- 英
- vancomycin, VCM
- 化
- 塩酸バンコマイシン vancomycin hydrochloride
- 商
- Vancocin, Luphocin、バンマイシン
- 関
- 抗菌薬一覧、テイコプラニン、メトロニダゾール
- first aid step1 2006 p.140,165,166,169,173,207
特徴
- Streptomyces orientalisから分離
- 経腸管的に吸収されないため骨髄移植時の消化管内消毒に用いられる。
構造
作用機序
- 細胞壁合成阻害作用(block peptidoglycan synthesis)
- 細胞内で作られたmurein monomerの重合を妨げる?
薬理作用
抗菌スペクトル
動態
- 腸管からほとんど吸収されない→腸管殺菌のための経口投与、点滴静注による全身投与で用いられる
適応
適応菌種
- メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、クロストリジウム・ディフィシル
注意
禁忌
副作用
重大な副作用
- 添付文書
- 1)ショック:0.1%未満(血圧低下、不快感、口内異常感、喘鳴、眩暈、便意、耳鳴り、発汗等)
- 2)注射用塩酸バンコマイシン製剤:アナフィラキシー様症状、急性腎不全、間質性腎炎、汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、剥脱性皮膚炎、第8脳神経障害、偽膜性大腸炎、肝機能障害、黄疸
その他
- 1)過敏症(発熱、発疹、潮紅、悪寒、蕁麻疹、そう痒)
- 2)血液(好酸球増多、白血球減少、血小板減少)
- 3)肝臓(AST・ALT・Al-P上昇)
- 4)消化器(下痢:48%、悪心:28%、嘔吐:34%、食欲不振) ←骨髄移植時の消化管内殺菌における発現頻度
- 5)腎臓(BUN・クレアチニンの上昇)
- 6)その他(口内炎、舌炎)
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/07/07 23:29:30」(JST)
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バンコマイシン
|
IUPAC命名法による物質名 |
unable to be assigned |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
- S4 (Au), POM (UK), ℞-only (U.S.)
|
投与方法 |
静脈内投与, 経口投与 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
ごくわずか (口腔) |
代謝 |
代謝されずそのまま排出 |
半減期 |
4–11 時間 (大人)
6-10 日(腎機能が低下した大人) |
排泄 |
腎臓 |
識別 |
CAS番号 |
1404-90-6 |
ATCコード |
A07AA09 J01XA01 |
PubChem |
CID 14969 |
DrugBank |
APRD01287 |
KEGG |
D00212 |
化学的データ |
化学式 |
C66H75Cl2N9O24 |
分子量 |
1449.3 g.mol-1 |
バンコマイシン (Vancomycin、VCM) は、グリコペプチド系抗生物質のひとつ。
真正細菌の細胞壁合成酵素の基質であるD-アラニル-D-アラニンに結合して細胞壁合成酵素を阻害し、菌の増殖を阻止する働きがある。大部分のグラム陽性菌に殺菌作用をもち、腸球菌に対しては静菌作用がある。
ほとんどの抗生物質が効かないメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) を殺菌できる。このため、過去には最強の抗生物質といわれたこともあった。塩酸バンコマイシンは内服してもほとんど吸収されることがないため、腸などの消化管内の静菌・殺菌に有効である。内服または点滴静注で使用される。点滴静注による急速投与が原因となり、Red neck (Red man) syndromeと呼ばれる皮膚合併症や血圧低下などを来たす場合がある。
腎毒性があるため、投与中は血中濃度を測定し、治療域に維持する投与量にすることが推奨される。腎機能の低下した患者に対する投与は注意が必要であり、薬物動態理論を用いた投与設計を行う。しかし、薬物動態理論を用いた投与設計を日常診療として行うには、感染制御専門薬剤師による助言が必要なことが多く、実際に投与開始時から行っている施設は少ない。一般の病院では、同系統で腎機能障害が軽いとされているテイコプラニン (TEIC) か別の系統であるリネゾリドを用いることになる。この場合には、バンコマイシン耐性の腸球菌に対しても有効なリネゾリドの使用頻度が高くなり、リネゾリド耐性菌が増加する可能性が懸念される。
1956年にイーライリリー・アンド・カンパニーが開発し、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) の治療に用いられてきたが、1986年、イギリスとフランスでバンコマイシンに耐性のある腸球菌 (VRE) の存在が報告され、さらに病原性の高いバンコマイシン低度耐性黄色ブドウ球菌 (VISA) (1996年)とバンコマイシン耐性ブドウ球菌 (VRSA)(2002年)の存在が報告された。
薬理作用
