出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/01/16 02:02:12」(JST)
過換気症候群(かかんきしょうこうぐん、Hyper Ventilation Syndrome)とは、精神的な不安によって過呼吸になり、その結果、手足や唇の痺れや動悸、目眩等の症状が引き起こされる心身症の一つである。このとき血液がアルカリ性に傾き、呼吸性アルカローシスとなっている。過呼吸症候群(かこきゅうしょうこうぐん)とも称されるが、一般に「過呼吸」と称されるものとの違いは原因が「精神的な不安」にあることであり、過呼吸症候群は呼吸を多く必要とする運動の後に起こるという点が異なるが、発症後の症状はほぼ同じである。
何らかの原因で呼吸を必要以上に行うことがきっかけとなり発症する。パニック障害などの患者に多くみられるが、運動直後や過度の不安や緊張などから引き起こされる場合もある。
過換気症候群は、呼気からの二酸化炭素の排出が必要量を超え動脈血の二酸化炭素濃度が減少して血液がアルカリ性に傾くため、息苦しさを覚える。そのため、無意識に延髄が反射によって呼吸を停止させ、血液中の二酸化炭素を増加させようとする。しかし、大脳皮質は、呼吸ができなくなるのを異常と捉え、さらに呼吸させようとする。また、血管が収縮してしまい、軽度の場合は手足の痺れ、重度の場合は筋肉が硬直する。それらが悪循環になって発作がひどくなっていく。
過換気症候群によって引き起こされる症状には以下のようなものがある。
直接的にこの症状が起因して死ぬ事はない。しかし心臓発作などを誘発し死に至るケースもある。 他の病気で発熱し、息が荒くなっただけで発症するケースもある。
呼吸の速さと深さを自分で意識的に調整すれば2~3分で自然に治まる。このことを利用し、万一発作が起きた場合は、介助者は何もせずに、大丈夫だ、安心しなさいと、患者を落ち着かせ、息を吐くことを患者に意識させ、ゆっくりと深呼吸をさせる(「吸う:吐く」が1:2になるくらいの割合で呼吸する。一呼吸に10秒くらいかけて、少しずつ息を吐く。また息を吐く前に1~2秒くらい息を止めるくらいがベター。胸や背中をゆっくり押して、呼吸をゆっくりするように促す。)などの呼吸管理によって、二酸化炭素を増やしながらも、酸素を取り込んで、窒息しないように呼吸管理をすることが、推奨されている。
かつては紙袋などに口・鼻をあて、吐いた空気を再度吸い込むという行為をくり返し、血中の二酸化炭素濃度を上げる方法(ペーパーバッグ法)がしばしば試みられた。この場合、酸素不足にならないよう、少し隙間を作っておくなどの配慮が必要でその加減が難しく、袋を用いる方法は有効性よりもむしろリスクの方が大きいという意見もある。誤った処置(袋をぴったりと口・鼻に当ててしまい、外気を遮断してしまうなど)により、発作時には、酸素が多すぎた状態から、一気にバランスが逆転し二酸化炭素が多くなり過ぎて、窒息死に至ったケースも報告されているという[1]。
また頻呼吸や過剰呼吸が見られるのは過換気症候群だけではない。例えば肺水腫で呼吸が乱れているときにペーパーバック法を行なうと症状が悪化し、時に死をもたらすので、慎重な鑑別診断が必要である。
一般的に発作は数時間以内に自然寛解することが多いが、不安が強い場合は抗不安薬が投与される。パニック障害やうつ病などが元疾患として存在する場合は、その治療も行われる。
2012年8月29日放送 NHK総合テレビ「ためしてガッテン」窒息死を招く大誤解! 本当は怖い過呼吸SP
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慢性呼吸困難 | 急性呼吸困難 | ||
呼吸器疾患 | 閉塞性障害 | 慢性閉塞性肺疾患 肺リンパ脈管筋腫症 びまん性汎細気管支炎 気管支拡張症 |
気管支喘息発作 アナフィラキシー 上気道閉塞 気道内異物 肺炎・細気管支炎 慢性呼吸器疾患の急性増悪 緊張性気胸 |
拘束性障害 | 肺線維症 間質性肺炎 | ||
混合性障害 | 塵肺 | ||
循環器疾患 | 肺高血圧症 慢性心不全 狭心症 |
急性冠症候群 急性心不全 非心原性肺水腫 致死性不整脈 肺血栓塞栓症 慢性呼吸器疾患に伴う右心不全 | |
血液疾患 | 貧血 | 急性出血 | |
神経筋疾患 | 重症筋無力症 ギラン・バレー症候群 筋萎縮性側索硬化症 進行性筋ジストロフィー |
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代謝疾患 | 甲状腺機能亢進症 | 糖尿病性ケトアシドーシス 尿毒症性アシドーシス | |
腎疾患 | 腎性貧血 | 糖尿病腎症に伴う肺水腫 急速進行性糸球体腎炎の肺障害 | |
中枢神経系疾患 | 脳炎 脳腫瘍 髄膜炎 |
||
精神神経系疾患 | 過換気症候群 神経症性障害 心身症 |
