- 英
- anovulatory menstrual cycle (G9M)
- 関
- 無排卵周期
疫学
病因
- エストロゲン分泌の急激な減少 → 卵胞期において未熟な卵胞が退縮しエストロゲン分泌が低下 → 消退出血 月経周期は28日よりも短くなる(25日未満)
- エストロゲン分泌の継続 → 卵胞期において未熟な卵胞が存在し続けプロゲステロンが出ないまま未排卵に終わる → らせん動脈が子宮内膜を栄養仕切れず消退出血 月経周期は延長する(39日~3ヶ月)
徴候
- NGY.152
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- P3-304 遺伝子組換え卵胞刺激ホルモンと尿由来卵胞刺激ホルモンの第I度無月経,無排卵周期症患者を対象とした第III相多施設共同単盲検並行群間比較試験(Group113 生殖内分泌1,一般演題,第61回日本産科婦人科学会学術講演会)
- 松崎 利也,矢内原 巧,武谷 雄二,吉村 泰典,水沼 英樹,苛原 稔,星合 昊,安藤 一道,齊藤 英和,藤井 俊策,福田 淳,村上 節,丸山 哲夫,百枝 幹雄,石川 雅彦,佐藤 芳昭,小川 隆吉,近藤 芳仁,稲垣 昇,宮崎 豊彦,倉沢 滋明,池永 秀幸,花岡 嘉奈子,柴原 浩章,角田 隆,横田 佳昌,奥 裕嗣,福田 愛作,塩谷 雅英
- 日本産科婦人科學會雜誌 61(2), 769, 2009-02-01
- NAID 110007166643
- 無排卵周期症 (産婦人科ホルモン療法マニュアル) -- (生殖内分泌・不妊)
- P2-264 黒大豆投与による,無排卵周期症の改善について(Group 148 不妊・不育X,一般演題,講演要旨,第58回日本産科婦人科学会学術講演会)
Related Links
- 無排卵周期症(無月経) 基礎体温が高温と低温の2相にならずに、1相性のものを無排卵性周期と言います。基礎体温を測っていないと無排卵性周期を見つけることは難しく、からだに異常がないと思い込んでしまう人も多いようです。
- 無排卵性月経は、医学的には無排卵周期症と定義されています。無排卵周期症とは、正常女性であれば低温相と高温相の二相性に変化する基礎体温が、一相性のままで月経様出血を認める状態です。通常は十分な卵胞成熟がおこらず ...
- 今回は、「無排卵周期症」についてお話しました。 「無排卵周期症」は月経不順、不妊、不正出血などの症状により日常のQOL(生活の質)を損ない、将来の骨粗しょう症や子宮体がんの危険性を高める可能性があります。
★リンクテーブル★
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [100A043]←[国試_100]→[100A045]
[★]
- 英
- uterine corpus cancer, carcinoma of uterine corpus, cancer of the uterine body
- ラ
- carcinoma corporis uteri
- 同
- 子宮内膜癌 endometrial carcinoma endometrial cancer
- 関
- 子宮、腫瘍、産婦人科学、子宮内膜増殖症(前癌病変)
定義
疫学
- 発生頻度は欧米に多く、日本では少ない(女性人口10万当たり4)→高齢化、生活習慣との関連
- 発症年齢は50歳代が最も多く、閉経後が7割を占める。40歳以下の婦人は5%程度。
- 妊娠中および分娩後5年以内に体癌が発見されることはほとんどない。
- 日本では近年増加傾向。子宮癌全体の30%を占める(みえる9.150)
リスクファクター
- プロゲステロンに拮抗されずに、エストロゲンに長期暴露されることによる
- 典型像:60歳くらいの太った未産の女性
- 未婚、不妊、閉経後、高い初婚・初妊年齢、少ない妊娠・出産回数、卵胞ホルモン服用歴、肥満
- 卵巣機能異常(無排卵周期症、PCOSなどの既往) → 正常量のエストロゲンが存在するものの、これに拮抗するプロゲステロンが欠乏する
- 出典不明
症状
- ほとんどの場合に症状がある。
- 9割で不正性器出血がみられる。そのほか過多月経、異常帯下、下腹部痛など。
