- 英
- patellar reflex (M), patellar tendon renex PTR
- 同
- knee jerk。大腿四頭筋反射 quadriceps femoris reflex、quadriceps reflex
- 関
- 大腿神経、大腿四頭筋
- 膝蓋靭帯を軽く叩くと、大腿四頭筋の筋紡錘が反応して刺激が脊髄に至り、脊髄から大腿四頭筋の反射的な収縮を引き起こす (M.314)
- 大腿四頭筋には大腿神経(L2-L4)が分布しており、これが膝蓋腱反射に関わっている。
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深部腱反射(しんぶけんはんしゃ、DTR:Deep Tendon Reflex)は人体にみられる生理的な反射の代表的なものである。ゴムハンマー(打腱器)などで手軽に誘発することができる上、運動系(錐体路系)障害や末梢神経障害の診断の目安となるため神経学的検査として非常に頻繁に用いられている。
目次
- 1 性質
- 2 反射のメカニズム
- 3 病的反射と臨床意義
- 4 まとめ
- 5 関連
性質
太い骨格筋につながる腱を、筋が弛緩した状態で軽く伸ばし、ハンマーで叩く。すると、一瞬遅れて筋が不随意に収縮する。これが観察しやすい箇所はいくつかあって、
- 大腿四頭筋の膝蓋腱(下腿前面、膝蓋骨と脛骨の間隙)(=膝蓋腱反射)
- 下腿三頭筋のアキレス腱(下腿後面、かかとより近位)
- 上腕二頭筋の遠位腱(肘窩の内側)
- 上腕三頭筋の遠位腱(上腕後面、肘頭より近位)
- 腕橈骨筋(わんとうこつきん)の遠位腱(前腕外側の遠位)
などが代表的である。
被検者が緊張していたり、特に検査部位に意識を集中していると腱反射は出現しにくくなる。その場合は無関係な運動(自分の右手と左手を組んで互いに引っ張る)をさせることで腱反射が出現しやすくなる(Jendrassik(ジェンドラシック)手技)。
反射のメカニズム
腱反射は、急な外力によって筋が損傷するのを防ぐための生理的な防御反応である。弛緩した筋は損傷し易いため、外力のかかった際にすばやく筋を緊張させている。 反射は感覚器-求心路-中枢-遠心路-効果器とモデル化することができるが、腱反射のメカニズムをこのモデルに当てはめると、
- 感覚器に相当するのは骨格筋に含まれる筋紡錘である。筋の長さの変化のセンサーであり、その感度はγ、β線維と呼ばれる神経によってコントロールされている。
- 求心路として働くのは主にIa線維と呼ばれる神経である。これは太く、すなわち伝達速度の速い神経である。外力からの防御を素早く行うのに適している。
- 中枢は脊髄にある。ここでIa線維は前核細胞二次ニューロンとシナプスを形成する。
- 運動系の二次ニューロンが遠心路となる。二次ニューロンは正常であれば上位中枢から抑制を受けており、α線維からの刺激に過剰に反応はしないようになっている。
- 効果器は、刺激された筋と同一方向に働くすべての筋(協同筋)となる。
- 筋収縮中には上位中枢からの入力によりγ神経細胞の興奮も、錘外筋を支配するα神経細胞と同様に高まり筋紡錘の感度も増加する。そのため、筋収縮中は筋紡錘からのIa出力も増加し単シナプス性にα神経細胞への興奮性入力が増加する。これをα-γ coactivationといい、筋収縮の円滑な維持に役立っていると考えられている。
深部腱反射はシナプス接続の一回しかない単シナプス反射なので解析がしやすく、反射の代表として取り上げられることが多い。
病的反射と臨床意義
異常として「反射の亢進」と「反射の低下・消失」の2種がある。 通常、日々の症状に大きな変動はなく、同様の症状が暫く継続される。
反射の亢進
メカニズムの項で触れた通り、腱反射は通常上位運動系から抑制されている。そのため、上位の運動系(錐体路:大脳中心前回~内包~延髄錐体交叉~脊髄側索)に障害があった場合、抑制が無くなるため反射の亢進(過剰に強くなる)がみられる。 これは麻痺がある時の鑑別診断において重要な所見であり、脊髄を含めた中枢側に原因がある運動障害であると診断することができる(錐体路障害)。 特に、膝関節部の膝蓋腱反射が亢進している状態を膝クローヌス、足関節部のアキレス腱反射が亢進している状態を足クローヌスと呼ぶことがある。 反射が亢進している状態は、円滑な日常生活動作(ADL)の阻害因子となる。また、後々、関節の周りを取り巻く筋肉などの軟部組織の硬直化を惹起し、関節拘縮が発生しやすくなる。 反射の強さにも個人差があるが、左右差があって明らかにどちらかが強い場合に有意な亢進と解釈することができる。脊髄腫瘍や椎間板ヘルニアによる障害では左右差は有用である。しかし筋萎縮性側索硬化症では両側性に反射の亢進をきたすため注意を要する。
