- 英
- extradural hematoma (M,KH), epidural hematoma (M), EDH
- 同
- 硬膜外出血 epidural hemorrhage、硬膜上血腫 extradural hematoma
- 関
- 硬膜下血腫 subdural hematoma
硬膜外血腫
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硬膜下血腫
|
・殆どが外傷性(80-90%)で、頭蓋冠骨折を伴う ・硬膜動脈の破綻による ・左右側頭部が好発部位 ・意識清明期を伴うことが多い ・骨と硬膜の硬い結合を剥がしながら伸展するので出血速度は遅い
|
・硬膜下腔への出血である ・硬膜外出血より進展しやすいので、意識障害の出現が早い ・(1)橋静脈の破綻によるもの、(2)高度の脳挫傷を伴うもの
・
|
-extradural hematoma
- 同
- extradural epidural hematoma
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/11/15 03:10:43」(JST)
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急性硬膜外血腫 |
分類及び外部参照情報 |
非外傷性硬膜外血腫。矢印が血腫
|
ICD-10 |
I62.1, S06.4 |
ICD-9 |
432.0 |
DiseasesDB |
4353 |
MedlinePlus |
001412 |
eMedicine |
emerg/167 med/2898 neuro/574 |
MeSH |
D006407 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
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急性硬膜外血腫(きゅうせいこうまくがいけっしゅ、acute epidural hematoma)とは、硬膜と頭蓋骨との間に血腫が形成された状態のことである。
通常、頭部外傷に伴う頭蓋骨骨折に合併し、頭部外傷としては極めて重症に分類される。
目次
- 1 病態
- 2 症状
- 3 診断
- 4 治療
- 5 関連項目
病態[編集]
主に硬膜の外側にある硬膜動脈、他に硬膜静脈、あるいは静脈洞の損傷からの出血によって頭蓋骨と硬膜の間に生じる動脈性出血。特に側頭骨骨折による中硬膜動脈の破綻によるものが多い。
症状[編集]
受傷直後には意識障害を呈するが、脳挫傷などによる脳自体の一次的損傷が少ない場合には、すぐに意識は回復する(意識清明期)。しかし、血腫の増大によって徐々にあるいは急速に、脳圧が亢進し再び意識障害を呈する。同時に、瞳孔不同、片麻痺、除皮質あるいは除脳硬直などの脳嵌頓徴候を生じる。中硬膜動脈の損傷がある場合には、この徴候は急速に出現することが多い。
診断[編集]
頭部CTにより、血腫をレンズ状の高吸収域としてみとめ、圧排のため「midline shift」がみられる。
治療[編集]
緊急に開頭し血腫除去、止血を行う。脳浮腫に対してはグリセリンを使用。
関連項目[編集]
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 症例報告 急性硬膜外血腫後の高次脳機能障害と診断された筋強直性ジストロフィーの1例
- 庄 敦子,高野 真
- The Japanese journal of rehabilitation medicine 49(10), 734-737, 2012-10
- NAID 40019470595
- 臨床経験 特発性脊髄硬膜外血腫(SSEH)に対する治療法選択 : 9 例の治療経験をもとに
- 頚椎に発症した特発性脊髄硬膜外血腫の8例 (東海脊椎脊髄病研究会 特集号)
- 室 秀紀,安藤 喜一朗,相良 学爾 [他]
- Journal of spine research : official journal of the Japanese Society for Spine Surgery and Related Research 3(4), 678-684, 2012-04
- NAID 40019310803
Related Links
