- 英
- mannitol
- ラ
- D-mannitolum
- 商
- マンニゲン、マンニットT、マンニットール、(果糖合剤)フルクトマニト、(ソルビトール合剤)マンニットールS
- 関
- D-マンニトール D-mannitol、D-マンニット D-mannit
- その他の循環器官用薬
概念
- 自然界にはD-マンニトールが多く存在しており、治療薬でもD-マンニトールが用いられる。
- 参考1より引用
- マンニトール (mannitol) は糖アルコールの一種である。 ヘキシトールに分類され、マンノースの還元体に相当する。マンニット (mannite) とも呼ばれる。光学活性物質であり、天然に多く存在するエナンチオマーは D-マンニトールである。ソルビトールの異性体である。
- 浸透圧調製剤・利尿剤であり、弱い腎臓血管拡張剤でもある。
- 水溶液中ではプロトンを放出する性質を持つため、水溶液は酸性になる。このため、炭酸ナトリウムなど pH 調整剤を併用することが珍しくない。
適応
- 1. 術中・術後・外傷後及び薬物中毒時の急性腎不全の予防及び治療 ← 通常の利尿薬はhypovolemia+乏尿では良い適応ではないらしい。そのような場合にマンニトールが良い適応となる、らしい。
- 2. 脳圧降下および脳容積の縮小を必要とする場合
- 3. 眼内圧降下を必要とする場合
参考
- http://wpedia.goo.ne.jp/wiki/%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%8B%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%AB
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D-マンニトール |
|
一般情報 |
IUPAC名 |
(2R,3R,4R,5R)-ヘキサン-1,2,3,4,5,6-ヘキサオール |
別名 |
マンニット |
分子式 |
C6H14O6 |
分子量 |
182.17 g/mol |
形状 |
無色 斜方晶 from エタノール |
CAS登録番号 |
[69-65-8](D体)
[643-01-6](L体)
[133-43-7](ラセミ体) |
性質 |
融点 |
166-168 ℃(斜方晶 from エタノール) |
沸点 |
290-295 ℃/3.5 mmHg |
比旋光度 [α]D |
+23.3 ~ +24.3 (20 ℃) |
マンニトール (mannitol) は糖アルコールの一種である。 ヘキシトールに分類され、マンノースの還元体に相当する。マンニット (mannite) とも呼ばれる[1]。光学活性物質であり、天然に多く存在するエナンチオマーは D-マンニトールである。ソルビトールの異性体である。
ヨーロッパから中近東にかけて自生するモクセイ科のマンナトネリコ(Manna Ash、Fraxinus ornus)の甘い樹液から発見・命名された。マンナトネリコの名はマナにちなむ。
浸透圧調製剤・利尿剤であり、弱い腎臓血管拡張剤でもある。
水溶液中ではプロトンを放出する性質を持つため、水溶液は酸性になる。このため、炭酸ナトリウムなど pH 調整剤を併用することが珍しくない。
用途[編集]
-
- 注意喚起
脳血液関門に関連する記述について、より正確に記述しないとマンニトールの機能性について誤解を生じるおそれがあると思われる。現時点の記述は2006年の時点の翻訳版と思われ、その翻訳元の版の記述のままである点に注意されたい。また、記述を修正していただける方を募集します。
主に頭蓋内圧を減少させたり乏尿性腎不全の患者を治療するのに用いられる。点滴静脈注射で投与され、腎臓でろ過される。高張液として作用し、末端細環へのナトリウムイオンと水分の移動量を増加させることにより尿の生成を促進させる。
堅く密着結合した血管内皮を収縮させて血液脳関門を一時的に開くのにも用いられる。この効果はアルツハイマー型痴呆などの治療において脳に直接薬剤を送り込むために不可欠である。
また、糖尿病を患っている人々のための甘味料としても利用される。負の溶解熱を持つため、キャンディーなどにヒヤリとする爽快感を与えるためにも使われる。20グラム以上の量を摂取すると緩下薬としてはたらくことから、小児用の下剤として販売されることもある。
ヘロイン、メタンフェタミンなどの麻薬の混ぜ物として使われることもある。
心臓ペースメーカーのらせん状の導線など、尖ったものを体内に挿入する際の一時的な被覆材としても用いられる。血液に溶解しやすく静脈を透過するので、目的の位置に達したあと時間がたつと被覆された部分は再び露出する。
重篤なシガテラ中毒の場合に、重傷度軽減と神経学的症状の発現時間短縮を目的に投与されるという報告もあるが、これを支持する論文は他には見あたらない[要出典]。この用途にマンニトールを利用するに当たっては、充分な補水とともに、細心の注意が必要である。これはシガトキシンを原因とするいわゆる「熱帯魚中毒」で、脳卒中に似た症状を示すことがある。
マンニトールは非透過性の分子である。すなわち細胞膜を通り抜けることができない。
有機合成の分野においては、安価かつ各種の変換を行いやすい点を生かし、不斉点を持つ化合物の合成の際に出発原料としてよく用いられる。
脚注[編集]
- ^ 内山充、寺尾允男、早川堯夫ら、2006年3月31日『第十五改正日本薬局方』厚生労働省告示第285号、1055頁目、2010年9月29日取得。
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- P2-194 ガベキサートメシル酸塩製剤の安定性に対するD-マンニトール添加の影響(一般演題 ポスター発表,後発医薬品,臨床から学び臨床へと還元する医療薬学)
- 大鳥 徹,兵頭 将宏,杉本 サラ,桜井 美由紀,松野 純生,松山 賢治
- 日本医療薬学会年会講演要旨集 20, 422, 2010-10-25
- NAID 110008109193
- 浸透圧変化によるモルモット気道上皮イオントランスポートの反応性の検討
- 服部 知洋,馬島 徹,橋本 修
- アレルギー 59(8), 974-983, 2010-08-30
- 【背景】運動誘発喘息(Exercise-induced asthma,EIA)の誘因に,過換気に伴う水分喪失による気道液浸透圧の上昇が考えられている.【目的】モルモット気道上皮イオントランスポートの浸透圧変化による反応性を検討した.【方法】高張食塩水及びマンニトール負荷による影響をopen circuit potential differenceを測定することにより検討した.【結果】0.9-10. …
- NAID 110007700754
Related Links
- マンニトール (mannitol) は糖アルコールの一種である。 ヘキシトールに分類され、 マンノースの還元体に相当する。マンニット (mannite) とも呼ばれる。光学活性物質で あり、天然に多く存在するエナンチオマーは D-マンニトールである。 ...
