- 英
- atropine
- ラ
- atropinum
- 化
- 硫酸アトロピン アトロピン硫酸塩 atropine sulfate、臭化メチルアトロピン
- 商
- アトワゴリバース、オピアト、ストメリンD、パビナール・アトロピン、パンアト、モヒアト、リュウアト
- 関
- ムスカリン性受容体、アセチルコリン受容体
- 鎮けい剤
概念
作用機序
- ムスカリン受容体をアセチルコリンやコリン作動薬と競合的に奪い合う→競合的拮抗薬
薬理作用
- 大量投与で神経節、骨格筋のニコチン性受容体の遮断
循環系
- 迷走神経中枢の興奮
- 洞房結節に分泌する副交感神経の遮断
消化系
- 唾液腺抑制→口渇、嚥下困難
- 胃酸分泌抑制、胃腸管の緊張と運動抑制
- 小腸、大腸、胆嚢、胆管の平滑筋の緊張をとり弛緩させる
尿路
- 膀胱底の平滑筋が弛緩し、括約筋が収縮して、排尿困難、尿閉
気道
眼
分泌腺
- 汗腺は交換神経支配であるが、コリン作動性であるので、発汗が抑制される
中枢神経
- 中毒量で興奮作用が現れ、運動失調、不穏、興奮、幻覚、せん妄、錯乱、狂躁状態となる
動態
効能又は効果
- アトロピン注0.05%シリンジ「テルモ」(1mL)
- 胃・十二指腸潰瘍における分泌並びに運動亢進
- 胃腸の痙攣性疼痛
- 痙攣性便秘
- 胆管・尿管の疝痛
- 有機燐系殺虫剤・副交感神経興奮剤の中毒
- 迷走神経性徐脈及び迷走神経性房室伝導障害
- 麻酔前投薬
- その他の徐脈及び房室伝導障害
- ECTの前投与
用量
- Advanced Cardiovascular Life Support Provider manual ISBN 978-1-61669-010-6 p.166
- (ACLSにおける)徐脈:0.5mg静注を3-5分置きに行う。total 0.04mg/kg(3mg)を超えないこと。
- 有機リン中毒:2-4mgあるいはそれ以上
禁忌
- アトロピン注0.05%シリンジ「テルモ」(1mL)
- 1. 緑内障の患者[抗コリン作用により房水通路が狭くなり眼圧が上昇し,緑内障を悪化させるおそれがある.]
- 2. 前立腺肥大による排尿障害のある患者[抗コリン作用による膀胱平滑筋の弛緩,膀胱括約筋の緊張により,排尿困難を悪化させるおそれがある.]
- 3. 麻痺性イレウスの患者[抗コリン作用により消化管運動を抑制し,症状を悪化させるおそれがある.]
- 4. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
注意
- Advanced Cardiovascular Life Support Provider manual ISBN 978-1-61669-010-6 p.166)
- 心筋虚血や低酸素血症の場合、心筋酸素需要を増大させるので注意する。
- 低体温による徐脈では使用を避ける
- Morbit II型のII度房室ブロック(intranodal block)やIII度房室ブロックでは有効でないであろう(paradoxical slowing) ← カテコラミンを使う
- (ACLSにおいて)<0.5mgの用量で静注した場合、paradoxical slowingが起こるかもしれない。
参考
- アトロピン注0.05%シリンジ「テルモ」(1mL)
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1242406G1035_1_06/1242406G1035_1_06?view=body
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/02/16 18:18:29」(JST)
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アトロピン
|
|
IUPAC命名法による物質名 |
(8-methyl-8-azabicyclo[3.2.1]oct-3-yl) 3-hydroxy-2-phenylpropanoate
|
臨床データ |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
|
投与方法 |
経口, IV, 直腸 |
薬物動態データ |
生物学的利用能 |
25% |
代謝 |
50%はトロピンとトロパ酸に加水分解される。 |
半減期 |
2時間 |
排泄 |
50%は変化せずに尿中に排出 |
識別 |
CAS番号 |
51-55-8 |
