- 英
- empiric treatment, empiric therapy
- 同
- エンピリック治療
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/06/20 19:25:53」(JST)
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経験的治療(けいけんてきちりょう、英語: empiric therapy、empirical therapy)は、診断を確定する前に治療を開始すること。特に感染症で、病原微生物を同定する前に抗生物質を投与することについて言う。
概要
感染症で病原微生物を同定するまでの期間や、臨床検査の結果からは原因が特定できない場合に、過去の疫学的な知見からある程度病原微生物を想定して抗生物質を投与する[1]。例として肺炎[2]、尿路感染症、好中球減少症[3]、細菌性髄膜炎[4]が疑われる場合に行う。
複数の病原微生物の関与が疑われる重篤な感染症の経験的治療では、より多くの病原微生物に対応するため、第一選択として抗菌スペクトラムが広い抗生物質を使用する[5]。血液培養などで病原微生物が判明した場合は、それに対応するよりスペクトラムが狭い抗生物質に切り替える。この手法は、以下の場合に有効である。
- 病原微生物が不明である
- 病原微生物同定のための検査が治療に影響しない
- 病原微生物同定のための検査に手間や時間がかかる
- 検査を行っても原因の確定に至らない可能性がある
以上のような場合に病原微生物の確定を待つことは、治療の遅れにつながるからである。
脚注
- ^ 健山正男、『大学で感染症を学ぶということ―その面白さについて―』、琉球大学医学部第一内科ウェブサイト
- ^ 細菌性肺炎: 細菌性肺炎の治療(ヒュミラ情報ネット、エーザイ株式会社)
- ^ Robert S. Porter et al.(編)、「好中球減少症」、『メルクマニュアル』第18版日本語版
- ^ 鹿児島大学病院感染制御チーム、『抗菌薬適正使用指針』、2012年3月12日閲覧。
- ^ Robert S. Porter et al.(編)、「抗菌薬の選択および使用」、『メルクマニュアル』第18版日本語版
関連項目
外部リンク
- Merck Research Laboratories. “メルクマニュアル18版 日本語版”. 2012年3月12日閲覧。
- アボット ジャパン株式会社; エーザイ株式会社. “細菌性肺炎:細菌性肺炎の治療”. ヒュミラ®情報ネット. 2012年3月14日閲覧。
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- 症例報告 骨盤内炎症性疾患2症例から考える腹腔内感染症治療のストラテジー (特集 骨盤内における感染症(消化管を除く)に対する治療戦略)
- 白血球減少症 (特集 日常診療でみられる血液異常と血液疾患) -- (血算の見方)
Related Links
- ※empiric therapy(経験的治療):推測される原因病原体に最も効果があると予測される薬物を投与する方法 図. 成人市中肺炎初期治療の基本フローチャート 重症,超重症は呼吸器専門医に相談すること.治療薬は基本となる薬のみ記載 ...
- 経験的治療とは?英語・読み方を調べるなら『医療と看護の用語』。Android/iPhoneアプリでも試験勉強 ... 名称 経験的治療 読み方 けいけんてきちりょう 英語 empiric therapy
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★リンクテーブル★
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- ☆case76 頭痛
- ■glossary
- 傾眠 drowsiness 正常、病的の区別なく眠り込む場合に用いられる
- 意識不鮮明 confusion 周囲に対する認識や理解は低下し、思考の清明さや、記憶の正確さが失われる
- 錯乱 confusion 夢幻様状態より見当識障害と思考の滅裂が見られる状態(PSY.40)
- MA = Master of Arts 文学修士
- The Master of Arts (BrE: MA, UsE: M.A.) is awarded in Arts, Humanities, Theology and Social Sciences (Wikipedia)
- graduate student 大学院生
- rousable adj. 覚醒できる、目を覚ますことができる
- rouse vt. ~の目を覚まさせる、呼び起こす。喚起する、鼓舞する、奮起させる。(感情を)起こさせる、かき立てる
