- 英
- pheochromocytoma PC, phaeochromocytoma
- 同
- クロム親和細胞腫 chromaffin cell tumor chromaffinoma
- 関
- 副腎外褐色細胞腫、傍神経節腫 paraganglioma。アドレナリン受容体
概念
- 副腎髄質や傍神経節などのクロム親和性細胞から発生する腫瘍。
- カテコールアミン分泌する
病型
- 臨床像:発作型・持続型
- 腫瘍発生様式:散発性、家族性(10%) : :*家族性発生のものはMEN2の可能性あり。
- 発生部位:副腎原発(90%)(片側性、両側性(10%))、副腎外発生(10%)
- 腫瘍の数:単発性、多発性(10%)
- 腫瘍の正常:良性、悪性(10%)
病因
- 10% disease
- embfc ← なんか適当な語呂にして
- extraadrenal:副腎外10%
- malignancy:悪性10%
- bilateral:両側10%
- familial:家族性10%
- child:小児10%
疫学
遺伝形式
原因となる遺伝子
Location
|
Phenotype
|
Phenotype
|
Gene/Locus
|
Gene/Locus
|
MIM number
|
MIM number
|
1p36.22
|
Pheochromocytoma
|
171300
|
KIF1B
|
605995
|
1p36.13
|
Pheochromocytoma
|
171300
|
SDHB
|
185470
|
2q11.2
|
{Pheochromocytoma, susceptibility to}
|
171300
|
TMEM127
|
613403
|
3p25.3
|
Pheochromocytoma
|
171300
|
VHL
|
608537
|
5p13.2
|
{Pheochromocytoma, modifier of}
|
171300
|
GDNF
|
600837
|
10q11.21
|
Pheochromocytoma
|
171300
|
RET
|
164761
|
11q23.1
|
Pheochromocytoma
|
171300
|
SDHD
|
602690
|
14q23.3
|
{Pheochromocytoma, susceptibility to}
|
171300
|
MAX
|
154950
|
病態生理
- 起立性低血圧:慢性的な血管収縮により体液が減少して生じやすくなる。また、慢性的なカテコラミン過剰により自律神経の血圧調節能力低下。
病理
- 悪性褐色細胞腫ではコハク酸脱水素酵素サブユニットB(SDHB)遺伝子に変異が存在するものがある。
症状
- カテコールアミンの過剰分泌による症状
- 高血圧、頭痛、発汗、動悸・頻脈、高血糖 → 5H
- 起立性低血圧、起立性めまい、蒼白、不安・神経過敏、体重減少
- YN.D-69
- HT,HM,HG,Hhidr,Head
高血圧
- α1作用により末梢血管収縮。
- β1作用によりレニン分泌
代謝亢進
高血糖
- α2作用:インスリン分泌抑制
- β2作用:肝臓によるグリコーゲン分解
頭痛
発汗
- 代謝亢進による体温上昇に対して発汗により体温の上昇を補償することがメカニズムと思われる。
- 甲状腺機能亢進症と同じメカニズムに基づく。さらに、脱共役蛋白質の活性化によるものと思う(成長ホルモン#)。
検査
- MRI:病変はT2 high
- CT:出血・壊死部位は低吸収
- シンチ:副腎シンチグラム:131I-MIBGの取り込みを見る。
検査禁忌
- 副腎静脈造影、副腎静脈サンプリング ← 褐色細胞腫の場合に高血圧クリーゼの恐れ
診断
治療
- 薬物療法と手術療法がある。
薬物療法
手術療法
- αブロッカー(プラゾシン)とβブロッカーを併用、あるいはαβ遮断薬(ラベタロール)を使用し血圧を安定させてから手術を行う。手術は静脈結紮を先に行いカテコラミンの体循環への流入を防ぐ。
- 腹腔鏡下副腎摘除術
禁忌となる薬物
- グルカゴン:以下のような目的でグルカゴンが用いられるが、褐色細胞腫の患者においては「カテコールアミンの遊離を刺激して、急激な血圧の上昇を招くおそれがあ」ため、禁忌
- 成長ホルモン分泌能検査、インスリノーマの診断、肝糖原検査、低血糖時の救急処置、消化管のX線および内視鏡検査の前処置
- β受容体遮断薬:α受容体遮断薬と併用することなしに単独で用いるのは禁忌。α受容体の血管収縮作用を相対的に増強させるため、逆に血圧が上昇してしまう危険がある。(QB.D-289)
参考
- 1. PHEOCHROMOCYTOMA - OMIM
- http://omim.org/entry/171300
国試
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/05/18 15:48:40」(JST)
[Wiki ja表示]
褐色細胞腫のデータ |
ICD-10 |
C74.1 副腎髄質の悪性褐色細胞腫
D35.0 副腎の良性褐色細胞腫
D44.7 異所性褐色細胞腫
|
統計 |
|
世界の患者数 |
|
日本の患者数 |
|
学会 |
日本 |
|
世界 |
|
この記事はウィキプロジェクトの雛形を用いています |
褐色細胞腫 |
分類及び外部参照情報 |
褐色細胞腫
|
ICD-10 |
C74.1 |
ICD-9 |
255.6 |
ICD-O: |
M8700/0 |
OMIM |
171300 |
DiseasesDB |
9912 |
MedlinePlus |
000340 |
eMedicine |
med/1816 radio/552 ped/1788 |
MeSH |
D010673 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
褐色細胞腫(かっしょくさいぼうしゅ、Pheochromocytoma)は腫瘍組織型の1つで、副腎髄質や傍神経節から発生するカテコールアミン産生腫瘍。統計的理由から俗に10%病とも言い、症状から俗に5H病とも言う。
目次
- 1 定義(概念)
- 2 病態
- 3 分類
- 4 原因
- 5 統計
- 6 症状
- 7 検査
- 7.1 血液検査
- 7.2 尿一般検査
- 7.3 機能検査
- 7.4 部位検査
- 8 診断
- 9 治療
