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100 g (3.5 oz)あたりの栄養価 | |
エネルギー | 356 kJ (85 kcal) |
炭水化物 | 2.61 g |
- 糖分 | 0.62 g |
- 食物繊維 | 0 g |
脂肪 | 0 g |
- 飽和脂肪酸 | 0 g |
- 一価不飽和脂肪酸 | 0 g |
- 多価不飽和脂肪酸 | 0 g |
タンパク質 | 0.07 g |
水分 | 86.49 g |
アルコール | 10.6 g |
ビタミンA相当量 | 0 μg (0%) |
- βカロテン | 1 μg (0%) |
- ルテインおよびゼアキサンチン | 6 μg |
ビタミンB1 | 0.005 mg (0%) |
ビタミンB2 | 0.031 mg (2%) |
ビタミンB3 | 0.224 mg (1%) |
パントテン酸(ビタミンB5) | 0.03 mg (1%) |
ビタミンB6 | 0.057 mg (4%) |
葉酸(ビタミンB9) | 1 μg (0%) |
コリン | 5.7 mg (1%) |
ビタミンB12 | 0 μg (0%) |
ビタミンC | 0 mg (0%) |
ビタミンD | 0 IU (0%) |
ビタミンE | 0 mg (0%) |
ビタミンK | 0.4 μg (0%) |
カルシウム | 8 mg (1%) |
鉄分 | 0.46 mg (4%) |
マグネシウム | 12 mg (3%) |
マンガン | 0.132 mg (7%) |
セレン | 0.2 μg (0%) |
リン | 23 mg (3%) |
カリウム | 127 mg (3%) |
塩分 | 4 mg (0%) |
亜鉛 | 0.14 mg (1%) |
%はアメリカにおける成人向けの 栄養摂取目標 (RDI) の割合。 |
ワイン(英: wine)とは、主としてブドウの果汁を発酵させたアルコール飲料である。葡萄酒(ぶどうしゅ)。通常、単に「ワイン」と呼ばれる場合には他の果汁を主原料とするものは含まない。日本の酒税法では「果実酒」に分類されている。
ワインは最も多くの地域で飲用されているアルコール飲料の一つである。ワインは主に以下の3種類に分類される。
他に発泡ワインなどの特殊な製法のものがある。ワインの風味を構成する味覚は、白ワインでは酸味・甘味であり、赤ではそれに渋味が加わる。加えて、香りが風味の重要な要素であり、これらのバランスが取れているものが一般的に良いものとされる。
ワインの主成分は水、エタノール、各種の有機酸、糖、グリセリン、アミノ酸、核酸、タンニン、炭酸ガスなどである。各種の有機酸の中では酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、酢酸、コハク酸の6つがワインの風味に関して最も重要な要素と考えられている。また、貴腐ワインにはグルコン酸が多く含まれている。
ワインは瓶に詰められた後でも熟成が進み、風味は変化を続ける。熟成期間はボルドーワイン等の一部のワインでは50年以上もの熟成に耐えるものもあるが、多くは1年から10年ほど、長いものでも20年から30年である。安価なワインでは熟成によって品質が向上することはあまりなく、むしろ早く飲まないと劣化してしまう。長い熟成に耐えるものを長熟、逆に早く飲むものは早飲みという。作られて間もないワイン(若いワインと表現する)は、ブドウの生の味が強く、渋すぎたり、酸味がきつすぎるということもあるが、熟成が進むと角が取れてまろやかになる。また、年数が経てば総数が減るので希少価値により価格も高くなる傾向にある。ただし、熟成したワインがどれも同じように高くなるというわけではなく、生産年、地域、作り手の知名度などにより価格は大きく異なる。
ワインが食文化に根付いているヨーロッパでは日常的に飲まれることも多いが、近年では日本における日本酒と同様に、一人当たりの需要量は減少傾向にある。イスラム教においては、飲酒が教義により禁止されているため、発祥地である現在の中東諸国では、ワインの生産は、世俗主義国家であるトルコ、比較的リベラルなイスラム教徒やキリスト教徒が住むレバノン・ヨルダン・パレスチナ・エジプト等に限られる。日本を含むアジア諸国では、一人当たりの需要量は依然として少ないが、需要の伸びは著しい[3]
目次
