- 英
- pupil, pupils
- ラ
- pupilla
- 関
- 内眼筋
概念
瞳孔の大きさ
- 正常:2.5-4.0 mm (SCN.111)
- 縮瞳:<2.0 mm (SCN.111)
- 散瞳:>5.0 mm (SCN.111)
- 瞳孔不同
年齢
- 瞳孔径は20歳代で最大となり、高齢になるにつれて小さくなっていく。
神経支配
臨床関連
散瞳
縮瞳
瞳孔異常
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Plastic Treeの曲については「瞳孔 (曲)」をご覧ください。 |
瞳孔(瞳) |
ヒトの眼
瞳孔とは中央の光を通す領域である(画像では黒い部分)。それを囲む緑掛かった茶色の領域が虹彩である。更に外側の白部は強膜で、中央に透明な角膜をもつ。
|
眼の断面図
瞳孔(Pupil)
|
英語 |
Pupil |
器官 |
感覚器 |
瞳孔(どうこう)または瞳(ひとみ)は、眼の虹彩によって囲まれた孔である。瞳孔は光量に応じて、その径を変化させる。瞳孔径の変化は、網膜に投射する光量の調整に寄与する。
目次
- 1 瞳孔の構造と肉眼像
- 2 瞳孔の機能
- 3 瞳孔径の調整
- 4 瞳孔の異常
- 5 動物の瞳孔
- 6 参考文献
- 7 関連項目
瞳孔の構造と肉眼像
「虹彩」も参照
瞳孔は虹彩によって周囲を囲まれた孔である。瞳孔は水晶体の前方に位置する。ヒトの瞳孔はほぼ正円形である。正常なヒトでは、両眼の瞳孔の大きさは、ほぼ等しい。
物体側から見た瞳孔の像は、角膜による屈折を受けた瞳孔の虚像である。この像を入射瞳と呼ぶ。入射瞳は実際の瞳孔よりも大きい。瞳孔径を計測するとき、入射瞳の径を瞳孔径として記載することがある。
瞳孔は黒く見える。これは、瞳孔よりも後方にある網膜色素上皮が光を反射しないためである。つまり、網膜色素上皮は光を吸収するため、瞳孔を通じて網膜へ入射した光が反射することはない。
瞳孔の機能
「縮瞳」および「散瞳」も参照
ヒトの場合、瞳孔径は2mmから8mm程度の間で変化する。明所では縮瞳が生じ、瞳孔径は小さくなる。暗所では散瞳が生じ、瞳孔径は大きくなる。
瞳孔径の変化は、網膜に投射する光量の調整に寄与する。このことは、カメラの絞りに類似する。
瞳孔径は網膜像の質に影響する。瞳孔径が大きいと、収差により網膜像は劣化する。瞳孔径が小さいと、回折により網膜像は劣化する。このことは小絞りボケに類似する。瞳孔径が小さいほど、焦点深度は大きい。つまり、物体側での被写界深度は大きくなる。
瞳孔径の調整
「外眼筋」、「縮瞳」、および「散瞳」も参照
副交感神経系は瞳孔括約筋をコリン性に興奮させることで、縮瞳を生じる。交感神経系は瞳孔散大筋をアドレナリン性に興奮させることで、散瞳を生じる。ただし、瞳孔散大筋のコリン性の抑制が報告されている[1]。また、瞳孔括約筋のα受容体を介した興奮とβ受容体を介した抑制が報告されている[2]。
散瞳は交感神経系の作用による。散瞳に関連する交感神経中枢は視床または視床下部にあるとされる。中枢からの線維は、脊髄(C8-T1)の毛様体脊髄中枢に達する。その後、上頚神経節で節後ニューロンへ乗り換え、瞳孔散大筋を支配する。
散瞳は眼瞼裂の拡大とともに生じうる。