- マンニットールS注射液,D-ソルビトール・D-マンニトール注射液. ... 一般名, D -ソルビトール・D-マンニトール注射液, 英名, Mannitol-S. 剤形, 注射液, 薬価, 579.00. 規格, 500mL1瓶, メーカー, 陽進堂. 毒劇区分 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
- 、*20%マンニットール注射液「YD」(300mL)
組成
成分・含量(300mL)
禁忌
- 急性頭蓋内血腫のある患者〔急性頭蓋内血腫を疑われる患者に、頭蓋内血腫の存在を確認することなく本剤を投与した場合、脳圧により一時止血していたものが、頭蓋内圧の減少とともに再び出血し始めることもあるので、出血源を処理し、再出血のおそれのないことを確認しない限り、本剤を投与しないこと。〕
効能または効果
- 術中・術後・外傷後及び薬物中毒時の急性腎不全の予防及び治療する場合。
脳圧降下及び脳容積の縮小を必要とする場合。
眼内圧降下を必要とする場合。 *D-マンニトールとして、通常1回体重1kg当り1.0?3.0g(5?15mL)を点滴静注する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、D-マンニトールとして1日量200gまでとする。投与速度は100mL/3?10分とする。
慎重投与
- 脱水状態の患者〔本剤の利尿作用により症状が悪化することがある。〕 *尿閉又は糖尿病性腎症等の腎機能障害のある患者〔腎からの排泄が減少していると、血漿浸透圧が上昇し、循環血液量が増加することにより、急性腎不全があらわれることがある。〕 *全身性疾患(心疾患、肝疾患など)により腎機能が低下している患者〔腎からの排泄が減少していると、血漿浸透圧が上昇し、循環血液量が増加することにより、急性腎不全があらわれることがある。〕 *高齢者〔「高齢者への投与」の項参照〕
重大な副作用
- 大量投与により急性腎不全があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。 *電解質異常(代謝性アシドーシス、高カリウム血症、低ナトリウム血症)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- マンニトールの薬理作用は浸透圧利尿作用である。静注されたマンニトールは、ほとんど代謝を受けずに腎糸球体からろ過され、尿細管からほとんど再吸収されず尿中に排泄される。
急性腎不全の予防及び治療効果
- ラット(Sprague-Dawley)、イヌ(Mongrel)及びウサギ(家兎)の実験的急性腎不全にマンニトールを投与したところ、投与群は無投与群に比し有意に死亡率が低下した2?4)。====脳圧降下作用====
- イヌに実験的脳浮腫を作成し、マンニトールを投与すると脳脊髄液圧降下作用を示した5)。
眼圧降下作用
- 健常人にマンニトールを投与すると眼内圧降下作用を示した6)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
分子式
分子量
性状
- 白色の結晶又は粉末で、においはなく、味は甘く、冷感がある。水に溶けやすく、エタノール(95)又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。水酸化ナトリウム試液に溶ける。
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- hyponatremia
- 同
- 低Na血症
- 関
- ナトリウム、高ナトリウム血症、電解質異常
定義
- 血清ナトリウムが134mEq/L以下の病態。(正常の下限は135mEq/Lとされる)
- 水とナトリウムのバランスという観点で、2つに分けられる
疫学
分類
-
病型
ICU.525
- 利尿・副腎不全: 尿中Na > 20mEq
- 嘔吐・下痢 : 尿中Na < 20mEq
- 等容量性低ナトリウム血症:細胞外液は増加していないが、水の方が多くなった状態。臨床的に浮腫が無い。下表で[1]に相当
- 循環血増加性低ナトリウム血症:細胞外液にナトリウムと水が増加しており、なおかつ水の方が多い病態:下表で[3]に相当
- 腎不全 : 尿中Na > 20mEq
- 心不全・肝不全: 尿中Na < 20mEq
IMD
- [1] 細胞外液量増加:組織間質に非常に多量の水と多量のナトリウムが移動。移動する原因は血液のうっ滞、膠質浸透圧の低下など
-
- うっ血性心不全や腹水を伴う肝硬変では、圧受容器が循環血液量の減少を検出してバソプレシンを分泌する(cases.200)
- 消化管からの喪失(下痢、嘔吐、腸閉塞など)、熱傷、利尿薬の過剰投与、腎疾患、副腎不全など。
- [3] 細胞外液量正常:ナトリウムの摂取・排泄は変わらないが、水が異常に蓄積されるため? ← 最も多いらしい
- 内分泌疾患(副腎不全、抗利尿ホルモン(ADH)不適合分泌症候群(SIADH)、甲状腺機能低下症)、薬物、水中毒(心因性多飲)など。
- 高浸透圧性:高血糖、マンニトール投与など。
- 正浸透圧性:脂質異常症(高脂血症)、高蛋白血症など。
水とナトリウムのバランスによる分類
低ナトリウム血症+血漿浸透圧上昇
- QB.D-333
- 高脂血症 → (炎光光度法で測定する場合)過剰の脂質によって血漿の非液相成分が増加し血漿浸透圧が上昇するが、液相成分が減少しているため見かけ上低ナトリウム血症となる (ICU.523) → 偽性低ナトリウム血症
- 高血糖 ← 高血糖だけで低血糖になる?