- lateralize vt. (生理)(大脳が)(左右半球に心的機能差がある、左右差がある。(器官・機能・活動などが)大脳の(左右いずれかの)片側優位下にある。(医学)(障害などが)大脳の片半球にあると診断される
- 乳頭浮腫 papilledema 原因を問わず視神経乳頭が腫脹している状態
- うっ血乳頭 choked disc 脳圧亢進による乳頭浮腫
- ■症例
- 24歳、男性 精神学の修士過程を専攻している大学院生
- 主訴:激しい頭痛
- 現病歴:頭部全体に痛みがある。2回嘔吐。傾眠と錯乱が認められるようになった。明るい光を嫌う()he finds bright lights uncomfortable。
- 既往歴:病気の既往はない。アレルギーはない。タバコ1日10本。アルコール24 unit/week(缶ビール(350ml)13.7本/週)。薬は服用してない。
- 家族歴:彼女と同居。3歳と4歳の子供がいる。
- ・診察 examination
- 見た感じ紅潮しており、調子が悪そう。体温:39.2℃。項部硬直あり(he has stiffness on passice flexion of his neck)。皮疹なし。副鼻腔に圧痛なし。鼓膜所見は正常。脈拍:120/分。血圧:98/74 mmHg。心血管系、胸部、腹部に異常所見なし(normal)。意識レベル低下。命令に応じて覚醒する(JCS10?)。局所神経症状認めない。眼底所見正常
- ・検査 investigation
- 血液検査
- 白血球:上昇。血清Na:低下。血清尿素:上昇。血清クレアチニン:上昇。血液培養:検査中
- 画像検査
- 胸部X線:異常所見なし。頭部CT:正常
- 心電図:洞性頻脈
- 腰椎穿刺
- 髄液所見:混濁。白血球:増多。蛋白:増多。糖:低下(普通の人の血糖100mg/dLと考える。→ 1g/L → 1/180 mol/L → 5.56 mmol/L。グラム染色:結果待ち
- ■Q
- 診断、鑑別診断、管理
- ■A
- 細菌性髄膜炎、髄膜炎・クモ膜下出血、経験的抗菌薬投与・
- ■解説
- (第1パラグラフ)細菌性髄膜炎
- ・(症状)突然発症。激しい頭痛、嘔吐、錯乱、羞明、項部硬直
- ・低血圧、白血球増多、腎機能低下 → ウイルス性よりむしろ細菌性の感染を示唆する。 ← 重症敗血症~敗血症ショックかな?(私見)
- ・(髄膜炎菌の種類)
- <テーブル挿入 髄膜炎>
- ・(疫学)HIM. 2621 (多分、全患者中(←私見))
- Streptococcus pneumoniae ~50%
- Neisseria meningitidis ~25%、
- group B streptococci ~15%
- Listeria monocytogenes ~10%
- Haemophilus influenzae type B <10%
- ・Neisseria meningitidisは全身性の脈管の皮疹(点状出血、紫斑)が特徴的(generalized vasculitic rash)
- (第2パラグラフ)鑑別診断
- ・激しい頭痛
- ・the most severe headaches are experienced in meningitis, subarachnoid hemorrhage and classic migraine.
- ・meningitis:単回の発作(single episode)。症状は時間単位で出現。
- ・subarachnoid hemorrhage:単回の発作(single episode)。突然発症(突発完成?)。硝子体出血を認めることがある。
- ・classic migraine:繰り返す(数回/年~1回/週。平均月2回。発作は4-72時間継続)
- ・髄膜刺激:急性に発熱をきたした多くの病態でみられる(acute febrile conditions)。特に子供。 ← そうなの?
- ・頚部硬直:頚部や脊椎の局所感染症でも起こる。 ← パーキンソン病などによる筋トーヌスの異常亢進も除外しよう
- ・他の髄膜炎:脳脊髄液所見で鑑別する
- (第3パラグラフ)経験的治療
- ・(細菌性)髄膜炎が疑われたら、確定診断する前に適切な抗菌薬を投与(empirical treatment)。 → 数時間の経過で死亡することがある。
- ・ペニシリンアレルギーがなければ、ceftriaxoneかceftaximeの静脈内投与が一般的な治療法
- (第4パラグラフ)腰椎穿刺
- ・乳頭浮腫がない、あるいは占拠性病変を示唆する片側性の神経徴候(lateralized neurological signs)がある患者では(CTの結果を待たずに)腰椎穿刺をすぐにやるべき(CASES) ← どういう事?
- ・局在性の神経徴候(localized neurological sign)がある場合はまずCTを撮るべき(CASES)。 → the dangers of coning ← 鉤ヘルニアの事?
