- 英
- radiation therapy, radiotherapy, radiation treatment
- 同
- 放射線治療
- 関
- 高エネルギーX線治療
放射線治療の適応疾患
根治的放射線療法
- 根治的放射線療法が可能な悪性腫瘍
ガイドライン
- 1. 放射線治療計画ガイドライン・2008 - 日本放射線専門医会・医会,日本放射線腫瘍学会,日本医学放射線学会編集
- http://www.kkr-smc.com/rad/guideline/2008/
WordNet
- (medicine) the treatment of disease (especially cancer) by exposure to a radioactive substance (同)radiation_therapy, radiation, actinotherapy, irradiation
PrepTutorEJDIC
- 放射線療法
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/08/17 21:18:34」(JST)
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腫瘍と正常組織に対する放射線照射の効果 - 放射線照射が行われてもそれが一定の線量以下においては腫瘍および正常組織にも効果がなく、ある線量を超えると線量の増加とともに効果が増加し、その様子はS字状の曲線で示される
[1]。
放射線療法(ほうしゃせんりょうほう、 米国では radiation therapy、英国、カナダ、およびオーストラリアでは radiation oncology あるいは radiotherapy[2])は放射線を患部に体外及び体内から照射する治療法である[3]。手術、抗がん剤治療とともに癌(がん)に対する主要な治療法の一つである[4]。
がんが発生した臓器の機能と形態を維持しながら治療が行えることを特徴とする[5][6]。アメリカでは3人に2人が利用している[7]。その歴史は19世紀末のエックス線、ラジウムの発見を始まりとし、抗生物質、抗がん剤の開発および外科手術や麻酔法の確立がなされていなかった当時の癌治療はほとんど放射線療法のみであった[8][9]。癌治療の目標には根治(完治)、延命、緩和があるが[10]、放射線療法はこの全てに利用される[11]。がんを完治させる可能性があるのは手術のほかは放射線療法だけであり、しかも放射線療法は患者の負担が少ないやさしい治療法で[12]、高齢者にも適応できる[6]。局所療法のため副作用が少なく、それも大部分は治療後一ヶ月から二ヶ月で自然に治まる[13]。使用される放射線のエネルギーが、正常組織に対して無視できない影響を与えると[14]、後述するように放射線障害と呼ばれる副作用を起こし、その内容も様々であるものの、この影響は放射線治療のメリットに比べて十分小さい[15]。
放射線療法は放射線が生物の細胞を殺す作用を利用しているが、この作用は細胞分裂の盛んな細胞に対して効果が大きく、分裂の盛んながん細胞により大きな影響を与える[16]。放射線ががん細胞のみならず正常細胞にもダメージを与える一面があるものの、がん細胞はダメージに対する回復能力が乏しいため[17]放射線の分割照射は、正常細胞がダメージから回復する時間を与えて行われ、ダメージから回復できないがん細胞だけを死滅させている[18]。がん細胞の数が減少すると免疫細胞側が優勢となり、残ったがん細胞すべてを処分することができるようになる[19]。また、ふだんは免疫細胞が見逃しているがん細胞も放射線照射によってその存在が知られ、免疫細胞はがん細胞の場所に移動し、ただちにこれを処分する[20]。 多方向から標的を狙い打つ定位放射線治療(ピンポイント照射)では安全に高線量放射を行うことができるために、例えば肺がんでは1回10Gy以上の大線量を4回から5回照射して1週間で終了するものであるが、従来の放射線治療より格段に治療成績が向上した[21]。また、抗がん剤の持つ放射線による効果を増加させる性質を利用した化学放射線療法が広く行われるようになり、治療成績の向上に寄与している[21]。
目次
- 1 適用
- 2 副作用
- 3 用量
- 4 装置
- 5 作用原理
- 6 外照射と小線源治療
- 7 高精度放射線治療
- 8 脚注
- 9 出典・参考文献
- 10 関連項目
- 11 外部リンク
適用
通常、放射線治療(放射線療法)の適用となる疾患はケロイド、甲状腺眼症など一部の良性疾患と、ほぼ全ての悪性腫瘍である。 また、放射線治療(放射線療法)は外科手術、化学療法、ホルモン療法などと組み合わされ、集学的治療の一環として利用される場合もある。 治療の対象となる代表的な癌を次に挙げる。
- 乳癌 (breast cancer)
- 前立腺癌 (prostate cancer)
- 肺癌 (lung cancer)
- 結腸直腸癌 (colorectal cancer)
- 脳腫瘍 (brain tumor)
- 頭頸部癌
- 喉頭癌および咽頭癌
- 子宮頸癌などの婦人科の癌
- 膀胱癌 (bladder cancer)
- 悪性リンパ腫 (malignant lymphoma)
- 膵臓癌 (pancreatic cancer)
放射線治療(放射線療法)は局所療法であり、普通は腫瘍のある部分のみをねらって適用されるが、手術の領域リンパ節郭清と同様に領域リンパ節近傍を含めることもある。白血病などの骨髄移植前処置として全身に照射される(全身照射)治療法もある。 放射線治療の特徴は、「切らずに治すこと」であり、外科手術と異なり臓器温存(形態や機能)を可能とする。このため頭頸部腫瘍など切除術により著しく生活の質 (Quality of Life: QOL) の低下を生じるものに、第一選択の治療とされる場合が多い。