- 尿毒症 → 浸透圧較差の増大による。ある種の毒性物質(エタノール、メタノール、エチレングリコール、腎不全によって蓄積した同定できない毒素)が細胞外液にあるときに増加する(ICU.517)(つまり、毒性物質が浸透圧を生み出す物質として作用するということ)。ちなみに、急性腎不全では正常であり、慢性腎不全で浸透圧較差は上昇する。
病態生理
- 体液電解質異常と輸液 改訂第3版 p.51
低ナトリウム血症のメカニズム
|
|
障害の原因
|
障害の例
|
effective osmole(Na, K)の欠乏
|
長期間のの下痢・嘔吐・絶食
|
浸透圧利尿
|
水分過剰
|
口渇感の異常 (多飲)
|
尿自由水排泄能力を超えた量の飲水
|
心因性多飲
|
マラソン中の多量飲水
|
尿希釈能の低下 (水排泄障害)
|
尿細管での 自由水生成障害
|
有効循環血漿量低下 (心不全、肝不全、脱水)
|
極度の低栄養・偏食
|
腎障害
|
不適切な抗利尿ホルモン作用
|
SIADH
|
有効循環血漿量低下
|
甲状腺機能低下
|
糖質コルチコイド欠乏
|
症状
- 急性:症状が出現しやすい。意識障害を呈する
- 慢性:無症候。125mEq/L以下にならなければ顕性化しない事が多い。臨床的に問題となるのは非常に低いレベル(120mEq/L)。
- 全身 :無力感、全身倦怠感
- 消化器:食欲不振、悪心・嘔吐
- 神経 :意識障害(傾眠、昏睡)
- 筋 :痙攣、腱反射低下、筋力低下
重症度別(YN.D137)
- 軽症:120mEq/L以上:無気力、疲労感、軽度の食思不振、頭痛
- 重症:120mEq/L以下:悪心・嘔吐、強い食思不振や頭痛、精神症状や間代性痙攣、意識障害
検査
- 血清Na・K 測定、腎機能検査、ADH、コルチゾール、アルドステロン、甲状腺ホルモンの測定、血液ガス分析など(IMD)
- 尿の浸透圧、尿Na濃度
治療
YN.D-137改変
|
脱水
|
|
水
|
Na
|
体液
|
病態生理
|
尿中Na
|
尿浸透圧
|
ADH
|
治療
|
原疾患
|
[1]
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なし
|
hyponatremia with hypervolemia
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大過剰
|
過剰
|
細胞外液量増加
|
|
(>20mEq/L)
|
|
分泌される
|
・ループ利尿薬+水,Na制限 ・(不十分)サイアザイド追加 ・低Kや体腔液貯留が強い場合スピロノラクトン追加
|
末期腎不全
|
(<20mEq/L)
|
うっ血性心不全、肝硬変
|
[2]
|
あり
|
hyponatremia with hypovolemia
|
ナトリウム喪失型 ナトリウム欠乏性低ナトリウム血症
|
-
|
過少
|
細胞外液量減少
|
Na OUT →○⇒
|
↑ 80mEq/L (>20mEq/L)
|
|
|
・Naの補給+等張液輸液(生食,乳酸リンゲル) ・Na排泄率をモニターしIN>OUTを確認
|
腎性:利尿薬の過剰投与、Addison病、尿細管傷害
|
↓ 20mEq/L (<20mEq/L)
|
腎外性:消化管からの喪失(下痢、嘔吐、腸閉塞)、熱傷、
|
Na IN →○→
|
↓ 20mEq/L
|
経口摂取不能
|
[3]
|
なし
|
hyponatremia with normovolemia
|
水過剰型 希釈性低ナトリウム血症
|
過剰
|
-
|
細胞外液量正常
|
水 OUT →○→
|
→ 40mEq/L
|
ADH excess >320 mOsm/kg (>100mOsm/L)
|
分泌抑制不可能
|
・水制限 ・ループ利尿薬+生理食塩水
|
SIADHなど
|
|
水IN ⇒○→
|
↓ 20mEq/L
|
<100 mOsm/kg (<100mOsm/L)
|
分泌抑制を上回るwater intake
|
低張輸液過多、水中毒(心因性多飲)
|
[4]
|
|
|
|
|
|
偽性低Na血症
|
高浸透圧性
|
|
|
|
|
|
高血糖、マンニトール投与
|
正浸透圧性
|
脂質異常症(高脂血症)、高蛋白血症
|
対症療法
- 脱水:等張の生理食塩水
- SIADH:飲水制限
- 水とナトリウムの過剰:水とナトリウムの摂取制限、利尿薬
- 研修医当直御法度 症例帳 p.28
- 低ナトリウム血症だからといって生理食塩水を輸液すればいいわけではない。
- [1] ナトリウム過剰(それ以上に水貯留):(症状)浮腫、腹水などによる著明体重増加。(基礎疾患)心不全、ネフローゼ症候群、肝硬変
- ・・・ 生理食塩水輸液××