縮瞳は副交感神経系の作用による。網膜からの光刺激による求心性情報は、視蓋前域のPON(pretectal olivary nucleus)へと伝えられる。PONニューロンはエディンガー・ウェストファル核(EW核)に投射する。EW核からの遠心性線維は副交感神経性の節前線維である。節前線維は動眼神経とともに走行する。その後、動眼神経の下枝とともに走行して、毛様体神経節へ至る。その後、節後線維となり、瞳孔括約筋へ至る。
瞳孔の異常
詳細は「眼球運動障害#内眼筋について」を参照
「眼科学#瞳孔異常」、「対光反射」、および「近見反射」も参照
動物の瞳孔
瞳孔の性質および形状は動物種によって異なる。
ヒトを含む哺乳類および両生類では、虹彩は平滑筋である。他方、爬虫類の大部分と鳥類では、虹彩は横紋筋である。ワニは、双方の種類の虹彩を持つ。
ヒツジやヤギの瞳孔は、水平でほとんど長円の形である。
瞳孔の形状は、動物種によって異なる。ヒトなどは円形の瞳孔を持つ。ネコ、ワニなどは、垂直のスリット型瞳孔を持つ。ヤギなどは水平のスリット型瞳孔を持つ。
さまざまな動物種が、異なる形状の瞳孔を持つことは、進化的な意義があると考えられる。スリット状の瞳孔は、夜行性動物に多いとされる。また、スリット状の瞳孔は、円形の瞳孔よりも短時間で閉じることができるとされる。そのため、スリット状の瞳孔は、夜行性動物が昼間の強い光をさえぎるために進化した、と考えられてきた。ただし、その他の説明も提案されている。たとえば、Malmström and Kröger (2006)は、スリット状の瞳孔は多焦点の眼光学系を持つ動物のみが持つことを根拠として、スリット状の瞳孔は多焦点の眼光学系における色収差の軽減に寄与している、としている[3]。
参考文献
- ^ Takeshi Yoshitomi, Yushi Ito, Hajime Inomata, Adrenergic excitatory and cholinergic inhibitory innervations in the human iris dilator, Experimental Eye Research, Volume 40, Issue 3, March 1985, Pages 453-459, ISSN 0014-4835, DOI: 10.1016/0014-4835(85)90158-7.
- ^ Takeshi Yoshitomi, Yushi Ito, Hajime Inomata, Functional innervation and contractile properties of the human iris sphincter muscle, Experimental Eye Research, Volume 46, Issue 6, June 1988, Pages 979-986, ISSN 0014-4835, DOI: 10.1016/S0014-4835(88)80049-6.
- ^ Malmström T, Kröger RH. Pupil shapes and lens optics in the eyes of terrestrial vertebrates. J Exp Biol. 2006 Jan;209(Pt 1):18-25.