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- gooヘルスケア 家庭の医学。急性硬膜外血腫。どんな外傷か 頭蓋骨と、頭蓋骨の内側で 脳を包んでいる硬膜の間に出血がたまって血腫になったものです。原因は何か 多くの 場合は、硬膜の表面に浮き出たように走っている硬膜動脈(こうまくどうみゃく)が、 ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 24歳の男性。左片麻痺を主訴に来院した。10日前から全身倦怠感と微熱とを自覚していた。今朝9時に突然左手足が動きにくくなったため受診した。胸痛はなかった。22歳時に僧帽弁置換術を受けている。意識は清明。身長 181cm、体重 68kg。体温 38.1℃。脈拍 96/分、整。血圧 152/92mmHg。顔面を含む左半身に不全麻痺を認める。胸骨左縁第3肋間を最強点とする拡張期雑音を聴取する。脊柱側弯と漏斗胸とを認める。血液生化学所見:AST 36U/L、ALT 40U/L、LD 182U/L(基準 176~353)、CK 68U/L(基準 30~140)。CRP 6.5mg/dL。
- 左片麻痺の原因として最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111D048]←[国試_111]→[111D050]
[★]
- 72歳の男性。オートバイで走行中に乗用車と衝突したため搬入された。既往歴と家族歴とに特記すべきことはない。意識レベルはJCS II-20。呼吸数16/分。脈拍64/分、整。血圧136/80 mmHg。全身の擦過傷と左前額部の皮下血腫とを認める。両鼻孔から淡血性の液体の流出があった。入院時の頭部単純CT(別冊No.20A、B、C)を別に示す。
- この患者でみられないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104A042]←[国試_104]→[104A044]
[★]
- 25歳の男性。交通事故で頭部を強く打ち、 10分間ほど意識がなかった。頭痛が続くため、 30分後に友人に伴われて独歩で来院した。意識は清明。数字の順唱は4桁しかできない。頭部CTにて側頭骨に線状骨折を認め、少量の硬膜外血腫を認める。
- 現時点の対応として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106G038]←[国試_106]→[106G040]
[★]
- 頭部外傷患者の頭部単純CTを以下に示す。診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102I016]←[国試_102]→[102I018]
[★]
- a. 骨折がなくても硬膜外血腫が発生しやすい
- b. ショックを起こしやすい
- c. 脳の機能回復がよい
- d. 嘔吐の頻度が高い
- e. 陥凹性骨折は少ない
[★]
- ☆case75 自宅での意識消失
- ■症例
- 21歳 男性
- 主訴:意識消失
- 現病歴:男性のアパートで意識を失っている所を彼女に発見され、午後5時に搬送された。彼女が最後に彼に会ったのは午後8時で、クリスマスの買い物をして帰宅した時であった。翌日午後、彼女が彼に会いに行った所、彼がお風呂の床で意識を失っているのを見つけた。彼女によれば、前日変わった様子(unusal mood)はなかった。彼は心理学の期末試験が1週間に迫っておりこのことを心配していたが、勉強はうまくいっているようだった。また以前の試験に問題はなかった。
- 喫煙歴:なし。
- 飲酒歴:機会飲酒 10 units/week(1週間に350mlビール6本弱)
- 既往歴:なし
- 家族歴:父と2人の兄弟のうち1人が糖尿病
- 服薬歴:以前、エクスタシー錠剤を服用していたが、静脈注射の薬はやったことがない。
- 身体所見 examination
- 顔貌 青白。注射痕は認められない。脈拍 92/分、血圧 114/74 mmHg、呼吸数 22/分。心血管系、呼吸器系に異常を認めず。神経系 命令に従わないが、痛みに反応して適切に手を引っ込める(GCS M4)。腱反射(+)・対称性、足底反射(-)。瞳孔散大、対光反射(+)。眼底 視神経円板腫脹
- ■鑑別診断をあげるためのkeyword(司会者用)
- ・24時間以内に来した意識消失、糖尿病の家族歴、冬、風呂、精神疾患リスク(試験で悩んでいる。薬物の服用歴)、顔色、脈拍、血圧、呼吸数、腱反射、病的反射、瞳孔、眼底(司会者用)
- ■keywordからどういう疾患を考えるか?