- 細胞壁合成阻害薬に分類される。ムレイン単体生合成を阻害する。同様にムレイン単体生合成を阻害するものにホスホマイシンがある。
- βラクタム系抗生物質はムレイン分子間架橋を阻害するため、薬理作用は異なる。
特徴
- MRSA感染が疑われる黄色ブドウ球菌菌血症患者において、ST合剤治療群ではバンコマイシン治療群に比べ、30日死亡率は1.90倍高かった[1]。
脚注
- ^ Paul M et al. Trimethoprim-sulfamethoxazole versus vancomycin for severe infections caused by meticillin resistant Staphylococcus aureus: Randomised control trial. BMJ 2015 May 14; 350:h2219. (http://dx.doi.org/10.1136/bmj.h2219)
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Japanese Journal
- 症例報告 抗菌薬の胸腔内投与が奏功した残存肺全摘後難治性MRSA膿胸の1例 (特集 呼吸器・心臓外科領域の感染症に対する治療戦略)
- 症例報告 バンコマイシン髄注療法が奏効したMRSA髄膜炎の1症例
- 症例報告 バンコマイシンとセフタジジム使用中に発症した偽膜性腸炎の一例
- 高島 英隆,奥山 祐右,榎 泰之,吉田 憲正,藤本 荘太郎
- 日本消化器内視鏡学会雑誌 53(2), 283-289, 2011
- … 73歳男性.胸膜炎に対し,抗菌剤投与中,悪寒を伴う多量の水様下痢が出現した.腹部造影CT,内視鏡検査にて小腸,大腸に著明な炎症所見を認めた.便培養検査にてMRSA腸炎と診断し,塩酸バンコマイシンの投与を行うも,繰り返す多量の小腸出血をコントロールできず,発症から2カ月で死亡した.抗菌剤投与による菌交代現象を契機とし,急激な転帰を辿ったMRSA小腸・大腸炎を経験した.文献的考察を含め報告する …
- NAID 130000655094
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- バンコマイシン (Vancomycin、VCM) は、グリコペプチド系抗生物質のひとつ。 真正細菌 の細胞壁合成酵素の基質であるD-アラニル-D-アラニンに結合して細胞壁合成酵素を阻害 し、菌の増殖を阻止する働きがある。大部分のグラム陽性菌に殺菌作用をもち、腸 ...
- バンコマイシン耐性腸球菌( - たいせいちょうきゅうきん、vancomycin-resistant ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
点滴静注用バンコマイシン0.5「MEEK」
組成
有効成分 (1バイアル中)
添加物
- D-マンニトール 100mg
マクロゴール400 100mg
効能または効果
適応菌種
- バンコマイシンに感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
適応症
- 敗血症、感染性心内膜炎、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、骨髄炎、関節炎、肺炎、肺膿瘍、膿胸、腹膜炎、化膿性髄膜炎
- 本剤の副作用として聴力低下、難聴等の第8脳神経障害がみられることがあり、また化膿性髄膜炎においては、後遺症として聴覚障害が発現するおそれがあるので、特に小児等、適応患者の選択に十分注意し、慎重に投与すること。
- 通常、成人にはバンコマイシン塩酸塩として1日2g(力価) を1回0.5g(力価) 6時間ごと又は1回1g(力価) 12時間ごとに分割して、それぞれ60分以上かけて点滴静注する。
なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
- 高齢者には、1回0.5g(力価) 12時間ごと又は1回1g(力価) 24時間ごとに、それぞれ60分以上かけて点滴静注する。
なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
- 小児、乳児には、1日40mg(力価)/kgを2?4回に分割して、それぞれ60分以上かけて点滴静注する。
- 新生児には、1回投与量を10?15mg(力価)/kgとし、生後1週までの新生児に対しては12時間ごと、生後1ヵ月までの新生児に対しては8時間ごとに、それぞれ60分以上かけて点滴静注する。
- 急速なワンショット静注又は短時間での点滴静注を行うとヒスタミンが遊離されてred neck(red man)症候群(顔、頸、躯幹の紅斑性充血、そう痒等)、血圧低下等の副作用が発現することがあるので、60分以上かけて点滴静注すること。
- 腎障害のある患者、高齢者には、投与量・投与間隔の調節を行い、血中濃度をモニタリングするなど慎重に投与すること。[「慎重投与」、「高齢者への投与」の項参照]
- 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現を防ぐため、次のことに注意すること。
- 感染症の治療に十分な知識と経験を持つ医師又はその指導の下で行うこと。
- 原則として他の抗菌薬及び本剤に対する感受性を確認すること。
