- 英
- butyric acid, butanoic acid
- 同
- ブチル酸、ブタン酸
- 関
- カルボン酸
関連物質
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/12/19 22:15:48」(JST)
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酪酸 |
|
IUPAC名 |
ブタン酸(系統名)
酪酸(許容慣用名) |
別名 |
ブチル酸 |
分子式 |
C4H8O2 |
分子量 |
88.11 |
CAS登録番号 |
[107-92-6] |
形状 |
無色油状液体 |
密度と相 |
0.96 g/cm3, 液体 |
相対蒸気密度 |
3(空気 = 1) |
融点 |
−7.9 °C |
沸点 |
164 °C |
出典 |
国際化学物質安全性カード |
酪酸(らくさん、butyric acid)、IUPAC名ブタン酸 (butanoic acid) もしくはn-ブタン酸 (n-butyric acid) は、分子式 C4H8O2、示性式 CH3(CH2)2COOH の直鎖カルボン酸である。構造異性体にイソ酪酸 (CH3)2CHCOOH がある。哺乳類は極微量でも臭いを探知することができ、イヌでは 10 ppb、ヒトでは 10 ppm まで嗅ぎ分けることができる。
性質
融点 −7.9 °C、沸点 164 °C の無色の油状液体で、特有の不快臭を有する。pKa 4.82 の弱酸である。水とはよく混和するが、食塩水には溶けにくいことから、酪酸水溶液に多量の食塩を加えると分離することができる。
揮発性が低いため、建物の壁や柱に染み付くとリフォームを施してもなかなか臭いが取れない。
存在
バターから得られたのでこの名で呼ばれるようになった。銀杏の異臭の原因でもあり、足の悪臭の原因でもある。
脂肪酸の分解過程で生合成されるほか、バターやチーズ、皮脂に含まれている。哺乳類の大腸や反芻胃では細菌が食物の中のセルロースやヘミセルロースを嫌気発酵し、酪酸などの短鎖脂肪酸を生成しており、これが草食性動物の体内では重要なエネルギー源となっている。酪酸は、β酸化により酢酸に相当するアセチルCoAに分解され、クエン酸回路によりエネルギー源として利用される。
合成
工業的にはブタノールやブチルアルデヒドの酸化によって作られている。また、酪酸エチル、酪酸イソアミルなどのエステルはパイナップルの香気成分(香料)として知られる。
危険性
皮膚や粘膜に対する腐食性があり、水生生物に有害。ICSCでは「漏洩物処理」項目で、環境中への放出を禁じている。消防法に定める第4類危険物 第3石油類に該当する[1]。
脂肪:主な脂肪酸 |
|
飽和脂肪酸
(「*」印は揮発性)
|
C1 蟻酸* - C2 酢酸* - C3 プロピオン酸* - C4 酪酸* - C5 吉草酸 - C6 カプロン酸 - C7 エナント酸 - C8 カプリル酸 - C9 ペラルゴン酸 - C10 カプリン酸 - C11 ウンデシル酸 - C12 ラウリン酸 - C13 トリデシル酸 - C14 ミリスチン酸 - C15 ペンタデシル酸 - C16 パルミチン酸 - C17 マルガリン酸 - C18 ステアリン酸 - C19 ノナデシル酸 - C20 アラキジン酸 - C21 ヘンイコシル酸 - C22 ベヘン酸 - C23 トリコシル酸 - C24 リグノセリン酸
|
|
不飽和脂肪酸
|
ω-3脂肪酸
|
α-リノレン酸 - ステアリドン酸 - エイコサペンタエン酸 - ドコサペンタエン酸 - ドコサヘキサエン酸
|
|
ω-6脂肪酸
|
リノール酸 - γ-リノレン酸 - ジホモ-γ-リノレン酸 - アラキドン酸 - ドコサペンタエン酸
|
|
ω-7脂肪酸
|
パルミトレイン酸 - バクセン酸 - パウリン酸
|
|
ω-9脂肪酸
|
オレイン酸 - エライジン酸 - エルカ酸 - ネルボン酸
|
|
|
主要な生体物質:炭水化物(アルコール、糖タンパク質、配糖体) · 脂質(エイコサノイド · 脂肪酸/脂肪酸の代謝中間体 · リン脂質 · スフィンゴ脂質 · ステロイド) · 核酸(核酸塩基 · ヌクレオチド代謝中間体) · タンパク質(タンパク質を構成するアミノ酸/アミノ酸の代謝中間体) · テトラピロール · ヘムの代謝中間体 |
|
- ^ 法規情報 (東京化成工業株式会社)
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 4-アミノ酪酸富化食品用玄米を生産するための品種選定および追肥と収穫時期の検討
- 三枝 貴代,石川 哲也,樋口 浩二 [他]
- 日本食品科学工学会誌 = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology 62(9), 461-464, 2015-09
- NAID 40020589646
- 治療 尋常性乾癬患者を対象としたマキサカルシトールおよびベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル外用配合薬の第Ⅲ相臨床試験
