- 3か月の乳児。発熱とチアノーゼとを主訴に来院した。1か月前から肺炎として治療されていたが、軽快しないため紹介された。体温38.5℃。呼吸数38/分。栄養状態は不良である。血液所見:白血球22,000(桿状核好中球20%、分葉核好中球33%、単球9%、リンパ球38%)。血清生化学所見:IgG1,730mg/dl(基準280~700)、IgA60mg/dl(基準10~60)、IgM198mg/dl(基準30~120)。CRP4.0mg/dl。白血球のNBT還元試験/nitroblue tetrazolium還元試験は陰性。胸部エックス線写真を以下に示す。
- この疾患について正しいのはどれか。2つ選べ。
- a. 女児に多い。
- b. ウイルス感染が重症化する。
- c. 胸腺の形成不全がある。
- d. 肉芽腫を形成する。
- e. 白血球の殺菌能が欠損している。
[正答]
※国試ナビ4※ [101A054]←[国試_101]→[101A056]
★リンクテーブル★
[★]
- 21歳の男性。発熱と強い咳嗽とを主訴に来院した。生来健康であったが、1週前から出現した症状が近医での投薬にもかかわらず持続している。喀痰は少ない。既往歴に特記すべきことはないが、家族に同様の症状を示すものがいる。意識は清明。身長180cm、体重70kg。体温39.0℃。脈拍64/分、整。血圧128/68mmHg。心雑音はない。左背部に軽度のcoarse cracklesを聴取する。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)。血液所見:赤沈26mm/1時間、赤血球510万、Hb13.4g/dl、白血球8,900、血小板22万。血清生化学所見:AST42IU/l、ALT35IU/l。CRP6.8mg/dl。胸部エックス線写真と胸部単純CTとを以下に示す。
- 抗菌薬として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [101A055]←[国試_101]→[101A057]
[★]
- 36歳の女性。2週前からの微熱と下肢のしびれ感とを主訴に来院した。1年前から喘鳴を伴う呼吸困難発作が出現し、気管支喘息で近医に通院加療中であった。尿蛋白(-)。血液所見:赤血球423万、白血球12,300(分葉核好中球42%、好酸球34%、好塩基球2%、単球4%、リンパ球18%)、血小板26万。IgE410IU/ml(基準50~300)。MPO-ANCA陽性。
- 診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101A053]←[国試_101]→[101A055]
[★]
- 英
- chronic granulomatous disease, CGD
- 同
- ベレンデス-ブリッジ-グッド症候群 Berendes-Bridge-Good syndrome
- 関
- 原発性免疫不全症候群
概念
- X連鎖劣性遺伝によるものが多くを占め、好中球の殺菌能低下、幼少期からの細菌と真菌の反復感染、および肉芽腫形成を特徴とする原発性免疫不全症の一疾患である。
- 病原体をアレルゲンと見なせば、発症メカニズムはIV型アレルギーによるものと考えてよい?
疫学
- an incidence of 1 in 200,00 indicuduals (HIM.380)
遺伝形式
- 伴性遺伝:most often CGD is inherited as an X-linked recessive trait (HIM.380).
- 常染色体劣性遺伝:30% of patients inherit the disease in an autosomal recessive pattern (HIM.380).
病因
- 膜蛋白質シトクロムb 558の重鎖(β鎖:p91)、軽鎖(α鎖:p22)、細胞質因子p47、p67の欠損や機能異常
病態
- 食細胞(好中球・マクロファージ)に貪食された細菌を殺菌する活性酸素産生系の障害
気炎菌の特徴
- カタラーゼ陽性・過酸化水素非産生菌の感染:Salmonella typhimurium, Pseudomonas aeruginosa, Klebsiella pneumoniae, Staphylococcus aureus, Proteus mirabilis, Escherichia coli, Srratia marcescens
- ⇔カタラーゼ陰性・過酸化水素産生菌:Streptococcus pneumoniae, S. pyogenes, S.fecalis
症状
- 乳児早期から始まる全身諸臓器の反復性・難治性の感染症 (PED.1151)
- 皮膚化膿疹・膿瘍、細菌・真菌性肺炎、化膿性リンパ節炎。肝脾膿瘍・肛門周囲膿瘍
- 特徴的な症状:肉芽腫形成による尿路や消化管の通過障害
検査
- 好中球数:正常
- 白血球数:増多
- NBT色素還元能試験:陰性
治療
- 感染症:抗菌薬の静脈内投与
- 真菌以外の感染症の治療・予防:ST合剤
- インターフェロンγ:感染症の発生抑制 → アスペルギルス症を抑制できたことにより予後が改善
- 肉芽腫による通過障害:副腎皮質ステロイド薬
- 骨髄移植:造血幹細胞移植により根治療が可能
- 遺伝子治療
予後
- 平均16歳 (PED.1152)
- 深在性アスペルギルス症は致命的 → IFN-γの投与による感染症予防により予後が改善されつつある
USMLE
参考
- 1. 慢性肉芽腫症に対する造血幹細胞移植ガイドライン
- http://pidj.rcai.riken.jp/medical_guideline091221.html
===uptodate
- 1. [charged] 慢性肉芽腫性疾患:病因、臨床症状、および診断 - uptodate [1]
- 2. [charged] 慢性肉芽腫性疾患:治療および予後 - uptodate [2]
OMIM
- 1. GRANULOMATOUS DISEASE, CHRONIC, X-LINKED; CGD
- http://www.ncbi.nlm.nih.gov/omim/306400
- 2. GRANULOMATOUS DISEASE, CHRONIC, AUTOSOMAL RECESSIVE, CYTOCHROME b-POSITIVE, TYPE I
- http://www.ncbi.nlm.nih.gov/omim/233700
- 3. GRANULOMATOUS DISEASE, CHRONIC, AUTOSOMAL RECESSIVE, CYTOCHROME b-POSITIVE, TYPE II
- http://www.ncbi.nlm.nih.gov/omim/233710
- 4. GRANULOMATOUS DISEASE, CHRONIC, AUTOSOMAL RECESSIVE, CYTOCHROME b-POSITIVE, TYPE III
- http://www.ncbi.nlm.nih.gov/omim/613960
- 5. GRANULOMATOUS DISEASE, CHRONIC, AUTOSOMAL RECESSIVE, CYTOCHROME b-NEGATIVE GeneTests
- http://www.ncbi.nlm.nih.gov/omim/233690
- 6. GRANULOMATOUS DISEASE, CHRONIC, AUTOSOMAL DOMINANT TYPE
- http://www.ncbi.nlm.nih.gov/omim/138990
国試