- 10 予後
- 11 診療科
|
定義(概念) [編集]
副腎髄質や傍神経節に発生するカテコールアミン産生腫瘍である。クロム親和性細胞から発生する。代表的な治療可能な二次性高血圧の1つ。
病態 [編集]
腫瘍細胞でカテコールアミンが産生され、過剰になることで各種症状が発症する。
分類 [編集]
- 副腎髄質の悪性褐色細胞腫
- 副腎の良性褐色細胞腫
- 異所性褐色細胞腫
原因 [編集]
家族内発症では、RET癌遺伝子やVHL癌抑制遺伝子に突然変異が見られるものがある。弧発性の褐色細胞腫においても最近遺伝子異常(RET,VHL,SDH,etc)が報告されている。特に悪性褐色細胞腫においては、高率にSDHB遺伝子の変異が認められる。それ以外の症例は原因不明である。
統計 [編集]
- 副腎外発生が約10%
- 両側性発生が約10%
- 悪性腫瘍が約10%
- 家族内発生が約10%
- 小児発生が約10%
症状 [編集]
- 高血圧(Hypertension)
- 代謝亢進(Hypermetabolism)
- 高血糖(Hyperglycemia)
- 頭痛(Headache)
- 発汗過多(Hyperhydrosis)
- 等がある。頭文字を取って俗に5H病とも言う。
- ちなみに最初の3つは、「Howardの3徴」ともいう。
- また差迫った死の恐怖を感じ急激な精神的変調をきたすなど心身両面に症状が出るのが特徴。
- 他に突発的な動悸や吐き気などがある。パニック障害の症状と似ている為内分泌専門医の受診が好ましい。
検査 [編集]
血液検査 [編集]
- ノルアドレナリン、アドレナリン
- 高カテコールアミン血症の検査
尿一般検査 [編集]
- アドレナリン、ノルアドレナリン
- 血中カテコールアミンから漏れ出した尿中濃度高値の証明
- メタネフリン、ノルメタネフリン、バニリルマンデル酸(VMA)
- メタネフリンはアドレナリンの代謝産物であり、ノルメタネフリンはノルアドレナリンの代謝産物であり、バニリルマンデル酸はメタネフリンやノルメタネフリンの代謝産物である。
機能検査 [編集]
- クロニジン試験
- クロニジン試験とは、α2受容体刺激薬クロニジンを投与してノルアドレナリン分泌を抑制する試験。
- 目的
- 本態性高血圧と本症を鑑別する事。
- 原理
- 正常であれば、α2受容体は末梢交感神経を抑制してカテコールアミンの分泌を抑制する。従って、クロニジンを投与して強制的にα受容体を刺激すれば、正常であれば血中カテコールアミンは低下する。
- 方法
- クロニジンを投与して血中カテコールアミンの濃度を測定する
- 判定
カテコールアミン |
判定 |
低下していない |
本症 |
低下している |
本態性高血圧 |
部位検査 [編集]
- CT/MRI: 比較的大きな腫瘍であることが多い。MRIのT2強調画像にて高信号を呈するのが特徴的。内部は均一のこともあるが、出血や壊死により不均一であることが多い。
- 131I-metaiodobenzylguanidineシンチグラフィ(131I-MIBGシンチグラフィ)
- 131I-MIBGシンチグラフィ(よーどひゃくさんじゅういちえむあいびーじーしんちぐらふぃ)とは、131Iで放射線標識したMIBGを用いたシンチグラフィ。I-123に比べ分解能が低く、SPECTも撮れないため、心臓病名で123I-MIBGシンチグラフィ(腹部SPECTも)を撮る方が勧められる(I-131での転移リンパ節見落とし例あり)
- 目的
- 副腎外原発巣や転移巣の場所を調べること。
- 原理
- アドレナリンを分泌する本腫瘍細胞は、アドレナリンの原料としてノルアドレナリンを取り込んでいる。そこでノルアドレナリンと分子構造が似ているMIBGを投与すると、MIBGが本腫瘍細胞に取り込まれて蓄積する。
- 方法
- 甲状腺に131Iが集まらないように、検査前数日前からヨードを内服する。
- 判定
- 副腎外に陽性 (hot spot) 描出される。
- PET:MIBGで取り込みがなくともPETで陽性となることもある。転移巣の検索に有用。
診断 [編集]
- スクリーニングとしては随時尿中メタネフリン、尿中ノルメタネフリンを測定し、尿中クレアチニンで補正する。正常上限の3倍異常、またはメタネフリンとノルメタネフリンの和が1を超えたら精密検査を行う。
- 尿中バニリルマンデル酸の濃度高値。
- 蓄尿し24時間尿中メタネフリン、ノルメタネフリン、クロニジン試験を行う。
治療 [編集]
- 腫瘍摘出術が第一選択。開腹手術をすることが一般的だが、コントロールが良好で悪性腫瘍の疑いがない場合は腹腔鏡下での摘出も行われる。
- 術前に十分量のα1遮断薬やβ遮断薬を投与し、血圧コントロールを行う。α1遮断薬を投与して血管拡張させ、不整脈や頻脈が生じたらβ遮断薬を投与する。β遮断薬の単独投与は血圧上昇を招くため禁忌。
- 術中は血圧や脈拍、血糖をモニターする必要があるほか、循環血液量が減少しているため十分な輸液を行う。高血圧クリーゼを起こした場合はフェントラミンを静注する。
- 術後はカテコールアミンの分泌量が急激に低下するために急激に低血圧になることがある。そのときはノルアドレナリンを投与して是正する。
- 悪性褐色細胞腫の場合は、転移があり根治手術は望めない。手術により出来るだけ腫瘍を取り除き、抗癌薬による化学療法、動脈塞栓療法、放射線療法(MIBG内照射療法)などにより、高カテコールアミン血症の抑制をめざす。
予後 [編集]
早期診断早期治療がなされれば根治が見込める。治療が遅れると悪性高血圧を呈し、各種合併症が生じる可能性がある。悪性腫瘍例では再発や転移を起こすため予後不良。
診療科 [編集]
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- MIBGシンチグラフィが陰性であった褐色細胞腫の1例
- 症例 血中,尿中カテコラミン増加を認めずかつ無症候性の覆面型両側性褐色細胞腫
- 多発性内分泌腺腫瘍症の検査・診断と治療 MEN2 (内分泌腺腫瘍--基礎・臨床研究のアップデート) -- (多発性内分泌腺腫瘍症(MEN))
Related Links
- 褐色細胞腫(かっしょくさいぼうしゅ、Pheochromocytoma)は腫瘍組織型の1つで、副腎 髄質や傍神経節から発生するカテコールアミン産生腫瘍。統計的理由から俗に10%病とも 言い、症状から俗に5H病とも言う。 ...
