- 英
- patent ductus arteriosus, PDA
- 関
- 心室中隔欠損症、心房中隔欠損症
- 動脈管、動脈管索
まとめ
- 出生後72時間以内に閉鎖するはずの動脈管が残存することが本疾患の本態である。多くの症例では無症状であり、2LSBに連続性雑音を聴取することで診断されうる。動脈管開存の程度が大きい場合、左心系負荷、左心不全、あるいは肺高血圧によりアイゼンメンゲル症候群を来しうる(この場合のチアノーゼは下半身に起こる)。また、動脈管の圧迫により左反回神経麻痺を起こしうる。治療は動脈管結紮切離術、コイル塞栓法、(未熟児に対しては)インドメタシン投与により行う。(YN.C-123 SSUR.360)
概念
病因
疫学
- 先天性心疾患の約5-10% (YN.C-123)
- 男女比 = 1:2-3 (YN.C-123)
病態
肥大部位 PHD.380-
|
RA
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RV
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LA
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LV
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ASD
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○
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○
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VSD
|
|
○
|
○
|
○
|
PDA
|
|
|
○
|
○
|
症候
- 左心房肥大、左心室肥大
- 左心不全
- (次第に)肺高血圧
- (肺高血圧からアイゼンメンゲル化した症例)下半身のチアノーゼ
身体所見
脈拍
聴診
- シャント量によって所見が変化する。
- 新生児期(つまり病初期)には収縮期雑音。 → 拡張期雑音が出現し連続性雑音となる(拡張期雑音は高まった動脈圧によりdriveされる動脈管から肺動脈への血流を反映。よってII音でピークとなる)。 → 肺高血圧の進行により、収縮期雑音のみとなり、IIp音が亢進。
検査
胸部単純X線写真
- 左第一弓↑、左第三弓↑、左第四弓↑
- 左第二弓↑(SPE.449)
- 肺血管陰影増強
心エコー
心カテーテル検査
- カテーテルの肺動脈から大動脈弓への到達
- 肺動脈血の酸素飽和度上昇
- 肺動脈圧上昇
心電図
- 左室肥大、V5-V6に目立つq波 (SPE.449)
治療
- 生後半年を過ぎると動脈管自然閉鎖はまれである
方針
- ガイドライン1
- 細い動脈管で心雑音のない場合(silent PDA)について治療適応かどうかは統一見解がない。
- 治療適応は連続性雑音が見られる場合であり、肺血管抵抗が高くなり右左短絡が主体で高度の肺高血圧が見られる例、あるいはEisenmenger化した例については治療適応がない。
- 治療法の選択は形態と太さによる。心エコーで評価できなければ造影CTやMRIを施行する。
- 経皮的コイル塞栓術は最小内径が2.5mm以下の場合に第一選択となり、狭窄部がない筒型や、最小内径が4mm以上の場合にはコイル塞栓症は適応とならない。窿形成を伴っている場合や、動脈管の長さが短いwindowsタイプではステントグラフト内挿術や外科手術が適応となる。
↓これは出典不明
- シャント量が小さい場合でも感染性心膜炎のリスクとなるため、全例で手術適応。
- 未熟児~乳児期に心不全を認める例:早期手術
- その他:待機的に3-6歳での手術
手術療法
- 適応:肺高血圧合併症例、易感染性や発育不全を認める症例。(SPE.450)
- 手術法:動脈管の結紮切離
interventional radiography
内科的治療
ガイドライン
- 1. 先天性心疾患の診断、病態把握、治療選択のための検査法の選択ガイドライン
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010_hamaoka_h.pdf
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/09/01 16:42:50」(JST)
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動脈管開存症(どうみゃくかんかいぞんしょう、英: patent ductus arteriosus; PDA)とは生後動脈管が閉鎖しなかった結果として生じる先天性心疾患。初期には大動脈から肺動脈への血液の流入(左→右短絡)により肺の血液量が増加し、左心系うっ血性心不全を示すが、病気の進行により肺動脈圧が大動脈圧を超えると肺動脈から大動脈への血液の流入(右→左短絡)が生じ、静脈血が全身に循環することにより低酸素血症を示す(アイゼンメンガー症候群)。動脈管開存症では通常の血流量より多くの血液が流れるため、肺動脈や肺静脈の血管径は拡張する。
目次
- 1 原因
- 2 症状
- 3 診断
- 4 治療
- 5 関連項目
- 6 参考文献
原因[編集]
動脈管が出生後も開存し続けて、肺動脈→下行大動脈への短絡経路として機能することにより症状を示す。
