複合性局所疼痛症候群
- 同
- complex regional pain syndrome
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複合性局所疼痛症候群(ふくごうせいきょくしょとうつうしょうこうぐん、英:Complex regional pain syndrome,略称CRPS)は、交感神経の過剰な活性化に関っていると考えられる疼痛である。神経因性疼痛の代表的疾患であり、体性神経の損傷および骨・筋肉組織損傷、外傷(重症度は関係ない)、内臓疾患、中枢神経系損傷後に発症するとされるが、明らかな先行した損傷がなくとも発症することがある。 また、感覚過敏・アロディニア・代謝異常・浮腫・腫脹・皮膚温異常・局所的骨粗鬆症など様々な症状が観察されることが多い。最も多発する部位は手であり、その場合は同側肩関節の運動制限を伴うことが多い。この病気は、難病指定はされていない。
目次
- 1 用語
- 2 分類
- 3 診断
- 4 臨床症状
- 5 発生機序
- 6 罹患期間
- 7 関連項目
- 8 参考文献
用語
以前より、交感神経系の影響により慢性疼痛となる可能性は指摘されており、その中に、カウザルギー・反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)・肩手症候群(Shoulder hand syndrome,SHS)・外傷後ジストロフィー・ズデック骨萎縮・交感神経性持続疼痛などがある。国際疼痛研究会(IASP;International Association of the Study of Pain)は、複合性局所疼痛症候群(CRPS)という用語を提唱している。
分類
- Ⅰ型
- 神経損傷のない組織損傷に関連するCRPS。RSDがこれに相当する。受傷後数週間経過してから発症する事が多い。
- Ⅱ型
- 神経も巻き込んだ損傷に関連するCRPS。カウザルギーがこれに相当する。受傷直後に発症する事が多い。
診断
臨床検査として、サーモグラム・神経伝導速度検査・交感神経ブロック・筋電図・X線写真・三相性放射核種骨スキャニング・コンピュータ断層撮影(CT)・核磁気共鳴画像法(MRI)等を用いる。しかし、これらの試験においてCRPS患者は正常な所見を示す場合もある。
- CRPS診療用診断基準(IASP,2005)
- きっかけとなった外傷や疾病に不釣り合いな持続性の痛みがある
- 以下の4項目のうち、3つ以上の項目で1つ以上の自覚的徴候がある
- 感覚異常:自発痛、痛覚過敏
- 血管運動異常:血管拡張、血管収縮、皮膚温の左右差、皮膚色の変化
- 浮腫・発汗異常:浮腫、多汗、発汗低下
- 運動異常・萎縮性変化:筋力低下、振戦、ジストニア、協調運動障害、爪・毛の変化、皮膚萎縮、関節拘縮、軟部組織変化
- 診察時において、上記の項目のうち、2つ以上の項目で1つ以上の他覚的所見がある
- 上記の症状や徴候をよりうまく説明できる他の診断がない
- CRPS臨床用判定指標(CRPS研究会,2008)
自覚的症状(病気のいずれかの時期に、以下の自覚的症状のうち2項目以上該当すること)
- 皮膚・爪・毛のうちいずれかに萎縮性変化
- 関節可動域制限
- 持続性ないし不釣り合いな痛み、しびれたような針で刺すような痛み、または知覚過敏
- 発汗の亢進ないしは低下
- 浮腫
他覚的所見(診察時において、以下の他覚的所見の項目を2項目以上該当すること)
- 皮膚・爪・毛のうちいずれかに萎縮性変化
- 関節可動域制限
- 異痛症(触刺激または熱刺激)ないしは痛覚過敏(ピンプリック)
- 発汗の亢進ないしは低下
- 浮腫
臨床症状
- 刺激を起している損傷や疾病とは不釣り合いな激しい疼痛
- 疼痛性刺激に対する過剰反応
- 通常なら疼痛を起さない刺激に反応した痛覚
- 皮膚萎縮(光沢・乾燥・鱗状を示す。)
- 多汗症
- 浮腫
- こわばり
- 毛髪の成長低下
- 患部のまだら様骨粗鬆症
- 運動制限
- 皮膚温異常
- 筋萎縮
- 爪の変化(初期は速く伸び、やがて伸びにくくなる。脆くなる。)
- 症状の拡大
発生機序
交感神経が疼痛に影響するメカニズムは2009年現在明らかにされていない。しかし、そのメカニズムは交感神経求心性線維または遠心性線維から放出される神経伝達物質によって、侵害受容器を直接刺激することに起因するとされる。疼痛により生じる交感神経活性は、求心性C線維を活性化させることがあり、これは二次痛を増大させる。これはさらに交感神経の活性を亢進させ、痛みの悪循環が形成される。
罹患期間
CRPSの罹患期間は多様である。軽症の場合は、数週間後に寛解するが、多くは何年にも渡る。寛解と再発を経験する場合もある。 以前はステージによる病期分類が行われていたが、疾患の進行は患者により様々であり、予期が困難である為、現在はあまり使用されていない。
関連項目
参考文献
- Michelle H.Cameron 編著 渡辺一郎 監訳:普及版EBM物理療法 第2版.医歯薬出版株式会社,2006,ISBN4-263-21292-4
- Merskey H,Bogduk N:Classification of chronic pain.ISAP press,1994
- Bonica JJ:Causalgia and other reflex sympathtic dystrophies,The Management of Pain.Edited by Bonica JJ.Philadelphia,Lea and Febiger,p220
