- 英
- chronic renal failure, CRF
- 関
- 腎不全、急性腎不全
概念
- 数ヶ月から数十年に及ぶ緩徐な経過で腎機能障害が進行し、末期腎不全に至る不可逆的疾患。
- 濾過される原尿の量が減少するので、血液中の不要物を排泄したり、電解質・水分の調節能が低下する。
定義 (日本人腎臓学会 CKD診断ガイド)
- 1.-2.のいずれか、または両方が3ヶ月以上持続する。
- 1. 尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らか。特に尿蛋白が存在
- 2. GFR < 60 ml/min/1.73m3
病態
- カリウム↑:GFR低下によりカリウム分泌が不十分となる。
- リン↑:近位尿細管での排泄障害(YN.E-25)?、酸分泌障害?
- カルシウム↓:尿細管機能低下???により、PTHの作用を受けて遠位尿細管で再吸収されるべきカルシウムが排泄される。
- 細胞性免疫能の低下 → 結核のリスク(FSRFでは正常人比10倍)
- 出血傾向 → 尿毒症により凝固系機能低下
- 低カルシウム血症:
- 尿細管での再吸収不全、1,25-dihydroxy-vitamin D3不足により腸管からのCa吸収低下、無機リン増加によりカルシウムの減少([Ca][P]積が一定になるように保たれているらしい)、骨のPTHに対する感受性低下???(なぜ?)
慢性腎不全におけるカルシウムリン代謝
- PRE.355
- 上記の病態と矛盾する点があり。
症状
- 脳 :不眠、意識障害、麻痺
- 眼 :眼底出血、視力低下
- 口 :アンモニア臭
- 心臓:心膜炎、心筋症、心タンポナーデ
- 肺 :呼吸困難、咳、血痰
- 胃腸:嘔気、食欲低下、潰瘍
- 腎臓:
尿量減少? 尿濃縮能障害、等張尿(多尿、夜間尿)
- 血管:高血圧、動脈硬化
- 血液:貧血、高カリウム血症
- 末梢神経:感覚異常
- 皮膚:掻痒感
- 骨:腎性骨異形成症
検査
血液検査
治療
- 炭酸カルシウム製剤などのリン吸着薬。消化管の中で不溶性の塩を形成
国試
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/11/25 12:20:22」(JST)
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|
この項目では、腎不全の末期状態の詳細について説明しています。慢性経過の腎不全の未病から末期までを包括する概念については「慢性腎臓病」をご覧ください。 |
慢性腎不全 |
分類及び外部参照情報 |
ICD-10 |
N18 |
ICD-9 |
585 403 |
DiseasesDB |
11288 |
MedlinePlus |
000471 |
eMedicine |
med/374 |
Patient UK |
慢性腎不全 |
MeSH |
D007676 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
慢性腎不全(まんせいじんふぜん、英: Chronic renal failure)は、慢性に生じた腎不全。
目次
- 1 統計
- 2 原因
- 3 病態
- 4 臨床像
- 5 治療
- 6 治療に役立つメモ
- 7 予後
- 8 外部リンク
統計
- 慢性糸球体腎炎が一番で50%、糖尿病性腎症が二番で15%。
- 透析導入まで至った症例では、糖尿病性腎症38%、慢性糸球体腎炎32%、腎硬化症7.6%。
原因
- 糖尿病性腎症(透析導入として最多の原因疾患)
- 慢性糸球体腎炎(2番目に多い)
- 悪性腎硬化症(3番目に多い)
- 多発性嚢胞腎(常染色体性優性多発性嚢胞腎/ADPKDなど)
病態
病期は第1期~第4期に分けられる。
- GFR(糸球体濾過値)が正常~50%の間に減少した時期であるが、生体の恒常性はほぼ正常に維持されており、無症状である。
- GFRが、50~30%に低下し尿濃縮機能の低下、軽度の高窒素血症、軽度の貧血を認める。
- GFRが30~5%に低下し、高窒素血症、等張尿、夜間尿、代謝性アシドーシス、低Ca血症、高P血症、低Na血症などが認められる(糸球体濾過量が30ml/分以下に低下した状態が続くものを言う)。
- GFRが5%以下となり、多彩な症状(尿毒症症状)が出現し、放置すれば死に至る。
臨床像
- 第1期(腎予備能減少期)から見られるもの
- 第2期(代償性腎不全期)から見られるもの
- 第3期(腎不全期、非代償期)から見られるもの
- 腎性貧血
- 腎性貧血は、腎不全が原因で起こる貧血。
- 腎臓は赤血球を作るホルモンであるエリスロポエチンを作っているので、慢性腎不全ではエリスロポエチンが不足して正球性正色素性貧血になる。
- 高リン酸血症 : 糸球体濾過量の低下による。
- 低カルシウム血症
