出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2017/04/02 21:30:03」(JST)
トリアシルグリセロール(英語: Triglyceride)とは、1分子のグリセロール(Glycerol、グリセリン、Glycerine、Glycerin)に3分子の脂肪酸がエステル結合したアシルグリセロール(Acylglycerol、グリセリド、Glyceride)で、単純脂質に属する中性脂肪の1つである。略称してTGまたはTAGと表し、別名をトリグリセリドともいう。
中性脂肪は動物の体内脂肪組織に蓄えられる脂肪や、食品中の油脂、植物油(種子)などを構成する脂質の8から9割を占めるが、その中ではトリアシルグリセロールが圧倒的に多く、特に動物の脂肪組織では95%を超える。このことから、単に「トリアシルグリセロール」というときは油脂のことを指し、グリセロールと3分子の脂肪酸が結合したひとつの分子を示すときは「トリアシルグリセロール分子種」ともいう。
グリセロール(グリセリン)に結合する脂肪酸の部分は、置換基としてはアシル基である。従って、トリ・アシル・グリセロール=3分子・脂肪酸・グリセロールという意味となる。アシル基となる脂肪酸の種類は極めて多いが、それらアシル基の組み合わせ、グリセロールへの結合位置によって様々なトリアシルグリセロール分子種が生ずる。脂肪酸がn種あるとすれば、理論的にはおよそn3種類のトリアシルグリセロール分子種が存在すると考えて良い。個々のトリアシルグリセロール分子種は以下の例の様に呼ばれて区別される。
トリアシルグリセロール分子種には立体位置異性体が存在し、2 や 3 の例のように、同じ脂肪酸で構成される分子種であっても POO - OPO - OOP、PoSL - PoLS - SPoL - SLPo - LPoS - LSPo はそれぞれ異なる分子種となる。結合位置が不明な場合(どの異性体か不明な場合)は、POO、PoSL というように脂肪酸の炭素数が小さい順に、二重結合の少ない順に表示することが多い。LPoS というようにアルファベット順に示す場合もある。
個々の脂肪酸は二重結合の有無(不飽和度)によって融点が異なるが、この不飽和度によってトリアシルグリセロールの性質が大きく異なる。不飽和脂肪酸の多いトリアシルグリセロールは室温 (25 °C) で油状の液体だが、飽和脂肪酸の多いトリアシルグリセロールは固体となる。オリーブ油やサフラワー油などは前者に、ココナッツ油やパーム核油は後者に当たる。またトリアシルグリセロールは一般に有機溶媒によく溶けるが、ステアリン酸のような長鎖の飽和脂肪酸が多くなると、アルコール、石油エーテル、ジエチルエーテルなどにも難溶になる。
トリアシルグリセロールが高値になると動脈硬化・膵臓炎になる。肝臓にトリアシルグリセロールが過剰に沈着すると、脂肪肝になる。
トリアシルグリセロールについての血液検査の参考基準値は以下のとおりである。
項目 | 年齢 | 下限値 | 上限値 | 単位 | 最適範囲 |
---|---|---|---|---|---|
トリアシルグリセロール | 10–39 歳 | 54[1] | 110[1] | mg/dL | < 100 mg/dL[2] or 1.1[2] mmol/L |
0.61[3] | 1.2 [3] | mmol/L | |||
40–59 歳 | 70[1] | 150[1] | mg/dL | ||
0.77[3] | 1.7[3] | mmol/L | |||
>60歳 | 80[1] | 150[1] | mg/dL | ||
0.9[3] | 1.7[3] | mmol/L |
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型分類 | 増加するリポ蛋白 | 血清脂質の変動 | コレステロール (mg/dl) |
トリグリセリド (mg/dl) | ||
正常 | - | - | <220 | <150 | ||
I型高脂血症 | 高カイロミクロン血症 | hyperchylomicronemia | カイロミクロン | 中性脂肪著明増加 | <260 | >1000 |
IIa型高脂血症 | 高コレステロール血症 | hypercholesterolemia | LDL | コレステロール増加 | >220 | >150 |
IIb型高脂血症 | 複合型高脂血症 | combined hyperlipidemia | LDL, VLDL | コレステロールと中性脂肪増加 | >220 | 150-300 |
III型高脂血症 | 異常βリポ蛋白血症 | dysbetalipoproteinemia | IDL | 電気泳動でbroad β | 350-500 | 350-500 |
IV型高脂血症 | 高トリグリセリド血症 | hypertriglyceridemia | VLDL | 中性脂肪増加 | <240 | 200-1000 |
V型高脂血症 | 複合型高トリグリセリド血症 | mixed hypertriglyceridemia | カイロミクロン, VLDL | 中性脂肪著明増加 | <300 | >1000 |
I型 | II型 | III型 | IV型 | V型 | |||
IIa型 | IIb型 | ||||||
高カイロミクロン血症 | 高コレステロール血症 | 複合型高脂血症 | 異常βリポ蛋白血症 | 高トリグリセリド血症 | 複合型高トリグリセリド血症 | ||
増加リポ蛋白 | CM | ++ | + | ||||