放射線治療は他の手術療法などと同じく治癒可能な病期・病勢では「根治治療 (radical therapy)」の重要な選択肢として施行される。その他、癌が治癒不能な病期・病勢、再発・転移癌の場合でも、部分的な腫瘍縮小効果により症状の緩和を目指す「緩和治療・姑息治療 (palliative therapy)」として広く用いられる。局所的な放射線治療の特徴として、全身への侵襲が小さいため、高齢者や全身状態が悪化した患者に対しても負担が少なく、緩和医療の重要な手段として治療が行える利点がある。 代表的な緩和治療の対象病態は、骨転移の疼痛・骨折予防、脳転移による神経症状、縦隔腫瘍による上大静脈症候群などである。
副作用
使用される放射線のエネルギーが、正常組織に対して無視できない影響を与えた場合には、放射線障害と呼ばれる副作用を生ずる[15]。放射線の副作用には照射中もしくは照射後早期に起こる早期反応と、照射後数か月以上へて起こる晩期反応がある[15]。
早期反応の主なものには皮膚・粘膜の炎症と、骨髄への障害がある。炎症はどれも照射を終了あるいは中断することで1週間ないし2週間のうちに大部分が治まる[15]。その程度が重症であれば致死的ともなるものの、現在の放射線治療で高度の早期反応が問題となることはまずない[15]。一方、放射線感受性が非常に高い骨髄は、低い照射量においても白血球の減少などを起こすが、照射がかなりの広範囲に及ばない限り、実際の問題になることはまれである[15]。
晩期反応は、照射後数か月から十数年たってから起き、その本質は微小血管障害と見られている[15]。ほとんどの臓器・組織で問題となりうるもので、主なものには皮膚や皮下組織の萎縮・線維化や潰瘍、肺の線維化による呼吸障害、消化管の潰瘍や穿孔、中枢神経の麻痺などがあり、すべてを考慮すると放射線治療後の長期生存例の数%において何らかの晩期反応が問題になっていると言われる[15]。さらに現在も極めて少数ながら致死的晩期障害の報告があり、また治療に使用する放射線が将来2次がんを誘発する可能性も指摘されてはいるが、これらの影響は放射線治療のメリットに比べて十分小さい[15]。
肺における合併症
肺は体の中で最も放射線に敏感な器官の一つで、放射線治療によって高度の線量で照射された肺細胞の体積に依存してダメージを受け、暴露後、2〜6ヶ月後に早期の合併症として放射線肺臓炎などの放射線による肺障害(Radiation-induced lung injury)を引き起こすことがある[22]。晩発性の合併症としては、胸部放射線治療における放射線肺線維症などがある[23]。これらの放射線による肺毒性(Pulmonary toxicity due to radiation)がもたらす合併症を抑えるために、装置の改良などによって治療時における正常細胞へのダメージを減らすための努力がなされている[24]。
用量
放射線利用法はいくつかの点で、薬剤投与と同じように扱われているが、根本的に異なるのは照射体積の大きさや、同じ照射線量でも照射部位や照射方法により生体反応(耐容線量)が全く異なる点である。放射線療法が単独で実施されるか、化学療法と併用されるか、手術の前か後か、郭清手術が成功したかどうかなどの要素が治療医(放射線治療医)の判断によって調節される。腫瘍制御に必要な線量は、腫瘍の感受性により異なり、一般的な固形がん(扁平上皮癌、腺癌など)への線量は通常50Gy(グレイ Gray; 放射線の項を参照)程度、それ以上が必要との見解もあるが正常組織への耐容線量を考慮すると照射が難しい場合が多い[25]。高感受性のリンパ腫(白血病)などは総線量で20〜40Gyで腫瘍制御が充分可能とされる。現在、定位手術的放射線治療 (Radiosurgery) を除いて1回照射法は少なく、小線量を1日1回、週4〜5回照射する分割照射が多く行われる。分割照射の場合、一回線量は1.8〜2.0Gyが経験的に多く用いられる。一回の用量を小さくして繰り返し実施することは、正常細胞が成長しなおす時間を与え、照射で与えた障害を回復させる。 生物学的効果線量 (biological effective dose) は同じ総線量でも一回線量の大きさ(分割回数)、照射期間により左右される。また、正常組織の耐容線量が照射容積に影響されるのは前述のとおりである。 小線源治療法(放射性同位元素を直接体内に挿入する治療法)において、古典的には挿入したラジウムの量と体内に留置した時間の積 (mgh) で線量を表現した時代があった。現代では、外照射と同じく吸収線量Gyが用いられるが、外照射と生物学的効果を比較、換算するのには注意が必要である。小線源治療では生物学的効果線量に影響を及ぼすものとして線量率 (dose rate) が加わる。
分割照射スケジュール
前述したように、通常の一日当り照射量のスケジュールは成人患者で一回当り2.0Gyで、一日一回照射であるが、場合によっては違うスケジュールのことがある。一つの方法として、肺癌での投与法であるCHART法 (Countinoys Hyperfractionated Accelerated RadioTherapy) がある。これは肺癌に適用されることが多く、一日当り2〜3回の少量分割照射を行う。成功例が多いとはいえ、週末も含めて毎日複数回の照射を実施することにより大きな負担が患者にかかってくる。小児癌では、分割照射スケジュールは一回当り1.5〜1.8Gyとなる。原理的には分割のやり方は治療効果と急性あるいは遅発障害との兼ね合いになり、一回当りの照射量が小さいほど、効果発現に時間がかかる(小児は正常組織の感受性が高いので成人の標準分割線量より低い線量が設定されている)。
装置
放射線治療(放射線療法)に使用される代表的な装置を次に挙げる
- リニアック - X線, 電子線:最も多く用いられる放射線治療機器
- ノバリス - X線:特殊なリニアック装置
- サイバーナイフ - X線:定位照射に用いられる特殊なリニアック装置
- トモセラピー - X線:特殊なリニアック装置
- コバルト照射装置 - γ線:リニアックへの置換が進んだため日本国内ではあまり使用されない
- ガンマナイフ - γ線:定位照射に用いられる特殊なコバルト装置
- 医療用加速器 加速器としてはシンクロトロンあるいはサイクロトロンが使用される。シンクロトロンは陽子線あるいは重粒子線用、サイクロトロンは陽子線用として用いられている。
- 重粒子線がん治療装置 - 重粒子線(放医研のHIMACは主に炭素イオン線、他はシリコンイオン、アルゴンイオン)