- 中川 秀己,河井 雅彦,伊藤 嘉奈子
- 西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology : 日本皮膚科学会西部支部機関誌 77(4), 390-398, 2015-08
- NAID 40020562431
- 平成26年度家畜診療等技術全国研究集会・入賞論文 全国農業共済協会長賞 Salmonella Typhimuriumによる牛のサルモネラ症発生農場における清浄化事例
- 瀬川 潤
- 家畜診療 = Journal of livestock medicine 62(8), 477-483, 2015-08
- NAID 40020553664
Related Links
- 酪酸(らくさん、butyric acid)、IUPAC名ブタン酸 (butanoic acid) もしくはn-ブタン酸 (n- butyric acid) は、構造式 CH3(CH2)2COOH の直鎖カルボン酸である。構造異性体に イソ酪酸 (CH3)2CHCOOH がある。哺乳類は極微量でも臭いを探知することができ、 ...
- 2010年2月13日 ... シーシェパードは酪酸を「悪臭弾(stink bomb)」とか「腐ったバター(rancid butter)」など と呼び、「ただ悪臭がするだけで、酸性度も低く人体に害は無い」などとうそぶいています が、とんでもない話です。2年ほど前に、シーシェパードが酪酸を ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ガンマロン錠250mg
組成
有効成分
添加物
- トウモロコシデンプン、軽質無水ケイ酸、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、酸化チタン、マクロゴール6000、タルク、ジメチルポリシロキサン、二酸化ケイ素、カルナウバロウ
効能または効果
- 下記疾患に伴う諸症状(頭痛、頭重、易疲労性、のぼせ感、耳鳴、記憶障害、睡眠障害、意欲低下)
頭部外傷後遺症
- ガンマ−アミノ酪酸として、通常成人1日3g(12錠)を3回に分割経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
薬効薬理
脳代謝促進作用1,2)
- 脳では主として、血液からのグルコースをエネルギー源として機能が営まれている。ガンマ−アミノ酪酸は、TCAサイクルの導入部に必要なヘキソキナーゼ活性を高め糖質代謝を促進する。また、実験的脳損傷(イヌ)にガンマ−アミノ酪酸50mg/kgを静注した場合、脳血流量、脳酸素供給量などの増加が認められている。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- ガンマ−アミノ酪酸(γ-Aminobutyric Acid)
略名
化学名
分子式
分子量
性状
- 白色の結晶又は結晶性の粉末で、わずかに特異なにおいがあり、味はわずかに苦い。水又は氷酢酸に溶けやすく、メタノールに溶けにくく、エーテル又はクロロホルムにほとんど溶けない。水溶液(1→10)のpHは7.0〜8.0である。
融点
★リンクテーブル★
[★]
- 血中濃度が多臓器不全の進行の指標となるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101B062]←[国試_101]→[101B064]
[★]
- ☆case75 自宅での意識消失
- ■症例
- 21歳 男性
- 主訴:意識消失
- 現病歴:男性のアパートで意識を失っている所を彼女に発見され、午後5時に搬送された。彼女が最後に彼に会ったのは午後8時で、クリスマスの買い物をして帰宅した時であった。翌日午後、彼女が彼に会いに行った所、彼がお風呂の床で意識を失っているのを見つけた。彼女によれば、前日変わった様子(unusal mood)はなかった。彼は心理学の期末試験が1週間に迫っておりこのことを心配していたが、勉強はうまくいっているようだった。また以前の試験に問題はなかった。
- 喫煙歴:なし。
- 飲酒歴:機会飲酒 10 units/week(1週間に350mlビール6本弱)
- 既往歴:なし
- 家族歴:父と2人の兄弟のうち1人が糖尿病
- 服薬歴:以前、エクスタシー錠剤を服用していたが、静脈注射の薬はやったことがない。
- 身体所見 examination
- 顔貌 青白。注射痕は認められない。脈拍 92/分、血圧 114/74 mmHg、呼吸数 22/分。心血管系、呼吸器系に異常を認めず。神経系 命令に従わないが、痛みに反応して適切に手を引っ込める(GCS M4)。腱反射(+)・対称性、足底反射(-)。瞳孔散大、対光反射(+)。眼底 視神経円板腫脹
- ■鑑別診断をあげるためのkeyword(司会者用)
- ・24時間以内に来した意識消失、糖尿病の家族歴、冬、風呂、精神疾患リスク(試験で悩んでいる。薬物の服用歴)、顔色、脈拍、血圧、呼吸数、腱反射、病的反射、瞳孔、眼底(司会者用)
- ■keywordからどういう疾患を考えるか?