- 高リン酸血症に反応した二次性の高副甲状腺ホルモン血症による事と、腎臓でのビタミンDの活性化障害による低ビタミンD血症による事との、二つの理由による。第3期から発症する。
- 第4期(尿毒症期、末期腎不全)から見られるもの
- 浮腫
- 尿毒症
- 尿毒症は、尿毒素による症候。
- 症状
- 呼吸困難
- 尿毒素は不揮発性酸性物質なので、代謝性アシドーシスを来たす。ホメオスタシスはアシデミアを回避するために呼吸を用いて代償しようとするために、呼吸が激しくなる。
- 腎性貧血
- エリスロポエチンの産生低下による正球性正色素性貧血を来たす。
- 肺水腫
- 水分の排泄障害から体液の増加を来たし、循環血漿量の増加からうっ血性心不全を来たし、心不全から肺水腫に至る。心障害から至る肺障害を心性肺と言う。
- 中枢症状
- 尿毒素による神経障害から、意識障害、頭痛、等を来たす。
- 線維性骨炎
- 線維性骨炎は、副甲状腺ホルモン(以下PTH)が過剰になることで骨が粗鬆化する病気。
- 病態
- 腎不全ではリン酸の排泄が停滞して高リン酸血症となる。血中に溢れたリン酸は血清カルシウム(以下Ca)を抱き込んで析出して組織に沈着するので、低Ca血症を起こす。また血中Ca濃度を高めるホルモンであるビタミンDは腎臓で活性化されるので、腎不全ではビタミンD不足にもなる。高リン酸血症とビタミンD不足の両方の原因によって慢性の強力な低Ca血症が続く。すると血中Ca濃度を高めるホルモンであるPTHが常に出続けて高PTH血症となる。PTHは骨からCaを血中へ吸収することによって血中Ca濃度を高めようとするので、骨からCaが吸収されすぎて骨がスカスカになる。
- 検査
- X線写真
- X線写真では骨嚢胞(こつのうほう)が見られる。これは、PTHによってCaが吸収された結果骨に嚢胞状の空洞ができた所見。
治療
慢性腎不全の治療には
- 保存療法
- 食事療法
- 水分
- 乏尿がない場合
- 水分摂取制限はしない。これは、腎不全による等張尿によって脱水傾向があるため。
- 乏尿がある場合
- 水分の摂取は、「前日の尿量 + 0.5l」とする。これは、浮腫による肺水腫や心不全を抑えるため。
- 蛋白質
- 低蛋白質食にする。これは、尿毒素の原料になる蛋白質を控えるため。
- 炭水化物
- エネルギー不足による蛋白質分解を避けるために、高カロリー食にする。
- 塩分(塩化ナトリウム)
- 高血圧がある場合には7g/日以下とする。ただし、腎不全に於ける高血圧とは、通常の140/90よりも厳格な130/85mmHgとする。これは、高血圧が糸球体に負荷をかけてより一層腎不全を悪化させるため。
- 化学療法
- ACE阻害薬・アンギオテンシンII受容体拮抗薬
- 糸球体血圧を下げて腎不全の進行を抑えるために用いる。ただし、糸球体血圧を下げすぎると今度は逆に糸球体血流量が低下して腎前性腎不全になるので、クレアチニンが2.0mg/dl以上のときは慎重に投与する。肝排泄性のテモカプリルやテルミサルタンの使用を考慮する。また、カリウムの上昇にも留意し、利尿剤の併用を行う。
- 透析療法
- 等がある
- 感染に対してアミノグリコシド系抗生物質を用いる時は、用量に注意する。
その他の療法としては腎移植がある。
治療に役立つメモ
腎性貧血はエリスロポエチン投与で改善することが多いが、エリスロポエチンの反応性が低下した場合は以下のようなことが考えられる。
- 慢性疾患(感染症、悪性腫瘍)の貧血
- 鉄欠乏性貧血
- 副甲状腺機能亢進症
- アルミニウム中毒
予後
いったん慢性腎不全に陥ると回復は不可能となり、透析等の治療を受けないと尿毒症となる。
外部リンク
- 腎臓病なんでもサイト
- 社団法人 日本腎臓学会
- 日本慢性腎臓病対策協議会(J-CKDI)
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疾患 |
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 辻 孝 [他]
- 長崎醫學會雜誌 : Nagasaki Igakkai zasshi 87(4), 304-308, 2012-12-25
- … 症例は80歳女性、慢性腎不全のために腹膜透析中であった。 …
- NAID 110009555672
- あなたならどうする? 常食→治療食 献立作成レッスン(No.23)慢性腎不全(保存期腎不全)患者食への献立展開
- 北島(森山) 幸枝,栢下 淳子,栄原 純子 他
- Nutrition care 5(11), 1109-1116, 2012-11-00
- NAID 40019495745
- 結核性リンパ節炎の治療中に,リファンピシンによる無顆粒球症を合併した慢性腎不全の1例
- 事例検討道場 認知症で慢性腎不全の一人暮らし男性 ゴミをため込み環境劣悪だが「人の役に立ちたい」と思っている。支援の突破口はあるか?