関連項目
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Japanese Journal
- インターネット販売購入の1週間連続装用コンタクトレンズによる重篤な角膜潰瘍の1例
- 小野 まどか/篠崎 和美/三田 覚/木全 奈都子/高村 悦子/堀 貞夫
- 東京女子医科大学雑誌 82(E1), E239-E243, 2012-01-31
- … 初診時、右視力は手動弁、右眼には角膜ほぼ全面に広がる角膜潰瘍、角膜後面沈着物、前房蓄膿を認め、瞳孔領は透見不能であった。 …
- NAID 110008767984
- 光覚消失からステロイドパルス療法で視力が改善した視神経炎の1例
- 菅波 由花/八代 成子/中村 洋介/武田 憲夫/芳田 奈津代
- 東京女子医科大学雑誌 82(E1), E226-E229, 2012-01-31
- … 初診時、右眼は光覚がなく、相対的入力瞳孔反射異常を認めた。 …
- NAID 110008767981
- 視覚心理・視覚生理-5 光源の分光分布の違いによる瞳孔反射の変化
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★リンクテーブル★
[★]
- 次の文を読み、45、46の問いに答えよ。
- 55歳の男性。呼吸停止状態でマスクによる用手人工呼吸を受けながら救急車で搬入された。
- 現病歴 : 会社で電話中に後頭部に激しい頭痛を訴えて倒れた。同僚がかけつけたときいぴきを伴う大きな呼吸をしていたが、救急車到着時には呼吸停止の状態であった。
- 既往歴 : 高血圧を指摘されたが無治療であった。
- 現症 : 意識は昏睡状態。体温37.0℃。自発呼吸はない。脈拍は微弱。血圧68/40mmHg。左前額部に擦過傷を認める。瞳孔径左右とも3mm、対光反射は左右とも消失。心雑音はない。腹部に異常所見は認めない。
- 救急外来でまず行うべき処置で誤っているのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [097F044]←[国試_097]→[097F046]
[★]
- 39歳の男性。急激な意識低下のため搬入された。3か月前から頭痛を自覚していた。既往歴と家族歴とに特記すべきことはない。意識レベルはJCS II-30。不穏がみられ、右瞳孔の直接射光反射はやや遅い。呼吸数10/分。脈拍48/分、整。血圧172/108mmHg。頭部造影MRIのT1強調像(別冊No.18)を別に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [104A039]←[国試_104]→[104A041]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [105D059]←[国試_105]→[105E001]
[★]
- 60歳の女性。3年前から徐々に視力が低下したため来院した。視力は右0.6(矯正不能)、左0.5(矯正不能)。両眼ともに眼底に異常はみられない。前眼部の写真を以下に示す。異常がみられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [097A008]←[国試_097]→[097A010]
[★]
- 室温15℃前後の室内において死後約12時間経過した死体にみられるのはどれか。
- a 瞳孔が透視できない。
- b 腹壁の緑変が始まる。
- c 関節の硬直が高度である。
- d 体温が15℃に下がっている。
- e 体位を変えると死斑が容易に転移する。
[正答]
※国試ナビ4※ [104G013]←[国試_104]→[104G015]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [102E007]←[国試_102]→[102E009]
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[正答]
※国試ナビ4※ [104B009]←[国試_104]→[104B011]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [105E009]←[国試_105]→[105E011]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [096G073]←[国試_096]→[096G075]