ATCコード |
A03BA01 S01FA01 |
PubChem |
CID: 174174 |
DrugBank |
APRD00807 |
ChemSpider |
10194105 |
KEGG |
D00113 |
化学的データ |
化学式 |
C17H23NO3 |
分子量 |
289.369 |
アトロピン (Atropine) は、ヒヨスチアミン(Hyoscyamine)のラセミ体であり、化学式 C17H23NO3、分子量 289.37 のアルカロイド。主にナス科の植物に含まれる。CAS登録番号は 51-55-8。トロパン骨格を有し、オルニチンより生合成される。
抗コリン作用を有する薬物である。具体的には、ムスカリン性アセチルコリン受容体を競合的に阻害することにより、副交感神経の作用を抑制し、胃腸管の運動抑制、心拍数の増大などの作用がある。また、有機リン剤中毒等の治療にも用いられ、地下鉄サリン事件での治療にも用いられた。米軍では神経ガスに曝露してしまった時にアトロピンを打つ事が規定されており、「各BC兵器のタイプ別の症状をイラスト化した」簡易マニュアルが配布されている。
医薬品としては硫酸アトロピンとして用いられる。硫酸アトロピンは無色の結晶または白色の結晶性の粉末で、においはない。酢酸、エタノールに極めて溶けやすく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。融点:7002188000000000000♠188〜194 ℃(分解)。
目次
- 1 適応
- 2 アトロピンを有する植物
- 3 フィクションでの使用
- 4 関連項目
適応
- 注射液
- 胃・十二指腸潰瘍における分泌ならびに運動亢進
- 胃腸の痙攣性疼痛,胆管・尿管の疝痛、痙攣性便秘
- 迷走神経性徐脈及び迷走神経性房室ブロック、その他の徐脈・房室ブロック
- 麻酔前投薬、ECTの前投与
- 有機リン(殺虫剤や農薬、サリン)などの副交感神経興奮剤中毒
- 重症筋無力症の治療におけるコリン作動性クリーゼ
- 点眼液
アトロピンを有する植物
アトロピンは天然ではl-ヒヨスチアミンとして存在する。他の抗コリンアルカロイド同様、主にナス科の植物に含まれる。
などを食べると食中毒になる。
フィクションでの使用
- 和久峻三の小説『赤かぶ検事シリーズ』の「マドンナの涙」では、アトロピンの過度の点眼でAV女優が死亡している。
- TVドラマ相棒Season2第1話・第2話においてアトロピンでの毒殺が行われている。
- アメリカのテレビドラマ『24 -TWENTY FOUR-』では、「セントックスVX」と称された神経ガス(VXガス)がアメリカ合衆国本土に対して使われるというテロ計画がエピソードの中に存在する(Season V)。 この中で、主人公「ジャック・バウアー」が神経ガスに汚染された少女を救出した際、応急処置としてアトロピンを注射した。
- アメリカ映画『ザ・ロック』では、ニコラス・ケイジ演ずるスタンリー・グッドスピードが格闘相手をVXガスで倒した後、そのガスに曝露した自分自身を救命する為にアトロピンを注射している。
関連項目
- 中毒
- アセチルコリン
- サリン
- プラリドキシムヨウ化メチル(PAM)
- ピロカルピン
- ムスカリン受容体拮抗薬(M1ブロッカー、Muscarinic antagonist)
|
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 7.肥厚性幽門狭窄症に対する静注アトロピン療法とその限界についての検討(一般演題,第44回日本小児外科学会東海地方会)
- 外傷性前房出血に対するアトロピン散瞳中に外斜視を発症した1例 (特集 第64回日本臨床眼科学会講演集(3))
- 幽門狭窄症 (特集 これが大切! 1カ月以内の新生児疾患) -- (見落としてはならない重症疾患・対応に迷う疾患)
- 斜視弱視と交代性上斜位 (第66回 日本弱視斜視学会(1)) -- (シンポジウム 交代性上斜位を考える)
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- アトロピン (atropine) は、ヒヨスチアミンのラセミ体であり、化学式 C17H23NO3、 分子量 289.37 のアルカロイド。 ... 米軍では神経ガスに暴露してしまった時にアトロピン を打つ事が規定されており、「各BC兵器のタイプ別の症状をイラスト化した」簡易 マニュアル ...