- 投与期間は、感染部位、重症度、患者の症状等を考慮し、適切な時期に、本剤の継続投与が必要か否か判定し、疾病の治療上必要な最低限の期間の投与にとどめること。
慎重投与
- 腎障害のある患者[排泄が遅延し、蓄積するため、血中濃度をモニタリングするなど慎重に投与すること。]
- 肝障害のある患者[肝障害が悪化することがある。]
- 高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
- 低出生体重児、新生児[「小児等への投与」の項参照]
重大な副作用
ショック、アナフィラキシー様症状
(頻度不明)
- ショック、アナフィラキシー様症状(呼吸困難、全身潮紅、浮腫等)を起こすことがあるので、観察を十分に行い、症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
急性腎不全、間質性腎炎
(頻度不明)
- 急性腎不全、間質性腎炎等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止することが望ましいが、やむを得ず投与を続ける場合には減量するなど慎重に投与すること。
汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少
(頻度不明)
- 汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、剥脱性皮膚炎
(頻度不明)
- 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、剥脱性皮膚炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
第8脳神経障害
(頻度不明)
- 眩暈、耳鳴、聴力低下等の第8脳神経障害があらわれることがあるので、聴力検査等観察を十分に行うこと。また、このような症状があらわれた場合には投与を中止することが望ましいが、やむを得ず投与を続ける場合には慎重に投与すること。
偽膜性大腸炎
(頻度不明)
- 偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがあるので、腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には、直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
肝機能障害、黄疸
(頻度不明)
- AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-P等の上昇、黄疸があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- メチシリン耐性ブドウ球菌に対して、in vitro 及びin vivo ですぐれた効果が認められている。その作用は細胞壁ペプチドグリカンの合成阻害と細胞膜の変性及びRNA合成阻害であり、殺菌的である。2)
有効成分に関する理化学的知見
一般名:
- バンコマイシン塩酸塩 (Vancomycin Hydrochloride)
化学名:
- (1S ,2R ,18R ,19R ,22S ,25R ,28R ,40S )-50-[3-Amino-2,3,6-trideoxy-3-C - methyl-α-L-lyxo - hexopyranosyl-(1→2)-β-D- glucopyranosyloxy]- 22-carbamoylmethyl- 5,15-dichloro- 2,18,32,35,37-pentahydroxy-19-[(2R )- 4-methyl-2-(methylamino)pentanoylamino]- 20,23,26,42,44-pentaoxo-7,13-dioxa-21,24,27,41,43- pentaazaoctacyclo [26.14.2.23,6.214,17.18,12.129,33.010,25.034,39] pentaconta- 3,5,8,10,12(50),14,16,29,31,33(49),34,36,38,45,47- pentadecaene-40-carboxylic acid monohydrochloride
分子式:
分子量:
性状:
水に溶けやすく、ホルムアミドにやや溶けやすく、メタノールに溶けにくく、エタノール(95)に極めて溶けにくく、アセトニトリルにほとんど溶けない。
吸湿性である。
★リンクテーブル★
[★]
- 次の文を読み、56~58の問いに答えよ。
- 32歳の男性。発熱と咳嗽とを主訴に来院した。
- 現病歴:2日前から38℃台の発熱と咳嗽が出現した。市販の解熱鎮痛薬を服用したが、37.0℃以下に解熱せず、今朝からは呼吸困難も感じるようになったため受診した。腹痛と下痢はない。
- 既往歴:27歳時に右胸部の帯状疱疹。29歳時に右側肺炎。30歳時に左側肺炎。
- 生活歴:食品加工の工場で働いている。妻と4歳の子供がいる。喫煙は20本/日を10年間。飲酒は機会飲酒。
- 現症:意識は清明。身長165cm、体重58kg。体温 38.3℃。脈拍 88/分、整。血圧 86/42mmHg。呼吸数 28/分。SpO2 95%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音に異常を認めない。右側の胸部でcoarse cracklesを聴取する。腹部は平坦で、腸蠕動音に異常を認めず、肝・脾を触知しない。