反射の低下・消失
脊髄髄節の障害、もしくは求心路となるα線維か遠心路となる二次運動線維の障害があった場合に腱反射は出現しにくくなる。筋自体の障害でも同様である。
頸椎症では頸髄髄節や神経根の圧迫から上肢で腱反射が出にくくなる傾向があり(髄節障害では、その部位以下に下行する上位運動ニューロンも障害されることがあり、その場合下肢はかえって深部腱反射が亢進することがある)、また糖尿病など全身性の末梢神経障害であれば、長い神経ほど大きな障害を受けやすいのでアキレス腱など遠位の腱で両側性の低下あるいは消失がみられる。ギラン・バレー症候群では、全身の深部腱反射消失が診断を行う上で重要な所見となる。
一時期致命的な難病として知られた脚気は、栄養失調の結果として末梢神経障害をもたらすため、膝蓋腱反射の低下が重要な診断項目であった。
まとめ
病的反射であるホフマン反射、トレムナー反射、ワルテンベルグ反射は手指屈筋反射にバビンスキー反射とチャドック反射は足底筋反射としてまとめた。
- 深部腱反射のまとめ
反射 |
求心神経 |
主な反射中枢レベル |
遠心神経 |
下顎反射 |
三叉神経 |
橋 |
三叉神経 |
上腕二頭筋反射 |
筋皮神経 |
C5 |
筋皮神経 |
上腕三頭筋反射 |
橈骨神経 |
C7 |
橈骨神経 |
腕撓骨筋反射 |
橈骨神経 |
C6 |
橈骨神経 |
手指屈筋反射 |
正中神経 |
C8 |
正中神経 |
三角筋反射 |
腋窩神経 |
C5 |
腋窩神経 |
大胸筋反射 |
前胸神経 |
C5-T1 |
前胸神経 |
膝蓋腱反射 |
大腿神経 |
L4 |
大腿神経 |
アキレス腱反射 |
脛骨神経 |
S1 |
脛骨神経 |
下肢内転筋反射 |
閉鎖神経 |
L3-L4 |
閉鎖神経 |
膝屈筋反射 |
坐骨神経 |
S1 |
坐骨神経 |
- 表在反射のまとめ
反射 |
求心神経 |
主な反射中枢レベル |
遠心神経 |
角膜反射 |
三叉神経 |
橋 |
顔面神経 |
咽頭反射 |
舌咽神経 |
延髄 |
迷走神経 |
軟口蓋反射 |
三叉神経 |
延髄 |
顔面神経 |
腹壁反射 |
胸神経 |
T5-T12 |
胸神経 |
挙睾筋反射 |
大腿神経 |
L1,L2 |
大腿陰部神経 |
足底筋反射 |
脛骨神経 |
L5,S1,S2 |
脛骨神経 |
関連
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 小林 達樹,伊崎 輝昌,前山 彰 [他],有水 淳,高森 義博,内藤 正俊
- 福岡大学医学紀要 39(3/4), 247-250, 2012-12-00
- NAID 110009494804
- わが国の初回小児糖尿病サマーキャンプ参加者の長期予後
- 大谷 敏嘉,内潟 安子,岩本 安彦,OTANI Toshika,UCHIGATA Yasuko,IWAMOTO Yasuhiko
- 東京女子医科大学雑誌 81(E2), E162-E166, 2011-03-31
- … 全例に、膝蓋腱反射、アキレス腱反射の消失、両側内顆の振動覚の低下がみられたが、神経障害による自覚症状は認めなかった。 …
- NAID 110008441462
- 交通事故が頸椎症性脊髄症の早期診断を困難にしたと思われた1症例
- 押渕 素子,境 徹也,村田 寛明 [他],青木 浩,澄川 耕二
- The journal of the Japan Society of Pain Clinicians = 日本ペインクリニック学会誌 15(4), 418-421, 2008-09-25
- … .15年の間,複数の病院を受診したが交通事故による外傷性頸部症候群と診断されていた.当科初診時,上下肢の筋力は正常であったが,左側の頸肩腕部,側胸腹部,下肢に疼痛と感覚異常があり,両側の膝蓋腱反射は亢進しており,MRIでC3/4-6/7の脊柱管狭窄がみられた.漢方薬内服と腕神経叢ブロックを行い,痛みは軽減した.当科初診から約1年の現在も痛みはコントロールされている.本症例は交通事故の受傷後に …
- NAID 10026932355