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- 慢性腎不全とはいったいどういうものなのか、みなさんはご存じでしょうか。 慢性腎不全 とは、数ヶ月から数年の時間をかけて進行する腎臓の病気によって、じょじょに腎機能が 低下する状態のことです。 慢性腎不全になるための原因は、腎臓に関するすべての ...
- 慢性腎不全では、血液をろ過して代謝性老廃物を取り除く腎臓の能力が、数カ月から数 年かけて徐々に低下します。 さまざまな病気 ... したがって、急性腎不全を引き起こす 可能性のあるものは、すべて慢性腎不全の原因になりえます。しかし、慢性腎不全の ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 67歳の男性。心停止の状態で救急車で搬入された。
- 現病歴:今朝時頃、妻が寝室に起こしに行った際には返答があったが、1時間経っても起きて来なかった。再度呼びに行くと目を閉じたままで反応がないため、午前7時に救急車を要請した。5分後に救急隊が到着し、心停止と判断した。かかりつけ医には連絡せず、心肺蘇生を行いながら救命救急センターに搬送した。
- 救命救急センターでpulseless electrical activity(PEA)と判断し、心肺蘇生を継続した。研修医が胸骨圧迫を継続する傍ら、指導医が薬物投与のため静脈路の確保を行うこととした。
- 既往歴:20年前から糖尿病、高血圧症と診断され、内服治療を続けていた。
- 生活歴:喫煙歴は65歳まで20本/日を45年間。飲酒は焼酎2合/日を週3日。
- 搬入時に行った静脈採血の結果は以下のとおりであった。
- 検査所見:血液所見:赤血球 322万、Hb 10.1g/dL、Ht 31%、白血球 8,800、血小板 11万。血液生化学所見:AST 92U/L、ALT 78U/L、尿素窒素 82mg/dL、クレアチニン 9.8mg/dL、血糖 228mg/dL、Na 142mEq/L、K 9.8mEq/L、Cl 112mEq/L、Ca 8.6mg/dL。CRP 2.3mg/dL。
- 院内救急コールで駆け付けた内科および外科病棟当直医が、救命救急センターの研修医、指導医とともに心肺蘇生を継続した。その後も心拍は再開せず、患者の死亡が確認された。かかりつけ医に連絡をとると、この患者は糖尿病腎症による慢性腎不全のため、近々人工透析の導入予定で、最終受診は1週間前であった。死亡診断書を交付できないのはどれか。
- a 死亡確認を行った内科病棟当直医
- b 救命処置を補助した外科病棟当直医
- c 電話で死亡報告を受けたかかりつけ医
- d 救命処置を行った救命救急センターの指導医
- e 救命処置を行った救命救急センターの研修医
[正答]
※国試ナビ4※ [113B044]←[国試_113]→[113B046]
[★]
- 64歳の男性。浮腫と全身倦怠感とを主訴に来院した。 10年前に健康診療で血糖高値と血圧高値とを指摘されたが受診しなかった。半年前から夜間排尿回数の増加を自覚していた。 1か月前から浮腫と全身倦怠感とが出現し、次第に増悪するために受診した。飲酒は日本酒1台/日を40年間。喫煙は15本/日を40年間。身長168cm、体重74kg。体温36.0℃、呼吸数16/分。脈拍80/分、整。血圧166/100mmHg。眼瞼結膜に貧血を認める。心尖部に2/6度の収縮期雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部は軽度に膨隆し、圧痛を認めない。肝・脾を触知しない。前脛骨部に浮腫を中等度認める。尿検査:蛋白3+、糖1+、潜血1 +。血液所見:赤血球 280万、 Hb 8.2g/dl、 Ht 22%、白血球 5,000、血小板 20万。血液生化学所見:空腹時血糖146mg/dl、HbA1c 6.8%(基準4.3-5.8)、総蛋白 5.8g/dl、アルブミン 3.0g/dl、尿素窒素 30mg/dl、クレアチニン 2.2mg/dl、尿酸 8.2mg/dl, Na 140mEq/l、K 6.0mEq/l, Cl 114mEq/l。胸部エックス線写真で心胸郭比56%であり、心電図で左室肥大を認める。
- 治療として適切でないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105D044]←[国試_105]→[105D046]