症状[編集]
症状は通常、左心系うっ血性心不全の発症がみられるまで現れない。肺と左心系への負荷が高まると運動不耐性や頻呼吸、咳が認められる。特有の連続性雑音が聴取される。また、大腿動脈ではバウンディングパルス(英語版)が触知される。
診断[編集]
心電図ではⅡ誘導とaVF誘導においてR波の増高が認められる。胸部X線撮影では左心房の拡大、肺血管の拡張、左心室の拡大が認められる。超音波診断では短絡血流が認められる。
治療[編集]
動脈管の切断あるいは結紮などの外科手術(結紮、コイル塞栓術)による治療が可能である。右→左短絡の場合は外科手術は禁忌。
関連項目[編集]
参考文献[編集]
- 獣医学大辞典編集委員会編集 『明解獣医学辞典』 チクサン出版 1991年 ISBN 4885006104
- 日本獣医内科学アカデミー編 『獣医内科学(小動物編)』 文永堂出版 2005年 ISBN 4830032006
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 獣医師生涯研修事業のページ Q&A小動物編[含 解答と解説] (日本獣医師会雑誌(日獣会誌))
- from COMPENDIUM 循環 犬の動脈管開存症
- Broaddus Kristyn D.,Tillson D. Michael,浜部 理奈 [訳]
- J-vet 24(3), 27-43,104, 2011-03
- NAID 40018754480
- 動脈管開存症に対するPDA閉鎖セットを用いた経皮的カテーテル閉鎖術--AMPLATZER Duct Occluder
- 症例 特発性血小板減少性紫斑病を持つ成人PDAの1治験例
Related Links
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- 未熟児の動脈管開存症では、いったん安定した呼吸状態が悪化したり、肺出血・心不全を 起こすことがあるので、胸部レントゲンで心拡大や肺血管陰影の増加が見られた場合には 直ちに内科的治療を開始する。メフェナム酸(ポンタール)やインドメサシン( ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 6歳の男児。学校の健康診断で心電図異常を指摘され来院した。
- 出生直後から心雑音を指摘されていたが、特に自覚症状もなく精密検査を受けたことがなかった。
- 身長115cm、体重20.5kg。呼吸数26/分。脈拍112/分、整。チアノーゼは認めない。
- 胸骨左縁第2肋間で振戦(thrill)を触れ、4/6度の駆出性収縮期雑音を聴取する。II音分裂間隔は広くIIpが減弱している。
- 心電図と胸部エックス線写真とを以下に示す。
- 考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [098A018]←[国試_098]→[098A020]
[★]
- 3か月の乳児。哺乳力低下を主訴に来院した。意識は清明。身長62cm、体重5.5kg。第4肋間胸骨左縁に3/6度の収縮期雑音を聴取し、II音肺動脈成分は亢進している。血液所見:赤血球385万、Hb11.3g/dl、Ht34%、白血球8,900。心臓カテーテル検査所見:肺動脈圧52mmHg、右室圧52mmHg、左室圧75mmHg、Qp/Qs3.7、肺血管抵抗1.8単位、左室拡張終期容積(正常値比)201%。心電図を以下に示す。診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [100A024]←[国試_100]→[100A026]
[★]
- 3歳の男児。3歳児健診で初めて心雑音を指摘され来院した。生来かぜをひきやすく、年に5、6回は急性咽頭炎として治療を受けていた。身長95cm、体重12kg。脈拍98/分、整。心臓の聴診で、第2肋間胸骨左縁を最強点とする2/6度の収縮期雑音を聴取し、II音の固定性分裂を認める。他に特記すべき身体所見はない。胸部エックス線写真と心電図とを以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [095D017]←[国試_095]→[095D019]
[★]
- 1か月の乳児。健康診査のため来院した。在胎38週、体重2,830gで出生し、生後5日に退院した。身長52cm、体重3,900g。母乳栄養で哺乳力は良好である。呼吸数40/分。心拍数120/分、整。血圧86/54mmHg。呼吸音に異常を認めない。胸骨左線第3肋間を最強点とする3/6度の収縮期雑音を聴取する。肝を右肋骨弓下に1cm触知する。心エコー図(別冊No、8A、B)を別に示す。
- 診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104A025]←[国試_104]→[104A027]
[★]
- 歳の男児。生後1か月ころに心雑音を指摘され、心エコー検査で診断、経過観察されていた。シャント疾患の精査のために施行された心臓カテーテル検査の心腔内酸素飽和度を以下に示す。
- 上大静脈:82.5%、下大静脈:87.8%。
- 右心房:92.9%、右心室:91.3%、肺動脈:92.8%。
- 左心房:98.9%、左心室:98.5%、大動脈:98.4%。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113A027]←[国試_113]→[113A029]
