- 英
- cholinesterase, ChE
概念
- コリンエステラーゼはコリンエステルをコリンと有機酸に加水分解する酵素(LAB.601)
- 血清中のコリンエステラーゼは、アセチルコリン、ブチルコリン、ベンゾイルコリンなどのコリンエステルや、α-ナフチル酢酸などの非コリン性エステルも加水分解する(LAB.601)
阻害薬
不可逆的阻害薬 有機リン製剤
不可逆的阻害薬により不活性化されたChEの賦活化
コリンエステラーゼの比較 (SPC.157)
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/08/31 20:43:42」(JST)
[Wiki ja表示]
acetylcholinesterase (Yt blood group) |
Diagram of Pacific electric ray acetylcholinesterase. From PDB 1EA5.
|
識別子 |
略号 |
ACHE |
遺伝子コード |
YT |
Entrez |
43 |
HUGO |
108 |
OMIM |
100740 |
RefSeq |
NM_015831 |
UniProt |
P22303 |
他のデータ |
EC番号 |
3.1.1.7 |
遺伝子座 |
Chr. 7 q22 |
butyrylcholinesterase |
Cartoon diagram of human butyrylcholinesterase. From PDB 1P0I.
|
識別子 |
略号 |
BCHE |
遺伝子コード |
CHE1 |
Entrez |
590 |
HUGO |
983 |
OMIM |
177400 |
RefSeq |
NM_000055 |
UniProt |
P06276 |
他のデータ |
EC番号 |
3.1.1.8 |
遺伝子座 |
Chr. 3 q26.1-26.2 |
コリンエステラーゼ(Cholinesterase。ChEと略す。)とは、コリンエステル類を加水分解する酵素である。
目次
- 1 種類
- 1.1 アセチルコリンエステラーゼ
- 1.2 ブチリルコリンエステラーゼ
- 2 コリンエステラーゼの阻害剤
- 3 歴史
- 4 出典
- 5 関連項目
種類
アセチルコリンエステラーゼとブチリルコリンエステラーゼの2種類が存在する。このうちブチリルコリンエステラーゼをコードしている遺伝子には、ヒトにおいて遺伝子の多型が見られ、中には、この酵素の活性が低い個体も見られる [1] 。 このために、エステル結合を持った化学物質の代謝の速度に違いが見られる場合こともある。これに対して、アセチルコリンエステラーゼをコードしている遺伝子には、2005年現在において、ヒトでの遺伝子の多型は知られていない [1] 。 恐らく、ブチリルコリンエステラーゼとは違って、もしもアセチルコリンエステラーゼに変異が存在すると致命的であるがために、アセチルコリンエステラーゼをコードしている遺伝子には多型が見られないのだろうと考えられている [1] 。
アセチルコリンエステラーゼ
AChEと略すことがある。また、真正コリンエステラーゼとも呼ばれる。神経組織、赤血球などに存在する。コリン作動性神経(副交感神経、運動神経、交感神経の中枢~神経節)の神経伝達物質の1種であるアセチルコリンをコリンに分解し、アセチルコリンエステラーゼ自身はアセチル化される。これに伴いアセチルコリンエステラーゼは失活するものの、数ミリ秒で脱アセチル化が起こり、再び活性を得る。なおアセチル基は酢酸となって遊離される。
ブチリルコリンエステラーゼ
BuChEと略すことがある。また、偽コリンエステラーゼとも呼ばれる。肝臓、血清などに存在する。AChを含む様々なコリンエステル類を分解する。健康診断などで検査されるChEは、こちらの方である。高値の場合はネフローゼ症候群、脂肪肝など、低値の場合は肝硬変、肝炎、有機リン系薬物中毒(有機リン系の農薬中毒、サリンなどの神経ガス中毒)などが疑われる。
コリンエステラーゼの阻害剤
