出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/12/07 20:45:13」(JST)
階段(かいだん)は、高低差のある場所への移動を行うための構造物である。人間の足で昇降可能な高さ(蹴上げ)をもつ、いくつもの水平な段(踏みづら)に分割されている。日本語の古語および雅語では、きざはし(階)と言う。
階段には直線、円形、および、直線が多数の部分に折れ曲がった形などがある。上から見ると円形になっており、中心を回転しながら上昇・下降する構造の階段は螺旋階段(らせん かいだん)と呼ばれる。
材質が石の場合、石段(いしだん)と呼ばれる。
階段は上昇や下降を行うために用いられる。このため、建物、斜面、乗り物など広い範囲に用いられる。材質はコンクリート、鉄、木、石などがある。また、形状は直階段、折返し階段、かね折れ階段などがあり、この他、鋼製の場合には螺旋階段がある。
階段の特別なものとしてはエスカレーターと梯子を含むことがある。また、河川の護岸用など、人が常時往来することのない場所に階段状の建造物が設けられることがある。後列ほど机・椅子が高くなっており、演壇が見やすくなっているような構造の教室は階段教室と呼ばれる。
日本では古くから階段の下に生じる空間を有効利用すべく側面を引き出しとして箪笥の役割を兼ねる箪笥階段(階段箪笥や箱階段とも)がある。
設置場所は大別して建物、地形(道路)、その他(岸壁など)となる。
建物の場合、外階段と内階段がある。外階段は建物の外壁面より外にある。内階段は外壁面より内にあるが、室内にある場合と、室外にあり廊下の延長として機能する場合とがある。
苔むした石段(日本)
螺旋階段
ヴァチカン美術館の螺旋階段
エスカレーターとの併設例
階段の蹴上げ1段あたりの高さ(蹴上寸法) H と、踏み面1段あたりの奥行(踏みづら寸法) D の間には、2H+D=歩幅 の関係が理想的とされる。歩幅は60cm以上とする。
なお、階段設計における蹴上と踏面との関係はさまざまであるが、平出隆は、60<D+0.135×Hの二乗<70 という式を与えている。ただし、歩幅を65cmとするならばこのように左右の数字を60と70にすればよく、蹴上がゼロすなわち平坦な道ならば見えない踏面と歩幅が一致し、急勾配の場合は歩幅が小さくなるから左右の数字を大きめにする(『図書』 2006年9月号)。
日本の場合、住宅用の階段については、安全を確保するため、踏上寸法は230mm以下、踏みづら寸法は150mm以上、内法(有効幅)750mm以上など、各部の寸法の最低基準が建築基準法に定められている。
階段の段差を斜面に見立てた場合の傾斜を勾配と呼ぶ。家庭用の階段では45度前後とされる。勾配については建築基準法に特に規定はないが、傾斜が急な場合には手摺りが設けられる。
階段はその構造上、身体的障害を持っている人々に対して使用が不便であったり、危険を伴ったりすることがある。それらに対応するため、階段のバリアフリー化の例が見られる。 踊り場部に段差を設けないなどの決まりがある(以下は日本国内におけるもの)。
階段で転ぶと大変危険である。狭い面がそれぞれ直角に折れ曲がった構造は手や膝で支えるには難しく、落下を止めるのが困難である。それ以外の部分から落ちた場合には、角張った部分があるため、当たる面積が狭くなり、必然的に荷重が大きくなり、けがを引き起こしやすい。頭部や頸などが当たった場合、命の危険すらあり、たとえば1989年には、日本国内で593人が階段からの転落により死亡している[1]。
学校施設では階段で遊んだりふざけたりしないことが再三注意されるし、サスペンス作品では事故死の定番となっている。映画『蒲田行進曲』では命がけの演技として「階段落ち」が描かれている。
ギネスブックに掲載されている世界最長の階段は、スイスはシュピーツ(en)の近郊にあるニーゼン鉄道(de)のケーブルカー(英語名:Niesenbahn funicular railway)の線路に付属する石段(★右に画像あり。cf. de:Niesenbahn#Längste Treppe der Welt)であり、11,674段、1,669mの高さを持つ。cf. ニーゼン(en)。
熊本県下益城郡美里町の釈迦院にある御坂遊歩道(みさか ゆうほどう。釈迦院御坂遊歩道)、3,333段。この石段が1988年(昭和63年)に完成するまでは、山形県羽黒山の2,446段が最長であった。
スペイン階段(イタリア語名:scalinata di Trinità dei Monti、英語名:Spanish steps)は、オードリー・ヘプバーン主演の映画『ローマの休日』(1953年製)でも登場し、「スペイン階段」「スペイン広場の大階段」の名で知られる、イタリアはローマの、トリニタ・デイ・モンティ教会(en)の石段。
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