呼吸困難の原因となる病態・疾患 | ||
呼吸困難の機序 | 原因 | 病態.疾患 |
①換気(労作)の増加 | 低酸素血症 (hypoxemia) | チアノーゼをきたすCHD:Fallot四徴症など 高山病 肺動静脈瘻 肺実質病変:肺炎、腫瘍など 無気肺 肺塞栓症 新生児呼吸窮迫症候群 |
高炭酸ガス血症 | 閉塞性肺機能障害、肺胞低換気(「②換気能力の低下」参照) | |
アシドーシス(anaerobic and metabolic acidosis) | 心疾患:肺動脈弁狭窄症、MSによる心拍出量の低下 重症貧血 妊娠 腎不全 糖尿病 | |
発熱 | 感染症など | |
②換気能力の低下 | 閉塞性肺機能障害 | 気道の閉塞:喉頭炎、声帯麻痺、異物など 閉塞性肺疾患:慢性気管支炎、慢性肺気腫、気管支喘息、DPB |
拘束性肺機能障害 | 肺高血圧症:左心不全、MS 肺切除 胸水の貯留 気胸 腫瘍、肺炎 食道裂孔ヘル二ア 胸郭成形、脊柱後弯・脊柱側弯、強直性脊椎炎 間質性肺炎(特発性、続発性) 塵肺、過敏性肺炎、サルコイドーシス、BO 反復性誤嚥性肺炎 Langerhans肉芽腫症 | |
肺胞低換気 | 神経・筋機能不全:ポリオ、多発性神経障害、MG、筋ジストロフィー 低K血症など | |
③心因性呼吸困難 | 不安、抑うつ、医原性 | 過換気症候群 |
CHD:先天性心疾患、MS:僧帽弁狭窄症、DPB:びまん性汎細気管支炎、BO:閉塞性細気管支炎、MG:重症筋無力症 |
神経・筋の易刺激性(テタニー)
【現病歴】 誘因、発生様式(突発、緩徐)、経時的変化(一定、動揺、増悪/寛解傾向)、部位(一番痛い部位、放散する部位)、軽快因子、増悪因子、(反復するエピソードあれば)前回との比較、随伴症状 【既往歴】基礎疾患(DM, HT, DL) 【嗜好】smoking, alcohl 【服用薬】 【職業】 【身体所見】 Appearance: Face anguish, Diaphoresis, Cyanosis Vital: Consciousness: BT , BP / , HR (L Arm/R Arm, Lower Extrimity), RR , SpO2 Lymphnode: swollen/no swollen, breath sound →/↑/↓ Chest Heart:Is →/↑/↓, IIs →/↑/↓, IIIs(±)/IVs(±), murmur, friction rub ± Lung: crackle/rale Abdomen: soft/hard, tenderness Extremity: cold/pulse/edema Skin: dry/wet/hot/cold 【検査】 ECG: ST segment change Blood test: biochemistry: CK-MB, Troponine T, AST, LDH, H-FABP Blood count: WBC Arterial blood gas: PaO2 torr A-aDO2 = 150 - PaCO2/ 0.8 (torr) - PaO2 (normal below 20 Torr) Chest XP: Heart echography:
(%) | ||
1 | 血管迷走神経性失神 | 39.5 |
2 | 体位性低血圧による失神 | 7.6 |
3 | 心血管性失神 | 4.1 |
4 | 目撃者なしの痙攣 | 8.8 |
5 | 低血糖 | 1.8 |
6 | ヒステリー | 0.6 |
7 | 原因不明 | 37.6 |
pH | PaCO2 | HCO3- | Cl- | K+ | 原因 | 症状 | |
呼吸性アシドーシス | ↓ | ↑ | ↑(腎代償) | ↓ | ↑→ | 呼吸不全(上気道閉塞、気管支喘息重症発作、慢性閉塞性肺疾患、肺結核後遺症(胸郭形成術後)、神経筋疾患) | 表存性呼吸、脱力感、意識障害・昏睡 |
呼吸性アルカローシス | ↑ | ↓ | ↓(腎代償) | → | ↓ | 過換気(過換気症候群、間質性肺炎、肺血栓塞栓症) | 表存性呼吸、チアノーゼ、脱力感、意識障害・昏睡 |
代謝性アシドーシス | ↓ | ↑(呼吸代償) | ↓ | ↑→ | ↑→ | 消化管からのHCO3-喪失(下痢)・腎からのHCO3-喪失(低アルドステロン症) 有機酸の蓄積(乳酸アシドーシス、糖尿病性ケトアシドーシス、腎不全) |
周期性深呼吸、脱力感、意識障害・昏睡 |
代謝性アルカローシス | ↑ | ↓(呼吸代償) | ↑ | ↓ | ↓ | 消化管からのH+の喪失(嘔吐、下痢?) 腎からのH+喪失(原発性アルドステロン症、低カリウム血症、利尿剤の使用) |
過深呼吸、筋緊張・反射亢進、痙攣 |
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