- (第5パラグラフ)細菌性髄膜炎の管理
- ・診断:CSF検査(グラム染色、髄液培養(確定診断、感受性試験)
- ・管理
- ・意識が低下しているのでそれなりの看護(must be nursed)。アヘン剤による鎮痛。生理食塩水による低ナトリウム血症の補正。低血圧を補正するためにinotrope(a drug with positive inotropic effects, e.g. dobutamine, digitalis, milrinone )も必要かもしれない。(100CASES)
- ・感受性のある抗菌薬の投与(大量静注、髄液移行性の高いもの)、髄液所見の正常化・CRP 陰転後、1週間抗菌薬を投与して治療を終了。対症療法として脳圧亢進には高張脳圧降下薬(マンニトールなど)を投与。(IMD.1042)
- (第6パラグラフ)家族構成を考えた治療
- ・(意訳)誰が3-4歳の世話をしていたのか分からないけど、子供も検査すべき。髄膜炎菌か原因菌が不明だったら、リファンピシンによる予防的治療と髄膜炎球菌に対する予防接種をすべき。 ← 日本ではどうなんでしょうか。
- □350ml アルコール5%
- 350x0.05/10=1.75 unit
- ■莢膜を有し、髄膜炎を起こす細菌 → 莢膜を有することで血液中で補体などを介した貪食を免れ、血行性にクモ膜下腔まで到達しうる。
- ・Streptococcus pneumoniae
- ・Haemophilus influenzae type b
- ・Neisseria meningitidis
- ■敗血症
- ・定義
- 感染症による全身性炎症反応症候群(SIRS)をセプシス(sepsis, 広義の敗血症?)とする
- 感染症の病原体は、一般細菌(グラム陽性菌・陰性菌)、真菌、寄生虫、ウイルスなど
- 皮膚や粘膜の傷とか、種々の臓器にある感染巣から、細菌がリンパ流から血中に入り、全身に播種されて、新たに転移性の感染巣をつくり、重篤な全身症状を引き起こす。
- ・全身性炎症反応症候群の診断基準
- 下記項目のうち2項目以上が当てはまる
- 1. 体温>38℃ or 体温<36℃
- 2. 心拍数>90bpm
- 3. 呼吸数>20回/min or PaCO2<32mmHg
- 4. (白血球数>12,000/ul or 白血球数<4,000/ul) or ( 幼若好中球>10% ) ← ここでいう幼若好中球とは桿状好中球のことである。
- ・敗血症の周辺疾患概念
- 1. 全身性炎症反応症候群 systemic inflammatory response syndrome SIRS
- 発熱や白血球増加などの全身の炎症の徴候によって特徴づけられる病態(SIRSの診断基準に合致する病態)
- 2. 敗血症 sepsis
- SIRSが感染の結果である場合
- 3. 重症敗血症 severe sepsis
- 主要臓器障害を伴う敗血症
- 4. 敗血症性ショック septic shock
- 輸液投与に不応性の低血圧を伴う重症敗血症
- 5. 多臓器機能障害症候群 multiorgan dysfunction syndrome MODS
- 2つ以上の主要臓器の機能異常
- 6. 多臓器不全 multiorgan failure MOF
- 2つ以上の主要臓器の不全状態
- ■参考文献
- HIM = Harrison's Principles of Internal Medicine 17th Edition
- PSY = 標準精神医学 第3版
- CASES = 100 Cases in Clinical Medicine Second edition
- IMD = 内科診断学第2版
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- 英
- empirical antimicrobial therapy
- 関
- 経験的治療
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- 英
- empiric treatment
- 関
- 経験的治療
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- 英
- therapy、medical treatment treatment、care、practice、cure、curing、remediation、treat、cure、remedy、therapeutic
- 関
- 行う、開業、加硫、看護、硬化、習慣、処置、心配、実行、精神療法、世話、治癒、注意、治療学、治療学的、治療的、治療法、治療薬、療法、練習、診療、介護、治療上、処理、ケア、実践
[★]
- 英
- empirical、empiric、experimental、a priori、empirically、a priori
- 関
- 実験、実験的、先験的、先天的、演繹的、実験上、実験用
[★]
- 関
- 熟練、起こす、貫通、会う、経る、応じる、適う、面会