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ワインは最も歴史の古い酒の一つとされ[4]、現在のグルジア周辺では遅くとも紀元前8000年頃からワインが飲まれていたらしい[5]。また、アルメニアでは約6000年前のものとされる世界最古のワイン醸造所跡が発見されており、その頃には既に高度な醸造技術が確立されていた[6]。以後、醸造法が南方に伝播したことから、中東、特にメソポタミアを中心とする地域で広く愛飲されるようになる。ただし、メソポタミアは葡萄の栽培に適した土地でなかったため、イラン高原では紀元前6000年頃から生産が始まっていたものの、メソポタミア(※特に南部のシュメール)においては紀元前4000年頃になってようやく醸造できるようになったようだ[7]。古代エジプトにおいても、紀元前4000年代末期にはワインが製造されていた[8]。
ワインについて書かれた世界最古の文献は、紀元前2000年前後に作られたシュメール語の粘土板である[9]。例えば、『ギルガメシュ叙事詩』(※ただし、アッカド語版)には、メソポタミアで英雄視された王(ギルガメシュ)が大洪水に備えて箱舟を造らせた際、船大工たちにワインを振舞ったという場面がある。ちなみに、シュメールでは紀元前5000年頃に世界初となるビールの醸造技術が確立しており、紀元前3000年代初期に双方が古代エジプトへと伝わったとされる[10]。ビールの醸造の方が比較的簡単であったため[要検証 – ノート] 、これら古代オリエント地域では、ビールを日常消費用、ワインを高級品として飲み分けていた[11]。
その後フェニキア人により古代ギリシアへも伝わる。この頃は水割りにして飲まれていた。現代ギリシャ語でワインをοίνος(「エノロジー(oenology、ワイン醸造学)」の語源)ではなく普通κρασί(混合)と呼ぶのはこの水割りの習慣の名残である。ワインはそこから地中海沿岸に伝えられ、古代ローマへと伝わり、ローマ帝国の拡大と共にガリアなどの内陸部にも伝わっていった。ちなみに当時のワインは、ブドウ果汁が濃縮されかなりの糖分を残している一方、アルコール度数はそれほど高くなく、今日の蒸留酒を飲む時に行うようなアルコール度数を抑えるための水割りではなく、過剰な甘さを抑えるための水割りであった。酒というよりはソフトドリンク、長期保存可能なブドウジュースといった感覚であった。ヨーロッパの水は硬水が多く大変飲み難いものであったので、それを飲みやすくするためにワインは必要不可欠なものであり、その意味では水で割るというよりも、水に添加して飲みやすくする物であった。
ワイン製造の技術が格段の進歩を遂げたのはローマ時代においてとされ、この時代に現在の製法の基礎が確立した。それにより糖分がかなりアルコールに転化され、ワインをストレートで飲む「大酒飲み」が増えていった。
中世ヨーロッパの時代にブドウ栽培とワイン醸造を主導したのは僧院であった。イエス・キリストがワインを指して自分の血と称したことから、ワインはキリスト教の聖餐式において重要な道具となった。ただしこの時代、ワインは儀礼として飲むものとされ、むやみに飲んで酩酊することは罪とされていた。ルネサンスの時代以降、娯楽としての飲酒が発展する。17世紀後半、醸造や保存の技術、また瓶の製造技術が向上し、ワインの生産と流通が飛躍的に拡大した。
また、これらのワインとは全く異なるが、古代中国(※漢王朝 - 紀元前1000年初期)においても独自のワイン醸造技術が存在していたという[12]。ただし、この系統は完全に廃れてしまい、現代中国で生産されるワインは西洋由来のものである。
広い意味でのワイン作りはブドウの栽培と醸造に二分できるが、ワイン産地ではワイン作りと言えば醸造(英語ではwinemaking)を指し、醸造学は英語でエノロジー(oenology/enology)と言う。これに対しブドウ栽培(英語でgrapegrowing)の技術や学問はヴィティカルチャー(viticulture)と呼ばれる。海外の大学はブドウ栽培と醸造学の両コースを持つのが普通である。
ワインの生産主体はフランスのボルドー地域においては「シャトー」、ブルゴーニュ地域においては「ドメーヌ」と呼ばれることが多い。フランス語の「シャトー」は、もとは城館をあらわす言葉であるが、ボルドー地域においては転じてぶどう園や管理場、生産者のことをも指す。主なものではシャトー・ムートン・ロートシルト、シャトー・ラフィット・ロートシルト、シャトー・マルゴー、シャトー・ラトゥールなどがある。イタリアにおける「カステッロ」、ドイツの「シュロス」、スペインの「カスティーリョ」も同様である。「ドメーヌ」は、フランス語で「土地」をあらわす語である。カリフォルニアワインなどで「エステート」という語を使っているのもドメーヌと同義である。