アセチルコリンによってコリンエステラーゼがアセチル化されて失活しても、数ミリ秒で脱アセチル化が起こるため、コリンエステラーゼの活性はすぐに戻る。このため、仮にアセチルコリンを投与したところで、簡単にコリンと酢酸に分解されてしまう。しかし、コリンエステラーゼがカルバモイル化されて失活した場合は、数時間程度で脱カルバモイル化が起こって、再び活性を得るという転帰をたどり、この場合はコリンエステラーゼの作用が大きく阻害される。これを利用しているのがネオスチグミンやピリドスチグミンである。これらの薬剤は自身が分解される代償に、コリンエステラーゼをカルバモイル化する。また、毒として使われるカラバルマメ(英語版)に含まれるフィゾスチグミンも同様である。したがって、もしこれらの薬剤や毒で中毒症状が出た場合は、例えばアトロピンを投与するなどしてアセチルコリンの分解が滞ったことでアセチルコリンの量が過剰になった影響を除いて時間を稼ぎ、コリンエステラーゼの脱カルバモイル化が起こるのを待てば良い。この他、エドロホニウムのような、上記とは違った作用機序をもったコリンエステラーゼの可逆的な阻害剤と言われている薬剤で中毒症状が起きた時も、やはり同様にコリンエステラーゼが元に戻るまでアトロピンを投与するなどして時間を稼ぐという手が使える。これらに対して、リン酸化されて失活した場合は、脱リン酸化は非常に起こりにくいため、事実上再活性されることはない。これを利用しているのがパラチオンのような有機リン系農薬やサリンのような化学兵器である。リン酸化されたコリンエステラーゼを脱リン酸化させるためにはPAMを用いる。
歴史
1968年にコロンビア大学のWalo Leuzingerらがデンキウナギから精製に成功した。
出典
- ^ a b c 遠藤 政夫、栗山 欣弥、大熊 誠太郎、田中 利男、樋口 宗史 『医科薬理学(第4版)』 p.313 南山堂 2005年9月26日発行 ISBN 4-525-14044-5
関連項目
- アセチルコリン
- コリン作動薬
- コリンエステラーゼ阻害剤
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Japanese Journal
- 講習会 アルツハイマー病治療の今昔物語 (第15回認知神経科学会(その2))
- 抗コリンエステラーゼ薬早期投与のためのアルツハイマー病早期診断は可能か? (特集 内科診療における論点) -- (神経・筋)
- 仰臥位高血圧・立位低血圧を伴う糖尿病性腎症血液透析患者の血圧コントロール
- 田中 勝喜,西口 健介,高折 光司,村上 徹,岸本 聡子,玉置 佐奈美,井ノ口 眞澄美,左海 佳奈子,門脇 勧,織田 浩彰,御厨 亮子,桑原 隆
- 日本透析医学会雑誌 44(5), 449-453, 2011
- 67歳,女性.糖尿病性腎症による血液透析歴16年.週3回3.5時間の維持透析で,体重増加は基本体重(40.2 kg)の約4%である.起床時の血圧は190/90 mmHg,透析前座位血圧120/60 mmHg,透析開始直後(仰臥位)血圧200/90 mmHgにも上昇する.透析終了後起立により血圧が90/50 mmHgまで低下し,当日はほとんど起立できない状況が続いていた.透析中の仰臥位血圧上昇につい …
- NAID 130000859985
- 認知症の診断と治療の実際 (日本内科学会生涯教育講演会 平成22年度 Aセッション)
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- コリンエステラーゼ(ChE)は、ほかの肝機能検査に比べていち早く異常値を示すので、 慢性肝炎や肝硬変などの慢性の肝臓病の経過をみていくうえで、とても重要な検査と なっています。
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★リンクテーブル★
[★]
- 45歳の男性。農業に従事している。意識障害のため搬入された。夕食後、自宅倉庫へ行ったまま2時間以上たっても戻らないのを心配した家族が見に行き、倒れているのを発見した。搬送した救急隊員によると、そばに空ピンがころがり、床の吐物に有機溶剤臭があった。意識レベルはJCS II-20。身長165cm、体重58kg。体温36.0℃。脈拍44/分、整。血圧100/58mmHg。縮瞳を認める。皮膚は湿潤していて発赤はない。骨格筋の線維性攣縮が認められる。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。尿所見:外観は淡黄色透明。蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球 500万、白血球 6,200、血小板 32万。血液生化学所見:アルブミン 4.8g/dl、クレアチニン 1.1mg/dl、総ビリルビン 0.8mg/dl、AST 30IU/l、ALT 35IU/l、LD 300IU/l(基準176-353)、ALP 200IU/l(基準115-359)、γ-GTP 30IU/l(基準8-50)、コリンエステラーゼ OIU/l(基準400-800)、アミラーゼ 40IU/l(基準37-160)、CK 20IU/l(基準30-140)。動脈血ガス分析(自発呼吸, room air) : PaO2 98Torr、PaCO2 40Torr、HCO3- 24mEq/l。
