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尿酸排泄促進薬(にょうさん・はいせつ・そくしんやく)とは、血中の尿酸濃度低下を目的として投与される薬物の一群のこと。高尿酸血症の治療薬のひとつで、特に痛風の予防薬として用いられる。
目次
- 1 薬理
- 2 副作用
- 3 薬物の一覧
- 3.1 高尿酸血症治療薬
- 3.2 尿酸排泄促進作用を持つ他の疾患の治療薬
薬理
尿酸トランスポーター分子として、URAT1は血管内皮などにも発現しているが、腎臓の近位尿細管で多く発現し、尿酸の再吸収を行う。再吸収された尿酸はヒトの血清尿酸値の約80%を占める。尿酸排泄促進薬はURAT1による再吸収を阻害し、血中の尿酸を減少させる。
副作用
尿中の尿酸濃度が上昇するため、尿路結石症(尿酸結石)を誘発する可能性がある。
薬物の一覧
高尿酸血症治療薬
以下は日本の厚生労働省により認可されている治療薬である。
- ベンズブロマロン
- プロベネシド
- スルフィンピラゾン … 日本では販売中止
- ブコローム
尿酸排泄促進作用を持つ他の疾患の治療薬
- ロサルタン … 高血圧治療薬
- イルベサルタン …同上
- シルニジピン …同上
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Japanese Journal
- CKDにおける尿酸管理の重要性 (第1土曜特集 CKD診療ガイド2012 ガイドブック) -- (管理法各論)
- 【リスクファクターとしての尿酸】 尿路結石のリスクファクターとしての尿酸
- 山口 聡
- 高尿酸血症と痛風 18(1), 53-58, 2010-03
- … 尿酸降下薬の選択として、尿酸排泄低下型ではベンズブロマロンなどの尿酸排泄促進薬が使用されることが多いが、これらの薬剤により、尿中尿酸排泄量が増加するため、プリン体過剰摂取や酸性尿を伴うと尿酸結石が容易に形成される。 … 尿酸排泄促進薬を使用する際は、尿の適正なアルカリ化が必須となる。 …
- NAID 80020853378
- 山内 高弘,上田 孝典,YAMAUCHI Takahiro,UEDA Takanori
- 総合臨床, 2010-02
- … 治療が必要な場合、尿酸生成抑制薬アロプリノール、尿酸排泄促進薬ベンズブロマロンを中心に使い分ける。 …
- NAID 120001893552
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★リンクテーブル★
[★]
- 次の文を読み、28、29の問いに答えよ。
- 62歳の男性。右下肢の痛みを主訴に来院した。
- 現病歴:半年前から散歩の際に右下肢の疲れやすさを自覚していた。1か月前から15分程度の平地歩行で右下肢の痛みが出現するようになった。しばらく立ち止まっていると痛みが軽快して再び歩くことができた。様子をみていたが同様の症状が続くため受診した。
- 既往歴:45歳から高血圧症、脂質異常症および高尿酸血症。55歳から心房細動。57歳から逆流性食道炎。アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、尿酸排泄促進薬、抗凝固薬およびプロトンポンプ阻害薬を処方されている。
- 生活歴:喫煙は30本/日を42年間。飲酒はビール500mL/日を42年間。営業職で外食が多い。
- 家族歴:父親が82歳で大動脈瘤破裂。母親が84歳で脳梗塞。
- 現症:意識は清明。身長 172cm、体重 82kg。体温 36.2℃。脈拍 92/分、整。血圧は右上腕で142/92mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。両頸部および両鎖骨上部に血管雑音を聴取しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。腸雑音を聴取する。腹部大動脈の拍動を触知しない。両鼠径部に血管雑音を聴取しない。四肢末梢に皮膚潰瘍を認めない。
- 検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ケトン体(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球 537万、Hb 17.4g/dL、Ht 54%、白血球 6,300、血小板 22万、PT-INR 2.1(基準 0.9~1.1)。血液生化学所見:総蛋白 7.4g/dL、アルブミン 3.8g/dL、総ビリルビン 1.0mg/dL、直接ビリルビン 0.3mg/dL、AST 26U/L、ALT 18U/L、LD 182U/L(基準 176~353)、ALP 320U/L(基準 115~359)、γ-GTP 142U/L(基準8~50)、CK 120U/L(基準30~140)、尿素窒素 22mg/dL、クレアチニン 1.2mg/dL、尿酸 7.2mg/dL、血糖 108mg/dL、総コレステロール 278mg/dL、トリグリセリド 356mg/dL、HDLコレステロール 48mg/dL、Na 140mEq/L、K 3.9mEq/L、Cl 98mEq/L。
- 抗血小板作用を有する血管拡張薬を追加する場合、服用中の薬剤で副作用が出現する可能性が高まるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111F028]←[国試_111]→[111F030]
[★]