[★]
[正答]
[★]
- 英
- criteria of brain death diagnosis
- 関
- 脳死、個体死、臓器の移植に関する法律
法に規定する脳死判定を行ったとしたならば、脳死とされうる状態
- 参考2,3 臓器の移植に関する法律施行規則
- 器質的脳障害により深昏睡、及び自発呼吸を消失した状態と認められ、かつ器質的脳障害の原疾患が確実に診断されていて、原疾患に対して行い得るすべての適切な治療を行った場合であっても回復の可能性がないと認められる者。
- ただし、下記1)-4)は除外する。
- 1) 生後12週(在胎週数が40週未満であった者にあっては、出産予定日から起算して12週)未満の者
- 2) 急性薬物中毒により深昏睡、及び自発呼吸を消失した状態にあると認められる者
- 3) 直腸温が32.0℃未満(6歳未満の者にあっては、35.0℃未満)の状態にある者
- 4) 代謝性障害、または内分泌性障害により深昏睡、及び自発呼吸を消失した状態にあると認められる者
- ①深昏睡
- ②瞳孔が固定し、瞳孔径が左右とも4ミリメートル以上であること
- ③脳幹反射(対光反射、角膜反射、毛様脊髄反射、眼球頭反射、前庭反射、咽頭反射、及び咳反射)
- の消失
- ④平坦脳波
- 「脳死とされうる状態」と判断されたならば、家族への臓器移植という選択肢の提示・承諾、臓器移植コーディネーターから家族への説明を経て、法的脳死判定が2回行われる。
法的脳死判定の資格
- 参考3
- 4つの条件からなる。
- 脳死判定は、(1)脳神経外科医、神経内科医、救急医、麻酔・蘇生科・集中治療医又は小児科医であって、(2)それぞれの学会専門医又は学会認定医の資格を持ち、かつ(3)脳死判定に関して豊富な経験を有し、しかも(4)臓器移植にかかわらない医師が2名以上で行うこと。
脳死判定基準
- ↑これが法的脳死判定の基準
- (1) deep coma, (2) mydriasis, (3) loss of brain stem reflex, (4) flat EEG, (5) loss of spontaneous breathing
- 参考1を改変
法的脳死判定の項目
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具体的検査方法
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脳内の検査部位と結果
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参考
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1.深い昏睡
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顔面への疼痛刺激(ピンで刺激を与えるか、まゆげの下あたりを強く押す)
|
脳幹(三叉神経):痛みに対して反応しない 大脳:痛みを感じない
|
まゆ毛の下には三叉神経が通っていて、強く押すとかなり痛みます。 JCS=300, GCS=E1V1M1
|
2.瞳孔の散大と固定
|
瞳孔に光をあてて観察
|
脳幹:瞳孔が直径4mm以上で、外からの刺激に変化がない
|
正常時には、瞳孔は副交感神経と交感神経のバランス調整によって大きくなったり、小さくなったりします。
|
3.脳幹反射の消失
|
のどの刺激(気管内チューブにカテーテルを入れる
|
咳こまない=咳反射がない
|
脳幹に存在する第2~第12脳神経全てをチェックできます。 (第1脳神経は嗅神経で脳幹にはありません) 咳反射、角膜反射、前庭反射、対光反応、咽頭反射、眼球頭反射、毛様脊髄反射 ※ 自発運動、除脳硬直、除皮質硬直、痙攣があれば除外
|
角膜を綿で刺激
|
まばたきしない=角膜反射がない
|
耳の中に冷たい水を入れる
|
眼が動かない=前庭反射がない
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瞳孔に光をあてる
|
瞳孔が小さくならない=対光反応がない
|
のどの奥を刺激する
|
吐き出すような反応がない=咽頭反射がない
|
顔を左右に振る
|
眼球が動かない=眼球頭反射がない(人形の目現象)
|
痛みを与える
|