- 処置として投与が検討されるのはどれか、2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [104D050]←[国試_104]→[104D052]
[★]
- 次の文を読み、59~61の問いに答えよ。
- 46歳の男性。意識障害のため救急車で搬入された。
- 現病歴:部屋で倒れているのを母親が発見し、救急車を要請した。
- 既往歴:20歳ころ、うつ病の治療歴あり。
- 生活歴:無職。喫煙歴および飲酒歴は長いようだが詳細は不明。
- 家族歴:独身。母親は健康で農業を営んでいる。父親は高校生の時に死亡したが詳細は不明。
- 現症:体温 36.8℃。脈拍 108/分、整。血圧 140/90mmHg。呼吸数 8/分。SpO2 88%(リザーバー付マスク10L/分酸素投与下)。閉眼しており痛み刺激で開眼しない。発語はない。痛み刺激を何回か繰り返すとわずかに四肢を動かす。瞳孔は両側とも径1mmに縮瞳し、対光反射は確認できない。呼気に有機溶媒臭があり、鼻汁、流涎および発汗がみられる。両側の胸部全体にwheezesを聴取する。心雑音を聴取しない。筋線維束攣縮を認める。腱反射の異常を認めない。
- この患者の鑑別診断において有用な血液生化学検査の項目はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110B059]←[国試_110]→[110B061]
[★]
- 62歳の男性。全身倦怠感を主訴に来院した。18年前に慢性B型肝炎と診断されたが放置していた。意識は清明。身長170 cm、体重64 kg。脈拍72/分、整。血圧 128/66mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球 426万、白血球 3,600、血小板 9.1万。血液生化学所見:アルブミン 3.6 g/dl、クレアチニン 0.8 mg/dl、総ビリルビン 1.1 mg/dl、直接ビリルビン 0.7 mg/dl、AST 32 IU/l、ALT 20 IU/l、ALP 230 IU/l(基準115~359)。HBs抗原陽性。腹部超音波写真を以下に示す。肝内に占拠性病変は認めない。
- 血液検査所見として考えにくいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [103D034]←[国試_103]→[103D036]
[★]
- 65歳の男性。昨日からお金をぱらまくなどの奇異な行動がみられるとのことで家族に伴われて来院した。3日前から排便はなく、昨夕から食事はしていない。23歳時の右胸郭形成術の際に輸血を受けた。飲酒歴はない。意識はもうろうとしている。身長157cm、体重53kg。体温36.8℃。脈拍84/分、整。血圧118/76mmHg。顔貌は無気力状。心音、呼吸音に異常はない。腹部はやや膨隆し、心窩部に辺縁鈍で硬い肝を6cm触知する。肺濁音界は拡大している。下肢に軽度の浮腫を認める。血液所見:赤血球384万、白血球3,200、血小板5.3万。
- この患者の血清生化学所見で基準値よりも低いのはどれか。
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [097D026]←[国試_097]→[097D028]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [097G024]←[国試_097]→[097G026]
[★]
- 疾患と血清生化学所見の組合せで誤っているのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [099D095]←[国試_099]→[099D097]
[★]