[★]
- 38歳の女性。会社の健康診断で心雑音を指摘され来院した。自覚症状はない。前胸部に連続性雑音を聴取する。心臓カテーテル検査所見:酸素飽和度は上大静脈70%、下大静脈72%、右房81%、右室81%、肺動脈82%、左室97%、大動脈97%。上行大動脈造影写真を以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [100A023]←[国試_100]→[100A025]
[★]
- 7歳の女児。学校健診で心雑音を指摘されたため来院した。生来かぜをひきやすい。身長120cm、体重25kg。脈拍84/分、整。血圧96/72mmHg。第3肋間胸骨左縁に2/6度の収縮期雑音を聴取する。血液所見:赤血球370万、Hb11.7g/dl、Ht35%。心カテーテル検査所見を表に示す。診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [099A019]←[国試_099]→[099A021]
[★]
- 3歳の男児。 3歳児健康診査で心雑音を指摘され来院した。胸骨左縁第 2肋間を最強点とする III /VIの収縮期駆出性〈収縮中期性〉雑音を聴取し、この雑音は左頸部に放散する。
- 考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108F018]←[国試_108]→[108F020]
[★]
- 28歳の女性。妊娠38週で分娩した。妊娠20週に破水し、その後の超音波検査で羊膜腔がほとんど認められていなかった。
- 児に認められる可能性が高いのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105E046]←[国試_105]→[105E048]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [101B071]←[国試_101]→[101B073]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [096H024]←[国試_096]→[096H026]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [108I034]←[国試_108]→[108I036]
[★]
- インターベンショナルラジオロジーの適応となるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [098G113]←[国試_098]→[098G115]
[★]
- 先天性心疾患で連続性雑音を聴取するのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [110A015]←[国試_110]→[110A017]
[★]
- 在胎41週、1,950gで出生した新生児に合併しやすいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102A001]←[国試_102]→[102A003]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [113E012]←[国試_113]→[113E014]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [112D007]←[国試_112]→[112D009]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [097G115]←[国試_097]→[097G117]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [106I010]←[国試_106]→[106I012]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [103I008]←[国試_103]→[103I010]
[★]
- 英
- infective endocarditis, IE
- 関
- 心内膜炎、細菌性心内膜炎
概念
- 感染性心内膜炎は弁膜や心内膜、大血管内膜に細菌集蔟を含む疣腫(vegetation)(注1)を形成し、菌血症、血管塞栓、心障害など多彩な臨床症状を呈する全身性敗血症性疾患である。感染性心内膜炎はそれほど頻度の多い疾患ではないがいったん発症すれば、的確な診断の下、適切な治療が奏功しないと多くの合併症を引き起こし、ついには死に至る。(ガイドライン.1)
疫学
- 緑色連鎖球菌が感染性心内膜炎の原因として最多である。(YN.C-129)
- 院内発症:Streptococcus viridans > ブドウ球菌 > 腸球菌
- 院外発症:ブドウ球菌(Staphylococcus aureus > CNS ) > Streptococcus viridans
発症のメカニズム
- 非細菌性血栓性心内膜炎(nonbacterial thrombogenic endocarditis, NBTE)は次の2つの影響で生じるとされる;(1)弁膜疾患や先天性心疾患に伴う異常血流、(2)人工弁置換術語例など異物の影響。非細菌性血栓性心内膜炎の存在下で一過性の菌血症(医原性など)すると、NBTEに病原体が付着・増殖し疣腫が形成される。疣腫は僧帽弁の心房側、半月弁の心室など逆流血流がアル部位や、シャント血流や狭窄血流の異常ジェット血流が心内膜面にある所に認められる。(ガイドライン.1改変)