[★]
- 78歳の男性。気分不良のため搬入された。3年前から慢性腎不全のため血液透析を受けている。昨日午後の透析後、発熱と気分不良とを認め、安静にしていたが改善しないため今朝8時に救急搬送された。身長 158cm、体重 55kg。体温 37.5℃。脈拍 140/分、整。血圧 86/56mmHg。右殿部から大腿にかけて発赤と腫脹とを認め、会陰部右側と陰嚢とに潰瘍があり、悪臭のある膿が出ている。血液所見:赤血球 378万、Hb 11.8g/dL、Ht 36%、白血球 16,900(桿状核好中球 36%、分葉核好中球 60%)、血小板 14万。血液生化学所見:総蛋白 6.1g/dL、アルブミン 3.0g/dL、AST 14IU/L、ALT 8IU/L、LD 245IU/L(基準 176~353)、尿素窒素 45mg/dL、クレアチニン 7.8mg/dL、Na 137mEq/L、K 3.9mEq/L、Cl 100mEq/L、プロカルシトニン 23.4ng/mL(基準 0.05以下)。CRP 21mg/dL。外陰部の写真(別冊No. 26A)と腹部・骨盤部単純CT(別冊No. 26B)とを別に示す。
- 輸液による循環管理と抗菌薬全身投与とともに、早期に行うべき治療はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109I070]←[国試_109]→[109I072]
[★]
- 6歳の男児。血尿を指摘され来院した。
- 2週前から腹痛と膝関節痛とがみられ、3日後から下腿に皮疹が出現したため近医で治療を受けていた。昨日顕微鏡的血尿を指摘され紹介された。
- 血圧98/46mmHg。腹痛と関節痛とは訴えない。下腿に皮疹を認める。
- 尿所見:蛋白(-)、糖(-)、沈渣に赤血球30~40/1視野、白血球0~1/1視野。
- 血液所見:赤血球430万、白血球9,600、血小板28万。出血時間2分30秒(基準対照3分以下)、プロトロンビン時間(PT)11.0秒(基準対照11.3)、APTT31.6秒(基準対照32.2)。
- 血清生化学所見:総蛋白7.2g/dl、アルブミン3.7g/dl、尿素窒素13mg/dl、クレアチニン0.6mg/dl、総コレステロール160 mg/dl。免疫学的所見:ASO333単位(基準250以下)。抗核抗体陰性。CH50 32単位(基準25~35)。
- 来院時の下腿の写真を以下に示す。
- この腎疾患について正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [098D035]←[国試_098]→[098D037]
[★]
- 75歳の女性。膝と踵との痛みを主訴に来院した。25年前から糸球体腎炎による末期腎不全のため血液透析を受けている。6か月前から歩行時の両膝の痛みを自覚し、最近は踵にも痛みを感じるようになった。血液所見:赤沈40mm/1時間、赤血球360万、Hb10.8g/dl、Ht32%。血清生化学所見:尿素窒素86mg/dl、クレアチニン9.2mg/dl、ALP600IU/l(基準260以下)、Na140mEq/l、K5.3mEq/l、Cl 106mEq/l、Ca1 1.5mg/dl、P6.4mg/dl、PTH880pg/ml(基準10~60)。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH7.43、PaO2 82Torr、PaCO2 47Torr、HCO3- 28mEq/l。
- ほかに行う検査として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [101A036]←[国試_101]→[101A038]
[★]
- 78歳の女性。意識障害のため救急車で搬入された。感冒罹患を契機に5日前から食欲が低下し、ほとんど食事が摂れなかった。昨夕近医でブドウ糖の大量輸液を受けたところ、明け方、意識低下に家族が気付いた。最近、視野が狭くなり、新聞が読みづらいと訴えていたという。脈拍64/分、整。血圧102/64mmHg。浮腫も脱水もない。血清生化学所見:空腹時血糖117mg/dl、総蛋白6.Sg/dl、アルブミン4.1g/dl、尿素窒素6mg/dl、クレアチニン0.4mg/dl、尿酸2.2mg/dl、Na105mEq/l、K4.3mEq/l。血清浸透圧206mosm/l(基準275~288)、尿浸透圧366mOsm/l(基準50~1,300)。頭部CTで下垂体部に径25mmの腫瘤を認める。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [097D048]←[国試_097]→[097D050]