- ・・・ 生理食塩水輸液ok
- [3] ナトリウム正常(水が過剰):水中毒、SIADH
- ・・・ 生理食塩水輸液××
合併症
- 急速な低ナトリウム血症の補正により生じうる。
- 中枢神経に細胞内脱水をきたし、橋部を中心に脱髄病変を示す。
- 症状:神経障害、意識障害、痙攣、四肢麻痺など
[★]
- ☆case76 頭痛
- ■glossary
- 傾眠 drowsiness 正常、病的の区別なく眠り込む場合に用いられる
- 意識不鮮明 confusion 周囲に対する認識や理解は低下し、思考の清明さや、記憶の正確さが失われる
- 錯乱 confusion 夢幻様状態より見当識障害と思考の滅裂が見られる状態(PSY.40)
- MA = Master of Arts 文学修士
- The Master of Arts (BrE: MA, UsE: M.A.) is awarded in Arts, Humanities, Theology and Social Sciences (Wikipedia)
- graduate student 大学院生
- rousable adj. 覚醒できる、目を覚ますことができる
- rouse vt. ~の目を覚まさせる、呼び起こす。喚起する、鼓舞する、奮起させる。(感情を)起こさせる、かき立てる
- lateralize vt. (生理)(大脳が)(左右半球に心的機能差がある、左右差がある。(器官・機能・活動などが)大脳の(左右いずれかの)片側優位下にある。(医学)(障害などが)大脳の片半球にあると診断される
- 乳頭浮腫 papilledema 原因を問わず視神経乳頭が腫脹している状態
- うっ血乳頭 choked disc 脳圧亢進による乳頭浮腫
- ■症例
- 24歳、男性 精神学の修士過程を専攻している大学院生
- 主訴:激しい頭痛
- 現病歴:頭部全体に痛みがある。2回嘔吐。傾眠と錯乱が認められるようになった。明るい光を嫌う()he finds bright lights uncomfortable。
- 既往歴:病気の既往はない。アレルギーはない。タバコ1日10本。アルコール24 unit/week(缶ビール(350ml)13.7本/週)。薬は服用してない。
- 家族歴:彼女と同居。3歳と4歳の子供がいる。
- ・診察 examination
- 見た感じ紅潮しており、調子が悪そう。体温:39.2℃。項部硬直あり(he has stiffness on passice flexion of his neck)。皮疹なし。副鼻腔に圧痛なし。鼓膜所見は正常。脈拍:120/分。血圧:98/74 mmHg。心血管系、胸部、腹部に異常所見なし(normal)。意識レベル低下。命令に応じて覚醒する(JCS10?)。局所神経症状認めない。眼底所見正常
- ・検査 investigation
- 血液検査
- 白血球:上昇。血清Na:低下。血清尿素:上昇。血清クレアチニン:上昇。血液培養:検査中
- 画像検査
- 胸部X線:異常所見なし。頭部CT:正常
- 心電図:洞性頻脈
- 腰椎穿刺
- 髄液所見:混濁。白血球:増多。蛋白:増多。糖:低下(普通の人の血糖100mg/dLと考える。→ 1g/L → 1/180 mol/L → 5.56 mmol/L。グラム染色:結果待ち
- ■Q
- 診断、鑑別診断、管理
- ■A
- 細菌性髄膜炎、髄膜炎・クモ膜下出血、経験的抗菌薬投与・
- ■解説
- (第1パラグラフ)細菌性髄膜炎
- ・(症状)突然発症。激しい頭痛、嘔吐、錯乱、羞明、項部硬直
- ・低血圧、白血球増多、腎機能低下 → ウイルス性よりむしろ細菌性の感染を示唆する。 ← 重症敗血症~敗血症ショックかな?(私見)
- ・(髄膜炎菌の種類)
- <テーブル挿入 髄膜炎>
- ・(疫学)HIM. 2621 (多分、全患者中(←私見))
- Streptococcus pneumoniae ~50%
- Neisseria meningitidis ~25%、
- group B streptococci ~15%
- Listeria monocytogenes ~10%
- Haemophilus influenzae type B <10%
- ・Neisseria meningitidisは全身性の脈管の皮疹(点状出血、紫斑)が特徴的(generalized vasculitic rash)
- (第2パラグラフ)鑑別診断
- ・激しい頭痛
- ・the most severe headaches are experienced in meningitis, subarachnoid hemorrhage and classic migraine.