- 褐色細胞腫は副腎や副腎以外のクロム親和性細胞で増殖します。副腎内で増殖する褐色 細胞腫では癌性のものは5%だけですが、副腎以外の褐色細胞腫ではこれよりも癌性の 頻度は高くなります。褐色細胞腫は男女とも、いずれの年代でも起こりますが、30?60歳 ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 2歳の女児。4日前から続く微熱のため母親に連れられて来院した。既往歴に特記すべきことはない。在胎 39週、出生体重 2,602gで出生した。身長 82cm、体重 9.3kg。体温 37.8℃。脈拍 112/分、整。血圧 88/48mmHg。呼吸数 24/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸部リンパ節を触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。左上腹部に表面平滑で境界明瞭、可動性のない径8cmの腫瘤を触知するが圧痛はない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)、沈渣に白血球を認めない。血液所見:赤血球 428万、Hb 11.1g/dL、Ht 34%、白血球 12,600、血小板 58万。血液生化学所見:総蛋白 7.6g/dL、総ビリルビン 0.2mg/dL、AST 35U/L、ALT 9U/L、LD 589U/L(基準 334~742)、尿素窒素7mg/dL、クレアチニン 0.2mg/dL、尿酸 2.7mg/dL、Na 141mEq/L、K 3.9mEq/L、Cl 104mEq/L。免疫血清学所見:CRP 3.4mg/dL、NSE 169ng/mL(基準 10以下)、α-フェトプロテイン(AFP) 2.5ng/mL(基準 10以下)、尿中バニリルマンデル酸(VMA) 96μg/mgCr(基準 6~11)。腹部単純CT(別冊No. 3A)と胸腹部造影CT(別冊No. 3B)とを別に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112D015]←[国試_112]→[112D017]
[★]
- 32歳の女性。発作性の頭痛と動悸とを主訴に来院した。1年前の健康診断で高血圧を指摘されたため、毎朝、血圧測定をしている。通常120/80mmHg前後であるが、症状出現時には収縮期血圧が200mmHgのこともある。意識は清明。身長155cm、体重46kg。脈拍76/分、整。血圧138/74mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球410万、Hb14.0g/dl、白血球7,800。血清生化学所見:尿素窒素18mg/dl、クレアチニン0.9mg/dl、TSH3.2μU/ml(基準0.2~4.0)、アルドステロン6ng/dl(基準5~10)、血漿レニン活性2.0ng/ml/時間(基準1.2~2.5)、アドレナリン120pg/ml(基準100以下)、ノルアドレナリン1,200pg/ml(基準100~450)。尿中VMA9mg/日(基準1.3~5.1)。
- 検査として適切でないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101A021]←[国試_101]→[101A023]
[★]
- 44歳の女性。2年前から手指のしびれ感と下肢の麻痺症状とが出現し、階段の昇降ができなくなり来院した。常用薬はない。身長160cm、体重48kg。脈拍76/分、整。血圧162/92mmHg。頸部に甲状腺を触知しない。両下肢に筋力低下を認める。尿所見:蛋白1+、糖(-)。血液所見:赤血球400万、Hb13.7g/dl、Ht39%、白血球4,200。血清生化学所見:総蛋白5.9g/dl、アルブミン3.9g/dl、総コレステロール167mg/dl、尿素窒素10.1mg/dl、クレアチニン0.4mg/dl、尿酸7.4mg/dl、Na143mEq/l、K2.7mEq/l、アルドステロン28.6ng/dl(基準5~10)、血漿レニン活性0.2ng/ml/時間(基準1.2~2.5)。
[正答]
※国試ナビ4※ [100F055]←[国試_100]→[100F057]
[★]
- 39歳の男性。健診で高血圧を指摘され、精査を希望して来院した。常用薬はない。
- 身長174cm、体重86kg。脈拍72/分、整。血圧170/98mmHg。腹部に血管雑音を聴取しない。
- 血清生化学所見:空腹時血糖80mg/dl、総蛋白7.5g/dl、アルブミン5.0g/dl、尿素窒素10mg/dl、クレアチニン0.9mg/dl、総コレステロール240mg/dl、Na144mEq/l、K3.0mEq/l、Cl102mEq/l。血漿レニン活性0.1ng/ml/時(基準1.2~2.5)。
- 動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH7.52、PaO2 90Torr、PaCO2 43Torr、HCO3- 34.0mEq/l。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [099F017]←[国試_099]→[099F019]
[★]
- 48歳の男性。動悸、頭痛および発汗を主訴に来院した。1年前の健康診断で高血圧を指摘されたが、放置していた。身長168cm、体重69kg。体温36.8℃。脈拍88/分、整。血圧168/104mmHg。血液生化学所見:Na 142mEq/l、K 4.5mEq/l、尿中アドレナリン 102μg/日(基準1-23)。腹部単純CTで副腎部に4×6cmの腫瘤を認める。
[正答]
※国試ナビ4※ [104A043]←[国試_104]→[104A045]