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- 次の文を読み、59-61の問いに答えよ。
- 81歳の男性。発熱と歩行困難とを主訴に救急外来を受診した。
- 現病歴 5か月前から排尿困難を自覚し、 1か月前から腰痛が出現した。1週前から歩行困難となり、食思不振と発熱とを認めた。
- 既往歴 50歳時から高血圧症のため降圧薬を服用している。
- 生活歴 喫煙は20本/日を60年間。飲酒は機会飲酒。
- 現 症 意識は清明。身長161cm、体重48kg。体温38.0℃。脈拍84/分、整。血圧156/84mmHg。眼瞼結膜に貧血を認める。眼球結膜に黄染を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。上腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下腹部正中は小児頭大に膨隆している。両側腰背部(肋骨脊柱角)に叩打痛を認める。直腸措診で表面不整で腫大した石様硬の前立腺を触知し、圧痛を認めない。陰嚢と陰茎とに異常を認めない。両下肢の感覚鈍麻と筋力低下とを認め、立つことができない。膝蓋腱反射は消失している。
- 検査所見 尿所見:蛋白1 +、糖(-)、沈渣に赤血球10-20/1視野、白血球多数/1視野。血液所見:赤血球 257万、Hb 7.8g/dl、Ht 24%、白血球 9,200、血小板 11万。血液生化学所見:血糖 96mg/dl、総蛋白 6.1g/dl、アルブミン 3.1g/dl、尿素窒素 28mg/dl、クレアチニン 1.8mg/dl、尿酸 6.4mg/dl、総コレステロール 150mg/dl、トリグリセリド 68mg/dl、総ビリルビン 0.3mg/dl、直接ビリルビン 0.1mg/dl、AST 20IU/l、ALT 12IU/l、LD 240IU/l(基準176-353)、ALP 562IU/l(基準115-359)、Na 135mEq/l、K 4.5mEq/l、Cl 107mEq/l。CRP 5.8mg/dl。
- a 導尿
- b 輸液
- c 抗菌薬投与
- d 抗癌化学療法
- e 抗男性ホルモン療法
[正答]
D
- 化学療法は前立腺癌の1st lineの治療とはなっていない。
治療法
|
良い適応と特徴
|
待機療法
|
グリソンスコアが6かそれ以下でPSAが20ng/ml以下、病期T1c-T2b
|
手術療法
|
期待余命が10年以上でPSA<10ng/ml, グリソンスコア7以下、かつ病期T1c-T2b
|
放射線治療(外照射法)
|
局所前立腺がん、局所進行前立腺がん 緩和としても使用される
|
密封小線源治療(組織内照射法)
|
グリソンスコアが6かそれ以下でPSAが10ng/ml以下、病期T1c-T2b
|
内分泌療法
|
遠隔転移を有する例に第一選択。治療抵抗性が出現しうる
|
- 転移を有する例では内分泌療法が第一選択となる。
※国試ナビ4※ [105B060]←[国試_105]→[105B062]
[★]
- 次の文を読み、33、34の問いに答えよ。
- 10か月の男児。体重増加不良を主訴に来院した。
- 現病歴 1週前に受けた生後10か月の乳幼児健康診査で体重増加不良を指摘され、紹介された。
- 出生・発育歴 在胎39週、頭位経腟分娩で出生した。出生時の身長49cm、体重2,980g、頭囲34cm。Apgarスコア 7点(1分)。追視 2か月、首のすわり 4か月、寝返り 6か月、お坐り 7か月、つかまり立ち 10か月。新聞紙をつかんで破ろうとし、名前を呼ぶと振り向く。両親以外に抱かれると泣く。1日7回母乳を1回15分ほど哺乳している。離乳食は粥、イモなどを1日1回、こども茶碗に半分程度与えている。体重の推移(別冊No.5)を別図に示す。
- 既往歴 生後5か月ころから顔面、頚部および腋窩に湿疹を認め、痒みが続いている。
- 現症 身長73cm(-0.5SD)、体重7.2kg(-2SD)、頭囲 46.5cm。体温 37.2℃。脈拍 96/分、整。顔の表情は豊かで、診察しようとすると泣く。皮膚色は良好であるが、四肢伸側は乾燥し、顔面、頭部および肘膚に湿疹を認める。大泉門は1 x 1cmで平坦である。頚部には小豆大のリンパ節を左右に3個ずつ触知する。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝を1 cm触知する。左鼠径部に可動性のある小指頭大、弾性硬の腫瘤を触れ、左陰嚢内は空虚である。膝蓋腱反射とアキレス腱反射とに異常を認めない。