- 陽子線、重粒子線併用治療装置 - 兵庫県立粒子線医療センター[2]では陽子線と重粒子線(炭素線)の両方の荷電粒子線を使用して治療を行っている。
- ホウ素中性子捕捉療法 (BNCT) 装置(医療用原子炉) - 中性子線
- 京都大学の京大炉 (KUR)、武蔵工業大学(現東京都市大学)の武蔵工大炉 (MITRR)、日本原子力研究開発機構の研究炉 (JRR4) で研究が行われているが、MITRRが廃炉となったため、現在はKURとJRR4で実験的治療を行っている。
また、ガンマナイフは頭蓋内の治療に広く用いられ、脳腫瘍以外にも脳血管障害(脳動静脈奇形)などの治療にも用いられてきた。最近ではリニアックを用いた定位放射線治療でも同等の治療効果が得られるため、多くの放射線治療施設で同疾患の治療が可能となっている。またガンマナイフは三叉神経痛や顔面痙攣といった機能的脳神経外科疾患の治療にも一定の治療成績を得ているが、現在のところ頸椎の7番目から頭部以外の疾患は医療保険外の診療となっている。
作用原理
放射線治療は、エックス線、電子線、ガンマ線といった放射線を利用して、がん細胞内の遺伝子(DNA)にダメージを加えることで、がん細胞を破壊するもので、同時に正常細胞にもダメージを与えてしまうが、正常細胞は自分自身で回復することができる点が、がん細胞と異なる[26]。与えられる放射線の線量に応じて双方が受けるダメージは上記の「腫瘍と正常組織に対する放射線照射の効果」の図にあるように一定の線量以下においては腫瘍および正常組織にもダメージがなく、ある線量を超えると線量の増加とともにダメージが増加し、その様子はS字状の曲線で示される[1]。
外照射と小線源治療
周囲の正常組織へのダメージを最小限に抑えつつ、がんに十分な放射線を照射するため、がんの場所や大きさ、種類に応じて、最適な治療法が選ばれるが、治療法は外照射と小線源治療に分類できる[27]。 外照射ではリニアックを利用して体外から体内の病巣部に向けて放射線照射を行い、小線源治療では病巣の内部あるいは近くに放射性物質を置いて、体内から放射線を照射させる[27]。
高精度放射線治療
放射線治療の成績を向上させるために治療方法の工夫が試みられてきたが、その工夫は大きく二種類に分けることができる[28]。ひとつはがん細胞と正常細胞との放射線に対する感受性の差を広げることで生物学的な意味での高線量を投与して治療効果の向上を求める生物学的な試みであり、これらには放射線増感剤・防護剤の利用、放射線照射の分割方法の工夫、抗がん剤の併用が含まれ、その効果は細胞実験などを含めた多角的な検証が容易であり、放射線治療の歴史にわたり研究されているが、臨床的な有用性が示されずに使用されなくなったものも少なくない[28]。もうひとつは物理的に放射線を腫瘍に集中させる手段の追求であり、照射を必要かつ十分な範囲に限定しながら多門放射を行うことで腫瘍周囲の正常組織の被曝線量を減少させて副作用の低減を得るほど腫瘍への高線量投与を可能とするもので、最近の放射線治療成績向上に貢献しているCTシミュレーターによる三次元放射線治療計画における考え方であるが、高精度放射線治療はこの方向において、さらに進化したものである[28]。
高精度放射線治療は、放射線治療時に専用の装置・器具を用いることで目標の領域に高精度な正確さをもって放射線を集中させて行われる治療方法の総称である[28]。これには特殊な固定具によるセットアップ誤差の低減、患者体内における腫瘍あるいは正常臓器の移動制御による放射線照射範囲の最小限化、コンピューターの行う計算による最適化を根拠とした腫瘍に近接する正常構造の線量のみを下げて放射線を投与する方法(強度変調放射線治療 intensity-modulated radiotherapy ; IMRT)といったものがあり、これらを複数組み合わせて一層高精度の治療を行う装置・施設も増加している[28]。特に普及している高精度放射線治療としては定位的放射線治療(ピンポイント照射)があり、脳転移症例に対するガンマナイフ治療、手術適応のない早期肺癌症例に対する体幹部定位放射線治療というように非侵襲的かつ治療効果の高い手段として治療の選択肢になっている[28]。近年はセットアップされた治療寝台上の患者の照射部位の画像を取得して治療計画時の画像との位置のずれを検出してはセットアップ位置を修正するという手順を分割して実施される放射線治療のたびに行うことでセットアップの誤差の最小化を実現する治療法(画像誘導放射線治療 image-guided radiotherapy ; IGRT)が急速に広まり、透視・撮影装置が装備されたIGRT対応リニアックを利用して、治療寝台上でセットアップ誤差や腫瘍の呼吸性移動をリアルタイムに確認し、照射位置を修正しながら精確な放射線治療を行うことができる装置も徐々に増えている[28]。
これまでの放射線治療では照射範囲におけるX線強度は均一であったが、IMRTは照射範囲内のX線強度を場所ごとに設定して照射することで、任意の線量分布を作る技法であり、リスク臓器が腫瘍の近くに存在する、前立腺がんや頭頸部がんで主に使用されている治療法であり、照射範囲内のX線強度差はコンピューターによる最適化による[28]。頭頸部がんに対しては、多くの場合、原発巣とともに頸部リンパ節も系統的に放射線照射を行うが、従来法では唾液腺、特に耳下腺が被曝することで唾液量が極端に減少し、治療後も唾液量の回復はほとんどなかったが、耳下腺の線量を落としながらIMRTを実施することで唾液量は一時的に減少するものの治療後数カ月程でほぼ治療前の唾液量まで回復する[28]。
脚注
- ^ a b 西村恭昌 『肺がん』 p.92
- ^ 英語版ウィキペディア導入部(en:Radiation therapy)より
- ^ 青山喬(編著)「放射線基礎医学」第9版 金芳堂(2000.3)
- ^ 鎌田中川 2007, p.115
- ^ 放射線治療は、生活する上で支障となるような合併症をもたらない治療となることが原則であり、合併症が当然とされる手術と異なる。しかし、照射の痕跡が残るため、再度の照射では合併症が生じる危険性が増す。(近藤 1999 pp.15,99)
- ^ a b 西村恭昌 近畿大学医学部放射線腫瘍学部門