[★]
- 57歳の女性。3年前から糖尿病と胆石症とを指摘されている。胆石症の経過観察として外来で行われていた腹部超音波検査中に突然強い頭痛と動悸とを訴え苦しがり始めた。意識は清明。脈拍120/分、整。血圧240/160mmHg。呼吸数20/分。著明な発汗と四肢末<の冷感とを認める。治療によって症状が安定した後に実施した腹部造影CT(別冊No.14)を別に示す。
- 考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107D032]←[国試_107]→[107D034]
[★]
- 45歳の男性。意識消失発作を主訴に家人に連れられて来院した。
- 今朝、冷汗とふるえとが現れて覚醒し、つじつまの合わないことを言った。来院時緊急血液検査で血糖値が35mg/dlであったため、すぐにブドウ糖を静注したところ意識レベルは改善した。今年になってこのような意識消失発作を数回繰り返しているという。
- 考えられる疾患はどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [098I020]←[国試_098]→[098I022]
[★]
- 37歳の女性。高カルシウム血症を指摘され、原因精査を希望して来院した。1か月前に尿路結石で治療を受けた。、28歳で下垂体腺腫摘出術を受けた。また、母と姉にも尿路結石の既往がある。血清Ca12.8mg/dl、P2.1mg/dl。血漿副甲状腺ホルモン(PTH)133pg/ml(基準10~60)。この疾患でみられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [096A049]←[国試_096]→[096A051]
[★]
- 37歳の女性。高カルシウム血症を指摘され来院した。5年前に下垂体腺腫摘出術を受けた。1か月前から尿路結石で治療中である。母と姉にも尿路結石の既往がある。血清生化学所見:Ca12.8mg/dl、P2.1mg/dl、PTH133pg/ml(基準10~60)。
- この疾患でみられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101G050]←[国試_101]→[101G052]
[★]
- 疾患と最初に投与すべき薬物の組合せで正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [099E060]←[国試_099]→[099E062]
[★]
- 常染色体優性遺伝多発性嚢胞腎症に合併するのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [102I011]←[国試_102]→[102I013]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [098H046]←[国試_098]→[098H048]
[★]
- 9歳の女児の写真を以下に示す。考えられるのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [102E037]←[国試_102]→[102E039]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [107A014]←[国試_107]→[107A016]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [105A013]←[国試_105]→[105A015]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [108I036]←[国試_108]→[108I038]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [095A076]←[国試_095]→[095A078]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [105G036]←[国試_105]→[105G038]
[★]
- 多発性内分泌腫瘍<MEN>1型にみられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102I025]←[国試_102]→[102I027]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [103A013]←[国試_103]→[103A015]
[★]
- 英
- diabetes mellitus (SP), DM
- 関
- 糖尿病治療薬
- first aid step1 2006 p.first aid step1 2006 p.256,423
定義
- インスリンの不足
病型
- インスリン分泌の低下
- 血中インスリン濃度:低
- 遺伝や生活習慣病に関係なく発症。治療はインスリンの注射
- インスリン受容体や細胞内情報伝達系の質的・量的変化
- 一般に血中インスリン濃度:高
- 肥満、喫煙、運増などが関連
- 中高年に多い
- 運動療法と食事療法
参考1
- NIDDM:インスリン不要
- NIDDM:高血糖是正にインスリン必要
- IDDM:ケトーシス防止や生存にインスリン必要
症状
-
- 血糖値が170-180mg/dl以上で尿糖陽性となる。
- 血糖150mg/dlでも尿糖陽性であれば腎性尿糖が疑われる
- 口渇、多飲、多尿
- ケトーシス、アシドーシス体重減少
合併症
- 多発神経障害(広汎性左右対称性神経障害)
- 単神経障害
- 栄養血管の閉塞による脳神経障害
- 外眼筋(動眼神経、滑車神経、外転神経)麻痺、顔面神経麻痺
医療系の雑誌より(日経カデット11月?)