子宮体癌の組織的分類
- ()内の頻度はG9M.155
-
G9M.155
- 類内膜癌(80-90%) → 類内膜腺癌(60-70%)、扁平上皮への分化を伴う類内膜腺癌(20-30%)
- 細胞異型が強い場合にはGradeを上げる。
- Grade1(高分化型)充実増殖の占める割合が腺癌成分の5%以下。プロゲステロン受容体陽性率高。予後良好
- Grade2(中分化型)充実増殖の占める割合が腺癌成分の6-50%。プロゲステロン受容体陽性率中。予後中等度
- Grade3(低分化型)充実増殖の占める割合が腺癌成分の50%超。プロゲステロン受容体陽性率低。予後不良
発生機序による分類
- type I:エストロゲン依存性。発症は遺伝子変異とエストロゲンの長期持続刺激による子宮内膜細胞の異常増殖
- type II:エストロゲン非依存性。子宮内膜異型増殖症を介さないで癌化する
検査
超音波エコー(経膣超音波)
腫瘍マーカー
MRI
- T2画像が有用。
- junctional zoneの菲薄化・欠損
- 子宮内膜>腫瘍>筋層>junctional zone
診断
- 子宮腔内の吸引あるいは擦過細胞診による検出率:90%以上
- 子宮頚・腟部からの細胞採取による検出率:50%以下
手術進行期分類 (日産婦 1995,FIGO1998)
- 原則として手術進行期分類を用い、手術を行っていない例では臨床進行期分類を用いる
体 → 頚 → 骨盤内 → 骨盤外
- 0期: 子宮内膜異型増殖症
- I期: 子宮体部に限局
- Ia期: 子宮内膜に限局
- Ib期: 浸潤が子宮筋層1/2以内
- Ic期: 浸潤が子宮筋層1/2を越える
- II期: 子宮頸部に及ぶ
- IIa期: 頸管腺のみ
- IIb期: 頸部間質浸潤
- III期: 子宮外に広がるが小骨盤腔を越えない、または所属リンパ節転移
- IIIa期: 漿膜浸潤、付属器浸潤、腹膜細胞診陽性
- IIIb期: 膣転移
- IIIc期: 所属リンパ節転移(骨盤リンパ節、傍大動脈リンパ節)
- IV期: 小骨盤腔を越える、または明らかな膀胱または腸粘膜を侵す
- IVa期: 膀胱、腸粘膜へ浸潤
- IVb期: 遠隔転移(腹腔内リンパ節、鼠径リンパ節転移を含む)
転移
症状
治療
- 手術療法、放射線療法、薬物療法(抗ガン剤、ホルモン療法)
- 治療法の基本は手術療法(単純子宮全摘術、準広汎子宮全摘術、広汎子宮全摘術)。
- 補助的に摘出術を追加することがある:両側付属器切除術、リンパ節郭清、部分大網切除術
- 薬物療法・放射線療法:手術不能例、再発例、術後の補助療法
薬物療法
抗悪性腫瘍薬
- シスプラチン、アドリアマイシン、タキサン系の多剤併用療法
化学療法のレジメン
- 参考:http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/nmk/cr/report/200702/502818.htm
ガイドライン的には「アンスラサイクリン系とプラチナ製剤を含む薬剤の選択が薦められている(グレードB)。タキサン系製剤も併用さているが、その十分な根拠は得られていない(グレードC)。(子宮体癌の治療ガイドライン2006年)
一般的な抗腫瘍薬による副作用
ホルモン療法
- ホルモン療法単体:挙児希望のGrade1のIa期:高用量MPA
- 術後補助療法:再発リスクの低い場合、高用量黄体ホルモン療法は非推奨(グレードD)(参考2)
手術療法
-
- MRIや肉眼で明らかな頸部間質浸潤が認められるとき。
- 骨盤リンパ節郭清:基本的に施行。省略するのは、類内膜癌Grade1で、画像診断で病変が子宮内膜に限局すると推定される場合のみ。
- 傍大動脈リンパ節郭清
- 鼠径リンパ節郭清
傍大動脈リンパ節郭清術と部分大網切除術の適応
- 転移リスクが高いため
- 1. 骨盤リンパ節転移例
- 2. 付属器転移例
- 3. 筋層浸潤が1/2を超す例
- 4. 予後不良例(組織型が類内膜癌Grade3、漿液性腺癌、明細胞腺癌、癌肉腫など)。太字の物は特に大網転移率が高い。
放射線療法
- 子宮頚癌(扁平上皮癌)より放射線は有効ではない。 → 放射線療法は腺癌に奏効しづらい!!!