「ワイン用ブドウ品種の一覧」も参照
どんなに醸造の技術が進歩しても良いワインを作るのは良いブドウのみ。そのためブドウ作りは醸造以上に重要であると言える。ワインに使われるブドウの種類は基本的にはヨーロッパ種(学名:Vitis vinifera)である。品種はサルタナ(トンプソン・シードレス)種などごく一部に生食用に使われるものもあるが、ほとんどはワイン専用である。一般にワイン専用のブドウは生食用のブドウよりも粒が小さく、皮が厚く、種が大きく、甘みと酸味がより強い。主なものにカベルネ・ソーヴィニヨン、メルローなどがある。どのブドウをどの程度使うかは味の特徴を決定する大きな要因である。現在ワイン用ブドウとして作られる品種のほとんどがヨーロッパ種であるので、ワイン用ブドウの生育に適した気候は地中海性気候等のヨーロッパの環境に準じたものとなる。
気候に続いて土壌も重要な要素である。土壌に関してはカリフォルニアのように、あまりに栄養豊富でおまけに深いと樹が繁り過ぎてかえって良いブドウが作りにくい。たとえ土地が痩せていても、水はけが良くて、ブドウが深くまで根を張ることができる程度に土が硬くなければ、ブドウの栽培には都合が良い。土壌の中の栄養素もまた味の特徴として出ることがある。しかしその栄養素のブドウへの取り込みは台木の種類にも影響される。これらにブドウが栽培される畑の日当たりや局地的な気候などの要素を加え、それを一くくりにして「テロワール」と呼ぶ。
ブドウが生育するに当たり、樹が大きくなりすぎたり、あるいは房になる実の数が多くなりすぎたりすると一つ一つの粒に与えられる栄養が少なくなり、ワインにした際に品質を下げることになる。そのため多くの場合は、ブドウの樹は剪定などを行ってあまり大きくなりすぎないようにし、房は間引きを行うことになる。
その年に雨が多く、日照量が少ないとブドウの生育が悪くなり、そこからできたワインは糖分に乏しく腐敗果の混入の恐れが増える。逆に日照が良すぎ、生育が早すぎると酸が欠け糖分が強くなりすぎ、酸味とのバランスが悪くなる。その年のブドウの作柄のことをヴィンテージと呼ぶ。現在では転じてブドウを収穫した年のことをヴィンテージと呼び、その年の出来不出来によってワインの出来が変わる。そのために各国のワイン関連組織やワイン専門誌などによってヴィンテージチャートが発表される。ただし、現在では補糖や補酸、適切な酵母の選択などの醸造技術の進歩により、力のあるワイナリーであれば悪い年でもそれなりのものができるようになり、味に関しては激しい差はない。その代わり、悪い出来のブドウでは長い熟成に耐えることが難しくなり、より早飲みになる。安価なワインでは品質を安定させるために複数の年のワインを混ぜた「ノン・ヴィンテージ」であることが多い。シャンパンはノン・ヴィンテージが一般的であり、産年表示された「ヴィンテージ・シャンパン」は、高級品に限られる。
伝統的な方法では、搾った果汁を樽や甕に入れ天然酵母によりアルコール発酵させた後、滓引きを行い樽で数ヶ月から数年間熟成し瓶詰めされる。現在でも基本的な方法はワイン発祥の頃と変わっていない。近代的な醸造方法では培養酵母を添加し、ステンレス製タンク内で発酵させる。熟成(マロラクティック発酵)の際も、特別に培養した乳酸菌を添加する。
ワインは、そのほぼ全工程で、なるべく空気、特に酸素との接触を断つ必要がある。これは多くの場合、空気と共に酢酸菌 [13] が侵入し酢酸醗酵が行われることで酸味の強すぎるワインになったり、ワインが腐敗状態となるためである。このためワインの製造工程の幾つかの段階では、酸化防止剤としても知られる二酸化硫黄(亜硫酸ガス, SO2)またはその塩の1種であるピロ亜硫酸カリウムが添加される。ただし、この二酸化硫黄には、確かに酸素の除去という効果もあるものの、その反応は遅く、しかも、二酸化硫黄は人体に有害な物質としても知られているため、これを添加をしない製法も存在する。このように酸化防止剤を添加しない場合は、醗酵させるタンク内の空気を窒素に置換することで、酸素との接触及び、雑菌の繁殖による腐敗を抑制する手法が多く用いられる。しかし、二酸化硫黄には酸化防止剤としての働きと雑菌の抑制および殺菌の他にも、ブドウの果皮に含まれる酸化酵素の阻害、果汁中の色素の安定化、ワインで発生することのある過酸化水素の除去などの働きもあり、二酸化硫黄の添加を行うことでワインの品質を、より簡単に安定させられるという利点がある。