瞳孔が大きくならない=毛様脊髄反射がない
|
4.平坦な脳波
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脳波の検出
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大脳:機能を電気的に最も精度高く測定して脳波が検出されない
|
正常時には神経細胞の情報伝達は電位の変化(脳波)によって表される
|
5.自発呼吸の停止
|
無呼吸テスト (人工呼吸器をはずして一定時間経過観察)
|
脳幹:(呼吸中枢):自力で呼吸できない
|
正常時には、脳幹が呼吸や血圧の調整を行っています。
|
6.6時間以上経過した後の 同じ一連の検査 (2回目)
|
上記5種類の検査
|
状態が変化せず不可逆的(二度と戻らない状態)であることの確認
|
絶対に過誤をおこさない為の確認です
|
脳死判定基準(1985年 厚生省脳死に関する研究班(竹内基準))
- 1) 深昏睡
- 2) 自発呼吸の消失
- 3) 瞳孔の固定ならびに散大
- 4) 脳幹反射の消失
- 5) 1) -4) がすべてそろった場合に、正しい技術基準を守り、脳波が平坦であることを確認
- 6) 以上の各条件がすべてそろった後、 6時間が経過をみて変化がないことを確認(二次性脳障害、 6歳以下の小児はそれ以上観察する)
- 以上を充足した場合
脳死判定の除外
- 参考2
- 改正臓器移植法の施行に際してはガイドライン等の規定により、以下のような状況では法的脳死判定から除外される。
- 1)急性薬物中毒:中枢神経作用薬(静脈麻酔薬、鎮静薬、鎮痛薬、向精神薬、抗てんかん薬)、筋弛続薬
- 2) 代謝・内分泌障害:肝性昏睡、糖尿病性昏睡、尿毒症性脳症、その他
- (2)知的障害者等の臓器提供に関する有効な意思表示が困難となる障害を有する者
- (3)被虐待児、または虐待が疑われる18歳未満の児童
- (4)年齢科目応の血圧(収縮期血圧)
- 1歳未満 : < 65mmHg
- 1歳以上13歳未満 : < (年齢×2) + 65mmHg
- 13歳以上 : < 90mmHg
- 6歳未満 :< 35.0℃
- 6歳以上 :< 32.0℃
参考
- http://www.jotnw.or.jp/studying/09.html
- 2. 法的脳死判定マニュアル - 日本臓器移植ネットワーク 平成22年度
- http://www.jotnw.or.jp/jotnw/law_manual/pdf/noushi-hantei.pdf
- 3. 「臓器の移植に関する法律」の運用に関する指針(ガイドライン)平成23年10月 1日一部改正
- http://www.jotnw.or.jp/jotnw/pdf/pdf12.pdf
国試
[★]
- ☆case75 自宅での意識消失
- ■症例
- 21歳 男性
- 主訴:意識消失
- 現病歴:男性のアパートで意識を失っている所を彼女に発見され、午後5時に搬送された。彼女が最後に彼に会ったのは午後8時で、クリスマスの買い物をして帰宅した時であった。翌日午後、彼女が彼に会いに行った所、彼がお風呂の床で意識を失っているのを見つけた。彼女によれば、前日変わった様子(unusal mood)はなかった。彼は心理学の期末試験が1週間に迫っておりこのことを心配していたが、勉強はうまくいっているようだった。また以前の試験に問題はなかった。
- 喫煙歴:なし。
- 飲酒歴:機会飲酒 10 units/week(1週間に350mlビール6本弱)
- 既往歴:なし
- 家族歴:父と2人の兄弟のうち1人が糖尿病
- 服薬歴:以前、エクスタシー錠剤を服用していたが、静脈注射の薬はやったことがない。
- 身体所見 examination
- 顔貌 青白。注射痕は認められない。脈拍 92/分、血圧 114/74 mmHg、呼吸数 22/分。心血管系、呼吸器系に異常を認めず。神経系 命令に従わないが、痛みに反応して適切に手を引っ込める(GCS M4)。腱反射(+)・対称性、足底反射(-)。瞳孔散大、対光反射(+)。眼底 視神経円板腫脹
- ■鑑別診断をあげるためのkeyword(司会者用)
- ・24時間以内に来した意識消失、糖尿病の家族歴、冬、風呂、精神疾患リスク(試験で悩んでいる。薬物の服用歴)、顔色、脈拍、血圧、呼吸数、腱反射、病的反射、瞳孔、眼底(司会者用)
- ■keywordからどういう疾患を考えるか?