- ^ 唐澤 2009, p.14
- ^ 井上手島 2010, p.14
- ^ 人類初の放射線治療は1896年11月24日から12月3日まで、1日1回の照射に分割された形式で行われた。分割されたのは機械の性能が不足していた為であり、その後は治療機器が改良され高線量を1回で照射することも行われたが、20年後には、1回で照射する方式の効果が極めて低いと結論付けられている。現在、経験的知見から推奨される治療計画はどれも同じように分割化されている。(アリソン 2011 p.156)
- ^ 鎌田中川 2007, pp.115-116
- ^ 中川 2007, p.42
- ^ 唐澤 2009, p.12
- ^ 唐澤 2009, p.15
- ^ 近藤誠によれば、治癒率を上げようと線量を多くしたり、照射する範囲を広げたりすることが原因として多いとされている。(近藤 1999 p.99)
- ^ a b c d e f g h i 「3.放射線治療の副作用」『放射線によるがんの治療(特徴と利点) (08-02-02-03)』原子力百科事典ATOMICA
- ^ 中川 2007, p.66
- ^ 中川 2007, pp.66-68
- ^ 唐澤 2009, p.25
- ^ 中川 2007, pp.68-70
- ^ 中川 2007, p.70
- ^ a b 西村恭昌 『肺がん』 p.90
- ^ Ann C. Mertens et al. (2002). "Pulmonary complications in survivors of childhood and adolescent cancer". Cancer 95 (11): 2431–2441. doi:10.1002/cncr.10978. "The lung is one of the most radiation-sensitive structures in the body. Therapy-related radiation damage to the lung depends on the volume of lung tissue irradiated, the total dose received, and fractionation scheduling.2 Radiation-induced lung disease includes an acute phase of radiation pneumonitis that occurs 2–6 months after exposure."
- ^ Ann C. Mertens et al. (2002). "Pulmonary complications in survivors of childhood and adolescent cancer". Cancer 95 (11): 2431–2441. doi:10.1002/cncr.10978. "Chest radiation was associated with a 3.5% cumulative incidence of lung fibrosis at 20 years after diagnosis."
- ^ Ericka Wiebe al. (2006), “RADIATION-INDUCED LUNG INJURY”, Oncology Exchange 5 (2): 29–32, http://www.oncologyex.com/gif/archive/2006/vol5_no2/5_protocols_practices_2.pdf
- ^ [1] 日本放射線科専門医会・医会放射線診療ガイドライン策定事業/「放射線治療計画ガイドライン」の付表1:通常分割照射における正常組織の耐容線量
- ^ 「Chapter.2: 放射線治療について」『放射線治療』<公益財団法人 がん研究会>
- ^ a b 「Chapter.3: 放射線治療法の種類」『放射線治療』<公益財団法人 がん研究会>
- ^ a b c d e f g h i 井垣 2011 p.516
出典・参考文献
- 装置
- 粒子線(荷電重粒子線)治療(国立がんセンター)
- 井垣浩、中川恵一 「放射線治療の現状と展望--高精度放射線治療を中心に」『成人病と生活習慣病』 東京医学社、2011年。
- 井上俊彦,井上武宏,手島昭樹 『放射線治療学』 南山堂、2010年。ISBN 978-4-525-27094-0。
- 鎌田實,中川恵一 『がん生きたい患者と救いたい医者』 三省堂、2007年。ISBN 978-4-385-36323-3。
- 唐澤克之 『がんの放射線治療がよくわかる本』 主婦と生活社、2009年。ISBN 978-4-391-13702-6。
- 近藤誠 『ぼくがすすめるがん治療』 文芸春秋、1999年。ISBN 978-4-16-3548005。
- 西條長宏、加藤治文(編)、2011年、『肺がん』、医薬ジャーナル社 ISBN 978-4753225231
- 中川恵一 『切らずに治すがん治療』 法研、2007年。ISBN 978-4-87954-652-4。
- ウェード・アリソン 『放射能と理性-なぜ「100ミリシーベルト」なのか』 徳間書店、2011年。ISBN 978-4-19-863218-2。
関連項目
- 腫瘍学
- 悪性腫瘍
- 放射線学
- 中性子捕捉療法
- ホルミシス効果
外部リンク
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- 医療分野での放射線利用 (原子力百科事典 ATOMICA)
- 重粒子線照射によるがんの治療 (原子力百科事典 ATOMICA)
- 放射線によるがんの治療(手法と対象) (原子力百科事典 ATOMICA)
- 放射線によるがんの治療(特徴と利点) (原子力百科事典 ATOMICA)
- RI小線源によるがん治療 (原子力百科事典 ATOMICA)
- 中性子を用いたがんの治療(中性子捕捉療法) (原子力百科事典 ATOMICA)
- 高エネルギー加速器の医学での利用 (原子力百科事典 ATOMICA)
- RIミサイル療法 (原子力百科事典 ATOMICA)