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [096B015]←[国試_096]→[096B017]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [101C035]←[国試_101]→[101C037]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [106G020]←[国試_106]→[106G022]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [100B028]←[国試_100]→[100B030]
[★]
- 英
- cirrhosis of liver (M), liver cirrhosis LC, cirrhosis
- 関
- 肝臓
定義
(アトラス肝臓病 金原出版 谷川久一、阿部弘彦 昭和62年1月30日 p.57)
- 1. 肝細胞死が原因で、びまん性の結合組織増生が肝臓全域に見られる
- 2. 肝実質の結節性再生と小葉構造の改築が認められるもの
概念
- 肝硬変はびまん性に線維化した肝病変の終末像であり、慢性肝炎とともにもっともしばしばみられる肝の病態である。臨床的には様々な程度の肝細胞機能不全状態と門脈圧亢進症による症状がみられる慢性疾患である。
疫学
- 人口10万人あたりの死亡率12.5人
- 45-59歳の男性では死亡順位第4位
- 西日本に多い
病因
病理
- 炎症による細胞の破壊と再生を繰り返す結果、再生した肝細胞と新たに形成された線維性の隔壁を有する結節が形成され(再生結節)、肝硬変となる。(BPT.647)
- ウイルス性肝炎の慢性化による肝硬変では、3mm以上の結節がみられる(macronodular cirrhosis)。
- アルコール性肝炎の慢性化による肝硬変では、平均3mmの結節がみられる(micronodular cirrhosis)。
病態生理
- 肝機能低下により(1)エストロゲンの肝臓における異化が低下、(2)アルブミン合成能が低下、(3)門脈圧亢進が起こる。(1)によるエストロゲンなどの血管拡張因子により血管が拡張し循環血漿量が減少する。(2)による膠質浸透圧の低下はサードスペースへの体液移動を引き起こしさらに循環血漿量を低下させる。これには(3)も相加的に作用すると思われる。循環血漿量の低下はRAA系の亢進をきたし、アルドステロンによるNa、水の貯留引き起こす。
- 非代償性肝硬変では、肝網内系(クッパー細胞など)の機能低下、白血球減少による易感染性を呈する。
症状
合併症
- 参考2
身体所見
[show details]
- 腹部:脾腫 ← 門脈圧と脾腫の程度は相関しない (QB.B-315)
検査
血算
-
- 血小板減少が門脈圧亢進の最初の徴候(HIM.1978)
- 白血球減少 ← 門脈圧亢進によるうっ血性の脾腫に伴う脾機能亢進。 骨髄での産生低下も原因らしい(出典不明)
血液生化学
-
- 総ビリルビン T-Bil:上昇
- アンモニア NH3:上昇
- Fischer比:低下
- 線維化マーカー (ヒアルロン酸、IV型コラ-ゲン):上昇
- 膠質反応(TTT,ZTT):上昇
- γグロブリン:上昇 ← 門脈血に含まれる細菌の抗原が肝臓をシャントしてリンパ組織に到達するためとされている(uptodate)
-
-
- 糖の処理障害により食後高血糖を来しやすく、糖尿病を発症しやすい。
- 低ナトリウム血症、血漿浸透圧低下 ← 血液中の水が間質に移動する結果、電解質も共に移動する。血液中には水が過剰となり、低ナトリウム血症、血症浸透圧低下となる。volume depletionに対してADHが主に作用するからか、あるいはH2Oが移動しやすいからなのかは不明。
免疫血清検査
- 多クローン性γグロブリン血症
- IgG:増加する傾向あり。 ← 門脈血が肝臓を通過せずにリンパ組織に流れ込む結果。著しく高値であったら自己免疫性肝炎。(参考1)
- IgM:高値であったら90-95%はPBCである。(参考1)
- 壊死、炎症が持続的に起きているから上がると解釈することもできる、みたい。
画像
- (US,CT, MRI,Angio,肝シンチ、上部消化管内視鏡)
腹腔鏡、肝生検
- 分枝鎖アミノ酸(branched chain amino acids, BCAA)と芳香族アミノ酸(aromatic amino acids; AAA)の分子比(モル比)
-
- 肝臓、末梢(筋肉など)でよく代謝される
- ほぼ肝臓で代謝される
診断
治療
- IMD 参考2 YN.B-47
- 治療のゴールは、(1)肝疾患の進展を遅らせたり治癒させること、(2)他の原因による肝臓障害を予防すること、(3)合併症の予防、(4)肝移植の時期を決定することである。