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CRPS may refer to:
- Complex regional pain syndrome
- Center for Rehabilitation of Pain Syndromes – Center for managing complex pain syndromes, especially complex regional pain syndrome, located in UCLA
- CRPS computer form factor
UpToDate Contents
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English Journal
- Complement gene expression is regulated by pro-inflammatory cytokines and the anaphylatoxin C3a in human tenocytes.
- Busch C, Girke G, Kohl B, Stoll C, Lemke M, Krasnici S, Ertel W, Silawal S, John T, Schulze-Tanzil G.SourceDepartment for Special Orthopaedic, Trauma and Reconstructive Surgery, Charité-Universitätsmedizin, Campus Benjamin Franklin, Berlin, Germany.
- Molecular immunology.Mol Immunol.2013 Apr;53(4):363-73. doi: 10.1016/j.molimm.2012.09.001. Epub 2012 Oct 13.
- Interplay between complement factors, regulatory proteins, anaphylatoxins and cytokines could be involved in tendon healing and scar formation. The expression and regulation of complement factors by cytokines or anaphylatoxins are completely unclear in tendon. Hence, the gene expression of the anaph
- PMID 23070120
- Establishing a relationship between bacteria in the human gut and Complex Regional Pain Syndrome.
- Reichenberger ER, Alexander GM, Perreault MJ, Russell JA, Schwartzman RJ, Hershberg U, Rosen G.SourceSchool of Biomedical Engineering, Science and Health Systems, Drexel University, United States.
- Brain, behavior, and immunity.Brain Behav Immun.2013 Mar;29:62-9. doi: 10.1016/j.bbi.2012.12.005. Epub 2012 Dec 20.
- Complex Regional Pain Syndrome (CRPS) is a serious and painful condition involving the peripheral and central nervous systems. Full comprehension of the disorder's pathophysiology remains incomplete, but research implicates the immune system as a contributor to chronic pain. Because of the impact ga
- PMID 23261776
Japanese Journal
- 患側上肢の下垂で疼痛と冷感の増強, 皮膚の色調変化を呈した complex regional pain syndrome (CRPS) type 1 の1例
- 福岡 卓也,溝井 令一,二宮 充喜子,中里 良彦,山元 敏正,田村 直俊,荒木 信夫
- 自律神経 = The Autonomic nervous system 48(4), 347-350, 2011-08-15
- NAID 10029835157
- 難治性疼痛(CRPS・ニューロパチーなど)に対する漢方治療 (特集 痛みと漢方)
Related Links
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- CRPS(RSD/ カウザルギー)について きっかけとなった原因とは不釣合いな激しい痛みが慢性的に続くということがあります。そのような場合は、CRPSかもしれません。手足の外傷や手術時に神経を損傷することなどによりCRPSを発症する ...
