437 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
消化性潰瘍(しょうかせいかいよう、英:Peptic ulcer)は、主に胃酸が要因となって生じる潰瘍のことである。
胃癌等の悪性腫瘍も潰瘍病変を呈するが本稿では良性の潰瘍について記述。
目次
- 1 分類
- 2 成因
- 3 要因
- 4 臨床像
- 5 検査
- 5.1 血液検査
- 5.2 内視鏡検査
- 5.3 消化管造影検査
- 6 分類
- 7 治療
- 7.1 緊急治療
- 7.2 薬物治療
- 7.3 H.Pylori除菌
- 8 関連項目
分類
潰瘍の生じる部位別に旧来通り以下の通りに称される。
- 胃潰瘍(Gastric ulcer or Stomach ulcer)
- 十二指腸潰瘍(Duodenal ulcer)
- 食道潰瘍(esophageal ulcer 胃食道逆流症を参照)
- デュラフォイ潰瘍(仏:Ulcère de Dieulafoy)
- 比較的小さな潰瘍であるが大出血を生じる潰瘍として1898年にフランスの外科医Paul Georges Dieulafoyが報告したもの。粘膜浅層の血管の走行上部にちょうど潰瘍が生じることで、小さく浅い潰瘍でも血管破綻を生じ大出血する潰瘍。
- 急性胃粘膜病変(AGML:acute gastric mucosal lesion)
- 急性十二指腸粘膜病変(ADML:acute duodenal mucosal lesion)
成因
- 通常は強酸である胃酸の分泌に対し、胃内の粘膜は粘膜保護が作用し攻撃因子・防御因子のバランスが保たれている。胃潰瘍は主に、粘膜保護作用の低下によって防御因子が低下することで生じる。
- ヘリコバクター・ピロリ(H.Pylori)保菌者が多く、比較的若年者に多い。H.Pyloriが胃前庭部に潜伏し始め、持続的にガストリン分泌刺激が促され胃酸分泌過多を生じることによって生じるとされている。十二指腸潰瘍は食前・空腹時に痛みが増悪することが知られているが、摂食刺激によってセクレチンが分泌されガストリン分泌が抑制され胃酸分泌が少なくなるためと考えられている。
要因
リスクファクターは主に胃粘膜保護の減少である防御因子の低下を助長するものであり、以下が知られている。
- 飲酒
- 喫煙
- 塩分
- 熱いもの
- ストレス
- コーヒー(カフェイン)
- NSAIDs(非ステロイド系消炎鎮痛薬 Non steroidal anti-inflammatory drugs)
- NSAIDsは鎮痛薬や抗血小板剤として広く用いられCOX(シクロオキシゲナーゼ)という酵素を阻害する作用を有し、このうちCOX-1が阻害されることで胃粘膜防御因子のPGE2(プロスタグランジン)産生低下が生じ潰瘍を生じやすいとされている。COX-2のみを選択的に阻害するNSAIDsでは比較的生じにくい。
- 旧来よりステロイド(一般に糖質コルチコイド製剤)使用にて消化性潰瘍発症が高くなると言われていたが、近年のメタアナリシス報告で潰瘍発症の有意差は無いことが指摘され、ステロイドは消化性潰瘍のリスクファクターではないことが証明されてきた。
臨床像
胃潰瘍・十二指腸潰瘍共に以下の症状が基本となって生じてくる。
- 胃潰瘍では食後に腹痛が増悪することが多く、十二指腸潰瘍では食前・空腹時に増悪することが多いとされている。しかし、実際には必ずしもそうではないこともある。
- 胃・十二指腸内に出血した血液が逆流して嘔吐すれば「吐血」ないし酸化を受け黒色に変色した「コーヒー残渣様嘔吐」となって生じ、そのまま便となって出てくる場合は血液が酸化されて黒色となり「黒色の便」として生じてくる。ただ、食道静脈瘤・マロリー・ワイス症候群等の他の上部消化管出血でも同様の症状を呈する。また大腸や小腸からの下部消化管からの出血の場合、これを受けないで排出されるため「赤い便・血便」として生じてくる。
- 出血していても胃潰瘍・十二指腸潰瘍の腹痛はそこまで強くなく、強い腹痛がある場合は、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の穿孔による腹膜刺激症状である場合が多い。
検査
血液検査
出血があれば貧血(Hb・RBC低下)が認められ、持続消耗性出血による小球性低色素性貧血(MCV低下)を呈してくる場合が多い。大量出血である場合には貧血があっても、MCV低下がみられないこともある。また活動期の出血の場合、胃内に蛋白成分が漏出し蛋白異化による尿素窒素(BUN)が高くなることでBUN/Cr比の上昇が認められ臨床的に出血兆候の指標として用いられる。
内視鏡検査