表5 糖尿病患者にみられる筋骨格系症状を呈する疾患と臨床的特徴
糖尿病との関係
|
疾患
|
臨床的特徴
|
糖尿病が直接病因に関与する疾患
|
糖尿病性手関節症(diabetic cheiroarthropathy)
|
コントロール不良の糖尿病に多い。原因不明の皮膚硬化が徐々に進行し、手指の屈曲拘縮を来し手全体に及び、強皮症と誤診される。手指を合わせることができない(Prayer徴候)。
|
シャルコー関節
|
頻度は低い(1%)が、長期糖尿病コントロール不良患者に多い。通常、足根中足関節などの中足部が多く、足底表面、前足部、中足部に潰瘍形成の合併を認めることがあり、骨髄炎との鑑別が困難な例あり。
|
糖尿病性骨溶解(diabetic osteolysis)
|
原因不明の足趾の末節骨や基節骨の骨吸収が起こリ、足痛の原因となる。X線ではickedcandy変形を呈し、骨髄炎との鑑別が困難。
|
糖尿病性筋梗塞
|
外傷、感染、腫瘍がなく大腿部などに急激に増大する疼痛を伴う腫瘤を認める。生検は出血の危険があるため行わない。通常1~2カ月で自然寛解する
|
糖尿病性筋萎縮症(diabetic amyotrophy)
|
糖尿病性末梢神経障害の一型。大腿前部の痛みで、時に脱力や萎縮が非対称性に起きる。CPKの上昇はなく、脳脊髄液で軽度蛋白上昇以外の有意な所見はない。神経伝導速度.筋電図では神経原性変化を認め、筋生検では炎症細胞浸潤を伴わない筋線経の萎縮あり。
|
直接の関係は不明だが糖尿病患者に頻度が高い疾患
|
癒着性関節包炎(凍結肩または五十肩)
|
糖尿病患者の10-33%にみられる。長期2型糖尿病を有する女性に多く、肩の痛みと可動域障害を呈する。約半数が両側性だが非利き手側で症状が強い。炎症反応やX線異常を認めず、数週~数カ月で自然寛解する。
|
複合性局所疼痛症候群1型(complex regional pain syndrome CRPS)
|
四肢の疼痛、皮膚色変化、皮膚温の変化、浮腫、可動域制限などの症候を呈するまれな症候群。
|
手掌屈筋鍵炎
|
糖尿病患者の5-33%に認められる。長期に罹患した女性に多く、利き手側の母指に頻度(75%)が高いが、どの指にもみられる。
|
Dupuytren拘縮
|
手掌筋膜の短縮と肥厚(有痛性結節)を生じ、第4、5指の屈曲拘縮を呈する。1型糖尿病で長期に罹患した患者に多いが、血糖コントロールとの関係はない。
|
手根管症候群
|
手根管症候群の全患者の最大15%に糖尿病を認める。
|
広汎性特発性骨増殖症(diffuse idiopathic skeletal hyperostosis DISH)
|
2型糖尿病患者の約20%にみられ、50才以上の肥満患者に多い。頭部、腰部のこわばリ、関節の可動域制限を呈する。全身の腱付着部痛を呈することもある。
|
その他
|
感染性関節炎や骨髄炎
|
血糖上昇による免疫力低下が感染症リスクを上昇させることによる
|
診断
血糖値検査による分類
正常 糖尿病型
空腹時血糖値 <110mg/dL ≧126mg/dL
and or
75g OGTT2時間値 <140mg/dL ≧200mg/dL
- 正常型であっても、食後1時間値が180mg/dL(10.0mmol/l)以上の場合には、180mg/dl未満のものに比べて糖尿病に進展する可能性が高いので、境界型に準じた取り扱い(経過観察)を行う(参考1)。
診断基準
- 参考2-4
- 1) 初回検査で、①空腹時血糖値≧126mg/dl、②75gOGTT2時間値≧200mg/dl、③随時血糖値≧200mg/dl、④HbA1c(国際標準値)≧ 6.5%のうちいずれかを認めた場合は、「糖尿病型」と判定する。別の日に再検査を行い、再び「糖尿病型」が確認されれば糖尿病と診断する。但し、HbA1cのみの反復検査による診断は不可とする。また、血糖値とHbA1cが同一採血で糖尿病型を示すこと(①~③のいずれかと④)が確認されれば、初回検査だけでも糖尿病と診断してよい。
- 2)血糖値が糖尿病型(①~③のいずれか)を示し、かつ次のいずれかの条件がみたされた場合は、初回検査だけでも糖尿病と診断できる。
- 糖尿病の典型的症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)の存在
- 確実な糖尿病網膜症の存在
- 3)過去において、上記1)ないしは2)の条件がみたされていたことが確認できる場合には、現在の検査値が上記の条件に合致しなくても、糖尿病と診断するか、糖尿病の疑いを持って対応する必要がある。
- 4)上記1)~ 3)によっても糖尿病の判定が困難な場合には、糖尿病の疑いをもって患者を追跡し、時期をおいて再検査する。
- 5)初回検査と再検査における判定方法の選択には、以下に留意する。
- 初回検査の判定にHbA1cを用いた場合、再検査ではそれ以外の判定方法を含めることが診断に必須である。検査においては、原則として血糖値とHbA1cの双方を測定するものとする。
- 初回検査の判定が随時血糖値≧200mg/dlで行われた場合、再検査は他の検査方法によることが望ましい。
- HbA1cが見かけ上低値になり得る疾患・状況の場合には、必ず血糖値による診断を行う。
[show details]
- 以前の記事
- 1. 以下のいずれかの検査を行い、基準値を超えていれば糖尿病型と判定
- (1)空腹時血糖値 :≧126mg/dl
- (2)75g OGTT2時間値:≧200mg/dl
- (3)随時血糖値 :≧200mg/dl
- 2. 1.で2回続けて(別の日に行う。異なる検査項目が好ましい)糖尿病型と判定されるか、1.で1回糖尿病型と判定されかつ、以下の条件を満たすとき、「糖尿病」と診断する
- a. 糖尿病の典型的症状が存在すること
- b. HbA1c≧6.5%
- c. 糖尿病性網膜症が存在すること
- d. 過去に糖尿病型を示した資料(検査データ)がある場合
予後
- 糖尿病の死因の一位は心筋梗塞(Q book p.259)。
USMLE
高血圧と糖尿病を合併する病態
参考
- http://www.uemura-clinic.com/dmlecture/newcriteria.htm
- http://d.hatena.ne.jp/bonbokorin/20100608/p1
- 3. 糖尿病の新しい診断基準を7月に施行 日本糖尿病学会-糖尿病NET-資料室