また、二酸化硫黄が含まれていても、少量であれば人体にほとんど問題はないとされていることから、簡単に品質を安定させる手段として、現在でも二酸化硫黄の添加が主流となっている。そして中には、フランスのワイン法のように、二酸化硫黄の添加を義務付けている地域も存在する。ただし、日本やヨーロッパ諸国、アメリカなどでは、製品中の二酸化硫黄の濃度が、一定値を超えてはならないと規制されているため、使用には限度が存在する地域もある。なお、ワインへのこの他の酸化防止剤の使用は、日本では認められていないが、南米などから赤道を越えて船で輸送されるものは、多くの場合に保存料として認められているソルビン酸が添加される。
詳細は「ムスト」を参照
醸造するには、まず葡萄を収穫しなければならない。葡萄の収穫は糖度が14~26度程度になったところで、鋏または機械で行う。収穫時期をいつにするかということもまたワインの味を決める重要な要素で、単純に糖度が高いだけでは酸とのバランスが悪い物になる。この際に病気のもの(腐敗果)・生育が悪いものは(必要以上に酸をもたらすため)取り除く。この過程を選果という。
伝統的なワインの製造(発酵)方法は、ブドウの芯(果梗)を取り除き(除梗:じょこう)、実の皮を破る(破砕)。産地によっては、ワインにより強い渋みを付けるため果梗を混ぜる場合がある。スペイン、イタリアの農村では収穫期には伝統的に村人総出で、素足で体重を掛けて搾汁する光景が見られる。最近のワイン工場ではステンレス製の除梗破砕機を使用し搾汁する。多くのワイン専用品種では収穫した果実重量の55~65%程度の果汁が得られ、大粒生食用品種の巨峰等では80~85%程度の果汁を得る。
この次に赤ワインの場合は、果皮や果肉の混ざったままの状態で醗酵させる。白ワインの場合は、圧搾機にかけて果汁を搾り出した(搾汁)後、果汁のみを醗酵させる。ただし、一部の白ワインではスキンコンタクト法と言い「破砕した果実と果汁を1~24時間接触させた後に搾汁する」方法も取られる。このように、白ワインは醗酵させる前に果皮や果肉は捨てられるのが一般的であるものの、種子についてはグレープシードオイル(葡萄種油、食用油)の原料として利用される。ロゼワインの場合は、概要の節で述べたように様々な製法があって、この工程はそれぞれの製法によって異なっている。
なお、ワインの渋みとなるタンニンは果梗や果皮或いは種子に由来し、タンニンはエタノールによって溶出する。したがって、果汁のみを醗酵させる白ワインにはタンニンが少ない。
発酵させるに当たり、ブドウの果実には天然の酵母(野生酵母)が取り付いており、さらに、果汁中には酵母が利用可能なブドウ糖が含まれているため、果汁が外に出ることで自然にアルコール発酵が始まる。伝統的な製法では酵母には手を加えない自然発酵が主流であったが、現在では、安定した発酵をさせるため、特別に培養した酵母を使用した酒母として添加し、それ以外の菌を作用させない方法がとられる。更に、ブドウ産地が高温で酸に乏しいブドウとなる場合は、酸を多く生じる酵母を用いる。その後、場合によっては糖(果糖ぶどう糖など)が添加される。この後、赤なら約20~30℃、白なら15~18℃に保ち、数日から数十日かけて発酵させたのち(これを「主発酵」と呼ぶ)、圧搾によって液体成分を搾り出す。目的の発酵度合い(糖の残り具合)になった所で、温度を下げ発酵を停止させることもある。発酵の際の温度が20℃を越えると微香成分が失われるため、低温で長期間の発酵を行う場合もある。 アルコール発酵中に発生する炭酸ガスにより一緒に仕込んだ果皮や種が浮き上がり、好気的な微生物の作用を受けやすくなるため、ピジャージあるいは撹拌や循環により固形分が常に液体に浸った状態を維持する。
酵母による発酵の成果として十分に発酵した場合、糖度計による計測糖度の約1/2の値のエタノールと二酸化炭素(炭酸ガス)が生成される。目的の発酵度合いになったところで、液体と固形分を分離する。このとき圧力をかけずに自然と流れ出た液体が「フリーランワイン」で高級ワインの原料として使用される。一方、残った固形分を圧縮し搾った液体が「プレスワイン」である。「フリーラン」「プレス」は別々に二次発酵から瓶詰めを行うが、プレスワインはブレンド用のワイン原料として利用されるほか、一部ではフリーランと混合され、各々が特徴を持ったワインに仕上がる。