- 真っ先にあげたいもの
- ・二次的な脳圧亢進
- ・糖尿病
- ・薬物中毒、中毒物質の摂取・吸引
- ・神経疾患(てんかんなど)の発作
- ・24時間以内に来した意識消失
- ・クモ膜下出血:局所神経症状、硝子体下出血(subhyaloid hemorrhage)。
- ・糖尿病の家族歴
- ・低血糖発作
- 低血糖による昏睡は早いが糖尿病の新規症状として起こらない。まれにインスリノーマによる低血糖による昏睡があり得る。
- ・糖尿病性ケトアシドーシス diabetic ketoacidosis DKA
- 極度のインスリン欠乏とコルチゾールやアドレナリンなどインスリン拮抗ホルモンの増加により、(1)高血糖(≧250mg/dl)、(2)高ケトン血症(β-ヒドロキシ酪酸の増加)、アシドーシス(pH7.3未満)をきたした状態。(糖尿病治療ガイド 2008-2009 p.66)
- ・高浸透圧性非ケトン性昏睡 nonketotic hyperosmolar coma
- DM type 2
- 50歳以上に好発し、インスリン非依存性糖尿病*患者が腎不全や中枢神経障害、悪性腫瘍、消化器疾患、呼吸器感染などを合併するときに多くみられ、ステロイドや利尿薬の投与、輸液や高カロリー補給、人工透析などの際に医原性に起きやすい。
- 高血糖性の昏睡は発症が早くない。その前に口渇や多尿があるはず。
- → 否定するための検査 → 血糖測定
- ・風呂
- ・脳出血
- ・冬だし、風呂(脱衣所のことか)にガスヒーターがあったら疑わしい。
- ・精神疾患リスク(試験で悩んでいる。薬物の服用歴)
- (最も多いのが)薬物中毒(鎮静薬、アスピリン、アセトアミノフェン)
- (意識障害で運ばれてきたときに考えるべきなのが)一酸化中毒
- 一酸化中毒の場合の顔色は蒼白(cherry-red colorと言われてきたが)。眼底所見:(severe CO中毒で)乳頭浮腫
- ・顔色
- ・脈拍、血圧、呼吸数
- ・腱反射、病的反射
- 腱反射が亢進していたら、上位運動ニューロンの障害を考慮する。腱反射亢進と意識障害が共存していれば、障害部位は脊髄の伝導路ではなくむしろ脳幹・大脳皮質に障害があると考えることができる。
- ・瞳孔
- 瞳孔が散大していれば交感神経興奮、副交感神経の麻痺:フェニレフリン・エピネフリン・コカインなど交感神経刺激、動眼神経麻痺、脳死の徴候
- 瞳孔が縮瞳していれば副交感神経興奮、オピオイド受容体への刺激:麻薬中毒、有機リン中毒、橋出血、脳幹部梗塞(脳底動脈閉塞症など)
- ・眼底 (IMD.71)
- 視神経円板(=視神経乳頭)の腫脹は乳頭浮腫(papilledema, DIF.342)を反映。乳頭浮腫の発生機序は軸索輸送障害や静脈還流うっ滞である。原因として頭蓋内疾患が最も多い。頭蓋外の疾患(高血圧、視神経炎、偽性脳腫瘍)。
- 乳頭浮腫 papilledema DIF.243
- V 動静脈奇形、高血圧による脳血圧脳症・頭蓋内出血、クモ膜下出血、硬膜下血腫
- I 脳膿瘍、慢性経過の髄膜炎(細菌性×)、敗血症による血栓や静脈洞血栓
- N 脳腫瘍
- D -
- C 動静脈奇形、水頭症、頭蓋奇形(尖頭症などによる)、血友病、時にSchilder disease
- A ループス脳炎、動脈周囲炎
- T 急性期の硬膜外血腫や硬膜下血腫ではない。慢性硬膜下血腫ならありうる。
- E 褐色細胞腫による悪性高血圧、偽性脳腫瘍(=特発性頭蓋内圧亢進症)(肥満・無月経・感情障害(emotionally disturbed)をきたした女性に多い)
- ■問題
- 症例だけでは絞れないので、最も疑われる疾患をあげ、鑑別診断を列挙し、検査、治療を考えていくことにします。
- ■一酸化炭素中毒
- ■オチ
- 血中carboxyhemoglobinを測定したところ32%。高レベルの酸素投与でゆっくりだが、48時間で完全に回復。脳浮腫にたいするマンニトールや高圧酸素療法も考慮する。問題は4年間点検されていないガス温水器の不完全燃焼だったとさ。
- ■KEY POINTS
- ・薬物中毒は若い人の意識消失の最も一般的な原因だけど、他の診断もいつも考慮しておく。
- ・一酸化炭素ヘモグロビンレベルは屋内や車内、あるいはよく分からない煙に暴露した意識消失患者で測るべき
- ・一酸化中毒による重度の低酸素血症ではチアノーゼを欠く。
- ■initial plan(救急だからのんびりやってられないだろうけど)
- A.