- 陽子線によるがんの治療 (原子力百科事典 ATOMICA)
- 肝がん治療における放射線利用 (原子力百科事典 ATOMICA)
- JRR-4におけるホウ素中性子捕捉療法(BNCT) (原子力百科事典 ATOMICA)
- ホウ素中性子捕捉法(BNCT)の現状と将来の展開 (原子力百科事典 ATOMICA)
- 重粒子線の医学利用(独立行政法人放射線医学総合研究所)
- 日本放射線腫瘍学会
- 米国放射線腫瘍学会
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- 既往歴 : 5年前から170/90mmHg程度の高血圧症を指摘されていたが、症状がないため放置していた。手術歴はない。
- 現症 : 意識は清明であるが受け答えは緩慢である。身長169cm、体重56kg。体温36.8℃。臥位で脈拍108/分、整。血圧114/78mmHg。腹部は膨隆し、左下腹部を中心として金属性腸雑音を聴取する。打診では腹部全体にわたって鼓音を呈する。肝・肺を触知せず、圧痛や抵抗を認めない。
- 検査所見 : 尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球360万、Hb10.8g/dl、Ht34%、白血球12,000、血小板25万。血清生化学所見:総蛋白6.0g/dl、尿素窒素38mg/dl、クレアチニン1.3mg/dl、AST33単位(基準40以下)、ALT32単位(基準35以下)、CK35単位(基準10~40)、Na128mEq/l、K3.6mEq/l、Cl83mEq/l。来院時の腹部エックス線単純写真を以下に示す。
- 全身状態が改善した後に、大腸内視鏡検査を行った。肛門縁から30cm付近の内視鏡写真を以下に示す。
- 腹部CTで肝腫瘤とリンパ節腫大とを認めず、胸部エックス線写真でも特に異常を認めなかった。治療法として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [097C014]←[国試_097]→[097C016]
[★]
- 72歳の男性。乾性咳嗽、発熱および労作時呼吸困難を主訴に来院した。1か月前に左肺下葉の原発性肺腺癌に対し抗癌化学療法が開始されていた。治療開始後 30日目の昨日、乾性咳嗽、37.5℃の発熱および労作時呼吸困難を認め、本日には乾性咳嗽の増悪と安静時の呼吸困難とを自覚するようになったため受診した。意識は清明。皮膚は湿潤している。下腿に浮腫を認めない。脈拍 112/分、整。血圧 152/102mmHg。呼吸数 22/分。SpO2 90%(room air)。血液所見:赤血球 380 万、Hb 11.9g/dL、Ht 36%、白血球 8,600(分葉核好中球 68%、好酸球 5%、単球 5%、リンパ球 22%)、血小板 28万。血液生化学所見:総蛋白 7.2g/dL、アルブミン 4.2g/dL、AST 48IU/L、ALT 52IU/L、LD 752IU/L(基準 176~353)、尿素窒素 22mg/dL、クレアチニン 0.9mg/dL、Na 144mEq/L、K 4.6mEq/L、Cl108mEq/L、Ca 8.0mg/dL。免疫血清学所見:CRP 4.8mg/dL、β-Dグルカン 10pg/mL未満(基準 10未満)、サイトメガロウイルス抗原陰性。喀痰を認めないため喀痰培養は実施できなかった。血液培養は陰性。抗癌化学療法開始前の肺野条件の胸部CT(別冊No. 26A)と今回来院時の肺野条件の胸部CT(別冊No. 26B)とを別に示す。酸素投与を開始した。
- 対応として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [110D056]←[国試_110]→[110D058]
[★]
- 52歳の男性。両側の肺腫瘤を指摘されて来院した。2年前にS状結腸癌のため他院で手術を受けており、2日前に経過観察のため行われた胸部CTで肺野に結節影が認められたため紹介されて受診した。喫煙は20本/日を23年間。意識は清明。身長 175cm、体重 90kg。体温 36.8℃。脈拍 92/分、整。血圧 132/82mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 98%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。血液所見:赤血球 456万、Hb 14.3g/dL、Ht 44%、白血球 6,500、血小板 18万。血液生化学所見:総蛋白 7.0g/dL、アルブミン 4.3g/dL、総ビリルビン 0.3mg/dL、AST 19U/L、ALT 40U/L、LD 124U/L(基準 176~353)、クレアチニン 0.7mg/dL、Na 144mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 110mEq/L、CEA 6.5ng/mL(基準 5.0以下)。CRP 0.1mg/dL。呼吸機能所見:VC 4.57L、%VC 120%、FEV1 3.81L、FEV1% 84%。心電図に異常を認めない。肺野条件の胸部CT(別冊No. 30)を別に示す。S状結腸に再発はなく、全身検索でも胸部CTで確認された病変以外に異常を認めなかった。
- 治療として最も適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112A061]←[国試_112]→[112A063]
[★]
- 52歳の女性。複視の精査と治療のため入院中である。2か月前から夕方に車を運転しているとセンターラインが二重に見えるようになり、1か月前から右のまぶたが開けにくくなってきた。自宅近くの医療機関を受診し、頭部MRIで異常がないと説明されたが、症状が改善しないため受診した。来院時、右側に眼瞼下垂を認め、右眼の外転が軽度制限されていた。両上肢の近位筋にも軽度の筋力低下がみられた。エドロホニウムテスト陽性。抗アセチルコリン受容体抗体 50.0nmol/L(基準 0.3以下)。抗コリンエステラーゼ薬を処方されたが、症状が改善しないため入院した。胸部造影CT(別冊No. 11)を別に示す。