- http://www.dm-net.co.jp/calendar/2010/010167.php
- 4. 委員会報告 糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告 2010
- http://www.jds.or.jp/jds_or_jp0/uploads/photos/635.pdf
[★]
- ☆case75 自宅での意識消失
- ■症例
- 21歳 男性
- 主訴:意識消失
- 現病歴:男性のアパートで意識を失っている所を彼女に発見され、午後5時に搬送された。彼女が最後に彼に会ったのは午後8時で、クリスマスの買い物をして帰宅した時であった。翌日午後、彼女が彼に会いに行った所、彼がお風呂の床で意識を失っているのを見つけた。彼女によれば、前日変わった様子(unusal mood)はなかった。彼は心理学の期末試験が1週間に迫っておりこのことを心配していたが、勉強はうまくいっているようだった。また以前の試験に問題はなかった。
- 喫煙歴:なし。
- 飲酒歴:機会飲酒 10 units/week(1週間に350mlビール6本弱)
- 既往歴:なし
- 家族歴:父と2人の兄弟のうち1人が糖尿病
- 服薬歴:以前、エクスタシー錠剤を服用していたが、静脈注射の薬はやったことがない。
- 身体所見 examination
- 顔貌 青白。注射痕は認められない。脈拍 92/分、血圧 114/74 mmHg、呼吸数 22/分。心血管系、呼吸器系に異常を認めず。神経系 命令に従わないが、痛みに反応して適切に手を引っ込める(GCS M4)。腱反射(+)・対称性、足底反射(-)。瞳孔散大、対光反射(+)。眼底 視神経円板腫脹
- ■鑑別診断をあげるためのkeyword(司会者用)
- ・24時間以内に来した意識消失、糖尿病の家族歴、冬、風呂、精神疾患リスク(試験で悩んでいる。薬物の服用歴)、顔色、脈拍、血圧、呼吸数、腱反射、病的反射、瞳孔、眼底(司会者用)
- ■keywordからどういう疾患を考えるか?
- 真っ先にあげたいもの
- ・二次的な脳圧亢進
- ・糖尿病
- ・薬物中毒、中毒物質の摂取・吸引
- ・神経疾患(てんかんなど)の発作
- ・24時間以内に来した意識消失
- ・クモ膜下出血:局所神経症状、硝子体下出血(subhyaloid hemorrhage)。
- ・糖尿病の家族歴
- ・低血糖発作
- 低血糖による昏睡は早いが糖尿病の新規症状として起こらない。まれにインスリノーマによる低血糖による昏睡があり得る。
- ・糖尿病性ケトアシドーシス diabetic ketoacidosis DKA
- 極度のインスリン欠乏とコルチゾールやアドレナリンなどインスリン拮抗ホルモンの増加により、(1)高血糖(≧250mg/dl)、(2)高ケトン血症(β-ヒドロキシ酪酸の増加)、アシドーシス(pH7.3未満)をきたした状態。(糖尿病治療ガイド 2008-2009 p.66)
- ・高浸透圧性非ケトン性昏睡 nonketotic hyperosmolar coma
- DM type 2
- 50歳以上に好発し、インスリン非依存性糖尿病*患者が腎不全や中枢神経障害、悪性腫瘍、消化器疾患、呼吸器感染などを合併するときに多くみられ、ステロイドや利尿薬の投与、輸液や高カロリー補給、人工透析などの際に医原性に起きやすい。
- 高血糖性の昏睡は発症が早くない。その前に口渇や多尿があるはず。
- → 否定するための検査 → 血糖測定
- ・風呂
- ・脳出血
- ・冬だし、風呂(脱衣所のことか)にガスヒーターがあったら疑わしい。
- ・精神疾患リスク(試験で悩んでいる。薬物の服用歴)
- (最も多いのが)薬物中毒(鎮静薬、アスピリン、アセトアミノフェン)
- (意識障害で運ばれてきたときに考えるべきなのが)一酸化中毒
- 一酸化中毒の場合の顔色は蒼白(cherry-red colorと言われてきたが)。眼底所見:(severe CO中毒で)乳頭浮腫
- ・顔色
- ・脈拍、血圧、呼吸数
- ・腱反射、病的反射
- 腱反射が亢進していたら、上位運動ニューロンの障害を考慮する。腱反射亢進と意識障害が共存していれば、障害部位は脊髄の伝導路ではなくむしろ脳幹・大脳皮質に障害があると考えることができる。
- ・瞳孔
- 瞳孔が散大していれば交感神経興奮、副交感神経の麻痺:フェニレフリン・エピネフリン・コカインなど交感神経刺激、動眼神経麻痺、脳死の徴候
- 瞳孔が縮瞳していれば副交感神経興奮、オピオイド受容体への刺激:麻薬中毒、有機リン中毒、橋出血、脳幹部梗塞(脳底動脈閉塞症など)
- ・眼底 (IMD.71)
- 視神経円板(=視神経乳頭)の腫脹は乳頭浮腫(papilledema, DIF.342)を反映。乳頭浮腫の発生機序は軸索輸送障害や静脈還流うっ滞である。原因として頭蓋内疾患が最も多い。頭蓋外の疾患(高血圧、視神経炎、偽性脳腫瘍)。
- 乳頭浮腫 papilledema DIF.243
- V 動静脈奇形、高血圧による脳血圧脳症・頭蓋内出血、クモ膜下出血、硬膜下血腫
- I 脳膿瘍、慢性経過の髄膜炎(細菌性×)、敗血症による血栓や静脈洞血栓
- N 脳腫瘍
- D -
- C 動静脈奇形、水頭症、頭蓋奇形(尖頭症などによる)、血友病、時にSchilder disease
- A ループス脳炎、動脈周囲炎
- T 急性期の硬膜外血腫や硬膜下血腫ではない。慢性硬膜下血腫ならありうる。
- E 褐色細胞腫による悪性高血圧、偽性脳腫瘍(=特発性頭蓋内圧亢進症)(肥満・無月経・感情障害(emotionally disturbed)をきたした女性に多い)
- ■問題
- 症例だけでは絞れないので、最も疑われる疾患をあげ、鑑別診断を列挙し、検査、治療を考えていくことにします。
- ■一酸化炭素中毒
- ■オチ
- 血中carboxyhemoglobinを測定したところ32%。高レベルの酸素投与でゆっくりだが、48時間で完全に回復。脳浮腫にたいするマンニトールや高圧酸素療法も考慮する。問題は4年間点検されていないガス温水器の不完全燃焼だったとさ。
- ■KEY POINTS
- ・薬物中毒は若い人の意識消失の最も一般的な原因だけど、他の診断もいつも考慮しておく。
- ・一酸化炭素ヘモグロビンレベルは屋内や車内、あるいはよく分からない煙に暴露した意識消失患者で測るべき
- ・一酸化中毒による重度の低酸素血症ではチアノーゼを欠く。
- ■initial plan(救急だからのんびりやってられないだろうけど)
- A.