- ジェット血流の存在が発症に関わっているので、軽症の弁膜症の方がジェット血流を来しやすい。従って、心内膜炎も来しやすい。(QB.C-454)
リスクファクター
資料(1)より
- 人工弁置換患者:(感染性心内膜炎による?)手術例の3分の2を占める!
- 心内膜炎の既往を有する患者:再発しやすい
- 先天性心疾患:心房中隔欠損症(ASD)(二次口型)を除いてほとんどの先天性心疾患がハイリスク群となる。
- 大動脈二尖弁:0.5-1.0%に存在するとされ、また感染性心内膜炎患者の約20%程度が大動脈二尖弁
- 大動脈弁閉鎖不全症(AR)、僧帽弁閉鎖不全症(MR)、僧帽弁逸脱症(MVP)はリスクとなる
- ASはARよりリスクは小さいとされ、MSについてはハイリスクかは議論が分かれている。
- 閉塞型肥大型心筋症:ハイリスク群とのコンセンサスがある
- 中心静脈カテーテル留置患者
分類
経過
- 急性感染性心内膜炎:ブドウ球菌
- 亜急性感染性心内膜炎:緑色連鎖球菌、腸球菌、心筋
病原体を細菌に限定
宿主の要因
- native valve endocarditis:心内膜炎患者の60-80%を占める
- prosthetic valve endocarditis:Staphylococcus epidermidisが病原体であることが普通
- endocarditis in the setting of intravenous drug abuse:右心系の弁に起こりやすい
検査
臨床経過
- 菌血症が起こってから,症状の発現までの期間は短く、80%以上の例では2週間以内(ガイドライン.1)。
身体所見
- 感染性心内膜炎の身体所見JaRO → ジェーンウェー病変(Janeway斑)、ロス斑(Roth斑)、オスラー結節(Osler結節)
症状
亜急性感染性心内膜炎
- 非特異的な症状(発熱・全身倦怠感、食欲不振、体重減少、関節痛)が徐々に進展。
急性感染性心内膜炎
心臓外の合併症
- ガイドライン.1
- 頻度:27-45%
- 好発時期:発症後2週間
- 検査:CTなど
- 好発部位:中枢神経系(60-70%)、脾臓、腎臓、肺、末梢動脈、冠動脈、肝臓、腸間膜動脈
- 脾臓:脾梗塞、脾膿瘍、脾破裂
- 肺梗塞:IE全体の9-11%の頻度で見られる。右心系の疣腫(三尖弁、肺動脈弁、右室流出路)
- 腎障害
- 原因:疣贅による脳動脈の塞栓
- 頻度20-40%
- 感染性心内膜炎初発症状としての脳合併症:47%
- 種類:脳梗塞、一過性脳虚血発作、脳出血、脳動脈流、髄膜炎、脳膿瘍、てんかん発作
- 頻度:1.2-5.6%
- 症状:頭痛、知覚障害、脳神経症状
- 好発部位:中大脳動脈領域(二次分岐部)
診断
- 病歴:先天性心疾患、弁膜症の既往、抜歯・手術後の発熱の遷延
- 血液培養:起炎菌の検出
- 心エコー:疣贅
- 2. Duke criteria(HIM.792)
- ガイドライン.1より抜粋
IE 確診例
Ⅰ.臨床的基準
- 大基準2 つ,または大基準1 つと小基準3 つ,または小基準5 つ
(大基準)
-
- A.2回の血液培養で以下のいずれかが認められた場合
- B.つぎのように定義される持続性のIE に合致する血液培養陽性
- (i) 12 時間以上間隔をあけて採取した血液検体の培養が2 回以上陽性
- (ii)3 回の血液培養すべてあるいは4 回以上の血液培養の大半が陽性(最初と最後の採血間隔が1 時間以上)
- 2.心内膜が侵されている所見でAまたはB の場合(注4)
-
- (i) 弁あるいはその支持組織の上,または逆流ジェット通路,または人工物の上にみられる解剖学的に説明のできない振動性の心臓内腫瘤
- (ii)膿瘍
- (iII) 人工弁の新たな部分的裂開
- B.新規の弁閉鎖不全(既存の雑音の悪化または変化のみでは十分でない)
(小基準)(注5)
- 1.素因:素因となる心疾患または静注薬物常用
- 2.発熱:38.0℃以上
- 3.血管現象:主要血管塞栓,敗血症性梗塞,感染性動脈瘤,頭蓋内出血,眼球結膜出血,Janeway病変
- 4.免疫学的現象:糸球体腎炎,Osler結節,Roth斑,リウマチ因子
- 5.微生物学的所見: 血液培養陽性であるが上記の大基準を満たさない場合,またはIE として矛盾のない活動性炎症の血清学的証拠
Ⅱ.病理学的基準
- 菌: 培養または組織検査により疣腫,塞栓化した疣腫,心内膿瘍において証明,あるいは病変部位における検索:組織
学的に活動性を呈する疣贅や心筋膿瘍を認める
IE 可能性
- 大基準1 つと小基準1 つ,または小基準3 つ(注6)
否定的
- 心内膜炎症状に対する別の確実な診断,または
- 心内膜炎症状が4 日以内の抗菌薬により消退,または
- 4 日以内の抗菌薬投与後の手術時または剖検時にIE の病理学所見なし
- 注1) 本ガイドラインでは菌種の名称についてはすべて英語表記とし通例に従って Streptococcus viridans 以外はイタリック体で表示した.
- 注2) Staphylococcus aureus は,改訂版では,i)に含まれるようになった.
- 注3) 本項は改訂版で追加された.
- 注4) 改訂版では,人工弁置換例,臨床的基準でIE可能性となる場合,弁輪部膿瘍などの合併症を伴うIE,については,経食道心エコー図の施行が推奨されている.