- 最も適切な対応はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111I054]←[国試_111]→[111I056]
[★]
- 24歳の女性。下腹部痛と腹部膨隆とを主訴に来院した。
- 未婚、未経妊。12歳初経。月経周期28日型、整。1か月前から下腹部に鈍痛を感じていたが、2週前から下腹部全体が膨隆し、3日前から37.8℃の発熱が持続している。
- 来院時、臍を頂点とする硬い腫瘤を触れる。尿中hCG検査陰性。血液検査と血清生化学検査とに異常を認めない。
- 腫瘍マーカー:α-フェトプロテイン(AFP)28,000ng/(基準20以下)、CEA 2.0ng/ml(基準5以下)、CA19-9 28U/ml(基準37以下)、CA125 82U/ml(基準35以下)。
- 腹部超音波検査で腫瘤はほとんど充実性である。骨盤部MRIのT2強調像を以下に示す。
- まず行うべき治療はどれか。
- a. 卵巣腫瘍核出術
- b. 患側付属器摘出術
- c. 単純子宮全摘出術および両側付属器摘出術
- d. 癌化学療法
- e. 放射線療法
[正答]
※国試ナビ4※ [098D039]←[国試_098]→[098D041]
[★]
- 55歳の4回経産婦。性器出血を主訴に来院した。膣鏡診では子宮膣部は易出血性で全周性に崩壊し潰瘍を呈している。膣壁に明らかな病変は認めない。内診では、子宮は可動性がやや制限されているが正常大である。両側の子宮付属器は触知しない。直腸診で右子宮傍結合繊に弾性硬の抵抗を触知するが骨盤壁には達しておらず、左子宮傍結合繊は軟である。子宮膣部・頚管細胞診はClassV、子宮内膜細胞診はClassIIである。胸部エックス線写真、腹部CT、大腸内視鏡検査、静脈性尿路造影検査、膀胱鏡検査および骨シンチグラフィで異常所見を認めない,骨盤部MRIで子宮頚部に最大径約3cmの腫瘤を認める。
- 最も適切な治療はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [098B015]←[国試_098]→[098B017]
[★]
- 65歳の男性。血尿を主訴に来院した。3か月前から時々血尿を自覚していたが、自然に消失していたため医療機関を受診していなかった。2日前から血尿が持続するため受診した。喫煙は20本/日を45年間。飲酒はビール350mL/日を20年間。身長 165cm、体重 90kg。血圧 160/100mmHg。尿沈渣に赤血球多数/1視野、白血球5~10/1視野。尿細胞診はクラスⅤ。膀胱内視鏡像(別冊No. 9)を別に示す。脊髄くも膜下麻酔下で経尿道的膀胱腫瘍切除を行った。病理所見では尿路上皮癌pTaと上皮内癌とを認める。術後1か月目に施行した尿細胞診でもクラスⅤであった。
- この患者の治療として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110A034]←[国試_110]→[110A036]
[★]
- 31歳の女性。1回経妊O回経産婦。胞状奇胎の治療後に妊娠反応陽性が持続するため紹介されて来院した。1年前から不妊外来で排卵誘発薬の投与を受けていた。3か月前に妊娠反応陽性となったが、全胞状奇胎と診断され2回の子宮内容除去術を受けた。基礎体温は1相性である。内診で子宮はやや腫大、軟。超音波検査で後壁筋層内に血流豊富な径1.5cmの腫瘤を認める。脳、肝、腎臓および腟に異常を認めない。血清hCGの推移(別冊No. 2A)と肺野条件の胸部CT(別冊No. 2B)とを別に示す。
- 治療として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111A020]←[国試_111]→[111A022]
[★]
- 61歳の男性。血便を主訴に来院した。3日前、排便時に少量の血液が混じることに気付いた。眼瞼結膜に貧血を認める。腹部は平坦、軟で、左下腹部に圧痛を認める。血液所見:赤血球345万、Hb 10.2g/dl。血液生化学所見:総蛋白 7.8g/dl、クレアチニン 0.8mg/dl、総コレステロール 216mg/dl、総ビリルビン 1.0mg/dl、AST 22IU/l、ALT 28IU/l。免疫学所見:CRP 0.6mg/dl、CEA 1.1ng/ml(基準5以下)。腹部CTではS状結腸に限局的な壁の肥厚のみを認めた。下部消化管内視鏡写真を以下に示す。
- 治療として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [103D032]←[国試_103]→[103D034]
[★]
- 66歳の女性。後頸部痛の増強と左上肢のしびれとを主訴に来院した。進行肺腺癌に対して外来で抗癌化学療法を施行している。以前から頸胸椎転移による後頸部痛があり、抗癌化学療法と併行してアセトアミノフェンとオキシコドンによる疼痛治療を受けていた。良好な疼痛緩和が得られていたが、2週間前に後頸部痛の増強と新たに左上肢のしびれが出現し、睡眠も妨げられるようになったため受診した。第一胸椎レベルの軟部条件の胸部CT(別冊No. 3)を別に示す。
- 対応として適切でないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112F049]←[国試_112]→[112F051]
[★]
- 58歳の男性。PSA高値を指摘され来院した。7年前から人間ドックで定期的にPSAを測定していたが基準値を超えたため受診した。排尿障害を認めない。直腸指診で前立腺はくるみ大、弾性硬で両葉に小結節を触知する。PSA 6.5ng/mL(基準 4.0以下)。骨盤部MRIのT2強調像で前立腺辺縁領域に低信号を認めるため前立腺生検を施行した。病理診断では前立腺左葉の6本中2本、右葉の6本中1本に中分化腺癌(Gleason score4+4)を認める。骨シンチグラフィでは異常な集積を認めない。
- 対応として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [110D057]←[国試_110]→[110D059]
[★]