[★]
- 55歳の男性。尿量の減少と全身倦怠感とのため来院した。腰痛のため市販の非ステロイド性抗炎症薬を3日間大量に服用した。顔面と下腿とに軽い浮腫を認める。脈拍104/分、整。血圧180/100mmHg。肺野にcoarse crackles(水泡音)を聴取する。尿道カテーテルを留置し10ml/時の尿量が得られた。尿所見:蛋白3+、糖1+、クレアチニン95mg/dl、Na50mEq/l、K11mEq/l。血清生化学所見:総蛋白6.3g/dl、尿素窒素40mg/dl、クレアチニン4.2mg/dl、Na131mEq/l、K6.7mEq/l、Cl100mEq/l。腹部エックス線単純写真で腎陰影の長径は左右とも14cmである。
[正答]
※国試ナビ4※ [097A037]←[国試_097]→[097A039]
[★]
- 全身状態・疾患とそれに伴う貧血の原因の組合せで誤っているのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108C013]←[国試_108]→[108C015]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [098G062]←[国試_098]→[098G064]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [101F042]←[国試_101]→[101F044]
[★]
- 血液中の副甲状腺ホルモン(PTH)とカルシウムが同方向に変化(両方とも増加、または、両方とも減少)するのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111B024]←[国試_111]→[111B026]
[★]
- 病態と酸塩基平衡障害の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [101F045]←[国試_101]→[101F047]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [103A015]←[国試_103]→[103A017]
[★]
- 血清Ca値と血清P値とが反対方向に変化(一方が上昇し他方が低下)する疾患はどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [109D018]←[国試_109]→[109D020]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [099E042]←[国試_099]→[099E044]
[★]
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [095B042]←[国試_095]→[095B044]
[★]
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [096H055]←[国試_096]→[096H057]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [109H005]←[国試_109]→[109H007]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [096H041]←[国試_096]→[096H043]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [113E015]←[国試_113]→[113E017]
[★]
- 英
- dyslipidemia
- 同
- 高脂血症 hyperlipidemia、脂質代謝異常 lipoprotein disorders
- 関
- 高脂血症治療薬、リポ蛋白
定義
- 血清:
Total-CHO≧220 mg/dl。LDL-C≧140 mg/dl。TG≧150 mg/dl。HDL-C<40 mg/dl
病型
分類
原発性高脂血症のWHO分類