- 注5) 改訂版では,“心エコー図所見:IEに一致するが,上記の大基準を満たさない場合”,は小基準から削除されている
- 注6) 改訂版では,“IE可能性”は,このように変更されている
治療
QB.C-454
- 緑色連鎖球菌:ペニシリンG(大量投与)
- 腸球菌:ペニシリン+アミノグリコシド系抗菌薬
- 黄色ブドウ球菌:第1-2世代セフェム系抗菌薬+アミノグリコシド系抗菌薬
外科的治療
- ガイドライン.1
- 以下の病態が観察されるか予想されるときに手術適応を考慮。
- 1. うっ血性心不全
- 2. 抵抗性感染
- 3. 感染性塞栓症
うっ血性心不全
抵抗性感染
感染性塞栓症
感染性心内膜炎の手術適応
- ガイドライン.1
自己弁および人工弁心内膜炎に共通する病態
- 1. 弁機能障害による心不全の発現
- 2. 肺高血圧(左室拡張末期圧や左房圧の上昇)を伴う急性弁逆流
- 3. 真菌や高度耐性菌による感染
- 4. 弁輪膿瘍や仮性大動脈瘤形成および房室伝導障害の出現
- 5. 適切かつ十分な抗生剤投与後も7 ~ 10 日以上持続ないし再発する感染症状
- 1. 可動性のある10 ㎜以上の疣腫の増大傾向
- 2. 塞栓症発症後も可動性のある10 ㎜以上の疣腫が観察される場合
人工弁心内膜炎における病態
- 1. 弁置換後2 ヶ月以内の早期人工弁感染抗菌薬抵抗性のブドウ球菌,グラム陰性菌による感染
- 2.適切かつ充分な抗菌薬投与後も持続する菌血症で他に感染源がない場合
予防
成人における感染性心内膜炎の基礎疾患別リスク
- 感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017 年改訂版)
- 生体弁、機械弁による人工弁置換術患者、弁輪リング装着例
- 感染性心内膜炎の既往を有する患者
- 複雑性チアノーゼ性先天性心疾患(単心室、完全大血管転位、ファロー四徴症)
- 体循環系と肺循環系の短絡造設術を実施した患者
- 中等度リスク群(必ずしも重篤とならないが、心内膜炎発症の可能性が高い患者)
- ほとんどの先天性心疾患:単独の心房中隔欠損症(二次孔型)を除く
- 後天性弁膜症:逆流を伴わない僧帽弁狭窄症ではリスクは低い
- 閉塞性肥大型心筋症
- 弁逆流を伴う僧帽弁逸脱
- 人工ペースメーカ、植込み型除細動器などのデバイス植込み患者
- 長期にわたる中心静脈カテーテル留置患者
ガイドライン
- 1. 感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2008年改訂版)
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2003_miyatake_h.pdf
- 2. 感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017 年改訂版)
- https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2017_nakatani_h.pdf
[★]
- 英
- hypertrophic cardiomyopathy HCM, HCMJ
- 関
- 心筋症
定義
- 肥大型心筋症とは以下2つを特徴とする疾患群である(2005年の特発性心筋症調査研究班の手引き)。
- 1. 左室ないしは右室心筋の肥大
- 2. 心肥大に基づく左室拡張能低下
- ただし、基礎疾患ないし全身性の異常に続発し類似した病態を示す二次性心筋症(特定心筋症)は除外すること。
臨床検査による定義
- 心エコー検査もしくは心臓MRIで、15mm以上の最大左室壁厚(肥大型心筋症の家族歴がある場合は13mm以上)があること。
ESCのガイドライン 2014年による診断基準
- 1. 1つ以上のsegmentにおいて、15mm以上の左室壁肥厚が認められる。これは心エコー検査、CMRなどの画像診断を用い、安静時での評価による。
- 2. 13~14mmの壁肥厚の場合、肥大型心筋症の診断は家族歴、心臓以外の症状や兆候、心電図所見、遺伝子検査、各種画像検査での評価を含めた総合的な判断となる。
- 3. 左室壁肥厚が15mm以上の肥大型心筋症患者の第1度近親者以内の親族については、心エコー検査、CMR、心臓 CTなどの画像診断で 1 つ以上の segmentにおいて13mm以上の左室壁肥厚を認めた場合、肥大型心筋症の可能性を考慮する。
病因
- 半数が常染色体優性遺伝による。sarcomere complexを構成する蛋白をコードする遺伝子の異常による。この遺伝子にはβミオシン重鎖、トロポニンT、ミオシン結合蛋白Cをコードするものがある。(PHD.259) → 蛋白の構造異常によるからAD
病型
- 心筋症診療ガイドライン(2018年改訂版) - 日本循環器学会
- HOCM(basal obstruction):安静時に30mmHg以上の左室流出路圧較差を認める
- HOCM(labile/provocable obstruction):安静時に圧較差は30mmHg未満であるが、運動などの生理的な誘発で30mmHg以上の圧較差を認める
病理
- pattern of extensive disarray. Short, wide, hypertrophied fibers are oriented in chaotic directions and surrounded by numerous cardiac fibroblasts and extracellular matrix.(PHD.259) → これが拡張障害や不整脈の原因となる
症状
胸部症状
- 左室拡張障害に伴う左室拡張末期圧の上昇による肺毛細管圧の上昇、また左室内腔の狭小化による低心拍出量などが関連