- 検査所見 血液所見: 赤血球 420万、Hb 12.0g/dl、Ht 38%、白血球 10,600、血小板 23万。血液生化学所見: 総蛋白 6.4g/dl、アルブミン 3.4g/dl、尿素窒素 12mg/dl、クレアチニン 0.4mg/dl、総ビリルビン 1.0mg/dl、AST 18IU/l、ALT 12IU/l, ALP 520IU/l(基準780以下)。RAST:卵白 +2、牛乳 +1。
- この児の体重増加不良の原因として最も考えられるのはどれか。
[正答]
C
- 6ヶ月頃から体重増加不良が認められる → 離乳食との関連
※国試ナビ4※ [104H032]←[国試_104]→[104H034]
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- 81歳の男性。発熱と歩行困難とを主訴に救急外来を受診した。
- 現病歴 5か月前から排尿困難を自覚し、 1か月前から腰痛が出現した。1週前から歩行困難となり、食思不振と発熱とを認めた。
- 既往歴 50歳時から高血圧症のため降圧薬を服用している。
- 生活歴 喫煙は20本/日を60年間。飲酒は機会飲酒。
- 現 症 意識は清明。身長161cm、体重48kg。体温38.0℃。脈拍84/分、整。血圧156/84mmHg。眼瞼結膜に貧血を認める。眼球結膜に黄染を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。上腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下腹部正中は小児頭大に膨隆している。両側腰背部(肋骨脊柱角)に叩打痛を認める。直腸措診で表面不整で腫大した石様硬の前立腺を触知し、圧痛を認めない。陰嚢と陰茎とに異常を認めない。両下肢の感覚鈍麻と筋力低下とを認め、立つことができない。膝蓋腱反射は消失している。
- 検査所見 尿所見:蛋白1 +、糖(-)、沈渣に赤血球10-20/1視野、白血球多数/1視野。血液所見:赤血球 257万、Hb 7.8g/dl、Ht 24%、白血球 9,200、血小板 11万。血液生化学所見:血糖 96mg/dl、総蛋白 6.1g/dl、アルブミン 3.1g/dl、尿素窒素 28mg/dl、クレアチニン 1.8mg/dl、尿酸 6.4mg/dl、総コレステロール 150mg/dl、トリグリセリド 68mg/dl、総ビリルビン 0.3mg/dl、直接ビリルビン 0.1mg/dl、AST 20IU/l、ALT 12IU/l、LD 240IU/l(基準176-353)、ALP 562IU/l(基準115-359)、Na 135mEq/l、K 4.5mEq/l、Cl 107mEq/l。CRP 5.8mg/dl。
[正答]
BCD
- 血清クレアチニンが2mg/dl以上の時には造影剤使用後に輸液を行い利尿をかけて腎不全を予防する。
- 静脈性腎盂造影は腎機能障害の患者や高齢者に対しては血行性造影剤の投与は控える。
- 下腹部が膨隆する程度の排尿障害であるために静脈性腎盂造影やその後利尿をかけることで水腎症の増悪が予想される。
※国試ナビ4※ [105B059]←[国試_105]→[105B061]
[★]
- 次の文を読み、33、34の問いに答えよ。
- 10か月の男児。体重増加不良を主訴に来院した。
- 現病歴 1週前に受けた生後10か月の乳幼児健康診査で体重増加不良を指摘され、紹介された。
- 出生・発育歴 在胎39週、頭位経腟分娩で出生した。出生時の身長49cm、体重2,980g、頭囲34cm。Apgarスコア 7点(1分)。追視 2か月、首のすわり 4か月、寝返り 6か月、お坐り 7か月、つかまり立ち 10か月。新聞紙をつかんで破ろうとし、名前を呼ぶと振り向く。両親以外に抱かれると泣く。1日7回母乳を1回15分ほど哺乳している。離乳食は粥、イモなどを1日1回、こども茶碗に半分程度与えている。体重の推移(別冊No.5)を別図に示す。
- 既往歴 生後5か月ころから顔面、頚部および腋窩に湿疹を認め、痒みが続いている。