- 方針:原疾患の治療を行い、肝硬変の進展を抑えるように食事、生活療法を行う、非代償期には合併症の治療を行う。
- (1)肝疾患の進展を遅らせたり治癒させる:原疾患の治療を行う(自己免疫性肝炎であればステロイドや免疫抑制薬、アルコール性肝障害であれば禁酒、ウイルス性肝炎であれば病原体に応じた治療)。
- (2)他の原因による肝臓障害を予防する:肝臓に障害を与えないようにする(アルコール摂取、アセトアミノフェンの過剰服用)。予防接種を受ける(肝予備能がほとんど無ければA型肝炎、B型肝炎。肺炎球菌、インフルエンザウイルスに対する予防接種も考慮される。
- (3)合併症の予防:肝細胞癌、静脈瘤出血、特発性細菌性腹膜炎、肝腎症候群、肝性脳症、肝肺症候群
- (4)肝移植の時期を決定:
代償期
- 食後の安静、適切な熱量(25-30kcal/kg/日)で適切な蛋白質(1.2-1.5g/kg)の食事を摂取、ビタミンB、ビタミンK補充
- 肝庇護薬(ウルソデオキシコール酸、グリチルリチンなど)
非代償期
-
- 食塩制限(5-7g以下)。飲水制限(1L/day)(腹水貯留時)
- 蛋白質の補充:分枝鎖アミノ酸の多い食事、分枝鎖アミノ酸製剤の点滴。NH3が上昇するなど肝性脳症の危険があれば低蛋白食とする。
- 膠質浸透圧の維持:アルブミン製剤
- 早朝低血糖に対し、夜食を勧める(肝機能低下により糖新生↓のはず)。(出典不明)
- 利尿薬:抗アルドステロン薬(スピロノラクトン)、トルバプタン、フロセミド、サイアザイド → 後2者はhypokalemiaからmetabolic alkalosisを惹起、アンモニアのNH4+ ⇔ NH3 + H+の平衡を左に移行させてアンモニアの排泄を阻害、高アンモニア血症を増悪しうる(非イオン化状態では尿細管で再吸収されやすいはず)(出典不明)。
- 腹水濃縮再注入法
- 肝内門脈大循環シャント、腹膜静脈短絡術
- 食道静脈瘤の治療:内視鏡的食道静脈瘤硬化術・結紮術、外科的治療
- 肝性脳症の治療:腹水の食事療法に準じるが、NH3再吸収につながる便秘の予防に気をつける。
- 肝移植
予後
- 死因:(1)肝性脳症、(2)静脈瘤破綻、(3)肝癌合併
- (1),(2)の治療が発達したことにより、(3)での死亡が増加している。
参考
- 1. [charged] Diagnostic approach to the patient with cirrhosis - uptodate [1]
- 2. [charged] Overview of the complications, prognosis, and management of cirrhosis - uptodate [2]
国試
[★]
- fulminant
- 英
- fulminant hepatitis
- 同
- 電撃性肝炎、急性肝萎縮症 acute liver atrophy、急性黄色肝萎縮症 acute yellow liver atrophy
- 関
- 肝炎、難病
定義
- 肝炎のうち症状発現後約8週間以内に高度の肝機能障害に基づいて肝性昏睡II度以上の脳症をきたし、プロトロンビン時間40%以下を示すものとする(第12回犬山シンポジウム(1981年8月))
- 肝炎ウイルスや薬物が原因となって、肝細胞の広範な壊死と脱落をきたす重篤な肝障害で、致命率が高い。
- 先行する慢性肝疾患が認められる場合には除外するが、B型肝炎ウイルスの無症候性キャリアの急性増悪は含める。(参考1)
- リンパ球浸潤など肝炎像が見られることは本疾患の要件で、薬物中毒、術後肝障害、急性妊娠脂肪肝など肝炎像の認められないものは除外。(参考1)
- 肝性昏睡II度以上の出現が8-24週のものは遅発性肝不全(late onset hepatic failure, LOHF)に分類される。(参考1)
- 難治性疾患克服研究事業とされている(難病#難治性疾患克服研究事業(調査研究対象:130疾患))
病因
- IMD
- ウイルス性の劇症肝炎ではB型肝炎ウイルスによるものが多く、A型肝炎ウイルスがこれに次ぐ
- 急性型 :B型 約50%、原因不明 約20%、A型 約15%、その他(薬物性、C型、E型)
- 亜急性型:成因不明 約45%、B型 約20%、薬物性 約15%、その他(A型、C型、E型)
- YN.B-34
- YN.B-34 参考1
- ウイルス性:B型肝炎ウイルス(約40%)、その他ウイルス
- 自己免疫性:自己免疫性肝炎(15%)
- 薬剤性:薬剤性肝障害(10%):PAS、ハロタン、サルファ剤