- ・meningitis:単回の発作(single episode)。症状は時間単位で出現。
- ・subarachnoid hemorrhage:単回の発作(single episode)。突然発症(突発完成?)。硝子体出血を認めることがある。
- ・classic migraine:繰り返す(数回/年~1回/週。平均月2回。発作は4-72時間継続)
- ・髄膜刺激:急性に発熱をきたした多くの病態でみられる(acute febrile conditions)。特に子供。 ← そうなの?
- ・頚部硬直:頚部や脊椎の局所感染症でも起こる。 ← パーキンソン病などによる筋トーヌスの異常亢進も除外しよう
- ・他の髄膜炎:脳脊髄液所見で鑑別する
- (第3パラグラフ)経験的治療
- ・(細菌性)髄膜炎が疑われたら、確定診断する前に適切な抗菌薬を投与(empirical treatment)。 → 数時間の経過で死亡することがある。
- ・ペニシリンアレルギーがなければ、ceftriaxoneかceftaximeの静脈内投与が一般的な治療法
- (第4パラグラフ)腰椎穿刺
- ・乳頭浮腫がない、あるいは占拠性病変を示唆する片側性の神経徴候(lateralized neurological signs)がある患者では(CTの結果を待たずに)腰椎穿刺をすぐにやるべき(CASES) ← どういう事?
- ・局在性の神経徴候(localized neurological sign)がある場合はまずCTを撮るべき(CASES)。 → the dangers of coning ← 鉤ヘルニアの事?
- (第5パラグラフ)細菌性髄膜炎の管理
- ・診断:CSF検査(グラム染色、髄液培養(確定診断、感受性試験)
- ・管理
- ・意識が低下しているのでそれなりの看護(must be nursed)。アヘン剤による鎮痛。生理食塩水による低ナトリウム血症の補正。低血圧を補正するためにinotrope(a drug with positive inotropic effects, e.g. dobutamine, digitalis, milrinone )も必要かもしれない。(100CASES)
- ・感受性のある抗菌薬の投与(大量静注、髄液移行性の高いもの)、髄液所見の正常化・CRP 陰転後、1週間抗菌薬を投与して治療を終了。対症療法として脳圧亢進には高張脳圧降下薬(マンニトールなど)を投与。(IMD.1042)
- (第6パラグラフ)家族構成を考えた治療
- ・(意訳)誰が3-4歳の世話をしていたのか分からないけど、子供も検査すべき。髄膜炎菌か原因菌が不明だったら、リファンピシンによる予防的治療と髄膜炎球菌に対する予防接種をすべき。 ← 日本ではどうなんでしょうか。
- □350ml アルコール5%
- 350x0.05/10=1.75 unit
- ■莢膜を有し、髄膜炎を起こす細菌 → 莢膜を有することで血液中で補体などを介した貪食を免れ、血行性にクモ膜下腔まで到達しうる。
- ・Streptococcus pneumoniae
- ・Haemophilus influenzae type b
- ・Neisseria meningitidis
- ■敗血症
- ・定義
- 感染症による全身性炎症反応症候群(SIRS)をセプシス(sepsis, 広義の敗血症?)とする
- 感染症の病原体は、一般細菌(グラム陽性菌・陰性菌)、真菌、寄生虫、ウイルスなど
- 皮膚や粘膜の傷とか、種々の臓器にある感染巣から、細菌がリンパ流から血中に入り、全身に播種されて、新たに転移性の感染巣をつくり、重篤な全身症状を引き起こす。
- ・全身性炎症反応症候群の診断基準
- 下記項目のうち2項目以上が当てはまる
- 1. 体温>38℃ or 体温<36℃
- 2. 心拍数>90bpm
- 3. 呼吸数>20回/min or PaCO2<32mmHg
- 4. (白血球数>12,000/ul or 白血球数<4,000/ul) or ( 幼若好中球>10% ) ← ここでいう幼若好中球とは桿状好中球のことである。
- ・敗血症の周辺疾患概念
- 1. 全身性炎症反応症候群 systemic inflammatory response syndrome SIRS
- 発熱や白血球増加などの全身の炎症の徴候によって特徴づけられる病態(SIRSの診断基準に合致する病態)
- 2. 敗血症 sepsis
- SIRSが感染の結果である場合
- 3. 重症敗血症 severe sepsis
- 主要臓器障害を伴う敗血症
- 4. 敗血症性ショック septic shock
- 輸液投与に不応性の低血圧を伴う重症敗血症
- 5. 多臓器機能障害症候群 multiorgan dysfunction syndrome MODS
- 2つ以上の主要臓器の機能異常
- 6. 多臓器不全 multiorgan failure MOF
- 2つ以上の主要臓器の不全状態
- ■参考文献
- HIM = Harrison's Principles of Internal Medicine 17th Edition
- PSY = 標準精神医学 第3版
- CASES = 100 Cases in Clinical Medicine Second edition
- IMD = 内科診断学第2版
[★]
- glauc 青みがかった緑 + oma
- 英
- glaucoma ()
- 同
- あおそこひ、いしそこひ
分類 SOP.92
-
- 1. 続発開放隅角緑内障
- 2. 続発閉塞隅角緑内障
- 1. 早発型発達緑内障
- 2. 遅発型発達緑内障
- 3. 他の先天異常を伴う発達緑内障
症状
治療
-
-
-
- 眼房水産生を抑制しぶどう膜強膜流出を増加する ← 交感神経遮断薬と矛盾しない?