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の診断・治療において上部消化管内視鏡が基本となってくる。他の消化管病変の精査・鑑別も含めて、一般的に広く行われる。同時に治療も行える利点がある。
消化管造影検査
いわゆる「胃透視(MDL)」は旧来より広く行われている。所見から消化性単純潰瘍が疑わしい場合に、精査として行われることはほとんどなく、上記の内視鏡検査が行われる。悪性腫瘍に付随する潰瘍病変である場合には、病変の位置や大きさが内視鏡検査よりも客観的に描出できるため、内視鏡検査の後であっても行われることが多い。
-
胃前庭部の多発胃潰瘍。潰瘍表面を覆うのは「白苔」と呼ばれる壊死物質。
分類
胃潰瘍・十二指腸潰瘍ともに内視鏡所見から以下の分類を用いて評価することが多い。
崎田分類
潰瘍の治癒状態を分類したもの。1961年に国立がんセンターの崎田隆夫(後に筑波大学教授)・大森皓次・三輪剛(後に東海大学教授)等が作成したもの。元々は内視鏡観察ではなく当時の主流である「胃透視画像(バリウム造影)」から提唱されたものであるが、内視鏡観察が広く行われるようになってきた現在でも広く用いられている。
- 活動期(Active stage):潰瘍辺縁の浮腫像・厚い潰瘍白苔がある時期
- A1:出血や血液の付着した潰瘍底はやや汚い白苔の状態
- A2:潰瘍底はきれいな厚い白苔の状態 潰瘍辺縁の浮腫像は改善してくる時期
- 治癒過程期(Healing stage):潰瘍辺縁の浮腫像の消失・壁集中像・再生上皮の出現が見られてくる時期
- H1:再生上皮が少し出現している(潰瘍の50%以下)
- H2:再生上皮に多く覆われてきている(潰瘍の50%以上)
- 瘢痕期(Scar stage):潰瘍白苔が消失した時期
Forrest分類
潰瘍の出血状態を分類したもの。1974年にJohn Forrestが「Lancet」に発表したもの。現在は以下のWalter Heldweinによる改変版が広く用いられている。
- Active bleeding(活動性出血)
- Ia:Spurting bleed(噴出性出血)
- Ib:Oozing bleed(漏出性出血)
- Recent bleeding(最近の出血)
- IIa:Non-bleeding visible vessel(出血の無い露出血管)
- IIb:Adherent blood clot・Black base(凝血塊の付着・黒色潰瘍底)
- No bleeding(出血無し)
- III:Lesion without stigmata of recent bleeding(最近の出血所見の無い病変)
治療
緊急治療
出血病変・穿孔病変に対しては以下の緊急処置が行われる。
- 潰瘍からの出血兆候を認める場合、以下の上部消化管内視鏡による内視鏡的止血術が行われる。
- clip止血
- 局注止血
- エピネフリン添加高張食塩水(HSE:Hypertonic Saline-Epinephrine)
- 純エタノール
- 高周波凝固止血
- APC(argon plasma coagulation)止血
- 稀に内視鏡的な止血困難な症例は腹部血管カテーテル検査によって出血血管の塞栓術(IVR)が施行されたり、または手術(胃切開+出血血管縫合止血術+潰瘍縫縮術)が施行される場合もある。
- 潰瘍穿孔を来たした場合、消化管穿孔として腹膜炎発症のコントロールが重要となってくる。
- 基本的に絶食・輸液管理・胃管挿入・抗菌薬投与による保存的加療にて穿孔が自然閉鎖し軽快することも多いが、穿孔が巨大であったり腹膜炎が生じていたりするようであれば手術(穿孔部縫合術+大網被覆術+腹腔内洗浄)が行われる。
薬物治療
旧来、消化性潰瘍の治療としては胃切除術が施行されてきたが、抗潰瘍薬の開発と共に消化性潰瘍の治療は以下の内服治療が基本となっている。
H.Pylori除菌
ヘリコバクター・ピロリを保有している場合、再発予防として除菌療法を行うことが推奨されている。
詳細は「ヘリコバクター・ピロリ」を参照
関連項目
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Japanese Journal
- 知って得する! (新)名医の最新治療(Vol.264)内服薬を用いれば約8週間で改善できる 消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍)
- 症例報告 17年間の経過で増大した肝原発カルチノイド腫瘍の一例
- 消化管出血 (特集 震災医療 : 来るべき日への医療者としての対応) -- (急性期が過ぎた後に顕在化してくる病態)
- 知っておきたい裁判例(36)基礎疾患と既往症がある営業員が海外出張中に発症した十二指腸潰瘍が業務上疾患だとされた事例[最高裁平成16.9.7判決]