- 相対的心筋虚血が原因となりうる
- 動悸(不整脈(PAC,VPC,af)、頻脈、収縮力の増大に伴う過収縮)
脳症状
- 不整脈(心室頻拍、心室細動)ないし流出路狭窄による動作時・起立時の血圧低下が原因となる。血管拡張薬などの禁忌薬の使用時、起立動作時、飲酒時などに好発する。
症候
- dyspnea, palpirations, bifid apical impulse, coarse systolic murmur at the left sternal border, and ventricular hypertrophy with asymmertric septal thickening on echo cardiogram.(Q book p.304)
- bifid apical impulse: the forceful atrial contraction may also result in a palpable presystolic impulse over the cardiac apex (=double apical impulse)
- coarse systolic murmur: LA contraction into the stiffened LV
身体所見
- PHD.262
心音
- S4:肥大した左心室壁に対して左心房が無理に血液を送り込むため
- double apical impulse:心尖部で触れる。左心房の懸命な収縮+左心室の収縮
- (左室流出路が狭窄している場合)systolic murmur at the left lower sternal border → AS like でダイアモンド型の駆出期雑音を生じる
- (左室流出路が狭窄している場合)holosystolic blowing murmur at apex by MR → 僧帽弁前尖を左室流出路に引き寄せるからMRが生じる。汎収縮期雑音を生じる。(also see PHD.44)
- 各種手技による雑音の変化。ASと反対の挙動を示す
-
- elevating one's leg
- increasing sympathetic tone
- squatting → HOCMにおいて、姿勢性めまいは一般的。The LV thus decreases in size and outflow tract obstruction intensifies.(PHD.262)
検査
頚動脈圧
- 左室流出路が狭窄している場合は、頚動脈圧波の収縮期早期における急峻な立ち上がりと急激な低下がみられる(PHD.262)。HOCMでは収縮中期に駆出される血液量が低下し収縮期の脈波が二つの峰を形成する(参考2)。
- その他、二峰性の頚動脈が認められる病態:大動脈閉鎖不全症、閉塞性肥大型心筋症、開存の大きい動脈管開存症、Valsalva洞破裂
心エコー
- Mモードで観察
- 左心室壁の肥厚
- 非対称性中隔肥大(ASH)
- 僧帽弁前尖の収縮期前方運動(SAM):循環血液量の減少と左室の過収縮による(YN.C-135)
- 大動脈弁の収縮中期半閉鎖:HOCMでは収縮中期に駆出される血液量低下のために大動脈弁が閉鎖しそうになる(参考2)
- 僧帽弁後退速度 DDRの低下:左心室のコンプライアンスが低下することにより、左室への血液流入速度が低下するため(YN.C-135)
心電図
- ST下降、T波の陰転化、左室高電位、QRS時間の院長、Q波異常 (ECGP.118)
- V3-V5における巨大陰性T波 → 心尖部肥大型心筋症
[show details]
- V3-V6のST低下と陰性T波
治療
- PHD.264
- 生活療法:激しい運動や競争をするような運動は避ける → 突然死のリスクが高まる。
- 薬物療法:
- βブロッカー:(1)心筋酸素需要減少→狭心痛・呼吸困難↓、(2)左室流出路の圧勾配減少←心収縮力の低下により左室流出路の狭窄が解除される、(3)心室充満量増加←HR低下による、(4)心室期外収縮抑制。ただし、βブロッカーは不整脈による死亡は抑制できないらしい。
- カルシウムチャネル拮抗薬:(1)心室のコンプライアンス上昇(reduce ventricular stiffness)、(2)βブロッカーが不応の患者での運動耐性を上げる。
- 抗不整脈薬:心室細動や心室性頻拍から死に至ることがあるため。
- 抗菌薬:閉塞性肥大型心筋症では感染性心内膜炎が起こりやすいため。
- 埋め込み型除細動器 ICD:高リスクの患者に適応
- カテーテルインターベンション:percutaneous septal albation
- 手術療法:myomectomy
注意
禁忌
- 硝酸薬 (禁忌と言い切って良いのか知らないが、お手軽教科書には大抵禁忌と書いてある)
参考
- http://www.nurs.or.jp/~academy/igaku/s1/s14222.htm
- http://kokushinado.ame-zaiku.com/circu/4_hm.html
- 2007年改訂版
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2007_doi_h.pdf
- 2012年改訂版
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2012_doi_h.pdf
国試
[★]
- 英
- ventricular septal defect, VSD
- 同
- 心室中隔欠損
- 関
- 先天性心疾患、動脈管開存症、心房中隔欠損症
[show details]
概念
- 心室中隔の一部に組織欠損ができ(欠損孔)、左室と右室の間に交通がある先天性心疾患.