緑内障が禁忌となっている薬剤
催眠鎮静剤、抗不安剤
アモバン(ゾピクロン)
エバミール、ロラメット(ロルメタゼパム)
エリスパン(フルジアゼパム)
エリミン(ニメタゼパム)
コレミナール(フルタゾラム)
コンスタン、ソラナックス(アルプラゾラム)
セニラン(ブロマゼパム)
セパゾン(クロキサゾラム)
セルシン、ホリゾン(ジアゼパム)
セレナール(オキサゾラム)
ソメリン(ハロキサゾラム)
ダイアップ(ジアゼパム)
ダルメート、ベノジール(フルラゼパム)
ドラール(クアゼパム)
バランス、コントール(クロルジアゼポキシド)
ハルシオン(トリアゾラム)
ベンザリン、ネルボン(ニトラゼパム)
マイスリー(ゾルピデム)
メイラックス(ロフラゼプ酸エチル)
メレックス(メキサゾラム)
メンドン(クロラゼプ酸)
リスミー(リルマザホン)
ルネスタ(エスゾピクロン)
レキソタン(ブロマゼパム)
レスタス(フルトプラゼパム)
レスミット(メダゼパム)
レンドルミン(ブロチゾラム)
ロヒプノール、サイレース(フルニトラゼパム)
ワイパックス(ロラゼパム)
臭化カリウム(臭化カリウム)
臭化ナトリウム(臭化ナトリウム)
抗てんかん剤
マイスタン(クロバザム)
リボトリール、ランドセン(クロナゼパム)
抗パーキンソン剤
アーテン(トリヘキシフェニジル(錠))
アキネトン、タスモリン(ビペリデン)
コリンホール(メチキセン)
ドパゾール(レボドパ)
ドプス(ドロキシドパ)
トリモール(ピロヘプチン)
ネオドパストン、メネシット(レボドパ,カルビドパ)
パーキン(ヒベンズ酸プロフェナミン)
パーキン(プロフェナミン)
ペントナ(マザチコール)
マドパー、イーシー・ドパール、ネオドパゾール(レボドパ,ベンセラジド)
神経系用剤(含む別用途)
アナフラニール(クロミプラミン)
アモキサン(アモキサピン)
アンプリット(ロフェプラミン)
サインバルタ(デュロキセチン)
ストラテラ(アトモキセチン)
スルモンチール(トリミプラミン)
デパス(エチゾラム)
トフラニール(イミプラミン)
トリプタノール(アミトリプチリン)
ノリトレン(ノルトリプチリン)
プロチアデン(ドスレピン)
ベタナミン(ペモリン)
リーゼ(クロチアゼパム)
リタリン、コンサータ(メチルフェニデート)
ルジオミール(マプロチリン)
総合感冒剤
LL(複合感冒薬)
PL(複合感冒薬)
ピーエイ(複合感冒薬)
ペレックス(複合感冒薬)
小児用ペレックス(複合感冒薬(小児用))
幼児用PL(複合感冒薬)
他の中枢神経系用薬
サノレックス(マジンドール)
骨格筋弛緩剤
ロキシーン(プリジノール)
自律神経剤
エスペラン(オキサピウム)
チアトン(チキジウム)
トランコロン(メペンゾラート)
トランコロンP(メペンゾラート,フェノバルビタール)
プロ・バンサイン(プロパンテリン)
鎮けい剤
コリオパン(ブトロピウム)
セスデン(チメピジウム)
ダイピン(N-メチルスコポラミン)
ダクチル(ピペリドレート)
ファイナリン(メチルベナクチジウム)
ブスコパン(ブチルスコポラミン)
ロートエキス(ロートエキス)
眼科用剤
アトロピン点眼液、リュウアト眼軟膏(アトロピン)
ウブレチド(ジスチグミン)
エピスタ(エピネフリン)
サイプレジン(シクロペントラート)
ネオシネジン(フェニレフリン)
ピバレフリン(ジピベフリン)
ミドリンM(トロピカミド)
ミドリンP(トロピカミド,フェニレフリン)
眼科用プリビナ(ナファゾリン)
臭化水素酸ホマトロピン(ホマトロピン)
耳鼻科用剤
ナーベル(テトラヒドロゾリン)
ナシビン(オキシメタゾリン)
鎮暈剤
トラベルミン(ジフェンヒドラミン,ジプロフィリン)
不整脈用剤
シベノール(シベンゾリン)
ピメノール(ピルメノール)
リスモダン、ノルペース(ジソピラミド)