なお、酵母によるアルコール発酵で作り出せる酒のアルコール度数には限界が存在する。これはエタノールが、ある一定濃度以上になってしまうと、酵母がそのエタノールによって死滅してしまうためである。この上限濃度は酵母の菌株によって異なっており、だいたい16%~20%であると言われ、この上限濃度を超えると、酵母は自身の生産したエタノールにより死滅してしまう。したがって、シャンパンのように瓶内二次発酵を行いたい場合は、この濃度に達していない必要がある。なお、酒精強化ワインの場合は、ここで高濃度のエタノール(蒸留酒)を添加することによって、酵母が死滅するようにエタノールの濃度を上げてしまうため、酵母によって消費されなかったブドウ糖などが多く残るために、一般的に甘口に仕上がる。
搾り出された液体は、ステンレスやコンクリート製のタンク、木製(主にフレンチオーク、一部ではアメリカンオークも使用される)の樽に貯蔵される。木製の樽を利用するとその香りなどがワインに影響し、その効果が良い評価を与えられることがある。一方ステンレス製のタンクではワインへの影響がないため品質管理がやりやすくなるという利点があり、近年はステンレス製タンクを利用する生産者も増加している。熟成期間は数十日から数年とさまざまである。底にたまった滓(おり)は随時回収する。二酸化炭素を大気中に発散させず液中に封じ込めた物はスパークリングワインとなる。なお、ブドウとリンゴ(シードル)では二酸化炭素のとけ込みやすさが異なる。
この後、赤ワインでは乳酸菌が投入される場合があるが、乳酸菌による発酵がマロラクティック発酵(Malo-Lactic Fermentation)(MLF発酵)で樽内熟成行程のひとつ。これを「熟成」とも呼ぶ、MLF発酵作用自体は酸味の主成分であるリンゴ酸の乳酸と二酸化炭素への分解で、ワインに対する変化は酸度の減少と微量芳香成分の付与である[14]。良好なMLF発酵を行わせるため温度は15~18℃で12℃以下では起きない、多くの場合MLF発酵が行われるのは冬期の寒冷期である事から近代的な製法では加温管理される。更に、ワインのpHは3.1~4.0の範囲に無ければならない。pH4.0を越えると、MLF発酵は失敗しやすくなる。但し、最適なpHは使用される乳酸菌によって異なっている。
乳酸菌としては、ホモ型 Lacobacillus paracasei , Lb. plantarum , ヘテロ型 Leuconostoc mesenteroides が作用をもたらす[15]。なお余談ながら、日本酒に対しこの乳酸菌が作用すると腐造となる。
発酵が終わったワインは、酵母や酒石(酒石酸水素カリウム)などの澱が沈降するため、セラミックフィルター、遠心分離、濾過、静止などにより澱を分離する。また熟成期間中のワインも、澱が生じるので適宜、澱引きを行う。発酵を停止させる方法は、静止のほか冷却し酵母を沈殿させたり、50℃程度までの加熱を行い酵母を死滅する方法が用いられる。なお、ここで取り除かれる酵母は、加工を行った上で健康食品として販売されることもある。また、蛋白質を除去し透明化させるため、卵白やベントナイトという粘土などを添加する方法はコラージュ(collage)と呼ばれ、高級赤ワインでは広く行われている。
「ワインボトル」も参照
貯蔵後はガラス瓶などの容器に詰め、コルクなどで栓をし、この後、出荷される。コルクには天然のコルクと、合成素材のみ、もしくは天然コルクと合成素材を組み合わせた合成コルクがある。合成コルクは主に安価なワインに使用される。汚染等が問題になるコルクの代りにスクリューキャップ(英: Screw cap)も用いられる。安いワインはバッグ・イン・ボックスと呼ばれる段ボール箱に入った特殊な薄い袋(容量は2リットルから4リットル程度)に詰めて売られることも多い。これは、輸送コストが安く、空気が入りにくいため開栓後ワインが酸化しにくいのが特長である。また、ペットボトルや紙パック、缶が容器として使用されることもある。
香りはワインの品質を決定づける重要な要素であり、原料のブドウと醸造の各々の段階で加わり複雑なアロマを形成する[16]。
順位 | 国 (各国のワイン記事へ) |
生産量 (トン) |
---|---|---|
1 | フランス | 5,329,449 |
2 | イタリア | 5,056,648 |
3 | スペイン | 3,934,140 |
4 | アメリカ合衆国 | 2,232,000 |
5 | アルゼンチン | 1,564,000 |
6 | 中華人民共和国 | 1,300,000 |