- 65歳の男性。咳嗽を主訴に来院した。1か月前から乾性咳嗽が続いている。既往歴に特記すべきことはない。喫煙は20本/日を40年間。胸部エックス線写真で異常陰影を認める。喀痰細胞診で腺癌細胞を認める。胸部CTで縦隔リンパ節の腫大を認めない。頭部MRIで脳転移を認めない。肺野条件の胸部CT(別冊No. 23A)とFDG-PETの全身像(別冊No. 23B)とを別に示す。
- 適切な治療法はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111A050]←[国試_111]→[111A052]
[★]
- 47歳の女性。1か月前からの不正性器出血と腰痛を主訴に来院した。月経周期は32日型。内診で子宮頸部から右側骨盤壁に連続する硬結を触知する。血液所見:赤血球 385万、Hb 11.0g/dL、Ht 33%、白血球 9,500、血小板 45万。血液生化学所見:総蛋白 6.8g/dL、アルブミン 3.5g/dL、AST 30U/L、ALT 22U/L、尿素窒素 28mg/dL、クレアチニン 0.7mg/dL。腟鏡診で子宮腟部に径4cmのカリフラワー状で易出血性の腫瘤を認めた。生検で扁平上皮癌と診断された。遠隔転移を認めない。
- 適切な治療はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113D043]←[国試_113]→[113D045]
[★]
- 71歳の女性。人間ドックで異常を指摘されたため来院した。半年前の人間ドックの内視鏡検査で胃体部に直径約3.0cmの可動性良好な粘膜下腫瘍を指摘されたため受診した。腹部CTで他臓器に病変は認めない。腫瘍組織のH-E染色標本(別冊No. 22A、B)、KIT(c-kit遺伝子産物)(別冊No. 22C)及びCD34に対する免疫組織化学染色標本(別冊No. 22D)を別に示す。
- 治療として最も適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110I064]←[国試_110]→[110I066]
[★]
- 64歳の男性。定期的な経過観察のため来院した。自覚症状はないが、 1年前の健康診断で GIST〈gastrointestinal stromal tumor〉を疑われ、経過観察のため受診した。上部消化管内視鏡像 (別冊 No.17A)と腹部造影 CT(別冊 No.17B)とを別に示す。 1年前と比較して約 1.5倍の直径であった。腹部造影 CTでは胃病変を認めるが、胃以外に異常はない。
- 治療として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108A042]←[国試_108]→[108A044]
[★]
- 55歳の男性。右側頚部腫瘤と血性鼻漏とを訴えて来院した。
- 2か月前から耳閉塞感と軽度難聴とを自覚している。最近、耳の中で液体が動くような音がすると言う。同じころから頚部腫瘤が出現し増大傾向に気付いている。1週前から血性鼻漏が持続している。頭部腫瘤は径3cm、弾力性で硬く、表面は凹凸不整である。抗EBウイルス抗体価は高値である。
- 生検組織H-E染色標本を以下に示す。
- この患者に勧める治療法はどれか。
※国試ナビ4※ [098I045]←[国試_098]→[098I047]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [098D038]←[国試_098]→[098D040]
[★]
- 60歳の男性。嗄声を主訴に来院した。
- 1か月前に嗄声に気付き、次第に増強してきた。
- 喫煙歴は20本/日を40年間。来院時の喉頭所見と生検組織H-E染色標本とを以下に示す。
※国試ナビ4※ [098A015]←[国試_098]→[098A017]
[★]
- a 漿液性腺癌が最も多い。
- b 放射線療法が標準的治療である。
- c 進行癌で発見されることは少ない。
- d 子宮内膜症は発生母地とならない。
- e 最近10年で我が国の罹患率は低下した。
[正答]
※国試ナビ4※ [110A005]←[国試_110]→[110A007]
[★]
- 英
- uterine corpus cancer, carcinoma of uterine corpus, cancer of the uterine body
- ラ
- carcinoma corporis uteri
- 同
- 子宮内膜癌 endometrial carcinoma endometrial cancer
- 関
- 子宮、腫瘍、産婦人科学、子宮内膜増殖症(前癌病変)
定義
疫学
- 発生頻度は欧米に多く、日本では少ない(女性人口10万当たり4)→高齢化、生活習慣との関連
- 発症年齢は50歳代が最も多く、閉経後が7割を占める。40歳以下の婦人は5%程度。
- 妊娠中および分娩後5年以内に体癌が発見されることはほとんどない。
- 日本では近年増加傾向。子宮癌全体の30%を占める(みえる9.150)
リスクファクター
- プロゲステロンに拮抗されずに、エストロゲンに長期暴露されることによる
- 典型像:60歳くらいの太った未産の女性
- 未婚、不妊、閉経後、高い初婚・初妊年齢、少ない妊娠・出産回数、卵胞ホルモン服用歴、肥満
- 卵巣機能異常(無排卵周期症、PCOSなどの既往) → 正常量のエストロゲンが存在するものの、これに拮抗するプロゲステロンが欠乏する
- 出典不明
症状
- ほとんどの場合に症状がある。
- 9割で不正性器出血がみられる。そのほか過多月経、異常帯下、下腹部痛など。
子宮体癌の組織的分類
- ()内の頻度はG9M.155
-
G9M.155
- 類内膜癌(80-90%) → 類内膜腺癌(60-70%)、扁平上皮への分化を伴う類内膜腺癌(20-30%)
- 細胞異型が強い場合にはGradeを上げる。
- Grade1(高分化型)充実増殖の占める割合が腺癌成分の5%以下。プロゲステロン受容体陽性率高。予後良好
- Grade2(中分化型)充実増殖の占める割合が腺癌成分の6-50%。プロゲステロン受容体陽性率中。予後中等度
- Grade3(低分化型)充実増殖の占める割合が腺癌成分の50%超。プロゲステロン受容体陽性率低。予後不良