リスモダンR、ノルペースCR(ジソピラミド)
利尿剤
ダイアモックス(アセタゾラミド)
血管拡張剤
アイトロール(一硝酸イソソルビド)
ニトロール(硝酸イソソルビド)
ニトロール(硝酸イソソルビド)
ニトロール、フランドル(硝酸イソソルビド(持効))
ニトログリセリン錠(ニトログリセリン(舌下))
ニトロペン(ニトログリセリン(舌下))
フランドル、ニトロール(硝酸イソソルビド(外))
ミリステープ、ニトロダーム、ミオコールスプレー(ニトログリセリン(外用))
ミリステープ、ニトロダーム、ミオコールスプレー(ニトログリセリン(外用))
他の循環器官用薬
リズミック(アメジニウム)
鎮咳剤
アストーマ(アストーマ(製))
アストフィリン(アストフィリン(製))
カフコデ(カフコデ(製))
トクレス(ペントキシベリン)
フスコデ(フスコデ(製))
気管支拡張剤・他
アトロベント(イプラトロピウム)
スピリーバ(チオトロピウム)
テルシガン(オキシトロピウム)
フルブロン(フルトロピウム)
消化性潰瘍用剤
コランチル(コランチル(製))
ノバフイリンG(ノバフイリンG(製))
メサフィリン(メサフィリン(散)(製))
複合エピサネートG(エピサネート(製))
健胃消化剤
MP散(複合健胃散)
ベルサン(複合健胃散)
他の消化器官用薬
イリコロンM錠(イリコロンM(製))
副腎ホルモン
セレスタミン(セレスタミン(製))
ボスミン(アドレナリン)
他の泌尿生殖器官、肛門用薬
ウリトス、ステーブラ(イミダフェナシン)
デトルシトール(トルテロジン)
バップフォー(プロピベリン)
ベシケア(ソリフェナシン)
ポラキス(オキシブチニン)
抗ヒスタミン剤
アリメジン(アリメマジン)
ゼスラン、ニポラジン(メキタジン)
タベジール、テルギン(クレマスチン)
ピレチア、ヒベルナ(プロメタジン)
ベネン(トリプロリジン)
ペリアクチン(シプロヘプタジン)
ホモクロミン(ホモクロルシクリジン)
ポララミン(d-クロルフェニラミン)
レスタミン(ジフェンヒドラミン)
参考
- http://www.nichigan.or.jp/member/guideline/glaucoma2.jsp
[★]
- ☆case75 自宅での意識消失
- ■症例
- 21歳 男性
- 主訴:意識消失
- 現病歴:男性のアパートで意識を失っている所を彼女に発見され、午後5時に搬送された。彼女が最後に彼に会ったのは午後8時で、クリスマスの買い物をして帰宅した時であった。翌日午後、彼女が彼に会いに行った所、彼がお風呂の床で意識を失っているのを見つけた。彼女によれば、前日変わった様子(unusal mood)はなかった。彼は心理学の期末試験が1週間に迫っておりこのことを心配していたが、勉強はうまくいっているようだった。また以前の試験に問題はなかった。
- 喫煙歴:なし。
- 飲酒歴:機会飲酒 10 units/week(1週間に350mlビール6本弱)
- 既往歴:なし
- 家族歴:父と2人の兄弟のうち1人が糖尿病
- 服薬歴:以前、エクスタシー錠剤を服用していたが、静脈注射の薬はやったことがない。
- 身体所見 examination
- 顔貌 青白。注射痕は認められない。脈拍 92/分、血圧 114/74 mmHg、呼吸数 22/分。心血管系、呼吸器系に異常を認めず。神経系 命令に従わないが、痛みに反応して適切に手を引っ込める(GCS M4)。腱反射(+)・対称性、足底反射(-)。瞳孔散大、対光反射(+)。眼底 視神経円板腫脹
- ■鑑別診断をあげるためのkeyword(司会者用)
- ・24時間以内に来した意識消失、糖尿病の家族歴、冬、風呂、精神疾患リスク(試験で悩んでいる。薬物の服用歴)、顔色、脈拍、血圧、呼吸数、腱反射、病的反射、瞳孔、眼底(司会者用)
- ■keywordからどういう疾患を考えるか?