- 自律神経作用, 一般名:硫酸アトロピン(atropine sulface). 抗コリン薬. アセチルコリン がアセチルコリン受容体に結合するのを阻害する薬物のことを抗コリン薬という。。 代表 的なものに、アトロピンやスコポラミンがある。 商品名, [アトロピン注0.05%シリンジ][ 硫酸 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
リュウアト1%眼軟膏
組成
*有効成分
含量(1g中)
添加物
- 白色ワセリン、パラオキシ安息香酸ブチル、流動パラフィン
禁忌
- 緑内障及び狭隅角や前房が浅いなどの眼圧上昇の素因のある患者[急性閉塞隅角緑内障の発作を起こすおそれがある]
効能または効果
- 診断または治療を目的とする散瞳と調節麻痺
- **アトロピン硫酸塩水和物として、通常1%眼軟膏を1日1〜3回、適量を結膜嚢に塗布する。
慎重投与
薬効薬理
散瞳並びに調節麻痺作用1)
- (外国人)
若年成人に1%アトロピン点眼液を1滴点眼したとき、30〜40分以内に瞳孔径は最大となり、散瞳作用は12日間程度持続する。フェニレフリン等の交感神経興奮薬と併用すると散瞳作用は相加的に増強される。
調節麻痺作用は点眼後数時間で最大となり、2週間もしくはそれ以上持続する。また、ホマトロピンに比べて作用の発現は遅く、効果が長く持続する。
なお、最大の調節麻痺作用を得るためには、通常、1日3回3日間の点眼が必要である。
有効成分に関する理化学的知見
*一般名
- アトロピン硫酸塩水和物(Atropine Sulfate Hydrate)
化学名
- (1R,3r,5S)-8-Methyl-8-azabicyclo[3.2.1]oct-3-yl[(2RS)-3-hydroxy-2-phenyl]propanoate hemisulfate hemihydrate
分子式
分子量
性状
- 本品は無色の結晶又は白色の結晶性の粉末で、においはない。
本品は水又は酢酸(100)に極めて溶けやすく、エタノール(95)に溶けやすく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
融点:188〜194℃(分解)。乾燥後、180℃の浴液中に挿入し、1分間に約3℃上昇するように加熱を続ける。
★リンクテーブル★
[★]
- 次の文を読み、44、45の問いに答えよ。
- 74歳の女性。持続する前胸部痛のため来院した。
- 現病歴:本日午前7時45分、朝食の準備中に突然、咽頭部に放散する前胸部全体の痛みと冷汗とを自覚した。意識消失、呼吸性の痛みの変動および胸部の圧痛はなかったという。ソファに横になっていたが症状が持続するため、家族に連れられて自家用車で午前8時15分に来院した。症状を聞いた看護師が重篤な状態と判断し、直ちに救急室に搬入した。
- 既往歴:特記すべきことはない。
- 生活歴:特記すべきことはない。
- 家族歴:父親が80歳時に脳出血で死亡。母親が84歳時に胃癌で死亡。
- 現症:意識は清明。身長 158cm、体重 56kg。体温 36.5℃。脈拍 92/分、整。血圧 120/80mmHg。呼吸数 18/分。SpO2 99%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。直ちに施行した心電図(別冊No. 5)を別に示す。▲112B005▲
- 検査所見(午前8時25分の採血):血液所見:赤血球 416万、Hb 12.6g/dL、Ht 36%、白血球 9,800、血小板 20万、Dダイマー 0.7μg/mL(基準1.0以下)。血液生化学所見:AST 26U/L、ALT 30U/L、LD 254U/L(基準 176~353)、CK 118U/L(基準 30~140)、尿素窒素 16mg/dL、クレアチニン 1.6mg/dL、血糖 98mg/dL、心筋トロポニンT陰性。胸部エックス線写真で異常を認めない。
- 緊急処置の準備中、突然、うめき声とともに意識消失した。呼吸は停止しており脈を触れない。胸骨圧迫とバッグバルブマスクによる換気を開始した。このときのモニター心電図(別冊No. 6)を別に示す。
- この患者に直ちに行うべきなのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112B044]←[国試_112]→[112B046]
[★]
- 次の文を読み、61~63の問いに答えよ。
- 72才の男性。全身倦怠感を主訴に来院した。
- 現病歴:7日前に自宅を出たところでつまずいて転倒し、腰痛が生じたため自宅近くの診療所にて鎮痛薬を処方されて頻回に服用していた。3日前から全身倦怠感と食欲低下とを自覚していたが、今朝になり食事がとれなくなったため家族に付き添われて受診した。
- 既往歴:中学生時に虫垂炎。高血圧症、糖尿病および脂質異常症で内服治療中。
- 生活歴:喫煙は60歳まで20本/日を40年間。12年前から禁煙している。飲酒は機会飲酒。
- 家族歴:父親が肺癌で死亡。母親が脳卒中で死亡。