- 真っ先にあげたいもの
- ・二次的な脳圧亢進
- ・糖尿病
- ・薬物中毒、中毒物質の摂取・吸引
- ・神経疾患(てんかんなど)の発作
- ・24時間以内に来した意識消失
- ・クモ膜下出血:局所神経症状、硝子体下出血(subhyaloid hemorrhage)。
- ・糖尿病の家族歴
- ・低血糖発作
- 低血糖による昏睡は早いが糖尿病の新規症状として起こらない。まれにインスリノーマによる低血糖による昏睡があり得る。
- ・糖尿病性ケトアシドーシス diabetic ketoacidosis DKA
- 極度のインスリン欠乏とコルチゾールやアドレナリンなどインスリン拮抗ホルモンの増加により、(1)高血糖(≧250mg/dl)、(2)高ケトン血症(β-ヒドロキシ酪酸の増加)、アシドーシス(pH7.3未満)をきたした状態。(糖尿病治療ガイド 2008-2009 p.66)
- ・高浸透圧性非ケトン性昏睡 nonketotic hyperosmolar coma
- DM type 2
- 50歳以上に好発し、インスリン非依存性糖尿病*患者が腎不全や中枢神経障害、悪性腫瘍、消化器疾患、呼吸器感染などを合併するときに多くみられ、ステロイドや利尿薬の投与、輸液や高カロリー補給、人工透析などの際に医原性に起きやすい。
- 高血糖性の昏睡は発症が早くない。その前に口渇や多尿があるはず。
- → 否定するための検査 → 血糖測定
- ・風呂
- ・脳出血
- ・冬だし、風呂(脱衣所のことか)にガスヒーターがあったら疑わしい。
- ・精神疾患リスク(試験で悩んでいる。薬物の服用歴)
- (最も多いのが)薬物中毒(鎮静薬、アスピリン、アセトアミノフェン)
- (意識障害で運ばれてきたときに考えるべきなのが)一酸化中毒
- 一酸化中毒の場合の顔色は蒼白(cherry-red colorと言われてきたが)。眼底所見:(severe CO中毒で)乳頭浮腫
- ・顔色
- ・脈拍、血圧、呼吸数
- ・腱反射、病的反射
- 腱反射が亢進していたら、上位運動ニューロンの障害を考慮する。腱反射亢進と意識障害が共存していれば、障害部位は脊髄の伝導路ではなくむしろ脳幹・大脳皮質に障害があると考えることができる。
- ・瞳孔
- 瞳孔が散大していれば交感神経興奮、副交感神経の麻痺:フェニレフリン・エピネフリン・コカインなど交感神経刺激、動眼神経麻痺、脳死の徴候
- 瞳孔が縮瞳していれば副交感神経興奮、オピオイド受容体への刺激:麻薬中毒、有機リン中毒、橋出血、脳幹部梗塞(脳底動脈閉塞症など)
- ・眼底 (IMD.71)
- 視神経円板(=視神経乳頭)の腫脹は乳頭浮腫(papilledema, DIF.342)を反映。乳頭浮腫の発生機序は軸索輸送障害や静脈還流うっ滞である。原因として頭蓋内疾患が最も多い。頭蓋外の疾患(高血圧、視神経炎、偽性脳腫瘍)。
- 乳頭浮腫 papilledema DIF.243
- V 動静脈奇形、高血圧による脳血圧脳症・頭蓋内出血、クモ膜下出血、硬膜下血腫
- I 脳膿瘍、慢性経過の髄膜炎(細菌性×)、敗血症による血栓や静脈洞血栓
- N 脳腫瘍
- D -
- C 動静脈奇形、水頭症、頭蓋奇形(尖頭症などによる)、血友病、時にSchilder disease
- A ループス脳炎、動脈周囲炎
- T 急性期の硬膜外血腫や硬膜下血腫ではない。慢性硬膜下血腫ならありうる。
- E 褐色細胞腫による悪性高血圧、偽性脳腫瘍(=特発性頭蓋内圧亢進症)(肥満・無月経・感情障害(emotionally disturbed)をきたした女性に多い)
- ■問題
- 症例だけでは絞れないので、最も疑われる疾患をあげ、鑑別診断を列挙し、検査、治療を考えていくことにします。
- ■一酸化炭素中毒
- ■オチ
- 血中carboxyhemoglobinを測定したところ32%。高レベルの酸素投与でゆっくりだが、48時間で完全に回復。脳浮腫にたいするマンニトールや高圧酸素療法も考慮する。問題は4年間点検されていないガス温水器の不完全燃焼だったとさ。
- ■KEY POINTS
- ・薬物中毒は若い人の意識消失の最も一般的な原因だけど、他の診断もいつも考慮しておく。
- ・一酸化炭素ヘモグロビンレベルは屋内や車内、あるいはよく分からない煙に暴露した意識消失患者で測るべき
- ・一酸化中毒による重度の低酸素血症ではチアノーゼを欠く。
- ■initial plan(救急だからのんびりやってられないだろうけど)
- A.