- 現症 身長73cm(-0.5SD)、体重7.2kg(-2SD)、頭囲 46.5cm。体温 37.2℃。脈拍 96/分、整。顔の表情は豊かで、診察しようとすると泣く。皮膚色は良好であるが、四肢伸側は乾燥し、顔面、頭部および肘膚に湿疹を認める。大泉門は1 x 1cmで平坦である。頚部には小豆大のリンパ節を左右に3個ずつ触知する。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝を1 cm触知する。左鼠径部に可動性のある小指頭大、弾性硬の腫瘤を触れ、左陰嚢内は空虚である。膝蓋腱反射とアキレス腱反射とに異常を認めない。
- 検査所見 血液所見: 赤血球 420万、Hb 12.0g/dl、Ht 38%、白血球 10,600、血小板 23万。血液生化学所見: 総蛋白 6.4g/dl、アルブミン 3.4g/dl、尿素窒素 12mg/dl、クレアチニン 0.4mg/dl、総ビリルビン 1.0mg/dl、AST 18IU/l、ALT 12IU/l, ALP 520IU/l(基準780以下)。RAST:卵白 +2、牛乳 +1。
[正答]
※国試ナビ4※ [104H033]←[国試_104]→[104H035]
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- 次の文を読み、59-61の問いに答えよ。
- 81歳の男性。発熱と歩行困難とを主訴に救急外来を受診した。
- 現病歴 5か月前から排尿困難を自覚し、 1か月前から腰痛が出現した。1週前から歩行困難となり、食思不振と発熱とを認めた。
- 既往歴 50歳時から高血圧症のため降圧薬を服用している。
- 生活歴 喫煙は20本/日を60年間。飲酒は機会飲酒。
- 現 症 意識は清明。身長161cm、体重48kg。体温38.0℃。脈拍84/分、整。血圧156/84mmHg。眼瞼結膜に貧血を認める。眼球結膜に黄染を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。上腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下腹部正中は小児頭大に膨隆している。両側腰背部(肋骨脊柱角)に叩打痛を認める。直腸措診で表面不整で腫大した石様硬の前立腺を触知し、圧痛を認めない。陰嚢と陰茎とに異常を認めない。両下肢の感覚鈍麻と筋力低下とを認め、立つことができない。膝蓋腱反射は消失している。
- 検査所見 尿所見:蛋白1 +、糖(-)、沈渣に赤血球10-20/1視野、白血球多数/1視野。血液所見:赤血球 257万、Hb 7.8g/dl、Ht 24%、白血球 9,200、血小板 11万。血液生化学所見:血糖 96mg/dl、総蛋白 6.1g/dl、アルブミン 3.1g/dl、尿素窒素 28mg/dl、クレアチニン 1.8mg/dl、尿酸 6.4mg/dl、総コレステロール 150mg/dl、トリグリセリド 68mg/dl、総ビリルビン 0.3mg/dl、直接ビリルビン 0.1mg/dl、AST 20IU/l、ALT 12IU/l、LD 240IU/l(基準176-353)、ALP 562IU/l(基準115-359)、Na 135mEq/l、K 4.5mEq/l、Cl 107mEq/l。CRP 5.8mg/dl。
- 主訴の発熱と歩行困難とに関連する変化が起きているのはどれか。 2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [105B058]←[国試_105]→[105B060]
[★]
- 76歳の女性。両下肢のしびれ感を主訴に来院した。 5週前に両足先のしびれ感を自覚し、その後しびれ感は徐々に上行した。 3週前から 37℃台の発熱、 10日前から両足に紫斑が出現した。 5日前からは歩行困難を自覚したため受診した。体温 37.2℃。脈拍 76/分、整。血圧 148/88 mmHg。眼瞼結膜は貧血様である。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。両側の膝下から足先までの痛覚と触覚の低下、両側の足の振動覚と位置覚の低下を認める。徒手筋力テストで右足関節の背屈は 2、底屈は 4、左足関節の背屈は 3、底屈は 4と低下している。両側の膝蓋腱反射とアキレス腱反射は消失している。病的反射はない。尿所見:蛋白 2+、潜血 2+、沈渣に赤血球円柱 1~ 4 / 1視野。血液所見:赤血球 318万、 Hb 10.1 g/dl、Ht 31%、白血球 9,980(分葉核好中球 49%、好酸球 5%、単球 6%、リンパ球 40% )、血小板 21万。