子宮温存を希望する若年性子宮体癌
- 根治治療ではなく、いずれは子宮全摘が必要。
- 再発例では子宮全摘
適応
治療
予後
予後規定因子
- 筋層浸潤の深さ、頚部浸潤、子宮外進展、リンパ節転移、病理組織型、組織学的分化度、血管・リンパ管侵襲
5年生存率
臨床進行期
|
5年生存率(%)
|
出典不明(相対)
|
NGY.229
|
I
|
86
|
79
|
II
|
68
|
66.8
|
III
|
42
|
37.5
|
IV
|
16
|
8.5
|
国試
症例
- 55歳の女性。不正性器出血を主訴に来院した。未経妊、閉経51歳。不妊治療をした経験がある。子宮は鶏卵大で卵巣は両側とも触知しない。経膣超音波で子宮内膜の肥厚が見られる。
子宮体癌治療ガイドライン(2006年)
- 1)進行期決定のために手術術式の選択が必要である。
- 2)子宮体癌は放射線感受性が低く、抗ガン剤の標準治療の確立が遅れている。
- このことから子宮体癌では手術療法が第一選択。高齢や内科的合併症などの理由で、放射線療法が選択される場合もある。
参考
- http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/2006/10/post_d2b6.html
- 2. 子宮体がん治療ガイドライン2009年版:(金原出版)
- http://www.jsgo.gr.jp/guideline/taigan.html
- http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0050/1/0050_G0000135_GL.html
[★]
- 英
- polycystic ovary syndrome, polycystic ovarian syndrome, PCOS
- 同
- スタイン・レーヴェンタール症候群 スタイン・レーベンタール症候群 スタイン-リヴェンサール症候群 Stein-Leventhal症候群 Stein-Leventhal syndrome
- 関
- 多嚢胞性卵巣症候群、スタイン・レヴェンタール症候群
[show details]
概念
- 両側の多嚢胞卵巣、排卵障害、月経異常(無月経)、不妊、不育、肥満、多毛、男性化症状などを呈する病態
病因
- インスリン抵抗性 → 高インスリン血症 → 莢膜細胞肥厚 → アンドロゲン産生促進
病態生理
- 過剰産生されたアンドロステンジオンは末梢の脂肪組織でエストロゲンに変換される。
- 卵巣の白膜が肥厚、卵胞の発育抑制 ← アンドロゲン過剰による
-
- 過剰のテストステロン・アンドロゲン → にきび、声の低音化、多毛、男性化症状
- 卵巣の顆粒細胞層は萎縮し、アロマターゼ活性低下 → エストラジオール産生は増加しない。
症状
- 日本では月経異常(92%)、不妊(99%)の訴えが多い。多毛(23%)、肥満(20%)は少ない
合併症
- 耐糖能異常、脂質代謝異常、2型糖尿病、高血圧、心血管病、閉塞性睡眠時無呼吸症候群
- 子宮体癌
- 参考1
- メタボリックシンドロームの臨床像である耐糖能異常、脂質代謝異常、2型糖尿病、高血圧、心血管病、閉塞性睡眠時無呼吸症候群を罹患する、あるいは将来罹患すると考えられている。排卵障害に起因するエストロゲンへの恒常的曝露により、子宮体癌に進展するリスクが高い。
- 参考2
- 過剰に産生されたアンドロステンジオンは脂肪組織でエストロゲンに変換され、子宮内膜がエストロゲンに暴露され、無排卵周期であるためにプロゲステロンが分泌されず暴露は継続的となる(子宮体癌との関連は限定的という研究もあるが)。しかし、PCOSでは高インスリン血症、IGF-1高値、抗アンドロゲン血症、肥満が見られ、これは子宮体癌のリスクファクターとなっている。
- 参考3
- PCOSでは排卵の頻度が少ないかあるいは無敗卵となるために正常量のプロゲステロンが分泌されない。高レベルのエストロゲンを拮抗できないために子宮内膜過形成と過多月経のリスクを上げる。
検査
ホルモン検査
- (also see 参考3)
- アンドロゲン:高値
- LH/FSH≧1 LH:高値 。FSH正常~低値
- LHRL負荷試験:LH:過剰反応。FSH:正常範囲
経腟超音波検査
診断
- 続発性無月経、不妊を主訴 → 視診(多毛、陰核肥大、肥満など) → 内診(両側卵巣腫大) → 経膣超音波検査(多数の卵胞が卵巣表面に並んで見える) → 血液生化学(LH高値、アンドロゲン高値、LH-RH負荷テストでLHの過剰反応) → (治療的検査?)腹腔鏡検査
治療
排卵障害・月経異常
- 参考1