- 検査所見:血液所見:赤血球 398万、Hb 11.3g/dL、Ht 37%、白血球 3,400(桿状核好中球 22%、分葉核好中球 58%、好酸球3%、好塩基球2%、単球8%、リンパ球7%)、血小板 15万。血液生化学所見:総蛋白 7.5g/dL、アルブミン 3.8g/dL、尿素窒素 18mg/dL、クレアチニン 0.8mg/dL、尿酸 5.8mg/dL、Na 137mEq/L、K 3.9mEq/L、Cl 100mEq/L。CRP 8.8mg/dL。胸部エックス線写真(別冊No. 11)を別に示す。
- その後の経過:胸部エックス線写真と喀痰のGram染色標本の検鏡結果から肺炎球菌による細菌性肺炎と診断し入院となった。入院初日からセフトリアキソンの投与を開始したところ、入院3日目までに咳嗽は減少し食欲も出てきた。入院3日目の体温は36.8℃、脈拍 80/分、整。血圧 116/58mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 96%(room air)。血液所見:白血球 6,300(桿状核好中球 14%、分葉核好中球 61%、好酸球 3%、好塩基球 2%、単球 7%、リンパ球 13%)、血小板 22万。CRP 4.4mg/dL。胸部エックス線写真で所見の改善を認めた。初診時に採取した喀痰および血液の培養からは肺炎球菌が検出された。その後も症状は改善傾向が続き、入院4日目に採取した喀痰の細菌培養検査では肺炎球菌が陰性化していたが、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が検出された。
- この患者に対する適切な治療はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110B056]←[国試_110]→[110B058]
[★]
- 30歳の男性。会社員。独身。高度の呼吸困難、発熱および乾性咳嗽を主訴に来院した。3か月前から全身倦怠感と乾性咳嗽、2か月前から体動時の息切れ、2週前から発熱がみられ呼吸困難は高度となった。22歳から2年間海外に留学した。意識は清明。身長178cm、体重56kg。体温 38.2℃。呼吸数 30/分。脈拍 112/分、整。血圧 114/60 mmHg。チアノーゼを認める。血液所見:赤血球 452万、Hb 12.8 g/dl、Ht 40%、白血球 8,200(桿状核好中球 16%、分葉核好中球 64%、単球 8%、リンパ球 4%)、血小板 17万。免疫学所見:CRP 18mg/dl、IgG 620 mg/dl (基準 960~1,960)、β-D-グルカン 280pg/ml(基準 20以下)。胸部エックス線写真で両側び慢性に浸潤影を認める。
- 治療薬として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [103D045]←[国試_103]→[103D047]
[★]
- 65歳の男性。 10日前から市中肺炎の治療のため入院中である。肺炎は第三世代セフェム系抗菌薬による治療で軽快し、 3日前に投薬終了となった。 2日前から下痢が出現し、昨日は下痢が10回以上認められた。
- 体温37.2℃。脈拍96/分、整。血圧128/80mmHg。呼吸数16/分。胸部に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。腸雑音の亢進を認める。直腸指診で異常を認めない。下部消化管内視鏡写真(別冊No. 7)を別に示す。
- 治療のために経口投与するのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106A028]←[国試_106]→[106A030]
[★]
- 82歳の女性。肺炎で入院中である。抗菌薬が投与され肺炎の症状は軽快していたが、3日前から頻回の水様下痢が続いている。高血圧症で内服治療中である。意識は清明。体温 37.6℃。脈拍 76/分、整。血圧 138/78mmHg。腹部は平坦、軟。下腹部に軽い圧痛を認める。血液所見:赤血球 380万、Hb 12.0g/dL、Ht 36%、白血球 9,800、血小板 26万。腹部エックス線写真で異常所見を認めない。便中Clostridium difficileトキシン陽性。
- この患者に有効と考えられる薬剤はどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [111G056]←[国試_111]→[111G058]
[★]
- 28歳の男性。空腹時の上腹部痛のため来院した。数年前から同様の症状が出現していたが、市販薬を適宜服用していた。体重減少はみられない。右上腹部に圧痛を認める。便潜血反応は陰性。血液所見と血清生化学所見とに異常を認めない。十二指腸内視鏡写真を以下に示す。迅速ウレアーゼ試験を行ったところ陽性であった。治療薬として適切なのはどれか。
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [099G023]←[国試_099]→[099G025]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [095B072]←[国試_095]→[095B074]
[★]
- MRSA敗血症に対してバンコマイシンで治療を開始した。治療5日目に解熱したが腎機能障害が出現した。