原発性高脂血症の型分類 (臨床検査法提要第32版 p.533)
|
I型
|
II型
|
III型
|
IV型
|
V型
|
IIa型
|
IIb型
|
高カイロミクロン血症
|
高コレステロール血症
|
複合型高脂血症
|
異常βリポ蛋白血症
|
高トリグリセリド血症
|
複合型高トリグリセリド血症
|
増加リポ蛋白
|
CM
|
++
|
|
|
|
|
+
|
VLDL
|
|
|
+
|
|
+
|
+
|
IDL
|
|
|
|
+
|
|
|
LDL
|
|
+
|
+
|
|
|
|
血漿脂質
|
TC
|
+
|
+++
|
++
|
++
|
/+
|
+
|
TG
|
+++
|
|
++
|
++
|
++
|
+++
|
TC/TG
|
<0.2
|
>1.6
|
不定
|
≒
|
0.6-1.6
|
<0.6
|
病因
|
・LPL欠損 ・アポCII欠損 (外因性高脂血症)
|
LDL受容体異常
|
不明
|
アポE異常 (E2/E2など)
|
不明 (内因性高脂血症)
|
LPL欠損へテロ(一部) (外因性高脂血症 and (内因性混合型高脂血症)
|
臨床所見
|
発症時期
|
小児期
|
小児期~成人
|
成人
|
成人
|
小児期~成人
|
肝脾肥大
|
+++
|
-
|
+
|
+++ 脾のみ
|
+++
|
腹痛
|
+
|
|
|
+
|
+
|
膵炎
|
+
|
|
|
|
+
|
網膜脂血症
|
+
|
|
|
|
+
|
肥満
|
|
|
|
+
|
+
|
角膜輪
|
|
+
|
+
|
|
|
冠動脈疾患
|
まれ
|
最も高率
|
高率
|
中程度
|
比較的まれ
|
黄色腫
|
発疹状
|
黄色板状 結節状 腱黄色腫
|
手掌線 結節状 発疹状
|
|
発疹状
|
耐糖能
|
正常
|
正常
|
正常
|
異常多い
|
異常多い
|
高尿酸血症
|
なし
|
なし
|
少ない
|
多い
|
多い
|
遺伝
|
劣性遺伝
|
優性遺伝
|
劣性遺伝
|
優性遺伝
|
不明
|
頻度
|
まれ
|
多い 500人中 1人(ヘテロ) 100万人中 1人(ホモ)
|
多い 200人中 1人
|
少ない 1万人中 2-3人
|
最も多い
|
まれ
|
血清静置試験
|
上層:乳濁
|
透明
|
わずかに混濁
|
混濁、 時にミルク状
|
混濁
|
上層:乳濁
|
下層:透明
|
下層:混濁
|
特徴
|
|
|
small dense LDL の存在
|
broad β
|
|
|
- 頻度:IIa > IIb > IV
- 遺伝(AR)I, III (AD)その他
- 症状
- 動脈硬化:IIa,IIb,III
- 膵炎:TG多い:I,IV,V
- TC優位に多いのがIIa, TG優位に多いのがIV
- リポ蛋白のパターンは、IIa + IV = IIb で IIIはその中間(IDL)。I + IV = V
|
治療方針の原則
|
カテゴリー
|
脂質管理目標値(mg/dL)
|
リスク群
|
LDL-C以外の主要危険因子
|
LDL-C
|
HDL-C
|
TG
|
一次予防
|
まず生活習慣の改善を 行った後、薬物治療の 適応を考慮する
|
I
|
低リスク群
|
0
|
<160
|
≧40
|
<150
|
II
|
中リスク群
|
1~2
|
<140
|
III
|
高リスク群
|
3以上
|
<120
|
二次予防
|
生活習慣の改善とともに 薬物治療を考慮する
|
冠動脈疾患の既往
|
<100
|
- 加齢(男性≧45歳、女性≧55歳)、高血圧、糖尿病(耐糖能異常を含む)、喫煙、冠動脈疾患の家族歴、低HDL-C血症(<40mg/dL)
- 糖尿病、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症の合併はカテゴリーIIIとする。
[★]
- 英
- urinary sediment
- 関
- 尿沈渣検査 urinary sediment examination、尿沈液
概念
- 尿中に含まれる各種の細胞、円柱、結晶、微生物などの有形成分。
- 尿沈渣の検査は腎・尿路系疾患の診断、進行度、予後の推定を目的に行う。
検体
- 検体は早朝起床時尿(早朝第一尿)の中間尿約10mL。早朝第一尿では円柱がみられやすい
- 検体は採尿後1時間以内になるべく早く観察 → 室温2時間以上放置すると細菌が増殖し、アルカリ化が進む。尿路感染が分からなくなるうえ、円柱や細胞が崩壊して観察できない。