- 真っ先にあげたいもの
- ・二次的な脳圧亢進
- ・糖尿病
- ・薬物中毒、中毒物質の摂取・吸引
- ・神経疾患(てんかんなど)の発作
- ・24時間以内に来した意識消失
- ・クモ膜下出血:局所神経症状、硝子体下出血(subhyaloid hemorrhage)。
- ・糖尿病の家族歴
- ・低血糖発作
- 低血糖による昏睡は早いが糖尿病の新規症状として起こらない。まれにインスリノーマによる低血糖による昏睡があり得る。
- ・糖尿病性ケトアシドーシス diabetic ketoacidosis DKA
- 極度のインスリン欠乏とコルチゾールやアドレナリンなどインスリン拮抗ホルモンの増加により、(1)高血糖(≧250mg/dl)、(2)高ケトン血症(β-ヒドロキシ酪酸の増加)、アシドーシス(pH7.3未満)をきたした状態。(糖尿病治療ガイド 2008-2009 p.66)
- ・高浸透圧性非ケトン性昏睡 nonketotic hyperosmolar coma
- DM type 2
- 50歳以上に好発し、インスリン非依存性糖尿病*患者が腎不全や中枢神経障害、悪性腫瘍、消化器疾患、呼吸器感染などを合併するときに多くみられ、ステロイドや利尿薬の投与、輸液や高カロリー補給、人工透析などの際に医原性に起きやすい。
- 高血糖性の昏睡は発症が早くない。その前に口渇や多尿があるはず。
- → 否定するための検査 → 血糖測定
- ・風呂
- ・脳出血
- ・冬だし、風呂(脱衣所のことか)にガスヒーターがあったら疑わしい。
- ・精神疾患リスク(試験で悩んでいる。薬物の服用歴)
- (最も多いのが)薬物中毒(鎮静薬、アスピリン、アセトアミノフェン)
- (意識障害で運ばれてきたときに考えるべきなのが)一酸化中毒
- 一酸化中毒の場合の顔色は蒼白(cherry-red colorと言われてきたが)。眼底所見:(severe CO中毒で)乳頭浮腫
- ・顔色
- ・脈拍、血圧、呼吸数
- ・腱反射、病的反射
- 腱反射が亢進していたら、上位運動ニューロンの障害を考慮する。腱反射亢進と意識障害が共存していれば、障害部位は脊髄の伝導路ではなくむしろ脳幹・大脳皮質に障害があると考えることができる。
- ・瞳孔
- 瞳孔が散大していれば交感神経興奮、副交感神経の麻痺:フェニレフリン・エピネフリン・コカインなど交感神経刺激、動眼神経麻痺、脳死の徴候
- 瞳孔が縮瞳していれば副交感神経興奮、オピオイド受容体への刺激:麻薬中毒、有機リン中毒、橋出血、脳幹部梗塞(脳底動脈閉塞症など)
- ・眼底 (IMD.71)
- 視神経円板(=視神経乳頭)の腫脹は乳頭浮腫(papilledema, DIF.342)を反映。乳頭浮腫の発生機序は軸索輸送障害や静脈還流うっ滞である。原因として頭蓋内疾患が最も多い。頭蓋外の疾患(高血圧、視神経炎、偽性脳腫瘍)。
- 乳頭浮腫 papilledema DIF.243
- V 動静脈奇形、高血圧による脳血圧脳症・頭蓋内出血、クモ膜下出血、硬膜下血腫
- I 脳膿瘍、慢性経過の髄膜炎(細菌性×)、敗血症による血栓や静脈洞血栓
- N 脳腫瘍
- D -
- C 動静脈奇形、水頭症、頭蓋奇形(尖頭症などによる)、血友病、時にSchilder disease
- A ループス脳炎、動脈周囲炎
- T 急性期の硬膜外血腫や硬膜下血腫ではない。慢性硬膜下血腫ならありうる。
- E 褐色細胞腫による悪性高血圧、偽性脳腫瘍(=特発性頭蓋内圧亢進症)(肥満・無月経・感情障害(emotionally disturbed)をきたした女性に多い)
- ■問題
- 症例だけでは絞れないので、最も疑われる疾患をあげ、鑑別診断を列挙し、検査、治療を考えていくことにします。
- ■一酸化炭素中毒
- ■オチ
- 血中carboxyhemoglobinを測定したところ32%。高レベルの酸素投与でゆっくりだが、48時間で完全に回復。脳浮腫にたいするマンニトールや高圧酸素療法も考慮する。問題は4年間点検されていないガス温水器の不完全燃焼だったとさ。
- ■KEY POINTS
- ・薬物中毒は若い人の意識消失の最も一般的な原因だけど、他の診断もいつも考慮しておく。
- ・一酸化炭素ヘモグロビンレベルは屋内や車内、あるいはよく分からない煙に暴露した意識消失患者で測るべき
- ・一酸化中毒による重度の低酸素血症ではチアノーゼを欠く。
- ■initial plan(救急だからのんびりやってられないだろうけど)
- A.