- 1. 呼吸器系、循環器系の安定を確認
- 2. 血液ガス検査
- 3. 血液生化学(電解質(Na,Ca)、血糖)
- □ビール1本 = 350ml アルコール5%: 350 (ml/本) x 0.05 / 10 (ml/unit) =1.75 (unit/本)
- ■参考文献
- DIF Differential Diagnosis in Primary Care Fourth Edition版 Lippincott Williams & Wilkins
[★]
- ☆case14 複視
- ■glossary
- diplopia n. 複視
- 筋力低下、筋無力、筋脱力 muscle weakness, muscular weakness
- sunken
- vt. sinkのpp.
- adj.
- 沈没した、沈んだ、水中の
- 沈下した、一段低いところにある
- 落ち込んだ、くぼんだ
- 3,4-ジアミノピリジン 3,4-diaminopyridine 3,4-DAP K+チャネル阻害薬;ランバート・イートン筋無力症治療
- ■症例
- 43-year-old woman
- cheif complaint: diplopia
- present history: diplopia and holding her head up ; more marked in the evenings, for the last 3 months. difficulty of chewing. voice has become quieter. weight loss (3kg / 6months). non-smoker. drinks about 15 units/week. no regular medication.
- past history: no significant previous medical illnesses.
- family history: lives with her husband and three children.
- ・診察 examination
- looks well.
- organ systems: normal; cardiovascular, respiratory, and abdominal systems.
- muscle power; grossly normal. decrease after testing a movement repetitively.
- motor function: normal; tone, coordination, reflexes and sensation.
- bilateral ptosis. exacerbated by prolonged upward gaze
- eye: normal; pupillary reflexes, eye movements, and funduscopy
- ■答え
- diagnosis: myathenia gravis
- differential diagnoses:
- CASES
- 上位and/or下位運動ニューロン motor neurone disease 運動ニューロン疾患:線維束性攣縮。進行例では筋力低下
- 筋 muscular dystrophy 筋ジストロフィー:ある種の筋肉が選択的に筋力低下する。家族歴がある。
- 筋 dystrophia myotonica 強直性筋ジストロフィー:咬筋、側頭筋、胸鎖乳突筋の筋萎縮、四肢遠位端の筋萎縮。顔貌が特徴的(前頭部脱毛、無表情、窪んだ頬)。家族歴ある。筋電図が診断に有用(急降下爆撃音)。
- 筋 polymyositis 多発筋炎:普通は皮疹と関節痛が出現。CKが上昇。筋生検が診断に有用
- 筋 myopathy ミオパチー:甲状腺中毒性ミオパチー、甲状腺機能低下症によるミオパチー、クッシング症候群によるミオパチー、アルコール性のミオパチー
- 神経筋接合部? non-metastatic associations of malignancy (paraneoplastic syndrome(傍腫瘍性症候群 = 腫瘍随伴症候群)のこと):胸腺腫の症例の10%に重症筋無力症がみられる。ランバート・イートン筋無力症症候群は小細胞癌と関連がある。
- HIM.2674
- Treatment with penicillamine (used for scleroderma or rheumatoid arthritis) may result in true autoimmune MG, but the weakness is usually mild, and recovery occurs within weeks or months after discontinuing its use.
- 重症筋無力症の誘発:ペニシラミン(強皮症や関節リウマチの治療に用いられる)。
- mildだし、薬剤の中断で改善する。
- Aminoglycoside antibiotics or procainamide can cause exacerbation of weakness in myasthenic patients; very large doses can cause neuromuscular weakness in normal individuals.