- 古い尿やアルカリ性尿では血球、円柱、上皮細胞の崩壊が強く正しい判定ができないことがある。
- 女性の場合、月経時における血液の混入、腟分泌物の混入(中間尿を採るようにしてもらう)
方法
- 1. 新鮮尿10mLを尿沈渣用試験管にとり500Gで5分間遠心する
- 2. 上清を捨て残液約0.2mLとする
- 3. そのまま、あるいは尿沈渣用染色液を加えて混和する
- 4. 1滴(15μl)をスライドガラスに載せカバーガラスをかけ鏡検する
観察方法
- LPF(low power field 、弱拡大、100倍):3.14 mm2、7.27ul
- HPF(high power field、強拡大、400倍):0.196 mm2、0.45ul
病的所見
- 赤血球と白血球はそれぞれ5/HPF以上、硝子円柱は1/HPF以上、上皮細胞性円柱、顆粒円柱、蝋様円柱、脂肪円柱、赤血球円柱、白血球円柱の各種円柱類、異常結晶(ビリルビン、チロジン、ロイシン、コレステロール、シスチン、2,8-ジヒドロキシアデニンなど)、細菌、真菌、原虫、虫卵、腫瘍細胞の出現
判断基準
赤血球
|
≧5個/HPF
|
白血球
|
≧5個/HPF
|
上皮細胞(正常)
|
扁平上皮細胞をのぞく全て(移行上皮、尿細管上皮、円柱上皮)
|
上皮細胞(異常)
|
すべて(卵円系脂肪体、多核巨細胞、封入体細胞)
|
異型細胞
|
癌細胞
|
大食細胞
|
≧1個/HPF
|
円柱
|
<1個/HPFの硝子円柱をのぞく全て
|
粘液系
|
≧1+
|
結晶
|
病的結晶(シスチン、チロシン、ロイシン、ビリルビン、コレステロール、DHA結晶)。正常結晶(尿酸結晶)で≧2+の時
|
細菌
|
≧1+(>/HPFの桿菌)
|
真菌
|
すべて
|
原虫
|
すべて
|
寄生虫
|
すべて
|
OLM.53
尿沈渣成分の基準値
|
|
強拡大視野あたり(/HPF)
|
赤血球数
|
1/4-7≧
|
白血球数
|
1-2/4-7≧
|
上皮細胞数
|
1/10≧
|
円柱
|
1/20≧
|
結晶 (LAB.217)
- アルカリ性尿で見られる血症はウレアーゼ産生菌のプロテウスやクレブシエラなどによる尿路感染症でみられるが、正常尿でも見られうる。
病的意義のある結晶
急性腎不全を背景とする場合
円柱 (LAB.214)
- 硝子円柱は正常でも見られるので病的意義はない。尿量の少ないとき、運動後や利尿薬の使用時にみられる。
[★]
- 英
- parathyroid hormone, PTH
- 同
- 上皮小体ホルモン, パラソルモン parathormone
- 関
- 上皮小体、カルシトニン
- 副甲状腺、甲状腺
- カルシウム
- 「血中カルシウムイオンの低下」により分泌され、「血中カルシウムイオン濃度を上げる」ホルモン
分類
性状
産生組織
標的組織
作用
2007年度後期生理学授業プリント
-
- リン酸の再吸収↓ ← ビタミンDはリン酸の再吸収↑
- HCO3-排出↑ → 原発性副甲状腺機能亢進症では代謝性アシドーシスを起こす
- 活性ビタミンD3産生↑ (副甲状腺に対してネガティブフィードバックをかける)
-
- カルシウム再吸収↑
- 活性ビタミンD3存在下で、腸管からのカルシウム取り込み↑
YN.D46
- 1. 遠位尿細管でのCa2+再吸収↑→血中Ca↑
- 2. 近位尿細管でのP再吸収↓→血中P↓
- 3. 近位尿細管でのHCO3-再吸収↓→排泄↑→高Cl性代謝性アシドーシス
- 4. 近位尿細管で1α水酸化酵素活性化→1,25-(OH)2-D産生↑→腸管でのCaとPの吸収↑
- 5. 骨芽細胞に作用は破骨細胞の形成・機能↑→Ca2+遊離→血中Ca2+, P, H+↑
骨の形成と吸収 YN.D46
分泌の調節 (2007年度後期生理学授業プリント)
- 血中カルシウムイオン濃度↓→PTH分泌↑
- 血中カルシウムイオン濃度↑→PTH分泌↓
分泌調節のポイント:カルシトニン ←Ca2+ + protein binding Ca 。 副甲状腺ホルモン ←Ca2+
分子機構
臨床関連
臨床関連
[★]
- 英
- edema
- 関
- 水腫、angioedema、全身性浮腫
分類
- 低アルブミン血症はfast edema と覚えておく
浮腫の原因
- IMD.518
-
- 内分泌性浮腫
- 栄養失調性浮腫・栄養障害性浮腫
- 薬剤性浮腫