- 1. 呼吸器系、循環器系の安定を確認
- 2. 血液ガス検査
- 3. 血液生化学(電解質(Na,Ca)、血糖)
- □ビール1本 = 350ml アルコール5%: 350 (ml/本) x 0.05 / 10 (ml/unit) =1.75 (unit/本)
- ■参考文献
- DIF Differential Diagnosis in Primary Care Fourth Edition版 Lippincott Williams & Wilkins
[★]
- 英
- hematemesis, vomiting of blood, hematoemesis
- 関
- ヘマチン
喀血と吐血
|
喀血
|
吐血
|
前兆
|
喉頭の違和感・熱感、 生臭い味がする
|
悪心
|
色
|
鮮紅色が多い
|
暗赤色
|
性状
|
泡沫状、凝固せず
|
塊状、凝固する
|
出方
|
咳による
|
嘔吐による
|
量
|
吐血より少ない
|
大量
|
pH
|
アルカリ性
|
酸性
|
植物残渣
|
なし
|
あり
|
発熱
|
あり
|
なし
|
糞便
|
黒色便無し
|
黒色便、タール便
|
既往歴
|
肺・心疾患
|
消化器症状
|
所見
|
胸部所見有り
|
腹部所見有り
|
期間
|
しばらく続く
|
一般に短期間
|
病因
- (頻度順)消化性潰瘍、食道静脈瘤、胃癌、出血性胃炎、マロリーワイス症候群。 消化性潰瘍、AGML、胃・食道静脈瘤破裂、悪性腫瘍、マロリーワイス症候群、全身性疾患・血液疾患・血管疾患 (IMD)
吐血・下血をきたす全身疾患 IMD.383
鑑別診断 Differential Diagnosis in Primary Care 4th
|
V
|
I
|
N
|
D
|
I
|
C
|
A
|
T
|
E
|
|
Vascular
|
Inflammatory
|
Neoplasm
|
Degenerative and Deficiency
|
Intoxication
|
Congenital
|
Autoimmune
|
Trauma
|
Endocrine Allergic
|
|
食道
|
食道静脈瘤 大動脈瘤
|
逆流性食道炎 潰瘍 クルーズ・トリパノソーマ
|
食道と肺の癌
|
アルカリ液や他の刺激物 外来異物
|
食道裂孔ヘルニア 食道炎
|
強皮症
|
外来異物 経鼻胃管 マロリーワイス症候群
|
|
胃
|
噴門部静脈瘤 破裂動脈瘤
|
胃炎 胃潰瘍
|
癌
|
萎縮性胃炎
|
アルコール性胃炎 アスピリンやその他の薬品(ヒ素など)
|
hereditary telangiectasis(遺伝性出血性毛細血管拡張症?)
|
外科手術による穿孔と裂傷
|
ゾリンジャー・エリソン症候群
|
|
十二指腸
|
潰瘍
|
区域的な回腸炎
|
外科手術による穿孔と裂傷
|
ゾリンジャー・エリソン症候群
|
|
膵臓
|
急性膵炎(出血性)
|
血液
|
白血病 多血症
|
再生不良性貧血 ビタミンK欠乏症
|
ワーファリン ヘパリン その他の薬品
|
血友病 その他遺伝性の凝固障害疾患
|
特発性血栓性紫斑コラーゲン病 その他の血小板減少の原因となる疾患
|
|
診断
[★]
- 英
- secondary hypertension
- 同
- 症候性高血圧 symptomatic hypertension
- 関
- 高血圧、本態性高血圧
病因
-
二次性高血圧を連想する症状
二次性高血圧を疑わせる臨床所見
- JSH2014 第13章 二次性高血圧
原因疾患
|
示唆する所見
|
鑑別に必要な検査
|
二次性高血圧一般
|
重症高血圧、治療抵抗性高血圧、 急激な高血圧発症、 若年発症の高血圧
|
|
腎血管性高血圧
|
RA系阻害薬投与後の急激な 腎機能悪化、腎サイズの左右差、 低K血症、腹部血管雑音
|
腎動脈超音波、腹部CTA、 腹部MRA、レノグラム、PRA、PAC
|
腎実質性高血圧
|
血清Cr上昇、蛋白尿、血尿、 腎疾患の既往
|
血清免疫学的検査、腹部CT、 超音波、腎生検
|
原発性アルドステロン症
|
低K血症、副腎偶発腫瘍
|
PRA、PAC、負荷試験、副腎CT、副腎静脈採血
|
睡眠時無呼吸症候群
|
いびき、肥満、昼間の眠気、早朝・夜間高血圧
|
睡眠ポリグラフィー
|
褐色細胞腫
|
発作性・動揺性高血圧、動悸、 頭痛、発汗
|
血液・尿カテコールアミンおよび カテコールアミン代謝産物、腹部 超音波・CT、MIBGシンテグラフィー
|
クッシング症候群
|
中心性肥満、満月様顔貌、 皮膚線条、高血糖
|
コルチゾール、ACTH、腹部CT、 頭部MRI、デキサメサゾン抑制試験
|
サブクリニカル クッシング症候群
|
副腎偶発腫瘍
|
コルチゾール、ACTH、腹部CT、 デキサメサゾン抑制試験
|
薬物誘発性高血圧
|
薬物使用歴、低K血症
|
薬物使用歴の確認
|
大動脈縮窄症
|
血圧上下肢差、血管雑音