- 61歳の男性。手のこわばりを主訴に来院した。 4か月前から Raynaud現象と手のこわばりとを自覚していた。意識は清明。体温 37.3 ℃。脈拍 72/分、整。血圧 130/84 mmHg。呼吸数 16/分。 SpO2 95% ( room air)。上肢と体幹に皮膚硬化を認める。心音に異常を認めない。呼吸音は両側の背下部に fine cracklesを聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。尿所見:蛋白 1+、潜血 (-)、沈渣に硝子円柱 1 /数視野。血液所見:赤血球 383万、 Hb 12.0 g/dl、Ht 35%、白血球 9,200、血小板 28万。血液生化学所見:総蛋白 6.9 g/dl、アルブミン 3.5 g/dl、IgG 1,686 mg/dl(基準 960~1,960)、 IgA 255 mg/dl(基準 110~410)、 IgM 70 mg/dl(基準 65~350)、 AST 20 IU/l、ALT 12 IU/l、LD 177 IU/l(基準 176~353)、尿素窒素 11.1 mg/dl、クレアチニン 0.9mg/dl、尿酸 6.9 mg/dl、血糖 98 mg/dl、Na 139 mEq/l、K 3.9 mEq/l、Cl 104 mEq/l。免疫血清学所見: CRP 1.3 mg/dl、抗核抗体 1,280倍 (基準 20以下 )、抗 Scl-70抗体陽性。胸部 CTで両側下葉に網状影を認める。皮膚硬化に対してプレドニゾロン 30mg/日を投与した。 1週後に血圧が 180/100 mmHgに上昇し、クレアチニン 1.9 mg/dl、尿酸 9.0 mg/dl、Na 138 mEq/l、K 4.5 mEq/l、Cl 106 mEq/lとなった。
- 現時点での治療法として最も適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108D046]←[国試_108]→[108D048]
[★]
- 次の文を読み、26、27の問いに答えよ。
- 40歳の男性。性格の変化を主訴に妻と実姉とに伴われて来院した。
- 現病歴 最近、すぐ怒り出すようになった。自己中心的に生活しており、常識的な対応ができなくなってきた。自閉症である8歳の長男の世話を頼まれても、飲酒し放置している。家族がアルコールの飲み過ぎを指摘すると否定し、隠れ飲みをしている。しばしば仕事を休んでは朝から焼酎を飲んでいる。患者本人は特別な症状では悩んでいない。家族に説得されてしぶしぶ一般内科を受診した。
- 既往歴 35歳時に痛風。
- 生活歴 会社員。夜勤が多い。飲酒歴は焼酎4合/日(本人の申告: 2台/日)を15年間。喫煙歴はない。
- 家族歴 長男が自閉症。
- 現症 意識は清明。身長172cm.体重82kg。体温36.4℃。脈拍72/分、整。血圧150/100mmHg。眼瞼結膜に貧血を認めない。眼球結膜に黄染を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。肝・脾を触知しない。
[正答]
※国試ナビ4※ [105C026]←[国試_105]→[105C028]
[★]
- 52歳の男性。足の激痛を主訴に来院した。昨晩、突然に右第一中足趾節関節に発赤と激痛を伴った腫脹とが出現し、自宅近くの夜問診療所で非ステロイド性抗炎症薬を投与されたが改善しないため受診した。身長 174cm、体重 80kg。尿所見:蛋白(±)、糖(-)、潜血(±)。血液所見:赤血球 471万、Hb 15.4g/dL、Ht 44%、白血球 11,000、血小板 15万。血液生化学所見:尿素窒素 30mg/dL、クレアチニン 1.5mg/dL、尿酸 9.2mg/dL。CRP 5.4mg/dL。尿酸排泄率(FEUA) 18%(基準 7~14)。
- この時点で行うべき治療と、今後、長期的に行うべき治療の組合せで正しいのはどれか。
- この時点で行うべき治療 長期的に行うべき治療
[正答]
※国試ナビ4※ [109A048]←[国試_109]→[109A050]
[★]
- 53歳の男性。突然生じた強い左背部痛のため搬入された。 2年前から痛風で尿酸排泄促進薬を内服している。身長175cm、体重91kg。体温36.0℃。脈拍76/分、整。血圧162/92mmHg。呼吸数16/分。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。左肋骨脊柱角に叩打痛を認める。尿所見:蛋白1+、糖(-)、潜血3+、沈渣に赤血球多数/1視野、白血球1-5/1視野。血液所見:赤血球428万、 Hb13.6g/dl、 Ht38%、白血球7,800、血小板21万。血液生化学所見:総蛋白6.9g/dl、アルブミン3.9g/dl、尿素窒素12mg/dl、クレアチニン0.9mg/dl、尿酸7.0mg/dl、 Na138mEq/l、 K3.9mEq/l、 Cl102mEq/l。 CRP0.lmg/dl。腹部超音波検査で左水腎症を認める。腹部エックス線写真で異常を認めない。
- 診断に有用なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106D023]←[国試_106]→[106D025]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [102G009]←[国試_102]→[102G011]
[★]
- 英
- uricosuric agent
- 関
- 尿酸排泄促進薬
[★]
[★]
- 英
- uric acid, UA
- 同
- 2,6,8-トリヒドロキシプリン 2,6,8-trihydroxypurine