- 起立性浮腫
- 特発性浮腫
- 内科診断リファレンス p.4
浮腫を来す疾患
- IMD.519改変
-
- 内科外科マニュアルp.212
- 蜂窩織炎
- 深部静脈血栓症
- 表在静脈瘤(慢性静脈還流不全)
- うっ血性心不全
- ネフローゼ症候群
- 肝硬変
- 甲状腺機能亢進症
- 甲状腺機能低下症
- 薬剤:CCB,ピオグリタゾン,NSAIDs,女性ホルモン,甘草
- 特発性浮腫:女性,夕方増悪する下腿の浮腫:NaCl,炭水化物制限
- 月経前症候群:黄体期に出現し,月経発来と共に消退:当帰芍薬散,加味逍遥散
肝性浮腫と腎性浮腫
- 肝性浮腫は下肢に、腎性浮腫では眼瞼に浮腫が初発する?(出典不明)
-
- 越婢加朮湯
- 五苓散
-
-
- 当帰芍薬散
- 真武湯
-
- 防已黄耆湯
- 八味地黄丸
参考
[★]
- ☆case30 無月経
- ■症例
- 23歳 女性 女優
- 主訴:無月経
- 現病歴:5ヶ月前からの無月経である。初経は13歳で、これまで月経周期は整であった。食欲はあると言っているが昨年から(over the pas year)体重が8kg減少した。
- 嗜好品:アルコール10 unit/week(缶ビール(350ml)6本弱本/週)。
- 既往歴:なし
- 社会歴:現在は無職。
- 服用薬:なし
- 生活歴:一年前、彼氏と別れた。
- 身体所見 examination
- 四肢と殿部の筋肉が喪失。身長1.7m、体重41kg、BMI 13.7(標準的:20< <24)。頬、首、前腕で毛が過剰に生えている。脈拍52/分。血圧96 /60 mmHg
- 検査所見 investigations
- ECG
- 血液生化学
- K↓, Cl↓, HCO3-↑, Cre↓, Alb(保たれているのか・・・)
- 問診(S)
- 5ヶ月前からの無月経
- 昨年から8kg体重が減少。
- 無職
- 1年前に彼氏と別れた
- 身体所見(O)
- 四肢と殿部の筋肉が喪失。
- 身長1.7m
- 体重41kg
- BMI 13.666666666666666
- 頬、首、前腕で毛が過剰に生えている。
- 脈拍52/分
- 血圧96/60 mmHg
- 検査(O)
- K↓, Cl↓, HCO3-↑, Cre↓
- ・なにをすべきか?
- ・無月経の鑑別診断?
- ・体重減少の原因
- ■診断
- 神経性食思不振症, anorexia nervosa, AN
- ■要点
- ・嘔吐 → H+,Cl-喪失。
- ・減少した血漿量 → アルドステロン分泌亢進 → 尿細管ではナトリウム保持、カリウム分泌、(本来分泌されるべき)H+の枯渇
- ・アルカローシス(血中:Cl-低値、HCO3-高値。尿:Cl-低値、K+高値)
- ・尿中のCl-:<10mmol/day:嘔吐していることを暗示(imply vomitting)。高値:利尿剤の乱用
- ・anorexia nervosaで見られる検査値もチェックしておこう
- ・LH, FSH, エストロゲンは低値
- ■key points
- ・神経性食思不振症は若年女性の中で無月経の主要な原因である。
- ・低カリウム性代謝性アルカローシスは特徴的な代謝異常
- ・神経性食思不振症は利尿剤や下剤の濫用と結びついていることがある。
- ■参考文献
- DIF Differential Diagnosis in Primary Care Fourth Edition版 Lippincott Williams & Wilkins
- ■major cases of secondary amenorrhea
- ・視床下部、下垂体の疾患:ex. 下垂体機能低下症、高プロラクチン血症
- ・性腺不全:ex. 自己免疫性卵巣不全、多能性卵巣
- ・副腎不全:ex. クッシング病
- ・甲状腺疾患:ex. [甲状腺機能低下症]]、甲状腺機能亢進症
- ・重症慢性疾患:ex. 癌、慢性腎不全
- □アルコールのunit
- 1 unit = 10 ml of ethanol
- 350ml アルコール5% → 350x0.05/10=1.75 unit
- ■glossary
- buttock
- n. 殿部、尻。船尾
- interrelate
- vi. 相互関係を持つ(有する)
- vt. 相互に関係(関連)づける
- contract
- v. 収縮する
- lanugo
- n. 毳毛、うぶ毛