- 1) クロミフェン療法:第1度無月経を呈するPCOSに対してクロミフェンを投与。50%の排卵率と10-20%の妊娠率が得られる
- 2) ゴナドトロピン療法(hMG-hCG療法):クロミフェン療法が無効の場合に適応となる。多胎と卵巣過剰刺激症候群が起こりやすいので注意する。
- 3) 腹腔鏡下卵巣多孔術:クロミフェン療法が無効の場合に適応となる。電気メスやレーザーにより、卵巣表面に多数の穴を開ける腹腔下手術である。メリット:効果はゴナドトロピン療法に匹敵、OHSSや多胎のリスクが少ない、受診回数が少なくて済むなど。デメリット:排卵誘発剤の補助的併用が必要になる場合がある、効果の持続は1-2年以内と比較的短い、手術のリスク。
- 4) 生殖補助技術:1)-3)で不成功に終わった場合適応。
参考
- 1. E.婦人科疾患の診断・治療・管理 3.内分泌疾患 - 日産婦誌60巻11号
- http://www.jsog.or.jp/PDF/60/6011-477.pdf
- 2. [charged]Clinical manifestations of polycystic ovary syndrome in adults - uptodate [1]
- 3. [charged] Steroid hormone metabolism in polycystic ovary syndrome - uptodate [2]
国試
[★]
- 英
- clomiphene, clomifene
- 化
- クエン酸クロミフェン クロミフェンクエン酸塩 clomifene citrate clomifeni citras
- 同
- クロラミフェン chloramiphene
- 商
- クロミッド、セロフェン、スパクロミン
- 関
- エンクロミフェン、エストロゲン。クロミフェン療法
作用機序
- 弱いエストロゲン作用と中程度の抗エストロゲン作用を有しており、視床下部のエストロゲン受容体に競合的に結合して(ネガティブフィードバックを解除することで?。単なる競合阻害薬として作用するのであろう)、ゴナドトロピン放出ホルモン、ゴナドトロピンの分泌を促す。
- ⇔ GnRHアゴニスト(GnRH受容体アゴニスト。下垂体のGnRH受容体のダウンレギュレーションを狙って用いられる。これによりゴナドトロピンの分泌が抑制される。)
薬理作用
適応
排卵誘発
- 投与方法:月経第5日から5日間
- 排卵率:70-80%
- 1-5の卵胞が成熟卵胞となる ⇔ hMG刺激では数個から十数個の卵胞が成熟卵胞となる。
禁忌
重要な基本的注意
- 参考1
- (1) 投与前少なくとも1ヵ月間及び治療期間中は基礎体温を必ず記録させ,排卵誘発の有無を観察すること。
- (2) 無月経患者においては投与前にgestagen testを行い,消退性出血開始日を第1日として5日目に,また投与前に自然出血(無排卵周期症)があった場合はその5日目に投与を開始すること。
- (3) 投与後基礎体温が高温相に移行した場合は,投与を中止し,必ず妊娠成立の有無を確認すること。
副作用
- 頚管粘液低下、子宮内膜発育不良(抗エストロゲン作用に基づく)
- 参考1
- 卵巣過剰刺激(≧5%。下腹部痛等の卵巣腫大症状)、虚血性視神経症(≧5%)、霧視等の視覚症状(>0.1-5%未満)、過敏症(≧5%。発疹等)、精神変調(≧5%)、頭痛・情動不安等(0.1-5%未満)、肝臓酵素異常(≧5%。AST上昇,ALT上昇,ビリルビン上昇,γ-GTP上昇)、肝機能低下(<0.1%。5%以上のBSP排泄遅延)、悪心・嘔吐・食欲不振等(<0.1-5%)、顔面潮紅・尿量増加・口渇・疲労感(<0.1-5%)
臨床関連
参考
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2499009F1080_1_03/2499009F1080_1_03
[★]
- 英
- hypomenorrhea ← これには過短月経の意味もあるらしく・・・
- 関
- 月経異常
病因 NGY.152
[★]
- 英
- clomiphene therapy
- 関
- クロミフェン、排卵誘発法
[★]
- 英
- sis, pathy
[★]
- 英
- anovulatory menstrual cycle
- 関
- 無排卵性周期、無排卵月経
[★]
- 英
- anovulation、anovulatory
- 関
- 排卵障害、無排卵症
[★]
- 英
- cycle
- 関
- 回路、サイクル
[★]
- 英
- ovulation
- 関
- 排卵誘発法