- 関
- 結石、アロプリノール、ウリカーゼ法、痛風、リンタングステン酸法
概念
物性
- 分子式:C5H4N4O3
- 溶解度:溶解度 70mg/L 水に不溶
- 構造式:
O
||
/C\ /N\
N C \
| || C=O
C C /
// \N/ \N/
O
解離定数
-NH-CO- (エノール型) ⇔ -NH-C(OH)- (ケト型) (FB.482)
ケト型の尿酸は電離しており、尿酸の電離型はpH↑で増加、pH↓で減少する。非電離型はpH↑で減少、pH↓で増加する。
物性のまとめ
- 温度が低いほど、pHが低いほど析出しやすい (GOO.706)
- → 腫瘍崩壊症候群における尿酸腎症を予防するために尿をアルカリ化して尿酸結晶の析出を防ぐし、末梢で尿酸結晶が形成されやすい。
生理作用
尿酸の合成系路
- 代謝の制御 (PPC.842)
de novo pathway
- the cellular level of PRPP is the most important determinant of de novo purine synthesis
- high de novo pathway activity increases purine turnover, resulting in higher plasma uric acid concentrations
salvage pathway
- increased salvage pathway activity leads to devrease de novo synthesis and reduced plasma uric acid level
- 1. increased scavenging activity depletes cells of PRPP, thus decreasing the rate of de novo purine synthesis
- 2. the salvage pathway leads to the generation of more ATP and GTP. Increased levels of these nucletide inhibit amidoPRT in a feedback manner, also resulting in decreasd de novo purine synthesis.
尿酸の排泄
参考1
- 4コンパートメントモデルによれば尿酸は(1)糸球体濾過の後、近位尿細管で(2)ほとんど全て再吸収され、(3)S2 segmentで50%が再分泌され、さらに(4)S3 segmentで再吸収されるという。
- 尿酸排泄に関わる運搬体:URAT1, Glut9. これらは有機酸トランスポーター(OAT)の一員である。
- 尿酸/有機酸陽イオン交換体(URAT1運搬体)は尿酸に特異的で有機酸トランスポーターとは別の運搬体である。11q13のSLC22A12遺伝子にコードされている。
- URAT1は近位尿細管管腔側の膜上に発現している。
- 乳酸、ニコチン酸、アセト酢酸、ヒドロキシ酪酸、などの有機酸が近位尿細管上皮細胞内に蓄積すると、尿細管腔から尿酸を取り入れて有機酸を排泄する。
- これが有機酸血症のときに高尿酸血症をきたす原因である。 → 飢餓(ケトン体増加)、von Gierke病(乳酸増加)のときに高尿酸血症をきたすのはこのため。
SP.807
- 近位尿細管上皮細胞の管腔側膜に尿酸を再吸収して有機酸を分泌するURAT1という交換輸送体が存在する。
- また管腔側膜にはナトリウムとアニオンを再吸収する共輸送体が存在する。
- 基底側膜には血管側から尿細管上皮細胞内にアニオンを取り込む有機アニオン輸送体 OATが存在する。
- 正常では尿酸の排泄率は10%、pyrazinoateを投与すると1%、プロベネシド(有機酸輸送の抑制薬)を投与すると50%となる。
- 上記のメカニズムが存在するため、近位尿細管でナトリウムの再吸収が亢進する状態、あるいは血液内に有機酸が豊富に存在する状況では尿細管上皮内におけるアニオンの濃度が上昇する。この結果、URAT1による有機酸の排泄、尿酸の再吸収が起こる事になる → 高尿酸血症
- 近位尿細管でのナトリウム再吸収が亢進する状態とは、利尿薬を使用した場合に起こるとされている。利尿薬の使用により組織灌流量が減少するので、RAA系の亢進あるいはNAの産生が増加し近位尿細管におけるナトリウムと水の再吸収が増加すると共に尿酸の再吸収も増加する(renal pathophysiology 3rd edition p.123)。
基準値
- 尿酸の血清尿酸値は男性より女性の方が低い。これはエストロゲンに関係する物質(estrogenic compounds)により尿酸輸送体が抑制されるためらしい。(参考1)
臨床関連
参考
- 1. [charged]Uric acid balance - uptodate [1]
[★]
- 英
- facilitation、promotion、acceleration、facilitate、promote、accelerate、hasten、expedite、further
- 関
- 急ぐ、加速、亢進、昇位、促通、さらに、加速度、速める、それ以上、昇進
[★]
- 英
- drug, agent
- 同
- 薬物
- 関
- 作用薬、剤、ドラッグ、媒介物、病原体、麻薬、薬剤、薬物、代理人、薬品
[★]
- 英
- uricotelic
- 関
- 尿酸終末型、尿酸排泄性
[★]
- 英
- accelerating agent
- 関
- 促進剤