- 代謝性:急性妊娠性脂肪肝、ウイルソン病、ライ症侯群
- 虚血性:出血性ショック、心原性ショック、および敗血症性ショックの後
病型
- 急性 :急性肝炎発症後10日以内に脳症が出現
- 亜急性:急性肝炎発症後11日以降に脳症が出現 予後が悪い
検査
- 画像検査で肝萎縮が認められた場合には予後不良(SSUR.591)
血液検査
- コリンステラーゼ:低下(40%以下)
- アルブミン:低下
- AST・ALT:上昇したのち低下
- ビリルビン:上昇
- 血中アンモニア:上昇。(SSUR.591)
腹部CT
シンチグラフィ
重症度の指標
- YN.B-34
- プロトロンビン時間40%以下
- アルブミン<2.5g/dL
- 腹水、浮腫、肝性脳症
- コリンエステラーゼ:低値
- コレステロールエステル:低値 ← LCATは肝臓で合成される。
- 血中アンモニア:上昇
- ビリルビン上昇(直接ビリルビン/間接ビリルビン<0.5) ← 抱合能低下により間接ビリルビンが増加
- BUN≦6mg/dl
- 血清肝細胞増殖因子(HGF)≧1ng/ml → 肝細胞の増殖を促そうとしている。予後評価に有用
- 肝萎縮(CT, US)
症状
- 初発症状:全身倦怠感、発熱、黄疸、悪心、食欲不振。その後症状が持続。意識障害(急性型では初発することあり。亜急性型では遅発する)。(IMD)
合併症
- 脳浮腫、消化管出血、腎不全、血管内凝固症候群、全身感染症
治療
- a. 輸液管理:アミノ酸を含まないブドウ糖主体の輸液。→ 肝臓の尿素サイクルの著しい障害が見られるため分枝アミノ酸の投与は行わない
- b. 肝性脳症予防:合成二糖類(ラクツロース)、非吸収性抗菌薬PO(カナマイシン、ポリミキシンB)
- c. 合併症の治療:脳浮腫(マンニトール、グリセロール)
- d. その他:感染予防、呼吸器管理、消化管出血(予防にはH2ブロッカーが有効)に対する対応
-
- 抗ウイルス療法 ・・・ B型肝炎ウイルス
- 免疫抑制療法 ・・・・ 自己免疫性肝炎
- 肝細胞の壊死を抑制:抗凝固療法(新鮮凍結血漿、アンチトロンビン製剤、蛋白分解酵素阻害薬、副腎皮質ステロイドパルス療法 ・・・ 有効性はまだ認められていない
劇症肝炎の肝移植適応基準
- 劇症肝炎の肝移植適応基準 (第22回日本急性肝不全研究会,1996年4月) YN.B-35
- I. 脳症発現時に次の5項目のうち2項目を満たす場合は死亡と予測して肝移植の登録を行う
- 1) 年齢:45歳以上
- 2) 初発症状から脳症発現までの日数:11日以上(亜急性型) → 予後不良を示唆
- 3) プロトロンビン時間:10%以下 → 肝機能低下
- 4) 血清総ビリルビン濃度:18mg/dl以上
- 5) 直接/総ビリルビン比:0.67以下 → 抱合能低下
- II. 治療開始(脳症発現)から5日後における予後の再評価
- 下記項目について認められる項目数が2項目の場合生存と予測し肝移植登録を取り消す。0または1項目の場合死亡と予測して肝移植登録を継続する。
- 1) 脳症がI度以内に覚醒、あるいは昏睡度でII度以上の改善
- 2) プロトロンビン時間が50%以上に改善
予後
SUR.591
- 肝性昏睡II度:60%救命
- 肝性昏睡IV度~V度:10-20%救命
参考
- 1. 難治性の肝炎のうち劇症肝炎 - 難病情報センター
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/242
[★]
- 英
- cyclophosphamide, CPA CPM
- ラ
- cyclophosphamidum
- 商
- Cytoxan, Neosar、エンドキサン
- 関
- first aid step1 2006 p.207,257,309,324,326,386
特徴
- プロドラッグであり、肝臓で加水分解を受けて薬効を及ぼす
構造
作用機序
薬理作用
抗菌スペクトル
動態
適応
- non-Hodgkin’s lymphoma, breast and ovarian carcinomas
- immunosuppressants
注意
禁忌
副作用
- 出血性膀胱炎、骨髄抑制
- myelosuppression; hemorrhagic cystitis, which can be partially prevented with mesna
副作用(再評価結果より)