- 最も頻度の高い先天性心疾患で、出生児心奇形の約30%を占める。
- 他の奇形を合併することがある。
- 乳幼児期に自然閉鎖する場合がある。
疫学
- 1.5-3.5/1000生産児 (PHD.382)
- 先天性心疾患のうち発症例は最も多いが、自然閉鎖や幼小児期の手術により、成人例の頻度は心房中隔欠損よりも少数であり、約15%である。
病型分類
- Kirklinの分類で分類されているが、新たな分類を加えているものもある。欠損孔と刺激伝導系の位置関係を強調した、Sotoらの分類も知られている。
Kirklinの分類
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型
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欠損部
|
疫学
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病態
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I型
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漏斗部欠損
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高位欠損
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日本人に多い。
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大動脈弁逸脱(右冠尖)によるARを合併しうる。自然閉鎖は少ない
|
II型
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膜性部欠損
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中間位欠損
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最多。(70%)
|
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III型
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流入部欠損
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後方欠損
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ダウン症に多い
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左軸偏位
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IV型
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筋性部欠損
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低位欠損
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西洋人に多い。(20%)
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重症度分類
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X線上心拡大
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心電図
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聴診
|
心不全症状
|
小欠損
|
-
|
正常
|
Roger雑音
|
-
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中欠損
|
+
|
左室肥大
|
汎収縮期雑音
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-./+
|
大欠損
|
+
|
両心室肥大
|
II音亢進
|
+(乳児初期)
|
病態生理
- PHD.382
- 欠損孔を流れる血液量:(small VSD)欠損孔のサイズに依存。(large VSD)体循環と肺循環の血管抵抗に依存
- 容量負荷:RV, 肺循環, LV, LA
- 容量負荷 → chamber dilation → systolic dysfunction → heart failure
- 2歳でpulmonary vascular diseaseとなる。
- 心室中隔の欠損孔の大きさと肺動脈血管床の状態(左右心室間の圧較差)が病態を決定する。
- 左室から右室への容量負荷は肺血管を介して左心負荷につながり、肺動脈動脈圧が上昇すれば、右心負荷に繋がる。
症状
- PHD.383
- small VSDは無症状
- 10%のVSD患者はlarge defectを持っており、生後早い内から、うっ血心不全を呈する(頻呼吸、摂食不良、成長不良、頻回の下気道感染)
- right-left shuntを起こせばチアノーゼ、呼吸困難
- VSDのサイズに因らず、bacterial endocarditisがおこりうる。
- 乳幼児:生後まもなく心雑音にて発見されることが多い。欠損孔の大きさに応じて左室から右室への血流が増加し、それによる心不全徴候を示す(多呼吸、哺乳低下、体重増加不良)。
- 小欠損孔では自覚症状はない。
- 中欠損孔では反復性気道感染、息切れを認めることがある。
- 大欠損孔では乳児期から心不全、体重増加不良を認める。
身体所見
- PHD.383
- harsh holosystolic murmur at the left sternal border
- murmurの部位に一致してsystolic thrillを認める。
- 拡張中期ランブルを心尖で聴取 → MV経由の血流が増加したため
- pulmonaru vascular diseaseが進行すると、汎収縮期雑音は減弱 → 欠損孔の圧較差が低下してくるから
聴診
- 聴診にて胸骨左縁第 3-4 肋間に最強点(I型では第 2 肋間)を有する粗い汎収縮期雑音を聴取し、しばしば振戦を触知する。
- 左右短絡量が多い症例では、心尖部に III音、拡張中期ランブルを聴取する(僧帽弁口を通過する血流増大を反映)。
- PHD.383
- 左胸骨縁:全収縮期雑音:(harsh holosystolic murmur) ← 欠損孔が小さいほど大きい
- 雑音がする部位:収縮期スリルを触れる
- 心尖部:拡張期中期ランブル音(middiastolic rumble):僧帽弁を通過する血流が増加するため
- 肺高血圧症が進展すると全収縮期雑音は小さくなる。RV heave(拡張した右室の拍動)、II音亢進、チアノーゼを認めるようになる。