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- 腹痛が強ければ強いほど、十二指腸潰瘍の状態が悪いわけではなく、十二指腸潰瘍に かかっていても全く痛みを感じない場合もあり、気が付かないまま、潰瘍が悪化し胃に孔 (あな)が空き「穿孔性潰瘍」になって、初めて激痛が起こり十二指腸潰瘍に気づく ...
- 胃潰瘍(Gastric ulcer or Stomach ulcer); 十二指腸潰瘍(Duodenal ulcer); 食道潰瘍 (esophageal ulcer 胃食道逆流症を参照 ... 十二指腸潰瘍は食前・空腹時に痛みが 増悪することが知られているが、摂食刺激によってセクレチンが分泌されガストリン分泌 が ...
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- 次の文を読み、28、29の問いに答えよ。
- 72歳の男性。皮膚の黄染を主訴に来院した。
- 現病歴 3か月前から全身倦怠感があり、2週前から上腹部および背部の鈍痛と食思不振とを自覚していた。3日前に皮膚の黄染に気付いた。
- 家族歴 特記すべきことはない。
- 生活歴 喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
- 既往歴 40歳台に右尿管結石にて治療を受けた。50歳台に十二指腸潰瘍で吐血したが、薬物治療にて治癒した。
- 現 症 意識は清明。身長168cm、体重62kg。体温36.1℃。全身の皮膚と眼球結膜とに黄染を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で、肝・脾を触知しない。圧痛、反跳痛および筋性防御を認めない。
- 検査所見 尿所見:蛋白(-).糖1+。血液所見:赤血球 386万、Hb 13.1g/dl、Ht 39%、白血球 9,100、血小板 18万、PT 12秒(基準10-14)。血液生化学所見:血糖 131mg/dl、総蛋白 6.5g/dl、アルブミン 3.8g/dl、総ビリルビン 18.1mg/dl、AST 138IU/l、ALT 162IU/l、LD 570IU/l(基準176-353)、ALP 483IU/l(基準115-359)、γ-GTP 132IU/l(基準8 -50)、CK 41IU/l(基準30-140)。腹部単純CT(別冊No.5A、B)を別に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [105F028]←[国試_105]→[105F030]
[★]
- 次の文を読み、28、29の問いに答えよ。
- 72歳の男性。皮膚の黄染を主訴に来院した。
- 現病歴 3か月前から全身倦怠感があり、2週前から上腹部および背部の鈍痛と食思不振とを自覚していた。3日前に皮膚の黄染に気付いた。
- 家族歴 特記すべきことはない。
- 生活歴 喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
- 既往歴 40歳台に右尿管結石にて治療を受けた。50歳台に十二指腸潰瘍で吐血したが、薬物治療にて治癒した。
- 現 症 意識は清明。身長168cm、体重62kg。体温36.1℃。全身の皮膚と眼球結膜とに黄染を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で、肝・脾を触知しない。圧痛、反跳痛および筋性防御を認めない。
- 検査所見 尿所見:蛋白(-).糖1+。血液所見:赤血球 386万、Hb 13.1g/dl、Ht 39%、白血球 9,100、血小板 18万、PT 12秒(基準10-14)。血液生化学所見:血糖 131mg/dl、総蛋白 6.5g/dl、アルブミン 3.8g/dl、総ビリルビン 18.1mg/dl、AST 138IU/l、ALT 162IU/l、LD 570IU/l(基準176-353)、ALP 483IU/l(基準115-359)、γ-GTP 132IU/l(基準8 -50)、CK 41IU/l(基準30-140)。腹部単純CT(別冊No.5A、B)を別に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [105F027]←[国試_105]→[105F029]
[★]
- 次の文を読み、41、42の問いに答えよ。
- 42歳の男性。頻回の嘔吐を主訴に来院した。
- 現病歴: 2か月前から食後に上腹部膨満感が出現し、1週前から時々嘔吐するようになった。上腹部に重圧感を自覚することもあり、一昨日から嘔吐が頻回になり、黒っぽい便が出ている。吐物は食物残渣のみで、血液の混入はない。