血液生化学所見:総蛋白 7.4 g/dl、アルブミン 3.2 g/dl、IgG 1,980 mg/dl(基準 960~1,960)、 IgA 297 mg/dl(基準 110~410)、IgM 113 mg/dl(基準 65~350)、 AST 28 IU/l、ALT 16 IU/l、LD 177 IU/l(基準 176~353)、 CK 27 IU/l(基準 30~140)、尿素窒素 21 mg/dl、クレアチニン 1.1 mg/dl、Na 135 mEq/l、K 4.4 mEq/l、Cl 98 mEq/l。CRP 2.9 mg/dl。下肢の写真 (別冊 No. 16)を別に示す。
- 診断として考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108D032]←[国試_108]→[108D034]
[★]
- 次の文を読み、37、38の問いに答えよ。
- 55歳の男性。仕事場で急に倒れ、意識障害のため搬入された。
- 現病歴:家族の話では、昨晩急に頭痛を訴え臥床し、夜間に数回嘔吐したという。今朝も頭痛と悪心とを訴えていたが、通常通りの時間に出勤したという。仕事中に突然、意識を失い倒れたため、同僚が救急車を要請した。
- 既往歴:3年前から高血圧を指摘されているがそのままにしていた。12年前に胃癌の手術を受けている。
- 生活歴:喫煙は20本/日を35年間。飲酒はビール500ml/日を25年間。
- 家族歴:父親が脳内出血のため74歳で死亡。
- 現症:意識レベルはJCSⅢ-100、GCS(Glasgow coma scale)7。眼球の右方への共同偏位と項部硬直とを認める。瞳孔径は右mm、左3mmである。脈拍60/分、整。血圧192/112mmHg。過呼吸を認める。SpO2 100%(マスク4l/分酸素投与下)。心電図で異常を認めない。
- 検査所見:血液所見:赤血球488万、Hb 15.3g/dl、Ht 46%、白血球10,500、血小板21万。血液生化学所見:血糖132mg/dl、HbA1c(NGSP) 5.8%(基準4.6~6.2)、総蛋白7.8g/dl、アルブミン4.8g/dl、尿素窒素15mg/dl、クレアチニン0.8mg/dl、尿酸4.5mg/dl、総ビリルビン0.6mg/dl、AST 16IU/l、ALT 13IU/l、LD 195IU/l(基準176~353)、ALP 187IU/l(基準115~359)、γ-GTP 17IU/l(基準8~50)、CK 112IU/l(基準30~140)、Na 139mEq/l、K 3.8mEq/l、Cl 103mEq/l。CRP 2.0mg/dl。
- 治療の緊急度を判定する上で重要なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107H036]←[国試_107]→[107H038]
[★]
- 88歳の男性。意識障害のため搬入された。
- 現病歴:元来、軽度の物忘れと難聴とがあるが、 1人で杖をついて散歩をするなどして元気に過ごしていた。数日前から風邪気味となり、食欲が徐々に低下した。本日、ぐったりして言葉がはっきりしなくなったため、同居している長男が救急車を要請した。
- 既往歴: 68歳時に糖尿病と高血圧症とを指摘された。自宅近くの診療所に通院して、 10種類の薬剤を処方されているが、飲み忘れや飲み間違いが多いという。
- 生活歴:長男家族と同居。
- 家族歴:長男が高血圧症で加療中。
- 現 症:意識レベルはJSC II-10。体温37.3℃。脈拍104/分、整。血圧98/60mmHg。呼吸数28/分。 SpO2 96%(2L/分酸素投与下)。発汗が著明である。眼瞼結膜に貧血を認めない。眼球結膜に黄染を認めない。甲状腺と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢に浮腫を認めない。右上下肢に軽度の筋力低下を認める。膝蓋腱反射に左右差を認めない。病的反射を認めない。
- 入院することとなった。入院後に生じ得る合併症として、入院初日から留意する必要性が低いのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106C026]←[国試_106]→[106C028]
[★]
- 次の文を読み、 26、 27の問いに答えよ。