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★リンクテーブル★
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- 英
- diabetes mellitus (SP), DM
- 関
- 糖尿病治療薬
- first aid step1 2006 p.first aid step1 2006 p.256,423
定義
- インスリンの不足
病型
- インスリン分泌の低下
- 血中インスリン濃度:低
- 遺伝や生活習慣病に関係なく発症。治療はインスリンの注射
- インスリン受容体や細胞内情報伝達系の質的・量的変化
- 一般に血中インスリン濃度:高
- 肥満、喫煙、運増などが関連
- 中高年に多い
- 運動療法と食事療法
参考1
- NIDDM:インスリン不要
- NIDDM:高血糖是正にインスリン必要
- IDDM:ケトーシス防止や生存にインスリン必要
症状
-
- 血糖値が170-180mg/dl以上で尿糖陽性となる。
- 血糖150mg/dlでも尿糖陽性であれば腎性尿糖が疑われる
- 口渇、多飲、多尿
- ケトーシス、アシドーシス体重減少
合併症
- 多発神経障害(広汎性左右対称性神経障害)
- 単神経障害
- 栄養血管の閉塞による脳神経障害
- 外眼筋(動眼神経、滑車神経、外転神経)麻痺、顔面神経麻痺
医療系の雑誌より(日経カデット11月?)
表5 糖尿病患者にみられる筋骨格系症状を呈する疾患と臨床的特徴
糖尿病との関係
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疾患
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臨床的特徴
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糖尿病が直接病因に関与する疾患
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糖尿病性手関節症(diabetic cheiroarthropathy)
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コントロール不良の糖尿病に多い。原因不明の皮膚硬化が徐々に進行し、手指の屈曲拘縮を来し手全体に及び、強皮症と誤診される。手指を合わせることができない(Prayer徴候)。
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シャルコー関節
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頻度は低い(1%)が、長期糖尿病コントロール不良患者に多い。通常、足根中足関節などの中足部が多く、足底表面、前足部、中足部に潰瘍形成の合併を認めることがあり、骨髄炎との鑑別が困難な例あり。
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糖尿病性骨溶解(diabetic osteolysis)
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原因不明の足趾の末節骨や基節骨の骨吸収が起こリ、足痛の原因となる。X線ではickedcandy変形を呈し、骨髄炎との鑑別が困難。
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糖尿病性筋梗塞
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外傷、感染、腫瘍がなく大腿部などに急激に増大する疼痛を伴う腫瘤を認める。生検は出血の危険があるため行わない。通常1~2カ月で自然寛解する
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糖尿病性筋萎縮症(diabetic amyotrophy)
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糖尿病性末梢神経障害の一型。大腿前部の痛みで、時に脱力や萎縮が非対称性に起きる。CPKの上昇はなく、脳脊髄液で軽度蛋白上昇以外の有意な所見はない。神経伝導速度.筋電図では神経原性変化を認め、筋生検では炎症細胞浸潤を伴わない筋線経の萎縮あり。
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直接の関係は不明だが糖尿病患者に頻度が高い疾患
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癒着性関節包炎(凍結肩または五十肩)
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糖尿病患者の10-33%にみられる。長期2型糖尿病を有する女性に多く、肩の痛みと可動域障害を呈する。約半数が両側性だが非利き手側で症状が強い。炎症反応やX線異常を認めず、数週~数カ月で自然寛解する。
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複合性局所疼痛症候群1型(complex regional pain syndrome CRPS)
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四肢の疼痛、皮膚色変化、皮膚温の変化、浮腫、可動域制限などの症候を呈するまれな症候群。
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手掌屈筋鍵炎
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糖尿病患者の5-33%に認められる。長期に罹患した女性に多く、利き手側の母指に頻度(75%)が高いが、どの指にもみられる。
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Dupuytren拘縮
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手掌筋膜の短縮と肥厚(有痛性結節)を生じ、第4、5指の屈曲拘縮を呈する。1型糖尿病で長期に罹患した患者に多いが、血糖コントロールとの関係はない。