7 | オーストラリア | 1,274,000 |
8 | 南アフリカ共和国 | 1,157,895 |
9 | ドイツ | 1,014,700 |
10 | チリ | 788,551 |
11 | ポルトガル | 576,500 |
12 | ルーマニア | 575,000 |
ヨーロッパ周辺地域においては歴史上古くからワイン造りが行われている。代表的な産地はフランス、イタリア、スペインなどであり、名だたる高級ワインを生産している。近代以降になってワイン造りが始まった地域は「ニューワールド」と呼ばれる。安定した気候や企業的経営を背景に、一般消費者でも手軽に買い求められるワインを生産している。近年ではニューワールドワインの品質向上も目覚しく、ヨーロッパの名醸ワインをしのぐ品質のワインも出てきている。
2007年頃からは“ブランドに拘らなければどこの国の物も同じ”とニューワールド物に流れる傾向が強まり、ワインが売れずに廃棄されたり、フランスでは一部の零細ワイナリーが廃業したりする事態になって来ている[19]。
ワイン用ブドウの栽培は緯度が30°から50°とされているが、それを越えて広がってきた[20]。
ルーマニア、旧ユーゴスラビア諸国、ブルガリア、ギリシア、グルジア、アゼルバイジャン、アルメニア、トルコ、ウズベキスタン、ヨルダン、イスラエル、パレスチナ地域、レバノン、キプロスなどでワイン生産が行われている。また、ほんの僅かではあるが、アイルランド南部のほんの一部にもワイナリーが存在するという。新大陸では、生産量が多いチリ、アルゼンチンのほかに、ブラジル南部、ボリビア、ウルグアイ等でも比較的規模の大きいワイナリーが存在する。
詳細は「日本のワイン」を参照
日本におけるワイン生産は明治時代に始まった。だが国産ワインの需要も少なく、各地で細々とつくられていただけであった。1980年代頃から本格的なワインに対する消費者の関心も高まり、また純国内栽培による優秀なワインも生産されるようになり、国際的にも評価されるようになってきた。2002年からは山梨県が主導して「国産のぶどうを100パーセント使用して造った日本産ワイン」を対象とするコンペティションも行われるようになり、純国産ワインの品質向上を競うようになってきている。
日本を除く先進国をはじめ、ほとんどのワイン生産国では法律でアペラシオン・ドリジーヌ・コントロレが設けられ、原料となる葡萄を収穫した土地をワインの産地として表示することが義務付けられている。また、フランスやイタリアなどの国では、産地によって使用できる葡萄品種・収穫量・製造方法までが定められている場合がある。
日本では原料産地にかかわらず国内で醸造を行うことで「日本産」の表示が可能であり、輸入果汁から生産されたワインが日本産ワインとして少なからず流通している。しかし、一部自治体で独自の原産地呼称管理制度が始まっており、長野県の「長野県原産地呼称管理制度」や、山梨県甲州市(勝沼地区)の「ワイン原産地認証条例」がある。
ワインは変化を受けやすい酒であり、保存の際には光・振動・温度・湿度などに気を使う必要がある。保存には「暗く」「振動がなく」「常に12~14℃くらいの温度で」「適度な湿度がある」環境に「寝かせて」保存するのが良いとされる。光・振動は共にワインの変化を促進させる。温度については高温であると酸化が進み、逆に低温であると熟成が進まない。湿度が少ないとコルクが収縮して中に空気が入ってしまい、寝かせるのもコルクに適度な湿り気を与えるようにである(つまりスクリューキャップであれば関係ない)。
これらの条件を一番容易に満たすのは地下であり、フランスなどでは一般家庭でもワイン保存用の地下室が存在することがある。日本ではそのような地下室はまれであるが、専用のワインセラーがあれば問題はない。ワインセラーを持たない場合には一般的に押入れや冷蔵庫に保存されるが、押入れは夏場に非常な高温になり、また匂いが移ってしまうので良くなく、また冷蔵庫は「乾燥し」「振動が多く」「冷えすぎ」「食品の匂いが移る」ので良くないとされる。ただ熟成が進まないことを気にしなければ「1、2年ならセラー保存とあまり変わらない」とも言える。一般家庭では長期保存、特に夏を越しての保存は考えないほうが良い。ただしこれらの保存に関する要素は長期保存する場合の話であり、すぐに飲んでしまうならば直射日光や高温(25℃以上)などに長時間さらさない限りはあまり気にする必要はない。