- 1. 呼吸器系、循環器系の安定を確認
- 2. 血液ガス検査
- 3. 血液生化学(電解質(Na,Ca)、血糖)
- □ビール1本 = 350ml アルコール5%: 350 (ml/本) x 0.05 / 10 (ml/unit) =1.75 (unit/本)
- ■参考文献
- DIF Differential Diagnosis in Primary Care Fourth Edition版 Lippincott Williams & Wilkins
[★]
- 英
- carboxylic acid
カルボン酸の一覧
飽和脂肪酸
炭素数
|
慣用名
|
IUPAC名
|
化学式
|
備考
|
1 |
ギ酸 |
メタン酸 |
HCOOH |
アリ、ハチの毒
|
2 |
酢酸 |
エタン酸 |
CH3COOH |
酢
|
3 |
プロピオン酸 |
プロパン酸 |
CH3CH2COOH |
|
4 |
酪酸 |
ブタン酸
|
CH3(CH2)2COOH |
油脂が腐敗した臭い
|
5 |
吉草酸 |
ペンタン酸
|
CH3(CH2)3COOH |
|
6 |
カプロン酸 |
ヘキサン酸
|
CH3(CH2)4COOH |
|
7 |
エナント酸 |
ヘプタン酸
|
CH3(CH2)5COOH |
|
8 |
カプリル酸 |
オクタン酸
|
CH3(CH2)6COOH |
|
9 |
ペラルゴン酸 |
ノナン酸
|
CH3(CH2)7COOH |
|
10 |
カプリン酸 |
デカン酸
|
CH3(CH2)8COOH |
|
12 |
ラウリン酸 |
ドデカン酸
|
CH3(CH2)10COOH |
ココナッツ油
|
14 |
ミリスチン酸 |
テトラデカン酸
|
CH3(CH2)12COOH |
|
16 |
パルミチン酸 |
ヘキサデカン酸
|
CH3(CH2)14COOH |
|
17 |
マルガリン酸 |
ヘプタデカン酸
|
CH3(CH2)15COOH |
|
18 |
ステアリン酸 |
オクタデカン酸
|
CH3(CH2)16COOH |
|
[★]
- 英
- β-hydroxybutyrate, β-hydroxybutyric acid, beta-hydroxybutyrate
- 同
- 3-ヒドロキシ酪酸 3-hydroxybutyrate 3-hydroxybutyric acid,D-3-ヒドロキシ酪酸 D-3-hydroxybutyrate,ヒドロキシ酪酸 hydroxybutyrate
- 関
- ケトン体、酪酸
- 3-hydroxybutyrate カルボキシ基の炭素が1位
- β-hydroxybutyrate カルボキシ基に隣接する炭素がα位
- 脂肪のβ酸化が亢進するときに生じる。
- 3分子のアセチルCoAでHMG-CoAを生じ、HMG-CoAリアーゼによりアセト酢酸が生じる
[★]
酪酸、酪酸エステル、酪酸塩
- 関
- butanoic acid、butyric acid
[★]
- 英
- butyrate
- 関
- 酪酸、酪酸エステル、ブタン酸
[★]
- 英
- 2-amino-3-hydroxybutyric acid
- 関
- トレオニン
[★]
- 英
- acid
- 関
- 塩基
ブランステッド-ローリーの定義
ルイスの定義