- バンコマイシンの血中薬物モニタリングで予想されるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105E024]←[国試_105]→[105E026]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [107D010]←[国試_107]→[107D012]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [104B024]←[国試_104]→[104B026]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [108G034]←[国試_108]→[108G036]
[★]
- 頻度が最も高い非淋菌性尿道炎に対する治療薬はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [100B071]←[国試_100]→[100B073]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [100G113]←[国試_100]→[100G115]
[★]
- 英
- sepsis, (昔の概念→)septicemia
- 関
定義
- 感染症による全身性炎症反応症候群(SIRS)をセプシス(sepsis, 広義の敗血症?)とする
- 感染症の病原体は、一般細菌(グラム陽性菌・陰性菌)、真菌、寄生虫、ウイルスなど
- 皮膚や粘膜の傷とか、種々の臓器にある感染巣から、細菌がリンパ流から血中に入り、全身に播種されて、新たに転移性の感染巣をつくり、重篤な全身症状を引き起こす。
全身性炎症反応症候群の診断基準
- 1. 体温>38℃ or 体温<36℃
- 2. 心拍数>90bpm
- 3. 呼吸数>20回/min or PaCO2<32mmHg
- 4. (白血球数>12,000/ul or 白血球数<4,000/ul) or ( 幼若好中球>10% ) ← ここでいう幼若好中球とは桿状好中球のことである。
敗血症の周辺疾患概念
- 発熱や白血球増加などの全身の炎症の徴候によって特徴づけられる病態(SIRSの診断基準に合致する病態)
病態生理
- LPSが血液凝固を促進→血小板、フィブリノゲン、凝固因子消費 → 血栓形成 → プラスミノゲンを消費して血栓溶解 (FDP産生) →
- →出血傾向 → 皮下出血、歯肉出血、顕微鏡的血尿(出血性敗血症)
原因となる病原体
症状
- 悪寒、戦慄を伴う発熱、頻脈、頻呼吸、全身倦怠感、呼吸困難、意識障害、ショック、乏尿
- 敗血症による多臓器不全で障害を受けやすい臓器:肺、腎臓、心血管系、中枢神経系
検査
血液検査
- 白血球:12,000/ul以上のことが多い(SIRSの定義)
- 左方移動、重症例では白血球減少
- 血小板数:血管内凝固に伴い低下
- CRP:基準値以上
- 凝固系・線溶系:凝固能低下、線溶系亢進
培養
- 血液培養
- カテーテルの先端(留置カテーテルがある場合)
治療 (ICU.644)
酸素投与
敗血症における組織の酸素化
- 敗血症では細胞の酸素摂取能が損なわれている → 重症敗血症患者の組織酸素濃度がなぜ健常者よりも高くなる (ICU.645)
- 重症敗血症や敗血症性ショックにおいては
敗血症における酸素摂取量(ICU.645)
初期蘇生
- 重症敗血症や敗血症性ショックの患者に対する最初の6時間の管理目標
- 1.中心静脈庄8-12mmHg
- 2.平均動脈庄≧65mmHg
- 3.尿量≧0.5 mL/kg/h
- 4.SVO2≧70% or SCVO2≧70%
- SVO2:混合静脈血酸素飽和度、肺動脈血酸素飽和度
- SCVO2:中心静脈血酸素飽和度、上大静脈血酸素飽和度
輸液負荷
- 1. 500-1,000mLの晶質液 or 300-500mLの膠質液を30分かけて投与
- 2. 初期蘇生の目標値に達するまで、または輸液過多寸前になるまで1)を行う。
昇圧薬(ICU.646)
- 1. 輸液負荷を行っても低血圧が持続する場合、ドパミン or ノルアドレナリンを投与
- ドパミン:5-20 ug/kg/min:心拍出量増加:腹腔内蔵機の血流減少
- ノルアドレナリン:0.2-1.3 ug/kg/min:心拍出量不変、血管収縮
- パソプレシン:0.01-0.04 U/min:血管収縮薬:心拍出量減少→心不全の既往で慎重
経験的抗菌薬治療(ICU.646)
- 重症敗血症や敗血症性ショックと診断したら1時間以内に抗菌薬を静脈内投与する
- 抗菌薬投与前に少なくとも2セットの血液検体を採取 → 血液培養&感受性検査のため
- イミペネム/メロペネムの単剤
- MRSAのリスクリスク有り:イミペネム/メロペネム + バンコマイシン/リネゾリド
コルチコステロイド(ICU.646)
- 昇庄薬を必要とするすべての敗血症性ショック患者に推奨
- ヒドロコルチゾン:200-300mg用を2-3回に分割して静脈内投与もしくは経口投与、7日間継続
- 副腎不全の改善
[★]
- 英
- resistant bacterium
- 同
- 薬剤耐性菌 drug resistance bacterium drug resistant bacterium
- 関
- 菌交代症、R因子
医療系の雑誌より(日経カデット11月?)