また光や温度以上にワインを変化させてしまうのは空気である。そのため一旦コルクを抜いてしまったワインは数日の内に飲まないと劣化してしまう。どうしても余ってしまった場合はハーフボトルに移して食品用ラップフィルムなどで空気と遮断しておいたり、真空ポンプ式のワインストッパーを使用すれば一週間程度は持つ。またワインによっては、抜栓後すぐでは味や香りが十分に発揮されず、空気に触れさせるために一定時間置いておくことが推奨される場合もある。
最近はAOCボルドーのついたワインにも、スクリューキャップ(ねじ栓)のものが出てきており、ペットボトル、紙容器、缶入りなど、そのまますぐに飲めるワインも多くなったが、大半の高級ワインは今でもコルク栓で密封されており、これを抜くための道具が必要である。コルク抜き(コルクスクリュー)には、ワインを買うとおまけにくれるT字型のものから、1本数万円のもの(純金製の、100万円のソムリエナイフが発売されたこともある)まであり、また方式も、おもなものだけで10種類ほどあり、それぞれ長所と短所がある。家庭用には、ウィング式(つばさ型)が多く用いられている。プロのソムリエも使っているソムリエナイフは、素人でも、コルクの中心から垂直に差し込むコツを覚えれば、あまり力をかけずに抜くことができる。
古いボルドーの赤ワインやポートワインは飲む直前に瓶から一旦デカンタに移し替える場合もある。この作業をデカンタージュと呼ぶ。デカンタージュを行う理由は、第1にワインの澱を分離すること、第2に飲む前に少し空気にさらした方が風味が引き立つとされることである。ブルゴーニュワインは澱が少ないためにふつうはデカンタージュをしない。デカンタージュは必要ないという考え方もあり、個人の好みによるところが大きい。(デカンテーション参照)
ワインの開栓や保存、またワインをより楽しく、おいしく飲むための製品をワインアクセサリーと呼んでいる。ヨーロッパでは千年以上のワイン文化があるだけに、様々なワインアクセサリーが製造・販売されており、中には実用よりも、見たり集めたりして楽しいものもある。近年、日本でもこれを専門にするショップも出てきている。
螺旋状に巻いた鋼鉄製の針金を差し込んで開けることからコルクスクリューということもある。ワインを買うとおまけにくれるような、差し込んで引き抜くだけのT字型のものから、家庭用のウィング型、ダブルハンドル型、スクリュープル型、瓶とコルクの間にピンセット状の刃を差し込み、ねじりながら抜くもの、空気注入式など様々なタイプがある。しかし、現在は素人でもソムリエナイフを使う人が増えてきた。
詳細は「ワイングラス」を参照
ワインを飲むための食器としては、近年はガラス製の無色透明のいわゆるワイングラスがよく使用される。ただし、その容量や形状は目的などに合わせて様々である。また、ガラス以外の素材で作られたものも存在する。なお、過去にはワインを鉛製のものが広く使用された時期もあった。鉛製のものはワインの中に含まれる有機酸との反応で鉛が溶け出すが、酢酸鉛は甘味が感じられることもあり、鉛製のもので飲むワインが好まれたことがあったことで知られている。ただし、この飲み方は鉛中毒を引き起こす可能性があり、おすすめはできない。
ワインを恒温で保存しておくために作られた専用の冷蔵庫。家庭用の、12本くらいが貯蔵できる小型のものから、数十本はいるものまであるが、まだそれほど普及していないこともあり、かなり高価である。
ワインセラーと同じように、ワインを寝かせて保存しておくための棚または箱状のものだが、温度調節機能はなく、ただおいておくだけのものである。欧米では、地下の貯蔵室におくために、数百本から千本以上おける大型のものが売られているが、日本ではまだあまり出回っていない。
デカンテーション(上記「デカンタージュ」参照)をするためのガラス製の容器で、ワインのボトルとほぼ同じ容量のものが多い。凸レンズに首が搗いたようないかにもそれらしい形のものから紡錘形、フラスコ型など様々な形のものがある。(デカンテーション参照)
飲みのこしたワインのボトルにかぶせておく栓。開栓時にコルクを割ってしまったときはもちろん、抜いたコルクを差し込んでおくだけでは無粋だという人も用いている。発泡性ワインの気が抜けないように作られた通称でシャンペンストッパーと呼ばれるものもある。 また、主に手動の空気ポンプと専用の栓を用いて、ビン内の空気を空気ポンプで吸出し減圧してワインの酸化を遅らせたり、発泡性ワインでは逆に空気をポンプで入れ込み加圧することによって気の抜けを防ぐワインストッパーも普及している。