- 88歳の男性。意識障害のため搬入された。
- 現病歴:元来、軽度の物忘れと難聴とがあるが、 1人で杖をついて散歩をするなどして元気に過ごしていた。数日前から風邪気味となり、食欲が徐々に低下した。本日、ぐったりして言葉がはっきりしなくなったため、同居している長男が救急車を要請した。
- 既往歴: 68歳時に糖尿病と高血圧症とを指摘された。自宅近くの診療所に通院して、 10種類の薬剤を処方されているが、飲み忘れや飲み間違いが多いという。
- 生活歴:長男家族と同居。
- 家族歴:長男が高血圧症で加療中。
- 現 症:意識レベルはJSCⅡ-10。体温37.3℃。脈拍104/分、整。血圧98/60mmHg。呼吸数28/分。 SpO2 96%(2l/分酸素投与下)。発汗が著明である。眼瞼結膜に貧血を認めない。眼球結膜に黄染を認めない。甲状腺と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢に浮腫を認めない。右上下肢に軽度の筋力低下を認める。膝蓋腱反射に左右差を認めない。病的反射を認めない。
- 最初に行うべき検査はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106C025]←[国試_106]→[106C027]
[★]
- 71歳の男性。腰痛と会陰部のしびれとを主訴に来院した。10年前から時々腰痛を自覚していたが、2年前から腰痛が強くなり、歩行後に右足先がしびれるようになった。3か月前からは100mの歩行で会陰部に強いしびれが生じ、尿意を催すようになった。腰かけて数分休むと症状は消失する。腰椎の前屈は正常であるが、後屈は制限されている。
- この患者にみられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102E051]←[国試_102]→[102E053]
[★]
- 43歳の男性。右下肢の脱力感を主訴に来院した。2週前、重量物を挙上した際に腰部に激痛を認めた。右下腿外側から足背への感覚障害を認める。
- a. 排尿困難
- b. 膝蓋腱反射消失
- c. 膝伸展筋力低下
- d. 母趾伸展筋力低下
- e. Lasegueテスト陽性
[正答]
※国試ナビ4※ [100F045]←[国試_100]→[100F047]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [099E053]←[国試_099]→[099E055]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [112F012]←[国試_112]→[112F014]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [108E015]←[国試_108]→[108E017]
[★]
[★]
[★]
- 英
- Friedreich's ataxia Friedreich ataxia FA
- 同
- フリードライヒ失調症, Friedreich運動失調症, Friedreich失調症,Friedreich病, フリードライヒ病 Friedreich disease、遺伝性脊髄性運動失調症 hereditary spinal ataxia
- 関
- 脊髄小脳変性症
概念
病因
- FRDA(9q13)のfrataxin遺伝子におけるGAAリピートの増加あるいは点変異。
疫学
遺伝形式
病理
- (1)脊髄後角、(2)脊髄小脳路、(3)錐体路の変性、(4)後根神経節、後根、末梢神経
- 後索、皮質脊髄路、脊髄小脳路に変性 (BET.335)
症状
- 下肢優位の後索症状、後根障害による反射消失
- Babinski徴候、構音障害、知能障害、拡張型心筋症、足変形、脊柱側彎が高率に見られる。(BET.244)
- 初発症状:深部覚障害による失調性歩行。四肢末梢の筋萎縮、深部知覚障害(振動覚減弱)
- 慢性・進行性・左右対称性
- 運動失調は下肢から上肢に進展。運動失調は脊髄性に小脳性が加わってくる。
- 下肢の運動失調 → 足の変形 → 上肢の運動失調 → 失調性構音障害、眼振(YN.J-127)
- 2. 末梢神経障害: 後根の障害による。反射弓が障害されるので反射が消失する ex. 膝蓋腱反射の消失
- 3. 錐体路の障害: 原始反射出現。腱反射亢進
- 4. そのほか、心筋障害、糖尿病、知能低下、眼振、視神経萎縮、骨格の変形