検査
胸部単純X線写真
- 小欠損孔:正常
- 中-大欠損孔では肺血管陰影増強、左第4弓の突出がみられる。
- Eisenmenger 化すると左第2弓の著明な突出を認めるが、末梢血管影は減少する。
[show details]
12誘導心電図
- 小欠損孔:正常である。
- 中欠損孔:左室肥大
- 大欠損孔:左室肥大、右室肥大
- Eisenmenger化すると右室肥大のみを呈する。
- III型は左軸偏位を呈する。
心エコー
心臓カテーテル検査
- 手術療法の適応について評価する;短絡率、肺体血流比、肺血管抵抗
診断
- 胸骨左縁の粗い汎収縮期雑音で本症を疑う。心エコー図により欠損孔、短絡血流を証明し、さらに病型、欠損孔の大きさと数、左右短絡量、肺高血圧の有無を診断する。
鑑別診断
- 前胸部に粗い収縮期雑音が聴取される疾患:僧帽弁閉鎖不全症、閉塞性肥大型心筋症、肺動脈弁狭窄、右室二腔症、左室右房交通症。
治療
- 欠損孔が小さい場合(small VSD):心内膜炎の予防以外に特に特別な治療は不要である。しかし、血液培養陽性となる発熱や新規の雑音が聴取されたら専門医による精査を要する。(参考1)
- 肺体血液量比2.0以上は手術適応、1.5-2.0は症状に応じて手術を、1.5以下は手術不要。
- 小欠損:通常手術は不要であるが、大動脈弁逸脱を合併するものは手術が必要である。
- 中欠損:左右短絡率が40%以上で手術適応がある。
- 大欠損:心不全に対し薬物治療を行うとともに全例手術を2~3歳までに行う。
- 肺高血圧が遷延し、肺血管病変を呈した幼小児期以降の例では手術は禁忌である。
- 手術は、体外循環下のパッチ閉鎖が原則である。
自然歴
- 自然閉鎖から小児期に早くから心不全症状を呈し、死亡する例まで多岐にわたる。肺血管閉塞、右室流出路狭窄、大動脈弁閉鎖不全症、感染性心内膜炎などを合併することがある。
参考
- 1. [charged] Management of isolated ventricular septal defects in infants and children - uptodate [1]
国試
- 095G018:小欠損と考えられる。小欠損の場合には特に運動制限をする必要はないが、心内膜炎の予防のために予防接種などを受けることは必要となる。2007 guidelines of the American Heart Association (AHA) recommendによれば、予防的な抗菌薬の服用は推奨されていない。(参考1)
- 105F026、105F027、103I065
[★]
- 英
- heart murmur, cardiac murmur
- 関
- 拡張期雑音、過剰心音、レヴァイン分類
収縮期雑音 systolic murmur
拡張期雑音 diastolic murmur
continuous murmur
- 連続的な圧較差の存在を示唆する
- A. continuous:動脈管開存症 PDA:肺動脈弁領域。動脈管を流れる血流と雑音が比例するので、S2に向かって大きくなり、S1に向かって小さくなる。
- B. to-and-fro: AS + AR, PS+ PR :S1~(収縮期:AS,PSによる駆出性雑音。ダイアモンド型)~S2, S2~(拡張期:MR,PRによる逆流性雑音。decrescendo)~S1 S1に向かって小さくなるので、連続音とは区別できるはず。
手技見えp.116
- 僧帽弁開放音(OS):MS
- 収縮中期クリック:MVP
- 拡張期ランブル + 前収縮期雑音:MS
- 拡張期灌水様雑音/拡張期逆流性雑音:AR、PR
- 収縮期逆流性雑音:心尖部:MR
体位との関係
呼吸との関係
右心系:三尖弁の雑音
- 吸うとき強く、吐くとき弱く
- 吸うと胸腔内圧が陰圧になり、静脈還流量が増加する
左心系:僧帽弁、大動脈弁の雑音
- 吸うとき弱く、吐くとき強く
- 胸腔内圧が上昇すると、肺から心臓に向かう血流が増加する(ホントニか?)ので、左心系の雑音が増強するのだ???????????
手技との関連
疾患別
MS
- 概念:拡張期ランブル
- 時相:拡張中期(open snap)に続いて。
- 最強点:心尖部
- 放散:
- 体位:左側臥位
- 音程:低音
MR
- 概念:収縮期逆流性雑音
- 最強点:心尖部
- 放散:左腋窩
- 体位:左側臥位
- 呼吸:呼気
- 音程:高音
AS
- 概念:収縮期駆出性雑音
- 最強点:2LSB
- 放散:右鎖骨下動脈、右頚動脈
- 体位:座位
- 呼吸:呼気
AR
- 概念:拡張期灌水様雑音
- 時相:拡張期
- 特徴:呼気で増強
- 最強点:3LSB
- 放散:
- 体位:座位前屈位
- 音程:高音
MVP
- 概念:収縮期逆流性雑音
- 時相:収縮期中期。クリック音の後から。
- 音程:高音 ← 圧較差が大きいため
ASD
- 概念:駆出期駆出性雑音
- 最強点:2LSB
- 放散:
- 体位:
VSD
病態特異的な心雑音
[★]
- 英
- congenital heart disease, CHD
- 同
- 先天性心血管奇形 congenital cardiovascular anomaly
- 関
- 先天性心奇形
先天性心疾患.xls
先天性心疾患
右→左シャントが優位な疾患 チアノーゼ性心疾患
左→右シャントが優位な疾患 非チアノーゼ性心疾患
疫学
症状
- 参考文献(2)より
心疾患による症状
|
|
肺血流増加
|
肺血流減少
|
低心拍出
|
1.新生児期・乳児早期
|
多呼吸,陥没呼吸, 呼吸困難,喘鳴, 多汗, 哺乳障害
|
チアノーゼ
|
蒼白,末梢冷感, 冷汗,網状チアノーゼ, 体重増加不良, 弱い泣き声
|
2.乳幼児期
|
多呼吸, 易感染性,反復する肺炎
|
チアノーゼ, 低酸素発作, 蹲踞
|
体重増加不良, 運動発達遅延, 易疲労性, 顔色不良,やせ
|
3.小児期
|
運動能低下, 息切れ
|
ばち状指
|
運動能低下, 動悸
|
4.思春期以後 合併症による症状
|
胸痛,失神発作,突然死,喀血,不整脈,出血傾向,痛風,けいれん 等
|
|
|
酸素投与の悪影響(1)
- 1)動脈管依存型 → 酸素投与により動脈管が閉鎖方向に向かう
-
- 肺動脈閉鎖、右室低形成、重症肺動脈狭窄
- 大動脈縮窄・大動脈離断、大動脈閉鎖
- 2)肺循環負荷型 → 酸素投与により肺血管が拡張し、肺血管抵抗も減少して肺うっ血が増強
-
- 心室中隔欠損、大動脈縮窄複合、完全心内膜床欠損、総動脈幹遺残、
- 完全大血管転位(II型)、三尖弁閉鎖(C型)、大動脈肺動脈窓など
- 総肺静脈環流異常、三心房心、僧帽弁狭窄、肺静脈狭窄など
合併症
- QB.C-478
先天性疾患と先天心疾患
参考文献
- http://nmcg.shiga-med.ac.jp/rc_lecture/lecture21.htm
- (2) 先天性心疾患の診断、病態把握、治療選択のための検査法の選択ガイドライン
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010_hamaoka_h.pdf