- 既往歴: 28歳時、十二指腸潰瘍に罹患し服薬治療を受けていたが、再発を繰り返していた。
- 現症: 意識は清明。身長170cm、体重54kg。体温36.9℃。呼吸数12/分。脈拍124/分、整。血圧98/58mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で、上腹部に圧痛を認める。腸雑音は正常である。
- 検査所見: 尿所見:蛋白(-)、糖(-)。
- 血液所見:赤血球242万、Hb6.5g/dl、Ht20%、血小板39万。
- 血清生化学所見:総蛋白6.5g/dl、アルブミン3.8g/dl、尿素窒素42mg/dl、クレアチニン0.9mg/dl、AST38IU/l、ALT33IU/l、LDH360IU/l(基準176~353)。
- この患者の血清電解質で最も著しい異常がみられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101D040]←[国試_101]→[101D042]
[★]
- 次の文を読み、41、42の問いに答えよ。
- 42歳の男性。頻回の嘔吐を主訴に来院した。
- 現病歴: 2か月前から食後に上腹部膨満感が出現し、1週前から時々嘔吐するようになった。上腹部に重圧感を自覚することもあり、一昨日から嘔吐が頻回になり、黒っぽい便が出ている。吐物は食物残渣のみで、血液の混入はない。
- 既往歴: 28歳時、十二指腸潰瘍に罹患し服薬治療を受けていたが、再発を繰り返していた。
- 現症: 意識は清明。身長170cm、体重54kg。体温36.9℃。呼吸数12/分。脈拍124/分、整。血圧98/58mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で、上腹部に圧痛を認める。腸雑音は正常である。
- 検査所見: 尿所見:蛋白(-)、糖(-)。
- 血液所見:赤血球242万、Hb6.5g/dl、Ht20%、血小板39万。
- 血清生化学所見:総蛋白6.5g/dl、アルブミン3.8g/dl、尿素窒素42mg/dl、クレアチニン0.9mg/dl、AST38IU/l、ALT33IU/l、LDH360IU/l(基準176~353)。
[正答]
※国試ナビ4※ [101D041]←[国試_101]→[101D043]
[★]
- 次の文を読み、49、50の問いに答えよ。
- 53歳の女性。発汗、不眠および動悸を主訴に来院した。
- 現病歴 : 1年前から時々顔面のほてりを覚え、運動もしていないのに突然汗が出るようになった。6か月前から、夜なかなか寝つけなくなり、動悸もするようになった。
- 既往歴 : 特記すべきことはない。閉経52歳。
- 現症 : 意識は清明。身長157cm、体重62kg。体温36.4℃。脈拍76/分、整。血圧132/78mmHg。心雑音はない。腹部は平坦で、肝・脾を触知せず、圧痛と抵抗とを認めない。下肢の浮腫は認めない。
- 検査所見 : 尿所見:蛋白1+、糖(-)。血液所見:赤血球410万、Hb12.4g/dl、Ht36%、白血球5,300、血小板37万。血清生化学所見:空腹時血糖96mg/dl、総蛋白6.2g/dl、クレアチニン0.8mg/dl、AST28単位(基準40以下)、ALT34単位(基準35以下)。
[正答]
※国試ナビ4※ [098F049]←[国試_098]→[098G001]
[★]
- 48歳の女性。昨日からの激しい心窩部痛、悪心・嘔吐および発熱のため来院した。身長158cm、体重66kg。体温38.5℃。眼球結膜に黄染はない。右季肋部にBlumberg徴候を認める。尿所見:濃褐色、蛋白(-)、ウロビリノゲン1+、ビリルビン1+、沈液に赤血球0/1視野、白血球2~3/1視野。血液所見:赤血球480万、Hb15.0g/dl、Ht41%、白血球13,500(桿状核好中球11%、分葉核好中球68%、好酸球2%、好塩基球1%、単球5%、リンパ球13%)。血清生化学所見:総ビリルビン1.5mg/dl、直接ビリルビン1.0mg/dl、AST46単位(基準40以下)、ALT41単位(基準35以下)、アルカリホスファターゼ290単位(基準260以下)、アミラーゼ180単位(基準37~160)。
[正答]
※国試ナビ4※ [097F010]←[国試_097]→[097F012]
[★]
- 2歳の男児。腹痛のため母親に連れられて来院した。今朝から間欠的に腹痛を訴えている。排便はあったが、血便ではなかったという。診察時はおとなしくしている。身長 86cm、体重 11.5kg。意識は清明。体温 36.8℃。脈拍 100/分、整。血圧 96/60mmHg。呼吸数 24/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部はやや膨満しているが軟らかい。臍上部の圧痛を認める。腸雑音はやや亢進している。腹部超音波像(別冊No. 6)を別に示す。