VLDL | + | + | + | ||||
IDL | + | ||||||
LDL | + | + | |||||
血漿脂質 | TC | + | +++ | ++ | ++ | /+ | + |
TG | +++ | ++ | ++ | ++ | +++ | ||
TC/TG | <0.2 | >1.6 | 不定 | ≒ | 0.6-1.6 | <0.6 | |
病因 | ・LPL欠損 ・アポCII欠損 (外因性高脂血症) |
LDL受容体異常 | 不明 | アポE異常 (E2/E2など) |
不明 (内因性高脂血症) |
LPL欠損へテロ(一部) (外因性高脂血症 and (内因性混合型高脂血症) | |
臨床所見 | 発症時期 | 小児期 | 小児期~成人 | 成人 | 成人 | 小児期~成人 | |
肝脾肥大 |
+++ | - | + | +++ 脾のみ |
+++ | ||
腹痛 | + | + | + | ||||
膵炎 | + | + | |||||
網膜脂血症 | + | + | |||||
肥満 | + | + | |||||
角膜輪 | + | + | |||||
冠動脈疾患 | まれ | 最も高率 | 高率 | 中程度 | 比較的まれ | ||
黄色腫 | 発疹状 | 黄色板状 結節状 腱黄色腫 |
手掌線 結節状 発疹状 |
発疹状 | |||
耐糖能 | 正常 | 正常 | 正常 | 異常多い | 異常多い | ||
高尿酸血症 | なし | なし | 少ない | 多い | 多い | ||
遺伝 | 劣性遺伝 | 優性遺伝 | 劣性遺伝 | 優性遺伝 | 不明 | ||
頻度 | まれ | 多い 500人中 1人(ヘテロ) 100万人中 1人(ホモ) |
多い 200人中 1人 |
少ない 1万人中 2-3人 |
最も多い | まれ | |
血清静置試験 | 上層:乳濁 | 透明 | わずかに混濁 | 混濁、 時にミルク状 |
混濁 | 上層:乳濁 | |
下層:透明 | 下層:混濁 | ||||||
特徴 | small dense LDL の存在 |
broad β |
血清TG | 血清TC | ||
内分泌代謝疾患 | 甲状腺機能低下症 | +++ | |
クッシング症候群 | + | ++ | |
先端性肥大症 | + | ||
糖尿病 | +++ | +~++ | |
痛風 | + | ||
神経性食思不振症 | ++ | ||
ウェルナー症候群 | ++ | ||
肝疾患 | 閉塞性肝・胆道疾患 | +++ | |
肝癌 | ++ | ||
腎疾患 | ネフローゼ症候群 | ++ | +++ |
慢性腎不全 | +++ | ||
免疫異常 | 全身性エリテマトーデス | +++ | |
骨髄腫 | ++ | + | |
薬剤など | サイアザイド | + | + |
β遮断薬 | + | ||
シクロスポリン | + | ||
経口避妊薬 | +++ |
治療方針の原則 | カテゴリー | 脂質管理目標値(mg/dL) | |||||
リスク群 | LDL-C以外の主要危険因子 | LDL-C | HDL-C | TG | |||
一次予防 | まず生活習慣の改善を 行った後、薬物治療の 適応を考慮する | I | 低リスク群 | 0 | <160 | ≧40 | <150 |
II | 中リスク群 | 1~2 | <140 | ||||
III | 高リスク群 | 3以上 | <120 | ||||
二次予防 | 生活習慣の改善とともに 薬物治療を考慮する | 冠動脈疾患の既往 | <100 |
性 | 男性>女性 | 尿酸、クレアチニン、ヘモグロビン、鉄 |
女性>男性 | HDL-C、クレアチン、LH、FSH | |
個体差 | コリンエステラーゼ、アルカリホスファターゼ、コレステロール、γGTP、アミラーゼ | |
年齢 | 幼小児 | アルカリホスファターゼ、リン |
女性(閉経後) | アルカリホスファターゼ、HDL-C |
時間帯 | 日中 | 夜間 | ||
午前 | 午後 | |||
早朝 | 夕刻 | |||
血清鉄 | 高値 | 低値 | ||
カルシウム | 低値 | |||
ACTH | 高値 | 低値 | ||
コルチゾール | 高値 | 低値 | ||
TSH | 低値 | 高値 | ||
GH | 低値 | 高値 | ||
プロラクチン | 低値 | 高値 | ||
カテコラミン | 高値 | 低値 | ||
レニン | 高値 | 低値 | ||
cAMP | 高値 | |||
尿アミラーゼ | 低値 | 高値 |
ミクロゾームトリグリセリド転移タンパク質 : 23 件 ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質 : 21 件 ミクロゾームトリグリセリド転移タンパク : 3 件 ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク : 15 件 ミクロゾームトリグリセリド転移蛋白質 : 6 件 ミクロソームトリグリセリド輸送蛋白質 : 18 件 ミクロゾームトリグリセリド転移蛋白 : 21 件 ミクロソームトリグリセリド輸送蛋白 : 3 件 ミクロゾームトリグリセリド転送タンパク質 : 0 件 ミクロゾームトリグリセリド転送タンパク : 1 件 ミクロゾームトリグリセリド転送蛋白質 : 2 件 ミクロゾームトリグリセリド転送蛋白 : 10 件
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