- 真っ先にあげたいもの
- ・二次的な脳圧亢進
- ・糖尿病
- ・薬物中毒、中毒物質の摂取・吸引
- ・神経疾患(てんかんなど)の発作
- ・24時間以内に来した意識消失
- ・クモ膜下出血:局所神経症状、硝子体下出血(subhyaloid hemorrhage)。
- ・糖尿病の家族歴
- ・低血糖発作
- 低血糖による昏睡は早いが糖尿病の新規症状として起こらない。まれにインスリノーマによる低血糖による昏睡があり得る。
- ・糖尿病性ケトアシドーシス diabetic ketoacidosis DKA
- 極度のインスリン欠乏とコルチゾールやアドレナリンなどインスリン拮抗ホルモンの増加により、(1)高血糖(≧250mg/dl)、(2)高ケトン血症(β-ヒドロキシ酪酸の増加)、アシドーシス(pH7.3未満)をきたした状態。(糖尿病治療ガイド 2008-2009 p.66)
- ・高浸透圧性非ケトン性昏睡 nonketotic hyperosmolar coma
- DM type 2
- 50歳以上に好発し、インスリン非依存性糖尿病*患者が腎不全や中枢神経障害、悪性腫瘍、消化器疾患、呼吸器感染などを合併するときに多くみられ、ステロイドや利尿薬の投与、輸液や高カロリー補給、人工透析などの際に医原性に起きやすい。
- 高血糖性の昏睡は発症が早くない。その前に口渇や多尿があるはず。
- → 否定するための検査 → 血糖測定
- ・風呂
- ・脳出血
- ・冬だし、風呂(脱衣所のことか)にガスヒーターがあったら疑わしい。
- ・精神疾患リスク(試験で悩んでいる。薬物の服用歴)
- (最も多いのが)薬物中毒(鎮静薬、アスピリン、アセトアミノフェン)
- (意識障害で運ばれてきたときに考えるべきなのが)一酸化中毒
- 一酸化中毒の場合の顔色は蒼白(cherry-red colorと言われてきたが)。眼底所見:(severe CO中毒で)乳頭浮腫
- ・顔色
- ・脈拍、血圧、呼吸数
- ・腱反射、病的反射
- 腱反射が亢進していたら、上位運動ニューロンの障害を考慮する。腱反射亢進と意識障害が共存していれば、障害部位は脊髄の伝導路ではなくむしろ脳幹・大脳皮質に障害があると考えることができる。
- ・瞳孔
- 瞳孔が散大していれば交感神経興奮、副交感神経の麻痺:フェニレフリン・エピネフリン・コカインなど交感神経刺激、動眼神経麻痺、脳死の徴候
- 瞳孔が縮瞳していれば副交感神経興奮、オピオイド受容体への刺激:麻薬中毒、有機リン中毒、橋出血、脳幹部梗塞(脳底動脈閉塞症など)
- ・眼底 (IMD.71)
- 視神経円板(=視神経乳頭)の腫脹は乳頭浮腫(papilledema, DIF.342)を反映。乳頭浮腫の発生機序は軸索輸送障害や静脈還流うっ滞である。原因として頭蓋内疾患が最も多い。頭蓋外の疾患(高血圧、視神経炎、偽性脳腫瘍)。
- 乳頭浮腫 papilledema DIF.243
- V 動静脈奇形、高血圧による脳血圧脳症・頭蓋内出血、クモ膜下出血、硬膜下血腫
- I 脳膿瘍、慢性経過の髄膜炎(細菌性×)、敗血症による血栓や静脈洞血栓
- N 脳腫瘍
- D -
- C 動静脈奇形、水頭症、頭蓋奇形(尖頭症などによる)、血友病、時にSchilder disease
- A ループス脳炎、動脈周囲炎
- T 急性期の硬膜外血腫や硬膜下血腫ではない。慢性硬膜下血腫ならありうる。
- E 褐色細胞腫による悪性高血圧、偽性脳腫瘍(=特発性頭蓋内圧亢進症)(肥満・無月経・感情障害(emotionally disturbed)をきたした女性に多い)
- ■問題
- 症例だけでは絞れないので、最も疑われる疾患をあげ、鑑別診断を列挙し、検査、治療を考えていくことにします。
- ■一酸化炭素中毒
- ■オチ
- 血中carboxyhemoglobinを測定したところ32%。高レベルの酸素投与でゆっくりだが、48時間で完全に回復。脳浮腫にたいするマンニトールや高圧酸素療法も考慮する。問題は4年間点検されていないガス温水器の不完全燃焼だったとさ。
- ■KEY POINTS
- ・薬物中毒は若い人の意識消失の最も一般的な原因だけど、他の診断もいつも考慮しておく。
- ・一酸化炭素ヘモグロビンレベルは屋内や車内、あるいはよく分からない煙に暴露した意識消失患者で測るべき
- ・一酸化中毒による重度の低酸素血症ではチアノーゼを欠く。
- ■initial plan(救急だからのんびりやってられないだろうけど)
- A.
- 1. 呼吸器系、循環器系の安定を確認
- 2. 血液ガス検査
- 3. 血液生化学(電解質(Na,Ca)、血糖)
- □ビール1本 = 350ml アルコール5%: 350 (ml/本) x 0.05 / 10 (ml/unit) =1.75 (unit/本)
- ■参考文献
- DIF Differential Diagnosis in Primary Care Fourth Edition版 Lippincott Williams & Wilkins
[★]
- 英
- diuretic, diuretics
- 関
- 尿細管
適応
利尿薬の種類 (GOO.744)
利尿薬の例
-
利尿薬の作用部位
- ホルモンと利尿薬の作用部位についての簡単なまとめは→尿細管
参照
- http://hobab.fc2web.com/sub4-Diuretics.htm
[★]
- 英
- mannitol preparation
- 商
- マニトンS、D-マンニトール注、マンニットT
- 関
- マンニトール
[★]
- 英
- mannitol dehydrogenase
- 関
- マンニトールデヒドロゲナーゼ
[★]
- 英
- mannitol dehydrogenase
- 関
- マンニトール脱水素酵素