- 現症:意識レベルはJCS I-1。身長 160cm、体重 66kg。体温 36.4℃。脈拍 52/分、整。血圧 120/60mmHg。呼吸数 18/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。浮腫を認めない。
- 検査所見:血液所見:赤血球 383万、Hb 11.0g/dL、Ht 34%、白血球 8,400、血小板 22万。血液生化学所見:総蛋白 7.0g/dL、アルブミン 3.5g/dL、総ビリルビン 0.9mg/dL、AST 34IU/L、ALT 42IU/L、LD 341IU/L(基準 176~353)、ALP 281IU/L(基準 115~359)、γ-GTP 48IU/L(基準 8~50)、アミラーゼ 74IU/L(基準 37~160)、CK 162IU/L(基準 30~140)、尿素窒素 32mg/dL、クレアチニン 1.6mg/dL、尿酸 8.4mg/dL、血糖 124mg/dL、HbA1c 6.8%(基準 4.6~6.2)、Na 138mEq/L、K 7.8mEq/L、Cl 108mEq/L。CRP 0.3mg/dL。
- 投与すべき薬剤はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109G061]←[国試_109]→[109G063]
[★]
- 78歳の男性。意識障害のため搬入された。
- 現病歴: 7日前から上腹部の鈍痛と38.3℃の発熱とがみられていた。 6日前にかかりつけの診療所を受診し、解熱薬を処方された。 5日前、症状が軽快したため、薬の内服を中止した。 2日前から再び右上腹部痛を自覚し、 37.6℃の発熱と全身倦怠感とがみられた。昨日から食欲低下と悪寒とを伴うようになったため、中断していた解熱薬の内服を再開した。昨日の時点で、尿の色が濃いことに気付いていた。本日、起床後に悪寒と悪心とが出現し、意識がもうろうとした状態となった。家族の問いかけに対してつじつまの合わない返答がみられたため、家族が救急車を要請した。
- 既往歴: 7年前から高血圧症に対しアンジオテンシン変換酵素阻害薬を内服中。3年前に腹部超音波検査で3、 4個の胆石を指摘された。
- 生活歴:喫煙は15本/日を58年間。飲酒は日本酒2合/日を58年間。
- 家族歴 :父親が脳出血で死亡。
- 現 症:意識レベルはJCS II-10。身長164cm、体重59kg。体温39.0℃。心拍数112/分、整。血圧82/58mmHg。呼吸数24/分。 SpO2 97%(3l/分酸素投与下)。眼球結膜に黄染を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部はやや膨隆し、軟で、肝・脾を触知しない。右季肋部を中心に圧痛を認める。
[正答]
※国試ナビ4※ [106F025]←[国試_106]→[106F027]
[★]
- 66歳の男性。呼吸困難を主訴に来院した。3か月前から早歩きの際に呼吸困難を自覚するようになった。症状は急に始まり、そのまま歩行を続けることはできないが、立ち止まって安静にすると約3分で改善する。冷汗や眼前暗黒感、呼吸性の痛みの増強はないという。症状の頻度や程度は変わらなかったが、心配した家族に付き添われて受診した。体温 36.6℃。脈拍 68/分、整。血圧 132/82mmHg。呼吸数 14/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜に貧血を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。胸部エックス線写真で異常を認めなかった。心電図をとって検査室から早足で外来に戻ってきたところ、いつもと同じ症状が出現してきたという訴えがあった。直ちに外来診察室でバイタルサインを確認し、心電図の再検査を行った。心拍数 98/分。血圧 172/92mmHg。SpO2 99%(room air)。症状は、いつもと同じ強さで出現から約2分続いている。本日受診時の心電図(別冊No. 25A)と診察室での発作時の心電図(別冊No. 25B)とを別に示す。
- まず行うべきなのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112D049]←[国試_112]→[112D051]
[★]
- 次の文を読み、30、31の問いに答えよ。
- 72歳の男性。意識障害のため搬入された。
- 現病歴:1週前から咳と痰とがみられた。次第に元気がなくなり、今朝から家族が呼びかけても反応が悪くなったため救急搬送された。
- 既往歴:10歳で虫垂炎。25年前から高血圧症で治療中。
- 生活歴:喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
- 家族歴:父親が心筋梗塞のため83歳で死亡。