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手根管症候群
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手根管症候群の全患者の最大15%に糖尿病を認める。
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広汎性特発性骨増殖症(diffuse idiopathic skeletal hyperostosis DISH)
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2型糖尿病患者の約20%にみられ、50才以上の肥満患者に多い。頭部、腰部のこわばリ、関節の可動域制限を呈する。全身の腱付着部痛を呈することもある。
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その他
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感染性関節炎や骨髄炎
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血糖上昇による免疫力低下が感染症リスクを上昇させることによる
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診断
血糖値検査による分類
正常 糖尿病型
空腹時血糖値 <110mg/dL ≧126mg/dL
and or
75g OGTT2時間値 <140mg/dL ≧200mg/dL
- 正常型であっても、食後1時間値が180mg/dL(10.0mmol/l)以上の場合には、180mg/dl未満のものに比べて糖尿病に進展する可能性が高いので、境界型に準じた取り扱い(経過観察)を行う(参考1)。
診断基準
- 参考2-4
- 1) 初回検査で、①空腹時血糖値≧126mg/dl、②75gOGTT2時間値≧200mg/dl、③随時血糖値≧200mg/dl、④HbA1c(国際標準値)≧ 6.5%のうちいずれかを認めた場合は、「糖尿病型」と判定する。別の日に再検査を行い、再び「糖尿病型」が確認されれば糖尿病と診断する。但し、HbA1cのみの反復検査による診断は不可とする。また、血糖値とHbA1cが同一採血で糖尿病型を示すこと(①~③のいずれかと④)が確認されれば、初回検査だけでも糖尿病と診断してよい。
- 2)血糖値が糖尿病型(①~③のいずれか)を示し、かつ次のいずれかの条件がみたされた場合は、初回検査だけでも糖尿病と診断できる。
- 糖尿病の典型的症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)の存在
- 確実な糖尿病網膜症の存在
- 3)過去において、上記1)ないしは2)の条件がみたされていたことが確認できる場合には、現在の検査値が上記の条件に合致しなくても、糖尿病と診断するか、糖尿病の疑いを持って対応する必要がある。
- 4)上記1)~ 3)によっても糖尿病の判定が困難な場合には、糖尿病の疑いをもって患者を追跡し、時期をおいて再検査する。
- 5)初回検査と再検査における判定方法の選択には、以下に留意する。
- 初回検査の判定にHbA1cを用いた場合、再検査ではそれ以外の判定方法を含めることが診断に必須である。検査においては、原則として血糖値とHbA1cの双方を測定するものとする。
- 初回検査の判定が随時血糖値≧200mg/dlで行われた場合、再検査は他の検査方法によることが望ましい。
- HbA1cが見かけ上低値になり得る疾患・状況の場合には、必ず血糖値による診断を行う。
[show details]
- 以前の記事
- 1. 以下のいずれかの検査を行い、基準値を超えていれば糖尿病型と判定
- (1)空腹時血糖値 :≧126mg/dl
- (2)75g OGTT2時間値:≧200mg/dl
- (3)随時血糖値 :≧200mg/dl
- 2. 1.で2回続けて(別の日に行う。異なる検査項目が好ましい)糖尿病型と判定されるか、1.で1回糖尿病型と判定されかつ、以下の条件を満たすとき、「糖尿病」と診断する
- a. 糖尿病の典型的症状が存在すること
- b. HbA1c≧6.5%
- c. 糖尿病性網膜症が存在すること
- d. 過去に糖尿病型を示した資料(検査データ)がある場合
予後
- 糖尿病の死因の一位は心筋梗塞(Q book p.259)。
USMLE
高血圧と糖尿病を合併する病態
参考
- http://www.uemura-clinic.com/dmlecture/newcriteria.htm
- http://d.hatena.ne.jp/bonbokorin/20100608/p1
- 3. 糖尿病の新しい診断基準を7月に施行 日本糖尿病学会-糖尿病NET-資料室
- http://www.dm-net.co.jp/calendar/2010/010167.php
- 4. 委員会報告 糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告 2010
- http://www.jds.or.jp/jds_or_jp0/uploads/photos/635.pdf
[★]
- 英
- complex regional pain syndrome, CRPS
- 関
- 反射性交感神経性ジストロフィー
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- 英
- complex regional pain syndrome、CRPS
- 関
- 複合性局所疼痛症候群
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複合性局所疼痛症候群
- 同
- CRPS
- 同
- CRPS
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複合性局所疼痛症候群2型
- 関
- causalgia、complex regional pain syndrome type II、deafferentation pain
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カテーテル関連血流感染
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