発生機序による分類
- type I:エストロゲン依存性。発症は遺伝子変異とエストロゲンの長期持続刺激による子宮内膜細胞の異常増殖
- type II:エストロゲン非依存性。子宮内膜異型増殖症を介さないで癌化する
検査
超音波エコー(経膣超音波)
腫瘍マーカー
MRI
- T2画像が有用。
- junctional zoneの菲薄化・欠損
- 子宮内膜>腫瘍>筋層>junctional zone
診断
- 子宮腔内の吸引あるいは擦過細胞診による検出率:90%以上
- 子宮頚・腟部からの細胞採取による検出率:50%以下
手術進行期分類 (日産婦 1995,FIGO1998)
- 原則として手術進行期分類を用い、手術を行っていない例では臨床進行期分類を用いる
体 → 頚 → 骨盤内 → 骨盤外
- 0期: 子宮内膜異型増殖症
- I期: 子宮体部に限局
- Ia期: 子宮内膜に限局
- Ib期: 浸潤が子宮筋層1/2以内
- Ic期: 浸潤が子宮筋層1/2を越える
- II期: 子宮頸部に及ぶ
- IIa期: 頸管腺のみ
- IIb期: 頸部間質浸潤
- III期: 子宮外に広がるが小骨盤腔を越えない、または所属リンパ節転移
- IIIa期: 漿膜浸潤、付属器浸潤、腹膜細胞診陽性
- IIIb期: 膣転移
- IIIc期: 所属リンパ節転移(骨盤リンパ節、傍大動脈リンパ節)
- IV期: 小骨盤腔を越える、または明らかな膀胱または腸粘膜を侵す
- IVa期: 膀胱、腸粘膜へ浸潤
- IVb期: 遠隔転移(腹腔内リンパ節、鼠径リンパ節転移を含む)
転移
症状
治療
- 手術療法、放射線療法、薬物療法(抗ガン剤、ホルモン療法)
- 治療法の基本は手術療法(単純子宮全摘術、準広汎子宮全摘術、広汎子宮全摘術)。
- 補助的に摘出術を追加することがある:両側付属器切除術、リンパ節郭清、部分大網切除術
- 薬物療法・放射線療法:手術不能例、再発例、術後の補助療法
薬物療法
抗悪性腫瘍薬
- シスプラチン、アドリアマイシン、タキサン系の多剤併用療法
化学療法のレジメン
- 参考:http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/nmk/cr/report/200702/502818.htm
ガイドライン的には「アンスラサイクリン系とプラチナ製剤を含む薬剤の選択が薦められている(グレードB)。タキサン系製剤も併用さているが、その十分な根拠は得られていない(グレードC)。(子宮体癌の治療ガイドライン2006年)
一般的な抗腫瘍薬による副作用
ホルモン療法
- ホルモン療法単体:挙児希望のGrade1のIa期:高用量MPA
- 術後補助療法:再発リスクの低い場合、高用量黄体ホルモン療法は非推奨(グレードD)(参考2)
手術療法
-
- MRIや肉眼で明らかな頸部間質浸潤が認められるとき。
- 骨盤リンパ節郭清:基本的に施行。省略するのは、類内膜癌Grade1で、画像診断で病変が子宮内膜に限局すると推定される場合のみ。
- 傍大動脈リンパ節郭清
- 鼠径リンパ節郭清
傍大動脈リンパ節郭清術と部分大網切除術の適応
- 転移リスクが高いため
- 1. 骨盤リンパ節転移例
- 2. 付属器転移例
- 3. 筋層浸潤が1/2を超す例
- 4. 予後不良例(組織型が類内膜癌Grade3、漿液性腺癌、明細胞腺癌、癌肉腫など)。太字の物は特に大網転移率が高い。
放射線療法
- 子宮頚癌(扁平上皮癌)より放射線は有効ではない。 → 放射線療法は腺癌に奏効しづらい!!!
子宮温存を希望する若年性子宮体癌
- 根治治療ではなく、いずれは子宮全摘が必要。
- 再発例では子宮全摘
適応
治療
予後
予後規定因子
- 筋層浸潤の深さ、頚部浸潤、子宮外進展、リンパ節転移、病理組織型、組織学的分化度、血管・リンパ管侵襲
5年生存率
臨床進行期
|
5年生存率(%)
|
出典不明(相対)
|
NGY.229
|
I
|
86
|
79
|
II
|
68
|
66.8
|
III
|
42
|
37.5
|
IV
|
16
|
8.5
|
国試
症例
- 55歳の女性。不正性器出血を主訴に来院した。未経妊、閉経51歳。不妊治療をした経験がある。子宮は鶏卵大で卵巣は両側とも触知しない。経膣超音波で子宮内膜の肥厚が見られる。
子宮体癌治療ガイドライン(2006年)
- 1)進行期決定のために手術術式の選択が必要である。
- 2)子宮体癌は放射線感受性が低く、抗ガン剤の標準治療の確立が遅れている。
- このことから子宮体癌では手術療法が第一選択。高齢や内科的合併症などの理由で、放射線療法が選択される場合もある。
参考
- http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/2006/10/post_d2b6.html
- 2. 子宮体がん治療ガイドライン2009年版:(金原出版)
- http://www.jsgo.gr.jp/guideline/taigan.html
- http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0050/1/0050_G0000135_GL.html
[★]
放射線療法 radiation therapy
[★]
- 英
- chemoradiotherapy
- 関
- 放射線化学療法
[★]
- 英
- radiation, radioactive ray
- 同
- 輻射線
- 関
- 電磁波
場所による分類
性質による分類
胎児への放射線の影響
- 1999年のICRP勧告「胎児が100mGy被爆した場合、子供が奇形を持たない確率はほぼ97%、癌にならない確率は99.1%」
[★]
- 英
- radiation、beam、radiate、emit、beam、radiative、radiant
- 関
- 照射、照射性、排出、ビーム、放散、放射状、放射線、放射線照射
[★]
- 英
- method、law
- 関
- 測定法、測定方法、訴訟、方法、法律学、手法、方式、法律
[★]
- 英
- therapy、regimen、cure、remedy、therapeutic