- 重症筋無力症の悪化:アミドグリコシド系抗菌薬、プロカインアミド
- MGの患者の筋脱力が悪化する。
- ■参考文献
- HIM = Harrison's Principles of Internal Medicine 17th Edition
- CASES = 100 Cases in Clinical Medicine Second edition
- IMD = 内科診断学第2版
[★]
- 英
- cerebral hemorrhage
- 関
- 脳内出血
概念
- 頭蓋内の出血は総称して一般的に脳出血または脳溢血と呼ばれる。脳出血は脳内への出血と脳周囲への出血に分類される。医学的には狭義での脳内出血のみを指すことが多い。
疫学
部位別頻度
- 被殻出血:40%、視床出血:30%、大脳皮質下出血:10%、小脳出血:10%、橋出血:10%
リスクファクター
- IMD.1027
分類
部位による
YN.J-87 SQ.518
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被殻出血
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視床出血
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橋出血
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小脳出血
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皮質下出血
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割合(%)
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40
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30
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10
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10
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10
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意識障害
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{+}
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{+}
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{++}
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{±}
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嘔吐
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{+}
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{+}
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{++}
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{+++}
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頭痛
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{±}
|
{±}
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{-}
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{+++}
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運動障害
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対側
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対側
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四肢麻痺
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運動失調
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感覚障害
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対{+}
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対{++}
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{±}
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{-}
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共同偏視
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病側
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内下方
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正中
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健側
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瞳孔
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{±}
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縮瞳
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縮瞳
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{±}
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瞳孔反射
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○
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時に×
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○
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○
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外科的治療
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血腫除去術
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×
|
×
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血腫除去術
|
血腫除去術
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症候
- 前駆症状無く、日中の活動時や食事中に突然発症する。
- 頭痛や嘔吐を伴い、半数の症例では意識障害を伴う。
- 脳局所症状は数分から数時間のうちに完成する。
検査
- T1:
- T2:
- 拡散強調画像:(出血直後は多分低信号で、血腫を作れば明らかな)高信号
治療
脳出血に共通
参考
- http://www.jsts.gr.jp/jss08.html
国試
[★]
- 英
- Argyll-Robertson pupil, Argyll Robertson pupil
- 同
- アーガイルロバートソン瞳孔 Argyll-Robertson瞳孔、反射性瞳孔強直 ridigitas pupillae reflectoria、アーガイル・ロバートソン徴候 Argyll-Robertson徴候
- 関
- 梅毒、神経梅毒、瞳孔。対光近見反射解離
対光反射 × 、 輻輳反射 ○ 、 縮瞳
概念
- 神経梅毒による瞳孔調節異常として報告された。以下のような眼徴候を呈する。
眼徴候
- 1. 直接対光反応・間接対光反応の欠如
- 2. 迅速な輻湊反応
- 3. 縮瞳
病因
- 中脳を障害するような疾患 (BET.206)。中脳視蓋前域から動眼神経自律神経核の末梢までの障害(医学事典)。
対光反射
- 網膜 → 視神経 → 視交叉 → 視索 → 上丘腕 → 視索前域 → E-W核 → 動眼神経 → 毛様体神経節 →
近見反射
- 後頭葉視覚中枢 → 前頭葉眼領域 → 内包 → 脳脚 → 中脳 → E-W核 → 動眼神経 → 毛様体神経節 →
<youtube>http://www.youtube.com/watch?v=C6vm7LOFrmI</youtube>
[★]
- 英
- pupillary paralysis, iridoplegia, pupillary rigidity
- ラ
- rigiditas pupillae
- 同
- 瞳孔硬直、硬直性瞳孔
- 光や輻輳に対する瞳孔反応の欠如。対光反射の欠如は対光反射の遠心路の障害で見られる。
[★]
- 英
- tonic pupil
- 関
- 瞳孔緊張症、アディー瞳孔、アディー症候群
[★]
- 英
- Gunn pupil
- 関
- マーカス・ガン瞳孔
[★]
- ラ
- occlusio pupillae
- 関
- 虹彩後癒着
[★]
マーカス・ガン瞳孔