- 考えられる疾患はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114D022]←[国試_114]→[114D024]
[★]
- 32歳の男性。腹痛を主訴に来院した。2か月前から時々腹痛を起こしていた。1週前から朝、腹痛で目覚めることが多くなり、1日に数回の腹痛と便意とを生じるようになった。排便すると腹痛は軽快する。便通は1日に3、4回、泥状である。便に血液の付着はない。2週前、同僚と暴飲暴食をしたことがあった。体温36.4℃。脈拍72/分、整。血圧132/80mmHg。腹部の聴診で腸雑音が亢進し、下腹部に圧痛を認める。筋性防御を認めない。血液所見:赤血球420万、Hb14.2g/dl、白血球5,600。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [100D010]←[国試_100]→[100D012]
[★]
- 18歳の女子。2か月前から摂食後に悪心と嘔吐とを生じるようになり来院した。腹痛はない。上半身を前屈して食事をすると悪心と嘔吐とは軽減するという。身長156cm、体重37kg。腹部は全体に陥凹し、腸雑音の亢進はなく、圧痛もない。CA19-9 26U/ml(基準37以下)。上部消化管造影写真を以下に示す。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [096A023]←[国試_096]→[096A025]
[★]
- 50歳の男性。心窩部痛のため搬入された。多量の飲酒後に激しく嘔吐し痛みが出現した。胸部エックス線写真で中等量の左胸水貯留を認めた。ドレナージにて混濁した胸水を認める。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [103D055]←[国試_103]→[103D057]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [108E021]←[国試_108]→[108E023]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [095E022]←[国試_095]→[095E024]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [105I024]←[国試_105]→[105I026]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [096H030]←[国試_096]→[096H032]
[★]
- ヘリコバクター・ピロリ除菌の適応となるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102I035]←[国試_102]→[102I037]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [095E037]←[国試_095]→[095E039]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [105C007]←[国試_105]→[105C009]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [103I004]←[国試_103]→[103I006]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [102H005]←[国試_102]→[102H007]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [106I015]←[国試_106]→[106I017]
[★]
- 英
- emerging infectious disease
- 関
- 感染症、再興感染症
- 新たにヒトでの感染が証明された疾患、あるいはそれまでその土地では存在しなかったが新たにそこでヒトの病気として現れてきたものなどとされています。原因が不明であった疾患のうち病原物質が明らかとなり、地域あるいは国際的に多くの人の健康に対して問題となるものも新興感染症の概念の中に含まれます。
一覧
-感染症
[★]
- 英
- gastric ulcer GU, stomach ulcer
- ラ
- ulcus ventriculi UV