ギリシャ神話におけるディオニュソス、ローマ神話におけるバッカスが葡萄酒の神とされる。ディオニュソスは、近代においても、ニーチェの『悲劇の誕生』などにより、重要な概念となった。
キリスト教においては、キリストが主の晩餐と呼ばれる晩餐においてワインを使ったことから、正教会の聖体礼儀、カトリックのミサ、聖公会・プロテスタントの聖餐式においてワインが用いられる。正教会では赤ワインの使用を定めているが、西方教会では赤ワインと白ワインのいずれであるかを問わない教派が多い[21]。
他方、教派・教会によっては、アルコール依存症を治療している信者や未成年信者に配慮するといった理由から、ぶどうジュースや、煮沸してアルコールを飛ばしたワインを用いるところもある。
古代においては、冬ごとに刈り込まれて春に芽吹き、秋には再び実をつけるブドウの樹は復活の象徴とみなされていた[22]。
ワインツーリズムとは、欧米では盛んな旅のスタイルの一つである。ワインの産地を回りながら、時には作り手との交流を交え、ワインの造られた郷土の料理やワインを楽しむ。欧米では日帰りや宿泊のプランが用意されており、国や現地の法人が積極的に取り組んでいる。
詳細は「1985年オーストリア産ワインジエチレングリコール混入事件」を参照
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国試過去問 | 「105D057」 |
リンク元 | 「100Cases 60」「100Cases 13」「グルコン酸」「wine」「ブドウ酒」 |
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・BUN
グルコン酸(—さん、gluconic acid)はグルコースの1位の炭素を酸化することによって生成するカルボン酸で、化学式 C6H12O7 で表わされる。光学活性化合物であり、天然には D体が存在、そのIUPAC命名法は (2R,3S,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキサン酸と表される。水に溶かすとグルコン酸イオン C6H11O7− となる。アルドン酸の一種。
6個の炭素鎖からなり、末端にカルボキシル基を、また2番目から6番目の炭素原子に1個ずつ計5個のヒドロキシ基を持つ。カルボキシル基はプロトン H+ を失うことによってアニオンになる性質を持つ。
酸性の溶液に溶かしたり、溶液から遊離の酸の単離を試みたりすると、容易に脱水して環状エステルであるグルコノデルタラクトン(D-(+)-グルコン酸-δ-ラクトン)へと変化する。水溶液中ではこの化合物との平衡混合物として存在するため、塩の形でしか不純物を含まないものは得られない。
グルコン酸は強力なキレート剤であり、特にアルカリ性の溶液中でよく作用する。カルシウム、鉄、アルミニウム、銅やその他の重金属イオンにキレート配位する。
天然には蜂蜜やワイン、果物の中に少量存在する。紅茶キノコや清涼飲料水のビオナーデ (Bionade) など、発酵食品にも含まれる。
化学的には D-グルコースを臭素水やヨウ素のアルカリ溶液で穏やかに酸化することによって得られる。生化学的には、Aspergillus Niger による D-グルコースの微生物酸化で生成する。グルコースを酸化する酵素はグルコースオキシダーゼと呼ばれる。
金属塩の沈殿の除去や、金属を洗浄する際に弱い酸として使われるほか、以下のような用途がある。
グルコン酸およびその塩はpH調整剤として用いられる (E番号)。カルシウム塩は安定剤 (E578) として、カルシウムの乳酸との複塩(乳酸グルコン酸カルシウム)はカルシウム剤として使われる。グルコン酸鉄はオリーブの黒味を出すのに利用される (E579)。グルコノデルタラクトンも食品添加物として使われる (E575)。
鉄の欠乏症に対する薬として利用される。グルコン酸亜鉛など他の金属イオンの塩も同様であるが、グルコン酸塩は体に吸収されやすい性質を持つ。また、取り込まれたグルコン酸イオンは体内の金属イオンを効果的に吸収されやすくする。この作用は皮膚からの吸収の場合でも同様であるため、フッ化水素で薬傷を受けた際にはグルコン酸カルシウムの軟膏が有効である。グルコン酸塩として取り込まれたカルシウムイオンは、溶解性のフッ化物イオンと結合して不溶性のフッ化カルシウムを形成し、これを無毒化する。
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