- 現症:意識レベルはJCS I-3。身長 173cm、体重 58kg。体温 38.2℃。脈拍 112/分(微弱)、整。血圧 86/64mmHg。呼吸数 30/分。SpO2 94%(マスク4L/分酸素投与下)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心音に異常を認めない。右の背下部にcoarse cracklesを聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。顔面と四肢とに麻痺を認めない。腱反射に異常を認めない。四肢に浮腫を認めない。排尿がないため尿検査は実施していない。
- まず行うべき治療はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109F029]←[国試_109]→[109F031]
[★]
- 次の文を読み、30、31の問いに答えよ。
- 72歳の女性。突然の頭痛のため搬入された。
- 現病歴:2時間前、突然の後頭部痛と嘔気とが出現した。
- 既往歴:40歳代から高血圧症辱降圧薬を服用中である。
- 生活歴:特記すべきことはない。
- 家族歴:父親が高血圧。母親が大腸癌。
- 現症:意識は清明。身長150cm、体重49kg。体温37.2℃。脈拍68/分、整。血圧164/88mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。
- 検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球415万、Hb13.0g/dl、Ht38%、白血球(桿状核好中球4%、分葉核好中球78%、好酸球1%、好塩基球0%、単球5%、リンパ球12%)、血小板18万。血液生化学所見:血糖181mg/dl、総蛋白6.9g/dl、アルブミン4.2g/dl、尿素窒素14.0mg/dl、クレアチニン0.4mg/dl、総コレステロール194mg/dl、総ビリルビン1.2mg/dl、AST23IU/l、ALT20IU/l、LDH223IU/l(基準176~353)、ALP243IU/l(基準260以下)、Na141mEq/l、K4.2mEq/l、Cl102mEq/l。
- 診察中に全身のけいれんが起こり、持続している。投与すべき薬剤はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102C029]←[国試_102]→[102C031]
[★]
- 17歳の女子。頭痛を主訴に母親に伴われて来院した。
- 現病歴: 2日前から頭痛と発熱とがみられていた。頭痛は後頸部が突っ張るような感じで、次第に増強してきたという。咽頭痛や咳はない。悪心や腹痛はなく、排尿時痛もない。
- 既往歴: 14歳時に虫垂炎で手術を受けた。薬物アレルギーはない。
- 家族歴:父親が高血圧症で内服加療中。
- 現 症:意識は清明。身長161cm、体重48kg。体温38.0℃。脈拍76/分、整。血圧116/70mmHg。呼吸数22/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。項部硬直とjolt accentuationとを認める。
- 患者と母親は腰椎穿刺(髄液検査)に同意し、局所麻酔下での穿刺を希望した。リドカインによる局所麻酔を開始したところ、患者は悪心と呼吸困難とを訴えた。脈拍124/分、整。血圧76/48mmHg。呼吸数28/分。胸部全体にwheezesを聴取する。心音に異常を認めない。
[正答]
※国試ナビ4※ [106G060]←[国試_106]→[106G062]
[★]
- 次の文を読み、59~61の問いに答えよ。
- 46歳の男性。意識障害のため救急車で搬入された。
- 現病歴:部屋で倒れているのを母親が発見し、救急車を要請した。
- 既往歴:20歳ころ、うつ病の治療歴あり。
- 生活歴:無職。喫煙歴および飲酒歴は長いようだが詳細は不明。
- 家族歴:独身。母親は健康で農業を営んでいる。父親は高校生の時に死亡したが詳細は不明。
- 現症:体温 36.8℃。脈拍 108/分、整。血圧 140/90mmHg。呼吸数 8/分。SpO2 88%(リザーバー付マスク10L/分酸素投与下)。閉眼しており痛み刺激で開眼しない。発語はない。痛み刺激を何回か繰り返すとわずかに四肢を動かす。瞳孔は両側とも径1mmに縮瞳し、対光反射は確認できない。呼気に有機溶媒臭があり、鼻汁、流涎および発汗がみられる。両側の胸部全体にwheezesを聴取する。心雑音を聴取しない。筋線維束攣縮を認める。腱反射の異常を認めない。
- この患者に投与すべき薬剤はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110B060]←[国試_110]→[110B062]
[★]
- 次の文を読み、61~63の問いに答えよ。
- 20歳の男性。目が開きにくいことを主訴に来院した。
- 現病歴:山菜採りに行き、右前腕を虫に刺され痛みを感じたが、そのままにして昼食をとった。食後、約30分してから両眼瞼が開きにくくなり、息苦しさを自覚するようになったため、友人に連れられて来院した。