表1抗菌薬投与後に出現する可能性か高い耐性菌
表2主な耐性菌と治療薬
[★]
- 英
- vancomycin-resistant enterococcus vancomycin-resistant Enterococcus VRE
- 関
- バンコマイシン
- 腸球菌はヒト腸管や女性外陰部の常在菌であり、免疫が低下した宿主で心内膜炎、敗血症、複雑性尿路感染症、胆道感染などを引きおこしうる。
- VREとはバンコマイシンに薬剤耐性を獲得した腸球菌のことであり、Enterococcus faecalis, Enterococcus faeciumのいずれにもVREが存在する。
- VREは、1986年フランスでバンコマイシン高度耐性腸球菌として発見され、その後、ヨーロッパ諸国において重症院内感染原因菌として広がった。
- アメリカでは1989年以降、院内感染菌として急激な広がりをみせ、現在最も治療困難な院内感染菌となっている。
- 基本的に、VREとは最小発育阻止濃度(MIC)が16μg/mL以上、或いはディスク法の阻止円径が14mm以下の腸球菌を指すが、vanA, vanBなどの外来性の誘導型VCM高度耐性遺伝子を保有した腸球菌も指す。
耐性遺伝子
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MIC
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耐性遺伝子の存在部位
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耐性の発現
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菌種
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VCM
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TEIC
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vanA
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64~1000
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16~512
|
プラスミド,染色体
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誘導耐性
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E. faecalis, E. faecium
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vanB
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4~1000
|
0.5~1
|
プラスミド, 染色体
|
誘導耐性
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E. faecalis, E. faecium
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vanC
|
2~32
|
0.5~1
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染色体
|
非調導型
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E. gallinarum, E. casseliflavus, E. flavescens
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vanD
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64~128
|
4~64
|
染色体
|
非誘導型
|
E. faecalis, E. faecium, E. raffinosus
|
vanE
|
8~32
|
0.5
|
染色体
|
誘導耐性
|
E. faecalis
|
vanG
|
16
|
0.5
|
染色体
|
誘導耐性
|
E. faecalis
|
[★]
- 英
- methicillin-resistant Staphylococcus aureus colitis, MRSA enterocolitis
- 関
- メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 MRSA
概念
- MRSAが原因の腸炎であり、院内感染症である。
- 多い患者背景:術前に第3世代セフェム系抗菌薬を使用した患者。第3世代セフェム系抗菌薬を使用した高齢者。 (SSUR.539)
治療
- 薬剤の中止 (SSUR.539) ← 第3世代セフェム系抗菌薬のこと?
- 補液による脱水の改善 (SSUR.539)
- バンコマイシンの投与 (SSUR.539)
鑑別診断
原因が分からない腸炎に対するバンコマイシンの安易な使用について
- IRE.698を参考にしつつ
- バンコマイシンは最後の切り札として温存すべきである。米国ではバンコマイシン使用は厳重に管理されている。日本の臨床ではどうであろうか。抗菌薬に投資開発のリソースをつぎ込んでいる企業はかつてより少なくなってきている。細菌の進化をなるべく遅くするために、抗菌薬をもっと丁寧に使わなければならない。
- かつては「MRSA腸炎」と疑診しただけでバンコマイシンを使用しており、経験的治療としては正しいかも知れないが、抗菌薬の適正利用とはほど遠い。
国試
(治療・管理)095D056
[★]
- 英
- Enterococcus
- 同
- Enterococcus属、エンテロコッカス
- 関
- 腸球菌、腸球菌属、Enterococcus属、エンテロコックス、エンテロコッカス属、エンテロコックス属
概念
腸球菌属
[★]
- 英
- vancomycin-resistant Staphylococcus aureus infection VRSA infection
- 関
- 黄色ブドウ球菌、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌、VRSA
[★]
- 英
- vancomycin-intermediate Staphylococcus aureus, VISA
- 関
- 黄色ブドウ球菌
[★]
- 英
- vancomycin-resistant Staphylococcus aureus VRSA