- 関
- 胃、十二指腸潰瘍、胃十二指腸潰瘍、消化性潰瘍
疫学
病態
- 高位潰瘍:高齢者。低酸。 ← 幽門腺(ガストリン分泌)と胃底腺(胃酸・ペプシノゲン分泌)の境界が上昇する。このため潰瘍形成部位が上昇する
- 幽門部潰瘍:若年者。高酸
- 急性潰瘍:多発性。体部
- 穿孔・穿通:潰瘍が筋層以下に進展すれば生じうるが、十二指腸潰瘍に比べで頻度は多くない。→穿通性潰瘍 →穿孔性潰瘍
症状
- 食後1時間以内の早期痛と数時間後の晩期痛がある。(QB.A-308)
- 腹痛の十二指腸潰瘍/胃潰瘍に対する陽性予測率は高くない。NSAIDによる粘膜病変をもつ患者の10%までが先行症状なくcomplication(出血、穿孔、閉塞)を来す。(HIM.1860)
- 十二指腸潰瘍/胃潰瘍では、焼けるようなあるいは差し込むような痛みと表現される。the discomfort is also described as an ill-defined, aching sensation or as hunger pain.(HIM.1861)
- 痛みのパターン:(十二指腸潰瘍)食事後30分~3時間で痛みが治まる。深夜からA.M.3時までの間に痛みで目をさます。これがとっとも鑑別する症状であり、2/3の患者にみられる。しかし、non ulcerative dyspapsia患者の1/3でもこのような症状はみられる。(胃潰瘍)痛みは食事により強まり、悪心と体重減少が起こるのが一般的である。(HIM.1861)
合併症
- 好発部位:小弯部上の巨大潰瘍
- 症状:突然現れる上腹部痛。前屈位・側臥位となる。上腹部腹壁緊張亢進、筋性防御、板状硬をみとめ、Blumberg徴候陽性となる。
検査
上部消化管内視鏡
崎田分類(ステージ分類)
- 参考1
- A1:潰瘍辺縁は浮腫状であり潰瘍底は黒苔で覆われている
- A2:辺縁の浮腫は改善し潰瘍底は白苔により被覆されている
- H1:潰瘍辺縁に再生上皮の出現を認める
- H2:白苔は薄く縮小し再生上皮の部分が拡大している
- 胃潰瘍瘢痕期:潰瘍の治癒期には再生上皮による被覆が完成し白苔は消失
消化管造影
- 胃癌との対比(RNT.191)
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良性潰瘍
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悪性潰瘍
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ニッシェ
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円形、輪郭明瞭、深い
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不整型、輪郭不明瞭、浅い
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軟膜ヒダ
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不整なく均一
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不整、不均一(先細り、肥大、融合)
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診断
治療
生活療法
- 精神的・肉体的安静
- 食事療法(刺激物摂取禁止)
- 生活習慣改善(禁煙・禁酒)
薬物療法
- 胃酸分泌抑制薬(プロトンポンプインヒビター、H2受容体拮抗薬、ムスカリン受容体拮抗薬)
- Helicobacter pyloriの除菌(プロトンポンプインヒビター、アモキシシリン、クラリスロマイシン)。クラリスロマイシン無効ならメトロニダゾールに変更。
interventional radiology
手術療法
- SSUR.501
- 手術適応:内科的手法で止血が得られず、また止血されても繰り返す場合。
- 幹迷走神経切離術 truncal vagotomy:腹部食道の高さで迷走神経を切離:肝枝や腹腔枝が切離され、下痢や胆石症を生じる。胃内容物停滞が起こる
- 選択的迷走神経切離術 selective gastric vagotomy:胃枝のみ切離し、肝枝、幽門枝、腹腔枝を温存:胃内容物停滞が起こる
- 選択的近位迷走神経切離術:selective proximal vagotomy, proximal gastric vagotomy, highly selective vagotomy, parietal cell vagotomy:胃の壁細胞領域に分布する胃体部枝のみを切離する。幽門洞枝が温存され、幽門洞の運動機能が保存される。