- 既往歴:5歳で気管支喘息。
- 生活歴:山菜採りが趣味で、虫に刺されることが多い。
- 家族歴:特記すべきことはない。
- 現症:意識レベルはJCSII-10。体温37.5℃。脈拍100/分、整。血圧80/50mmHg。呼吸数20/分。SpO2 85%(room air)。呼びかけると息苦しさを訴えせき込む。心音に異常を認めない。頸部と胸部とにwheezesを聴取する。頸静脈の怒張を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。体幹に膨疹を多数認める。顔面の写真(別冊No.9)を別に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [107E061]←[国試_107]→[107E063]
[★]
- 57歳の男性。ふらつきを主訴に来院した。2週間前に発作性心房細動に対し、ジソピラミドの投与を開始された。治療開始後、動悸発作の頻度は減少したが、ふらつきを時々感じたため昨日受診し、Holter心電図を装着した。本日、結果を解析した検査室から異常所見の報告が担当医に入り、担当医は患者に連絡し、受診を促し患者が来院した。意識は清明。脈拍 76/分、不整。血圧 112/62mmHg。呼吸数 16/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。神経診察に異常を認めない。Holter心電図(別冊No. 11)を別に示す。
- 現時点の対応として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113A033]←[国試_113]→[113A035]
[★]
- 65歳の男性。糖尿病の教育入院中である。退院予定日の午前4時に突然の前胸部痛を自覚し、30分程度我慢したが症状が持続するため、病棟スタッフに訴えた。これまでに同様の症状を自覚したことはない。60歳時から糖尿病に対し経口糖尿病薬で治療中である。家族歴に特記すべきことはない。意識は清明。体温 36.6℃。心拍数 104/分、整。血圧 160/94mmHg。呼吸数 20/分。SpO2 94%(room air)。心雑音はないが、奔馬調律を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下肢に浮腫を認めない。直ちに記録した心電図(別冊No. 27)を別に示す。
- この患者に対する初期対応として適切でないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112D052]←[国試_112]→[112D054]
[★]
- 78歳の男性。前胸部痛を主訴に来院した。胸痛は1時間前に朝食の準備をしていたところ突然生じ、前胸部から咽頭部、両頸部にかけての締め付けられる痛みで現在も持続している。高血圧症と脂質異常症で5年前から内服治療を継続している。意識は清明。身長 166cm、体重 72kg。体温 36.8℃。脈拍 40/分、整。血圧 120/60mmHg。呼吸数18/分。SpO2 99%(room air)。心電図(別冊No. 7A)を別に示す。心電図検査の後から、突然の一過性の意識消失発作を繰り返すようになった。この時の心電図モニターの波形(別冊No. 7B)を別に示す。
- 直ちに投与すべき薬剤はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110D027]←[国試_110]→[110D029]
[★]
- 62歳の女性。動悸とめまいとを主訴に来院した。2年前に皮膚サルコイドーシスの診断を受け、薬物治療は行わず経過観察されている。3週前から労作時の息切れを自覚している。今朝から動悸と気が遠くなるようなめまいとが出現したため受診した。意識は清明。身長 159cm、体重 62kg。脈拍 78/分、不整。血圧 116/74mmHg。心雑音を認めない。下腿に浮腫を認めない。心エコー検査で左心室の一部が菲薄化し瘤状に変形し、収縮の低下を認める。Holter心電図(別冊No. 13)を別に示す。
- 対応として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109D032]←[国試_109]→[109D034]
[★]
- 62歳の男性。背部痛が出現し冷汗も認めたため来院した。喫煙30本/日を35年間。42歳時に椎間板ヘルニア、59歳時に急性心筋梗塞の既往がある。意識は清明であるが、発語は少ない。身長165cm、体重76㎏。脈拍84/分、整。血圧160/80mmHg。胸部の聴診で異常を認めない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球427万、Hb13.4g/dl、Ht39%、白血球10,300、血小板14万。血清生化学所見:総蛋白6.4g/dl、AST46単位、ALT57単位、CK144単位(基準10~40)、LDH189単位(基準176~353)。胸部造影CTを以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [100A019]←[国試_100]→[100A021]