|
胸腹部CT、MRI・MRA、血管造影
|
甲状腺機能低下症
|
徐脈、浮腫、活動性減少、 脂質・CPK・LDH高値
|
甲状腺ホルモン、TSH、自己抗体、甲状腺超音波
|
甲状腺機能亢進症
|
頻脈、発汗、体重減少、 コレステロール低値
|
甲状腺ホルモン、TSH、自己抗体、甲状腺超音波
|
副甲状腺機能亢進症
|
高Ca血症
|
副甲状腺ホルモン
|
脳幹部血管圧迫
|
顔面けいれん、三叉神経痛
|
頭部MRI・MRA
|
検査
- 原発性アルドステロン症:ARR
- クッシング症候群:
- 褐色細胞腫:
[★]
- 英
- malignant hypertension
- 関
- 悪性腎硬化症、高血圧、高血圧性脳症、キース-ワゲナー分類
概念
- 拡張期血圧が120-130mmHg以上であり、腎機能障害が急進行し、放置すると全身症状が急激に増悪し、心不全、高血圧性脳症、脳出血などを発症する予後不良の病態である。長期の高度の高血圧による細動脈の内皮障害、血管壁への血漿成分の浸入に続くフィブリノイド壊死、増殖性内膜炎が病理学的特徴であり、腎の病理所見は悪性腎硬化症と呼ばれる。腎臓の小動脈の狭窄・閉塞に伴い腎血流量が低下し、RAA系の亢進により血圧を生じるなど、この病態では進行性の腎機能障害と昇圧の悪循環を生じる。眼底では網膜出血、軟性白斑、網膜浮腫や乳頭浮腫を認める。脳においては、血管障害によって血流の自動調節能が破綻し、脳浮腫が生ずれば、高血圧性脳症となりうる。(参考1を改変)
疫学
- 高血圧患者の1%。(YN.C-165)
- 男性、黒人に多い。(YN.C-165)
- 男性で40-50に多い。女性で30-40歳代に多い。(YN.C-165)
基礎疾患
病態生理
診断基準
- 病態で定義され、臨床診断される。
- 血圧、眼、腎、全身(脳、心臓)で診断する。
- 高血圧の基礎疾患に関係なく、次の症候を示す重症高血圧をいう。
悪性高血圧A群
- 定型的悪性高血圧
- 下記1)~4)のすべてを満たすもの
- 1) 治療前の拡張期血圧が常に130mmHg以上
- 2) 眼底所見はキース・ワグナー分類(Kieth-Wagener分類) IV度で、乳頭浮腫及び網膜出血を示す。
- 3) 腎機能障害をきたし、腎不全(血清クレアチニン5.0mg/dl以上)に至ったもの
- 4) 全身症状の急激な悪化を示し、特に脳症状(運動失調、知覚障害、頭痛、めまい、悪心など)や心症状(呼吸困難、胸痛、不整脈など)を伴うもの
悪性高血圧B群
- 非定型的悪性高血圧
- 次の3つの条件のどれかに該当すれば
- 1) 拡張期血圧が120mmHg以上、130mmHg未満で、上記1の2)、3)、4)のすべてを満たすもの
- 2) KW III度の高血圧性網膜症(眼底写真添付)で、上記1の1)、3)、4)のすべてを満たすもの
- 3) 腎機能障害(血清クレアチニン3.0mg/dl以上)はあるが腎不全には至らないもので、上記1の1)、2)、4)のすべてを満たすもの
症状
診断基準以外
- Extrinsic nonimmune hemolytic anemia due to mechanical damage: Fragmentation hemolysis and hypersplenism - uptodate
- http://www.uptodate.com/contents/extrinsic-nonimmune-hemolytic-anemia-due-to-mechanical-damage-fragmentation-hemolysis-and-hypersplenism?source=search_result&selectedTitle=2%7E150
診断基準の解説
- 眼底:高血圧により網膜細動脈の狭小に始まり、細動脈の攣縮、血管からの漏出による火炎状出血、軟性白斑、視神経乳頭浮腫をきたす(SOP.209)
- 腎機能:血清クレアチニン5.0mg/dl以上というと、GFRは20ml/min/1.73m2程度?CKDガイドラインでは<15で腎不全と定義していたが?
治療
- 高血圧:降圧薬。高血圧の病歴が長い患者が多いため,急速な降圧は重要臓器の虚血をきたす危険を伴う。最初の24時間の降圧は拡張期血圧100-110mmHgまでにとどめる(参考1)。
参考
- 1. 第11章 特殊条件下高血圧の治療 - 日本高血圧学会高血圧治療GL作成委員会/医療・GL(09年)/ガイドライン
- http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0019/1/0019_G0000180_0072.html
- http://www8.ocn.ne.jp/~halfboil/criteria/tab-c7.html
- http://homepage3.nifty.com/mickeym/No.101_200/183akuaeikou.html