- 再評価結果時の自覚的並びに他覚的症状緩和における安全性評価対象例5021例(経口投与を含む)中,主なものは,白血球減少1903例(37.90%),悪心・嘔吐1041例(20.73%),脱毛1221例(24.32%)等であった。また,急性白血病等の造血幹細胞移植の前治療における本剤の第2相臨床試験の安全性評価対象例67例中,主なものは悪心・嘔吐61例(91%),下痢,口内炎各42例(各63%),脱毛38例(57%)であった。
重大な副作用
再評価結果における安全性評価例の集計
添付文書
- 注射用エンドキサン100mg/注射用エンドキサン500mg
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/4211401D1033_1_10/4211401D1033_1_10?view=body
[★]
- 英
- laboratory data
- 関
- 臨床検査
変動要因
食事
- 影響ほとんどなし:総コレステロール( 肝臓で産生されるコレステロール >> 腸管から吸収されるコレステロール
- 影響有り
運動
体位
個体間の変動
- LAB.464
生活リズムによる変動
- LAB.464
[★]
- 英
- organophosphorus poisoning
- 関
- パラチオン、サリン、サリン中毒
- 研修医当直御法度 症例帳 p.24
- 研修医当直御法度 第5版 p.145
概念
病態
- コリンエステラーゼを不可逆的に不活化して阻害し、シナプスにおけるアセチルコリン濃度を上昇させる。
症状
[中枢神経症状]意識混濁、昏睡
[ニコチン受容体を介した作用]全身痙攣、呼吸筋麻痺
治療
- 1. PAMの静脈投与 → ただし、有効な時間が限定される
- 2. 透析療法、血漿交換 → 有機リンは組織への移行性が高く有効性は低い。
- 研修医当直御法度 第5版 p.145
- PAM 1-2g 静注
- アトロピン静注 ← 減量に注意(recurrentする)
[★]
- 英
- cholinesterase inhibitor
- 関
- 抗コリンエステラーゼ薬、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、コリンエステラーゼ阻害薬
[★]
- 英
- acetylcholinesterase inhibitor
- 関
- アセチルコリンエステラーゼ阻害薬
[★]
- 英
- cholinesterase reactivator
- 関
- コリンエステラーゼ再賦活薬
[★]
- 英
- anticholinesterase
- 関
- 抗コリンエステラーゼ薬
[★]
- 英
- phosphorus P
- 関
- serum phosphorus level
分子量
- 30.973762 u (wikipedia)
- 単体で化合物としてはP4、淡黄色を帯びた半透明の固体、所謂黄リンで毒性が高い。分子量124.08。
基準値
- 血清中のリンおよびリン化合物(リン酸イオンなどとして存在)を無機リン(P)として定量した値。
- (serum)phosphorus, inorganic 2.5–4.3 mg/dL(HIM.Appendix)
- 2.5-4.5 mg/dL (QB)
代謝
- リンは経口的に摂取され、小腸から吸収され、細胞内に取り込まれる。
- 骨形成とともに骨に取り込まれる。
- 腎より排泄される。
尿細管での分泌・再吸収
- 排泄:10%
尿細管における再吸収の調節要素
臨床検査
- 無機リンとして定量される。
基準範囲
血清
- 小児:4-7mg/dL
- 閉経後女性は一般集団より0.3mg/dL高値となる
尿
測定値に影響を与える要因
臨床関連
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3
[★]
- 英
- id
- 独
- Es
- 同
- イド
- 関
- リビドー
- フリードリヒ・ニーチェが使用し、ゲオルグ・グロデック(Georg・Groddeck)の『エスとの対話』("Gesellschaft")などで使われた用語で、彼と交流があったジークムント・フロイトが採用した精神分析学用語ともなった。(なお、1953年にジェイムズ・ストレイチーによるフロイト翻訳全集の英訳の際、エスはイド(ラテン語)と訳されアメリカ系の精神分析学で流布された。)自我参照。(wikipedia jaより)
参考
[★]
- 英
- choline
- 化
- 塩化コリン
- 関
- アセチルコリン
- choline + acetylCoA → acetylcholine + CoA