[★]
- 42歳の男性。呼吸困難のため搬入された。庭で木の伐採をしていたところ、蜂に刺された。大丈夫と思い様子をみていたが、数分後に呼吸困難が出現し、救急車で搬送された。意識レベルは JCSI-2。脈拍 84/分、整。血圧 80/58 mmHg。呼吸数32/分。 SpO2 93% (リザーバー付マスク 10 l/分酸素投与下 )。顔面は蒼白で口唇に浮腫を認める。頸静脈の怒張を認めない。心音に異常を認めない。吸気時に喘鳴を聴取する。胸腹部、背部および四肢の皮膚に膨疹が多発している。
- 急速輸液とともにまず投与すべきなのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108E056]←[国試_108]→[108E058]
[★]
- 次の文を読み、63~65の問いに答えよ。
- 25歳の男性。気分不良を主訴に来院した。
- 現病歴:官庁街近くのレストランで昼食をとっていたところ「液体のようなものがまかれた」という声がして、レストラン内で数人が倒れた。気分が悪くなったためレストランから飛び出し、徒歩で近くの病院を受診した。会話は可能であり、目の前が暗く感じ、鼻水が止まらないと訴えている。
- まず行うべき治療はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107G064]←[国試_107]→[107G066]
[★]
- 40歳の女性。意識障害のため搬入された。3年前、第2子出産時に大量の出血があった。
- その後から無月経となり、2年前から恥毛が脱落してきた。1か月前から全身倦怠感を訴えていた。
- 今朝、寝室から起きて来ないので、家族が見に行くと意識がもうろうとしていて呼びかけに反応がなかった。
- 意識レベルはJCSII-30。体温35.5℃。脈拍56/分、整。血圧 100/54 mmHg。
- 血液生化学所見:血糖61mg/dl 、Na 126mEq/dl,K 4.1mEq/l、Cl 92mEq/l。
- 静脈路確保の後、静脈内投与すべきなのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [103H022]←[国試_103]→[103H024]
[★]
- 72歳の男性。動悸を主訴に来院した。 10年前から高血圧を指摘されていたが、自覚症状がないため受診しなかった。 2日前から感冒症状があった。 6時間前から動悸を自覚し、改善しないため受診した。呼吸困難やめまいはないという。脈拍144/分、整。血圧120/76mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。心電図(別冊No. 29)を別に示す。
- 治療薬として適切なのはどれか。 2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [106A057]←[国試_106]→[106A059]
[★]
- 32歳の初産婦。妊娠39週5日、陣痛発来のために入院した。
- 分娩経過は順調で、2時間後子宮口開大8cm、児頭下降度SP-1cmになったが、その後児頭は反屈位になり小泉門が触知できなくなった。周期的であった陣痛は次第に間欠期が短縮し、現在は持続的に痛みを訴えている。その後の児頭下降はみられず、腹部全体は硬く圧痛があり、下腹部に子宮収縮輪を触知する。胎児心拍数はほぼ80/分で持続している。
- 投与すべき薬剤はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [098I044]←[国試_098]→[098I046]
[★]
- 56歳の男性。30分前からの胸部圧迫感を主訴に来院した。モニター心電図とパルスオキシメーターを装着し仰臥位で診療を始めた直後に意識を消失し、いびきをかきはじめ不規則な呼吸となった。頚動脈拍動は触知せず、心電図上の心拍数は36/分である。パルスオキシメーターはエラーを表示している。
- 処置としてまず行うのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104F020]←[国試_104]→[104F022]
[★]
商品
[★]
- 英
- muscarinic receptor
- 同
- ムスカリン性受容体、ムスカリン性アセチルコリン受容体 muscarinic cholinergic receptors mAChR
- 関
- アセチルコリン受容体、ニコチン受容体、ムスカリン受容体拮抗薬、受容体
- アセチルコリン受容体のサブタイプ
- 7回膜貫通型のGタンパク質共役型受容体 →ニコチン受容体はイオンチャネル型
- β-アドレナリン受容体などと類似の構造と機能を有する (SPC.66)
ムスカリン受容体 (SP.412)
ムスカリン性受容体 (出典?)