- 1. 呼吸器系、循環器系の安定を確認
- 2. 血液ガス検査
- 3. 血液生化学(電解質(Na,Ca)、血糖)
- □ビール1本 = 350ml アルコール5%: 350 (ml/本) x 0.05 / 10 (ml/unit) =1.75 (unit/本)
- ■参考文献
- DIF Differential Diagnosis in Primary Care Fourth Edition版 Lippincott Williams & Wilkins
[★]
- 英
- chronic subdural hematoma
- 関
- 急性硬膜下血腫、硬膜下血腫 凹、硬膜外血腫 凸
定義
- 何らかのきっかけにより出血し(頭部外傷が多い。20%の症例では外傷の既往がない)、その出血から3週間以降に症状が出現した場合
- 1週間以内に発症したものは急性硬膜下血腫
概念
- 硬膜内面の外側皮膜(外膜)とくも膜表面の内側皮膜(内膜)に包まれた暗赤色流動性の血腫(SCN.266)
疫学
- 中高年以上の男性に多い
- 片側性(90%)、両側性(10%)
病理
- 慢性硬膜下血腫の外膜は組織的には肉芽組織で血管に富む。内膜はコラーゲン束からなり血管は見られない(SCN.266 図:SCN.267(病理組織))
- 血腫は凝固因子を欠如しているため、凝固しない(SCN.266)
症状
- YN.
- 片麻痺、記憶力低下、意識障害
- 若年者・・・頭痛、高齢者・・・認知症が多い。
- 頭蓋内圧亢進症状 >> 脳圧迫症
検査
CT
- 三日月型の血腫が典型的 ⇔ 急性硬膜外血腫
- 血腫は新鮮なものはhighしだいにisoからlowに変化する。
- 出血後2-4修吾の血腫は、血腫被膜部の増強効果がみられる。
MRI
治療
- 穿頭術により流動性血腫を除去後、血腫腔を生理食塩水で洗浄した後、血腫腔にドレーンを1日留置することで症状が劇的に改善する(SCN.267)
国試
[★]
- 英
- subdural hematoma
- 関
- 急性硬膜下血腫、慢性硬膜下血腫
硬膜外血腫
|
硬膜下血腫
|
・殆どが外傷性(80-90%)で、頭蓋冠骨折を伴う ・硬膜動脈の破綻による ・左右側頭部が好発部位 ・意識清明期を伴うことが多い ・骨と硬膜の硬い結合を剥がしながら伸展するので出血速度は遅い
|
・硬膜下腔への出血である ・硬膜外出血より進展しやすいので、意識障害の出現が早い ・(1)橋静脈の破綻によるもの、(2)高度の脳挫傷を伴うもの
・
|
-subdural hematoma
[★]
- 英
- middle meningeal artery (M)
- ラ
- arteria meningea media
- 関
- 硬膜動脈、前硬膜動脈、後硬膜動脈
- 図:N.98(内頭蓋底)、M.476(頭頂部の分布)、N.94(硬膜中に存在) KA.82,83
- 硬膜動脈の中で最大である。
- 硬膜の間に入り込む (N.94)
- 硬膜ではなく頭蓋骨を養う
由来
走行
- 顎動脈から分岐した後に棘孔を通り、頭蓋腔に入る (M.481)
分布
枝
臨床関連
[★]
- 英
- pneumocephalus
- 関
- 気脳体、気頭症、頭蓋内気腫 pneumocranium
- 頭蓋内に気体が進入することにより症状を呈する病態。CTにより極低吸収域を認めることで診断される。多くは外傷により生じる。気体の進入により脳圧亢進症状を呈する。また、CTで低吸収域を認めたら髄液漏も疑うべきである(参考1)。
参考
- http://www.iryokagaku.co.jp/frame/03-honwosagasu/379/379-2.pdf
[★]
- 英
- acute epidural hematoma
- 関
- 硬膜外血腫
治療
- SCN.263
- 開頭術による血腫除去、出血源の止血、硬膜の吊り上げ縫合による血腫の再貯留の予防。
- 脳ヘルニアが急激に進行している場合には救急処置として穿頭術を施行し、頭蓋内圧を計った後に開頭術に以降。
画像
国試
[★]
- 英
- spinal epidural hematoma
- 関
- 脊髄硬膜外出血
[★]
- 英
- epidural hematoma of posterior fossa
[★]
- 英
- hematoma
- ラ
- haematoma
- 同
- 血瘤
- 関
- 参考1
参考
- 1. B.産婦人科検査法 9.婦人科疾患のMRI 診断 - 日産婦誌53巻6号
- http://www.jsog.or.jp/PDF/53/5306-099.pdf
[★]
- 英
- dura mater
- ラ
- dura pachymeninx
- 関
- 脳硬膜、脊髄硬膜、髄膜
神経
[★]
- 関
- がん、腫瘍、腫瘤、良性新生物
[★]
- 英
- epidural、extradural、extradurally