予後
参考
- 1. H19(2007)胃潰瘍GLの適用と評価に関する研究班編/医療・GL(07年)胃潰瘍GLの適用と評価に関する研究班編/医療・GL(07年)
- http://minds.jcqhc.or.jp/lo/ps/Fpastlist.aspx
国試
[★]
- 英
- omeprazole
- 化
- オメプラゾールナトリウム omeprazole sodium
- 商
- エンプラール、オブランゼ、オメプトロール、オメプラール、オメプラゾン、オメプロトン、オメラップ, Prilosec
- 関
- プロトンポンプ阻害薬
分類
-
適応
相互作用
併用禁忌
副作用
[★]
- 関
- アズレン、L-グルタミン
効能又は効果
作用機序
- 本剤の配合成分であるアズレンスルホン酸ナトリウム水和物は、炎症性粘膜に直接的に作用し、各種胃炎に効果を発揮するばかりでなく、胃炎・潰瘍の合併症に効果を発揮する。
- 1) ラットにおいて、NSAIDsによる胃粘膜内のヘキソサミン含量の減少を抑制する。
- 2) イヌにおいて、L-グルタミンは胃粘膜上皮の構成成分であるヘキソサミンの生合成に関与している。また、L-グルタミンはグルコサミンの生成を促進する(in vitro)。
- ラット酢酸潰瘍モデルにおいて、潰瘍底の血管新生を促進する。
- ラットにおいて、本剤投与により胃粘膜内ペプシノゲン量を対照に比してpH2.0で約75%、pH3.5で約78%減少させた。
添付文書
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2329122D1414_1_01/2329122D1414_1_01?view=body
[★]
- 英
- upper gastrointestinal hemorrhage、gastrointestinal bleeding GIB
- 関
- 下部消化管出血、消化管出血、吐血
概念
上部消化管出血をきたす疾患
YN.A-40
IMD.382
- 1. 消化性潰瘍(胃潰瘍が十二指腸潰瘍の1.6-3倍)
- 2. 急性胃粘膜病変
- 3. 食道静脈瘤・胃静脈瘤
- 4. 悪性腫瘍
- 5. マロリー・ワイス症候群
頻度順
検査
- BUN/Cr比:有効循環血液量に対する反応として、腎前性高窒素血症が見られる。BUN 40mg/dl以上でCrが正常であれば1000ml以上の出血が考えられる。(IMD.386)
[★]
- 英
- gastroduodenal ulcer GU
- 関
- 消化性潰瘍、辺縁性潰瘍
[★]
- 英
- gastroduodenal ulceration-chronic pulmonary disease syndrome
[★]
- 英
- hemorrhagic duodenal ulcer
[★]
- 英
- duodenum (Z)
- 関
- 消化器系、小腸
解剖
first portion
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上部、球部
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second portion
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下行部
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third portion
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水平部
|
fourth portion
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上行部
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上部
-superior part
KA. 291,311,312
KH. 170
- 5cm, 5cm (KL.350)
- 最初の2cmは可動性があり、十二指腸球部と呼ばれる
血管
下行部 descending part
KA. 297
horizontal part
KA. 297
KH. 170
- 6-8cm, 8cm (KL.351)
- 輪状ヒダがある
ascending part
KH. 170
- 5cm, 5cm (KL.352)
- 輪状ヒダがある
組織
[★]
- 英
- ulcer
- ラ
- ulcus
- 関
- びらん
- 粘膜の損傷が粘膜筋板に達し、その筋層を貫通した場合。