ムスカリン性受容体
|
局在
|
反応
|
シグナル伝達系
|
M1
|
自律神経節
|
脱分極
|
Gq→PLC→IP3/DAG
|
中枢神経
|
|
M2
|
心臓
|
洞房結節
|
脱分極の抑制、過分極
|
Gi→K+チャネル開
|
心房
|
収縮力↓
|
Gi→cAMP↓→電位依存性L型Caチャネル閉
|
房室結節
|
伝導速度↓
|
|
心室
|
収縮力↓
|
|
M3
|
平滑筋
|
収縮
|
Gq→PLC→IP3/DAG
|
血管内皮細胞
|
拡張
|
NO産生
|
外分泌腺
|
分泌促進
|
Gq→PLC→IP3/DAG
|
ムスカリン受容体作動薬・拮抗薬の臨床応用
[★]
- 英
- acetylcholine receptor, AChR
- 同
- コリン作動性受容体 (SPC.134)、Ach受容体、アセチルコリン作動性受容体
- 関
- アドレナリン受容体、アセチルコリン
アセチルコリン受容体 (SP.412)
[★]
- 関
- 鎮痙薬。骨格筋弛緩剤
商品
- アフロクアロン:脊髄から上位の中枢にかけての広範囲の部位に作用して、筋緊張亢進状態を緩解させる。
- エペリゾン:脊髄において単及び多シナプス反射を抑制すると共に、γ-運動ニューロンの自発発射を減少させ、筋紡錘の感度を低下させることで、メフェネシンよりも強力な骨格筋弛緩作用を発揮する。また、中脳毛様体及び後部視床下部を介する脳波覚醒反応を抑制する作用や、血管平滑筋のCa2+チャネル遮断や交感神経活動の抑制を介して、皮膚・筋や脳への血流量を増大させる作用もある。脊髄レベルにおける鎮痛作用も有する。3)
- バクロフェン:γ-アミノ酪酸(GABA)の誘導体で、脊髄の単シナプス及び多シナプス反射の両方を抑制し、γ-運動ニューロンの活性を低下させる抗痙縮剤
- クロルゾキサゾン:
[★]
- 英
- organophosphorus poisoning
- 関
- パラチオン、サリン、サリン中毒
- 研修医当直御法度 症例帳 p.24
- 研修医当直御法度 第5版 p.145
概念
病態
- コリンエステラーゼを不可逆的に不活化して阻害し、シナプスにおけるアセチルコリン濃度を上昇させる。
症状
[中枢神経症状]意識混濁、昏睡
[ニコチン受容体を介した作用]全身痙攣、呼吸筋麻痺
治療
- 1. PAMの静脈投与 → ただし、有効な時間が限定される
- 2. 透析療法、血漿交換 → 有機リンは組織への移行性が高く有効性は低い。
- 研修医当直御法度 第5版 p.145
- PAM 1-2g 静注
- アトロピン静注 ← 減量に注意(recurrentする)
[★]
- 英
- atropine methylbromide
- 関
- アトロピン、メチルアトロピン、硝酸メチルアトロピン
[★]
- 英
- opium alkaloid and atropine mixture
- 商
- オピアト、パンアト、塩酸アヘンアルカロイド・硫酸アトロピン合剤
[★]
- 英
- atropine methonitrate
- 関
- アトロピン、メチルアトロピン、臭化メチルアトロピン
[★]
- 英
- combination of compound oxycodone and atropine
- 同
- ヒコアト
- 商
- パビナール・アトロピン
[★]
- 英
- tropine