検査
診断
治療
予後
- 緩徐に進行し20-25歳で運動不能(YN.J-127)
予防
参考
- http://www.nurs.or.jp/~academy/igaku/s7/s7431.htm
[★]
- 英
- tibial nerve (N,B)
- ラ
- nervus tibialis
- 関
- 総腓骨神経
筋枝:下腿、足底の屈筋
皮枝:下腿の外側半、足底}
由来
支配 (KL.214)
走行
枝
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
[★]
- 英
- common peroneal nerve (KL,N,M,KH), common fibular nerve (B,KL,N,M,)
- ラ
- nervus peroneus communis, nervus fibularis communis
筋枝:下腿の前区域、後区域の全ての筋、足背の筋
皮枝:下腿前面の外側、足背}
由来
枝
支配
走行
臨床関連
[★]
- 英
- spinal nerve (M), spinal nerves
- ラ
- nervi spinales
- 関
- 脊髄、神経根、感覚神経節
定義
脊髄神経の支配領域(SOR.441,476)
上肢
支配神経根
|
責任椎間高位
|
深部反射
|
感覚領域
|
支配筋
|
支配運動
|
C5
|
C4-5
|
三角筋腱反射、上腕二頭筋腱反射
|
上腕外側
|
三角筋
|
肩の外転
|
C6
|
C5-6
|
上腕二頭筋腱反射、腕橈骨筋腱反射
|
前腕外側、1-2指
|
上腕二頭筋
|
肘屈曲、手関節背屈
|
C7
|
C6-7
|
上腕三頭筋腱反射
|
3指
|
上腕三頭筋
|
肘伸展、手関節掌屈
|
C8
|
C7-C8
|
なし
|
4-5指
|
指屈筋
|
手指開閉
|
下肢
[★]
[★]
- 英
- paradoxical patellar reflex
- 同
- 逆転膝蓋腱反射 inverted patellar reflex
[★]
- 英
- inverted patellar reflex
- 関
- 背理性膝蓋腱反射
[★]
- 英
- absent patellar tendon reflex
[★]
- 英
- reflex
- 関
- 反射の一覧
反射中枢の存在レベルによる分類
構成要素からの分類
- cf.原始反射
原始反射
- 生命維持のためにする反射
- 正常な新生児において特徴的に観察される反射的行動を総称してこう呼ぶ。
原始反射の例
- 乳さがし反射: 口の片側を触られると、赤ん坊の頭がそちらのほうを向くという反射。
- 吸啜反射: 赤ん坊の口の中にものを入れると、すぐにそれを吸い始めるという反射。
- モロー反射: 赤ん坊の背中と頭を支えて仰向けにした状態で、上体を数cm上方に起こし、手で支えながら急に頭部を落下させると、両手と両足を左右対称的に外側に伸ばし、それに続いてゆっくりと抱き込むような上肢の運動が見られる反射。大きな音などで驚いたときにも見られる。
- バビンスキー反射: 足の裏の外縁をゆっくりと踵からつま先に向かってこすることにより、母趾(おやゆび)が背屈し他の4趾が開く(開扇現象)反射。
参考(読んでおく)
[反射]
[★]
- 英
- tendon reflex, tendon jerk
- 同
- 筋伸展反射、深部腱反射 deep tendon reflex, DTR ⇔ (対)表在反射
- 関
- 深部反射
- 腱や骨の叩打によって引き起こされる単シナプス反射。
- 腱の叩打により筋紡錘で生じた求心性インパルスがIa求心性線維(Ia感覚線維)を介して反射中枢に達し、単シナプス的にα運動ニューロンを経て筋を収縮させる反射
反射の異常
亢進
消失
- 反射弓の障害
- 下位運動ニューロン、神経根、末梢神経、筋など
表記方法
程度
- BET
- 消失 absent -
- 減弱 diminished ±
- 正常 normal +
- やや亢進 slightly exaggerated ++
- 亢進 moderately exaggerated +++
- 著明な亢進 markedly exaggerated +++
[★]
- 英
- patella、patellar
- 関
- 膝蓋骨
[★]
- 英
- patellar tendon
- 関
- 膝蓋靭帯